未央「大雪山おろしぃぃ~~~っ!」
気合の咆声と共に、ゲッター3の腕をしならせて放り投げたメカザウルスが、天高く舞い上がる。
未央「ゲッターミサイル!」
空中の敵に向かって一対のミサイルを放ち、メカザウルスにトドメを刺す。
未央「ふぅ~!戦闘終了~。我ながら、ゲッターの強さには感服ですなぁ?」
卯月「えへへ…!未央ちゃん最近絶好調ですね♪」
未央「そりゃあもう!有香ちんの教えてくれたこの大雪山おろしさえあれば怖いものなしだよ!」
凛 「卯月も回転に随分慣れてきたみたいだしね」
未央「そ、最近じゃ大雪山おろしする時のバランス調整も手伝って貰ってるくらいだし」
卯月「えへへ…。ゲッター3の時に私に出来る事って少ないし、それくらいはお手伝いできたらな、って」
未央「うんうん。しまむーは立派ですな~」
凛 「それじゃ、そろそろ帰還しようか」
卯月「そうですね!」
未央「合点!それじゃあ…オープンゲット!」
~~~ 恐竜帝国 マシーンランド ~~~
ゴール「えぇい!またしてもゲッターロボにしてやられたか!」
バット「申し訳ありませんゴール様。奴等、日増に力を増し、メカザウルスの性能向上が間に合わぬので御座います」
ゴール「言い訳など聞きたくないわ!何故だ?何故勝てぬ!?恐竜帝国が誇る闘将であるバット、貴様が育て上げた精兵と、恐竜帝国の頭脳であるガレリィの作り上げたメカザウルスの、二つの力を合わせても何故ゲッター相手に勝てんのだ!!?」
ガレリィ「…それはやはり、奴等が最大の武器として使うゲッター線に拠るところがあるでしょう。ゲッター線を使われてしまえば、いかに頑強なメカザウルスと言えど只ではすみますまい」
ゴール「そんなことは百も承知ではないか!問題はゲッター線と言う前提を、いかにして覆すかだ!」
ガレリィ「その件で、ゴール様に一つ、提案が御座います」
ゴール「む?何だ、申してみよ」
ガレリィ「ははっ!確かに、ゴール様の言うとおり、ゲッター線とは我らが天敵であり、忌むべき存在であります。…ですが」
ゴール「?」
ガレリィ「その力を、逆に我々が利用すると言うのはいかがでしょうか?」
バット「バカな…!その様な事……まさか!?」
ガレリィ「バット将軍の予期する通り。実は既にこちらに連れてきております」
「……」
ガレリィ「…まだ若いですが。先日一族の長の座に着き、その実力も、多くのキャプテンから期待されております」
「…地竜一族の長、キャプテン・ニオンに御座います」
ゴール「我ら爬虫人類の中でも、唯一ゲッター線に対する耐性を持つ地竜一族か…」
ガレリィ「はい。彼らの強靭なゲッター線への耐性を利用し、ゲッターロボを我らの手中に納めればこの戦い、最早勝ったも同然…!」
ゴール「成る程…」
ニオン「帝王ゴール様!此度の抜擢に伴い、お願いしたいことがあります!」
ゴール「…申してみよ」
ニオン「私がサル共の手からゲッターロボを奪い、ゴール様の元に捧げた暁には、我ら地竜一族の自治独立を認めて頂きたいのであります!」
バット「何ぃ!?貴様ァ!自分が何を言っているのか…!」
ゴール「下がれ、バット将軍。…ニオンと言ったな?良かろう。貴様が我が手中にゲッターロボを捧げることが出来れば、貴様の望み、叶えてやる」
バット「ご、ゴール様!?」
ゴール「良いではないか、バット将軍。貴様には出来ぬことを、この若造がやろうと言うのだ。違うか?」
バット「ぬぅ…っ」
ゴール「では、キャプテン・ニオンよ。ゲッターロボの強奪、やってみせい」
ニオン「はっ!このニオン、地竜一族の自治獲得の為、命を賭して!必ずやゲッターロボを手に入れて御覧に入れましょう!!」
──。
~~~ 早乙女研究所 上空 ~~~
青く広い大空を六機のマシンが飛行していく。
みく「うにゃ~!調整の終わったプロトイーグル号はご機嫌だにゃ~♪」
晶葉『ははっ。そうだろう?見た目は以前と変わらないが、中身は全くの別物だからな』
瑞樹「上昇性能、加速力…どちらもマニュアルで見たゲッターロボの能力とほぼ同じね」
晶葉『エンジンはゲッターロボと同じだからな。…とは言え、装甲材質は以前のものと変わらないから、無茶は禁物だぞ』
菜々「心得ましたよっ♪プロトゲッターの操縦は、ナナ達テスターチームに任せて下さい!」
晶葉『うむ。頼りにしている。それでは、そろそろプロトゲッターの性能評価の為、ゲッターとの模擬戦を開始してくれ』
テスターチーム「「「了解!」」」
未央「待ってましたー!私達だって、先輩達が休んでいる間に実戦を積んで成長したって所を見せてやろうじゃんっ!ね、しまむー、しぶりん!」
卯月「はいっ!精一杯頑張ります!」
凛 「ゲッターとの戦闘記録…。有効に使わせてもらうよ……!」
瑞樹「ふふっ、やる気十分ってところかしら。こっちも負けてられないわね」
みく「ゲッターのパイロットはみく達がずっと先輩だってことを改めて思い知らせてやるにゃ!」
菜々「ナナだって若い子にはまだまだ負けませんよー!」
六機のマシンが、空中で乱れるように螺旋を描き、それぞれのチームに別れて相手方のチームと距離をとって、隊列を組む。
みく「チェンジゲッター!1にゃあ!!」
卯月「チェェェーンジゲッタァァー1ッ!!」
紅白二色。二体のゲッターが相対する。
みく「ミサイルマシンガンにゃ!」
卯月「くっ……!」
プロトゲッター1が背中から取り出したミサイルマシンガンを構え、ゲッター1にミサイル弾の雨を注ぐ。
みく「にゃっふふ…!まだまだコンマ数秒、合体のスピードはみく達の方が速いにゃ!」
未央「ぬぬぬ……!調子に乗ってくれちゃって…!」
凛 「先手を取られた…なら、卯月!」
卯月「はいっ!」
凛の指示に阿吽の呼吸で応え、ゲッター1は切りもみ回転。全身をゲッターウィングのマントで覆い、ミサイル弾をやり過ごす。
みく「何にゃ!?」
そのままゲッター1は積乱雲に突入。プロトゲッター1の視界から逃れる。
みく「にゃううぅぅ……、どこに言ったにゃ?」
瑞樹「目だけで探してはダメよ!レーダーで追って!」
菜々「あぁもうちょっと遅いです!卯月ちゃん達、来ますよ!」
みく「ど、どこからにゃ!?」
菜々「後ろです!!」
ズワオ
プロトゲッター1の背後に回ったゲッター1は、大上段に構えたゲッタートマホークを振り下ろす。
未央「取った!」
菜々「甘いですよ!未央ちゃん!」
みく「オープンゲット!!」
プロトゲッターを分離させ、攻撃をやり過ごす。
卯月「分離された…!?」
凛 「早く追わないとこっちも分離を!」」
卯月「はい!オープンゲット!!」
卯月達のゲッターも分離し、地上に向かうテスターチームを追走する。
瑞樹「チェンジゲッター2!ゲッタードリル!!」
地表すれすれで合体を行い、プロトゲッター2のドリルで地中へ潜行する。
凛 「次はゲッター2勝負か…。望むところだよ!卯月、未央!」
凛 「チェーンジゲッター!2ゥ!!」
ゲッター2へ合体し、地上に降り立つ。
未央「あれ?瑞樹さんを追わないの?」
凛 「地中は視界が効きにくくて、待ち伏せされたら厄介だからね。それが瑞樹さんの狙いかもしれないし、ここは地上で迎い討つよ。卯月!ソナーの方、宜しく頼んだよ!」
卯月「分かりました!」
地表の揺れを感知するソナーと、パイロットの全神経を研ぎ澄ませ、気配を探る。
未央「はてさて…。瑞樹さんはどこから来るか……背後か」
凛 「真下か…」
卯月「!来ました!右方九時方向から振動、近付いてきます!」
凛 「っ!」
卯月の示した方向にゲッター2の右手アームを伸ばし向かって来たドリルを受け止める。が、
凛 「…っ?ドリルミサイルだけ!?」
未央「そんなっ!?それじゃあ、本体は…!」
瑞樹「━━こっちよ!」
反対方向の左から姿を現したプロトゲッター2のゲッターアームがゲッター2を強かに打ち付ける。
凛 「…いつの間にっ!」
瑞樹「ドリルミサイルと同時にゲッタービジョンを使ったのよ。凛ちゃんになら、分かるわね?」
凛 「っ…!完全にやられた…!」
卯月「凛ちゃん、落ち着いて下さい!」
凛 「…分かってるよ。卯月」
瑞樹「さぁ!お喋りはそこまでよ!」
左腕にドリルを戻したプロトゲッター2が、今度こそゲッタードリルを構え手向かってくる。
凛 「ドリルストーム!」
瑞樹「うっ…!」
凛 「オープンゲット!」
直進してきたプロトゲッター2をドリルストームで牽制し、素早くゲッター2を分離させる。
未央「チェンジゲッター!3ィ!!」
未央「パワーアーム!」
ゲッター3への合体を終え、蛇腹腕を伸ばし、プロトゲッター2を拘束する。
未央「そぉりゃあぁぁっ!!」
瑞樹「きゃあぁぁ!」
拘束したプロトゲッター2をそのまま高々と放り投げる。
みく「瑞樹さん!早く分離するにゃ!」
瑞樹「え、えぇ…!──オープンゲット!」
地表に激突する寸前でプロトゲッター2を分離。そのまま隊列を入れ換える。
菜々「チェンジッ!!ゲッター、3ッ!」
続いて、プロトゲッター3に合体し、ゲッター3と対峙する。
未央「…へぇ。ゲッター3で私に挑んでくるとは、いい度胸じゃん?」
菜々「ナナだって、未央ちゃんよりずっと早い内からプロトゲッター3のパイロットなんですよ!いくらそっちに大雪山おろしがあっても、負けません!」
未央「それじゃ、先輩の実力を見せてもらおうかな…っとぉ!!」
二機のゲッター3はほぼ同じタイミングで加速し、両手をぶつけて組み合った。
~~~ 早乙女研究所 管制室 ~~~
早乙女「……」
晶葉「どうですか?プロトゲッターロボの改修具合は?」
早乙女「…上々じゃな。儂の造ったゲッターと同等なんじゃ。よくやったじゃないか」
晶葉「元が良いですから。私は何も特別なことはしてませんよ」
早乙女「しかし、プロトゲッターの改修を提案したのも、その草案を出したのも晶葉くんじゃ。この結果は、君が上げた立派な成果じゃよ」
晶葉「…そうなるんでしょうか?だとしたら、嬉しいですけど…。えへへ…っ」
未央『大雪山おろしぃ~~~!!』
菜々『あれぇぇぇええぇぇ!』
早乙女「む。どうやら勝負がついたようじゃな。この辺でテストを終わらせるとしよう」
晶葉「えぇ。せっかく改修したプロトゲッターをまた壊されたら敵いませんしね」
早乙女「うむ。ゲッターチーム、テスターチームの諸君。模擬戦はそこまでとする。速やかに基地へ帰還するように」
~~~ 早乙女研究所 談話室 ~~~
アーニャ「ヤー…。皆さん、お疲れ様です」
未央「おっ、アーニャん、ミナミン~!お疲れ~」
凛 「二人は、シミュレータで訓練?」
美波「えぇ。予備扱いだけど、いつ何があるか分からないもの。操縦技術は向上させておかないと」
卯月「今度私たちもお手伝いしますね♪」
美波「ふふっ…、ありがとう卯月ちゃん。みんなは実機で訓練だったみたいだけど?」
凛 「うん。みくと菜々と瑞樹さんのチームとね」
アーニャ「プロトゲッターロボ…、調整が終わったんですね?」
未央「そ。だから改修作業後の試験飛行を兼ねて、私達のゲッターと模擬戦したって訳」
美波「結果は?」
未央「快勝も快勝!我ながら、自分の強さに感心しちゃうなぁ~!」
凛 「未央、あんまり調子に乗らない。合体するまでの時間は、まだ向こうの方が速いんだから」
アーニャ「それで、みく達は…?」
卯月「みくちゃん達なら、晶葉ちゃんの所ですよ。プロトゲッターを操縦した時に気付いたところとか、報告しに行ってます」
アーニャ「Πонятно。…なるほど」
未央「いやぁ~しかし、ホント大雪山おろし様様ですなぁ~」
美波「…そうなの?」
未央「ホントホント。小細工無しの力業はメカザウルスにも有効だし、これさえあれば何が相手でも負ける気がしないね!」
凛 「まったく、すぐ調子に乗るんだから。あんなの、すぐに対策されて使い物にならなくなるのがオチだよ」
未央「ん、ん~!心配ご無用!…それより、自分の心配したらどうかな?さっきの模擬戦で一人だけ被弾してたし」
卯月「未央ちゃん!そんな言い方やめようよ!…あれは、ドリルミサイルに反応しちゃった私のミスだし…」
凛 「いや、卯月は悪くないよ。反応できなかった、私のミス。次は失敗しない」
未央「実戦に次なんてないよ?」
卯月「未央ちゃん!!」
凛 「……」
未央「…何さ」
凛 「いや…、未央の言うとおりだよ。私が二人に甘えてた。ごめん」
卯月「あ…っ!凛ちゃん待って!」
談話室を後にする凛を急いで追う卯月。
未央「何だよ、もう…──」
━━━。
卯月「…待って下さい!凛ちゃんっ!!」
凛 「…卯月……何?」
卯月「はぁ…はぁ…。未央ちゃんの事、気にしてるんじゃないかなって…」
凛 「…別に?未央言ったことなら気にしてないよ。いつもの事だし」
卯月「でも…、だったら…!」
凛 「未央が調子に乗って、先走らないかそれが心配なだけ。…今の未央に何を言っても、聞こえてないみたいだし」
卯月「…それは」
凛 「今はそれだけだから、気にしないで。あと、今晩は久し振りに実家の花屋の方に帰ってるから」
それだけを言い残して、宿舎の方に去っていく凛。
卯月「…凛ちゃん」
~~~ 数日後 都内 市街地 ~~~
ニオン(サル共の調査の為に潜入して一週間か……。━━しかし……)
周囲、人垣を成す人の群れに目を向ける。
ニオン(自分のすぐ隣に敵が潜んでいるとも気付かず呑気なものだ)
『みんにゃー!元気にしてたかにゃーー!?』
ワァァァァァ!!
ニオン「……何だ?」
足を向けた。商店街の真ん中ほどに位置する広場。
瑞樹「━━今回はこの商店街の応援ライブに集まってくれて、本当に嬉しいわ。有り難う!」
ワァァァァァ!!
菜々「それでは一番手~!みくちゃんから、聞いて下さいっ!『おねだりShall we ~?』!!」
ニオン「これは…。ふん、まったくサル共というのは、理解し難い文化を築く。これから出陣でもあるまいに、歌や踊りが何になると言うのだ」
鼻で笑って、その場から離れる。
ニオン「…愚かで惰弱な生き物。いかにゲッター線を味方につけているとは言え、こんな奴等に数多くの恐竜帝国の精鋭達がやられてきたとはな。今が内部調査と言う任務でなければ、今すぐにでも潰してやりたい奴等だ…!……ん?」
スンスン
ニオン「これは、この匂いは……花の匂い…?アイツの好きな…」
~~~ 商店街裏 小さな公園 ~~~
『♪ずっと強く そう 強く あの場所へ~走り出そう~♪』
ニオン(…人間。こんな所にもか…。しかし、そこの女以外は見当たらないと言うに…)
『♪過ぎていく 時間取り戻すように 駆けて行く 輝く靴~♪』
ニオン(こいつは誰に歌っていると言うのだ?)
『♪今はまだ 届かない 背伸びしても 諦めない いつか辿り着ける日まで~♪』
ニオン(…不思議だ。何故、俺が聞き惚れているのだ…!?)
『♪目を閉じれば 抑えきれない~♪』……誰!?」
ニオン「あ…っと、…邪魔してしまったか?」
ニオン(何をしている!?俺は!いくら人工皮膚で人間に化けているとは言え、このような小娘相手にバレることあれば…!)
凛 「…別に。大通りの方でライブやってるのに、こっちに気付いたの?」
ニオン「(まだバレてはいない、か…)人の多いところは、苦手でな。それに、花の匂いが…」
凛 「花の?あぁ、公園のか。…外国の人?」
ニオン「ま、まぁな。…出稼ぎ、という奴だ。大した者じゃない」
凛 「だろうね。そんなボロボロのコート着て、帽子まで。一瞬、ホームレスじゃないかと警戒したけど」
ニオン「(こ、こいつ~~!)…もう歌わないのか?」
凛 「いや、どうしよう。まさか人が来る何て思ってもいなかったし」
ニオン「俺の事は気にしないで、好きに歌うといい。…俺は偶々通り掛かっただけだから」
凛 「…私の事は、別に知ってる訳じゃないんだ?」
ニオン「?」
凛 「…いや、何でもない。外国の人だもんね。丁度いいや、折角だし、一曲聴かせてあげる」
凛 「アイドル活動止めて、結構経ったけど、自主レッスンは欠かしてないから!」
ニオン「?あいどる…?」
戸惑うニオンを余所に、凛は歌い始める。
♪ずっと強く そう強く あの場所へ 走り出そう~♪
♪過ぎていく 時間取り戻すように 駆けて行く輝く靴~♪
♪今はまだ 届かない 背伸びしても 諦めないいつか辿り着ける日まで~♪
♪目を閉じれば 抑えきれない 無限大の未来が そこにあるから~♪
♪振り返らず前を向いて そして沢山の笑顔をあげる~♪
♪いつも いつも 真っ直ぐに見つめて~♪
♪弱気になったりもするよ そんな時には強く抱き締めて~♪
♪強く そう強く あの場所へ 走り出そう~♪
ニオン「……」
凛 「~~♪…っと、どうだった?」
ニオン「…あ、あぁ。何と言えばいいのか」
凛 「こういう歌は、嫌い?」
ニオン「違う!そうじゃない!…お前の歌は、こう、心の奥底から沸き上がってくる……何かがあるというか…。…分かりやすく言うと」
凛 「…言うと?」
ニオン「━━お前の歌は、別に嫌じゃない」
凛 「……。嫌じゃない、っか…。そっか、ふふ…っ!」
ニオン「何故笑う?」
凛「別に。ただ目の前でファンが一人出来るのが見れたのかなって」
ニオン「ふぁん…?さっきからお前は何を言っている?」
凛 「凛。私は渋谷凛。お前じゃない。…あんたは?そう言えば、名前聞いてなかったけど」
ニオン「俺、か…。俺は…ニオン」
凛 「ニオン、か。変わった名前、って外国人なんだから当然か」
ニオン「…お前はいつもここで歌っているのか?」
凛 「ううん。今日は偶々、知り合いのライブがあったから」
ニオン「そうか…。どこに行けばまたお前の歌を聞くことが出来る?」
凛 「何?そんなに気に入ってくれたの?」
ニオン「ああ」
凛 「……。…まぁ、時々なら、ここで歌ってもいいかな。普段なら、人通りも少なそうだし…」
ニオン「本当か…!?」
凛 「う、うん…。でもあんまり期待しないでよ。私だって忙しいから、来れないことだってあるし…」
ニオン「そうか…」
凛 「…もう行くの?」
ニオン「あぁ…。俺も仕事があるからな。…また、ここに来る」
凛 「そう」
━━━━
卯月「凛ちゃ~んっ!…どうしたの?」
凛 「うぅん。…何でもない」
卯月「そうですか?何だか嬉しそう?ですね。何かいいことでもありました?」
凛 「嬉しい事、なのかな?…ふふっ」
卯月「?変な凛ちゃん。っと、そうでした!早くしないと、みくちゃん達のライブ終わっちゃいますよ!」
凛 「分かった。今行くよ」
凛(…ニオン、か。ふふっ、変わった人…)
━━━━
ニオン(━━っ!俺は何をしている!?たかがサル如きと、関わり合いを持つなどと…っ!)
ニオン「…しかし、あの人間の歌。いや、渋谷凛、と言ったか」
ニオン「アイツの歌、悪くなかった、な…━━」
「ニオン隊長。ここにおられましたか」
ニオン「━━ザットか。ギットとビットの二人は?」
ザット「計画通りです。上手く軍の関係施設へ潜入出来ました」
ニオン「容易いものだな。後は、二人の連絡待ちと言う事か」
ザット「はい。ギットとビットの二人なら上手くやってくれる筈です。我々は一般市民の中に紛れ込み、もう少しサル共の情報を集めましょう。…隊長?」
ニオン「何だ?」
ザット「どうかされましたか?なにやら、上の空のようですが…」
ニオン「……。何でもない。お前は引き続き俺とは別行動でサルの情報を探れ。連絡は何かあったときだけで良い。定時連絡の必要はない。サル共に感付かれる危険があるからな」
ザット「はっ!それでは隊長、ご武運を」
ニオン「あぁ、お互いにな。……」
ニオン(これは任務だ。我々爬虫人類の中でも忌み嫌われてきた地竜一族を帝王ゴールの支配から解放する為、その為の任務なのに…!)
ニオン(あの女の歌を、また聴きたいなどと……!どうしたというんだ?俺は…━━)
~~~ 早乙女研究所 会議室 ~~~
未央「ゲッター量産化計画~~?」
早乙女「そうだ。日本政府は、これまでのゲッターロボの活躍を高く評価している」
卯月「活躍なんて…。そんな立派な事は何もしてませんよ!ただ、言われた通りの事をやって来ただけです…」
瑞樹「その言われた事をやったのは、間違いなく卯月ちゃん達よ。自信を持ちなさい?」
卯月「それで、良いんですかね…?えへへ…」
早乙女「うむ。それで、恐竜帝国の侵攻も激化してきている事も併せ、日本国内部における防衛力の強化が、昨日国会の場で可決された」
美波「…その為のゲッターロボの量産化、ですか?」
晶葉「その通り。日本でのスーパーロボット級の建造は日米平和条約で永年固く禁じられてきたが、恐竜帝国の苛烈な攻勢を受けて、国連連中も日本の防備強化を認可せざるを得なくなった、と言ったところかな?」
菜々「これまでゲッターロボは、あくまで民間の研究施設が開発した宇宙開発用の作業用ロボット、って事で誤魔化してたんですよね?」
アーニャ「ダー…。抜け目、ないです」
みく「予め作業用で作られてたロボットに自衛の為に武器を着けただけです、って、とんだ屁理屈にゃ」
凛 「ともかく、これで大手を降って日本でもスーパーロボットが作れるようになった、って事なんだ」
早乙女「色々条件はあるがな。一先ずは、設計図を流用し易い、ゲッターを陸上自衛隊の施設で開発する運びとなった」
晶葉「整備性向上の為、一部機構の簡素化。操縦特性の習熟を手早くするなどの目的で、ゲットマシンへの分離・合体機能の省略など、多くの要素が省かれるが、そのお陰で作業行程も短縮された」
未央「具体的にはどのくらい?」
晶葉「一週間後にはテストタイプの三機がロールアウトする予定だ」
未央「うっわぁ~、何だか楽しみ!」
瑞樹「それで、その話を私達にするって言う事は……博士?」
早乙女「うむ。実はお前達にその量産型ゲッターロボの起動試験を手伝ってもらいたい」
卯月「手伝う、ですか?」
早乙女「具体的には、起動試験の後に行われる模擬戦闘試験の対戦相手じゃ」
菜々「あー、ナナ達がその量産型ゲッターを動かすとかではないんですね?」
晶葉「量産型ゲッターには、自衛隊が用意した正規パイロットを使う。そうでなくては、意味がないからな」
瑞樹「確かに、言われてみればそうね」
美波「私達は乗れないんですね…。ちょっと、残念かも」
アーニャ「ダー…。ゲッターに搭乗する、チャンス、だったかも知れませんね」
晶葉「二人については…、まぁおいおい、考えている事はある。もうしばらく辛抱してくれ」
早乙女「先方は、ゲッターロボの正規パイロットである卯月くん、凛くん、未央くんの三人との模擬戦を希望している。…どうかね?」
未央「もっちろん受けるよね?しまむー、しぶりん!大人相手でも負けるつもりなんてないよ!」
卯月「私は、別に構いませんけど…。凛ちゃんは?」
凛「…うん」
未央「ん、何々?しぶりんは自衛隊員の前で恥じをかくのが怖いの?」
凛 「っ…。別に、誰かさんが張り切りすぎて、合体事故起こすのが不安なだけ」
未央「むっ…!誰かさんって誰さ?」
凛 「自覚あるんじゃない?浮わついた気持ちでゲッターに乗って、恥じをかくのは未央の方だよ」
未央「…どういう意味さ?」
凛 「そのまんま。失敗すれば死だよ」
未央「この…っ!」
卯月「み、未央ちゃんも凛ちゃんも、喧嘩はやめて…」
早乙女「やめんかっ!!」
未央「っ!?」
凛 「!」
卯月「ひゃっ!」
早乙女「……。確かに君達の活躍は評価に値しよう。君達のもたらした結果、多くの人々の命が救われた事も事実じゃ。だが…」
早乙女「そのような些細な事で諍いを起こしてどうする!?敵はその心の隙を狙ってくるのだぞ!?」
凛 「……」
未央「……」
スクッ
卯月「あっ、凛ちゃん…」
凛 「頭を冷やしたいの。一人にして」スタスタ
卯月「あぅ…」
瑞樹「これは、当日は私達が模擬戦の相手になった方が良さそうね?」
早乙女「瑞樹くんの言う通りかも知れんのぅ」
みく「まったく!こんな大事な時に、何やってるにゃ!」
菜々「あぅあぅ…!そんな他人事で良いんですか~?」
瑞樹「こればっかりは、あの三人…いいえ、凛ちゃんと未央ちゃん次第だもの。私達は、周りでカバー出来る事をしましょう」
美波「二人供、早く仲直りして出来ると良いんだけど…」
アーニャ「беспокоиться…心配、ですね…」
~~~ 都内某所 ~~~
ザット「━━以上が、昨日ギットから受けた調査報告になります」
ニオン「ゲッターロボの量産とは、サル共も我々を滅ぼすのに随分必死だな」
ザット「隊長、いかがなさいますか?」
ニオン「我々にとっては良い好機だ。そのゲッターロボの量産型とやらが完成する日、それは人類の守護神などではなく、我々爬虫人類の尖兵となる」
ザット「しかし、どのようにして?」
ニオン「ふんっ。小細工など必要ない。正面から堂々と、量産型ゲッターロボを戴いていく!」
ザット「…了解しました。では、潜入中のギットとビットにも、召集を掛けておきます」
ニオン「頼む」
ザット「隊長は?」
ニオン「作戦の決行は一週間後だ。その準備しておく。一週間後、同じ時刻、同じ場所で落ち合おう」
ザット「はっ!了解しました!」
ニオン「ではな、頼むぞ。…くれぐれも作戦決行前にサル共に感付かれることのないようにな」
━━━━━━
ニオン「━━今日が最後のチャンスかもしれないな」
~~~ 商店街裏 小さな公園 ~~~
凛 「━━あ」
ニオン「お…」
凛 「来たんだ」
ニオン「……。ほぼ毎日、ここには来ていた。…またこうしてで会えたのは、今日が初めてだがな」
凛 「…ごめん」
ニオン「気にするな。元より来てくれと頼んだつもりもない。今日だって、気晴らしにここへ来たんだろう?」
凛 「そう言うの、分かる人?」
ニオン「顔を見れば分かる。今のお前は、そういう顔をしている」
凛 「そう…」
ニオン「…なぁ、良ければ少し、話をしないか?」
凛 「え?」
ニオン「お前とこうして会うのが、今日が最初で最後になりそうなんでな」
凛 「故郷に帰るの?」
ニオン「そんな所だ」
凛 「…分かった。良いよ、こっちも時間あるし。ちょっとだけ、付き合ってあげる」
━━━━ 一時間後。
ニオン「━━そうか、お前の実家は花を売っているのか。…道理で」
凛 「何?」
ニオン「お前から、ほんの少しだが花の匂いがすると思ってな。この汚ならしい排ガスの匂いが充満した街中で、すぐに区別出来る匂いだった」
凛 「それ、口説いてる?」
ニオン「そんなつもりはない。ただ、少しだけ故郷の家族が懐かしくなっただけだ」
凛 「ふぅん。ニオンの家族か…。どんな人?」
ニオン「父は尊敬していた。母は、優しかった。妹は我が儘だったが、それでも家族として、かわいい奴だ」
凛 「…尊敬してた、優しかった、って…?」
ニオン「俺の両親は妹がまだ小さかった頃に死んだ」
凛 「ごめん…」
ニオン「気のするな。命あるものはやがて死ぬ。それが自然の摂理だ」
凛 「…それで、納得できるんだ?ニオンは」
ニオン「あぁ。妹も、仲間もいる。まだ孤独ではないからな」
凛 「…羨ましいな」
ニオン「…お前も、誰か大切な人を亡くしたことがあるのか?」
凛 「……。うん。ついこの間、ね」
ニオン「そうか。……」
凛 「ニオン?」
ニオン「確かに、命ある者の死を受け入れるのは必要だ。だが、死んだそいつの事を心の中で思い続けるのも、悪いことだとは思わん」
凛 「そうやって思い続ける事が、ただの未練がましい行為でも?」
ニオン「そうやってお前が思い続けているのなら、そいつは死んではいない。今も生きてるさ、お前の中でな」
凛 「私の、中…」
ニオン「そう。だから、死んでいった者を忘れるな。そいつの分も立ち上がり、生き続けろ」
凛 「その人の分も、生き続ける、か…。ニオンの言う通りかも。けど━━」
ニオン「何だ」
凛 「その言い方、カッコつけ過ぎ」
ニオン「何っ!?」
凛 「ふふっ…!冗談。少しだけ、心が軽くなった気分だよ。ありがとう」
ニオン「っ!」
ニオン(ありがとう……。か、人間が、爬虫人であるこの俺に……)
凛 「何?どうしたの?」
ニオン「ふふっ…!何でもない。ありがとうと言われるくらいなら、お礼の一つでももらおうか」
凛 「良いよ。何?」
ニオン「…歌を一曲……聴かせてくれ」
凛 「…一曲でいいの?」
ニオン「あぁ。あの一曲がいいんだ」
凛 「そっか。分かった」
━━━。
凛 「~~♪~♪~~~♪」
ニオン「……」
凛 「──…ふぅ。どうだった?」
ニオン「あぁ、良い歌声だったよ。国へ帰る、良い土産になった」
凛 「そう。それなら良かった」
ニオン「それじゃ、俺はもう行く」
凛 「…うん」
ニオン「……。何だ、最後にさよならは言ってくれないのか?」
凛 「また会えるかな?」
ニオン「…さぁな。だが多分、もう会うこともないだろう。お互いに、その方が良い」
凛 「その方が良いって…?」
ニオン「俺には俺の、お前にはお前の、生きる道があると言うことだ。お前は、俺なんて言う些細な存在に囚われず、これからを生きれば良い」
そう言い残して、公園から立ち去るとする背中に、
凛 「私、忘れないから!ニオンの事、絶対忘れないから!!」
ニオン「……」
夜、人気のない公園に凛が一人だけ残った。
━━━━━ そして、一週間後。
~~~ 富士火力演習場 ~~~
卯月「スゴいですね!この広い土地、全部自衛隊の敷地なんですか?」
瑞樹「えぇ。富士火力演習場。元は陸上自衛隊の所有地よ」
未央「これだけ広大なところだったら、ゲッターが何機暴れても大丈夫だね?」
菜々「だ、だからって、あまり派手に暴れるのはなしですよぅ…」
凛 「ふん…」
未央「……ふんっ」
みく「ねぇ、瑞樹さん?今日の模擬戦、この二人をゲッターに乗せて本当に大丈夫にゃ?」
瑞樹「仕方ないわよ。ゲッターのシートは譲らないって、そこだけ頑なに拒んだんだもの」
みく「…そうは言ってもにゃ~」
瑞樹「まぁ、あの二人も本来ならプロのアイドルだもの。本番になればしっかりやってくれると信じてるわ」
菜々「それに、念のためにプロトゲッターも持ち込みましたからね。もしもの時は、ナナ達でフォローしましょう」
みく「もしもの事態が不安過ぎるにゃ~…」
隊員「早乙女博士、それにゲッターパイロットの皆さん。お待ちしておりました」
早乙女「今日はよろしくお願いする」
隊員「こちらこそ。…まだ、模擬戦闘試験まで時間がありますので、宜しければ量産型ゲッターロボまでご案内しましょうか?」
卯月「あ、私見てみたいです!量産型ゲッターロボ!」
美波「訓練で目の当たりにする前に、間近で、って言うのには私も賛成かも」
瑞樹「なら、みんなで行きましょうか?」
早乙女「そうじゃな。では、頼めますか?」
隊員「勿論ですとも。さぁ、こちらです」
~~~ 量産型ゲッターロボ格納庫 ~~~
整備員A「おい見ろよ!本物のニュージェネレーションだぜ!」
整備員B「マジだ!新田美波さんに、川島瑞樹さんもいるぞ!」
整備員C「くぅ~っ!生きてて良かった!!」
整備員D「おい、後でサイン貰いに行こうぜ!」
整備員A「あ、ズリィ!こいつ色紙持ってきてやがる!」
整備員C「へへっ!俺ぁこのシャツにして貰うから良いもんね!」
整備員ABD「「その手があったか!!」」」
隊員「あはは、すいません…。職場上、女っ気が少ないもので」
瑞樹「良いのよ。慣れてますから」
卯月「あははは…」
菜々「良かったら後で、貴方にもサイン、してあげましょうか?」
隊員「よろしくお願いします。実は、皆さんの案内をする事が決まってから、同僚にサインをせがまれまして…。…さ、こちらが量産型ゲッターロボです」
未央「へぇ~。量産型ゲッターって白いんだ」
隊員「本機はロールアウトされたばかりですから。白いのは今だけですよ」
みく「にゃあ。白くても別に良いと思うにゃ。カッコいいし」
アーニャ「ですが…、それでは、プロトゲッターと被ってしまいますね?」
美波「そうね…。横に一緒に並んでるところを想像すると、区別がつかない……」
みく「にゃ…、それは由々しき問題にゃ。今回の試験が終わったら、早速色を変えてもらわないと」
技術者「これはこれは、早乙女博士。よく来て下さいました」
早乙女「挨拶は結構。調子はどうですかな?」
技術者「概ね順調、と言ったところですかな。たった今、起動試験に成功しましたよ」
晶葉「ふむ…。量産化を想定して縮小したゲッター炉心と、ゲッター線増幅装置に不具合はないみたいだな」
技術者「…こちらは?」
早乙女「池袋晶葉くん。まぁ、儂の助手のようなものじゃ」
技術者「ほぉ~…。この年でねぇ…」
晶葉「おい。年齢で馬鹿にしてくれるなよ?早乙女博士の研究論文に目は通したし、ゲッター線研究に対して造詣もある」
技術者「ホントですか?」
早乙女「事実じゃ」
技術者「…ほぉ~」
警備員「た、大変です~~~!!」
隊員「どうした!…何だ!その怪我は……っ!」
警備員「き、恐竜帝国が……!爬虫人類が……!ゲッター…を…狙っ…て……━━」
卯月「っ!大丈夫ですか!?」
瑞樹「卯月ちゃん下がって。…もう、死んでるわ」
卯月「そんな…」
晶葉「しかし博士。ゲッターを狙って、って言うのはどう言う意味でしょう?」
早乙女「…ひょっとすると、奴等、どこからか量産型ゲッターの情報手に入れて、驚異になる前に破壊するつもりかもしれん」
未央「そんな…!折角出来たばっかりなのに…。そうだ!私達が量産型ゲッターに乗っちゃえば!」
早乙女「ならん!ゲッターの破壊が目的である以上、メカザウルスも近くに潜んでいる可能性が高い。お前達三人は自分達のゲッターの中で待機じゃ!」
卯月「分かりました!行きましょう!凛ちゃん、未央ちゃん!」
凛 「うん!」
未央「合点!」
ゲットマシンの元へ駆け出していく三人。
瑞樹「私達も行きましょう。何が起こるか分からないわ」
みく「了解にゃ!菜々ちゃん!」
菜々「はいはーいっ!いつでも大丈夫ですよ~!」
早乙女「儂らは避難するぞ。何時ここに爬虫人が来るとも限らん!」
美波「分かりました」
アーニャ「ダー!ゲッターに乗れないのが、悔しい、です」
早乙女「言っても始まらん。行くぞ、こっちじゃ」
「あぁ…!?爬虫人がゲッターの格納庫にっ!」
ザット「隊長ありました!量産型のゲッターロボです!」
ニオン「よし!目的を阻む者は殺せ!」
ギット「フルシュアアァァァ!!覚悟しろサル共ォ!!」
美波「きゃああぁぁぁ!」
晶葉「伏せろ!美波!!」
パラボラアンテナのようなものが付いた銃らしきものを構える晶葉。
晶葉「喰らえ!池袋晶葉様特製の細胞破壊光線だ!!」
キューンキューンキューン
ギット「ゴワァァァァァ…!!」
塵芥と化すギット。
技術者「スゴイ……!爬虫人を一撃で!」
晶葉「どうかな?少しは天才科学者って言うのを信じてもらえたかな?」
アーニャ「ウラー…。早乙女博士とは違う意味で、天才、ですね……」
美波「死ぬかと思った…」
ニオン「ぐっ…!ギットがやられたか…!ザット、ビット!もうサルには構うな!ゲッターに乗り込んでしまえば、連中も手出し出来ん!」
ザット&ビット「「了解!!」」
早乙女「何!?ゲッターに乗り込むだと!?」
晶葉「奴等、ゲッター線を浴びても平気なのか!?」
早乙女博士達が驚いている間に、ニオン達は量産型ゲッターへと乗り込む。
隊員「あぁ…!量産型ゲッターが!」
ニオン「ふははははは…!愚かなサル共よ!今日からこの力は、我々恐竜帝国の為に使わせてもらうぞ!!」
凛 『━━…今の声!?いや、まさか…』
ニオン「…む!?」
卯月「どうかしたんですか?凛ちゃん」
凛 「…いや、何でもない。…気のせいだ、きっと」
未央「それより状況はどうなってんのさ!?」
晶葉『━━最悪の状況だ。量産型ゲッターが、爬虫人によって奪われた!』
卯月「奪われた、って…!そんな!」
未央「連中はゲッター線に弱いんじゃなかったの!?」
早乙女『理由は分からん。連中にも、ゲッター線に対して、抗体を持つ種がいたのかもしれん』
瑞樹「ともかく、目の前で起こっていることが事実、と言うことね?」
早乙女『そうじゃ。…奴等に量産型ゲッターを悪用されるわけにはいかん。君達の力で破壊してくれ』
未央「そんな…!?」
菜々「ナナ達の力で、ゲッターを…!?」
晶葉『詳しく話し合っている時間はない。ゲッターに乗った爬虫人に逃げられる前に量産型ゲッターを破壊するんだ!』
凛 「了解。やろう、卯月、未央」
卯月「そんなこと言ったって…!凛ちゃん!」
凛 「こうしている間に爬虫人に逃げられる。ゲッターが恐竜帝国の手先になったら、そのせいでもっと多くの人が悲しむ事になるんだよ!?そうなる前に、早く!」
未央「くっ…!ゲッターチーム、出撃するよ!!」
瑞樹「みく、こちらも続くわよ」
みく「はじめっから選択肢なんてねぇのにゃ!テスターチーム、発進!!」
~~~ 富士樹海 ~~~
ニオン「むっ!…追ってきたか!ゲッターロボ!!」
ザット「ここは私とビットが!隊長は撤退して下さい!」
ニオン「何を言い出す!敵はゲッターロボだぞ!?」
ビット「こちらも、ですよ!数が同じなら、何とかなるかもしれません!」
ニオン「…しかし!」
ザット「今回の作戦には、我ら地竜一族の解放が掛かってるんでしょう!?」
ビット「だったら、隊長のゲッターだけでも持ち帰って下さい。そうすれば、一族の悲願が、叶います!!」
ニオン「お前達…。……」
ザット&ビット「「隊長!?」」
ニオン「俺の前で犠牲になることは許さん。こっちの数が増えれば奴等に勝てるかも知れんだろう?」
ザット「隊長…」
ニオン「俺とザットで赤い方のゲッターを狙う。ビットはもう一機のゲッターをやれ!」
ビット「了解!!」
ニオン「来るぞ!各自散開!我々地竜一族の意地を、奴等に見せてやれぇ!!」
卯月「量産型ゲッター捉えました!三機とも、こっちを迎え撃つようです!」
凛 「逃げるのはやめたみたいだね。数の上では、向こうの方が上か…」
瑞樹「こっちを倒した方が早い、そう思ったのかもしれないけど、ゲッターの操縦はこっちの方がプロなのよ?」
みく「昨日の今日ゲッターに乗った奴なんかに、負けるもんか!返り討ちにしてやるにゃ!」
未央「敵の隊長格は量産型のゲッター1に乗ってるんでしょ?まずは、そいつから倒した方が良くない?」
菜々「確かに…。そうすれば、敵の指揮が混乱するかもしれません」
瑞樹「量産型ゲッター1とゲッター2はそっちへ向かってるみたいね。頼めるかしら?」
未央「任せてよ!代わりに、そっちに来てる量産型ゲッター3の相手、頼みましたよっ!」
瑞樹「任せなさい。それじゃ、各チーム、散開!」
ゲッターチーム、テスターチームが左右二手に別れる。
凛 「相手は二体、臨機応変に行くためにも、ゲッター1でいこう」
瑞樹「パワーにはスピード。こっちはゲッター2でいくわよ!」
その他全員「「「了解!!」」」
卯月「チェェーンジゲッター!1ッ!!」
瑞樹「チェンジ、ゲッター!2!!」
それぞれにフォーメーションを組み、ゲッターロボに合体する。
ビット「ゲッターミサイル!」
瑞樹「当たらないわ!」
量産型ゲッター3から放たれたゲッターミサイルをひょい、と軽快な身のこなしで躱していく。
瑞樹「ドリルッ、ストーム!」
ビット「ぐわぁっ!!」
瑞樹「ゲッターアーム!!」
ドリルストームで怯んだ量産型ゲッター3に、マジックハンドのゲッターアームを叩き込む。
ビット「うわっ…!まだまだ…隊長とザットがゲッターを倒すまでは…!」
瑞樹「っ!」
パワーアームでプロトゲッター2に絡み付く。
ビット「うわあぁぁぁぁ!!」
瑞樹「あ゛ああぁ!?」
そのまま、プロトゲッター2を天高く放り投げるが、プロトゲッター2は、ふくらはぎや背中の推進器で空中で姿勢を建て直す。
瑞樹「ふぅ…。助かったわ。ありがとう、みく、菜々さん」
みく「このくらい朝飯前にゃあ」
菜々「チームのフォローは完璧ですからね!あと、さんは要りません!」
瑞樹「けど、想像以上にやるわね。流石と言うか、なんと言うか…」
みく「性能はほぼ互角にゃ!こうなったら、腕の違いを見せるしかないの!」
菜々「こっちがこんなので、卯月ちゃん達の方は大丈夫なんでしょうか…」
━━。
ザット「ゲッタードリル!!」
卯月「きゃっ…!」
凛 「卯月、後ろだ!」
ニオン「やぁああぁぁぁー!!」
卯月「うぅ…っ!」
量産型ゲッター2の攻撃を囮とし、背中から奇襲をして来た量産型ゲッター1のゲッタートマホークを、同じゲッタートマホークで受け止める。
未央「しまむー何やってんのさ!しまむーが無理なら変わるよ!」
卯月「だ、大丈夫です…!…はぁーーっ!」
ガキィン
ニオン「何っ!?」
卯月「やぁーーー!!」
ザット「隊長、危ない!!━━…ぐわっ!」
量産型ゲッター1のトマホークを弾き飛ばして、大上段から降り下ろしたゲッター1のトマホークを、割って入った量産型ゲッター2が受ける。
卯月「そんな…!?」
凛 「仲間を庇った…?」
ニオン「ザット、怪我はないか!?」
ザット「はい!まだやれます!!」
ニオン「よし!でぇぇやぁああぁぁぁぁ!!」
ザット「ぬおォォォおおォォォ!!」
卯月「きゃああぁぁぁああぁぁぁ!!?」
量産型ゲッター2のマジックハンドと、量産型ゲッター1の拳のダブルパンチを受けて、背後に倒れ込むゲッター1。
未央「痛ててて…。しまむー平気?」
卯月「は、はい…。何とか」
凛 「卯月、次が来る!!」
卯月「え…?」
ザット「取った!」
卯月「っ!」
そこからは卯月の反射だった。ゲッター1に向かって来た量産型ゲッター2のゲッタードリルを、ゲッターレザーを展開した左腕で弾く。重心をずらされた量産型ゲッター2は、無防備な上半身をゲッター1に晒した。
ザット「しまっ━━!?」
卯月「━━ゲッタービーム!」
すかさず、ゲッタービームを量産型ゲッター2目掛けて照射。その上半身を瞬く間に融解させた。
卯月「はぁ…はぁ…はぁ…っ!」
未央「や…った…?」
ニオン「ザット…!おのれぇ!」
凛 「!!?」
ニオン「貴様ら…!よくも、ザットを~~~ッ!!」
凛 「この声……やっぱり、間違いない……!」
未央「?! どうかした、しぶりん?」
ニオン「でぇやああぁぁああぁぁぁ!!」
未央「しまむー!ゲッター起こして!早く!」
卯月「は、はい…!ゲッターウィング!」
凛 「まさか、爬虫人だった…?そんな、嘘…」
未央「何があったの?しっかりしてよ、しぶりん!」
卯月「凛ちゃん!」
ニオン「うおぉぉぉおおおッ!!」
卯月「きゃあぁぁぁああぁぁ!!?」
凛 「やめて…。そんな、やめて…」
ニオン「死ぃぃぃねぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇっ!!」
凛 「──ニオンッ!!その声…!?」
ニオン「……何っ!?」
卯月「え…?」
未央「しぶ、りん…?」
凛 「嘘だって信じたかった!でも、アンタ何でしょ!ニオン!」
ニオン「お前…!渋谷凛…!?馬鹿な…っ!?貴様が、ゲッターのパイロットだと!?」
卯月「凛ちゃん…、し、知り合い…何ですか?」
凛 「…ちょっとね。あの時は、こんなトカゲみたいな肌はしてなかったけど」
未央「爬虫人と知り合いになるって…。何があったのさ!?ちゃんと説明してよ!!」
凛 「未央は黙ってて!これは…私の問題だから」
未央「な、何~~!?」
凛 「━━私達を探ってたの?」
ニオン「…そうだ。最も、お前がゲッターのパイロットだとは、あの時は思いもしなかったがな」
凛 「お互い様だよ。知らない内に、爬虫人の知り合いが出来てたなんてね」
ニオン「貴様が宿敵のゲッターのパイロットであるならば容赦はせん!覚悟ォ!!」
凛 「くっ…!卯月、私がやる。ゲッター2に変わって!」
卯月「えっ、でも…」
未央「今のしぶりんじゃ無理だよ!しまむー、私が目を覚まさせてやるッ!」
卯月「え?…えぇ?」
凛 「未央を黙ってて!アイツは私がやる…!それが、私のけじめだ!」
未央「私情で状況もまともに見えてないのに、立派な言葉だけ言ってんじゃないよ!」
凛 「状況が見えてない…!?それは、そっちじゃない?!」
未央「何をぅ…!?事情も話さないで、勝手に怒ってる奴の、言う言葉!?」
凛 「未央には関係ないじゃん!これは、私個人の問題だ!」
未央「私達は、チームで戦ってるって言ってるんじゃん!」
卯月「2人共、喧嘩は……きゃあっ!!」
量産型ゲッター1の蹴りが、ゲッター1の鳩尾に突き刺さる。
卯月「ぐぅ…!」
凛 「卯月っ!」
ニオン「動きが乱れたな!今の内にやらせてもらう!」
凛 「ニオン…!」
未央「しまむー!このままじゃやられちゃうよ。私が大雪山おろしで決めてやるから!」
凛 「だから、何でそうなる…!?」
卯月「もうやめてくださいっ!」
ニオン「フンッ、仲間割れか。こんな奴等にザットは……消えろッ!!」
凛 「卯月、危ないっ!」
卯月「え──?」
量産型ゲッター1のトマホークが、ゲッター1のコックピットブロックがある頭部に、直撃した。
未央「しまむぅー!?」
フラフラと、操作を失い、地面に落下していくゲッター1。
未央「しまむー!返事をして、しまむー!」
凛 「いない…」
未央「えっ…」
凛 「コックピットに、卯月がいない!」
未央「ウソ……何処に…!?」
その姿は、墜落したゲッター1から遥か上の、上空。
凛 「卯月ィっ!?」
卯月「──」
ニオン「…ふん」
その身一つで、地に落ち行く卯月を、量産型ゲッター1が拾い上げる。
未央「!?」
凛 「…卯月をどうするつもり?」
ニオン「…大切か?この仲間は」
ビット「た、隊長~~!!」
ニオン「っ!ビット!?」
ニオンが通信に応じ、視線を向けると、既に大破し、撃破寸前の量産型ゲッター3の姿があった。
ニオン「ビット!」
ビット「た、隊長…!自分は、もう…駄目です!せめて…隊長だけでも生還し……我ら、地竜一族の悲願を…━━」
瑞樹「これでトドメよ」
量産型ゲッター3のコックピットである頭部を、ゲッタードリルが粉砕する。
ニオン「ビット…。くっ…」
量産型ゲッター1が高度を上げ、ゲッター達から距離を取る。
凛 「待て!!」
ニオン「こいつは人質だ!」
凛 「っ!?」
ニオン「返してほしくば、貴様らのゲッターを渡せ」
未央「そ、そんなこと……出来るわけ…!」
ニオン「ならば、仲間の命はどうなっても良いと言うことだな?」
未央「卑怯なぁ…!」
ニオン「考える時間はくれてやる。何が最善か、じっくりと考えることだな!」 バッ
身を翻し、戦場から去っていく量産型ゲッター1。
みく「待つにゃ!逃がすかァ!!」
未央「待って!アイツの手には、しまむーが!」
瑞樹「何ですって!?」
みく「どういう事にゃ!?」
凛 「掴まったんだ…。ゲッターが被弾して……割れたコックピットから、投げ出されて…」
菜々「そんな…!まさか!?」
みく「どうしてそんなことに…!?2人は一体何をして…!」
瑞樹「そこまでよ。今2人を、責めるべきじゃないわ」
みく「瑞樹さん。……」
凛 「卯月…──」
つづく
次回予告!!
チームワークを失ったゲッターチームだったが、恐竜帝国の手に落ちた卯月を救い出すべく、再び凛と未央は結託する!
卯月のパイロットスーツに仕込まれた発信器によって、卯月が捕らえられた敵の拠点を特定した凛と未央は、ゲッターロボ単身による敵拠点への潜入作戦を開始した。
そんな二人の前に、究極のメカザウルス・ギガが立ちはだかる━━!
次回!ゲッターロボ×CG 第6話
『マシーンランド決死行!!』にチェンジゲッター!