~~~ アラスカ フェアバンクス ~~~
廃墟と化した街がある。
ランドウ兵「……」 ザッ
ランドウ兵2「……」
……ゥウン…
ランドウ兵「……?」
ギュゥ……ゥウン…
メタルビースト≪━━…!≫
ギュルゥゥゥンッ
奈緒「おらァッ!」
メタルビーストの真下。アスファルトの地面を突き破り、姿を見せたネオゲッター2がメタルビーストをドリルで貫く。
奈緒「奇襲成功‼見たか!ランドウ、ここはお前達が我が物顔で居座っていい場所じゃないぞ!」
加蓮「アンタ達が奪った場所、返してもらうよ…!」
李衣菜「やっちゃえ!奈緒!」
奈緒「おうっ!」
メカザウルス・バド『キシャァアアアアア‼』
奈緒「おっと!」
メカザウルス・バドの放つ怪音波を躱し、ネオゲッター2は更に上空へ。
奈緒「ドリルアァームッ‼」
バド『!?!?!?』
急降下と共にドリルアームを唸らせ、バドを打ち砕く。
メタルビースト≪━━‼≫
奈緒「この…!」
地上から対空砲火の如く火球を放つメタルビーストに、ドリルアームガンで応戦。
加蓮「ちょっとちょっと~、奈緒?奈緒ばっか目立ってるのは、ズルいんじゃない?」
李衣菜「そうそう。地上戦ならネオゲッター1…」
加蓮「じゃなくて、ここはアタシの復帰第一戦でしょ」
李衣菜「あら…?」
奈緒「しゃーないな。やるからには、しっかりやってくれよ!」
奈緒「オープンゲット!」
加蓮「ゲッターチェンジ!」
ネオゲッター3の変形し、着地。メタルビーストと対峙する。
加蓮「さてと、そんじゃあご期待通り、張り切ってやっちゃいますか!」 グンッ
加蓮「タンク・モード!」
ネオゲッター3のタンク・モードで、メタルビーストとの距離を一気に詰める。
加蓮「はぁッ!」
加速の勢いに乗せた拳で、メタルビーストを殴り倒す。
加蓮「さぁて、ドンドンいくよ…!━━ゲッタートルネード!」
吹き荒れるゲッタートルネードの旋風が、前方に布陣したメタルビーストを吹き飛ばす。
メカ一角鬼≪━━!≫
加蓮「ッ!こンのぉ…!」
背後から組み着いたメカ一角鬼を裏拳の一撃でノックダウン。
加蓮「フィンガーネット!」
やや上方にネットを放ち、空中で展開。地上の敵を一網打尽に。
メタルビースト≪!!!?≫
メタルビースト2≪━━‼?≫
加蓮「ほらほら!」
ネットに繋がるワイヤーをぶん回し、
加蓮「せ~…のっ、やぁ‼」
勢いをつけて、直上に放り投げる。そして、
ジリッ
加蓮「プラズマブレイク!」
背中のホーンに収束されたエネルギーが、天高く打ち上がり、ネットに捕縛されたメタルビーストを貫いて破壊。
李衣菜「ウッヒョ~!」
加蓮「どんなもんよ?」
奈緒「やるじゃん」
李衣菜「これでこの辺りのメタルビーストは全部やっつけたかな?」
加蓮「じゃない?追加の敵もいないみたいだし」
奈緒「なら、フェアバンクスは解放ってことでいいよな!」
李衣菜「うんっ!私達の作戦成功だよ!」
奈緒「じゃ、テキサスに報告するぞ」
加蓮「ネオゲッターチーム大勝利、ってね」
奈緒「違うだろ!作戦の第一段階成功だ!」
━━。
~~~ 戦艦テキサス ~~~
副長「━━分かった。直ちに帰還せよ」
副長「艦長、ネオゲッターチームからの報告で、フェアバンクス市の解放に成功したそうです」
艦長「うむ。これでアラスカの10以上の都市がランドウの手から解放されたわけだな」
副長「他の戦線でも、ランドウは後退しているようです。もはやアラスカでの戦いは、我々に軍配が上がったと考えても可笑しくないでしょう」
艦長「油断してはならん。戦線を後退させたランドウの動きが気になる。アラスカ解放のために、攻略しなくてはならない場所がまだ残されているのだ」
副長「艦長、それは…」
艦長「ランドウがこのアラスカに侵攻した理由はもちろんそれだろう。我々は軍人として、一人の人間として、あの悪魔の兵器を二度と地上で使わせるような事があってはならんのだ」
副長「では、我々の次の攻撃目標は…」
艦長「うむ…━━」
━━ 格納庫。
李衣菜「━━ふぃ~。たっだいま~」
班長「おう、おかえり。どうだい?俺達が整備したネオゲッターの調子は?」
李衣菜「もう最高だよ!前と全然変わらない…ううん、新しく生まれ変わった感じだよ!」
班長「そう言ってもらえるとやりがいがあるぜ。また万全に整備しといてやるからな!」
李衣菜「よろしく~!…っと」
加蓮「格納庫なのに、何かいい匂いがするね」
奈緒「きっとあそこだろ。ほら」
李衣菜「みんな集まって…お菓子食べてる!?」
ボブ「おう、おかえり。ビリけつさん」
李衣菜「ボブ!これってもしかして、かな子の…」
かな子「はい。皆さんが必ず勝って帰ってくるって信じてましたから、たくさん用意してありますよ♪」
サム「ハハッ、確かにうめぇケーキだ!このケーキを食い損なって死んじまっら、未練有り余って天国にもいけねぇ!」
ジャック「ホスナーbrothersも、すっかりかな子のSweetの虜みたいネ!」
リンダ「個人の趣味の領域ではないもの。私だって、個人的に教えてもらいたいわ」
かな子「え、え~…っと、お菓子作り”だけ”なら、何時でも大丈夫ですよ…?」
リンダ「ふふっ。照れなくてもいいのに」
シュワルツ「ケッ…。貴重な物資を無駄遣いしやがって」
リンダ「言うわりには、貴方だってしっかり食べてるじゃない」
シュワルツ「そ、それはな…」
李衣菜「とにかく、かな子のお菓子は大好評なんだね…」
ニオン「だが、一緒に戦わせられるこっちは、なかなか堪ったものじゃないぞ」
奈緒「そうなのか?」
鉄甲鬼「生地を寝かせておいたからと、時間を急かされてみろ。おちおち戦闘にも集中できん」
李衣菜「あはは…。色々大変だったみたいだね」
ニオン「ランドウの相手など、手遊びのようなものだ。多少の制約は望むところ、だがな…」
加蓮「…って事は、テキサスに帰ってきたのはダイノゲッターチームが一番だったんだ?」
シュワルツ「…チッ」
ジャック「シュワルツ、ユーは惜しかったネ。ホンのTouchの差だったよ」
シュワルツ「テメェは見ちゃいねぇだろうが!」
李衣菜「えー…っと、ニオン達が一位、その次がシュワルツで…」
リンダ「三番は私よ。男共には負けないわ」
ジャック「一本取られちゃったヨー。悔しいゼ」
ボブ「ま、ロボ・ストーンは機動性がねぇからな。出遅れちまうのは仕方ねぇさ」
李衣菜「私達が最下位か…。う~…ん、戦闘は要領よく出来たと思うんだけどなぁ」
加蓮「やっぱ地中から奇襲かけたのが失敗だったんじゃない?」
李衣菜「じゃあ敗因は奈緒かぁ」
奈緒「あたしのせいかよ!お前らだって奇襲作戦で行こうって賛成したじゃんか!」
サム「ハハッ!なぁ、兄ちゃん。確かビリっけつの罰ゲームは、トイレ掃除一週間だったよな?」
ボブ「あぁ。3人には、しっかり働いてもらわなきゃな?」
李衣菜「えー!ホントに?私達女の子だよ?男子トイレもやらせるつもり~?」
ボブ「関係あるかよ。誰が一等先にランドウに占領された街を解放して、テキサスに帰ってこれるかって、賭けに乗っかったのはそっちなんだぜ?」
李衣菜「それは…そうだけど…」
サム「なら、観念して罰ゲームを受けるんだな」
李衣菜「むぅ~…」
加蓮「ま、頑張りなって。影から応援してるから」
李衣菜「え?」
奈緒「賭けに乗ったのは李衣菜だろ?あたしと加蓮は関係ない」
加蓮「そうそう。リーダーとして良くないよ~?そう言うの」
李衣菜「そんなぁ~!」
リンダ「私でよければ、手伝ってあげるけど?」
李衣菜「え…あ、大丈夫です…」
ジャック「Risk&Return.Gambleとはそういうものデスね」
李衣菜「…もうギャンブルなんてしない」
鉄甲鬼「身の程が分かっただけ、いい勉強になったな」
ニオン「授業料はしっかり払えよ」
李衣菜「う~!みんな冷たーいー!」
『━━パイロット各員へ伝達。次の作戦のブリーフィングを行う。直ちにブリーフィング・ルームへ集合せよ。繰り返す…』
ボブ「ケッ。さっき帰ってきたばっかだってのに、俺達には休みなしかよ」
メリー「ランドウの前線も後退してるって話よ。アラスカからランドウを追い出すまでもう少し、頑張りましょ」
サム「しゃーない!いっちょ派手にやったりますかぁ~‼」
リンダ「ここで張り切るくらいなら早くなさいな。ノロマは嫌いよ」
李衣菜「あぁ~、みんな待ってよ!私まだかな子のお菓子一口も食べれてないのに…」
シュワルツ「テメェは一生そこで食ってたって構やしねぇよ」
李衣菜「むぅ…」
ジャック「シュワルツ!今はリーナをいじめてる場合じゃないネ!」
加蓮「こっから持ってって、ブリーフィング中に食べればいいんじゃない?」
奈緒「それってマズくないか?」
加蓮「いいじゃん。ブリーフィングったって、こっちは話聞いてるだけだし。バレないようにこっそりやれば」
李衣菜「そっか!…それじゃあアレとコレとあぁあとあっちも!」
奈緒「せめて一個に絞れよ!」
━━ ブリーフィング・ルーム。
艦長「諸君、先の都市解放作戦、ご苦労だった。複数ヵ所への同時攻撃により、ランドウの戦力も、大幅に削ることが出来た」
シュワルツ「俺達の力だけじゃねぇ。各地に散らばって、先に展開してた部隊の援護のお陰だ」
艦長「少佐の言うとおりだな。だが、一つ一つの戦闘で勝利しているだけでは、喜んでなどいられん」
李衣菜「何で?こっちが勝ってれば、優勢なんじゃないの?」 モグモグ
奈緒「そこはほら、アレだ。大局とか戦略的勝利とか、色々あるんだろ」 モグモグ
副長「…ゴホン。ブリーフィング中の私語は慎むように。あと飲食もな」
李衣菜「やばっ…。バレた?」
奈緒「李衣菜が余計なこと言うからだろ」
加蓮「2人共静かにしなって」
艦長「…話を続けよう。確かに、戦況的にみれば、我々が優勢であるかもしれん。だが、追い詰められた相手が、次にどのような手段に出るか、想像に難くはない」
李衣菜「…えーと?」
シュワルツ「追い詰められて、ドカンとトンでもねぇことやらかすってこった」
艦長「故に、我々の次なる攻撃目的地はここだ」
スクリーンに写った、アラスカの地図の一ヶ所を指す。
李衣菜「…?地名も何もない場所?」
メリー「艦長、その場所は…」
奈緒「何かあるのか?メリーさん」
メリー「…えぇ。あそこは、地図に記されていないだけで、アメリカ軍の秘密基地があるのよ」
李衣菜「秘密基地?そんな映画やアニメじゃないんだし…。わざわざ存在を隠すなんて、一体どんな基地だって…」
艦長「核ミサイル発射基地だ」
加蓮「え…」
艦長「その場所には、政府が存在を秘匿する、核ミサイル発射基地が隠されている」
奈緒「おいおい…、冗談だろ?なんだってそんな重要なものを隠しておくなんて…」
艦長「重要だからこそだ。最後の手段と言うのは、本当に最後の時まで存在を明らかにされてはならんのだ」
奈緒「……」
加蓮「でも、ランドウにはバレちゃったから、今占領されてる訳なんでしょ?」
艦長「そうだ。彼らの諜報能力を侮っていた、我々の失態だ」
李衣菜「ランドウの手の中に、核がある…」
奈緒「それってヤバイんじゃないのか?」
シュワルツ「だから、コレからそれを奪い返す算段をしようってんだろが」
李衣菜「そ、そっか…!」
艦長「基地施設内に核兵器がある以上、高火力のテキサスが手を出すわけにはいかん。よって、スーパーロボット部隊による制圧作戦を展開する」
サム「何だ。結局いつもと同じじゃねぇか」
副長「いつも通りとは限らん。向こうは核を人質にしているようなものだ。もし戦闘の流れ弾が核兵器に飛び火すれば、ここにいる者は皆蒸発する」
サム「……」
奈緒「連中があたし達の接近に気付いて、こっちに核を撃ってくるって可能性もあるんじゃないか?」
メリー「それはないんじゃないかしら?基地に保管されている核ミサイルは最低でもメガトン級…。基地の近くで爆発したら、その基地もろとも大爆発よ」
ジャック「連中ダッテ、核がほしくて占拠したんダ。それをムザムザ放棄するような事はしないと思うゼ?」
かな子「でも、私達の方には撃ってこなくても、自棄になって、他の都市に撃つなんてことも考えられますよね?」
艦長「その場合は、我々の全力を以て撃墜する」
奈緒「目の前の戦力だけじゃないく、飛んでいくミサイルも無視できないのか…。当然といや当然だけど…」
ニオン「まっすぐ飛ぶだけのミサイルなど、ただの的にすぎん。むしろいいハンデと言ったところだろう」
ジャック「Oh,Big mouth!けど、ニオンの言うとおりネ!」
艦長「作戦の概要はこうだ。先ず、諸君らスーパーロボット部隊が陽動となる攻撃を行い、基地を占拠するランドウの防衛部隊を誘き出す」
艦長「その後、こちらの突入部隊が基地に突入。施設内部からランドウの尖兵を追い出し、基地を制圧する。その間も、諸君らにはメタルビーストの相手をしてもらい、敵防衛部隊の戦力を減らしてもらう」
艦長「突入した部隊が、核の無力化をすれば、作戦完了だ。何か質問はあるかね?」
「「「……」」」
艦長「無ければ、ブリーフィングを終わる。パイロット各位は、出撃命令が下るまで各機体に登場して待機だ」
「「「了解‼」」」
李衣菜「さぁ~って、と!次の戦闘こそ私の出番だぁ~!」
奈緒「……」
加蓮「どしたの、奈緒?」
奈緒「なぁ、何でランドウは、今まで核を使ってこなかったんだ?」
李衣菜「え?」
奈緒「今回の攻略対象は、ずっと前にランドウに占領されてたんだろ?なら、テキサスが接近する前に、核ミサイルで迎撃することも出来たはずだろ?」
李衣菜「それは…確かに」
加蓮「撃たなかった理由ね~…。放射能とか、周囲の被害とか考えてたんじゃない?」
奈緒「ランドウがそんな殊勝な奴か?平然と死人を機械化して蘇らせたり、自分に従わない奴を排除するために、今回の戦いを起こすような奴だぞ?」
加蓮「…何か違う目的があるって、奈緒は思ってるの?」
奈緒「そこまでじゃないけど…。でも、ランドウの動きは何か変だよ」
加蓮「考えすぎじゃない?どっちにしたって、連中の手元に核があるなんて危なっかしくて見てらんないんだし。奪われたものは返してもらわないと」
李衣菜「そうだね。それに、どんな罠があったとしても、私達のネオゲッターと、スーパーロボット軍団がいれば何て事ないよ!」
奈緒「……。それもそうだな。ここで考えてても仕方ないよな」
李衣菜「そうそう、来るなら来いランドウ!ってね。さ、早いトコ格納庫に戻って、食べきれなかったかな子のおやつを貰おうよ!」
奈緒「まだ引っ張ってたのか、それ…」
━━。
~~~ 数分後 アラスカ大陸 西部 ~~~
李衣菜「ふふ~ん。リーナにかかれば、ロックだぜ~‼」
鬱蒼と生い茂る針葉樹林の中、戦闘に立ったネオゲッター1が小脇に抱えるように両脇に構えた重機関銃とライフルをぶっ放す。
ジャック「Hey!Rock'nRoll‼」
ボブ「余興を盛り上げてやるぜェ‼」
ネオゲッター1の射撃に合わせて、テキサスマック、ロボ・ストーンも基地に跋扈したメタルビーストめがけ火を放つ。
シュワルツ「バカ野郎‼前に出すぎだ!俺達の目的を忘れたか!?」
奈緒「前に出なくちゃ、獲物も引っかけられないだろ?」
李衣菜「メタルビーストの狙いを惹き付ける!行くよ、奈緒、加蓮!」 グッ
ネオゲッター1が前進する。
シュワルツ「チッ…!勇みやがって!」
ジャック「ハッハ~!いい感じデスね~!」
シュワルツ「ガキのお守りはゴメンだぜ!」
リンダ「なら下がってなさいな。ここでの手柄は、貴方の分も貰ってあげるわ」
シュワルツ「チッ…!」
李衣菜「よっしゃ~いくぜぇ~!ソードトマホーク‼」
弾の切れた銃を捨て、ソードトマホークを抜き打つ。
李衣菜「おりゃあッ‼」
大上段から振り下ろし、メタルビーストを両断。
奈緒「李衣菜!ここでコイツらを全滅させても、意味ないぞ!」
加蓮「早くメタルビーストを引き離しちゃって、お楽しみはそれからでしょ」
李衣菜「それもそっか。じゃあ、一旦離脱して…━━ッ!?」
地面を砕き伸びたメタルビーストの触手が、ネオゲッター1の脚に絡み付く。
李衣菜「しまった…!うわぁ━━!」
大地に叩き付けられるネオゲッター1。
李衣菜「いったたたた…。口の中がしょっぱくなっちゃった…」
奈緒「何時もの事だろ!さっさと立て‼」
メタルビースト≪━━!!!≫
李衣菜「い゛っ━━!?」
ドワァッ
メタルビースト≪!?!?!?≫
メタルビーストが爆ぜる。
李衣菜「な…何……?」
シュワルツ「言わんこっちゃねぇ!早く退きやがれ‼」
李衣菜「あ、ありがと…」
立ち上がり、即座に離脱。
サム「援護するぜ!早くここまで来な!」
ボブ「とっとと二次会の会場まで移動だぜ!」
メリー「……妙ね」
ボブ「何がだ?」
メリー「敵の戦力よ。あまりにも防備が手薄すぎる…」
ボブ「そうかぁ?」
サム「そういや、隊長機らしいメタルビーストも見当たらねぇ。雑魚ばっかだぜ」
メリー「使うにせよ取っておくにせよ、核はランドウにとっても重要な兵器の筈でしょ?これじゃあまるで、基地を取り返してくださいと言ってるようなものだわ」
ボブ「気にしすぎなんじゃねぇのか?」
サム「そそ!俺達が強すぎるだけだって!」
リンダ「はぁ…。おデブさんはお気楽でいいわね」
ジャック「メリー、どうすル?突入部隊の突入は、もう少し様子を見るように言ってみるカ?」
メリー「……。いいえ。ここは予定通りにいきましょ」
リンダ「敵の手に敢えて乗るというわけね?」
メリー「えぇ。罠でも何でも、出てきてもらった方が対策も立てやすいわ」
リンダ「フフッ。そう言うの、嫌いじゃないわ」
メリー「社交辞令として、受け取っておくわね」
リンダ「もぅ」
シュワルツ「テメェら!何時までくっちゃべってやがる!メタルビーストをもっと基地から引き離すぞ!」
リンダ「せっかちな男はモテないわよ」
シュワルツ「任務中だ!作戦に集中しろ!」
李衣菜「━━ここまで来れば…」
シュワルツ「敵は全部ちゃんと付いて来てるな?」
ジャック「No,problem.はぐれた生徒はいませんネー」
ボブ「だったら、とっとと二次会といこうぜ!」
艦長『ロボット部隊各機、聞こえるか?たった今、基地に突入部隊が入った』
艦長『各機は引き付けている敵部隊が基地に戻らないよう、各個撃破で止めてくれ』
リンダ「艦長から許可が出たわね」
シュワルツ「あぁ。いいな!それぞれ連れてきたメタルビーストを、一機たりとも逃すんじゃねぇぞ‼」
「「「了解‼」」」
かな子「今のところ相手側に目立った動きは見られませんよね?」
鉄甲鬼「あぁ。だが、最後まで何があるか分からん。戦闘はニオンに任せ、我々は周囲の状況に目を配る。いいな?」
かな子「はいっ」
━━テキサス艦橋。
艦長「━━副長、調子はどうだね?」
副長「はい。突入部隊からの連絡では、敵の抵抗もなく、任務遂行は順調との事です」
艦長「むぅ…?ランドウはみすみす、我らに基地を明け渡すというのか?」
副長「何やら妙です。艦長、これは罠なのでは?」
艦長「可能性は高い。しかし、最深部にどのような仕掛けがあるかも分からぬ現状で、兵を引き揚げさせるわけにはいかん」
艦長「罠であるならばこそ、敵の一手を見極める必要がある」
副長「了解。突入部隊の報告を待ちます」
オペレーター「突入した部隊より、緊急入電!」
副長「何だと!?何があった!」
オペレーター「艦長、こ、これを…!」
艦長「これは…!何ということだ!」
━━。
ニオン「ゲッタートマホークッ‼」
ズァッ
メタルビースト≪!?!?!?≫
ニオン「これであらかた倒したか?」
かな子「…はい。レーダーにメタルビーストの反応はなしです」
ジャック「A-Ha.大したことなかったネー」
奈緒「何か、呆気なさすぎじゃないか?」
ボブ「いやいや、俺達が強すぎんだろ」
李衣菜「そーそー。スーパーロボット軍団快進撃~、って」
奈緒「…何か、その後に大本営発表とか付きそうだな」
艦長『スーパーロボット部隊、各機!速やかに応答せよ!』
ボブ「艦長か?パーティーなら今しがた終わったトコだぜ?」
艦長『そうか!それなら、一刻も早くここから離脱するんだ!』
ジャック「穏やかじゃないネー。一体どうしたんダ?」
艦長『ランドウは基地に起爆装置を仕掛けていた!基地は直に爆破される。基地に貯蔵された500ギガトンの核兵器と共に!』
李衣菜「ご、500ギガトン、って…どれくらい?」
シュワルツ「爆発すりゃぁ、ここ一帯どころじゃねぇアラスカ大陸の半分は余裕で持ってちまう量だ!」
李衣菜「そんなに!?」
サム「連中は元から、基地ごと俺達をブッ飛ばすつもりだったってのかよ!?」
艦長『あぁ、連中は元より、核を重要とも思っていなかったようだ』
加蓮「ま、アタシ達を一網打尽にするには、確かに確実な方法だと思うけど」
シュワルツ「アラスカ大陸に限った話じゃねぇ。連中、この地球がどうなってもいいのか?」
リンダ「起爆装置は解除できないの!?」
艦長『無理だ。起爆装置に高度なプロテクトが掛けられていて、とても残された数分の時間では、到底解除できん』
メリー「そんな…」
ジャック「Hey!Talk timeは終わりダ! ともかく一刻も早くここから離れないと、ミー達も危ないネ!」
ボブ「離れろったってよ…。空を飛べるお前らはいいかも知れねぇけど、俺達はどうすりゃいいんだ?」
サム「そうだぜ!ロボ・ストーンは飛べないどころか、脚だって遅いんだぜ?」
リンダ「御愁傷様ね」
ボブ「そりゃないぜティラミス中尉~!」
シュワルツ「落ち着けよ。お前らのロボ・ストーンは、核の衝撃にだって耐えられるんだろ?」
ボブ「500ギガトンの爆心地の近くにいたんじゃ、いくらロボ・ストーンだって無事の保証はねぇんだぜ?」
李衣菜「もぅ~!早く撤退するんでしょ!」
「簡単に逃がすと思っているのか?」
李衣菜「っ!?」
ジャック「Metal beast!?」
地中から出現したメタルビーストの軍勢が包囲する。
「ネオゲッター!いや、スーパーロボット軍団!ここが貴様らの墓場となるのだ!」
李衣菜「何を~!」
奈緒「やっと偉そうなのが出てきたな」
加蓮「誰?名前くらい教えてくれても、バチは当たらないと思うけど?」
「よかろう…。我が名はヤシャ。このアラスカ攻略を任せられているランドウの将軍だ」
かな子「将軍なんて…」
加蓮「アラスカ攻略を?ふーん、要するに、アタシ達に負け続けて敵の大将」
奈緒「加蓮、いくらなんでもそれは言い過ぎだって」
ヤシャ「いいや。確かに貴様らの言う通りだ。私はこれまで、お前達に煮え湯を飲まされ続けた。ランドウ様から直々にアラスカ攻略を命じられた私が、その信頼を失うほどにな」
ジャック「それで、破れかぶれでミー達だけでも倒そうって腹積もりカ!?」
ヤシャ「そうだ!ランドウ様より授けられたこの命…。ランドウ様のためとなるならば惜しくはない!」
リンダ「ハン!悪いけど、アンタみたいなむさ苦しいブ男と心中するなんて真っ平ゴメンだわ!」
ヤシャ「ほざけ!貴様らの貧弱なマシンが、このメタルビースト・ジャコウに敵うと思うな!」
李衣菜「貧弱かどうかは、実力を見てから言え~!!」 バッ
ジャック「リーナ!」
李衣菜「どのみちコイツらを倒さなきゃここを抜けられない!あいつの相手は私達に任せて、みんなは他のメタルビーストを!」
ネオゲッター1が、メタルビースト・ジャコウに飛び掛かる。
ヤシャ「ほほう…。小娘と侮っていたが、なかなかの気概だな」
李衣菜「でなきゃ、こんなとこまで来たりしないよ」
奈緒「って言っても、今回なかなかの貧乏クジだけどな」
加蓮「強敵に自分から飛び込んでいっちゃって…。負けたら承知しないんだからね、リーナ?」
李衣菜「うんっ!いくら見た目が怖くったって…!」 ギギ…
ジャコウとの鍔迫り合いを気合いで押し退ける。
シュワルツ「…ったく、しょうがねぇ奴等だ」
ジャック「こっちも早くメタルビーストを片付けるゼ!Hurry‼」
スーパーロボット軍団と、メタルビーストとの戦闘が始まる。
ヤシャ「どれだけ足掻いたところで、もはや運命は変わらん!お前らはここで灰となるのだ‼」
奈緒「勝手に決めんな!アタシにはまだやりたいことが山ほどあるんだ!ここで人生勝手に終わらされてたまるかって!」
加蓮「そうそう。アイドルとしてだって、まだ中途半端だし。ちゃんと自分の存在は、残しておかないとね」
奈緒「うんうん」
加蓮「あと結婚したり、子供作ったり」
奈緒「け、けっこ…!?子供って…!加蓮!」
加蓮「え~?違うの?」
奈緒「いや…、別に違わないけど…って、そういう話じゃないだろ!戦闘中だぞ‼」
加蓮「あっははっ!ジョークジョーク。リラックスは必要でしょ?」
李衣菜「…もう、メインじゃないからって…━━ッ!」
ガンッ
ヤシャ「小娘共が馬鹿にしおって…!戦場をナメるなァ‼」
李衣菜「あぁ…!?」
後方へ押し倒される。
李衣菜「ぐっ…!こンのぉ…!」
腰を地に着けたまま、拳を突き出しチェーンナックルを撃つ。
ヤシャ「見え透いた攻撃を!」
李衣菜「だったらこれでどうだ~!」
ヤシャ「!?」
ネオゲッター1が懐に飛び込む。
ヤシャ「ぐぉ…!?」
李衣菜「ここまで近付けば…!」
撃ち出したチェーンナックルを引き戻し、ジャコウを羽交い締めに。
ヤシャ「だが、貴様にも手はあるまい?」
李衣菜「どうかな?━━奈緒!」
奈緒「よしきた!」
李衣菜「プラズマサンダー!」
両手に込めた、プラズマサンダー用のエネルギーを直接ジャコウに流し込む。
ヤシャ「ぬぉおおお━━!?」
奈緒「どーだ!指先に込める、生命の波紋ってな!」
李衣菜「奈緒の言ってることはよく分かんないけど、…意表は突けたかな」
ヤシャ「ふ…ふふふ…」
奈緒「何だぁ?」
加蓮「変なトコ打って、頭どうかしちゃった?」
ヤシャ「フハハハ!面白いぞ、ゲッターロボ‼」
李衣菜「何…?」
ヤシャ「小娘と侮っていた、それは認めよう。だが、この結果は予想以上だ!」
奈緒「何だよ?アタシ達が何もなくただやられると思ってたのか?」
加蓮「確かに、まともに戦ったのは百鬼帝国からだけど。それでも、最後まで戦い抜いたんだから」
ヤシャ「その通りだ!以前までに相手をしていた、自惚れた兵隊とは違う。貴様らの死力、もっと見せてみろォ!」
李衣菜「わっ…!」
オーバースロー気味の、ジャコウのアームハンマーがネオゲッター1を襲う。
李衣菜「遊び半分で…!アンタのために、こっちは死力を尽くしてるんじゃない!」
腰を屈め、アームハンマーを掻い潜り、ジャコウの鳩尾に拳を一発。
李衣菜「生きるためにやってるんだぁ~‼」
折れたジャコウの頭に、右の垂直蹴りを叩き込んだ。
ヤシャ「ぐふぅ…」
李衣菜「どう…っ!?」
ヤシャ「ふふふ…!素晴らしい…、これこそがランドウ様の言う人間の進化!」
李衣菜「進化…?」
奈緒「どう言うことだ?」
ヤシャ「惜しい。実に惜しい。出来ればその進化の行く末を見たかったが…」
加蓮「自爆なんてバカな真似やめれば、見れるんじゃない?」
ヤシャ「バカな。己の我欲のために、大局を見誤るものか」
奈緒「ホントにそれでいいのかよ?死んだって、何にもならないんだぞ!」
ヤシャ「構わん!この命、この先のランドウ様の覇業を思えば惜しくはない‼」
艦長『各機、聞こえるか!?まだ離脱できんか!直にタイムリミットだ…。これ以上は離脱が間に合わなくなる!』
李衣菜「艦長…!?」
ヤシャ「フハハハ!無駄だ。もうネオゲッター2でも間に合わん!」
加蓮「まんまとしてやられたって訳?」
ヤシャ「ここまでは私の予定通り。だが、貴様らはこの手でなぶり殺してやるッ!」
奈緒「ははっ、戦士のプライドってか!」
ヤシャ「そうだ!貴様らの首級、地獄へ持っていく!それが私の、最大の栄誉となるのだ!」
加蓮「アンタの自己満足に、うら若き乙女を巻き込まないでよね!」
李衣菜「そっちは勝手に地獄に落ちるつもりかもしれないけど、私は地獄なんていくつもりないから!」
奈緒「いやいや、そういう問題じゃないだろ!」
李衣菜「どっちにしても、そっちの思い通りになんてやらせない!」
ヤシャ「ハハハッ!例え貴様らに倒されようとも、基地の爆発は阻止できん!どちらにせよランドウ様の勝ちだ‼」
李衣菜「!?」
ジャコウが天高く飛ぶ。
ヤシャ「せやッ!!」
李衣菜「ぐぅ~~!?」
ジャコウのドロップキックを、両腕をクロスさせて受け止める。
李衣菜「ッ…何て重い一撃…」
加蓮「ネオゲッターじゃ、正面からぶつかるだけで勝てるって相手でもないね。どうする?」
李衣菜「どうするって…」
加蓮「バカの相手何てしなくても、分離して全力で離脱すれば、アタシ達だけでも助かるかも」
奈緒「まぁ、そっちの方が連中の作戦を覆せて、悔しがらせる事くらいは出来るな」
李衣菜「ははっ、あの野獣のおじさんが悔しがるのは見てみたいかもね。だけど…」
シュワルツ「うらぁッ!!」
ジャック「Fire!!」
リンダ「はっ!」
ボブ「ぶっ潰してやらァ‼」
かな子「ニオンさん、左です!」
ニオン「はぁあッ‼」
李衣菜「みんなまだ諦めてない。私だけ逃げるなんてできないよ」
加蓮「…言うと思った」
李衣菜「両腕は使える?」
奈緒「衝撃で反応が鈍くなってるかもしれないけど、完全に壊れたわけじゃない」
李衣菜「そっか。だったら…!」 グッ
ネオゲッター1の足腰に、再度力を込める。
ヤシャ「来いッ!最後の戦いを、心行くまで楽しもうぞ!」
李衣菜「最後にする気はないって!私は生きる…!生きて、ロックアイドルとして成功してみせるッ‼」
奈緒(何の決意だよ…)
加蓮「……?待って」
奈緒「どうした?」
加蓮「いきなりレーダーに…。何か、降ってくる」
李衣菜「降ってくる?」
奈緒「上か!?」
爆発。衝撃。
巻き上がった土煙が、周囲一帯を包む。
ジャック「What's!?」
ヤシャ「何事だ!?」
奈緒「ランドウも混乱してる…?」
メリー「どう言うこと?ランドウの攻撃じゃない?」
李衣菜「落ちてきたの…、エネルギー反応がある…?」
かな子「この反応って、ゲッター線!?」
「━━ううっ…」
加蓮「この声って…」
シュワルツ「おいおい、冗談だろ?あの姿は…!」
「「「真ゲッターロボ!!?」」」
つづく
次回予告
早乙女研究所での戦いの後、ゲッターエンペラーによって時空の狭間に落とされた真ゲッターロボと卯月、凛、芳乃の3人。
彼女達が目覚めた場所は、廃墟と化した東京の街だった。
そこで、卯月が目の当たりする光景は、果たして、ゲッター線の進化が導く未来なのか?
そして、李衣菜達のいるアラスカへと姿を現した真ゲッターロボが見せる、その凄まじき力の一端とは━━!?
次回、ゲッターロボ×CG 第3部
第11話『神か悪魔か、真ゲッターロボ』に、チェンジゲッター!