ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

65 / 101
第28話『想いを掛けた決死行!!』

 

~~~ パリ市街 ~~~

                                                         

ボブ「んにゃろぉッ!!」

 

ショルダーキャノンの砲口から放たれる無数の弾丸が、眼前に展開するメカザウルスの群れを一掃する。

 

サム「まさに”入れ食い”だね!」

ボブ「はっはっ!粉々になりたいンなら大歓迎だぜ!まとめてライスシャワーにしてやるッ!」

リンダ「ちょっと!張り切るのはいいけど、あまり街並みを壊すんじゃないわよ。ここをドコだと思ってるの?」

ボブ「はっ!今更花の都なんて気取った所で仕方ねぇぜ。こんだけメカザウルスが沸いて出てりゃぁ、とんだジュラシック・パークだぜ」

リンダ「相手が無法だからって、こっちがそれに合わせて良い通りじゃないでしょ。パリの街って言うのは、その街並みが市民の生きる活力になるの。無暗やたらに破壊されるわけにはいかないわ」

ボブ「ならよ、ティラミス中尉は敵がわざわざマシーンランドの真ん前に人質みてぇに置いた凱旋門。あれもぶっ壊さずにマシーンランドを攻略しろとも言うのかい?」

リンダ「何を言っているのよ。当たり前じゃない」

サム「簡単に言ってくれるよ。凱旋門がマシーンランドの前にある以上、マシーンランドを破壊すれば、凱旋門にも少なからず被害は出るのは間違いないのに…」

リンダ「凱旋門はフランス人の心。フランス人の命も一緒よ。敵に捕まった、生きてる人間を助けるつもりで貴方達も頑張りなさい!」

ボブ「…堪んねぇな、ったくよぉ……」

 

キングダムは跳躍し、落下速度を加えたヒートサーベルの刺突で、メカザウルスの1機を屠る。

 

リンダ「とにかく!マシーンランドに取り付くのよ!何としても…!」

ボブ「それは分かってる。分かってるがよ……敵の防衛線に、こっちにゃハンディキャップまで付いてんだぜ?」

サム「戦況は圧倒的不利…。闇雲に飛び込んだら、それこそ敵に包囲されるだけだ」

 

副長『──展開中の全部隊へ通達。全機帰投せよ。繰り返す──』

 

リンダ「ここで撤退ですって!?」

ボブ「艦長もサムと考えは一緒みてぇだな。このまま戦ってたって、埒が明かねぇ」

サム「俺達が花の都に凱旋するのは、まだ先みたいだね…」

 

けたたましい破壊音と、爆発音が響き渡る。

 

サム「な、何だァ?」

リンダ「戦闘を継続してる?確かあっち区画を担当してたのは…」

ボブ「撤退命令が聞こえてねぇのかよ…!」

 

 

茜 「~~~ッ!!!」

美穂「うぅッ…!茜ちゃん!帰還命令が出てるよ!ここは一度体勢を…」

茜 「後少しなんです!後少し…!だから!!」 グンッ

 

急制動、急加速の機動でコックピットが揺れる。

 

美穂「きゃあっ!」

アーニャ「仕方ないこと…。ですが、これでは、流石に…!」

茜 「やっと!やっと見つけましたよ!ここで逃がすわけにはいきませんッ!!──メカ魔王鬼ッ!!」

 

ガルマ「ふっふっふっふっふっ…!素晴らしい、素晴らしいな?この力は!」

 

一直線に真正面から飛び込んだプロト・ゲッター1を、軽く手を捻るように蹴り上げる。

 

茜 「グァっ!?」

美穂「きゃあ!」

茜 「~~~ッッ!!」

ガルマ「お?」

茜 「うるぁあああッ!!」

 

空中で身を捻り、強引に体勢を立て直したプロト・ゲッター1がフルスイングで放った拳を、メカ魔王鬼は容易く掴み取る。

 

茜 「ッ!?…グゥ…?」 ガッ ガッ

ガルマ「百鬼帝国と言ったか。ゲッターと張り合っただけはある。連中の技術もバカには出来んな!」

茜 「うぁ──!」

 

そのままプロト・ゲッター1を放り投げ、頭部の角から放つ雷撃を打ち付けた。

 

茜 「ウァアアアアアアッ!!?」

ガルマ「ゲッターロボが、まるで赤子ではないか!」

茜 「くっ…!グゥゥ……!返して、下さい!魔王鬼の体は、マサル君のご両親は!貴方に利用されるモノじゃありません!」 グッ

ガルマ「ほぅ、まだ立ち上がる力が残っているか」

茜 「ゲッタートマホークッ!!」

ガルマ「クククッ」

 

バラッ

 

茜 「!?」

 

メカ魔王鬼の体がバラバラと砕ける。

 

茜 「これは…ッ!?」

ガルマ「黄泉路へと送ってやろうぞ!ゲッター!!」

 

細かなパーツとなったメカ魔王鬼の破片が、ここに速度を上げて動きだし、無数の弾丸のようにプロト・ゲッター1を襲った。

 

茜 「うぅぅ…っ、ガァアアアッ!!」

 

奈緒「飛焔チーム…?!何か、ヤバそうじゃないか?」

シュワルツ「例の百鬼メカに押されてるみてぇだな」

奈緒「こっちから援護できないか?」

シュワルツ「出来ねぇ事はねぇがよ、あれは何か事情持ちなんだろ?俺達が下手に撃って、どうなっても知らねぇぞ」

奈緒「けど、このままじゃ…」

 

茜 「うぅ……!」

アーニャ「ダメージレベルが、上昇…。このままだと、ゲッターが……キャアッ!」

美穂「2人ともしっかり!ここで諦めたら…!」

ガルマ「流石に粘るか。だが!」

 

メカ魔王鬼の攻撃が苛烈さを増す。

 

茜 「うわぁああああッ!!」

アーニャ「くっ…!ゲッターは、限界です!」

美穂「うぅ…っ」

美穂(このままじゃ、ゲッターが壊れちゃう…。そうなったら、みんなが…!)

美穂「だったら…!」 グググ…ッ

ガルマ「トドメだ!」

奈緒「飛焔チーム!」

美穂「オープンゲット!!」

茜 「っ!?」

アーニャ「アゥ…!」

 

金属の波となって襲ってきたメカ魔王鬼に対し、プロト・ゲッター1は強制的に合体を解除され、1号機と2号機は弾き出される。が、

 

茜 「美穂ちゃん!」

美穂「きゃああああああっ!!」

 

一番下にいた3号機は、金属の波に呑まれた。

 

美穂「───」

 

茜 「美穂ちゃん?美穂ちゃん!美穂ちゃんっ!!」

アーニャ「……生体反応、消失……Ложь…」

茜 「ッッッ゛…!…くも…!よくも美穂ちゃんを!!──ガッ」 ガクンッ

 

空中に投げ出された1号機と2号機をステルバーが捕縛する。

 

シュワルツ「チッ…。手間掛けさせやがる」

茜 「な、何をするんです!?離して下さい!」

シュワルツ「一時撤退だって、忘れてねぇか?」

茜 「ですが美穂ちゃんが…!このまま引き下がれません!」

シュワルツ「仇討ちがどうのって、偉そうに言える状態かよ?ちったぁ落ち着いて自分を見れるようになってから吠えやがれ!!」

茜 「ぐっ…!ですが!美穂ちゃんを見捨てるなんて出来ません!」

奈緒「とにかく安心しろ!そっちだって何とかなる!あたしを信じろ!」

 

ガルマ「ふん。分離して直撃を避けたか。小賢しい真似を」

 

黒煙を上げ、墜落した3号機に詰め寄る。

 

ガルマ「だがまぁ、こいつさえ完全に破壊してしまえば、再びの合体は出来ん。ゲッターを1体葬れることに変わりは…」

 

李衣菜「プラズマサンダー!!」

 

ガルマ「ぬっ!?」

 

メカ魔王鬼の背中を掠るように、プラズマサンダーが突き抜けていく。

 

ガルマ「……貴様…!紛い物のゲッターが、わざわざ死にに来たか!?」

李衣菜「はっはっ!いくら無謀でも、自分から死にには行かないって。勝算があるから、ここにいる!」

ガルマ「ふっ、だが貴様らには撃てんだろう?このメカ魔王鬼の体を!」

凛 「やっぱり。知ってて前線に出てきたんだ」

加蓮「気に食わない。何でも自分の思う通りになりますって?」

凛 「なら、1つ驚かせてみようか?」

李衣菜「2人共、目が本気じゃない…?まぁ、人質を盾にするような卑劣な奴、思い通りにさせるって言うのも癪だけどね!」

 

両手を打ち合わせ、プラズマサンダーの発射態勢を取る。

 

ガルマ「ほぅ……本気か?所詮、改造された人間は人間ではないと?」

李衣菜「人質を取った奴の言う台詞?こっちだって戦場にいるんだ。覚悟なら出来てるよ…!」

凛 「ランドウとの戦いで、犠牲はとっくに出てるんだ。不幸は何処にだってあるよ」

ガルマ「ぬぅ…!ほ、本当に撃つと言うのか?」

加蓮「だから、覚悟はしてるって言ったよ?」

李衣菜「くらえ…!プラズマ、サンダーッ!!」

ガルマ「ば、バカな…!?」

李衣菜「ショルダーミサイル!」

ガルマ「!?」

 

放たれたプラズマサンダーに、ショルダーミサイルをぶち当てる。プラズマサンダーは弾け、強烈な閃光となって周囲を包み隠した。

 

ガルマ「ぬおおおおぉっ!?こ、これはぁ…!」

 

閃光が消え、視界が正常に戻る頃には、ネオゲッター1は勿論、墜落した3号機もその姿を消していた。

 

ガルマ「おのれぇ…!小賢しいサル共めがァ…──」

 

── 戦艦テキサス・格納庫。

 

李衣菜「──…ふぅ、作戦大成功、上手くいったね!」

凛 「何処が。マシーンランドも陥とせないで、完璧な私達の敗北でしょ」

李衣菜「そりゃぁ、そうだけどさ。そこじゃなくって、敵に一泡吹かせられたし、ゲッター飛焔も助けられた」

加蓮「助けられたって言える?あの状態の飛焔を見ても」

李衣菜「うぅ…。それは…!」

 

チーフ「早く担架を!それだけじゃねぇ、医務室から止血剤とか、包帯とか…!あぁ、何でもいい!とにかく手当て出来る道具を持ってきやがれ!!」

 

李衣菜「? チーフが荒れてる?」

凛 「慌ただしいね」

李衣菜「飛焔の3号機、パイロットの生体信号が途絶えてるっていってたけど…」

加蓮「そりゃ、あんだけ壊れてれば、信号を出す装置そのものが壊れてたって可笑しくないでしょ」

李衣菜「そっか。それじゃ、美穂は無事なんだ!」

凛 「負傷の具合も相当みたいだけど。行ってみよう」

李衣菜「うん!私達にも、出来ることがあるかもしれないし」

 

タッタッ……

 

李衣菜「チーフ~、美穂の容態はどうなって……って、まだコックピットからも出してないじゃん!」

チーフ「あぁ、リーナ達か。違ぇんだよ、出してないんじゃなくて、出せねぇんだ」

李衣菜「どういう事」

チーフ「外からの衝撃で、コックピットブロック自体がぺしゃんこになっちまって、パイロットもその中に挟まれちまってんだ」

李衣菜「だったら、尚更早く装甲板をひっぺがして、美穂を助けなきゃ!」

チーフ「ダメだ。潰れたコックピットの破片が、幾つもパイロットに突き刺さっちまってる。今下手に装甲を剥がしちまったら、そのまま大量出血だ」

加蓮「よく分かんないけど、美穂を挟んでる装甲が、栓になってるって事?」

チーフ「まぁ、そういうこった」

凛 「けど、このままにしておいても、美穂の体力が消耗していくだけだ」

チーフ「分かってる。だから作業員の連中に、応急処置でも治療させる道具を持ってこさせてんだ。だが、医務官の連中もこれからの手術の準備で手一杯で、手が足りねぇ」

李衣菜「それなら、私に任せて!自慢じゃないけど、医務室の事ならよく知ってる。止血剤とかが置いてある場所もバッチリ覚えてるから!」

チーフ「本当か!?そいつは助かるぜ!」

加蓮「まさか、普段の医務室通いが、こんな所で役に立つとはね」

李衣菜「えへへっ、伊達に戦闘で怪我ばっかりしてないからね!」

凛 「褒めてない。普段の汚名を返上出来る機会なんだから、さっさと行ってくる」

李衣菜「う゛っ…!まぁ、じゃあ行ってくるよ」

 

格納庫を飛び出していく李衣菜。

 

加蓮「まったく、これに懲りて少しは慎重に戦ってくれると、チームメイトとしてもありがたいんだけど」

凛 「それで大人しくなるなら、そもそも戦ってもいないと思うよ」

加蓮「言えてる。困ったリーダーをもったよ。ホント」

凛 「けど、李衣菜の機転や思いきりの良さで乗り越えられてきた事も、なかった訳じゃない」

加蓮「…へぇ、意外に評価してるんだ?リーナの事」

凛 「二流、三流のパイロットなら、ここまで生き残ってこられないよ。例えやり方が場当たり的だとしてもね」

加蓮「場当たり的…。けどそのお陰で、アタシも奈緒も、凛も助かってきたか」

凛 「ま、後はもう少し、落ち着いてくれればいいかな」

加蓮「わぁ、手厳しい。……さて、と──」

 

茜 「……」

 

加蓮「そっちは何時までそうしてるつもりなの?」

アーニャ「アー…リン、カレンも。アカネ、ずっとここから動いてくれません。アカネも怪我をして……手当てしないと、いけないのに」

加蓮「んじゃ、3人で運んじゃおっか?ここにいても整備員の人達の作業の邪魔だし」

凛 「確かに、私達3人で力を合わせればなんとか運べるかな。…アーニャも怪我してるみたいだけど」

アーニャ「Отлично…大丈夫。ワタシのは掠り傷、ですから」

加蓮「んじゃ、ちゃっちゃと始めちゃいますか~」

茜 「……ぃです」

加蓮「ん?」

茜 「私のせい……私のせいで、美穂ちゃんが…!」

加蓮「あっ、動き出した」

凛 「そんな壊れた機械みたいな」

茜 「美穂ちゃん!」

加蓮「待って。止まって」

茜 「なっ…!何をするんです!?早く助けないと…!私のせいで、美穂ちゃんが!」

加蓮「今すぐ助けるのは無理なんだって。李衣菜が止血剤を持ってくるのを待たないと。整備班長の話、聞いてなかったの?」

茜 「でも…!美穂ちゃん!」

 

大破したゲットマシン3号機を見つめる。

 

茜 「美穂ちゃん…!」

加蓮「茜が1人で熱くなった結果だね。2人は止めてたのに。可哀想」

アーニャ「カレン!そんな、言い方…!」

加蓮「庇うの?でも、茜が頭に血が上る事さえなければ、美穂がこうなる事もなかった。違う?」

アーニャ「それは……そうかもしれません。けど…!」

加蓮「ホント、お人好しだよね。そっちのチームって。馴れ合うのと、支え合うのは違うから」

アーニャ「そんな事…!カレン達のチームと、アーニャ達のチームは違います!」

加蓮「そう。だけど、正直言って迷惑だから、はっきり言っておくよ。いい、茜?」

茜 「……」

加蓮「下手に勝手に動かないで。邪魔だから」

茜 「…!」

アーニャ「カレン…!」

加蓮「さ、茜を連れていくよ。2人共」

凛 「うん、分かった」

アーニャ「………」

 

── 一時間後、チーム飛焔・私室

 

茜 「……」

 

コンコン

 

李衣菜「…あれー?誰もいないの……って、いるじゃん茜ー。入るよ」

茜 「……」

李衣菜「美穂の手術、上手く行ったってさ。完治するまでには時間掛かるけど、命に別状はないし、その内目も覚ますだろうって」

茜 「……そう、ですか」

李衣菜「(あ、あれ…?いつもとリアクション違う…)あー…、茜の方は?あんまり治療受けてなかったみたいだけど?」

茜 「私は、心配要りません。ほんの掠り傷程度ですから」

李衣菜「そっか。アーニャの方も心配要らないって。腕の骨にヒビが入ってたみたいだけど、大事ないってさ」

茜 「……!…そうですか」

李衣菜「…もしかして、加蓮か凛に何か言われた?」

茜 「そ、そんな事は…!」

李衣菜「やっぱり。露骨にテンション低いし、何にもなかったって言う方が無理でしょ」

茜 「うぅ…っ」

李衣菜「あの2人容赦ないからな~。人が気にしてること平然と言うし、歯に衣着せないって言うか…」

茜 「歯が衣…?」

李衣菜「あぁ、何でもはっきり言うから、追い詰められたりしてる時って、ショックデカいんだ。それだけ、こっちの事信頼してるってことだとは思ってるけど」

茜 「……」

李衣菜「だからまぁ、何を言われたんだとしても気にしなくていいよ。今は状況が状況で、本人達も殺気立ってる感じだし」

茜 「……いえ、加蓮さん達は何も、間違ったことは言ってませんでしたよ」

李衣菜「え、そうなの?」

茜 「はい。加蓮さん達の言う通りです。私が勝手に熱くなって、美穂ちゃんもアーニャちゃんも蔑ろにしたから、お2人が私以上の怪我を…!」

李衣菜「茜…」

茜 「美穂ちゃんは強くなりました。あの状況で、例え自分が犠牲になったとしても、私とアーニャちゃんを助けるって言う決断が出来たんです」

茜 「私は熱くなって、周りに気を遣うことも出来なくて…!変わってないんです!あの頃から、何も…」

李衣菜「あの頃?」

茜 「百鬼帝国との戦いの時です。私達がはじめて、メカ魔王鬼と戦った、あの時…!」

李衣菜「あぁ、色々派手にやらかしたって、凛達も言ってた、アレ?」

茜 「あの時も、私は誰の命も守れなくて…!逆に、子供に助けられて…。逆上して暴れて…」

茜 「あの時から、何も変わってない。みんな成長してるのに…!強い敵と相対して、自分の中の壁を乗り越えて、なのに、私はずっと子供のまま…!」

李衣菜「子供って…。私も茜も未成年だし……子供だと思うけどなぁ」

茜 「それじゃあ、ダメじゃないですか!周りに迷惑掛けて、自分勝手に熱くなって!遮二無二暴れまわるだけでは、ダメじゃないですか!」

李衣菜「う~…ん……。私に言われても…」

茜 「李衣菜さん…?」

李衣菜「それって、やっぱダメなの?」

茜 「ダメ、ですよ…!ダメなはずです…っ」

李衣菜「そうなのかな、やっぱり。私も何時も迷惑掛けっぱなしだからよく分かんないや」

茜 「え?」

李衣菜「だって、死ぬかもしれない事してるんだよ?必死で、がむしゃらになる事だってあるし、頭に血が上って熱くなることだってある。だって死にたくはないじゃん?」

李衣菜「特に私って、ゲットマシンの操縦は苦手だし、何時も加蓮達に合わせてもらってるし、無傷で戦闘終わらせることないし……それで凛からはうるさく言われてるし…」ハハッ

茜 「……」

李衣菜「多分、何時死んでも可笑しくなかったんだって思ってる。それでもここまで来れたのは、きっと運が良かっただけじゃなくて、加蓮に奈緒と凛、それにシュワルツとかジャックとかテキサスのみんなや卯月達ゲッター軍団のみんながいてくれたお陰なんだ」

李衣菜「だから、みんなに感謝してる。今まで助けてくれてありがとうって。これからも、迷惑掛けるけどよろしく、ってね!」

茜 「それで、それで李衣菜さんはいいんですか?迷惑を掛けてるって、そのままで…!」

李衣菜「うんっ!もう開き直ってる。仲間がいるから、迷惑掛けられるんだしね。迷惑掛けた分、ランドウだってラセツだって何だって、みんな私がやっつけてやるって!」

茜 「……!」

李衣菜「そうやって応えるのが、迷惑の返し方だと思うんだ。茜も一緒だよ!美穂が茜を守ったのは、茜ならやれるって信じたからだって!」

茜 「私なら、やれる…?」

李衣菜「魔王鬼を倒せるって。囚われたマサルくんの家族達を救い出せるって」

茜 「そんな…!私には、そんな力は……」

李衣菜「だからってこんなところに籠って縮こまって、美穂達の怪我に責任感じてる場合?それで美穂達の想いに応える事になるの?」

李衣菜「仮に茜が、美穂達に迷惑を掛けているんだとしたら、茜にこうやって悩ませるために、二人は傷付いたって言うの?」

茜 「それは……違いますっ!」

李衣菜「はっきり言えるじゃん。だったら、こんなところで燻ってるなんて茜らしくないでしょ!」

茜 「ちょ…!李衣菜さん、どちらへ!?」

李衣菜「へへっ!」

 

茜の手を引いて、私室から飛び出す。

 

李衣菜「何時だって、雨が降っても槍が降っても日野茜は挫けない、でしょ?」

茜 「……!!」

 

戸惑う茜を連れて、向かった場所は、

 

~~~ 格納庫 ~~~

 

李衣菜「チーフ~!」

チーフ「おう、リーナ。どうした?まだ出撃命令は出てねぇと思ったが?」

李衣菜「私達にも整備を手伝わせてよ!」

チーフ「おう…?」

李衣菜「戦闘続きで、手が足りてないんでしょ?ゲッターの事なら、私もよく知ってるしさ!」

チーフ「成る程…。ありがてぇ、助かるぜ!それじゃ早速頼むぜ!」

李衣菜「オッケー任せて!それじゃあ茜、この軍手着けて、工具持って!」

茜 「で、ですが李衣菜さん!私は…」

李衣菜「私がサポートするから!これから決戦なんだ。茜達がやる気出してる時に、ゲッターが動かなかったら意味ないじゃん!」

茜 「……」

李衣菜「ゲッターは力だ。私達にとって大事な力。自分と一緒に戦うゲッターに触れて、分かることだってあるんじゃない?」

茜 「そう、なんですかね…?」

李衣菜「そうだよ!メカと向き合う、自分と向き合う。きっと同じなんだって思うよ。私達の代わりに痛みを受けてくれるゲッターだから」

茜 「………はいっ!」

 

プロト・ゲッターの整備に取り掛かり始める李衣菜達。

 

凛 「──フフッ、上手く丸く収めてくれたみたいだね?李衣菜」

加蓮「そう?どうせ強引に引っ張っただけでしょ。何時もみたいに」

凛 「うん。だけど、李衣菜にしか出来ないことだよ。私達の中ではね」

加蓮「そりゃ、ね。……あ」

 

アーニャ「アカネ…」

茜 「アーニャちゃん…それに、美穂ちゃん!?」

美穂「…ここにいたんだ」

茜 「ど、どうして…!?まだ動いちゃいけません!傷が開いたら…!」

美穂「でも、戦うんでしょ?」

茜 「それは…」

美穂「ゲッター飛焔を動かすには、2号機と3号機でエネルギーを制御する人がいるんじゃない?」

茜 「それでも、寝てなくちゃダメですよ!」

美穂「寝てなんていられないよ。誰かに任せられることじゃないもん。私がやらなきゃ!」

茜 「美穂ちゃん…」

アーニャ「アー、アカネ?」

茜 「…?」

アーニャ「魔王鬼の事は、マサルくんとの、約束は……もう、茜だけの約束じゃありません。ね」

美穂「アーニャちゃんの言う通りだよ。だから、一人で抱え込まないで?同じ目的、同じ目標に向かって支え合う。それがチーム、でしょ?」

茜 「美穂ちゃん……アーニャちゃん…!そうです…!そうでしたね!」

アーニャ「なら、一人で抱え込むの、良くないですね」

美穂「一緒にやらせて?また、迷惑掛けちゃうかもしれないけど」

茜 「迷惑なんて、あるわけないじゃないですか!私達は、チームです!」

李衣菜「あー…、蚊帳の外からだけど、いいかな?」

美穂「あっ!李衣菜ちゃん!」

アーニャ「ゲッターの整備、お手伝いします」

李衣菜「言ってくれるのはありがたいけど、じゃあ手を動かしてもらっていいかな?もう時間もあんまりないと思うし。多分」

美穂「時間…?」

凛 「さっきので強行偵察は終わったんだ。なら後は、マシーンランドを攻略するだけだ」

アーニャ「リン、カレン!」

李衣菜「…見てたんなら、手伝ってほしいな~…」

加蓮「何言ってんの。マシンの整備中は、パイロットは英気を養うのが仕事でしょ」

李衣菜「むぅ…。そりゃそうだけど」

凛 「けどまぁ、あくまで大局的に見た戦闘だ。個人の事情までは首を突っ込みきれない」

李衣菜「……?つまり?」

加蓮「メカ魔王鬼を止めたいなら、止めたい奴が好きにしろ、って事。どうせ次の戦闘でも出てくるのは必至なんだし」

凛 「専属で魔王鬼を止めてくれる人がいるなら、こっちも動きやすいよ」

アーニャ「それじゃあ…!」

凛 「ゲッターの整備を続けよう。出来る限りは力になるよ」

加蓮「で?まずは何をすればいいの?」

李衣菜「…っ!装甲の張り替えに、再利用できる装甲の叩き直し、やることは一杯あるよ!急いで!」

加蓮「はいはい…。急かしても整備に穴があったらダメでしょうが」

茜 「ありがとうございます!!」

凛 「お礼は、結果で示してくれるとありがたいかな」

李衣菜「へへっ、素直じゃないんだ」

加蓮「十分に素直に、行動で表してるつもりだけど?」

アーニャ「カレン、さっきはその…」

加蓮「さっきは…?何の事だっけ?アタシは、言いたいこと言っただけだけど…」

アーニャ「Нет……分かりました。ワタシ達は、チームと言う言葉に、甘えていたのかもしれません」

加蓮「…甘え、ね」

アーニャ「だから、Спасибо……ありがとうございます、カレン。カレンが厳しくしてくれなかったら、アーニャ達はまた、同じ事、繰り返してました」

加蓮「そう…?気付けたのは良かったじゃん。こっちは、お礼を言われることなんて何も…」

アーニャ「リーナの言う通り、カレンは素直じゃない、けど、優しい人、ですね!」

加蓮「優し…!んもう、だから違うってば!」

李衣菜「はいはいっ!じゃ、数に物言わせてちゃったと終わらすよ!えい、えい、おーッ!」

アーニャ「オー!」

美穂「おー!」

 

── 数時間後。

 

~~~ パリ市街 戦闘空域 ~~~

 

艦長『──戦域に展開しているロボット部隊各員、用意はいいか?本作戦は、フランスの首都、パリを解放する為の一大作戦である』

 

艦長『我々が目標とするマシーンランドは、強固な要塞だ。だが、これが移動要塞である以上、その移動を制御する区画が必ず存在する』

艦長『本作戦は、そのマシーンランド中枢、ひいてはマシーンランドそのものを支配下に置くための制圧作戦である』

艦長『頃合いを見計らい、我が方で選りすぐられし精鋭による突入部隊が、マシーンランドに突入する。ロボット部隊各員には、その突入部隊が突入する進路と、彼らの護衛が主な任務となる』

艦長『現在、敵戦力はマシーンランドを中心に防衛陣を築き、こちらの侵攻に対し徹底的に抵抗する構えを見せている。文字通り、猫の子一匹通る隙間も存在しはしない』

艦長『しかし、ここまで幾多の死線を潜り抜けてきた貴官らならば、この鉄壁の敵陣に、糸を通す針穴を穿つことも出来ると私は信じる!総員、今一度奮起してくれ。この戦いが、この先に待ち受けるランドウとの決戦の試金石と心得よ!!』

 

ボブ「よっしゃあ!やってやるぜ!!」

サム「メカザウルス共…!一匹残らずポップコーンに変えてやるぜ!」

リンダ「…まったく、バカってのは単純でいいわね」

シュワルツ「全くだ。言うのは簡単だぜ?言うのはな…」

奈緒「ここまで来たんだ。グダグダ考えるだけ無駄だって。なぁ?」

シュワルツ「ハッ、火器担当は気楽でいいぜ。ったく…!」

奈緒「お前の腕を信頼してるんだよ。生きて帰ろうぜ、相棒?」

シュワルツ「…ケッ!」

 

加蓮「……奈緒が楽しそうにしてる」

李衣菜「え?」

凛 「今は仕方ないでしょ。強がりでも、余裕を持つ時間は必要だよ」

加蓮「分かってますけどー?…で、そっちは大丈夫?飛焔チーム」

美穂「は、はい!何とか…!」

アーニャ「装甲の換装が、全部出来ませんでした。他の形態への変形は、リスクがあります!」

茜 「私のゲッター1だけでの戦闘になるわけですね!任せてください!」

李衣菜「頼りにしてるよ!」

アーニャ「…それよりも、ミホ?」

美穂「わ、私は大丈夫…。ギプスをキツく巻いてもらったし、ちょっとの事なら!」

アーニャ「無茶はダメ、ですよ」

美穂「そうだけど…。それでも、私の事は気にしないで!マサルくんの家族を助けられるのは、多分この一回だけ。だから!」

茜 「……はいっ!今の飛焔で出来る限りを尽くします!」

 

加蓮「…ふふっ」

凛 「良いチームだと思うよ?」

加蓮「悪いチームなんて言った覚えはないけど?」

李衣菜「ははっ、素直じゃないんだ?」

加蓮「リーナ、後で食堂のポテトキングサイズで奢りね」

李衣菜「何で!?」

加蓮「整備手伝ったお礼」

李衣菜「お礼って…。それに、食堂のポテトって、普通でも1キロくらいあったと思うけど……」

凛 「無駄話はそこまで。これだけの敵だ。こっちも他人に気を遣ってる余裕はないよ」

加蓮「敵さんも向かってきますか~。大人しくしてれば良いのに、働き者なんだから」

李衣菜「…って言うか、今まで突っ込まなかったけど、何でゲッター3?」

加蓮「別にー?何時も誰かさんに迷惑掛けさせられてるんだから、たまにはアタシもやんなきゃね?」

李衣菜「むぅ……」

凛 「良いんじゃない?珍しく加蓮がやる気なんだから」

加蓮「そう言うこと!──ゲッタートルネード!」

 

ネオゲッター3のゲッタートルネードが、突撃してきたメカザウルスの気勢を削ぎ落とす。

 

加蓮「茜、援護お願い!」

茜 「了解!ガトリングを撃ちます!」

加蓮「よし、タンクモード!」

 

プロト・ゲッター1が放つ火線を縫い、タンクモードのネオゲッター3が高速機動で敵陣に肉薄する。

 

加蓮「ゲッターパンチ!」

 

剛腕を振るい、メカザウルスを粉砕。

 

凛 「…うん。いい、加蓮?私達の目的はあくまでメカザウルスだ。それ以外の敵には目を向けちゃダメだ!」

加蓮「了解っ!雑魚を千切って投げれば良いんでしょ?余裕~」

李衣菜「一応言っておくけど、突入部隊を乗せた装甲車もあるんだから…!」

加蓮「それも、やられたらおしまい、って言うんでしょ?大丈夫。ネオゲッター3は基本前にいるから、ちっちゃい的を敵に狙わせないよ!」

李衣菜「ホントに大丈夫かな…?」

凛 「少なくとも、李衣菜よりは周りが見えてるよ。加蓮は」

李衣菜「うっ…!」

加蓮「そう言うわけだから、そっちはそっちでヨロシクね~!」

茜 「分かりました!美穂さん、どうですか?」

美穂「うん。今探して……いたっ!メカ魔王鬼!」

茜 「!」

 

シュバッ

 

目にも止まらぬ速さで飛翔するプロト・ゲッター1。

 

李衣菜「わっ!速~…!」

凛 「一応、機動力は真ゲッター並らしいからね」

李衣菜「それ、ちょっとマウント取って言ってる?」

凛 「別に。考えすぎじゃない?」

李衣菜「……ホントに、茜達だけで大丈夫かな?」

加蓮「人の心配している場合?」

 

コックピットは激しく揺れる。

 

李衣菜「うわわっ!ちょっと、加蓮!」

加蓮「こっちは避けたりするのが得意な訳じゃないんだし、仕方ないでしょ~!」

李衣菜「今、わざと攻撃喰らわなかった?」

加蓮「他人の心配してる暇はないって、教えてあげたの。茜達が一番面倒臭いメカ魔王鬼を相手してくれるって言ったんだから、任せちゃえば良いじゃん?」

李衣菜「そんな、気楽な」

加蓮「気楽で言ってるつもりでもないんだけどね。──えいっ!」

 

言葉を返しながら、ネオゲッター3の拳でメカザウルスを殴り倒し、粉砕していく。

 

加蓮「フィンガーネット!」

 

正面にフィンガーネットを放ち、動き回るメカザウルスを捕縛。

 

加蓮「ホント、落ち着きのない相手って嫌い」

凛 「加蓮、ネオゲッター3に追加された新武装を!」

加蓮「言われなくてもそのつもりですよー、っと。──プラズマバレル、延伸!」

 

ネオゲッター3の背中のホーン部分が正面に倒れ、キャノン砲のように側頭部から前方に伸びる。

 

加蓮「インパクトキャノン!」

 

ホーンの先端から放たれるのは高圧縮したプラズマの弾丸。ネットで絡め捕られたメカザウルスに命中し、爆発を以て破壊する。

 

李衣菜「ウッヒョー!中々の威力!」

加蓮「出力を絞ってる分、エネルギー効率も悪くないかな。精度も良いし。プラズマブレイクより使い勝手良いかも」

凛 「好評みたいで何より。後で改修を手伝ってくれた整備班長にもお礼言わなきゃね」

加蓮「ふふっ…!メカザウルスを一発で破壊できるパワーに砲撃のキャノン。今のネオゲッター3に死角はないよ!」

李衣菜「な、何かキャラ変わってない?」

凛 「これは……スイッチ入ったかもね」

李衣菜「スイッチって何のー?!」

加蓮「つべこべ言わないの!パリから恐竜帝国を追い出すんでしょ?だったらアタシ達も立ち止まってなんていられない。徹底的にやってやるんだから!」

 

──。

 

茜 「ゲッタートマホークッ!!」

 

戦艦テキサスに向け進軍するメカ魔王鬼の前に、トマホークを携え、プロト・ゲッター1が立ちはだかる。

 

ガルマ「…また貴様か。しつこい奴だ」

茜 「ここであったが百年目!今度こそ、その体を返してもらいます!!」

アーニャ「アカネ、台詞がちょっと、悪役、っぽいです」

ガルマ「出来るものならばやってみるが良い。知っているぞ、貴様らはこのメカ魔王鬼を攻撃できない。事情があるのだろう?うん?」

美穂「茜ちゃん、大丈夫?」

茜 「……!」 スゥ…

茜 「はいっ!私は大丈夫です!!」

アーニャ「……」

茜 「戦いに必要なのは、クールな頭脳と、熱いハート」

美穂「……」

茜 「お2人が、クールな頭脳で私を引っ張って、私の熱いハートが、2人を見失うことなく共に燃え続けられれば、ゲッターは無敵です!」

アーニャ「…はいっ!」

美穂「うんっ」

ガルマ「さっきからごちゃごちゃと…。やるのか?死ぬか、どちらだ!?」

茜 「黙れッ!!」

ガルマ「!?」

茜 「そして聞け!」

茜 「私の名前は茜、日野茜!悪を燃やし尽くす焔なり!ですっ!!」

ガルマ「ほざきおって~…!死ねぇいッ!!」

茜 「はっ!」

 

メカ魔王鬼の口から放たれた炎をさらりと躱し、メカ魔王鬼目掛けて加速。

 

茜 「やぁっ!!」

 

トマホークの長大な柄をメカ魔王鬼の体に押し付け、体勢を崩す。

 

ガルマ「ぬぅ…!?」

茜 「はっ!」

 

トマホークの柄尻で、メカ魔王鬼の脇腹を打ち、

 

茜 「ゲッターキック!」

 

メカ魔王鬼の頭部に直蹴り。怯んだメカ魔王鬼を完全に転倒させた。

 

茜 「どうです!?」

美穂「捕まってる人達、痛いと思うけど、ちょっとの間だけごめんなさい!」

アーニャ「必ず助けますから。我慢、して下さい」

ガルマ「くっくっくっ…!」

茜 「!?」

ガルマ「効かんなぁ…?そんな生ぬるい攻撃、この私にはなァ!!」

茜 「!」

ガルマ「くぁッ!!」

茜 「……っ!」

 

地面から顔を上げたメカ魔王鬼の放つ雷撃を、咄嗟に翼を開き、飛び退いて躱す。

 

ガルマ「フハハハハハ~ッ!逃げろ逃げろぉ!みっともなく逃げ回れぇ~!!」

茜 「くっ…!」

 

執拗に繰り出される雷撃を天に地に、縦横無尽な機動で躱していくプロト・ゲッター1。

 

美穂「うぅ…っ!」

アーニャ「ミホ!」

美穂「私は大丈夫だよ。気にしないで!」

茜 「…分かりました。ですが、このままでは近付けません…!」

アーニャ「……。…! アカネ、ガトリングガンを」

茜 「えっ!」

アーニャ「地面に!」

茜 「え…?あっ!そう言うことですか!分かりましたァ!!」 ジャコンッ

茜 「ドララララララッ!!」

 

左腕に構えたガトリングガンを地面に撃ち、土煙を舞い上がらせる。

 

ガルマ「くっ…!これで狙いを逸らしたつもりか!」

 

腕を振るい、舞い上がった土煙を振り払いながら、

 

ガルマ「貴様らの狙いは分かっているぞ!この隙に、背後に回り込むつもりで…!」

 

しかし、土煙を突き破り、プロト・ゲッター1が姿を見せたのは、正面。

 

ガルマ「な゛っ……?!」

美穂「私の考えくらい、貴方達なら見破ってくるって、簡単に分かります!」

茜 「だから、攻撃の手が止まれば良かったんです!」

ガルマ「貴様ら…っ!」

茜 「うわぁああああああッ!!」

 

プロト・ゲッター1の鉤爪が、メカ魔王鬼の頭部に突き刺さる。

 

美穂「これで…!」

ガルマ「ぐ…ぅ……っ」

アーニャ「! まだです!」

茜 「!」

ガルマ「まだまだァ!!」

 

メカ魔王鬼の火炎攻撃が、プロト・ゲッター1を焼く。

 

茜 「うあぁ…!」

ガルマ「まだだ…!人間共!ラセツ様に拾ってもらったこの命、新生恐竜帝国の建国を見ずして、果てるわけにはいかんのだッ!!」

茜 「コクピット温度上昇!熱くなってきましたね…!」 ダラダラ…

美穂「本当…。でもこのくらい、何て事ないよね?」

茜 「当然です!アーニャさん、調子はどうですか?」

アーニャ「Да!何時でも準備万端。出力は絞ってあります!」

茜 「よぉし、それじゃあこれで!」 ジャコンッ

 

プロト・ゲッター1の肩から姿を見せるキャノン砲。

 

ガルマ「貴様…!道連れにするつもりか!」

茜 「威力は最低の…!プラズマノヴァ!」 ビ-ッ

 

細いレーザーのようなプラズマノヴァが放たれ、メカ魔王鬼の角を破壊する。

 

ガルマ「ぐあぁ…!な、何だ…?」

茜 「このっ!」

ガルマ「ぐふっ!」

 

ショルダータックルでメカ魔王鬼を再度転倒させ、火炎から逃れる。

 

茜 「これで、あのしつこい雷はもう撃てませんね!」

ガルマ「貴様…!それを狙って、敢えて攻撃を受けたと言うのか!?」

茜 「これが肉を切らせて、骨折り損です!」

アーニャ「それだとずっと、損してますね。肉を切らせ、骨を断つ、です」

茜 「それです!」

ガルマ「ふざけおって~!」

 

再び火炎を放つが、飛翔し距離を取ったプロト・ゲッター1には届かない。

 

茜 「どうしたんですか!私はここですよ!」

ガルマ「おのれぇ~…!」

 

茜 「さぁ…!もう遠距離の私達を捉えるには、”あの技”しかないですよ!」

アーニャ「それが、ワタシ達の最後の賭け、ですね」

美穂「う、上手く行くのかなぁ…?」

アーニャ「それはそれぞれのСпособность……腕次第、ですね」

美穂「ど、どうしよう…!緊張してきた!」 ドキドキ…

茜 「大丈夫です!自分を信じて、仲間を信じて、チームを信じれば、必ず上手くいきます!」

美穂「…う、うん…!そうだよね…!」 ドクンドクンッ

 

ガルマ「こちらを挑発するつもりか!最早、生かしてはおかん!!」

 

メカ魔王鬼の体が分裂する。

 

美穂「来たっ!!」 バクバクバクバクバクバクバクバクバクバクバク…ッ

アーニャ「ミホ…心臓、爆発しますか?」

茜 「迷っている暇はありません!行きますよ!」

 

茜 「オープンゲット!!」

ガルマ「何ィ!?」

 

ゲッターを分離。ゲットマシンのまま、パーツの群れの波に動きを合わせる。

 

ガルマ「こいつら…!こちらに動きを合わせ、攻撃をいなしているとでも言うのか!?」

アーニャ「敵の動きに、逆らうじゃなくて、乗る」

茜 「塊で体当たりしてくるわけではありません!ならば、その流れに身を任せれば、損傷を最小限に抑えることが出来ます!」

ガルマ「はっ!だがそれで勝ったわけでもあるまい?いいだろう、とことんまで翻弄してやる!精々付いて来てみろ!」

 

グン、といきなりパーツの流れが急上昇する。

 

美穂「うっ…!」

茜 「大丈夫ですか?美穂さん!」

美穂「な、何とか…!」

アーニャ「想定通りですけど、やはり相手の動きに見当を着けて、飛ぶのも,

限界がありますね…!」

茜 「それでも、喰らい付いていくしかありません!チャンスは、この一回だけ…!」

美穂「うん…!正念場は、これから──!」

 

魔王鬼は飛んだ。マッハの超スピードで。上に下に、時に右左と向きを変え、狂ったように飛んだ。チーム飛焔のゲットマシンを振り払い、引導を渡すために。

 

みく「──くっらえー!ゲッタービームにゃあっ!」

瑞樹「……?待ってみくちゃん。何かが接近してくるわ」

みく「うにゃ?何かって、何が…?」

瑞樹「私にもよく分からないけど……1機じゃないのは確かみたいね」

みく「一体何にゃ?」

菜々「な…!な、なななな…!」

瑞樹「どうしたのよ、菜々さん。いきなり自分の名前を連呼なんかしちゃって」

菜々「そーではなく!あれ、見てください!何ですか、あれ!」

みく「あれって…」

 

こちらに真っ直ぐ向かってくる分裂したメカ魔王鬼と、ゲットマシンの群れ。

 

みく「や、ヤバいの来てるよ!?」

瑞樹「早く!ゲッターを分離して!」

みく「にゃ…!お、オープンゲットォ!!」

 

半ば反射で応じて、ゲッターを分離。先程までゲッター1がいた場所をパーツの波が通り抜け、その後には半円状に穿たれた大地が残る。

 

みく「か、間一髪だったにゃぁ~……」

菜々「本当に何だったんですか?今のは…」

瑞樹「詳しくは分からないけど、でもあの群れの中に、茜ちゃん達のマシンが見えたわ」

菜々「えっ?それじゃあ、あれがメカ魔王鬼…?」

みく「茜ちゃん達も、必死に戦ってるって事?」

 

パリの歴史ある建築物がガラスのように砕け、街路樹も紙切れのように引き裂かれ、空気が幾つもの割れ目を作った。

 

ガルマ「くっ…!しぶとい奴等だ!まだ付いて来るか!」

茜 「当たり前です!私の体が、どれだけ傷付こうと!ゲッターがどれほど痛め付けられようと!ここまで来たんです!絶対に離しませんよ!!」

ガルマ「その執念に感服すべきか!こうなれば…!」

 

パーツの流れが止まる。

 

茜 「!」

アーニャ「来ました、チャンスです!」

ガルマ「貴様らに合体されるより前に、その戦闘機を破壊してくれるわぁ!」

茜 「それは無理な相談です!」

ガルマ「何っ!?」

美穂「……っ!…えいっ!」

茜 「チェーンジゲッターーーッ!!ワンッ!!」

ガルマ「合体している最中の、メカ魔王鬼の中で合体するだとぉお!?!」

茜 「合体は、こちらの専売特許です!!」

 

まさにメカ魔王鬼へと変形する最中の魔王鬼の中でプロト・ゲッター1に合体。

 

ガルマ「どういう事なんだ~、これはァ??」

 

後は本体にドッキングするのみとなっていたメカ魔王鬼の頭部、魔王鬼のコントロールユニットをその手で掴み、捕縛する。

 

茜 「ここまでは読めてました!アーニャちゃんと、美穂ちゃんが!」

美穂「合体の順番があるもん。頭部は一番最後に合体するから、必ず孤立する瞬間がある、かもって」 エヘヘ…

茜 「絶対に離さないと、最初に言った筈です!」

ガルマ「うおぉぉぉおお!!放せ~~~ッ!!」

 

最後の抵抗とばかりに、火炎を放つ。

 

茜 「本体からエネルギーを受けられない、今の貴方の攻撃など痛くも痒くもありません!!」

アーニャ「アカネ、何時でも、いけます!」

茜 「アーニャちゃん、分かりました!えいっ」

ガルマ「うおおおおお~~っ!!?」

茜 「もう手加減も、貴方には慈悲も遠慮も情状酌量も要りませんっ!!」 ジャキッ

 

プロト・ゲッター1の肩のキャノンが開く。

 

茜 「ゲッタァァアーーッ!!!ビィィイイイムッ!!!!!!」

 

ドワッ

 

ガルマ「ウオオオオオッ!!ラセツ様──!!……」

 

ゲッタービームが空を貫き、ガルマは断末魔の果てに消え、残されたメカ魔王鬼の本体は地に伏した。

 

美穂「や…った……?」

茜 「やりました…!やった!アーニャちゃんと、美穂ちゃんのお陰です!」

アーニャ「Нет…アカネ、違います」

茜 「?」

アーニャ「魔王鬼に勝てたのは、アカネの力があったから。アカネがアーニャ達を信じてくれたから、です。それに…」

茜 「それに?」

アーニャ「まだ、メカ魔王鬼に勝てただけ、ですね?」

美穂「あ…。そっか」

茜 「ふふっ、アーニャちゃんの言う通りです!勝って兜の緒を締めよ、ですね?」

アーニャ「アー……今回は、合ってます」

茜 「よしっ!」

美穂「ふふっ。それじゃあそろそろ行こう?ゲッターはまだ動くよ」

茜 「はいっ!マサルくん、遠い地ですが、約束は果たしました。次は、マサルくんの為、日本にいる家族や友人、アイドルの仲間達の為に、必ず倒してみせます!」

美穂「うんっ」

アーニャ「えぇっ」

茜 「ランドウ、ラセツ──!」

 

──。

 

『──突入した部隊より緊急通信!』

凛 「…通信?」

李衣菜「何?作戦が上手く言ったの?」

凛 「……いや、それにしては時間が早すぎる。何かきな臭いね」

李衣菜「きな…?」

『突入部隊、恐竜帝国残党の指揮官を捕らえられず!繰り返す──』

李衣菜「え?ラセツを逃がしたの?」

凛 「そういうわけでもないみたいだ」

李衣菜「?」

『敵拠点内部には、残された兵力もおらず!既に、敵主力部隊は逃走を図ったものと思われます!』

李衣菜「逃走…!?でも、どうしてそんな?」

凛 「……どうやら私達は、まんまとラセツに嵌められたみたいだ」

李衣菜「嵌められた?」

凛 「マシーンランドは、恐竜帝国の拠点だ。連中にとって必要不可欠なもので、パリでのこの戦いでも決戦を仕掛けてくると思っていた」

李衣菜「そうでしょ。ここを無くしたら、ラセツは地上侵略の要を失うようなモンじゃん。それを、自分から手放すなんて…」

凛 「ラセツは狡猾で、地上支配の野心を捨てきれるほど殊勝じゃない。だからこそ、マシーンランドを捨てたんだ。私達をここに足止めする為に」

李衣菜「足止め?!こんだけ戦力を残して、自分の拠点まで囮に使って、足止め…?」

凛 「うん。実際この場には、ランドウの手勢のほとんどがいると思う。そこまでしないと、私達に勘繰られるからね」

李衣菜「でもそれなら、ほとんどの力を無くしちゃったって事になるんじゃないの?そこまでして、逆転できる方法なんて…」

凛 「あるよ。だからランドウはここを陣地に取ったんだ。私達の動きを抑え込み、自分は迅速に目標を制圧するために」

李衣菜「ここから迅速に迎える…?」

加蓮「凛。まさかその話、本気でしてるわけじゃないよね?」

李衣菜「加蓮。戦闘に集中してたんじゃ?」

加蓮「そっちの会話が気になって集中何て出来ないよ。それに、さっきから敵の攻勢が弱くなってきてる気がするしね」

李衣菜「え?」

凛 「やっぱり。もうここには、防衛する価値もないんだ」

加蓮「それじゃあ、やっぱり…!」

李衣菜「ちょ、ちょっと!2人で話進めないでよ!凛と加蓮が何の話をしてるのか、さっぱり分かんない!ラセツの目的って、私達に逆転できるかもしれない、その目標って一体…!?」

加蓮「簡単でしょ?恐竜帝国の戦力が当てに出来ないなら、奴等はどこから戦力を調達しようとするか」

凛 「ラセツの目的地は、北極…!」

李衣菜「北極…?そんな、まさか!」

凛 「そのまさか。ラセツの目標は、蛇牙城だ」

 

つづく

 




次回予告

海峡を渡り、蛇牙城を目指すラセツを追撃する連合艦隊。
一人の男、プロフェッサー・ランドウの宣戦布告から始まった戦いが、今まさに終局へ向かって動き出していた。
来るべき決戦に向け、士気を高める李衣菜達の前に、追撃を阻止せんと放たれた刺客が洋上で待ち受ける──!

次回、ゲッターロボ×CG 第3部
第29話「死力の追撃戦!!」に、チェンジゲッター!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。