~~~ ドラゴンタートル 司令室 ~~~
ヤシャ「ラセツゥッ‼」
ラセツ「これはこれは、ヤシャ将軍。…いえ、元でしたか。ランドウ様からも信用を失い、ドラゴンタートルを降ろされ、前線送りにされた貴方が、今更ここに何用か?」
ヤシャ「どうもこうもない!テキサスは目前まで迫ってきているのだぞ!?何故ドラゴンタートルの速度を上げぬのだ!」
ラセツ「何を言うかと思えば。獲物が自らその首を差し出しに向かってくるのだぞ?功を立てる折角の好機をみすみす見逃せと言うのか?」
ヤシャ「ドラゴンタートルは、このままロシアを抜けて、ヨーロッパを侵攻中の大隊と合流する手筈だったはずだ」
ラセツ「では、貴公は今再び、ランドウ様に恥の上塗りをしろと、そう仰られるのか?」
ヤシャ「何…っ!?」
ラセツ「ボルガを戦力に加えたとはいえ、所詮はにわか仕込みの烏合の衆…。そのような有象無象を相手に、このドラゴンタートルが背を向けたとあっては、ランドウ様の侵攻作戦に影を落とすことにもなりかねんだろう?」
ヤシャ「大局を見て物を言えっ‼連中が何の策も無しに飛び込んでくるわけがなかろう!手痛い反撃を受けて、ドラゴンタートルが行動不能となれば、結果は同じだぞ‼」
ラセツ「敵の考える手など、たかが知れているだろう?奴等がドラゴンタートルを落とすにはボルガの超ウェポン砲と、テキサスのドーバー砲に頼るしかない。逆に言えば、そのどちらかを破壊しさえしてしまえば、連中の思惑は潰える」
ヤシャ「ドラゴンタートルの速度を上げろ。ラセツッ!」
ラセツ「…イヤだと言ったら?」
ヤシャ「……」
ランドウ兵「「「……」」」 ザッ
ラセツ「ほう…。貴公もはじめからそのつもりでおいでか」
ヤシャ「全ての者が、貴様に従っているわけではないぞ。ラセツ!」
ラセツ「私を撃って、このドラゴンタートルを奪い返すつもりか」
ヤシャ「私は、我が命の創造主たるランドウ様に絶対の忠誠を誓っている。ランドウ様の覇業の妨げとなるものは、何であろうと排除する。獅子身中の虫には、ここで消えてもらうッ‼」
ラセツ「愚か者が…!忠誠を示すだけでは戦には勝てぬぞ‼」
ヤシャ「撃てぇッ‼」
ランドウ兵「「「━━‼」」」
~~~ ウラル山脈 ~~~
李衣菜「━━いくよ!凛、加蓮!ゲッターチェンジだっ‼」
凛 「分かった!」
加蓮「この3人で合わせるの、初めてだからってお手柔らかにはいけないからね」
凛 「任せてよ。ゲッターの合体なら、2人よりは場数を踏んでる」
李衣菜「その経験を頼りにさせてもらうよ!━━ゲッターチェンジ‼」
ネオゲッター1に合体し、地中から姿を現せ、未だ地上にいるメタルビースト・ガローンに組み付く。
ランバート「小娘風情が…ッ!」
李衣菜「ハンディミサイルキャノンは温存しておきたいから…!」
ネオゲッター1の両腕でガローンの肩を抑え、鳩尾に膝蹴りを叩き込む。
ランバート「うっ…!」
李衣菜「そのまま寝っ転がりなよ!」
体勢の崩れたガローンを、勢いに任せて押し倒す。
李衣菜「ショルダーミサイルッ‼」
ランバート「ぬぉ…!?」
零距離からのショルダーミサイル。ネオゲッター1の周囲が、巻き上がった爆炎と雪で包まれる。
凛 「~…っ!李衣菜、あまりゲッターに影響が出るような戦い方は…!」
加蓮「戦闘中のリーナに何言ったって無駄だって」
凛 「卯月より操縦が乱暴なんてね…!」
李衣菜「まだまだァ‼」
ランバート「そうそう貴様の思い通りに…させるかァ‼」
李衣菜「うわぁっ!?」
ガローンの双眸から放たれた破壊光線を、反射的に飛び退いて躱すが、拘束の解けたガローンは体勢を立て直しを完了する。
李衣菜「まったく、迂闊に飛び込めもしないよ」
凛 「さっき飛び込んだでしょ」
ランバート「ふんっ。貴様らから首を差し出すと言うなら丁度いい」
李衣菜「へんっ。剣の勝負なら負けないんだから!」
凛 「待って。今ネオゲッター1の両手、ハンディミサイルキャノンで埋まってるから、ソードトマホークは使えないよ」
李衣菜「え?」
凛 「どうしても使いたいんなら、ハンディミサイルキャノンをパージするしかないね」
加蓮「流石にそれは勿体ないって」
李衣菜「新装備がネックになるなんて━━!」
ランバート「問答無用ッ!行くぞ‼」」
李衣菜「うわぁ~っ!」
振り被ったガローンの曲刀の一太刀が、ネオゲッター1の表装を掠る。
李衣菜「ひぃ~!あんなのまともに喰らったら、ゲッターと一緒に三枚におろされちゃうよ!」
凛 「リアクションしてるくらいなら距離とって!そんなんだからバラエティ向きだってプロデューサーにも言われてる!」
李衣菜「えっ!?プロデューサーそんなこと言って…ってツッコんでる場合じゃな~い!えぇーい、来るなぁ‼」
温存したいと言っていたハンディミサイルキャノンを乱射しながら、ガローンと引き離そうと距離をとる。
卯月「李衣菜ちゃん!今、加勢に…!」
ジャック「そんな暇はなさそうだゼ!上からも来やがっタ‼」
メタルビースト・ビーン≪━━‼≫
晶葉『あの隊長機の奇襲が成功したら、本隊が一気呵成に攻めてくる作戦か』
ジャック「Theory通りって訳かヨ!」
メリー「しかも結構な数…。悪いけど、リーナの方に気を遣ってる余裕はないわね」
卯月「そんな…!」
ボブ『晶葉ちゃん、聞こえるかい?ロボ・ストーン、出撃するぜ!』
晶葉『正気か?今ここでロボ・ストーンを降ろせば、積み込み作業を一からやり直しだぞ』
ボブ『俺達のロボ・ストーンを最後に積んじまったせいで、後ろがつかえて出れねぇんだろ?』
サム『一旦俺達を降ろせば、他のマシンも出撃できる。状況は多勢に無勢だ。援軍を出してとっととケリを着けちまった方が早いぜ!』
茜 『考えている余裕はありませんよ!私達がこうしてる間にも、テキサスもボルガも、それぞれの場所で戦っています‼』
美波『そうね…。みんな、苦戦してるかもしれないけど、だけど、ボルガやテキサスの艦長だって、私達が先にドラゴンタートルに仕掛けてるって信じてるんだものね』
茜 『私もそれを信じます!そして、皆さんのために期待に応えてみせます!その為に、今この状況を突破する最善を尽くしましょう‼』
晶葉『…分かった。この作戦は、臨機応変に状況変化に対応しなければならないのだったな』
橘 『ハッチ開け!解放後、先頭のロボ・ストーンの拘束を解除。発進に備えろ!』
サム「頼むぜ、兄ちゃん。ロボ・ストーンで降下作戦なんて、やったことないんだからよ」
ボブ「おうッ!へへっ、本番前に丁度いい予行練習が出来るってもんだぜ!」
リンダ「ちょっと、後ろが控えてるんだから、早くなさい」
ボブ「おっと、ティラミス中尉はお休みだぜ?」
リンダ「どう言うことよ?」
ボブ「ロボ・ストーンを回収するのにも手間暇掛かるっつったろ?時間短縮のためにも、キングダムはクジラの中で待機しといた方がいい」
リンダ「けど、戦力は多い方が、ってさっきアンタだって言ってたじゃない」
サム「だからって全戦力投入したらいいってモンでもねェだろ?撤収にも時間掛けてりゃ、ランドウの思う壺だぜ」
リンダ「でも…!」
ボブ「いざってなったらロボ・ストーンを置いてくだけでいいんだ。そうなったら、パーティーの盛り上げ役は頼んだぜ!」
リンダ「…分かったわよ。その代わり、ちゃんとリーナ達を助けてきなさいよ!」
ボブ「それこそ承知の上だよ!それじゃ、発進するぜ!」
サム「待っててくれよ、カレンちゃん!」
ロボ・ストーンが降下する。
橘 『ゲッターロボ、順次発進!』
茜 「待ってました!ゲッター飛焔、出撃しますよ!」
美波「ゲッター軍団からは、私とチーム飛焔で出ます!」
みく「よろしく頼んだにゃ、美波ちゃん!」
美波「こっちこそ。私にもしものことがあったら、後のことはよろしく頼むわ」
みく「そこは考えないことにしておくから、とにかく李衣菜ちゃんのフォローをお願いね!」
美波「頼まれたわ!━━美波、行きますっ!」
茜 「チーム飛焔、発進です‼」
ブラックゲッターに続いて、3機のゲットマシンが飛び出す。
橘 「ハッチ閉鎖、各員対空戦闘用意。クジラのエンジンを破壊させるな!」
晶葉「橘博士、もしもの時のために、オーバーブーストを使用できる状態にしておきます」
橘 「うむ。いざとなれば、敵陣を強行突破し、現状の戦力だけでドラゴンタートルを迎え撃つ」
晶葉「調整中の真ゲッターを出すことになるかもしれん。かな子も、そのつもりで準備しておいてくれ」
かな子「は、はい…!」
晶葉「…頼むぞ、みんな━━」
━━ 上空。
茜 「チェーーンジ‼ゲッタァァアーーーッ!!!ワァンッ!!!!」 ガシュッ
茜 「空中は私達で何とかします!美波さんは、ボブさん達と李衣菜さんの援護を‼」
美波「分かったわ!クジラをお願いね、みんな!」
アーニャ「ミナミも…。リーナを、お願いします」
美波「えぇ!それじゃあ!」
ブラックゲッターは地上に降下。
茜 「さぁ、クジラには指一本触れさせませんよ!」
ジャック「But,Hustle girl.無暗に飛び込むだけじゃ、クジラは守れないゼ?」
卯月「付かず離れずの距離で…。射撃を中心に戦わなくちゃいけないんですね?」
ジャック「That's right! Smiling girl!俺達の後ろに、敵を通しちゃNonって事ダ!」
茜 「そう言うことなら任せてください!えぇいっ‼」 ジャコンッ
プロト・ゲッター1の両肩から、2つの砲身が延びる。
茜 「プラズマ・ノヴァを低出力モードで、それで迎撃します!」
ジャック「OK!なら、ユーは後ろに下がりナ。そっちの方が、狙いも付けやすいネ!」
茜 「はいっ!照準はお任せしました!アーニャさん!」
アーニャ「Да…任せてください!」
シュワルツ「とっとと配置に着け!もうすぐで敵が来るッ!」
卯月「えぇ!?シュワルツさん、その損傷で戦闘するつもりですか!」
シュワルツ「小娘が細けぇこと気にすんな!只の掠り傷だ!」
ジャック「Non Non.シュワルツ、ユーはテキサスに帰艦してくだサーイ」
シュワルツ「何だと!?」
ジャック「そのDamageでは長時間の戦闘はムリだ!クジラにステルバーを修理するSkillはNothing!だから、テキサスまで後退するんデース!」
シュワルツ「ふざけるなッ!アイツにゃぁ…!ランバートには俺が…!」
ジャック「それでムザムザ死ぬつもりか!?それを見せつけられる連中の事を考えろッ‼」
シュワルツ「…ッ!」
美穂「…あの、お願いですから、後退してください」
シュワルツ「何ィ!?」
美穂「…っ!あ、あの…!私達に、今のシュワルツさんをフォローできる余裕なんてありません。でも、だからと言って無茶をしようって言う人を放っておけるほど、私達も冷たくなれる訳じゃないんです!」
シュワルツ「……」
卯月「大丈夫です。このくらいの状況なら、私達だって乗り越えてきたんですからっ!安心して、後退してください!」
シュワルツ「…チッ!」
ステルバーの進行方向を、テキサスの方角に向ける。
ジャック「Thank You,Girl's.助かったゼ」
美穂「い、いえ…!私は何も…」
茜 「少しカッコよかったですよ!」
メリー「きっと兄さんの言葉だけじゃ、下がってくれなかったでしょうから。後押ししてくれた事に感謝するわ」
卯月「後押しなんて、本当にそんなつもりじゃ…。でも…」
ジャック「何デース?」
卯月「ジャックさんって、普通に喋れたんですね!」
ジャック「……」
メリー「そこは触れないであげて…」
卯月「?」
アーニャ「чет…お喋り、そこまで、です。敵が、射程距離に、入ってきます…!」
ジャック「YA-HA!!ステルバーが抜けた分も張り切って行くゼ‼」
茜 「はいっ‼どこからでも向かってこい!という感じです‼行きますよ━━!」
茜 「━━プラズマ・ノヴァアッ‼」
ボブ「━━ショルダーキャノン!」
サム「発射ァ‼」
ランバート「ふんっ!」
地表で弾けて、爆炎を上げるロボ・ストーンのショルダーキョノンの砲弾を、軽々と躱していく。
ランバート「デカいだけの木偶人形ではそれが限界だろう」
ボブ「畜生ッ…!フカしやがって‼」
美波「それなら!━━ゲッタースパイクッ!」
ロボ・ストーンの影から飛び出し、一気に加速して肉薄したブラックゲッターが、スパイクの突き出した拳をガローンに振り被る。
ランバート「……」
美波「やぁあっ‼」
ガキィンッ
ガローンの曲刀と、ブラックゲッターの拳が打ち合う。
美波「~…っ!」
ランバート「それで一杯か?…所詮はチューンナップをされただけの旧式機と言うことか?」
美波「くっ…!」
曲刀を受け止めて、拳が震えるブラックゲッターに、目の前のガローンが空いている左腕を振り上げる。
ランバート「我が太刀は、もう一振り!」
美波「! レザーブレードでっ!」
ガンッ
上段から振り下ろされた一撃を、左腕のレザーブレードで辛うじて受け止める。が、
美波「ぐぅぅ~…!」
ランバート「その程度で…甘いわッ!」
美波「ガッ…!━━」
ブラックゲッターの鳩尾に、ガローンの蹴りが突き刺さる。
美波「きゃあっ‼」
ボブ「だ、大丈夫か!?」
後方に弾け飛んだブラックゲッターを、ロボ・ストーンが受け止める。
ランバート「…ッ!」 カッ
凛 「‼…くっ…!」
ブラックゲッターとロボ・ストーンを一瞥したガローンは、即座に上空を飛んでいたネオジャガー号を攻撃。
加蓮「凛、大丈夫?」
凛 「…直撃はしてない。合体のフォーメーションは、完全に邪魔されたけど」
ランバート「貴様らの考えが分からぬとでも思ったか」
李衣菜「どうするの?私と加蓮のマシンはドッキングしちゃったよ!」
凛 「ここは一度、ネオゲッター3に合体して様子を見るしかないね」
加蓮「また合体邪魔されても仕方ないしね。りょーかい」
加蓮「ゲッターチェンジ!」
ネオゲッター3に合体し、ロボ・ストーンとブラックゲッターと合流する位置に着地。
加蓮「さ~て、と。どうする?このままごり押してみちゃう感じで行く?」
凛 「パワーもスピードも、ネオゲッター3よりずっと上だよ。近付くのは、自殺行為だと思うけど…」
加蓮「遠回しに頼りないって言ってるでしょ、それ。しょうがないけど」
ランバート「所詮は烏合の衆か。それだけいてこの有り様とは」
ボブ「っるせぇ!昔馴染みだと思って加減してやりゃぁツケ上がりやがって!もう許さねぇ‼」
サム「おうともさ!こんな奴、平たくならしてツンドラの氷で舗装してやろうぜ!」
ランバート「ハッ!昔馴染み、加減か。実に人間らしい、くだらん感情だ」
美波「何ですって!」
ランバート「人間とは実に矛盾した生き物だ。正義を謳い、悪を許さぬと言いながら、相手に馴染みのある人間がいると、そうしてすぐ感情に左右される」
加蓮「確かにアンタの言うとおりかもしれないけど、知り合いを何の躊躇いもなく撃てる人間なんて、人間らしくないでしょ」
ランバート「人間らしさで勝負に勝てるか!感情で戦争に勝てるものか‼成さねばならぬ事を、本来すべき事を妨害する感情など、それこそ本来唾棄すべきものなのだ‼」
凛 「感情を持たない機械の方が、人間より優秀だって?何で機械や文明の利器ってモノが生み出されてきたのか、その背景を何にも知らないんだね」
ボブ「嬉しいも楽しいも何も分からなくなっちまったら、それこそ生きてる意味なんざねぇぜ!」
美波「それを忘れた貴方になんて、絶対負けるわけにはいきません!」
加蓮「っと、盛り上がってきたところでやってやろうじゃん…!人間らしさを、生きてるってことの素晴らしさを否定するアンタ達に負けるつもりなんて、元から思ってないから!」
━━ 戦艦テキサスサイド。
強い衝撃が、艦全体を包む。
オペレーター「左舷に被弾‼Eブロックに火災発生!」
副長「消火班を急行させろ!絶対に延焼させるな!被弾箇所の隔壁閉鎖も忘れるな‼」
オペレーター「了解です‼」
艦長「……」
副長「艦長、やはり全機動戦力を陽動に投入したのが、裏目に出たのでは?」
艦長「こちらの損傷を気にして勝てるほど、連中も甘い相手ではないよ」
副長「ですが、このままでは本艦もドラゴンタートルに肉薄できるか、怪しいところです」
艦長「問題は既にやるかやられるかではない。やるしかないのだ。対空迎撃班は何をしている?」
副長「懸命に迎撃してこそいますが、元より機動力の高いランドウの機動部隊、その上数も多い。このままいけばじり貧です」
艦長「…副砲を開け。そして迎撃班に、敵の動きを副砲の正面に誘導させるようにするんだ」
副長「しかし…、テキサスのエネルギーを副砲に割けば、ドーバー砲の充填に時間が掛かってしまいますが…?」
艦長「構わん。我々は何としてもドラゴンタートルの元に辿り着かねばならんのだ。回避運動などで余計に時間を取られるわけにはいかん。進路を変更せず、正面突破で出来うる限りの事をやってみせるのだ!」
副長「了解しました。━━副砲用意!発射管開け!」
オペレーター「艦長、本艦に接近する熱源反応を感知!」
艦長「敵の増援か!?」
オペレーター「いえ、数は1…。この識別は、ステルバーです!」
シュワルツ『…チッ!すんなりと家に帰しちゃくれねぇか!』
艦長「ステルバー…!被弾しているのか!」
シュワルツ『艦長!そのせいで陽動部隊から弾かれちまったが、戻ってきて正解だったみたいだな!』
副長「まさか、その状態で戦闘するつもりか!?」
艦長「無理だ!今の状態のステルバーでは、30分ともたんだろう!」
シュワルツ『だからって、家の前で暴れてるチンピラ共を無視して家に入れるほど、俺も臆病なつもりはないぜ!』
ステルバーが懐から、ST-ブラスターを取り出して構える。
シュワルツ『30分なんて要らねぇ。10分で片付けてやる…ッ‼』
副長「どうします?艦長…」
艦長「…やむ終えん。ステルバーは本艦の護衛にあたれ!」
シュワルツ『了解した‼』
艦長「ただし、無茶はするなよ!敵機の機動を、テキサスの副砲に誘導すればいい。そうすれば、トドメはこちらでやる!」
シュワルツ『了解!』
ST-ブラスターを片手で構え、辺りを縦横無尽に飛行するメタルビースト・ビーンに向ける。
シュワルツ『こっちにゃやらなきゃなんねぇ事がまだまだ残ってんだ!さっさとケリ着けさせてもらうぜ━━!』
━━。
~~~ 戦艦テキサス・格納庫 ~~~
奈緒「━━…衝撃が来るのは収まったか…?テキサスも速度上げたみたいだし、ホントに突撃するみたいだな…」
ツカツカツカ…
奈緒「……」
BT-23>…。
奈緒「今ここに残ってんのは、コイツくらいか。けど、コイツを動かせれば、ここから…」
奈緒「…っ!」 ブンブンッ
奈緒「いやいやいや!何を考えてんだ、あたしは…!李衣菜や、加蓮達を見捨てて行くなんて…」
奈緒「…でも、ここに残ったって…。もう、あたしに出来ることなんて…」
「テメェら!どけッ‼…この…!離しやがれッ‼」
「無茶だって言ってるだろ!?今更コイツを動かすなんてよ!」
奈緒「? 今の…整備班の班長と、シュワルツ?シュワルツは出撃したはずじゃ?」 コソコソ…
班長「第一、こっちのステルバーは2人乗り何だろ?もう一人はどうするつもりだ?」
シュワルツ「変形しなけりゃ、一人でだって操縦可能だ!」
班長「だが、それだと一部の武器が使えなくなって、性能も本来の半分以下だ。それは、このステルバーのテストパイロットをしていたアンタがよく知ってるだろうが!」
シュワルツ「今さっきまで使ってたステルバーは壊れて使いもんにならなくなっちまった!今出撃してランドウをぶっ飛ばす為に、俺がこれに乗っていくっつってんだ!止めんじゃねぇ‼」
班長「オレは整備士だ。オレがマシンを整備すんのは、前線で戦うパイロットが生きて帰ってこれるように万全を期すためだ‼むざむざ死にに行くような真似する奴を、はいそうですかって黙って見送ってやれるか!」
シュワルツ「状況ってもんがあるだろうが!ここで俺に構ってる暇があんなら、テメェらはテメェらの仕事してろってんだ‼」
班長「出来ねぇから止めてんだろうが!どうしても行くってんなら、このオレをぶん殴って行きゃぁいいだろうが!」
整備員「は、班長~!喧嘩売ってどうするんですか~っ!?」 アセアセ
シュワルツ「へっ、いい度胸だ!そうさせてもらうぜ!」
奈緒「━━…そ、その辺にしときなよ」
班長「…奈緒、ちゃん?」
シュワルツ「…腑抜けがこんなところに、何のようだよ」
奈緒「な、何だっていいだろ…!今のアンタ、ワガママが通らない子供みたいだぞ。自分の思う通りにならないからって、大人げない」
シュワルツ「何だと!?」
奈緒「メカニックの人達がどうして止めるか、分かんない訳じゃないだろ?ちょっとは冷静になれよな」
シュワルツ「腰抜けの小娘の分際で、この俺に説教しようってのか!?」
奈緒「その腰抜けで腑抜けの小娘から見ても、目に余るって言ってるんだ。そんな事も分かんないくらい、頭に血が上ってるのか?」
シュワルツ「…チッ」
奈緒「それに、さ」
バシッ
シュワルツ「っ゛~…!!?」
奈緒「怪我、してんじゃんか。そんなんでまともな戦闘機動に耐えられるわけないだろ」
シュワルツ「か、掠り傷だ…!」
奈緒「掠り傷でそんな血が出るかっての。あたしに叩かれて痛がるくらいなのに、無理すんなよ」
シュワルツ「こんな怪我が何だってってんだ…!俺は兵士だ。大事な作戦の時に動けねぇ兵士なんざ、生きてても意味がねぇ」
奈緒「……」
シュワルツ「これは、命懸けで戦ってる兵士の問題だ。自分の命が惜しくて戦えねぇ外野はすっこんでやがれ」
奈緒「…ともかく、こっちのは、ずっと使ってないステルバーだろ?それをすぐに動かすなんて無茶苦茶だ。だから、先に手当てくらいさせてくれよ」
シュワルツ「日本人の指図は受けねぇ」
奈緒「指図じゃないって。お願いだよ。そんな傷放置したまま出撃されたら、こっちだって気が収まらない」
シュワルツ「……」
奈緒「そのあとは、好きにしたっていいよ。アンタの言うとおり、外野のあたしは口を挟まないからさ」
━━ 医務室。
奈緒「━━…これでよし、っと。他の負傷者の救護で、軍医の先生も看護兵も出払っちゃってたけど、包帯とかは少し残ってて良かったよ」
シュワルツ「…礼は言わねぇぞ」
奈緒「いいよ、そんなの。こっちだって、勝手でやっただけだしな」 ガサゴゾ…
シュワルツ「…フン」
奈緒「あたしは医者じゃないから、専門的なことは分かんない。今やったのも只の応急処置だし。本当はちゃんと精密検査した方がいいのかも知れない。ひょっとしたら何処かの骨が折れてて、出撃なんて到底できない怪我かもしれない」
奈緒「そう言っても、出撃するのか?」
シュワルツ「当然だ。この戦場には、俺が引導を渡してやんなきゃならねぇ奴がいる」
奈緒「引導…?それって、シュワルツにとって大事な人だったのか?」
シュワルツ「テメェには関係ねぇ」
奈緒「関係ないって…。確かにそうかもしれないけど、何でそう考え方が極端何だよ?」
シュワルツ「極端だァ?」
奈緒「シュワルツがそんなに必死になるんだ。よっぽど大切な、仲間だったんだろ?だったら、ランドウの手から救ってやるって言うのが普通なんじゃないのか?」
シュワルツ「救う?はっ、日本人らしい、甘ったるい考えだな」
奈緒「何でだよ!?」
シュワルツ「死んだ人間は死んだ人間だ。メルヘンやフィクションの物語みたいに、簡単に生き返ったりはしねぇ。ランドウの手先になった時点で、アイツはもうランバートじゃねぇんだ」
奈緒「で、でもさ…!辛くないのかよ?仲間だったんだろ!?」
シュワルツ「戦うってのはそういうことだ。仲間だろうが、自分だろうが死ぬ方が当たり前。生き残ってる方が奇跡。百鬼帝国が襲ってきた時、死んじまったのはランバートだけじゃねぇよ」
奈緒「……」
シュワルツ「仲間を失うのは辛くねぇ。俺達は、仲間の犠牲を生きる糧にして、犠牲になった奴の分も生き残るために、勝つために戦い抜くんだ」
シュワルツ「犠牲になった奴等が生き返ってくれとは、俺は思わねぇ。死んだ奴は充分に戦った。許せねぇのは、その死を踏みにじるランドウなんだよ」
奈緒「だから、自分の手で引導を渡すって言うのか?」
シュワルツ「…あぁ。ちゃんと始末着けて、この手で眠らせてやンなきゃダメだ」
奈緒「……。やっぱ、戦える人間は違うな。友達だった奴に引導を渡すなんて、あたしには出来ないよ」
シュワルツ「だから、戦場から逃げたんだろうが」
奈緒「…っ!」
シュワルツ「自分が死ぬのも嫌なら、仲間が死ぬのも見たくねぇってか」
奈緒「……嫌だよ。思い出を分かち合えるから、友達と一緒にいられるのは楽しいんだ。辛い経験をして、哀しい思い出を増やすなんて真っ平だよ」
シュワルツ「ふぅん。ま、いいんじゃねぇか。どっちみち俺には関係ねぇことだしよ」 スクッ
奈緒「…行くのか」
シュワルツ「おう。大分時間くっちまったからな」
奈緒「そうか…」
シュワルツ「ランバートとは、俺の手で決着を着ける。アイツの望んでねぇ戦いを、これ以上させるわけにはいかねぇ」
奈緒「その為なら、刺し違えたっていいのか?」
シュワルツ「くどいぜ。今ここにある命は俺の命だ。それをどこでどう使うかってのは、俺が決めることだ。テメェに指図される謂れはねぇ」
奈緒「……」
シュワルツ「テメェが生きたいと望んでるように、俺はな、戦場で死ねりゃァ本望なんだよ。こんな病室で、何にも結果を残せねぇでくたばるなんてゴメンだぜ。それこそ、これまで俺の目の前で死んでいった奴等に申し訳が立たねぇ」
シュワルツ「お前が生きてぇなら勝手に生きてろ!俺がどこで死のうと、テメェにゃ関係ねぇ!!」
そう言い残して、医務室を後にする。
奈緒「……」
奈緒「あぁ、そうさ。関係ないよ。シュワルツが死んだって、あたしには関係ない。その筈だろ…」
奈緒「けどさ…、あぁもう!分かってるよ!あたしだって、自分が面倒臭い性格だってのはさ━━!」
━━。
~~~ 格納庫 ~~~
シュワルツ「…こいつぁ、どう言うことだ?」
班長「テメェがぶっ壊したステルバーを修理してる時間があんなら、こっちの奴を調整してた方が早いからよ」
シュワルツ「それで、作業員総出でメンテナンスか?」
班長「お前さんがコイツに愛着があるのは分かってる。だが、俺も整備士だ。ここから出してやるなら、万全の状態で飛ばしてやりてぇ」
シュワルツ「もう帰ってこないかもしれないんだぜ?」
班長「そう言うな。コイツは特攻兵器じゃねぇ。お前らパイロットが死ぬ気で戦って、それで帰ってくるみてぇに、コイツだって生き残って戻ってきてぇと思ってるだろうよ」
シュワルツ「へっ、そうかよ」
班長「サブ・シートには、俺が乗る」
シュワルツ「はぁ?正気かよ」
班長「コイツの事は俺も知ってる。ちゃんと2人で乗ってやれば、コイツも本来の性能が出せる。そうすりゃ、お前も無茶をする必要がなくなるんだろうが」
シュワルツ「だからって、訓練もしてねぇ素人を乗せられるわけねぇだろうが!第一、テメェはここの責任者だろう!テメェに万が一があったらどうする!?」
班長「今更俺がいなくなったところで、動揺するような連中じゃねぇよ」
シュワルツ「屁理屈言ってんじゃねぇ!素人が乗って、俺が心置きなく戦えるものかよ!」
班長「なら、万全じゃねぇ状態で、俺が黙って出撃させると思ってンのか!?アァッ‼」
シュワルツ「……」
班長「……」
「だったら…」
班長「あん?」
シュワルツ「テメェ…!」
奈緒(パイロットスーツ)「だったら、素人じゃない奴が乗ればいいんだろ?」
班長「奈緒ちゃん…」
奈緒「訓練してるって訳じゃないけど、戦闘で経験は積んでる。問題ないだろ」
シュワルツ「何しに来た!?腰抜けは下がってろ!」
奈緒「関係ないなんて言われて、黙っていられるわけないだろ!シュワルツの傷の手当ては、あたしがやったんだ。その責任くらいはある!」
シュワルツ「ステルバーの操縦法なんざ知らねぇだろうが!」
奈緒「マニュアルはあるだろ。こっちは現役女子高生だ。勉強だって一夜漬けだって、覚えるのは任せろよ」
シュワルツ「死ぬのが怖ぇ癖に、生意気言ってんじゃねぇ」
奈緒「…死ぬのは、今でも怖いよ。正直腕も足も震えてて、もう訳分かんないくらいだよ」
シュワルツ「だったら引っ込んでろ!」
奈緒「だけど!このまま送り出して、いいわけないじゃんか!仲間が死ぬのが辛くないなんて言ってる奴を、戦場で死ぬのが本望だって言ってる人間を、黙って見送れるわけないだろ‼」
シュワルツ「どう言うことだ!」
奈緒「あたしだって、知ってるんだぞ!そういうのが強がりだって!李衣菜だって、アイツだって強がって戦ってる!戦わないともっと怖いから、自分が戦って、命を奪おうとする奴等を追い払わないと、もっと怖いから戦ってるんだろ!?」
シュワルツ「だからなんだ?強がれねぇ奴は出てくんじゃねぇよ!」
奈緒「…強がるさ。あたしはもう、アンタの事は放っておけない」
シュワルツ「何っ…!?」
奈緒「アンタがどんな気持ちで戦ってるのか、どんな覚悟でこれから戦いに行くのか、それを知ったから。あたしはもう、アンタの事を放っておけないんだ」
シュワルツ「……」
奈緒「死んだ人間の犠牲を、生きる糧にするって言うんなら、刺し違えるなんて間違ってるだろ!今死んだらダメだよ!そんなの、ランバートって人だって望んでないぞ、きっと!」
奈緒「だから、…あたしはアンタを死なせない!その為に、戦ってやるさ!」
シュワルツ「…勝手なこと言いやがる」
奈緒「シュワルツだって、自分の命を勝手に使うんだろ?なら、あたしだって勝手にやらせてもらう。文句ないよな?」
シュワルツ「…面倒臭ェ女だ。テメェは」
奈緒「…分かってるよ。死にたくない癖に、死にたがってる奴がいると、放っておけない。面倒臭い女だよ、あたしは」
シュワルツ「面倒臭ぇ女に引っ掛かっちまった。俺の方が悪ぃのか、この場合はよ」
奈緒「そうだよ。だから、責任とれよな。しっかりとさ」
シュワルツ「…はぁ。負けたぜ、今まで見たことねぇタイプの日本人だよ。テメェは」
班長「ほ、本当にいいのかよ?奈緒ちゃん」
奈緒「あぁ、もう決めたんだ。それにさ、班長さんに合うパイロットスーツなんて、すぐに用意できないだろ?」
班長「それを言われちまうと…」 トホホ…
奈緒「それにさ、班長にはメカのメンテができる。マシンに乗って、ボタンを押すくらいの事は、あたしに任せてよ」
班長「…分かった。シュワルツ、奈緒ちゃんを乗せるんだからな!必ず、生きて帰ってこいッ!」
シュワルツ「コイツが俺の生き残る理由かよ?」
奈緒「ダメなのかよ?」
シュワルツ「…はっ!日本人は嫌いだが、オメェのファンに恨まれるのだけは勘弁だ」
奈緒「へへっ!じゃ、決まりだな!」
━━ ステルバー・コックピット。
奈緒「━━うわぁ、ゲッターのコックピットより狭いな…。しかも、何だこりゃ…スイッチが多くてキーボードみたいだな…」
シュワルツ「コイツは試作機だからな。火器管制だけじゃなく、制御系なんかも色々面倒臭くなってる。だからパイロットが2人必要なのさ」
奈緒「今シュワルツがいるのがメインのコックピットか。そっちが戦闘に集中できるように、こっちがほとんどやんなきゃいけないんだな…」
シュワルツ「やめるなら今だぜ」
奈緒「今更だよ。面倒臭いの、あたしにはピッタリだ!」
シュワルツ「オメェが対応してるのを待ってる暇はねぇ。出撃するぞ!」
奈緒「任せろ!えーっと、出撃準備…推進器は飛行形態、接続は…これでよしっと。…どうだ?」
シュワルツ「……。テンポは悪ぃが、上出来だ」
奈緒「よっしゃ!戦闘空域に入るまでに火器管制は覚えとく。行ってくれ!」
シュワルツ「ハッ!口先だけは立派だな!発進する時に気絶するんじゃねぇぞ!」
奈緒「心配すんなって。ゲッターより大したことなかったら、居眠りしちゃうかも知れないけどな」
シュワルツ「…調子のいい奴だ。━━ステルバー、発進するぞ‼」
奈緒「おうッ!」
奈緒(李衣菜、加蓮…!あたし、みんなと戦うにはまだ軟弱かもしれないけど、やれるだけの事、やってみるよ!)
奈緒「ここにいる一人の人間くらい守ってみせる…!あたしにやれることは、そこからだ━━!」
つづく
次回予告
それぞれの思いを懸けて、一層苛烈さを増すドラゴンタートル攻防戦。
ダイノゲッターやキングダムを乗せたクジラを先行させ、襲撃したメタルビースト部隊と対峙する凛。
果たして、ドラゴンタートル攻略作戦は成功するのか?メタルビースト・カローンと対峙するネオゲッターロボの勝敗は━━!?
次回、ゲッターロボ×CG 第3部
第18話『勝利を目指せ‼』に、チェンジゲッター!