ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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※注意※

今回の物語には、アイドルの激しいキャラ崩壊、及びアイドルの死亡を連想させる描写が含まれています。申し訳ございません。


第11話『神か悪魔か、真ゲッターロボ』

━━ 物語は少し前に遡る。

 

━━━━━

━━━

━。

 

~~~ ??? ~~~

 

卯月「━━…痛たたた…」

凛 「うぅっ…」

卯月「凛ちゃん?大丈夫ですか?」

凛 「……」

卯月「凛ちゃん!」

芳乃「気絶しているだけのようでしてー。見たところー、外傷は見当たらずー」

卯月「…そうですか…」

芳乃「墜落の衝撃が原因でしょー。直に目を覚ますものとー。今は現状の確認と致しましょー」

卯月「……ここは…」

 

倒れた真ゲッター1を起こす。

 

芳乃「ふむー…。廃墟、のようですねー」

卯月「酷い…。ここで一体何が…」

芳乃「…戦闘ではないかとー」

卯月「え…?━━っ!?」

 

真ゲッター1の足元に、マシンの残骸が散乱している。

 

卯月「これって、ゲッター!?」

芳乃「外へは出ない方が身のためとー。大気中のゲッター線量がー、規定の値を大きく越えていましてー」

卯月「…ここで、激しい戦闘があったんですか…?」

芳乃「恐らくですがー、地球全体が高濃度のゲッター線で汚染されてしまっているのかとー」

卯月「どうしてそんなことに…」

芳乃「ご安心をー、卯月さんー。恐らくここは、芳乃達が元いた世界とは異なる世界でしてー」

卯月「異なる世界…?…どう言うことですか?」

芳乃「遥か未来からの刺客との戦いの後ー、わたくし達はー、ゲッターエンペラーの力によりー、元いた世界とは別のー、異なる地球に送られてしまったのですー」

卯月「異なる地球…?よく分からないんですけど、テレビとかでよくやってるパラレルワールド、って言うのですか?」

芳乃「そう言った認識で間違いありませんー。芳乃達の世界であればー、性急にここまでゲッター線が世界を汚染したりはしないはずー。ここまで高濃度のゲッター線が地球を汚染するにはー、遥か長き時を要するのでしてー」

卯月「ゲッター線に汚染された、未来の地球に来ちゃったってことですか?」

芳乃「はいー。ゲッターエンペラーの導きによりましてー」

卯月「ゲッターエンペラー…。未来の宇宙で見た、スゴくおっきなゲッターロボ…」

芳乃「エンペラーの力ならばー、時間と空間を超越しー、わたくし達を異なる世界へ送り込むことも出来ましょー」

卯月「どうしてそんな事を?ゲッターエンペラーは、一体何を見せるつもりで、私達をこんなところに…?」

芳乃「真実の一端をー。その一部を垣間見せる為にー」

卯月「真実の一端…。それは…」

芳乃「…来ましてー」

卯月「っ━━!?」

 

咄嗟に真ゲッター1を後ろへ下げた。真ゲッター1の目の前を、ワイヤーで繋がれた鉄球が横切る。

 

卯月「これは…!」

「ちっ…!外したか…」

卯月「げ、ゲッターロボ…!?どうして…!」

 

ゲッターポセイドンによく似たゲッターロボが、真ゲッター1の前に立ちはだかる。

 

「へへっ、久しぶりの上物だぜぇ。コイツのパーツを使えば、今より体を強化できる!」

卯月「っ…!?嘘、だよね…?その声…未央ちゃん!?」

ミオ?「ミオ~?そんな名前知らねぇな!それより、テメェのパーツとエネルギー、全部置いていきな‼」 ボシュッ

 

右腕を突き出し、棘付き鉄球が繋がったワイヤーアームを跳ばす。

 

卯月「ッ!?」

 

ワイヤーアームが胸部に直撃し、後ろの廃ビルへと叩き付けられる。

 

卯月「うぅっ…!ど、どうして…」

芳乃「しっかりするのでしてー、卯月さんー。アレはー、わたくし達の知る未央さんではありませんー。同じ声音を持つだけのー、別の存在でしてー」

卯月「でも、それでも未央ちゃんです!」

ミオ?「何だ?反撃しないのか?完全体と警戒していたが…」

 

シュルッ

 

卯月「ぐっ…!?」

 

真ゲッター1の首に、ワイヤーが巻き付く。

 

ミオ?「戦う覚悟のない奴はァ~‼」

 

片腕を頭上に上げて回し、真ゲッター1を振り回す。

 

ミオ?「とっととくたばりやがれぇ~‼」

 

瓦礫の山へ、真ゲッター1を叩き付ける。

 

卯月「うぅ…ッ!」

芳乃「卯月さん…!このままではー、皆危険でしてー…!」

卯月「でも…!」

ミオ?「ハハッ!完全体だから、もうちょいやると思ったが、ウォーミングアップにもならん」

ミオ?「さぁ、お前の体とエネルギーを寄越せ!それで私はもっと強くなるんだ!」

卯月「強くなる…?どうして…!どうしちゃったの!?未央ちゃん!」

ミオ?「ッッ‼あぁ!鬱陶しいなァ‼その名前で呼ばれると、頭がムカムカしてくる!」  

 

ガンッ

 

卯月「あ゛ぁっ…!」

ミオ?「お前鬱陶しいからさァ、さっさと死んでくんない?お前の命は、私が貰ってあげるからさぁ…」

芳乃「卯月さん…!立って下さいー…。このままではー、卯月さんだけでなくー、凛さんまでもがー…!」

卯月「っ…!?」

ミオ?「とっとと…くたばれェッ‼」

卯月「っ…未央ちゃん…!」 ジャキッ

 

トドメを刺すため、アームハンマーを振り上げたポセイドン似のゲッターに、ゲッターレザーを構えた真ゲッター1は、高速で背後へと回り込む。

 

ミオ?「な…速…ッ!?」

卯月「ごめんなさい…!」

 

ゲッターレザーの閃を描き、ポセイドン似を切り刻む。

 

ミオ?「ぐぁッ!」

 

倒れ伏すポセイドン似のゲッター。

 

卯月「未央ちゃん!すぐにコックピットから出してあげますね!」

芳乃「……。卯月さんー、よく見てくださいー」

卯月「えっ?」

 

コックピットハッチをこじ開ける。

 

卯月「━━!これって、嘘…」

芳乃「既にー、”人”ではないのでしてー…」

卯月「機械に…、ゲッターに取り込まれてるんですか…?」

 

ミオ?「……めろ……」

卯月「?」

ミオ?「や…め、ろ……。離…すな…。私を…ゲッターから離すな……ゲッターから…離すな……」

卯月「み…未央、ちゃん…?」

ミオ?「ゲッターから…離s…━━」

 

ゴシャァアッ

 

卯月「!?」

「へへっ!やりぃ!久しぶりの獲物だぜ~!」

 

何処から現れた、ネオゲッターによく似たゲッターが、ソードトマホークのような剣で、コックピットブロックを破壊した。

 

卯月「あ…あぁ…!」

「ん?あんたは完全体だから、こんなガラクタいらないでしょ?だからコイツは、アタシが頂き~♪」

卯月「…り、李衣菜ちゃん…?」

リーナ?「?…リーナって誰の事?何か懐かしい感じがするけど。ま、どうでもいいか」

卯月「……」

リーナ?「あ、安心して?アタシはこのバカとは違って、自分より強い奴には喧嘩売らない主義だから」

 

嬉々とした様子で、ゲッターを解体していく。

 

リーナ?「へへっ、上等上等。これは使えるね」

卯月「そのパーツを使って、何をするんですか?」

リーナ?「何って、そんなの、強くなるために決まってるじゃん」

卯月「強くなる…?」

芳乃「強くなるとはー、即ちー、進化すると言う事ー」

卯月「進化…。戦うだけが、進化の方法じゃないはずです!」

芳乃「然りー。ですがー、この世界ではー…」

リーナ?「あんた、この星の奴じゃないね。どっから来たの?」

卯月「え…」

リーナ?「戦いなんて、この星じゃ日常さ。ほら、見てご覧よ」

 

促された方向、遥か先では、ゲッター同士が激しい戦いを繰り広げていた。

 

卯月「そんな…!どうして…」

リーナ?「生き残るためさ」

卯月「生き残るため?」

リーナ?「今度は上を見てみて」

卯月「上、ですか?」

 

見上げる。空には、分厚い暗雲が立ち込めている。

 

リーナ?「雲に見えるけど、ただの雲じゃない。ゲッターエネルギーの塊なんだ」

卯月「あ…、ゲッターが…」

 

無数のゲッターが、暗雲に向かって突撃していき、その度に暗雲から放たれる雷に破壊されていく。

 

リーナ?「あっははっ!バカだねぇ。パワーが足りないんだ。あんな貧弱な体で無茶したって、どうにもならないのに」

卯月「あのゲッター達は、何でそんな無茶をするんですか?」

リーナ?「この星から出るんだ」

卯月「この星…地球からですか?」

リーナ?「そう。アタシ達は、生まれてからこの星に閉じ込められてる。でもアタシ達の生まれたこの星は、ゲッター線に汚染されて、とてもじゃないけど暮らせない」

リーナ?「こうして機械の体にならなくちゃ、まともに生きていけないくらいにね」

卯月「李衣菜ちゃん…」

リーナ?「……。だけど、強くなって、あの雲を抜けられれば自由になれる。広大な宇宙には、こことは比べ物にならないくらい満ち足りた、極楽の星だってあるはずさ!」

芳乃「そなたらはー、そこへ行くためにー?」

リーナ?「そう!こんな辛気くさいところさっさと出ていって、自由になるんだ!その為に、今はパワーを集める。アイツを越える!」

卯月「アイツ、ですか…?」

リーナ?「フフッ、この星の守護神様だよ」

卯月「守護神…?それって…」

リーナ?「聖獣、ドラゴン…!」

卯月「聖獣…ドラゴン?」

リーナ?「気になるなら行ってみるといいよ。あんたならきっとあそこまで辿り着けるはず。と言うより、早くここを離れないと…」

卯月「っ!?」

 

ザザッ

 

ゲッターもどき「けけっ!見ろよ、完全体のゲッターだ!」

ゲッターもどき2「スゲェ…。あの腕一本でもありゃあ、かなりパワーアップできるぜ!」

ゲッターもどき3「手強い相手かも知れねぇが、ここにいる連中が束んなりゃァ…!」

ゲッターもどき4「おいおい、協力しろってんなら、分け前は弾んでもらうぜ?」

 

リーナ?「ほら、ハイエナが湧いて出てきた」

卯月「この人達は…!」

リーナ?「少なくとも、ここじゃあんたは体中にブランドもの付けて、見せびらかして歩いてるようなもんだ。要するに、目立ってんだよ!」

リーナ?「面倒だから、とっととこの星から出て行きな!自由になれる力なら、もう持ってる筈だ」

卯月「貴女はどうするんですか?」

リーナ?「どうするもこうするも、ここで生きてるなら、やることは決まってるって!」 ジャキッ

卯月「李衣菜ちゃん!」

リーナ?「義理でも何でもない、獲物を狩るだけ。あんたはさっさと行きな。アイツがいるのは、この暗雲を越えた向こうだ」

卯月「でも…」

リーナ?「どんな温室で育ったかは知らないけど、情けは足元掬われるだけだよ?自慢のその体を傷つけられる前に、さっさと行きなッ‼」

 

ネオゲッター似が、ゲッターもどきに立ちはだかる。

 

ゲッターもどき2「アァ!?んだテメェ!雑魚に様はねぇんだよ‼」

リーナ?「同じ雑魚に言われたくはないなぁ」

ゲッターもどき2「んだとぉ!?」

ゲッターもどき「落ち着け。数じゃこっちが上。下手な挑発に乗って、こっちの有利を手放すな」

 

芳乃「卯月さんー、今のうちでしてー」

卯月「……」

芳乃「芳乃達がこの世界の事情に干渉するのはー、あまり良き事とは思えませんー。この雲の向こうにいると言うー、守護神が元の世界に帰る手掛かりであるとすればー、早急に行ってみるのが得策かとー」

卯月「……ゲッターバトルウィングッ‼」

 

ズワッ

 

真ゲッター1、飛翔。

 

ゲッターもどき3「あっ!待ちやがれ‼」

リーナ?「おっと!」

ゲッターもどき3「ギャアッ‼」

ゲッターもどき4「テメェ…!」

リーナ?「あんたらの相手はアタシだって。どっからでも掛かってきな!雑魚共‼━━」

 

━━。

 

━━ 暗雲内。

 

卯月「……」

芳乃「卯月さんー、顔を上げてくださいー」

卯月「これが、ゲッターが導く未来なんですか?」

芳乃「それはー…」

卯月「私達の未来が、ゲッターの戦いの先が、この破滅の未来なら、私は…!」

芳乃「この未来がー、破滅と決まったわけではありませんー」

卯月「でも!」

芳乃「卯月さんもー、感じたのでしょー?はじめてゲッターに乗った時ー、真ゲッターロボを動かした時ー。ゲッター線が導くー、無限の可能性をー」

卯月「それは…」

芳乃「ならばー、ゲッターを信じましょー?少なくともわたくし達はー、わたくし達の愛するもの達のためだけにでもー、戦い続けなくてはならないのでしてー」

卯月「芳乃ちゃん…」

 

ピピッ ピピッ ピピッ

 

卯月「━━…!?何かが近付いてくる…?速い…これって、もしかして…!」

 

ガンッ

 

卯月「きゃあっ!」

「フフフ…。遂に来た。やっと、ワタシに匹敵する強い奴が!」

芳乃「この声はー…」

卯月「凛…ちゃん……!」

 

ゲッターライガーによく似たゲッターが、やや上空から真ゲッター1を見下ろしている。

 

リン?「ここまで来れるって事は、あんた相当やるね。ほら、見てご覧よ」

卯月「…?」

リン?「ゲッター線の雷が回廊になってるでしょ?相応の実力を持った者なら、ゲッター線はそいつを撃たず、この先へ導く回廊になる。あんたは認められたのさ。ゲッター、聖ドラゴンにね」

卯月「やめてください、貴女とは戦いたくありません」

リン?「ハッ!そんな綺麗事が通じるとでも?弱肉強食は世界の摂理!戦って勝利したものにこそ、幸福と喜びが約束される‼」

 

ゲッターライガー似のゲッターが、ドリルアームを唸らせ、真ゲッター1の表装を削る。

 

卯月「うっ…!」

リン?「あまちゃんでもここを通ることを許されたんだ!ワタシがあんたを倒して、その力を手に入れれば、ワタシはもっともっと強くなれるッ!アイツを越えられる!」

 

ギャルンッ

 

リン?「ゲッター聖ドラゴンを‼」

 

目にも止まらぬ速さで、真ゲッター1の周囲を飛び交い、すれ違い様にドリルアームで真ゲッター1を傷付けていく。

 

卯月「くっ…!」

芳乃「卯月さんー?」

卯月「ッ…ゲッタートマホーク‼」

 

ゲッタートマホークを抜き打つ。

 

リン?「はンッ!そんなモンが当たるわけ…」

卯月「ッ‼」

 

ヒュンッ

 

ゲッターライガー似に追い付く。

 

リン?「バカな…!ワタシより速い奴なんているわけ…!」

卯月「やぁッ‼」

 

ズアッ

 

リン?「グッ…!」

 

身を翻したものの、ゲッターライガー似の右腕を切断。

 

卯月「たぁッ‼」

 

トマホークを突き立て、衝撃波でゲッターライガー似を木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

ベチャリ

 

卯月「っ…!━━…凛、ちゃん…!」

 

真ゲッター1の眼前、真ゲッター1のコックピットのスクリーン上に、リン?の上半身が張り付いている。

 

リン?「な…ん、で…」

卯月「っ…!」

 

半身の断面は、機械のチューブやノズルが覗いていた。

 

リン?「何、で……あんたなの…?何故、ワタシじゃない…!」

 

凛 「━━う…、ん…?」

 

ズルッ

 

リン?「━━!」

凛 「ひっ…!?」

 

ずり落ちて、落下していく自分と目が合った気がした。

 

凛 「な、何…?今のは…」

卯月「何でもありません」

凛 「卯月…?どうしたの?」

卯月「何でもありません…。何でも、ないんです」

凛 「…?」

芳乃「早く参りましょー。この雷の回廊がー、芳乃達を導く先へー」

凛 「雷の回廊?そもそも、ここは一体…」

芳乃「最早ここが何処かを考える意味はないでしょー。後はここから去るのみー」

凛 「…分かった。とりあえず、この先に行けばいいんだね?行こう、卯月」

卯月「…はいっ」

 

━━。

 

芳乃「……」

凛 「……」

卯月「……」

 

凛 「━━…見て、雲の切れ間が…!」

卯月「雲の向こう…何かある…?」

芳乃「……」

凛 「この反応…。スゴく大きい、建造物に思えるけど…」

卯月「これって…!巨大な…!」

凛 「ゲッターロボ…なの!?」

芳乃「……。然りー、これこそがこの地球を守護する者ー…」

 

「「ゲッター(セイント)ドラゴン‼」」

 

ズズズ…

 

凛 「な…何なのコイツ…!無数のゲッターの、集合体!?」

芳乃「今はまだー、進化の途上にある為ー、そのように見えるのでしてー」

凛 「進化の途上…?」

卯月「何が起こってるって言うんですか…!?」

 

『島村卯月』

 

卯月「!?…は、はいっ」

凛 「聖ドラゴンの声…」

(ゲッターの進化の行く末…。私は見てみたい…━━)

凛 「!?」

 

聖ドラゴン『━━君達にはすまない事をした』

卯月「…どう言うことですか?」

聖ドラゴン『君達を巻き込むつもりはなかったのだ。しかし、ありとあらゆる世界を”ヤツ”から守るには、こうするより他に方法はなかった』

凛 「ありとあらゆる世界…」

卯月「ヤツって、それは誰の事なんですか!?」

聖ドラゴン『全ての世界を、世界を創造せし神すらも超越する存在‼』

卯月「神すらも超越する、存在…?」

聖ドラゴン『そう。それは最早、神や悪魔、人などと、あらゆる生命の存在の定義を超えた、虚無の向こう側を支配する存在』

卯月「虚無の向こう側…。そんなのと戦うために、貴方達は進化を繰り返してるんですか!?」

聖ドラゴン『そうだ』

凛 「でも、そんなのと戦うって、どうやって…」

聖ドラゴン『それは、進化の果てに辿り着いた者のみが知るモノ。お前達はまだ、その進化の突端に触れたにすぎない』

卯月「!?」

 

ズアァァ…

 

真ゲッター1の背後に、時空の扉が開く。

 

聖ドラゴン『さぁ、私の話は終わりだ。君達の世界に帰るのだ』

卯月「待ってください!アナタは…!」

聖ドラゴン『いずれ全て分かる。そして知るのだ。その力の意味と、己の存在の意味を』

卯月「待って…!」

凛 「ダメだ卯月…!また、吸い込まれる…!」

聖ドラゴン『往け‼君達の世界に、新たな脅威が迫っている』

凛 「新たな脅威…?」

聖ドラゴン『君達の世界は君達の自身の力で守るのだ。でなければ、この先の答えも、知ることは許されない』

卯月「うっ━━!」

 

時空の扉の奥へ落ちていく。

 

卯月「待って…!待ってください!アナタは━━!」

凛 「あぁっ…!」

 

聖ドラゴン『また逢おう。その時は、必ず来る━━』

 

卯月「待ってください…!な、がれ…」

 

「流竜馬ぁぁぁあああ~~~!!!」

 

━━━

━━━━━。

 

~~~ アラスカ大陸 ~~~

 

卯月「━━うぅっ…!こ、ここは…?」

 

「卯月!それに乗ってるのは卯月なんでしょ!?返事してよ!」

 

卯月「!?…りいな、ちゃん…?」

李衣菜「やっぱり卯月だ。よかった…、無事だったんだね!」

卯月「李衣菜ちゃん!」

李衣菜「?どうしたの?そう何度も呼ばなくても…」

奈緒「もしかして落下のショックで頭でも打ったんじゃないか?」

凛 「奈緒…、加蓮もいるの?」

加蓮「勿論。一応、3人揃ってネオゲッターチームですから」

芳乃「卯月さんー?凛さんもー。地形からの情報で現在位置が把握できましてー。わたくし達はどうやらー、アラスカに来てしまったようですー」

卯月「アラスカ!?アラスカって、あのアラスカですか!?」

凛 「卯月…、それじゃあ、どこのアラスカの話をしているのか分かんないよ」

李衣菜「芳乃の言うとおり、ここは北米大陸アラスカだよ」

奈緒「だから、早乙女研究所で消えた凛達が、何でいきなりアラスカに飛んできたんだ?」

凛 「それは…、分かんないよ」

奈緒「分かんないって、何だそりゃ?」

卯月「これも、ゲッターの導きなんですか?芳乃ちゃん」

凛 「卯月…?」

芳乃「……」

 

シュワルツ「テメェら!戦闘中だ‼何時までお喋りしてやがる!?」

ジャック「基地の核爆発まで、もう猶予はないネ!」

ボブ「再開の喜びを分かち合う前に、このままじゃ一緒にお陀仏だ!」

 

卯月「!?…どういう状況なんですか…!?」

凛 「核爆発とか、穏やかじゃないね…」

加蓮「……。分かりやすく、簡潔に話すよ?折角のとこ悪いけど、このままじゃあアタシも凛も核爆発に巻き込まれてみんな仲良く蒸発しちゃうって」

凛 「成る程、分かりやすいね」

奈緒「しかも500ギガトン級…アラスカ大陸の半分は消し飛ばしちまうってさ」

卯月「そんな兵器が…」

 

ドンッ

 

卯月「うっ…!?」

李衣菜「ヤシャ!」

ヤシャ「フッハッハッハッ‼真ゲッターロボ‼貴様らの出現は予想外だったが、貴様を倒せばランドウ様の憂いを排除することができる!」

卯月「ら…ランドウ…!?」

李衣菜「コイツらの親玉だよ!」

凛 「成る程ね…。状況が見えてきた。あんたら、恐竜帝国や百鬼帝国と同じって訳」

加蓮「ただし、今回の首謀者は同じ人間だけど」

芳乃「…人の業とはー、いつの世も変わらぬものでしてー…」

卯月「誰かの平和を踏みにじって…!それが平気な人なら、許してなんておけませんッ!」

ヤシャ「…!?ぬぉ…!」

卯月「ゲッターレザー!」

 

取り付いたジャコウを強引に切り離し、ゲッターレザーで切り払う。

 

ヤシャ「このジャコウを振り払うパワー…!流石の力だ真ゲッターロボ!」

凛 「コイツ、戦闘狂い…?」

芳乃「周囲にいる敵対反応らしき存在のでーたを集めましたー。おそらくー、かの者が隊長である者とー」

凛 「コイツの相手をしてても仕方ない。卯月!」

卯月「大丈夫です!真ゲッターの力なら…!」

芳乃「然りー。真ゲッターならばー、人の生み出せし悪魔の炎を止めることができましょー」

ヤシャ「やらせると思っているのか?」

李衣菜「それはこっちの台詞だぁ‼」

ヤシャ「ぬっ!?」

 

ソードトマホークを両手に構えたネオゲッター1が、ジャコウと真ゲッター1の間に割って入る。

 

ヤシャ「貴様…!」

李衣菜「ここは私に任せて、卯月は核を!」

卯月「李衣菜ちゃん…!」

奈緒「まさか、本気でそんなこと言う奴がいるとは思わなかったけどな」

加蓮「今この状況をなんとか出来るとしたら、真ゲッターのとんでもパワーに賭けるしかない」

李衣菜「私達には出来ないこと、卯月達に出来るんだから、行って!」

 

━━行きなッ‼

 

卯月「李衣菜ちゃん…!はいっ‼」

ヤシャ「雑魚がァ!邪魔をするなァ‼」

李衣菜「そういう台詞は、私を倒してから言え~‼」

奈緒「いや、倒したら言えないだろ」

李衣菜「おりゃあ~‼」

 

ネオゲッター1が、ジャコウに向かって、ソードトマホークを振り下ろす。

 

芳乃「卯月さんー、やるならば今こそー」

卯月「はいッ!」

凛 「でも、どうやって…」

芳乃「心配は無用ー。ゲッターを信じればこそー」

卯月「……」

 

リンダ「彼女達は何をする気?」

かな子「分かりません…」

鉄甲鬼「真ゲッターロボの力は、我々の常識を越えている」

リンダ「貴方達の造ったものでしょうに!」

ニオン「…少なくとも、真ゲッターロボの創造に関しては、恐竜帝国も百鬼帝国も関係ない」

鉄甲鬼「あぁ。それこそ、あの力が危険だからこそ、ブライ大帝も目覚めることを恐れていた」

かな子「2つの帝国との決戦…。それを超えた先の戦いを見据えて、早乙女博士も建造したわけですからね…」

メリー「2つの決戦を越えて…」

ジャック「それじゃあ、あの力が必要になるくらいの戦いが、これから待ち受けているとでも言うのカ?」

 

オォォォオオオ…

 

卯月「━━ゲッタァァー‼シャァイィンッ‼」

 

━━カッ

 

凛 「真ゲッターロボ、ゲッターエネルギー量が増大してる…」

卯月「……」

 

『ゲッターだ…。ゲッターの力を信じるんだ━━』

 

卯月(竜馬さん…)

 

卯月「━━いきますッ!」

ヤシャ「させるかッ!」

李衣菜「させるか!お返し!」

 

キィンッ

 

ヤシャ「ぬぅ…!私を阻めると思うなァ‼」

李衣菜「ぐぁ…!?」

 

強行突破を図るジャコウが、ネオゲッター1をショルダータックルで吹き飛ばす。

 

李衣菜「うあ゛…っ!」

奈緒「分かりやすいのに当たるなよな~!」

李衣菜「っ…!これも相手を油断させる作戦、ってね!」

 

倒れ込んだ姿勢でチェーンナックルを放ち、ジャコウの足首を掴む。

 

ヤシャ「おぉ…!?」

 

勢いを殺されて、転倒するジャコウ。

 

ヤシャ「おのれ…!そうまでして死に急ぐか!」

加蓮「勝手に決めつけないでよね。こっちは全力で、生き延びるためにアンタを止めてるんだから」

ヤシャ「何をするつもりかは知らんが、真ゲッターロボさえ止めれば良いのだ。━━メタルビースト部隊‼」

李衣菜「ッ!」

ヤシャ「望み通り、貴様らの相手はこの私だ‼」

李衣菜「へへっ、やっとやる気になった?望むところじゃん…!」

奈緒「強がってる場合か!メタルビーストが、真ゲッターのところに…!」

メタルビースト≪━━!!!≫

 

卯月「━━シャイン、スパァーークッ‼」

 

ズワッ

 

真ゲッター1が眩い光を放ち、迫り来るメタルビースト達をゲッター線の光が包み込む。

 

ジャック「Wow‼何て光ダ!」

加蓮「真ゲッターのシャインスパーク…!?ゲッタードラゴンの倍以上の出力…?」

ボブ「まるでモノホンの太陽が降りてきちまったみたいだぜ!」

 

卯月「このまま、基地の中へ!」

 

核発射基地へ、真ゲッター1が飛び込む。

 

シュワルツ「おいおい…。大丈夫かよ?」

ヤシャ「万策尽きての特攻か!」

李衣菜「そんなんじゃない!これは、生きるための作戦だ!」

 

卯月「━━500ギガトンの核…。その光を解き放たせるわけにはいきません!」

 

ズアァァァァア…

 

サム「何がどうなってやがる!?」

メリー「分からないわ!ゲッターのエネルギーが強すぎて…!」

リンダ「光が、全てを飲み込んでいる!?」

 

ズオォォォォオオオ…

 

ゲッター線の光が基地内部に拡散し、全てを包み、飲み込んでいく。

 

凛 「これは…!意識が薄れて…、心まで、光の中に…!」

芳乃「心を強く持つのでしてー。このあまねく光の中に於いてもー、確たる個の存在を意識し続けなくてはー、光と共にー」

 

(━━知りたい…。ゲッターの行く先…その果てにあるものを━━!)

 

凛 (違う!私は…!)

 

卯月「うあぁぁぁああ━━‼」

 

真ゲッター1の輪郭さえ不鮮明になるほどの眩い光が基地を越え、アラスカ大陸を照らし、やがて収束した。

 

━━。

 

艦長「━━…むぅ」

副長「光が収まったようです」

艦長「速やかに状況の確認を」

オペレーター「か、艦長…!大変です!」

艦長「何が起こった!」

オペレーター「施設の核兵器が、跡形もなく消滅しています!」

艦長「何だと!?」

オペレーター「いえ、核兵器だけではありません!基地の地下施設がまるごと消滅し、モニター上では巨大な空洞になっています!」

副長「あれほどの核を、爆発させずに処理したのか?」

艦長「…周囲のゲッター線の濃度は?」

オペレーター「……正常値と変化ありません」

艦長「バカな…。あれだけのゲッター線の放出があったばかりなんだぞ?」

オペレーター「計器は正常…。真ゲッターが、全て収めてしまったと思うより他ありません」

艦長「まさしく、デウス・エクス・マキナと言ったところか…」

副長「人の生み出した悪魔の兵器を越える、ですか…」

艦長「……うむ…。日本の科学者、ドクター早乙女の生み出したあの力、果たして人類を救う神の使者なのか…」

副長「或いは、悪魔を超える悪魔か、ですな」

 

 

シュワルツ「何てこった…。核を、喰っちまった…!」

ジャック「Jesus…!」

李衣菜「コレが、真ゲッターロボの力…」

奈緒「間近で見るのは二度目だけど、いつ見てもトンデモだよな…」

ボブ「おいおい…、日本は何てモンを造りやがったんだぁ?」

ヤシャ「おのれぇ…!真ゲッターロボめぇ…!」

 

凛 「うぅっ…!終わったの…?」

卯月「はい。コレでもう二度と、ここで核を使われることはありません」

凛 「…!?エネルギーが臨界を越えてる…」

芳乃「一度に膨大な核のえねるぎーを吸収しました故ー、えねるぎーを真ゲッターでも抑えきれなくなっていましてー」

凛 「吸収したの?…うぅん、今はそうじゃないね。卯月、少しでもエネルギーを出さないと!」

卯月「分かりました!行きますっ!」

 

卯月「━━ゲッターバトルウィング‼」

 

バサッ

 

核施設のあった場所から、真ゲッター1が飛び立つ。

 

リンダ「まだ何かするつもりなの?」

卯月「周りにいる、李衣菜ちゃん達を攻撃してた相手を倒します!」

凛 「奈緒達の無線では、メタルビーストって言ってたみたいだけど…」

卯月「それが何であっても、たくさんの人達の笑顔を奪うなら!」

芳乃「めたるびーすとを捕捉しましてー」

卯月「ありがとうございます、芳乃ちゃん。これを…!」

 

地表に目掛け広げた両腕に、ゲッターエネルギーが収束されていく。

 

凛 「奈緒!…と、味方のロボットはみんな下がって!」

奈緒「お、おう分かった!李衣菜!」

李衣菜「うん!ジャックもシュワルツも、今は下がって‼」

ジャック「OK!!核の脅威が去ったなら、こんなところからはとっととおさらばネ!」

シュワルツ「ったく、今度は何しようってんだ!」

 

キュオ…ッ

 

卯月「━━スプリットビームッ‼」

 

ズワッ

 

真ゲッター1の左右の腕から無数のビームが雨のように地上に降り注ぐ。

 

ヤシャ「おぉぉぉッ!?」

 

スプリットビームが空を裂き、大地を穿ち、全てをビームの中に飲み込んで、メタルビーストを破壊していく。

 

ボブ「━━…もう全部アイツ一人でいいんじゃないかな」

サム「俺達のロボ・ストーンの開発にかけた苦労は何だったんだ?ったくよ…」

リンダ「ならマシンを降りる?そうすると何の取り柄もないおデブさんが残るだけだけど」

ボブ「ホント、キツいこと言ってくれるぜ…」

 

ヤシャ「ぐぅ…ッ!何と言う威力…。コレが、ランドウ様の恐れていた真ゲッターロボの能力!」

 

全身の装甲が砕け、表装は黒く煤け、大破したジャコウが立ち上がる先は、全てが吹き飛ばされた焦土の大地。

 

李衣菜「どーだ!コレで残るはアンタだけだけど、まだ何かする?」

シュワルツ「…お前が威張ることじゃねぇだろ」

奈緒「全くだよ」

加蓮「虎の威を借る何とやら…。一緒に組んでて恥ずかしいよね、ホント」

李衣菜「ちょっとみんな、ボコスカ言い過ぎじゃない?」

ヤシャ「まさか真ゲッターロボが現れるとはな…。これは予想外の事態だ」

サム「何だよ、負け惜しみかァ?」

ヤシャ「そう言われても仕方ない。私が仕立てたこの状況、こうも容易く覆されるとは!」

シュワルツ「ハッ!大した策士だぜ。もう覚悟は出来てンだろ?この状況で逃げ切れるなんざ思っちゃいねぇだろうな?」

ヤシャ「……!」

李衣菜「…帰りなよ」

ヤシャ「…何…?」

加蓮「リーナ?」

ジャック「What's!?正気カ?リーナ!」

李衣菜「そりゃあ、数ならこっちが勝ってるし、最大のチャンスなのかもしれないけど、今回は結構ハードな戦いだったじゃん?」

李衣菜「みんな機体にもダメージが溜まってるだろうし、それにほら、あれだって。追い詰められたキツネはジャッカルより凶暴とか何とか…」

ボブ「何だァそりゃ?」

ジャック「それを言うなら、窮鼠猫を噛む、じゃないデスか?」

李衣菜「あれ?そうだっけ?」

ヤシャ「だから私に情けをかけると言うのか?」

李衣菜「情けって言うんじゃないよ。ここで犠牲を出して、勝つのは簡単。だけど、今はその犠牲も無駄にしたくないから、出来ることなら退いてくれないかな、ってそういうお願い」

ヤシャ「……」

奈緒「とか何とか言って…、ホントは休みたいだけなんじゃないのか~?」

李衣菜「う゛っ…。そ、そんな事…ないよ?」

加蓮「そうそう。休みたいなら休みたいって、素直に言えばいいのに。アタシもそれは賛成だから」

奈緒「おいッ!」

ヤシャ「クックックッ…。フハハハハハッ‼」

李衣菜「な、何…?」

ヤシャ「小娘、貴様の名を聞いておこう」

李衣菜「え…?名前…?李衣菜だけど…うぅん」

ヤシャ「?」

李衣菜「日本を代表するロック・アイドル!多田李衣菜!ヨロシクぅ‼」

ヤシャ「……」

シュワルツ「ハァ…」

奈緒「お前なぁ…」

加蓮「ふふっ、いいんじゃない?リーナっぽくて」

ヤシャ「アイドル…リーナ、か。覚えたぞその名、その存在!」

ヤシャ「アイドルと名乗る貴様が、この私と対等に語ろうとは、実に愉快ッ。ランドウ様に仕える武人として、次こそは必ず、貴様の首を取るッ‼」 バッ

 

━━。

 

李衣菜「望むところだぁ~!正面からの正々堂々の勝負なら、何時でも受けて立つよ!」

加蓮「━━と、ウチのリーダーが勝手に決めちゃったんだけど、みんな良かったの?」

ボブ「…まぁ、いいんじゃねぇか?」

サム「核がどうとかで、正直気疲れしちまったしよ。冷や汗で少し痩せたんじゃねぇか?」

かな子「ほ、ホントですか!?」

鉄甲鬼「諦めろ。連中はお前より、すぐ燃焼できる脂肪分を備えていただけだ」

かな子「……」 グスン

ニオン「泣くことはないだろう」

リンダ「それにしても、戦争なんて失うものばかりだと思っていたけど、得るものもあるのね」

メリー「どういう意味?」

リンダ「ウフフフ。こんな殺伐としたアラスカ大陸に、可愛らしい子猫ちゃんが、あんなに」 チラッ

 

凛 「…っ」 ブルッ

卯月「な、何ですか?」

芳乃「何やらー、悪寒のようなものがー」

 

ニオン「……。あまりは妙な気は起こすなよ」

リンダ「ヤン。怖い」

ボブ「一先ずはコレで終わりかぁ~」 ウ-ン

サム「早く帰ろうぜ。カロリー使って腹減っちまった…」

ジャック「そうだネ。一旦テキサスに戻りまショウ。ミー達も、状況の整理が必要ネ」

李衣菜「うん。そうだね━━」

 

~~~ 戦艦テキサス 格納庫 ~~~

 

凛 「━━ふぅん。こっちでは、私達がいなくなってから、もう1ヶ月も経ってるんだ」

加蓮「そ。おまけに新しい敵まで出てきて、もう何が何だか」

凛 「ここが日本じゃないってことには驚いたけど、まさか加蓮達が、アイドルの仕事擲ってまで戦ってくれるなんてね」

加蓮「んー。色々あってね」

凛 「大体の状況は分かってきたけど、なら尚更、日本の状況が気になるかな。晶葉とは連絡つかないの?」

加蓮「どうだろ?早乙女研究所とか、晶葉本人の携帯とかには連絡できると思うけど。…長距離通信は向こうに傍受されるかもしれないからって、艦長達が許すかどうか」

凛 「別に、重要なことを話し合う訳じゃないから。私から艦長達に直接相談してみるしかないかな」

奈緒「……」

凛 「ん?奈緒、どうかした?」

奈緒「いや、落ち着いてるなってさ」

凛 「? あぁ、私は、もう真ゲッターの力で、未来の宇宙まで行ってるからね。寧ろ知ってる時間の、知ってる世界に帰ってこれて安心してるくらいだよ」

奈緒「本当なのか?未来の宇宙とか、もうSFの世界の話だな…」

凛 「間違いないと思うよ。私はそこで、進化したゲッターの果てを見た気がするから」

加蓮「進化したゲッター?それって何なの?」

凛 「…知らない方がいい」

奈緒「はぁ?何だよ、それ」

凛 「……」

凛 (ゲッターの進化…ゲッターエンペラー。そして、聖獣ドラゴン…)

凛 「もうひとつの宇宙…」

 

━━!

 

凛 「…っ!」

加蓮「どうしたの?」

奈緒「きっと疲れたんだろ。今日は色んな事がありすぎた」

凛 「そうかも。少しゆっくりして、落ち着きたいな」

奈緒「あぁ。艦長達が部屋を用意してくれてるって。卯月と芳乃も、同じ相部屋だけど。案内してやるよ」

凛 「ここには慣れてるんだね」

奈緒「ま、何だかんだで新しい家みたいになっちまったからな。落ち着いたら、艦内も見て歩こうな」

凛 「うん…」

加蓮「それは分かったけど~。……」 ジー…

凛 「な、何…」

加蓮「凛にとってはさ、昨日の今日だったかもしれないけど、アタシ達にとっては、ね~?」

奈緒「…そうだなぁ」

凛 「うっ…。あ、その…心配させて、ごめん」

加蓮「よろしい。後で食堂のメニュー奢りね」

凛 「え…。ドルは持ってないんだけど…」

奈緒「ドル以前に、着替えも何も持ってないだろ?」

凛 「う…うん…」

奈緒「はぁ~、やれやれ。一から面倒見なきゃダメみたいだな?」

凛 「うん…。ごめん…」

奈緒「いや、いいんだって。冗談だよ。こっちは帰ってきてくれて、嬉しいんだからさ」

凛 「奈緒…?」

加蓮「そうだよ~。ず~っと、心配してたんだから。生きてたって報告が、今は一番嬉しい」

凛 「ちょっと、加蓮まで…」

加蓮「おかえり、凛」

奈緒「ここで言うのも間違ってる気がするけどな。おかえり」

凛 「…た、ただいま」

 

李衣菜「……へへっ」

卯月「行かなくていいんですか?」

李衣菜「えっ?あぁ、今は。再会は水入らずってね」

卯月「優しいんですね」

李衣菜「えへへ…。そっちこそ、早く連絡したい人がいるんじゃないの?」

卯月「そうですね。美穂ちゃん、響子ちゃん、智絵理ちゃん。それに、プロデューサーも…。色んな人に迷惑かけちゃいましたから」

李衣菜「なら…」

卯月「でも、もう少しの辛抱です!日本じゃなくて、ここに来たってことは、ここでやるべき事があるはずですから!それが終わってから、ちゃんとみんなに挨拶させてもらいます」

李衣菜「そっか」

卯月「はいっ!島村卯月、もう一頑張りですっ‼」

李衣菜「あははっ。卯月が帰ってきたって感じがするよ~。……あ」

 

シュワルツ「……」

 

李衣菜「シュワルツ…」

卯月「あ、あのっ…!はじめまして!私は…」

シュワルツ「真ゲッターのパイロットだな?」

卯月「…はい」

シュワルツ「テメェ、自分の持った力の意味を分かってるのか?」

卯月「力の意味…」

シュワルツ「日本は核を越えるゲッターを造っちまった。今まで散々非核だなんだと世界で騒いでおきながら、な。だから日本人は好きになれねぇ」

李衣菜「行きなり出てきて何を…!」

卯月「いいんです。李衣菜ちゃん」

李衣菜「卯月…」

卯月「シュワルツさん…で、いいですか?確かに、真ゲッターの力は、私達には過ぎたものかもしれません」

卯月「だけど、今この時にその力が生まれたことには、何か意味があると思うんです」

シュワルツ「ほう…。あくまでアイツを捨てる気はねぇってか?」

卯月「はい。真ゲッターじゃなきゃ、出来ないことがある。真ゲッターの力で、切り開くことができる未来があるはずなんです!」

卯月「…あんな未来じゃなくて…!」

李衣菜(あんな未来…?)

シュワルツ「その結果、戦い続けることになってもか?」

卯月「はいっ!私は、今を生きます。明日に繋がる今日を守るために、ゲッターの力はあるんです‼」

 

シュワルツ「……」

卯月「……」

 

李衣菜「えーっと、2人共?」

シュワルツ「…意思は固ぇってかよ」

卯月「はいっ!」

シュワルツ「なら、テメェが真ゲッターを守るんだ。小娘だろうが、アイドルだろうが関係ねぇ。テメェの力で、真ゲッターの力を守れよ。いいな」

卯月「はいっ‼」

シュワルツ「ヘッ。返事だけは一人前の奴だ。お前の意思は、これからの戦いで見せてもらうぜ」

李衣菜「…それが言いたいだけなら、最初からそう言えばいいのに」

シュワルツ「うるせェ‼テメェは黙ってろッ‼」

 

ボブ「た、大変だぁ~~~ッ‼」

 

シュワルツ「!?」

李衣菜「ど、どうしたの!?ボブさん!」

ボブ「お、おう…リーナちゃん…!それが大変なんだ…!パイロットの奴等は、全員ブリッジへ上がってくれ」

シュワルツ「大変大変って、それだけじゃ分かんねぇだろうが!何があったか、簡単にでも言えねぇのか?」

ボブ「あ…あぁ…。アラスカの戦いはブラフだ。俺達はランドウに嵌められたんだよ!」

李衣菜「え…!?」

卯月「どういう事ですか?」

ボブ「さっき、テキサスのブリッジに、ランドウから直接通信があったんだよ。連中、スーパーロボット部隊をこっちのアラスカに集結させて、本土の防備が手薄になった隙に攻撃するつもりだったんだ…」

シュワルツ「まんまと乗せられたって訳かよ。…クソッ‼」

李衣菜「それで、アメリカの方はどうなったの?」

ボブ「あぁ。ランドウは通信で、こう言ってきた。ホワイトハウスを占領した、と」

シュワルツ「何だと!?」

 

━━。

 

~~~ 戦艦テキサス ブリッジ ~~~

 

━━ ダッ

 

李衣菜「艦長ッ‼」

 

艦長「おぉ、リーナくん…!」

 

『役者は揃ったようですな?艦長』

 

奈緒「っ…?誰だ…?」

凛 「この人が、ランドウ?」

加蓮「ううん。ランドウじゃ、ない…」

ニオン「…! お前は…!」

『……ほぅ』

凛 「ニオン、知ってるの?」

ニオン「……」

 

『お初に御目にかかる。私の名はラセツ。役職はランドウ様の参謀、と言ったところかな?』

 

シュワルツ「参謀だと…!そんな奴がわざわざ俺達に何のようだ‼」

ラセツ『そう構えてもらっては困る。簡単な話だ。私は貴殿方と、取引をしたいのだ』

艦長「取引?」

ボブ「ハンッ!脅迫の間違いだろうが!」

ラセツ『口は慎んでもらおうか。こちらには大切なゲストがいるのだ』

 

大統領『……』

 

ジャック「Oh…!大統領閣下…!」

ラセツ『ホワイトハウスから、我々の基地へと来ていただいた。私としても、ゲストに手荒な真似をするのは忍びない』

シュワルツ「人質じゃねぇか!やることが(こす)いぜ!」

ラセツ『あくまでも、ゲストだよ。それがどうなるかは、今後の貴殿方の対応の仕方によるがね』

サム「コイツ…!」

艦長「…用件を聞こう」

李衣菜「艦長!?」

凛 「落ち着いて。まずは相手の出方を見ようよ」

李衣菜「……」

 

ラセツ『…ランドウ様は、これ以上戦乱が拡大するのを憂いておられる。よって、貴艦の武装解除を第一に━━』

 

ボブ「何が憂いて、だよ。自分から種を撒いたくせに…」

リンダ「お黙りなさい。今反論しても無意味よ」

 

ラセツ『それと、貴殿方が所有している、真ゲッターロボを、我々に引き渡してもらいたい』

 

卯月「……!」

凛 (やっぱり…)

 

艦長「……。真ゲッターロボは、我々の管理下にあるものではない。一艦長の判断だけでは、その処遇を決めかねる」

ラセツ『詭弁はいい。貴殿方の、あの力がいかに危険なものかは当に理解できている筈』

ラセツ『その力を、野放し…。ましてや、一介の小娘達の手にのさばらせておくのは、よりその危険性に拍車をかけているとは思わんか?』

艦長「それは…」

卯月「そんな事はありません!」

ラセツ『…貴様は?』

卯月「島村卯月。日本のアイドルで、今は真ゲッターのパイロットをしてます」

ラセツ『そうか、貴様が…。では改めて貴様に問おう。真ゲッターロボを渡せ』

卯月「…お断りします」

ラセツ『小娘に状況は読めんのか?ここにいる人間が誰か、分からないわけではなかろう。アメリカと言う、世界の中心に立つ国のトップ…。その人間が死ねばどうなる?ランドウと言う、強大な勢力が台頭している現状で。政治・経済がどのように回っているのか、分からぬわけではあるまい?』

卯月『それでも、貴方達に真ゲッターを渡すわけにはいきません』

ラセツ『その結果、多くの人間が不幸になるかも死ぬのだぞ?』

卯月『真ゲッターを渡しても、渡さなくても、きっと変わらないと思います!この戦いで、きっとたくさんの人が悲しい思いをしちゃいます…。それなら、私は…真ゲッターで貴方達と戦う道を選びます!』

ラセツ『あくまで抗うと言うか』

 

副長「…よろしいのですか、艦長」

艦長「大統領の命は、何者にも替えることはできん。だが、それと同じように、多くの命もまた替えることはできん」

副長「究極の選択…。その只中に彼女は立っているわけですな」

艦長「いや、彼女は私達よりも、遥かに多くの人を見て、ラセツの前に立っておるよ」

 

卯月「私は、まだ貴方達の事よく知りません…。けど、貴方達は、悪い人だと思うんです!そんな人達に、真ゲッターを渡すわけにはいきませんっ!」

ラセツ『小娘一人で、何とかできると思っているのか?』

凛 「一人じゃないよ」

芳乃「わたくし達も…」

かな子「私達も、卯月ちゃんと気持ちは同じですっ!」

芳乃「…ほー」

凛 「例え世界の全部を敵に回したとしても、私は卯月の味方だよ」

かな子「そうです!私達3人の心に、真ゲッターの力を合われば、何だってできる筈なんです!」

卯月「凛ちゃん…、かな子ちゃん…」

李衣菜「真ゲッターも世界も、どっちもアンタらなんかに渡してたまるかって、そうでしょ?」

卯月「はいっ!」

ラセツ『……。世界の成り立ち方も知らぬ子供が…!勝手なことばかり言うな!』

李衣菜「何さ!こっちの答えはもう決まってるんだ!」

奈緒「何がなんでも、真ゲッターを渡してたまるかよ。一昨日来やがれって!」

ラセツ『貴様らに選択権があるわけなかろう。貴様らが今いるのはドコだ?貴様らが今身を寄せている者の頭はドコだと思っている!?』

李衣菜「え…?」

ラセツ『軍隊の人間が政府の決定に逆らえるものか。…真ゲッターの譲渡が、大統領からの命令であれば、もはや子供の意見など関係ないのだよ』

奈緒「はァ!?」

艦長「……」

ラセツ『さぁ、大統領。テキサスのクルーに命じるのです。真ゲッターを押さえろと。抵抗するものは殺せ、と』

卯月「そんな…!」

凛 「…艦長?」

艦長「……」

 

大統領『……艦長』

艦長「はい」

大統領『果たして、我々はこのままでいいと思うかね?』

艦長「いいえ。私は、違うと答えます」

大統領『そうだろうね。私も、同じように思っていた』

艦長「では、大統領━━」

 

ラセツ『何だ?貴様ら、何の話をしている!?』

大統領『かのような少女が、力にも屈せず、自らの意思を貫こうと言う時に、我々は何をしている?今はただ、少女達の意思の障害にしかならぬと言うのなら、ただの足枷ではないか』

ラセツ『それが何だというのだ?』

大統領『我々が、少女達の意思を阻むことなどあってはならんのだ!潰すのではなく、伸ばす。生に執着するために、権力という力はあるのではないッ!』

ラセツ『貴様…!死ぬのが怖くないのか!』

大統領『死など恐れるものか!私の命は、3億のアメリカ国民のため…いや、それ以上の多くの人々のために捧げるものと、大統領の地位を拝命した時から星条旗に誓っている!』

ラセツ『……!』

大統領『命など惜しいものか!ランドウ!貴様らを滅ぼすためならば、私一人の命など惜しくあるものか‼』

李衣菜「大統領…」

 

大統領『テキサスの諸君!大統領からの命を告げるッ‼』

 

艦長「はッ!」 ザッ

 

大統領『ランドウを倒すのだ!決して屈することなく、怯むことなく!何があろうとも、世界全ての人々のために、戦い続けるのだ!━━ゲッターと共に‼』

ラセツ『貴様…ッ!』

大統領『諸君らは我々の希望である!その諸君らが、多くの人の平和を…━━』

ラセツ『この…!』

 

パァンッ

 

卯月「ッ!」

凛 「…!」

かな子「そんな…っ」

李衣菜「大統領…!」

奈緒「ッ…!」

加蓮「アンタは、また…!」

芳乃「……」

 

ラセツ『フゥーーー…。素直に渡せばよいものを…』

 

李衣菜「ラセツッ!よくも…!」

ラセツ『覚悟しておくがいい。貴様らは必ず、私の手でその愚かな決断を後悔させてやる…!』

 

プツン━━

 

オペレーター「…通信、途絶えました」

副長「逆探知は出来るか?」

オペレーター「いえ、通信先の特定はできませんでした」

副長「そうか…」

 

「………」

 

艦長「…諸君、何をしている?」

メリー「艦長…」

艦長「既に大統領閣下からの最期の命令は下された!我々はこの命に替えても大統領の命令を完遂する!」

 

艦長「ランドウに対して、徹底交戦するのだ!皆、悲しんでいる時間はない‼━━返事は‼」

 

「「「おうッ‼」」」

 

ジャック「艦長、それでこそだゼ!」

シュワルツ「ランドウの野郎、今度こそ許しておかねぇ…!」

ボブ「俺達の怒りと、アメリカの正義の鉄槌をアイツらにお見舞いしてやろうぜ!」

リンダ「貴方はカナダ軍でしょう」

サム「そこはツッコんじゃいけねぇぜ、ティラミス中尉」

 

李衣菜「みんな…!」

艦長「さて、奇しくも君達と同じ状況になってしまったようだ」

李衣菜「え?」

奈緒「どういう事だ?」

艦長「今の映像を見ての通りだ。大統領を失った。もうアメリカという国の力を借りることはできんだろう。今は我々も君達と同じ、戦場に迷い混んだ野良犬というわけさ」

凛「当たり前に補給とかは受けられなくなるかもしれないって事?」

艦長「それでも、まだ我々に協力してくれるかね?」

李衣菜「当たり前じゃないですか!一緒に戦いましょう!ここまで来たなら!」

加蓮「ま、アラスカで拾ってもらった恩もあるしね。それも返さない内におさらばって言うのは、何か違うでしょ」

艦長「…ありがとう。君達の協力に感謝する」

奈緒「いやいや、まだ感謝されるのは早いって!」

卯月「一緒にランドウを倒しましょう!全部その後ですよ!」

艦長「うむ。そうだな」

副長「それでは艦長、今後の方針を」

艦長「先ずは近くの米軍基地へと向かう。アラスカ領内ならば、まだランドウの攻勢はない筈だ。そこで、我々の最後の補給を行う」

副長「了解しました。では、テキサスの進路はそのように」

艦長「諸君、これから我々は、辛く険しいランドウとの孤軍奮闘となる。最早我々に正義はなく、個人の大義による武装蜂起に他ならないだろう」

艦長「後生の時代…。我々の名が、歴史上にいおいて大罪人となるか、英雄となるか…。それはこれからの君達の働きに掛かっている。いいな!」

 

「「「了解ッ‼」」」」

 

李衣菜「歴史の名を残す戦いかぁ…。へへっ、なかなかロックじゃん」

加蓮「ホントはこんな事で名前なんて残したくないんだけどね」

奈緒「それこそ、ここまで来たら一蓮托生だな」

卯月「はいっ。みんなで頑張りましょう!ホントの平和を取り戻すために━━」

 

つづく




次回予告

ランドウに徹底抗戦の構えをとる、テキサスとネオゲッター、そして真ゲッターの両チーム。
アラスカの基地で最後となる補給を受けながら、彼女らはテキサスクルーの士気を上げるための即興ライヴを開いていた。

一方その頃、李衣菜達が後にした日本では、ランドウの管理下の元に、仮初めの平和の中、晶葉はテキサスに合流するための日本脱出計画を着々と進めているのだった。
迫る決断、更なる戦いへの一歩を前に、日本に残された美穂達の思いは━━?

次回、ゲッターロボ×CG 第3部
第12話『飛べ、焔のごとく‼』に、チェンジゲッター!
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