茜 「夜空の星が輝く街に、邪悪な気配が忍び寄る──」
茜 「助けを求め、嘆きを叫ぶ人々の、涙背負って正義の鉄槌!!」
茜 「旋風合体、ゲッターロボ飛焔!!」
茜 「お呼びとあらば、即参上っ!!」
── 市街地、夜。
茜 「さぁ!!敵はどこですか!私とアーニャちゃんと美穂ちゃんの、このゲッター飛焔が、相手をしますよぉ!!」
アーニャ「探さなくても、もう暴れてます。あそこに!」
茜 「むむむっ…!見たことないタイプですね!棘付き鉄球に体が付いてます!」
アーニャ「メタルビーストや、インベーダーとは、データが一致しません」
? 『ガァアッ!!』
茜 「おっと!」
相手の下半部。棘付き鉄球に似た部位からミサイルのように放たれた無数の棘を、上空でゲッターを大きく旋回。狙いから外した後に縦横無尽にジクザクと飛来する刺の隙間を縫うように飛び抜けて往なす。
茜 「数だけは大したものですが!そんな攻撃、当たりはしませんよッ!」
アーニャ「今の回避パターンを、プログラムにインプット、しました。次の動きで最適化、出来ます」
茜 「ありがとうございます!で、敵の解析は!どうですか?」
美穂「ちょっと待って……もうちょっと。出た!……機械反応はあるけど、生体反応?あの敵全体から…」
茜 「つまり……どう言うことです!?」
アーニャ「あれは巨大な生命体……インベーダーに似ている…。けどそれとは、別種の、敵です」
美穂「もしかして、晶葉ちゃんが言ってた、みくちゃん達を倒した相手…!」
? 『ガァアッ!!』
茜 「何の!」
放たれた攻撃を再度回避。そこから目標に対して直線軌道に入り、一直線に肉薄。
茜 「遠距離からチクチクと…!何時までも、やられてるばかりではありません!」
拳の隙間から鉤爪を覗かせ、反撃。
茜 「たぁッ!!」
ガギ…ンッ
? 『……』
茜 「ぐっ……がっ!思いの外、固いですね…!」
相手が右腕そのものとなっている巨大な鎌を振るい上げる。
? 『グガァッ!!』
茜 「っ…!」
振り下ろされた大鎌を、咄嗟に両腕を交差させて防ぐ。
茜 「うぎぎぎ…!」
美穂「何とか攻撃は防いでる……けど」
アーニャ「この距離で、さっきのミサイル攻撃を受けたら…!」
? 『ッ!?』
茜 「!? 何ですか!」
プロト・ゲッター1にも響く衝撃。彼方から放たれた攻撃が敵を仰け反らせた。
芳乃「今の内に退避をー。体勢を整えて下さいませー。お早くー」
美穂「ゲッターD2……芳乃ちゃんが乗ってるの?」
アーニャ「細かい話は後…。アカネ、離脱を」
茜 「了解ですっ!」
素早くプロト・ゲッター1を持ち直し、離脱。距離を取り、ゲッターD2と合流する。
美穂「ありがとう、芳乃ちゃん」
芳乃「……」
美穂「芳乃ちゃん?」
芳乃「何とも禍々しき姿ー。破壊と殺戮の本能に支配されたー、悪意の塊でしてー」
美穂「悪意…?あ、あの敵のこと」
芳乃「暴鬼の如き荒々しき力とー、獣の如き闘争本能ー。決して無視しておくことの出来ない化け物でしてー…!」
アーニャ「ボウキ…?ケダモノ……キジュウ?」
茜 「キジュウ?鬼獣ですか!何も名前がないよりはいいですね!」
美穂「鬼獣…!芳乃ちゃんの言葉じゃないけど、街を破壊する以上、放っておけないのに変わりはないよ!」
茜 「ですね!鉤爪が効かないのなら、トマホークでぶった斬ってやりますっ!!」
芳乃「援護は致します故ー。思う存分、舞い躍って下さいませー」
茜 「ゲッタァァァトマホォォォクッ!!」
ゲッターD2がライフルを構え、プロト・ゲッター1がトマホークを抜き放つ。
茜 「──はっ!」
プロト・ゲッター1のやや後方、引目の位置に右手で握ったトマホークを構え、一瞬の溜めを作った後、一気に加速。
鬼獣『…!?』
瞬く間に、鬼獣の懐に飛び込んだ。
芳乃「抵抗はー、させませぬよー」
鬼獣『?!』
ゲッターD2がライフルを撃ち、鬼獣の動きを牽制。
茜 「ちょあ──!」
その隙に、大上段に持ち上げたトマホークを勢いよく振り下ろした。
茜 「たぁッ!!」
鬼獣『──?!?』
縦一閃。トマホークによって断たれた断面から血飛沫が迸り、鬼獣は血溜まりに倒れ伏した。
美穂「な、何か凄惨だね…」
アーニャ「これで、倒しました、か?」
茜 「動かない以上は、そう言うことではないですか?私達の勝利です!」
芳乃「しかしー、そう簡単にもいかぬようでしてー」
茜 「!?」
芳乃「上をー、ご覧下さいませー」
美穂「上……っ?!あれって…!」
芳乃「異界門が再び開かれましてー。先程のは前哨戦とー、そう言うことでございましょー?」
茜 「何が来ようと相手になってやります!この街をこれ以上、破壊させませんよー!!」
アーニャ「ワームホールから熱源、複数…!…これは…!」
茜 「どうしたんですか!?アーニャちゃん!」
アーニャ「敵が、鬼獣が…!群れで来ますっ!更にその後ろ……Выдающийся……」
茜 「ぶら…?どう言うことです!」
美穂「見て!空間が捻れた、向こう」
茜 「……!?あれは…!」
美穂「鬼獣……ううん、ゲッターよりも、一際大きい…」
茜 「戦艦ですか?それとも、敵の要塞…!」
芳乃「…ゾルドXX」
茜 「ゾルド…?」
アーニャ「どうして、名前を…?」
芳乃「何としても倒さねばなりませぬー。あれはー、この世界に破滅をもたらすモノでしてー」
美穂「破滅…」
茜 「言われなくても、倒すつもりです!」
美穂「大きいの、そのゾルド何とかって言うのも勿論だけど、他の鬼獣も……さっきの鬼獣の仲間、なのかな?」
茜 「UFOみたいなのに人魚型!随分とバリエーションが豊富ですね!」
アーニャ「攻撃パターンも予想出来ません。慎重に、って言っても仕方ありません、ね」
? 『キシャァアアアッ!!』
下半身が円盤のような形をした円盤鬼獣が来る。
茜 「ぬぅ…!」
手に持った槍を突き付ける円盤鬼獣の攻撃を、トマホークの柄で受け止める。
茜 「ぐっ…!芳乃さん!」
芳乃「ゲッターびーむをー」
プロト・ゲッター1が抑えた円盤鬼獣を、ゲッターD2のビームが射抜く。
茜 「やりました!ナイス援護射撃です!」
芳乃「いえいえー」
アーニャ「一体の撃破で、喜んではいられません…!次々、鬼獣が来ます!」
ワームホールを潜り抜けた鬼獣達が次々に迫り、口から火炎や電撃を放ち、ゲッターを攻撃する。
茜 「うわっと!」
芳乃「回避をー」
鬼獣の攻撃を躱わしていくが、目標を失った攻撃は真下、地上の市街地へと落ちていく。
茜 「しまった…!」
美穂「敵を早く倒すことは大事だけど、街の被害を拡大させるのもダメだよ!」
茜 「敵の攻撃は防御するか、違う方向に流すしかありませんか!うぅ…!難しい戦闘になりそうですっ!」
アーニャ「けど、やるしかありませんよ!」
芳乃「支援は致しますー。茜さんは茜さんの思うままにー、舞ってくださいー」
茜 「…頼みます、アーニャちゃん、美穂ちゃん、芳乃さん!」
アーニャ「Да!」
美穂「うんっ!」
芳乃「はいー」
ゾルドXX『──!』
茜 「何の目的があるかは知りませんが、これ以上の無法は許しません!必ず、全員追い払ってやります!!」
──。
晶葉「さぁ、着いたぞ」
美波「…着いた?ここって…」
~~~ 旧早乙女研究所・跡地 ~~~
晶葉「ここからは歩きになる。暗い上に足元も悪から、気を付けるんだぞ」
かな子「ほ、本当にここに新しいゲッターがあるんですか?格納庫とか、そう言う設備的なのは、何も見当たりませんよ?」
晶葉「施設ならしっかりあるさ。ここにな」 タンタンッ
そう言って足で地面を叩く。
かな子「地面?」
晶葉「では、行こうか」
美波「奥に行くの?進んで大丈夫なの?」
晶葉「ん?あぁ確かに、ここら一帯はかつてのゲッター線爆発で、通常と比較しても数倍のゲッター線が滞留している。が、僅かな時間なら問題はない。現に、私はほぼ毎日こうして出入りしていたのだからな」
かな子「ほぼ毎日…?」
晶葉「あぁ。うってつけの隠れ家さ、ここは。政府の連中やゲッター線に造詣のない者は恐れて近付かない。幽霊騒動もあるからな」
かな子「幽霊騒動?」
晶葉「事故当時逃げ遅れた研究所所員の幽霊が出るらしい」
かな子「ほ、ホントにお化けがでるんですか…!?」
晶葉「インベーダーなんてモノがいるくらいだからな。今更現れたところで、驚きもしないが、残念ながら私はまだ出会したことはない。…何でも白衣を着た小柄な姿で、この辺りを彷徨っているらしいんだがな」
美波(それってもしかして…)
かな子(晶葉ちゃんのこと、何じゃ…)
晶葉「さて、市街地の戦闘も気になるし、急ぐとしよう。こっちだ」
晶葉を先頭に、薄暗い夜の森の、獣道のような道を突き進む。
美波「それにしても、人目を忍んで、こんな所で開発を進めていたなんて…」
かな子「研究所じゃダメだったんですか?」
晶葉「まぁ、既存のゲッターロボだけでも、結果は出せているからな」
かな子「?」
晶葉「政府連中にとっては、ゲッターは人類防衛の要かもしれんが、同時に癌でもある、と言うことだよ」
美波「ゲッター汚染。ゲッター線が持つ危険性は政府にとっても懸念する材料1つ、ってことだよね?」
晶葉「ランドウとの戦いで有耶無耶になってはいたが、無罪放免、許されたと言うわけではない。そのランドウの戦いの中でも真ゲッターは核エネルギーを吸収すると言う事を仕出かしている」
美波「抑止力としての核が、意味を成さない…」
晶葉「そんな力を日本だけが所有していても、逆に世界中に拡散されたとしても、今の世界の勢力図に何かしらの変化があるのは明白だろう」
かな子「だから、えっと……ゲッターの運用に慎重になってる?」
晶葉「そう言うことだ。現存している分のゲッターはあくまで国防戦力として維持することは出来るだろう。しかし、そんな中で新たなゲッターの開発などと。諸外国は勿論、世論も黙ってはいないだろう」
晶葉「…と、ここだ」
そう言って地面と同化してカモフラージュされたマンホールのような重厚な扉を引き上げる。
かな子「これは…」
晶葉「ここから地下に降りる。降りた先が、あの事故から奇跡的に遺された、研究所の地下区画だ」
かな子「地下区画…」
晶葉「付いてきてくれ。くれぐれも、足元には気を付けてな」
そう言って、頼りない鉄梯子を下に向かって進んでいく。その先には、
美波「真っ暗…」
晶葉「待ってろ。今電気を点ける」
かな子「うっ…」
突然の点灯に視界が明滅する。そこは、
──旧早乙女研究所跡・地下区画。
かな子「スゴい…!早乙女研究所の施設、そのまんま…!」
美波「まだこんなところが残されていたなんて…」
晶葉「あのゲッター線爆発に呑み込まれず残っていた空間だ。ゲッター飛焔も、ここで発見された」
美波「え?」
晶葉「もう少し、歩くぞ」
かな子「ま、まだあるんですかぁ?」
晶葉「……」
かな子「あぁ、待ってください~!」
美波「施設が無事だったのは素直に驚いたけど、復旧させるのは大変だったんじゃない?」
晶葉「いいや。この区画専用の予備動力も無事だったからな。開発中のゲッターの炉心も合わせて、さほど苦労はなかったさ」
美波「予備動力まで?何だか都合のいい話…」
晶葉「だからこそさ。この区画が我々に遺されたのは奇跡なのか、必然なのか。ここで眠っていた2体のゲッターは、それを知る鍵でもあるのだ」
かな子「だから、ここに籠るような真似をしてまで、開発を決めたんですね」
晶葉「あぁ。まぁな」
美波「世間の反対を押し切ってまで?」
晶葉「……」
美波「さっきの話の続き。晶葉ちゃん、外国や政府、世論まで快く思わないことを知った上で、開発してるんでしょ?」
晶葉「政府の目論見は甘いんだ。今脅威となる敵を退けられたところで、この先それ以上の脅威が現れないとは限らない。現に、新たな敵は今まさに我々の目の前に現れたのだからな」
美波「それは、ゲッターを狙って現れた可能性も、あるわけだよね?」
晶葉「そんなもの、卵が先か、鶏が先かの問題に過ぎない。私達は生き残らなければならない。そうだろう?」
美波「……」
晶葉「生き残る為には如何なる手段をも講じる。生に対して貪欲でなければ
、何者にも未来は与えられない。……ここだ」
突き当たり。1つの扉の前に辿り着く。
晶葉「その為に手を尽くしたんだ。早乙女博士が遺した資料を漁り、博士が40年と言う長い時間を掛けて築き上げたゲッター線研究の全てを半年と言う僅かな時間で吸収し、プロト・ゲッターを、ゲッター飛焔を生んだ」
晶葉「言わばこれは集大成なんだ。早乙女博士のゲッター研究の成果。それを受け継いだ私の、ゲッターと共に人類を新たな未来へ導く為の──!」
カードキーでセキュリティを解除。気圧が下がる音がして、自動で扉が開かれる。
晶葉「最後のゲッターロボ。ゲッターロボ、アークが…!」
かな子「ゲッターロボ…」
美波「アーク…」
ゲッタ-ア-ク>……
ズズズズズズズズズ…
かな子「何だか、異様な雰囲気ですね。真ゲッターロボとも、また違う気がします」
晶葉「そうだ。これは真ゲッターとは違う。ゲッターに対して特異な反応を見せる、卯月の為に作られたゲッターとはな」
かな子「それじゃあ、このゲッターは、一体何の為に…」
晶葉「人類の為だ。私はそう信じる。アークの名の意味と共に、そう込められたのだと」
かな子「アークの名前の、意味…?」
晶葉「旧約聖書に登場する方舟や円弧など様々な意味を連想するかもしれないが、ゲッターアークが由来とするところは、梵字だ」
かな子「ぼん…?」
美波「梵字。確か、古代インドで使われていた梵語を使用する際の漢訳文、じゃなかったかな?」
晶葉「流石に詳しいな」
かな子「でも、どうして梵字が使われてるんです?」
晶葉「早乙女博士がこのゲッターに何を求めていたのかは今となっては分からない。しかし、アークが冠するその意味から察するに、恐らくは守護神として、ゲッターを完成させたかったんだろうと」
かな子「守護神…」
晶葉「梵字で表されるアークは、日本語に訳すと大日如来。そして、2号機はキリク、3号機はカーン。共に阿弥陀如来と不動明王。どちらも仏教上高位に当たる存在だ」
美波「キリクに、カーン…」
かな子「な、何だか今一、ピンと来ない名前ですね…。馴染みが薄いって言うか…」
晶葉「アークの最終調整をしよう。2人共、搭乗の準備を」
かな子「搭乗!?いきなり乗るんですか!?」
晶葉「市街地の戦闘が気になると言っただろう?アークの力が必要になる時が来るかもしれない。何にせよ、準備しておくに越したことはない」
かな子「それは、そうですけど…」
晶葉「アーク用のパイロットスーツも用意してある。更衣室は直ぐそこの角だ。さぁ、早く着替えてきてくれ」
かな子「え、えぇ…」
美波「3人目のパイロットがまだ揃ってないけど?」
晶葉「問題ない。3人目は恐らく、市街地の戦闘に現れるだろう。いや、もう戦っているかもしれない」
美波「…どう言うこと?」
晶葉「これ以上話している時間も惜しい。着替えが終わったら、各コックピットに急いでくれ。かな子は3号機、美波は2号機だ」
かな子「え…?美波さんが2号機なんですか?」
晶葉「確かにそう伝えたが?」
かな子「けど、美波さんはブラックゲッターで、ゲッター1の操縦に慣れてる筈です。それなのに、まだ誰かも分からない3人目を、1号機のパイロットにするんですか?」
晶葉「こうも言った筈だ。これ以上話している時間も惜しい、と」
かな子「……」
晶葉「聞けばどんな答えでも返ってくると思うな。知りたければ、自分の目で見、掴み取るくらいの事はしてみせろ」
美波「その為に、ゲッターアークで戦地に向かえって言うのね?」
晶葉「あぁ、そうだ」
美波「……分かった。行こう、かな子ちゃん」
かな子「…はい」
晶葉「急いでくれ。時間はそれほどないかもしれない──」
ゲッタ-ア-ク>……!
晶葉「──…分かっている。もうすぐだ」
──。
~~~ 地下、避難シェルター ~~~
莉嘉「……」
美嘉「莉ー嘉ー?どうかした?」
莉嘉「……っ」 ブルッ
美嘉「莉嘉……アンタ、大丈夫?」
莉嘉「お姉ちゃん…」
美嘉「大丈夫だから。ここなら莉嘉が怖がってるようなことは、何も起きないから」
莉嘉「う、うん…」
「パパァ…?ママァ…!」
美嘉「うん?」
男の子「ママ……」
美嘉「君、どうしたの?」
男の子「……お姉ちゃん?」
美嘉「お母さん達とはぐれたの?」
男の子「うん…。避難してたら、他の人達に押されちゃって…」
美嘉「そっか。避難中にはぐれちゃったんだ。それじゃあ、このシェルターの中に…」
男の子「そう思ってたんだけど、何処を探しても見当たらなくて…」
美嘉「え…?それじゃあ…」
男の子「パパ、ママ、まだ外にいるのかな…」
莉嘉「!!」
美嘉「まだそうと決まった訳じゃないよ。別のシェルターに避難したのかもしんないし」
男の子「でも…」
美嘉「ここで君が探しに行って、君に何かあったら、パパとママが悲しむでしょ?」
男の子「……」
美嘉「今上では、ゲッターが戦ってくれてる。戦闘なんて直ぐに終わるんだから。落ち着いたら、探しに行こう?そん時にはアタシも手伝うし」
男の子「…うん」
美嘉「よし。……莉嘉?」
莉嘉「…kなきゃ」
美嘉「莉嘉?」
莉嘉「アタシ、探してくる!」 ダッ
美嘉「ちょっと、莉嘉!」
莉嘉「!!」
美嘉「莉嘉ァ!!」
~~~ 市街地 ~~~
莉嘉「──…はっ!はっ、はっ、はっ…!」
莉嘉「誰か!誰かいませんか!!男の子とはぐれた人は…!……っ!?」
シェルターを飛び出し、地上に上がった先。見慣れていた高層ビルの街並みは、一変していた。崩れ、瓦礫となった外壁を地面に散りばめ、火を吹き上げるビル群。街路樹にも炎は拡がり、割れ、亀裂が走り、崖の先か断崖のように抉れ、隆起するアスファルトの地面。
そして、それらと共に火を上げ、下敷きになり、或いは道路に取り残された車の中に力なく横たわる、人の姿。
死体死体死体──。崩れた街の瓦礫と屍体の山。まるで地獄のような光景。生きている人など何処にもいなかった。
莉嘉「っ……はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!」
莉嘉(どう、して…?)
爆風。衝撃で瓦礫と熱が舞い上がる。
莉嘉「きゃあっ!」
戦闘は継続中だった。
莉嘉「ゲッター飛焔……ゲッターD2…!」
視界の先、夜闇が支配する上空で、ゲッターD2がビームを放つ。
莉嘉「っ…!あれが、敵…!?」
ビームによって照らされた先、ゲッターD2のビームを潜るように躱わす敵が、ゲッターD2に向かっている。
莉嘉「危ないっ!」
人魚のように下半身が魚のようになった、しかし人とはかけ離れた上体を持つおぞましい姿の魚鬼獣が、刃先が三ツ又になった槍をゲッターD2に振りかざす。
ガギ……ガギンッ
ゲッターD2がトマホークで槍を受け止めるも、勢いは殺せず、地面へと墜落。
莉嘉「うぅ…!」
また一つビルが崩れ、墜落の衝撃がここまで伝わる。
魚鬼獣『グァアアッ!!』
ブォンッ
魚鬼獣『ギャァアアアアアッ!!』
ゲッターD2のマウントポジションで咆哮を上げた鬼獣に、背後から長大なトマホークが突き立ち、動きを止めた。
莉嘉「ゲッター飛焔がD2を助けた…?D2のパイロットは!」
自然にゲッターに向き掛けた足が、不意に止まる。
莉嘉「あ……あ…」
莉嘉(お姉ちゃんの所に戻らなきゃ…!お姉ちゃん、心配してる…)
グググッ…
崩れたビルを支えに起き上がろうとするゲッターD2の元に、プロト・ゲッター1が駆け付け、フォローに。
ダダダダダダダダダッ
莉嘉「きゃあっ!」
思わぬ重低音に身がすくむ。
遥か上空から迫る鬼獣の群れ目掛け、腕部のガトリングガンを遠慮なくぶっ放したのだ。
鬼獣群『──!!』
プロト・ゲッター1の射撃に応じるように、鬼獣の群れも各々の口から火炎などを吐き出し、ゲッターD2とプロト・ゲッター1の周囲は爆炎と巻き上がった瓦礫に包まれる。
莉嘉「あぁ…!」
拡散した噴煙を吹き飛ばし、プロト・ゲッター1が翼を広げる。どうやら、囮になってゲッターD2が立ち上がる隙を作るつもりらしい。
左腕を突き出してガトリングガンを鬼獣の群れに突き付けながら、右腕で据えるようにトマホークを構えて、プロト・ゲッター1が飛び立つ。
──チャンスは、今だ。
莉嘉「…チャンスって?」
莉嘉(アタシが行って、何になるの?)
──アタシよりも、操縦が出来る人は一杯いる。
莉嘉(なのに、今更行って、また足を引っ張るの?)
──そうやってまた足を引っ張るのか?大将の時みたいに。
莉嘉(そうだよ。あの時、アタシがいたから大将は…)
──大将は、アタシが殺した。
莉嘉(そうなんだ。アタシが動いても、誰かを傷付けるだけ。誰かを悲しませるだけ。それなら、アタシは何もしない方が…)
──違う。
莉嘉「…え?」
──結局逃げているだけだ。誰かの悲しみ、誰かの命。”誰か”に寄り添っている振りをしているだけで、結局自分が逃げたいだけだ。
莉嘉「……」
──自分の知り合いを失って、それがスゴく悲しかっただけで、もう同じ思いはしたくないからって、見て見ぬ振りをしているだけだ。
莉嘉「アタシは…」
──結局”誰か”が傷付くのは変わらない。”誰か”が悲しむことに変わりはない。都合のいい、言い訳でしかないのだから。
莉嘉「そうだ、だから──!」
ダッ
駆け出した。シェルターの入り口がある、地下通路とは逆方向に。
莉嘉「アタシは、逃げたいんじゃない、守られたいんじゃない…!」
莉嘉「アタシは、立ち向かいたいんだ!」
莉嘉「アタシが戦うことで、誰かが悲しむのなら、誰かが辛い思いをするのなら、悲しませなきゃいい。傷付かなければいい!」
莉嘉「アタシが、強くなればいい!!」
そして、辿り着いた。
莉嘉「だから、ゲッター…!」
ゲッターD2の元に。
莉嘉「っ…!」
迷うことなく、コックピットハッチまで駆け上がった。最早手慣れた動作で、ハッチを開く。
莉嘉「芳乃!?」
芳乃「う~…ん…」
莉嘉「血が出てるよ、大丈夫?」
芳乃「…ようやく、辿り着きましたかー?」
莉嘉「え?」
芳乃「……申し訳ありませんー。右目に血が入ってしまいましてー。よく前が見えないのですー」
莉嘉「待ってて!降ろすの手伝うから!」
芳乃の手を取ってコックピットから引き上げ、そのまま肩を掛けて一旦地上まで降ろす。
芳乃「ありがとうございましてー、莉嘉さんー」
莉嘉「何て事ないよ☆…本当は、シェルターまで案内してあげたいけど」
芳乃「心配には及びませぬよー。それよりもー、繰り手なきゲッターをこの場に残して行く方がー、心配なのでしてー」
莉嘉「だよね。じゃあ、ゲッター借りるよ」
芳乃「元より其方の力でしてー」
莉嘉「そっか。ありがと、芳乃☆」
芳乃「いえいえー。ふふっ」
莉嘉「ん?」
芳乃「やはりー、莉嘉さんには白い星がよくお似合いでしてー」
莉嘉「何の事?」
芳乃「此方のことでしてー。それよりもー、早く往かねばー。茜さん達も危ういでしょー」
莉嘉「そうだった!それじゃあね!」
やや急ぎ足でコックピットまで駆け上がり、シートに滑り込む。
莉嘉「ゲッターD2、起動!」
慣れた様子で、ゲッターD2を再起動。直後から通信が入ってくる。
アーニャ「大丈夫ですか、ヨシノ!」
美穂「って、莉嘉ちゃん!?どうしてD2のコックピットに!」
莉嘉「芳乃が怪我したから。選手交替!」
美穂「選手交替って、無茶だよ!パイロットスーツも無しじゃ」
莉嘉「スーツは無くても、これがあるよ!」
アーニャ「…安全ヘルメット?」
莉嘉「うんっ☆前に大将から貰ったの。何時も持ち歩いてるんだから!」
美穂「た、確かに無いよりはマシかもだけど、そういう問題じゃ……きゃあっ!」
通信用のサブモニターにノイズが走る。プロト・ゲッター1が攻撃を受けたのだろう。
莉嘉「待ってて!今行くから!!」
瓦礫を掻き分け、立ち膝の姿勢で、ゲッターD2がその翼を開く。
莉嘉(大将、きっとスンゴい怒るだろうなぁ…。でも、今は見守ってて。アタシの無茶を)
ゲッターD2、飛翔。
莉嘉「プァ-----ッ!!」
頭から蹴り付けられるような感覚。急激なGの変化に鼻血が噴き出すのも、操縦桿を緩めはしない。
莉嘉「アタシは……城ヶ崎莉嘉だぁああアアアッ!!」
ゲッターD2は、戦闘を繰り広げる敵陣へと飛び込んでいく。
芳乃「……」
芳乃「竜の戦士、否ー……まだ生まれて間もない仔竜ですがー」
芳乃「こちらは見事起ち上がりー、自らの意思で飛び立ちましてー」
ヒュ──z__ン
──…ギンッ
美波「な、何…?」
かな子「ゲッターアークが、起動した…?」
美波「最終調整、終わったの?晶葉ちゃん」
晶葉「いや、まだ途中だったが…。今しがた終わった」
美波「どう言うことなの?!」
晶葉「ファクターは全て揃ったと言うことさ。さぁ、出撃だ」
ガコン、と一つ、音がして、土や雑草を落としながら、ゲッターアークの頭上、出撃口の穴が開く。
かな子「ここから直接出られるようになってるんですか」
晶葉「現地までの操縦は2号機パイロットの美波に委譲するぞ」
美波「…了解です」
晶葉「油断するなよ。まだ2人乗りだからフルパワーは引き出せんと言っても、そのゲッターのパワーは、ブラックゲッターとは比べ物にならないんだからな」
美波「それでも、出来ることだけはしてみせるから」
晶葉「それと、コックピットでのおやつタイムも終わりだ、かな子」
かな子「ムグッ…!す、すいません!調整が長引くと思ってて…」
美波「普段通りなのは、いいことだと思うけど…」
かな子「これが最後ですから!もうちょっとだけ待って下さい!」
晶葉「…締まらんな。構わん、行け。美波」
かな子「えっ?ちょっ、待っ──」
美波「ゲッターアーク、発進!」
かな子「フグッ──!」
美波「!?」
ズアォッ
──。
莉嘉「とぁああアアアアアッ!!」
トマホークが閃を描き、円盤鬼獣の上半身と下半身を両断する。
莉嘉「っ!?」
咄嗟に身を翻して、背後から忍び寄った魚鬼獣の槍の突撃を回避。
莉嘉「喰らえぇ!」
突き抜けていった背後に、ゲッターライフルのエネルギー弾を浴びせる。
莉嘉「茜!」
茜 「合点です!ゲッタービーム!!」
怯んだ魚鬼獣にビームを合わせ、トドメと。
茜 「やりましたね!莉嘉ちゃん!」
莉嘉「フフンッ☆討っていいのは、討たれる覚悟のある奴だけだ、ってね!」
茜 「流石です!何時の間に腕を上げたんですか?」
アーニャ「アカネ、リカ。お喋りはまだ先、ですよ」
美穂「今ので鬼獣はあらかたやっつけたみたいだけど、まだ大物が残ってるよ」
美穂(莉嘉ちゃん、鼻血止まってないし、長期戦は厳しいかも…)
ゾルドXX『……』
茜 「むぅ…!仲間がやられても、ずっと黙っているだけで、不気味ですね!」
莉嘉「動かないんだったら、先手必勝!一気に片を付けてやるッ!!」
茜 「莉嘉ちゃん!?」
アーニャ「迂闊、です…!」
莉嘉「えぃやぁああアアアッ!!」
ゾルドXX『…!』
勢いよく振り下ろしたトマホークは、ゾルドXXの装甲に弾かれる。
莉嘉「こンのぉ…!ゲッタービームッ!!」
直ぐ様体勢を立て直し、ゲッタービームを放つ。が、
ゾルドXX『!』
莉嘉「ウソ…!」
美穂「ゲッタービームが、弾かれちゃった!」
茜 「どういうカラクリですか!?バリアですか!」
アーニャ「……茜が正解、みたいです。ビームが弾かれた正面に、アー……よく見えない、障壁のようなもの、捉えました」
茜 「むぅ…!何と卑怯な!」
美穂「そんなことより、莉嘉ちゃん!早く離れて!」
莉嘉「え…?」
ゾルドXX『!!』
無数に伸びた触手が、ゲッターD2に襲い掛かる。
莉嘉「うわっ…!キモッ!」
ゲッターD2、急加速でゾルドXXから距離を取り、触手の追撃を躱わしていくが、
莉嘉「っ…!…くぅ!はぁ…っ、はぁ…っ!」
急加速、反転、急制動。それらが掛ける肉体への負担が、パイロットスーツのない莉嘉に襲い掛かる。
茜 「てぇぇぇいっ!!」
下方から上昇しつつゲッターD2と触手の間に割って入ったプロト・ゲッター1が、トマホークで追ってきた触手を一閃の元、斬り伏せる。
莉嘉「あ、ありがと……茜」
茜 「…プラズマ・ノヴァ!!」
礼には応えず、ゾルドXXに対してプラズマ・ノヴァを放つも、プラズマ・ノヴァはゾルドXXの手前数メートルのところで、やはりバリアに弾かれて四方に弾ける。
茜 「くっ…!フルパワーでも無理なんですか!」
美穂「今のでプラズマエネルギーの半分を使っちゃったから、同じ攻撃は後1回しか撃てないよ!」
アーニャ「しかも、砲身の冷却まで、後180秒掛かります」
茜 「…連続で波状攻撃、と言う訳にもいきませんか…!」
ゾルドXX『!!』
続けて、と言うようにゾルドXXの上部、人型をした半身部分から、雷撃が放たれる。
茜 「おわっと!」
莉嘉「きゃあっ!」
左右それぞれに分かれて、攻撃を回避。続けざまにゲッターD2とプロト・ゲッターそれぞれにゾルドXXの触手が襲い掛かる。
莉嘉「こ、このぉ…!」
茜 「これでは、合体ビームも撃てませんよっ!」
莉嘉「くぅ~…!」
襲い掛かる触手をライフルで撃ち落としながら、叫ぶ。
莉嘉「逃げてたって、ダメ…!それなら!」
茜 「莉嘉ちゃん!」
莉嘉「当たって砕けろだぁ~っ!!」
触手の動きが緩んだ隙に、ゾルドXX本体に肉薄。
莉嘉「ダブルトマホークッ!!」
トマホーク二刀流で、ゾルドXXの装甲に勝負を挑む。
莉嘉「このっ、このっ、このっ、このっ、このっ、このっ!!」
トマホークを滅多打ち。左右のトマホークをその刃が砕けてボロボロになっても、交互に振り下ろし続けた。
そして、トマホークの刃がこぼれ、折れて砕け散れば、手で足でゾルドXXを打ちのめす。その姿はまるで、此方の攻撃が一切効かないことに腹を立てる子供のようだった。
莉嘉「このぉオオオ!!」
両腕もひしゃげて、潰れるほど殴り続け、右足も失い、残った左足で最後の蹴りを放つ。すると、これまで悠然と浮いていたゾルドXXが傾いた。
莉嘉「やった…!」
美穂「ダメ!莉嘉ちゃん!!」
莉嘉「え?」
ゾルドXX『!!』
雷撃が、ゲッターD2の全身を打ちのめす。
莉嘉「きゃあああああっ!!」
茜 「莉嘉ちゃん!」
ゾルドXX『!』
残ったゲッターD2の胴体を、幾本かの触手が貫く。
美穂「あ……あぁ…!」
茜 「くっ…!莉嘉ちゃん、今助け…!」
此方の邪魔はさせん、と言うように、残った触手がプロト・ゲッター1に襲い掛かった。
茜 「っ…!退いて下さい!この…っ!!」
トマホークを振り回して触手を刈り取っていくが、目の前に現れる触手が尽きることはない。
ゾルドXX『…!!』
プロト・ゲッター1が触手の処理に追われている間に、ゾルドXXの上部に、光が蓄積される。
莉嘉「あ……アタシは…!」
茜 「莉嘉ちゃんっ!!」
ゾルドXX『──…っ!?』
莉嘉「………?」
ゾルドXXが弾かれたように横に揺らいだ。いや、弾かれたのだ。
美穂「今のは…」
アーニャ「トマホーク、ブーメラン…」
反対の方向から投じられた、一対のトマホークによって。
美穂「けど、こっちの迎撃に出られるようなゲッターなんて……あれは…!」
茜 「真ゲッター!?」
莉嘉「違う…。あれは…!」
美波「──…間に合った!」
美波(ブラックゲッター以上のパワー…!覚悟はしてたけど…)
晶葉『まさか、一度戦闘エリアを大きく通り過ぎるとはな。少し肝が冷えたぞ』
美波(これでまだ、フルパワーじゃないなんて…!)
かな子「美波さん!相手が怯んでます!今の内にゲッターD2を!」
美波「え、えぇ!──っ!」
戻ってきたトマホークをキャッチして構え直し、肉薄。
美波「やぁあああっ!!」
ゲッターD2を串刺しにして捕らえた触手を断ち斬り、ゲッターD2を解放。
莉嘉「ぁ…」
力を失い、落下するゲッターD2を掬い上げる。
莉嘉「うぅっ…!」
美波「大丈夫……って、莉嘉ちゃん!?」
かな子「パイロットスーツも着ないで……どうして?」
美波「…ともかく、安全なところに降ろして、手当てを…!」
晶葉『安全な所など、地表にはないだろう。無論、手当てをしている余裕もな』
美波「っ…!だったら、どうすれば…!」
晶葉『1つだけ、安全な場所があるだろう?』
美波「……まさか!」
かな子「莉嘉ちゃんをゲッターアークに乗せる気ですか!?この状態の莉嘉ちゃんを!」
晶葉「その状態でゲッターD2を操縦していたんだ。もう数分は持つだろう」
美波「持つだろう、って、そんな問題じゃ…!」
莉嘉「アタシは、大丈夫だから…」
美波「莉嘉ちゃん!?」
莉嘉「アタシを、そのゲッターに乗せて。ゲッターD2は、もうダメだからさ」
そう言って、コックピットから這い出てくる。
美波「莉嘉ちゃん…!」
莉嘉「行くよ…!コックピット、開けて!」
美波「…っ」
ゲッターD2のコックピットから飛び上がった莉嘉。そのまま、開いたゲッターアークのコックピットへと入り込む。
莉嘉「おっと!」
莉嘉が乗ったことで球状のコックピットブロックが回転。明かりが点き、モニターやディスプレイが動き出す。
莉嘉「…へへっ、何だろう。初めて見る筈なのに、ずっと待ってた気がするよ」
コックピット正面のサブモニターにアークの梵字が一瞬浮かび、直後に機体の状態などを示す画面へと切り替わり、起動を完了する。
美波(操縦が自動で切り替わった…!?…操縦が一番上のコックピットに優先権が移るのは知ってるけど、それでも、何もしてないのに切り替わるなんて…)
美波「…これは」
視界の端、サイドのサブモニターが告げる。ゲッターアークのゲッター線エネルギー量が上昇している。
美波「まさか、ゲッターアークの、3人目のパイロットって…!」
晶葉『その通りだ』
かな子「嘘、ですよね…?今回だけじゃないんですか?」
晶葉『ゲッターの反応。そして何より、莉嘉自身の意志がそうだと言っている』
美波「けど、今の状態で戦闘させるなんて!せめて私が代わりに…!」
莉嘉「アタシは大丈夫だって、言ったよ」
美波「…!」
莉嘉「ごめんね、ゲッターD2」
抱えていたゲッターD2を、地面に落とす。
莉嘉「さて、行こっか。ゲッターロボアークッ!!」
ヒュンッ、と目にも止まらない動きで、打ち付けられた触手を躱わす。ゲッターアークの姿は、遥か上空へと。
茜 「な、何なんですか!あのゲッターは…!」
美穂「ゲッターアークって言ってたけど…」
アーニャ「……ミナミィ…」
莉嘉「やぁあああアアアッ!!」
上空から急加速。急降下でゾルドXXへと接近し、掌底を喰らわせるように右手でゾルドXXを押さえ付け、
莉嘉「アアアアアッ!!」
そのまま真下の地面まで引き連れ、勢いよく叩き付けた。
莉嘉「──へへっ!」
右腕でゾルドXXの動きを押さえたまま、左手指の先から、鋭利な爪が鈍く光る。
莉嘉「えいっ!」
手刀を突く動作で、ゾルドXXの体に爪を食い込ませ、
莉嘉「っ!」
そのまま、装甲の一枚を引き剥がす。
ゾルドXX『!!』
ゾルドXXも黙ってはいられず反撃。雷撃がゲッターアークを打つ。
莉嘉「うっ…!」
美波「うぅ…っ」
かな子「莉嘉、ちゃん…!」
莉嘉「だぁい丈~夫っ!こんなの、全っ然痛くないっ☆」
ゾルドXXを豪快に蹴り飛ばし、雷撃を停止させた。
莉嘉「はぁ…はぁ…はぁっ。茜!」
茜 「は、はいっ!」
莉嘉「今の内、ビームを合わせるよ」
茜 「あ……了解です!」
今一度ゲッターアークが飛翔し、プロト・ゲッター1と合流。
莉嘉「狙うのはあそこ。アタシが装甲をひっぺがしたトコ!」
茜 「! 成る程、そのために…!」
莉嘉「やるよ、ゲッター…!」
茜 「ゲッタァアー──!!」
莉嘉・茜「「ビィィイーームッ!!」」
ゾルドXX『!!?!』
ゲッターアークの額と、プロト・ゲッター1の砲身。2体のゲッターが放ったビームは交差するポイントで合流して強大なビームとなり、ゾルドXXをバリアごと包み込んで破壊した。
盛大な爆発と、舞い上がった噴煙が辺り一帯を包む。
茜 「ふぅ…。何とか、今回は収まりましたかね?」
美穂「……。うん、ワームホールの出現とか、増援はないみたい。だけど…」
アーニャ「ゲッターアーク、そう言ってましたね…」
美穂「あのゲッターロボは…」
美波「……」
美波(私があれだけ手こずったゲッターアークを、フルパワーを引き出した状態で、一瞬で手足のように動かすなんて…)
美波「才能とか素質とか、そう言うのは分かるつもりだけど…」
かな子「す、スゴい初陣になっちゃいましたね…。これ、真ゲッターにだって負けませんよ」
莉嘉「は…ははっ」
かな子「莉嘉ちゃん?」
莉嘉「これだよ!ずっと待ってた!これが、アタシの力、ゲッターアーク…!」
莉嘉「フフフッ……クククッ……あはははっ──☆」
『ウォオオオオオオオオオオオオオオ──ッ』
美穂「な、何…!?」
アーニャ「ゲッターアークが…」
茜 「吠えてる…?」
ゲッターアークがその口を開いて天を仰ぎ、咆哮を轟かせる。
『オォオオオオオオオオオオオオオオ──ッ!!』
芳乃「仔竜の産声ー…。純粋でありー、力強くー、良き声色でしてー」
芳乃「祝祷の時ー。今正にー、戦士は生まれ出でましてー」
芳乃「如何なる悪意もー、横暴もー、振り払われるでしょー。曇りなき心とー、曇りなき刃であればー」
つづく
次回予告
戦う決意と共に、研究所へと帰還する莉嘉。周囲の人間の不安や心配を受けながらも、ただ強くなる為、鬼との戦いに身を投じる。
そして、早乙女研究所の元に、町一つが鬼に支配されたと言う一報が入り、詳しい調査の為向かうことになった晶葉と美波。
果たして、二人がそこで目撃するものとは何か?圧倒的な速さを誇る新たな鬼獣を前に、ゲッターアークもまた、第二の姿を見せる──。
次回、『キリクが駆ける』