~~~ 航空母艦クジラ・倉庫 ~~~
船員「━━…食料品、日用品、生活必需品…。と、チェック完了。不備は見当たらないな?」
船員2「ホントなら、出航前に確認するもんなんだけどな」
船員「仕方ないだろ。向こうでバタバタしてるうちに追い立てられるように出てきたんだから」
船員2「これで、食料品にでも不足があったら大変だったな。オレは目玉焼きには醤油じゃなきゃダメなんだ」
船員「おまけに半熟か?目玉焼きで細かいこと言う男は結婚できないぜ?」
船員2「へっ。目玉焼き程度の我が儘も聞いてくれない嫁さんなんざ、こっちからお断りだって」
ゴトッ
船員「…何だ?」
船員2「出航する時にネズミでも入り込んだのか?」
船員「お前のカーチャンが心配で付いて来たんじゃないのか?」
船員2「まさか。…ネズミだったら勘弁してくれよ。オレはネズミアレルギーなんだ」
船員「好き嫌いが激しい男もモテないぞ」
船員2「どーせオレは独身貴族だよ」
ソロソロと忍び足で、音のした方へと近付いていく。
「━━や、やばっ…!…こっち来た…!」
船員2「ン…?子供の声…?」
船員「おいおい…、幽霊騒ぎは研究所だけで勘弁してくれ…」
船員2「バカ言え!新造艦だぞ?幽霊なんざいるわけ…」
「あっ…!わ、わっ…!きゃぁあああ~っ!?」
船員’s「「!?」」
けたたましい騒音が響き、積まれていた荷物が棚ごと崩れて通路に山を作る。
船員「痛たた…」
船員2「ず、随分とでけぇネズミがいたもんだな…」
船員「お、おい…。その子って…!」
「あたたた…。お尻打った~…。いった~い…」
船員2「え?」
「あ」
━━。
━クジラ・格納庫
卯月「うわぁ~!ここがホントにクジラのお腹の中なんですか?」
かな子「な、何だかその言い方だと、まるで私達がクジラに食べられちゃったみたいですね…」
凛 「外から見ても結構大きかったけど、中も、特に格納庫は結構広く造られてるんだね」
晶葉「ゲッターロボ運用母艦だからな。ゲットマシン状態でも格納出来るように、一つ一つのハンガーを大きく取ってある。お陰で、ゲッターGの機構を応用した反重力装置を積まなければ、まともに飛ぶことも出来ん」
卯月「あっ!」
晶葉「おかえり、卯月、凛。そしてクジラへようこそ、真ゲッターチーム」
かな子「晶葉ちゃん!それに皆さんも!」
瑞樹「全く、心配かけすぎよ」
卯月「えへへ…。すいません…」
菜々「でも、本当に無事で何よりでした。べ、別に死んじゃったなんて冗談でも信じてたわけじゃないですけど…。ナナは、ナナは…!」
みく「ナナちゃん!ここでナナちゃんが泣いちゃダメにゃあ!ここはみく達がビシッとカッコ良く決めるところなんだから!」
菜々「でも…でもぉ…!もう一ヶ月以上も音信不通で…、ナナ、今度の今度はホントにダメなんじゃないかって。不安でぇ~!」
みく「あ~、はいはい。分かったからそんなに泣きじゃくってほら、顔が大変なことになってるよ。ほら、チーンって」 つハンカチ
菜々「ズビィーッ‼」
みく(うわぁ…。思いっきりいったにゃぁ…)
瑞樹「ほらほら、菜々さんはこっちで落ち着きましょう?ごめんなさいね、折角の再会だけど」
凛 「うぅん。落ち着いてから、ゆっくり話せばいいから」
瑞樹「ありがとう。みく、菜々さん運ぶの手伝って。腰抜かしてるから」
みく「分かったにゃ。ほらナナちゃん、しっかり掴まって」
菜々「う~…。ナナはまだ介護される年じゃありませんよぉ~…」
みく「もぅ、これじゃみく達、何しに出てきたのか分からんにゃ~」
凛 「……」
卯月「何だか、帰ってきたって感じがしてきました!」
かな子「あ、あれを見てそう思うのは、いい事なのかな…?」
美波「ふふっ。いいんじゃない?卯月ちゃんにとっては、久し振りの事だもの」
かな子「それは、そうかもしれませんけど…」
美波「かな子ちゃんにも、はい。コレ」
かな子「何ですか?お手紙…?」
美波「かな子ちゃんにとって、大切な人からだよ。家族以外の、ね♪」
かな子「家族以外の…。もしかして…!」
美波「メールも使えないから返事はすぐに書けないけど、帰ったらすぐ挨拶をしに行くといいんじゃない?」
かな子「はいっ!私、頑張りますっ!」
凛 「こっちは相変わらずだね」
晶葉「毎日飽きないのが不思議なくらいな。凛の方こそ、変わりないのか?」
凛 「……」
晶葉「変わらない。そうあり続けるのが、一番難しいものだからな」
凛 「研究所がクジラになったみたいに?」
晶葉「かもしれんな」
凛 「…ここが私達の新しい家になるんだよね」
晶葉「あぁ。常々、一ヶ所に拠点を置いている状態では、日本全域をカバーするには無理があると感じていた」
凛 「だから、簡略的にでも早乙女研究所の機能を、移動できる母艦に集約した?」
晶葉「このクジラは、小さな早乙女研究所と言っても過言ではない。ゲッターを扱う上で必要な機能と人員は、全て注ぎ込んだ」
凛 「整備員も、研究所の職員も何人かいるんだ。…そう言えば、ゲッター飛焔が見当たらないけど?」
晶葉「艦長に頼んでテキサスの方に着艦させた。これからの戦いに備えて、整備の効率は上げた方がいいだろうからな」
凛 「プラズマエネルギーで稼働してる飛焔は、あっちで預かってもらうには都合がいいって事」
晶葉「今後連携をとることも踏まえて、みく達や美波も出向させようとも考えている。何事も、コミュニケーションは大事だからな」
凛 「それなら、リンダ・ティラミスって人には注意するように、みんなに言っておいて」
晶葉「ふむ?仲間内で気を張ったり警戒したりするのは避けたいんだが、まぁ分かった。その件は承知しておく」
凛 「そうして。あと、真ゲッターは…」
晶葉「基本的には、こっちで面倒を見ることになる」
凛 「その方がいいかもね。テキサスでももて余してるくらいだったから。整備の方は、李衣菜にも手伝ってもらって、応急処置程度には私達でやってたけど」
晶葉「正直、下手に触ってもらわなくて良かったと思っている。あれの炉心は、私ですら全容を解明できていない」
凛 「これから直ぐに整備してくれる?」
晶葉「無論だ。いくら真ゲッターとは言え、未来の宇宙まで行って、どこにも異常がないなんて事はあり得ないだろうからな」
晶葉「応急処置だけでは細かいところまでは手が届かなかったところもあるだろう。出来れば時間を掛けてオーバーホールをしっかりとやってしまいたい」
凛 「分かった。私も納得できないままあれを使い続けるのは、少し不安だったから」
晶葉「不安を払拭しきれるとは言わないが、やれるだけの事はやろう」
凛 「けど、真ゲッターが使えないとなると、こっちの戦力は大きく下がるね」
晶葉「真ゲッターには遠く及ばないが、ゲッターD2ならブラックゲッターと同じハンガーに置いてある。一人しか乗れんが、状況が状況だ。無いよりはマシだろう」
凛 「用意がいいんだ。確かに、戦力が0になるよりは0.1でもあった方が頼りに出来るし…。私達で使わせてもらうよ」
橘 『━━晶葉くん、聞こえているかね…』
卯月「? これは、艦内放送?橘博士、ですか?」
晶葉「一応クジラの全体指揮をしてもらっている。その方が私が動きやすいからな。…確かテキサスの艦長と会議中だった筈だが」
橘 『聞こえていたら、今すぐブリッジに上がってきてくれ…。頼む』
かな子「何かスッゴく疲れた感じじゃなかったですか?」
卯月「そうですね。艦長との会議で、緊張したんでしょうか…」
美波「まさか。橘博士だって、ネーサー極東支部の責任者として、色んな偉い人達と話し合ったりしてる筈でしょ?数分の話し合いで疲れるなんて事はないと思うけど…」
晶葉「何にせよ、私が行けば分かる話だ。すまんな、艦内を案内したかったんだが…」
凛 「いや、私達も一緒に行かせてもらうよ」
晶葉「いいのか?」
凛 「うん。何か問題があったなら、一人より二人、二人より三人だよ」
晶葉「確かにそうかもしれんが…」
かな子「あっ、そうだ!橘博士に何かお菓子を差し入れに持っていったらどうですか?」
凛 「かな子らしくていいんじゃない?私は、晶葉と先に行ってるから」
美波「それじゃあ、厨房には私が案内するね」
かな子「お願いします、美波さん」
卯月「わ、私は…」
凛 「かな子に付き合ってあげたら?こっちよりも人の手が必要でしょ?」
卯月「分かりました!よろしくお願いしますね、かな子ちゃん!」
晶葉「さてと、あまり面倒なことじゃなければいいが…」
━━。
~~~ 戦艦テキサス・居住区画 ~~~
李衣菜「━━…と、艦内の案内はこんなところかな?」
美穂「どうもありがとう。でもホントに良かったの?李衣菜ちゃん達3人揃って、私達の案内なんてしてくれて」
加蓮「そんな事気にしない。こっちはパイロットなんて言っても、正規の隊員じゃないんだし」
奈緒「ついさっき戦闘があったばっかりってのもあるしな。パイロット各員は戦闘配備が解除になるまでは現状で待機、だってさ」
加蓮「そう言う奈緒さんの退院後の観察もしなきゃいけないしね。いい機会って事だよ」
奈緒「人を重篤患者みたいに言うな。ただショックで気絶してただけじゃんか。それをわざわざ医務室まで運んで大袈裟に…」
加蓮「え~?アタシ達なりに心配した結果なのに…。奈緒はそれを迷惑だって言うんだ?」
奈緒「え…あ、いや、何だよ…。急にしおらしくなるなよ」
李衣菜「加蓮、本気で心配してたよ?意識失ってる加蓮の横で、『このままずっと目が覚めなかったらどうしよう』って」
奈緒「そ…そうなのか…?」
茜 「確か、李衣菜さん達が相手にしたメタルビーストは、精神攻撃をしてきたんでしたよね?」
アーニャ「Да…そう、聞いてます。Дух…精神…つまり、脳、ですから。受けたダメージが、深刻だったら…」
美穂「後遺症、何て事もあり得たかもしれないんだよね…。本当に目が覚めなかったり…」
加蓮「……」
奈緒「な、何だよ美穂達まで一緒になって!あたしはほら、実際なんともなくてこんなピンピンしてるんだしさ!いいだろ、それで」
李衣菜「いや、まぁ奈緒が無事で私達も安心してるんだけどさ。でも、意識失ってる間はどうなるかも分かんなかったわけだよ?」
奈緒「うっ…。それは…」
美穂「大袈裟って言うのは、言い過ぎじゃないかな?」
奈緒「う~…。わ…悪かったよ…」
アーニャ「…それだけ、ですか?」
奈緒「あ~…。…心配掛けて、ごめん…」
加蓮「……」
李衣菜「加蓮?」
加蓮「……許すっ♪」
奈緒「え…あ…あーーーっ!また…またやりやがったな!しかもみんなで!」
李衣菜「あっははっ」
美穂「あはは…。その、ごめんね?」
アーニャ「Прошу прощения…ごめなさい、奈緒」
茜 「えっ!?やったとは何の事ですか!?何か示し合わせて…ドッキリですか!?」
奈緒「くそぉ~!天然は茜だけかよ!」
美穂「う、うぅん…違うよ?私達も、別に相談とか打ち合わせとかしてたわけじゃないよ?ただ…」
アーニャ「雰囲気で、察しました」
李衣菜「まぁ、何時もの事だしね~」
奈緒「お前らぁ…!」
加蓮「えへへっ♪」 ダキッ
奈緒「お、おいちょっと加蓮!何だよ、いきなり…」
加蓮「心配してたのは、ホントだよ?」
奈緒「うっ…」
加蓮「だから、このまましばらく奈緒を髪の毛もふもふの刑に処~すっ」 モフモフモフモフ
奈緒「なァ!?な、何だよそれ!意味分かんないぞ!…ってうわぁあ!?やめろ!髪の毛の中に入ってくるなぁ‼」
加蓮「━━‼」 モフモフモフモフモフモフモフッッ
奈緒「一心不乱にもふもふするなぁ‼」
美穂「相変わらず仲良しだね」
李衣菜「いやぁ、死線を潜る度に仲良くなってるよ。あの二人は」
アーニャ「少し、見習いたい、ですね!」
茜 「日本に帰ったら、私も藍子ちゃんにやってみましょうか!」
奈緒「お前らも見てないで助けてくれぇ!」
茜 「それにしてもこのテキサスは広いですね!」
奈緒「おいっ‼」
美穂「ホント、一回周って見ただけじゃ、とてもじゃないけど覚えられないよ」
李衣菜「まぁテキサスも軍艦だから。全部覚えようとすると複雑で難しいけど、パイロットの私達はすぐ出撃出来るように格納庫に行く道と、何かあった時のブリッジと、会議とかやるブリーフィングルームの位置を覚えとけば何とかなるかな?」
アーニャ「格納庫、はこの道を真っ直ぐ、ですね」
李衣菜「うん。ここはパイロットの私室がメインの居住区だから。スクランブルに応じれるように、格納庫がすぐ隣になってるんだって。代わりに売店がちょっと遠いし、たまに格納庫の騒音がうるさいけど…」
茜 「売店は構いませんよ!ドルは持ってませんから!」
李衣菜「あぁそっか、換金してないから…しようとしても出来ないけど。それじゃあ、仕方ないね」
茜 「それでは、後はここのパイロットの皆さんとの顔合わせだけですね!」
アーニャ「アー…ですが、他の人達、何処にもいませんね?」
美穂「そう言えば…」
李衣菜「おっかしいな~。何時もは格納庫か、この辺ぷらぷらしてるんだけどな、みんな」
美穂「そんな、待機してるのにぷらぷらは失礼だよ」
李衣菜「いやいや、待機中だって哨戒とか色々あるけど、艦内にいる時はみんな大体自由だし、ボブとかサムはたまにポテトとハンバーガー作って持ってきてくれるし」
美穂「は、ハンバーガーを…?」
李衣菜「このくらいの時間となるとう~ん…。あ、今テキサスってアラスカの海峡に出たところだよね?」
アーニャ「Да!もうすぐロシア…ですね」
美穂「ふふっ、やっぱりちょっと嬉しい?」
アーニャ「はい…。不謹慎、だと思います。けど…ちょっとだけ」
茜 「それで、それが何か関係が?」
李衣菜「だとしたらあそこかも」
美穂「あそこ?」
奈緒「おぉいっ‼あたしを抜きにして勝手に話を進めるなぁ‼」
━━ デッキ。
李衣菜「━━ほらいた!おーい、みんな~!」
ジャック「Good morning!リーナ…それと…ナオ、二人羽織りですか?」
奈緒「…まぁ、そう言うことにしといてくれ」
加蓮「~~~っ♪」 モフッ モフッ
ジャック「?」
ボブ「それよかよ、リーナ。その、後ろにいる可愛い娘ちゃん達を紹介しに来たんだろ?早く紹介してくれよ」
茜 「か、可愛っ…!」
李衣菜「もう、ボブはすぐそう言うこと言う」
ボブ「何だよ?俺、ホントの事言っただけだぜ?」
李衣菜「そうかもだけど…。茜はそう言うストレートなのに弱いんだから…」
茜 「~~~っ///」プシューッ
サム「あ、熱っ!何だこのネェちゃん…。ヒーターもビックリだぜ」
ボブ「はっはっ、世界一かわいい暖房器具ってところか?」
奈緒「茜を器具扱いするなよ」
茜 「せ、世界一…かわいい…!」
アーニャ「はいっ♪アカネは、カワイイ、ですよ?」
茜 「~~~っ///」
美穂「あ、アーニャちゃんも、そこまでにしてあげて…」
奈緒「で?待機中のパイロットが揃いも揃って、こんなところで何やってるんだ?」
メリー「何って、見ての通りよ」
ジャック「It's Fishing!釣りデース」
アーニャ「……」
美穂「あ、アーニャちゃん、どうかしたの…?」
アーニャ「Не чтоーнибудь…何でもないです」
ジャック「A-Ha?」
奈緒「あ~…そ、それで、どうしたんだ?いきなり釣りなんてさ」
メリー「前回の戦闘で私達、補給もそこそこにアラスカの基地を出ちゃったでしょ?」
李衣菜「うん…。あの戦闘じゃ、もう仕方ないけど…」
メリー「それで、食料の方が心許ないのよ」
サム「今後の戦闘を考えると、俺達のマシンの整備何かのための資材を優先するのは分かるんだけどな」
ボブ「だからこうして手が空いてる俺達で食料調達って訳さ」
サム「上手くいきゃぁシーフードカレーくらい作れるぜ」
茜 「シーフードカレー!」
李衣菜「でもさ、釣りじゃあ効率が悪いんじゃないの?このテキサスにだって何千人って人達がいるんでしょ?」
ボブ「そりゃそうだけどさ、テキサスだって漁船じゃねぇんだし。本格的な漁ったってなぁ…」
加蓮「それなら、いい方法があるよ」ボフッ
奈緒「わぁ!加蓮!?」
加蓮「何~?アタシだって何の話も聞いてなかった訳じゃないよ?」
奈緒「そう言う話をしてるんじゃなくてな…。あと、人の髪の間から顔出すな」
ジャック「それで?そのNice ideaとは何デスか?」
加蓮「ま、ここはアタシに任せなさいって」
ボブ「?」
━━。
…ポーン ポーン ポーン…
加蓮「……」
李衣菜「……」
奈緒「…いたぞ、加蓮!4時の方向に魚群だ!」
加蓮「フィンガーネット!」
言われた方角に、フィンガーネットを放射。
李衣菜「掛かった?」
奈緒「多分な。加蓮、網を引いてみろ」
加蓮「リョーカイ。よいしょ、っと」
網を手繰り寄せると、大きく膨らんだ網が。
加蓮「よ~しよし♪大漁大漁~。意外と出来るもんだね~」
上機嫌な動きで、魚の詰まった網を回収する。
奈緒「間違っても電流流すんじゃないぞ?」
加蓮「それはそれで、この場で調理できていいんじゃない?」
李衣菜「え~?私は久しぶりにお刺身とか食べてみたいな~」
奈緒「ネオゲッターの電力じゃ、その前に跡形残らず消し飛ぶだろ!」
加蓮「大丈夫、その辺は電力調整するから」
李衣菜「それにしても、考えたよね。ネオゲッター3のフィンガーネットで魚獲りなんて」
加蓮「でしょ~?漁業用の網はなくても、ネオゲッター3の網なら、魚でもメタルビーストでも何でもござれだからね」
奈緒「気持ちと事情は分かるけどさ、艦長もよく許可出してくれたよな。こんなの、兵器を私用で使うのも一緒だろ」
加蓮「まぁ、部隊の士気も胃袋からって言うし」
奈緒「言うのかぁ?」
李衣菜「まぁまぁ、ご飯の問題は私達の明日の士気にも関わるんだからさ。この調子で、ドンドン獲ってこうよ」
サム「おーい、加蓮ちゃ~ん!」
加蓮「ボブ、サム!」
ボブ「コンテナを用意してやったぜ。捕まえた魚はここに入れてくれ!」
加蓮「はいは~い。せーの、っと!」
網を縛り上げてロボ・ストーンが抱えるコンテナに放り投げ、入れる。
ボブ「よぉし、っと。にしても、一度にかなり捕まえたなァ」
サム「こりゃ、腕によりを掛けて、カレーを作ってやんなきゃな」
加蓮「そうして。茜もきっと喜ぶよ」
莉嘉『い~な~。アタシもカレー食べたいよ~』
李衣菜「へへ~ん、残念でした~♪」
奈緒「ん?」
李衣菜「って、莉嘉ぁ!?」
莉嘉『気付くの遅いよ~!』
ボブ「へぇ?また可愛い娘ちゃんかい」
サム「ホント、リンダが選り取り緑で目を回しちまうぜ」
奈緒「い、いやいや、いくらリンダでも、流石に莉嘉は…」
サム「どうだろうな?子猫を可愛がるくらいするかも知れねぇぜ?」
奈緒「……」
加蓮「ま、まぁ直接接触させなきゃ大丈夫じゃない?」
李衣菜「え?え、え…えぇ?ゲッターのパイロットでもない莉嘉が、何で?何でこんなところに?」
加蓮「どうしても何も、クジラに乗ってきたんでしょ?」
莉嘉『へへ~☆ま、そう言うこと』
主任『得意気に言ってんじゃねぇ!この密航者め!』
ポカッ
莉嘉『いった~い!』
奈緒「密航だってぇ?」
晶葉『あぁ。政府にも存在を知らせていない、秘密工場だぞ?全く、どうやって忍び込んだものやら…』
莉嘉『へへっ☆かくれんぼは得意なんだよ!」
主任『そう言う特技は、友達と遊ぶ時に生かしやがれ!ったく…美嘉ちゃんになんて言やぁいいんだか…』
加蓮「…莉嘉、一応聞くけど、今がどんな状況下分かってるよね?」
莉嘉『勿論だよ!アタシだって、100%遊ぶつもりで来た訳じゃないんだから』
奈緒「逆に心配になる言い方するよなぁ」
莉嘉『アタシにだって出来ることくらいあるよ!料理だって、お洗濯だってお姉ちゃんから教えてもらってるし。戦ってるみんなの助けになりたいって、アタシなりに考えてきたんだもん!』
加蓮「…ふぅん。ま、それが口だけじゃないことをアタシは信じるよ」
李衣菜「ここでどう言ったって、もう日本には引き返せないんだもんね…」
晶葉『李衣菜の言うとおりだ。出発前に気付けなかった私達にも落ち度はある』
主任『ま、こうなりゃ俺が責任もって見張っといてやるから安心しな。下手なことはさせねぇ』
李衣菜「大将が付いててくれたら安心だね」
莉嘉『えー!何でよりにもよって大将なの!?』
晶葉『当然だろう。私にはゲッターを管理する責任者として、やらなければならないことがある。卯月達もパイロットである以上、常にお前の傍に付いてやれる訳じゃないからな』
莉嘉『ちぇ~…』
主任『とんでもない船に自分から乗っちまったと思って諦めるんだな』
莉嘉『…ま、いーや☆これからヨロシクね、大将!』
主任『……』
李衣菜「流石に大将も、莉嘉には敵わないみたいだね…」
ウゥゥゥゥゥン… ウゥゥゥゥゥン…ッ
サム「何だ!?」
加蓮「…ランドウ!━━…っ!?」
テキサスの警報が鳴り響いた直後、ネオゲッター3の脚に何者かの触手が絡み付き、ネオゲッター3を水中へと引き摺り込む。
加蓮「しまった…何……っ!?」
李衣菜「ネオゲッター3が、海に引き摺り込まれる…!?」
奈緒「ともかく、この触手を千切らないとヤバイぞ…!加蓮!」
加蓮「う…うん…!このっ…!」
ネオゲッター3の剛腕で、強引に絡み付いた触手を引き千切る。
加蓮「これで…!」
奈緒「今の触手、見覚えあるけど、まさか…」
李衣菜「あれ!確か前にみんなが言ってた…ドラゴノザウルス…!」
ドラゴノザウルス『ギャァオォォォンッッ‼』
李衣菜「確か、加蓮と奈緒は、一回アイツに負けてるんだよね」
奈緒「イヤな事思い出させてくれる奴だな…。しっかし、アイツはもう絶滅したんじゃなかったのか?」
晶葉『ひょっとすると、ランドウが再生させたのかもしれない』
李衣菜「そんな事も出来るの?」
晶葉『プロフェッサー・ランドウは、科学者としてあらゆる分野に精通していた。遺伝子工学の類いも、或いは』
奈緒「マジかよ…」
加蓮「どっちにしても、まさかこんなところでリベンジの機会が来るなんてね…!」
奈緒「や、やる気か…?」
加蓮「何怖じ気づいてんの。あんなデカブツをテキサスに接近させるわけにはいかないし、水中戦ができる戦力は限られてる。そうでしょ、ボブ」
ボブ『すまねぇ!ロボ・ストーンは見た目通りカナヅチなんだ!』
加蓮「気にしなくっていいって。たまにはアタシを頼ってくれても、罰は当たらないよ」
サム「あぁ!帰ったらとびきりのカレーを御馳走してやる!」
加蓮「何時ものポテトもヨロシクね。それなら、アタシもっと張り切っちゃうから」
サム「OK!胃が破裂するまで喰わしてやるぜ!」
奈緒「加蓮相手にジョークでもそれはやめろォ‼」
ボブ「サム、ジョークを言ってるのもそこまでみたいだぜ。奴さん、空からもお出ましだ!」
サム「OK、兄ちゃん!テキサスを守るぜぇ‼」
奈緒「…ランドウの連中、追撃の手を緩める気はないみたいだな」
加蓮「まったく、お客さんが多くて、ファンサービスも楽じゃないね…っと!」
ドラゴノザウルス『━━キャシャァァアアアッ‼』
ドラゴノザウルスが放った無数の触手を躱す。
加蓮「ネオゲッター3の水中での機動性を、舐めてもらっちゃ困るよ」
李衣菜「けど、ランドウが水中からも攻めて来てるって事は…!」
水竜型メタルビースト≪━━‼≫
メカザウルス・ジガ『ギャアアアッ‼』
メカ海王鬼「━━ッ!」
李衣菜「やっぱり!ドラゴノザウルスだけじゃ終わらせてくれないよね…」
奈緒「懐かしの再生怪人オールスターってとこか…」
李衣菜「ランドウにしたら何時もの事だけど、水中戦用のメカザウルスとかは滅多に見ないから、余計懐かしく感じるよ」
加蓮「でも、見覚えがないのも何体かいるみたいだよ」
メタルビースト・クラブ≪……≫ ギチギチ…
奈緒「ホントだ。何だありゃ、蟹か?」
李衣菜「蟹と言えば、アーニャは北海道育ちだったっけ」
加蓮「なら、蟹の捌き方はアーニャが来てから聞いてみよ」
奈緒「まずあの蟹でアーニャを連想するのを止めてやれよ…」
━━。
橘 『━━ゲッターチーム各員、出撃準備はいいか?』
みく「何時でもバッチコーイにゃ!ナナちゃん、腰の調子はもう大丈夫?」
菜々「だ…だだだ、大丈夫ですよぉ!けど、休む時間も与えてくれないんですね」
瑞樹「向こうは機械だもの。こっちと違って、休む必要なんてないわよ」
菜々「はぁ~…。休まなくても疲れない機械のからだ、ですか…」
瑞樹「悪くないわね。もう二日酔いや腰痛に悩まされなくなるわよ?」
菜々「そうですねぇ…。特に最近は缶一本でも翌朝キツくて…って、違いますよ!?」
瑞樹「誰に何の言い訳してるのかしら?」
菜々「うぅ~…!大丈夫です!人間は努力と根性でいくらだって限界を越えられるんです!」
瑞樹「そうね。アンチエイジングの必要もないなんて、逆につまらないわよね」
みく「ナナちゃん!瑞樹さん!何時までお喋りしてるにゃ!後ろが使えてるんだから、さっさと出撃するよ!」
瑞樹「了解よ」
菜々「は、はいっ!」
凛 「…発進口は一つしかないから、出撃するにしても順番待ちか…」
晶葉『すまないな。クジラの構造上、どうしてもな』
凛 「いいよ。お陰でこっちは、ゲッターD2のマニュアルを確認できたから」
晶葉『使えそうか?』
凛 「真ゲッターより扱いづらいゲッターなんてそうそうないよ」
晶葉『確かにな』 フフッ
卯月『凛ちゃん…その、無理しなくてもいいんですよ?D2なら、私も乗ったことありますから…』
凛 「卯月が離脱してた間の一年、私が1号機のパイロットをしてたの忘れてる?」
かな子「でも、ゲッター1は卯月ちゃんの方が乗り慣れてるのはそうだし…」
晶葉『経験で言えば、凛のゲッター搭乗時間はこの中で一番長い。過度に心配する必要はないだろう』
凛 「そう言うこと」
卯月『…そうですね。ごめんなさい、引き留めちゃって』
凛 「気にしないくていいよ。卯月が心配してくれるのは分かるから。けど、今日まで卯月には真ゲッターで頑張ってもらったんだし、たまには私も頑張らないと」
卯月「行ってらっしゃい、凛ちゃん」
凛 「うん。行ってくる」
凛 (これで少し、卯月をゲッターから離せればいいんだけど、焼け石に水かな)
かな子『卯月ちゃんと一緒に作ったパインケーキ、帰ってくる頃には出来てると思いますから、そっちの方も楽しみにしててくださいね♪』
凛 「パインのケーキなら、生きて帰ってこれそうだね」
かな子『何の話ですか?』
凛 「こっちの話。ゲッターD2、発進するよ!」
クジラの口からゲッターD2が飛び出していく。
凛 「あ……っと」
凛 (空中での姿勢制御もオートでやってくれるんだ…)
凛 「んっ…」 グッ
レバーを引き、高度を上げる。
凛 (上昇の負担は少ないし、レバーの感覚は滑らか…。真ゲッターほど鋭さはないけど、扱いやすさって言う面では、このくらいが丁度いいのかも)
凛 「でも…足りない、かな…」
美波「何か言った?」
凛 「ううん、お待たせ。美波、みんな」
先に出撃していたブラックゲッターや、既に合体を終えたゲッター1と合流する。
美波「ふふっ、何だか新鮮ね。凛ちゃんがゲッター1号機に乗ってるのって」
凛 「茶化さないでよ。一応、初めて乗るゲッターだし、緊張はしてるんだよ」
美波「とてもそうは見えないけど、フォローは任せて!」
凛 「胸は借りるつもりでいくよ」
瑞樹「気楽にいきましょう。気負うだけ損よ」
凛 「瑞樹さんの言うとおりかもね。さてと、敵はランドウの航空戦力…初めて見るタイプだ」
メタルビースト・ビーン≪……≫ ブブブ…
みく「可愛いげのないてんとう虫にゃ!」
菜々「うわぁ…お腹とかリアルですね~…」
瑞樹「生理的に無理なのは認めるけど、コックピットには吐いちゃダメよ?アイドル的にも」
菜々「が…頑張ります…っ」
ビーン≪━━‼≫
みく「にゃっ!?」
ビーンの体後部から撃ち出されたニードルを、ゲッター1を翻して躱す。
みく「撃って来たにゃあ!この…!喧嘩上等買ってやるから覚悟しろにゃあ‼」
右腕にゲッターマシンガンを抜き打つ。
凛 「…喧嘩っ早いんだから」
美波「あ、凛ちゃん待って!」
凛 「どうしたの?」
美波「下の方から、ステルバーが……きゃっ!」
下から高速で急上昇してきたステルバーとブラックゲッターがすれ違い、ブラックゲッターの体勢が崩れる。
凛 「美波、大丈夫?」
美波「だ、大丈夫…。直接ぶつかってはいないから…」
凛 「もう、何なの?」
美波「メタルビーストの迎撃のために上がってきてくれたんだと思うけど…」
凛 「でも、様子が変だよ。前に出すぎだ」
みく「うにゃ!?」
シュワルツ「邪魔だ!ロートルはスッ込んでろ!」
菜々「ろ、ロートル…?!」
瑞樹「大丈夫よ、菜々さんの事じゃないわ!」
菜々「わ、分かってますよ!分かってますよぉ…」
みく「こっちの足並み崩して邪魔なんて、喧嘩売りに来ただけなら黙ってテキサスの護衛でもしてろにゃ!」
シュワルツ「ウッセェ‼今の俺はムシャクシャしてんだ!ランドウの野郎…!ズタズタにしてやらねぇと気が済まねぇ‼」
前方に展開するビーンの大群にめがけ、STブラスターを乱れ撃つ。
菜々「な、何なんですか?本当に…」
瑞樹「分からないけど、文句を言うだけ無駄みたいね。みく、ステルバーの射線には入らないように注意して。私達はステルバーの後ろに回って、敵機の迎撃よ」
みく「またみくがフォローしてあげなきゃいけないの~?」
瑞樹「言いっこなしよ。今の状態の私達じゃ、戦力が一つ欠けるだけでも大変なんだから。感情よりも、現実を優先して、ね?」
みく「…分かったにゃ。くぅ…この、アメリカ野郎!後で本場の美味しいステーキの店教えるにゃぁ~ッ‼」
ジャック「━━やれやれ、シュワルツにも困ったものネ!」
メリー「困った、くらいじゃすまされないわよ。兄さん」
サム「そうだぜ。俺が知ってるシュワルツって奴は、確かに口は悪ィが職務と作戦の遂行には真面目な軍人のはずだぜ?それが自分から隊列を乱すなんてよ…」
リンダ「男なんて、何時もそう言うものでしょう?…勝手で」
ジャック「…ともかく、応答しても帰ってこないなら連携も期待するだけムダだゼ。テキサスの護衛は残ってるミー達だけで何とかしまショウ」
ボブ「でもよ、水中からも敵が攻めてきてるんだぜ?」
メリー「今は、カレン達が対応しているようだけど…」
芳乃「水中戦ならばー、わたくしのゲッターすりぃの出番でしてー。芳乃にお任せをー」
美穂「うん。私達のゲッター3なら!」
サム「待てよ。それじゃあ、まともに空中戦が出来るのはジャックのテキサスマックだけになっちまうぜ」
ジャック「No,Problem. と言いたいところデスが、流石に強がってる場合じゃないネー」
メリー「せめてあと1機、航空戦力がほしいわね」
リンダ「それなら、水中には私が行くわ」
アーニャ「リンダ、が…ですか?」
リンダ「えぇ。元々、私のキングダムは海戦用なのよ」
鉄甲鬼「ならば、後は我々とチーム飛焔、どちらが行くかだが…」
美穂「私が行きますっ!」
芳乃「ほー?」
美穂「茜ちゃんとアーニャちゃんは、前の戦闘で活躍したし、折角の水中戦だもん。私だって、出来ることをやらなくちゃ!」
芳乃「ならばー、美穂さんにお任せ致しましょー」
ニオン「気合いを入れすぎて、ドジを踏むんじゃないぞ」
美穂「はいっ!お願い、茜ちゃん!」
茜 「りょーかいしましたァ‼頼みますよ~ッ‼」
茜 「オォープンゲットォオッ‼」
美穂「チェンジ!ゲッター3ィッ‼」
豪快に水飛沫を上げ、プロト・ゲッター3が、海中に潜水する。
美穂「加蓮ちゃん達は…」
茜 「美穂さん!敵が来ますっ!」
美穂「‼」
メカザウルス・ジガ『キシャァァァアアッ‼』
メカ海王鬼「━━‼」
リンダ「露払いは任せなさいな!」
プロト・ゲッター3の前方に立ったキングダムが、魚雷を発射して群がる敵を払い除ける。
リンダ「貴女はネオゲッターのところへ向かいなさい!」
美穂「ありがとうございます!リンダさん!」
アーニャ「ミホ。カレン達、見つけました。ここから下に45度、方角6時の位置です」
美穂「よ~し…!」
加蓮「━━やぁッ!」
ガンッ
巨大なハサミでネオゲッター3を捕縛したメタルビースト・クラブの背中めがけ、両拳を固めたアームハンマーを振り下ろすが、
加蓮「堅い…!」
奈緒「蟹の見た目してるのは伊達じゃないな…」
李衣菜「いっそのことなら脱皮してくれればいいのに」
クラブ≪━━≫ ギギギ…
ハサミに挟まれたネオゲッター3の装甲が軋む。
李衣菜「わわわっ!加蓮!ど、胴体は1号機なんだから!早く何とかして‼」
加蓮「そう言われてもね…」
美穂「やぁあっ‼」
クラブ≪!?!?≫
プロト・ゲッター3の拳がクラブを吹き飛ばし、ネオゲッター3を解放する。
美穂「加蓮ちゃん、みんな!大丈夫!?」
奈緒「その声、そのゲッター美穂のか!?」
美穂「え?う、うん。そうだけど…」
李衣菜「な、何て言うか…、厳つい顔付きだね…?」
加蓮「そだね。あとちょっと悪っぽい」
奈緒「加蓮!」
美穂(そ、そうかなぁ…?)
アーニャ「! …ドラゴノザウルスが、来ます!」
ドラゴノザウルス『ギャォォォオオンッ‼』
美穂「…!」
リンダ「雑魚は私が引き受けるわ!貴女達はドラゴノザウルスを!」
美穂「分かりました!茜ちゃん、アーニャちゃん、動力はゲッターエネルギーだけにして、プラズマエネルギーを両腕に集めて!」
茜 「分かりました!」
アーニャ「任せて、下さい!」
美穂「行くよ…!私のゲッター3!!」 グンッ
操縦桿を強く前に押し出して、ドラゴノザウルスに突貫。
ドラゴノザウルス『シャァァアアアッ‼』
美穂「やぁああああ~っ‼」
プロト・ゲッター3に襲い掛かった、竜頭の付いた触手の、その頭に拳を叩き込み、
美穂「ゲッターパンチッ‼」
粉砕。
美穂「たぁあっ!」
突き出した右腕を引き戻す動きに合わせて、左の拳を、ドラゴノザウルスの胴体に直撃させる。
ドラゴノザウルス『!?』
茜 「やれます!行けますよ‼」
ドラゴノザウルス『ッ‼』 ガスッ
美穂「うぁ…っ!」
クロスレンジで打ち合うプロト・ゲッター3に抗うように、再度から放った触手がプロト・ゲッター3脇腹に刺さる。
ドラゴノザウルス『キシャァアアアッ‼』
美穂「きゃあぁああっ‼」
そのまま、プロト・ゲッター3を振り切り、岩礁に叩き付ける。
美穂「ぐぅ…うぅ…」
茜 「大丈夫ですか!」
美穂「だ、大丈夫…!まだまだだよっ!」
崩れた岩礁の中から、プロト・ゲッター3を起こす。
ドラゴノザウルス『ガァアッ‼』
美穂「っ!」
加蓮「ゲッタートルネード‼」
ドラゴノザウルス『!?』
美穂「加蓮ちゃん!」
加蓮「このまま噛ませ犬で終わらせるつもりは、ないよ!」
茜 「よぉ~し!一緒にしてやりましょう‼」
加蓮「こっちで向こうの気を引いておくから、その内に態勢を立て直して!」
言って、拳を突き出してドラゴノザウルスに突撃。
アーニャ「今の内、です。各部チェックを…」
美穂「そう言えば、ドラゴノザウルスって生き物なんだよね?」
アーニャ「あー、そうですね。динозавр…恐竜の生き残り、それが進化したモノ、という話でしたね」
茜 「それがどうかしたんですか?」
美穂「それなら…!」
プロト・ゲッター3の姿勢を海底で安定させ、
美穂「茜ちゃん、プラズマエネルギーの出力最大!加蓮ちゃん、ドラゴノザウルスから離れて!」
茜 「はいっ!」
加蓮「何?」
美穂「行くよ!」
幾つも関節が連なる、プロト・ゲッター3の多節腕。その左腕を左方向に、右腕を右方向に。それぞれの向きに合わせて回転。次第に速度を上げていく。
美穂「プラズマスクリュー‼」
そして、生み出されるのは、プロト・ゲッター3の両腕から放たれるプラズマを帯びた潮流。2つの激流によって、相手の動きを抑え、確実にダメージを与える破壊の渦。
加蓮「何これ…スゴ…」
奈緒「ネオゲッターには真似できない芸当だな…」
李衣菜「ウッヒョー‼美穂、最高にロックだよ!そのまま一気に行けぇ~~っ‼」
美穂「やぁぁぁあああああ~‼」
プラズマスクリューの勢いでドラゴノザウルスを押し出し、そのまま海上へと打ち上げる。
美穂「次は!」
プロト・ゲッター3、浮上。
美穂「この、ゲッター3の火力で‼」
ガシャンッ
プロト・ゲッター3の前面の装甲が開き、中から無数のミサイルが顔を覗かせる。
美穂「お願い…!ナパームレインッ‼」
ドラゴノザウルス『!?!?!?』
プロト・ゲッター3から放たれたミサイル、それが空中のドラゴノザウルスに当たって弾け、中に詰め込まれたナパームが燃え上がり、ドラゴノザウルスの細胞を焼き尽くしていく。
美穂「トドメは…!」
加蓮「アタシの出番?」
美穂「はいっ!」
海面から上半身を突き出したネオゲッター3が、黒く焦げたドラゴノザウルスをその背中のホーンに突き立てる。
加蓮「プラズマブレイクッ!」
真っ黒く焦げて炭化したドラゴノザウルスを、プラズマブレイクで内側から粉砕して破壊。砕け散った残骸が海に沈む。
加蓮「あちゃ~…、ちょっとやり過ぎちゃったかな?」
奈緒「でも、これで一番厄介な相手は片付けられたな」
加蓮「美穂のお陰だよ」
美穂「そ、そんな事…」
茜 「いえ、立派な戦いでしたよ!」
アーニャ「ゲッター3の性能、しっかり、引き出してました」
李衣菜「本当なら美穂の攻撃でトドメだったんだけどね~」
加蓮「いいじゃん。トドメを指すなら念入りに、ね」
奈緒「おいおい、まだ敵が残ってるのを忘れるなよ?」
茜 「そーですね!美穂さん、まだやれますか?」
美穂「心配しないで!何時までもリンダさんに他の敵を任せておけないもん!」
李衣菜「よ~し、この調子で、みんなでアラスカ脱出だぁ~‼」
つづく
次回予告
シベリア大陸に到達したテキサスとクジラの連合艦隊。
広大な白銀の大地で、李衣菜達を待ち構えていたのは、ランドウのメタルビースト軍団と意外な敵であった。
敵の猛攻を退けて、シベリア横断を試みる連合艦隊。そこに、ロシアが誇る鉄壁の城塞が姿を現す━━。
次回 ゲッターロボ×CG・第3部
第15話『シベリアの城塞!超兵器・ボルガ‼』に、チェンジゲッター!