李衣菜「──…はっ!…と…、…ここは、天国…?」
凛 「だとしても、こんな殺風景な天国は願い下げだね」
加蓮「言えてる。折角なら、もっと気持ちの良さそうなところで楽になりたいもんね」
李衣菜「って言うことは、ここは…」
── ドラゴンタートル、内部。
凛 「無事突入できたみたいだね」
加蓮「一先ず第一段階は成功ってことね」
李衣菜「随分と中は広いんだね。もうちょっと区画整理されてると思ってたよ」
加蓮「電送管とかよく分かんないパイプとか、もうゴチャゴチャに入り組んじゃって…」
李衣菜「こんな煩雑に設計するくらいなら、もうちょっと整理しようとは思わなかったのかな?」
加蓮「美的センスの問題でしょ?こういう内装の方がほら、悪の巣窟っぽい」
李衣菜「あ、それは言えてるかも」
凛 「内装の感想はそこまで。もっと敵の迎撃とかあると思ったけど…」
李衣菜「みーんな外の戦闘に出てていないんじゃない?ま、運が良かったってことで」
凛 「不意打ちがあるかもしれない。二人とも警戒を怠らないで」
加蓮「は~い」
李衣菜「分かったよ」
凛 「晶葉、聞こえる?」
晶葉「あぁ、通信の感度は良好だ」
凛 「外と連絡手段が断たれてなくて良かったよ。で、バリアの発生装置の場所は分かる?」
晶葉「無論だ。エネルギー源はゲッター線。探知など出来ないわけがない」
凛 「流石。頼りになる」
晶葉「おだてるな。待ってろ……、今のお前達の位置から、東へ200m進んだところだ」
凛 「分かった。ありがとう」
言われた方角へ、ゲッターを動かす。
凛 「……」
李衣菜「……」
加蓮「……」
加蓮「…お腹空いた」
凛 「え」 ズコッ
李衣菜「あはっ!確かに、今回は長期戦だからね~」
加蓮「こんな時かな子がいたら、お菓子の一つでも持ってたんだろうなぁ」
李衣菜「ん~…。こっちのコックピットには非常食しかないよ…」
加蓮「ちなみに何味?」
李衣菜「ん~…っと、これはテキサスから支給された奴だから、カリフォルニアロール味だね」
凛 「何それ…」
加蓮「え~。今は芋羊羹味の気分かな~?」
李衣菜「もう、加蓮はいっつも芋ばっかり!芋羊羹なんて食べてると、巨大化してネオゲッター突き破っても知らないよ?」
凛 「……」
加蓮「リーナ、それは凛が分からない奴だから」
李衣菜「あぁそっか、ツッコミが何時もの奈緒じゃないから…って、振ったのは加蓮じゃん」
加蓮「あははっ。つい何時もの調子で、ね?」
李衣菜「なら、私と一緒だ」
凛 「…もぅ、ふざけてないで。早く装置を破壊しに行かなきゃ」
李衣菜「はぁ~い。えへへ…」
凛 「先に進むよ」
加蓮「OK。位置は分かる?」
凛 「うん。バリアのエネルギー源はゲッター線だからね。私達には反応は分かりやすい」
加蓮「そっか」
凛 「こっちだ。周辺の警戒を宜しく」
李衣菜・加蓮「「了解」」
李衣菜「……」
加蓮「……」
凛 「……」
加蓮「…あ」
凛 「もうお腹空いたはなしでね?」
加蓮「分かってるって。今、カメラになんか写ったと思う」
凛 「ホントに?」
加蓮「…一瞬だったから、見間違えかもしれないけど」
凛 「何なの?もう…」
李衣菜「…待って、見間違いなんかじゃないよ」
凛 「え?」
李衣菜「垂れ下がってるコードの隙間…。赤い眼だけが光ってるのが見えた…」
凛 「赤い眼?……」
加蓮「アタシのも、リーナが見たのと一緒だと思う」
凛 「けど、レーダーには何も…」
李衣菜「コンピューターばっか気にしてても仕方ないよ」
加蓮「技術の面ではランドウの方が上。こっちのコンピューターなんか当てになんないよ」
凛 「ここは、李衣菜と加蓮を信じた方がいいみたいだね」
李衣菜「……」
加蓮「……」
李衣菜「ねぇ、今の状況ってさ…」
加蓮「そうだね。このままだと、こっちが消耗するだけだ」
凛 「それは良くないね。だったら!」
凛 「──ダブルアームガン!!」
背後に振り返りながら、両腕の銃口からプラズマの弾丸を放つ。
加蓮「わ~ぉ、大胆」
李衣菜「敵がいる位置、分かったの?」
凛 「うぅん、手応えはないね。残念ながら」
李衣菜「じゃあ何で?」
凛 「元々敵のお腹の中だ。遠慮する必要なんて元からない」
加蓮「あはっ♪」
凛 「なら、敵が大人しく出てくるまで、破壊し尽くさせてもらうだけだ!!」
狙いも定めず、ドリルアームガンを乱れ撃つ。
加蓮「ヒューヒューッ!やっちゃえ~!」
李衣菜「プラズマエネルギーがちょっと勿体無い気もするけど…」
加蓮「じゃ、李衣菜が代わる?ここなら、ギリギリ合体できるだろうし」
凛 「──ッ!待って!」
? 「──!!!」
凛 「ぐっ…!」
横からの攻撃。ネオゲッター2を強引に下げて躱す。
加蓮「やっとお出ましって訳」
凛 「そうみたいだね。だけど…」
李衣菜「何…こいつ…?」
凛 「機械の獣…」
李衣菜「機械の獣でメタルビーストって、そのまんま…」
凛 「ランドウの戦力である以上、そうなんでしょ」
? 「グゥウウウ…」
加蓮「何て言うか、気持ち悪い…」
李衣菜「THE 悪党って感じだね!」
凛 「奴のスピードは侮れない。このゲッターで付いていけるか…!」
? 「ギャオッ!」
凛 「賭けだね──!」
ネオゲッタービジョンを発動。高速機動で相手の猛スピードに追い縋る。
? 「──ッ!」
凛 「ドリルアームガン!」
? 「ギャッ!?」
顔面に向かってドリルアームガンを発砲。相手は仰け反って地に倒れ伏す。
李衣菜「やった?!」
凛 「そんな簡単な相手じゃない。すぐに立ち上がってくるよ」
? 「!!」
言った目の前で、相手の姿が消えた。
加蓮「凛、後ろ!」
凛 「っ!?…ガッ!」
直後、衝撃。ネオゲッター2が吹き飛ぶ。が、
凛 「クッ…こ、のォ…!」
ドリルアームを地面に突き立て、強引に制動し、着地。
李衣菜「痛たた…。まさか一瞬で回り込んでくるなんて」
加蓮「これまでのメタルビーストとは、またひと味違うね」
李衣菜「ホント。……ん?見て、あれ!」
加蓮「あれ?」
李衣菜「あのメタルビーストの、右目のところ!」
凛 「右目のところ…?あれって…!」
加蓮「人間…!それに確か、さっきドラゴンタートルのところに来る前に戦った、ランバートって人!」
凛 「前の機体を破壊されたから、次のメタルビーストの生体ユニットにされたってこと…」
「ふほほほ…!左様。メタルビーストを動かすための核。所詮その程度の存在よ」
凛 「!? この声は…!」
李衣菜「直接会うのははじめてだね。ラセツ!」
ラセツ「ふふふっ…。そうであったな。だが、この邂逅もすぐ終わる。貴様らの敗北を以て!」
加蓮「簡単に決めてくれちゃって…。しぶとさじゃ、アンタら謹製のメタルビーストよりもずっと上だよ」
ラセツ「そのメタルビースト・邪鬼王を相手にして同じことが何時まで言えるかな?」
李衣菜「メタルビースト…邪鬼王!?」
ラセツ「そうとも。行け、邪鬼王。ゲッターへの恨みを晴らせ!」
李衣菜「ゲッターへの恨みって…?」
加蓮「ツッコんでる暇はなさそう」
ランバ-ト「ウゥ…ギャオオォォーー!!」
凛 「うぐっ…!」
ネオゲッター2めがけ跳躍し、邪鬼王が飛び付く。
凛 「このっ…!」
ランバ-ト「ギヤァアアアッ!!」
ネオゲッター2の首筋に牙を立て、鮮血のようにオイルが弾け飛ぶ。
凛 「うぅ…!」
加蓮「ここまで近付かれたら流石に不利だよ」
李衣菜「一旦分離して!」
凛 「…分かった。──オープンゲット!!」
ランバ-ト「!?」
こちらを羽交い締めにしていた邪鬼王から、ゲッターを分離させて回避。
李衣菜「私が行く!2人とも合わせて!」
加蓮「分かった!」
凛 「また私が行っても状況は変わんないだろうし、合わせるよ!」
李衣菜「よし、ゲッターチェンジ!!」
ネオゲッター1にチェンジして、邪鬼王と相対する。
加蓮「それで、やると言ったからには作戦の一つでもあるの?」
李衣菜「ない!」
加蓮「そんなハッキリと言ってくれちゃって…」
李衣菜「考えるよりまず動く!ネオゲッター1なら、多少攻撃を受けたって!」
ランバート「ウワアァァアアアッ!!」
李衣菜「来いッ!」
両手を交差させたクロスガードで、飛び掛かってきた邪鬼王を受け止める。
李衣菜「ぐぅぅぅううっ!」
凛 「本当にやられるだけなのは勘弁してね…!」
李衣菜「そんなの分かってる!ネオゲッター1は、両手を塞がれたって…!」
李衣菜「ショルダーミサイル!!」
ランバ-ト「!!」
李衣菜「なっ!」
両肩から放ったミサイルを、邪鬼王は跳躍して回避。
ランバート「ウガァアアアア!!」
李衣菜「くっ…!」
手刀を放つように抉り込まれた一撃を、ネオゲッター1を捻り、辛うじて躱す。
李衣菜「私のショルダーミサイルを躱すなんて…!」
加蓮「あんな分かりやすいの、何時までも通用しないでしょ」
凛 「だとしても、あの距離で躱すなんて、やっぱり尋常じゃない…」
李衣菜「見た目通り、化け物って訳だ」
ランバ-ト「ウゴォオオオッ!!」
李衣菜「!」
飛び掛かるように放たれた爪の振り下ろしを、装甲板を削りながらも躱す。
李衣菜「ヒューッ!危ない危ない…」
加蓮「ねぇ、このまま奴に時間使っちゃっていいの?」
凛 「良くないね。ドラゴンタートルは、テキサスに向かって動いてる。早くバリアの発生装置を破壊しないと」
李衣菜「でもさ、こいつを放っておいて、発生装置探しなんてのも出来ないよ!」
凛 「単機で突入したのが、裏目に出た…?」
「ラァァセェツゥゥゥ!!!」
加蓮「な、何…?!」
李衣菜「聞き覚えのある…。この声…」
ラセツ「何事か。ヤシャ元将軍殿?」
ヤシャ「何故邪鬼王が動いている!?」
李衣菜「やっぱり…。あいつ、私達を追ってきたの?」
凛 「状況から言ってそうで違いないね」
ラセツ「これは異なことを…。あれも、ドラゴンタートルを守るために配備された戦力の一つ。ここまで攻め入られて使わぬ手はない」
ヤシャ「しかし、邪鬼王はまだ未完成だ!戦線に投入するには早すぎる!」
ラセツ「戦況は待ってなどくれんよ。もし邪鬼王の使用に問題があるとすれば、それは、ドラゴンタートルを防衛しきれなかった貴公にも責はあると言うことだぞ?」
ヤシャ「ぐぅ…」
李衣菜「ははっ、言葉がないみたいだね」
凛 「笑ってる場合じゃないよ。こっちも余裕がなくなった」
ランバート「ガァアアアッ!!」
李衣菜「!?」
バォッ
李衣菜「──…? あれ…?」
加蓮「邪鬼王が跳んだ…」
凛 「邪鬼王に攻撃…。誰が…」
シュワルツ「俺だ」
李衣菜「シュワルツ!」
加蓮「どうして…。うぅん、どうやって?」
シュワルツ「ドラゴンタートルへの入り口なら、そいつが教えてくれた」
ヤシャ「むぅ…」
ラセツ「これはこれは。不手際がまた一つ増えたようですな」
李衣菜「何にせよ助かったよ!これで形勢逆転だ」
奈緒「おいおい。数じゃ一緒になっただけだぞ?」
李衣菜「数が一緒になってくれただけでも…!」 バッ
ヤシャ「ぐっ…!」
飛び上がって、ジャコツに襲い掛かる。
李衣菜「一番面倒な相手は任せた!」
シュワルツ「…!任せておけ!!」
李衣菜「よし。うわぁあああっ!!」
ジャコツを押し上げながら、ドラゴンタートルの奥へ。
李衣菜「腐れ縁だ。最期まで付き合ってあげるよ。ヤシャ!」
ヤシャ「ふふっ、ありがたい。だがここを墓場とするのは貴様よ!」
ガンッ
李衣菜「言うじゃん…!今までこっちにやられっぱなしだったくせに!」
ヤシャ「ほざけ!今まで運で生き残ってきた小娘が!」
李衣菜「運も実力の内!その分、実力はこっちの方が上だよ!」
ヤシャ「実力、か…。尚更負けられん!」
鍔迫り合っていた青竜刀を弾く。
加蓮「そう言うわりには、随分ボロボロじゃん」
凛 「卯月と美波に、相当やられたみたいだね。それでも、2人を突破して追ってきた執念だけは認めてあげるけど」
ヤシャ「黙れッ!例えこの身が滅びようとも、ドラゴンタートルを破壊などさせはせぬ!!そのために私はここにいるのだ!」
李衣菜「流石の忠誠心!だからって、ねぇ!!」
ヤシャ「ぐぅううっ!?」
水平に蹴りを放ち、ジャコツを突き飛ばす。
李衣菜「こっちにだって、負けられない理由があるんだ!」
ヤシャ「互いに賭けるものを賭けた戦い…。存分に楽しもうぞ!」
加蓮「ここまで佳境に来てて、戦いを楽しむって…」
凛 「流石に理解…、したくもないね」
李衣菜「楽しむも遊ぶもない!こっちは勝つために戦ってるんだ!とっとと退いて!」
ヤシャ「フンッ!」
ハンディミサイルキャノンが、ジャコツの片腕を吹き飛ばす。
李衣菜「やった!」
凛 「油断しないで!敵の雰囲気が何時もと違う!」
ヤシャ「腕一本なぞ…!」
李衣菜「ウソォ!?」
ヤシャ「なんのハンデにもならんわッ!」
李衣菜「ぅぐっ!」
放たれたストレートの拳を鳩尾に受ける。
李衣菜「このっ…!」
ヤシャ「クァッ…!」
李衣菜「!?」
ネオゲッター1が怯んだ隙に、ジャコツが飛び上がる。
ヤシャ「ガァアアアッ!!」
李衣菜「!!」
ヤシャ「死ぃぃねぇぇぇぇッ!!」
李衣菜「死んで…たま…るかァア…ッ!!」
ズアッ
落下速度を加えたジャコツの貫手が、ネオゲッター1の胸部を貫いた。
凛 「コックピットに直撃!?」
加蓮「リーナ生きてる?返事して、リーナ!」
李衣菜「へへへっ、そんな慌てなくても、直撃はしてない。ちょっと横を通り過ぎただけ。お陰で、コックピットの風通しは良くなったけど…」
加蓮「あ…良かった……」 ホッ
凛 「…怪我はないの?」
李衣菜「バイザーがふっ飛んで、血は出てる。あと、体の左側が…あれ?」
加蓮「どうしたの?」
李衣菜「左腕が、動かない…」
凛 「え…」
李衣菜「何…これ……」
左肩に触れた、右の手にべっとりと血糊が着く。
ジャコツが砕いたネオゲッター1の破片が左側に直撃し、左肩の肩口から脇腹の位置まで、パックリと大きく裂けていた。
李衣菜「あ…あ、あぁ…!」
凛 「とにかく落ち着いて!李衣菜!」
李衣菜「──゛ッ゛!!!」
声にならない悲鳴、絶叫。傷の深さを知覚すると同時、痛覚が脳に痛みを伝える。
李衣菜「うぁ゛っ!!あぁ゛っ…!ア゛アァ゛ァァァァァッ゛!!!!」
加蓮「リーナ!しっかりして!!」
パイロットの動きに呼応するように、ネオゲッター1が左肩を抑えて腰を落とす。
李衣菜「ア゛ア゛ッ…!アァァアアアアアアッ゛──!!」
ヤシャ「ふん。痛みで動けなくなったか。所詮はその程度の器だったと言うこと」
加蓮「アイツに好き勝手言われていいの?リーナ!」
ヤシャ「すぐに楽にしてやる。これで終わりだ!!」
凛 「李衣菜立って!じゃないと、ここまでしたこと、全部無駄になる!」
李衣菜「うぅ…ッ!」
凛 「李衣菜!」
ヤシャ「死ぃぃぃねぇぇぇぇいっ!!」
李衣菜「うぐ…っ!うがぁあああああっ!!」
ヤシャ「おぉ…っ!?」
突如動き出したネオゲッター1の右ストレートが、ジャコツの鳩尾を打つ。
ヤシャ「此奴…、息を吹き返しただとぉ…!」
李衣菜「へ…へへへっ…!」
凛 「李衣菜!」
李衣菜「流石は極寒の国ロシア。ドラゴンタートルの中に暖房効いてなくて良かったぁ…。お陰さまで、止血は出来たよ!」
凛 「そんな状態で戦えるの?」
李衣菜「もちろん!相手は腕一本、こっちも腕一本、これでイーブンでしょ?」
凛 「……」
加蓮「そこまでだよ。今のリーナは、興奮で痛みを半分忘れてる。下手に落ち着かせない方がいいかも」
凛 「そうかもしれないけど…」
加蓮「それに、今のリーナの状態で、合体の衝撃に耐えられるとも思えないよ」
凛 「…加蓮の言う通りかもね。李衣菜に賭けるしかないか」
加蓮「今は興奮で誤魔化せても、どの道長くは持たない。どちらにしても時間との勝負だね…」
凛 「頼むよ、李衣菜…!」
李衣菜「任された!何度も戦ってきた相手なんて、ここでブッ飛ばしてやる──!」
ランバート「グゥウウウ…ッ!」
シュワルツ「ランバート…。本気でランドウの犬になっちまうとはな…」
奈緒「やるのか?本当に…?」
シュワルツ「当たり前だ。そのために、来た!!」
距離を測り、旋回。
シュワルツ「おらァッ!!」
ランバ-ト「!!」
常人離れした動きで、ST-ブラスターの射撃を回避。
奈緒「来るぞ…!右だ!」
シュワルツ「分かってる!」
ランバ-ト「ギャオオァァーー!!」
シュワルツ「くっ!!」
ST-ブラスターを保持したステルバーの右腕が斬り断たれる。
シュワルツ「チッ…!」
奈緒「大丈夫か!?」
シュワルツ「ナメんなぁ!」
断たれた右腕を引き、左手にアサルトナイフを構え、邪鬼王に突き出す。
シュワルツ「オラァッ!!」
ランバート「!!」
突き出されたナイフを、邪鬼王は身を宙に翻して回避。
ランバ-ト「シャァアアアッ!!」
シュワルツ「…ッ!?」
奈緒「そらっ!」
ランバ-ト「!?」
背後に回り反撃に転じようとしていた邪鬼王に、腰部からミサイルを発射して迎撃。
シュワルツ「!」
奈緒「忘れんなよ。ロボット状態でもこっちから使える武器は何個かあるって」
シュワルツ「…助かった」
奈緒「そこまで言うなら、ありがとう、くらい言えないのか?」
シュワルツ「うるせぇ。来るぞ!」
ランバ-ト「カァアッ!」
跳ね上がり、大きく爪を立てた腕を振り上げて襲ってきたジャコツに、
シュワルツ「おらよ!!」
ステルバーの両肩の装甲板を投げ付け迎撃。
ランバート「!!」
邪鬼王は、二枚の装甲板の間をすり抜けてくる。
シュワルツ「見え見えだぜ!」
邪鬼王の爪を、アサルトナイフで受け止める。
シュワルツ「奈緒ぉ!」
奈緒「おっしゃぁああっ!!」
掛け声に合わせ、発射可能な火器を斉射。
ランバ-ト「!?」
肩に限らず、胸部や腰部、脚部から腕部まで、全身から放たれた火薬が、邪鬼王を爆煙の中にかき消す。
ランバ-ト「グゥォオオオオッ!!」
奈緒「やろう!」
爆煙を振り払って、尚も襲い来る邪鬼王を、胸部の機関砲で迎え撃つ。
ランバ-ト「グゥゥゥゥ…!!」
シュワルツ「タフな野郎だ」
奈緒「これだけステルバーの火薬を叩き込んでも、まだピンピンしてるもんな」
シュワルツ「長期戦になるな。…位置はあっているか?」
奈緒「……あぁ、もうちょっと右…で」
シュワルツ「分かった」
ランバート「ウワァアアアッ!!」
シュワルツ「──」
ザシュッ
ランバ-ト「ギャッ!?」
飛び掛かってきた筈の邪鬼王の体が仰け反る。
奈緒「へへっ、こっちがパージしたのが、ただの装甲板だとでも思ったかよ?」
シュワルツ「情けねぇぜ、ランバート。お前がコイツの武装を忘れちまうなんてよ」
奈緒「単純に出来てるように見えて、以外と計算されて作られてるんだぜ?ブーメランってのはさ!」
ランバ-ト「ウグゥウウウ……!」
シュワルツ「どうだ?ちったぁ目が覚めたかよ?」
ランバ-ト「ウゥ…!グォオオオオオッ!!」 バッ
ステルス・ブーメランを背後に受けて、一度は動きを止めた邪鬼王が、先程よりも勢いを増して来る。
奈緒「コイツ、強引に…!」
シュワルツ「ダメージ・コントロールだ!出来るな?」
奈緒「もうやってるよ!アイツ…こっちの攻撃が効いてないのか?」
シュワルツ「さぁな。倒れねぇ限り向かって来るってンなら、倒れるまで叩きのめしてやるだけだ」
残された左手でST-ブラスターを拾い上げ、構え直す。
シュワルツ「その為にここまで来たんだからよ!」
左へ跳躍し、水平にST-ブラスターを連射。
ランバ-ト「クァッ!!」
段幕が生み出す爆煙を掻き分けて、邪鬼王が迫る。
ランバート「ウラァアッ!!」
爪を突き出した邪鬼王の突きが、ステルバーの頭部を貫く。
奈緒「シュワルツ!!」
シュワルツ「ゲッターと違ぇんだ。ンなトコにはコックピットはねぇよ」
ランバ-ト「オ゛ォオオオ──!」
シュワルツ「うぉ…!?」
邪鬼王の肘打ちが、ステルバーの胸部へとめり込む。
シュワルツ「くそっ…!早く迎撃しろ!奈緒!!」
奈緒「バカ言え!この距離で撃ったら、ステルバーだって只じゃ済まない!」
シュワルツ「構うこたぁねぇ!今がチャンスだろうが!」
奈緒「チャンスと自爆を履き違えるな!」
シュワルツ「テメェは俺の邪魔するために来たのか!?」
奈緒「無茶してバカな真似させないために付いてきたんだ!忘れんな!」
シュワルツ「このままじゃ2人まとめてお陀仏だぞ?」
奈緒「手はある筈なんだ…。何か手が…!」
ランバ-ト「ウガァアアアッ!!」
奈緒「ッ!?」
ズズズズズ…ッ
シュワルツ「何だ…?」
ドラゴンタートルが揺れる。
シュワルツ「地震か…?」
奈緒「待てよ…。揺れがどんどんデカくなってるぞ!」
ドラゴンタートル全体を包むように始まった揺れは、やがて衝撃となって奔り、
ランバート「ウォオオオ!?」
やがて、ドラゴンタートル内にいる者達の視界は、反転した。
つづく
次回予告
ドラゴンタートルとの決戦の時が近付く。
傷付きながらも、勝利を目指した戦い李衣菜は、宿敵・ヤシャを突破し、バリア発生装置を破壊することが出来るのか?
決着に向かい、ネオゲッターはソードトマホークを振り上げる──!
次回、ゲッターロボ×CG 第三部
第22話『辛勝』に、チェンジゲッター!