~~~ マシーンランド 謁見の間 ~~~
カムイ「……」
莉嘉「……」 ドキドキ
美波「……」
かな子「……」
カムイ「…良い。各々、楽にせよ」
ニオン「……」
莉嘉「……ぉ」
ニオン達の動きに合わせて、顔を上げる。
カムイ「……」
美波(この人が、このマシーンランドの王…?)
かな子(何か…)
カムイ「珍しいか、私の顔は」
美波「あっ…! い、いえ…!そのような事は…!」
莉嘉「何かニオンとは違うよね。ドロスとも違う感じ」
美波「り、莉嘉ちゃん…!」
カムイ「良い。君達も、ここに来る道中、ここの民達に好奇の目で見られてきただろう。お互いにまだ交流が少ない。お互い様と言う奴だ」
美波「あ、有り難う御座います…」
カムイ「それに、その者の言うことは間違ってはいない。ハ虫人類として、私は純血ではないからな」
かな子「純血じゃ、ない…?」
カムイ「混血種…。つまりはハーフなのだ、私は。ハ虫人と人間の」
美波「!? 人間と、ハ虫人のハーフ…」
カムイ「誕生経緯は長くなるので省くが、その出生の為にここでは王の真似事をさせられていると言っておこう」
ドロス「お、王…!真似事とは流石に…!」
カムイ「言葉が過ぎたか?王の戯れ言だ。流せ」
ドロス「……」
カムイ「さて、話を戻そう。先ずは長旅、ご苦労だった。そして良く、我々の要請に答えてくれた」
莉嘉「要請って、アタシ達は何で呼ばれたのかも聞いてないんだけど?」
鉄甲鬼「莉嘉、王の御前だぞ。言葉遣いには…」
カムイ「良い。彼女らはあくまで客人だ。礼節を咎めていては、話も進まない」
鉄甲鬼「……」
カムイ「…今回、わざわざ地上から君達を読んだ理由は、大きく分けて2つだ」
美波「2つ…?」
カムイ「1つは、我々の元で開発された新兵器。それのテストに付き合ってもらいたい」
かな子「新兵器の、テスト…?」
カムイ「そう。我々恐竜帝国の技術力と、君達人類の、早乙女研究所のゲッター研究技術を合わせた新型兵器。その名も、ゲッターザウルス」
莉嘉「ゲッターザウルス…!?まさか、恐竜帝国製のゲッターロボ!?」
カムイ「うむ」
美波「ゲッターロボのテスト……と言うことは、私達乗り込んで、稼働状況をチェックしたりするんですか?」
カムイ「いや、ゲッターザウルスのパイロットは既に選抜されている。君達に協力してもらいたいのは、稼働試験中の計測と、模擬戦闘の対戦相手などだ」
莉嘉「計測に模擬戦?それなら、メカザウルスでも出来るんじゃない?」
ドロス「それはそうなんだがな。そちらのゲッターと直接手合わせすることで、ゲッターザウルスもその能力を引き出せるであろうとな。それに、お主らのゲッターアークと性能評価テストを行うことで、我々のゲッターがどれ程ゲッターに比肩出来るのか、それを計りたかったのだ」
かな子「…成る程」
ドロス「それと、な」
美波「まだ、何か?」
莉嘉「2つあるって言ってた頼みごとの、もう1つ?」
ドロス「いや、それとは直接関係ある訳ではないのだがな、…パイロットの練度向上にも、付き合ってもらいたいのだ」
かな子「練度の?」
ドロス「この恐竜帝国に於いて、ゲッターのように分離合体出来るマシンを扱いこなせる者も、そうはおらん。ならば、我らよりもずっとゲッターを手足のように操れるお主らに、ご教授の程を是非ともと、おう思ったのだ」
美波「私達に出来ることなら、何でもお手伝いしますけど…。その、チームとしてはまだ日が浅いですよ?」
ドロス「それでも構わぬ。奴等にとっても、良い刺激となるだろう」
美波「奴等…?」
ドロス「後で正式に紹介はする。ザウルスチームの連中だ」
美波「はぁ…」
莉嘉「どんな人達なのか、楽しみだね?」
かな子「けど、ゲッターアークと性能を比べるゲッターを造るなんて…。目的はインベーダー打倒、だけですか?」
カムイ「フフッ……そうだ。それが、2つ目の要請でもある」
美波「2つ目の…?」
カムイ「恐竜帝国の急進派……彼らとの戦いに、協力してもらいたい」
美波「恐竜帝国の、急進派…?!」
莉嘉「それって、前にヨーロッパで戦ったラセツの一団の事じゃないの?みんなやっつけたんじゃ…」
ニオン「あんなもの、氷山の一角に過ぎん」
美波「一角……と言うことは、私達人間との対応について、強硬な姿勢を執ってる人達が、まだ…」
ドロス「それが今、ここで急進派と言われている一団。奴等のマシーンランドもまた複数存在しておるが、その中でも特に大勢力だと目されておるのが、帝王ゴールの遠縁に当たる、キャプテン・グールが率いる一団だ」
かな子「急進派……キャプテン・グール…?」
カムイ「急進派の中心人物とされているのは、帝王ゴールの実孫であるゴール3世。しかし、皇子はまだ幼い。そこで、実権を握っているのが」
美波「その、キャプテン・グールとかって言う、ハ虫人…?」
カムイ「うむ。グールは摂政を名乗り、実質的に急進派を支配している。彼らの強硬な姿勢は、グールの圧政によるところが大きい」
莉嘉「? 待ってよ、ゴール3世って、2世は?」
カムイ「消息は不明だ。先の恐竜帝国とゲッターの戦いで、戦死したとも言われているが…」
かな子「その、グールって人を倒せば、恐竜帝国の戦争を終わらせることが出来るんですか?」
ニオン「事はそう小さな問題ではない。が、敵の大将の首を落とせば、その勢いを削ぐことは出来るだろう」
ドロス「急進派は、ここ最近になって活動が積極的になってきておる。丁度、お主らが地上でランドウとか言う人間を打倒した前後からだ」
美波「…! ランドウとの戦いで、私達も疲弊してる…。そこが狙い目ってこと…?」
鉄甲鬼「それも攻勢の1つ。だが、地上に進出する前に、穏健派の存在が邪魔なようだな」
カムイ「急進派は今、他のマシーンランドの勢力も併合し、徐々にその勢力を拡げている。このまま勢力の拡大を続けられれば、何れ我々の力だけでは手に負えなくなるだろう」
莉嘉「それで、アタシ達の力が必要だって?」
カムイ「あぁ。我々穏健派が、人間と同盟を結び、友好な関係を築いていると言う姿勢を、急進派の連中にも見せる必要がある」
莉嘉「それって何か意味あるの?」
ドロス「大いにあるさ。我々の戦いは、敵を殲滅するだけではない」
莉嘉「……?」
美波「つまり……ハ虫人類にとって、人類は共通の敵って言う認識だから。その人類と争うことなく、手を結ぶことで地上進出の目標が達成出来るとしたら、急進派の人にして見れば、都合が悪いんじゃないかしら?」
莉嘉「…そうなの?」
かな子「えーっと、急進派の人達は、私達人間をやっつけることで、勢力内部の士気を保ってる筈だから、その人間をやっつける必要がない、ってなれば、内部の士気を維持するのも、大変になっちゃうと思うの」
莉嘉「アタシが、恐竜帝国と一緒に戦ってるだけで、向こうは内部分裂するかもしれないんだ…」
鉄甲鬼「それだけでなく、上手く取り入れば、自分達も穏健派のように人類と共生できると、考える者も出てくるだろうな」
ニオン「細やかな心の隙が、現体制への疑念に代わり、革命や離反に繋がる。貴様らにも分かる筈だ」
ドロス「急進派とは言うがな。全てのハ虫人が、急進派のやり方に従っているわけではない。それぞれの理由や事情から、仕方なく奴等のやり方に従わざるを得ない者達もおるのだ」
カムイ「そう言う者達に、私は訴えたいのだ。過去の因縁に囚われて、戦うことの愚かさと、その無為を」
莉嘉「成る程…。つまり心理作戦ってことか…」
カムイ「現状で我々穏健派と、人類間の交渉も順調に進んでいるわけではないが。互いの関係が歩み寄りつつあると言う姿勢は、急進派にとっては耐えがたい動揺となるだろう」
ニオン「それに、俺達と急進派との戦いは、人間共にとっても無関係、と言うわけではないからな」
美波「そうですね。仮に急進派の勢力が、穏健派を上回るようなことがあれば、かつての恐竜帝国との戦いのようなことが、また…」
カムイ「私個人としても、同じ歴史が繰り返されるのだけは避けたい。異種族同士の怨恨が、未来まで続くことなっては、何れはこの星をも食い潰してしまうやもしれぬ事態になってしまう」
カムイ「そうならぬ為にも、頼む。我々に力を貸してはくれないだろうか」 スッ
美波「!? そ、そんな…!頭を上げて下さい!」
かな子「美波さんの言うとおりです!王様が、穏健派の代表が、頭を下げることなんかじゃないです!」
莉嘉「心配しなくても、今さらここから逃げるなんて事、アタシ達はしないよ!」
美波「さっきまでの話で、事が深刻なのは理解しました。正直ゲッター1機だけじゃ役不足になるかもしれません。それでも…」
かな子「ニオンさんにだって、ランドウとの戦いの時に手伝ってもらいました!受けた恩を返さないのは、それこそ仁義に反するってことですよ!」
カムイ「……感謝する。有り難う…」
莉嘉「よぉーっし!それじゃ、先ずは何をするの?出撃?偵察?マシーンランド1つをブッ飛ばせって言うなら、何だってやるよ!」
カムイ「そうか。では、ドロス、ニオン。彼女らをゲッター開発区へ」
莉嘉「へ?」
ドロス「了解ですぜ!」
莉嘉「待ってよ!戦うんじゃないの?」
ニオン「その為の準備も、必要だと言った」
莉嘉「なぁんだ、戦うんじゃないの…」
ドロス「まぁまぁ。一先ずは顔合わせといこう。それに、客人であるお主らにはささやかだが歓迎の宴の用意もある」
莉嘉「歓迎!?ごちそうが出るの?」
ドロス「おうともさ!恐竜帝国宮廷料理人達の腕に縒りを掛けて、盛大な馳走を振る舞うと約束しよう」
莉嘉「ホントに!?うわぁ、今から楽しみだなぁ~」
かな子(異文化の料理…。楽しみのような、不安なような…?)
ドロス「馳走の為にも、先ずは腹を減らさねばな」
莉嘉「うんっ!何だって手伝っちゃうよ!ささ、ゲッター開発区とか言うところ、早く行こ!」
ドロス「おうおう!そう急くでない…!」
美波「……えーっと、何かすいません…」
ニオン「…単純な奴だ」
カムイ「…フフッ」
──。
~~~ マシーンランド内部 ~~~
莉嘉「へぇ、その、ゲッター開発区ってのには、モノレールに乗っていくんだ?」
ニオン「皇居から徒歩では、距離があるからな。貴様らも長距離の移動に戦闘、謁見で疲れただろう?」
莉嘉「ぜ~ん然っ!何なら、もう1回戦えるよ☆」
鉄甲鬼「先程のは冗談ではなかったと?タフな奴だ」
ドロス「ガハハハッ!ちっこいのに大した奴だ。ますます気に入ったわぃ!」
莉嘉「ちょっ…!そんな乱暴に頭撫でないで…!髪が乱れる…」
ドロス「おぉ、すまんすまん!」
莉嘉「もぅ…っ、王の前だとあんなに大人しかったのに…」
ドロス「はっはっはっ!それは、王の御前、自重くらいするわ。お陰で疲れたわぃ…」
ゴゥン… ゴゥン… ゴゥン…
かな子「あ、モノレールが来るみたいですよ?」
莉嘉「うぇ……デザインは恐竜モチーフなんだね」
ニオン「デザインなどどうでも良かろう。さっさと乗れ」
莉嘉「う、うん…」
莉嘉達を乗せ、モノレールは動き出す。
莉嘉「おぉ……真っ暗。こう言うのは、東京の地下鉄と変わんないんだ」
ニオン「ただの交通機関だからな。何を期待していたのかは知らんが」
莉嘉「ねぇ、ゲッター開発区まではどのくらいなの?」
鉄甲鬼「…大体、30分と言ったところか」
莉嘉「そんなに!?…はぁ~。することもないし、ちょっと寝よっかな」
美波「……あの、1つだけ気になることがあるんですけど」
ドロス「何だ?」
美波「カムイ王の事です」
ドロス「王の?」
美波「王は、ハーフ、何ですよね?人間との…」
ドロス「おうともさ!故に我らの…」
美波「その人間って…?」
ドロス「……」
ニオン「……」
かな子「それ、私も気になってました」
莉嘉「Zzz……」
かな子「あ、莉嘉ちゃん、本当に寝ちゃいましたね」
ドロス「…我々、ハ虫人類は地上進出を目指し、あらゆる試行錯誤が行われてきた。ゲッター線を弾く防護服の開発、投薬によるゲッター線の克服…」
美波「……」
ドロス「同化計画も、その試行錯誤の1つだった」
かな子「同化計画…?」
ニオン「ゲッター線に選ばれた人類。ゲッター線に対して、ハ虫人以上に耐性を持つ人類。そのDNAをハ虫人のものとして手に入れられれば、間接的にだが、ゲッター線を克服したことになる」
美波「まさか…!同化計画とは…!?」
ニオン「ハ虫人と人類の交配を試みる計画だ」
ドロス「チ竜一族など、生来ゲッター線に耐性を持つ者を地上に送り、人類のサンプルを拉致。遺伝子検査を行い、人間との交配が可能と判明した事で、計画は進められた」
かな子「それじゃあ、無理矢理…!」
ニオン「お前の想像しているようなことはないぞ。そもそも実験と称して進める時点で、人工受精で試行回数を増やした方が、結果は望める」
美波「想像…」 チラッ
かな子「へ、へんな想像をした訳じゃ…」
ドロス「事実、人間とハ虫人では、種族として交配が可能と言うだけで、受精確率は極めて低かった。計画が行われている間に誕生した受精卵はごく僅かで、生後順調に育った個体も少ないと聞く」
かな子「計画が行われている間…?計画は、凍結されたんですか?」
ドロス「うむ。あくまで、ハ虫人の純血を支持する勢力の反対を受けてな。実際に、成果も上がらなかったからのぉ」
美波「それで、計画に参加させられた人達は…」
ドロス「…多くの人間は、当時のマシーンランドの環境に耐えられず、命を落としていった。後は…」
かな子「後は…?」
ドロス「おっと」
プシュ-ッ
モノレールの昇降口が開き、ドロスが立ち上がる。
かな子「降りるんですか?」
ドロス「おぅ。ワシのような普通のハ虫人は、ここで降りて防護服を着込まなくては、ゲッター開発区のゲッター線に耐えられんのだよ」
かな子「成る程…」
ドロス「お主らが降りる駅は次だ。…あー、話の腰を折って悪かったの。では」
プシュ-ッ
美波「……」
かな子「…何だかはぐらかされた感じがしますね」
ニオン「…生き残った残りの人間は、人体実験の被検体にされた」
かな子「っ!」
美波「!?」
ニオン「お前ら人間の体を解明し、効果的に始末する方法を模索するためにな」
かな子「そんな……そんなことって…!」
鉄甲鬼「落ち着け。ドロス殿とて、その話を自らの口に出したくなかったからこそ、憚ったのだ」
美波「……」
鉄甲鬼「虐殺や人体実験など、まともな神経を持った者が肯定などするものか。だが、戦時期という状況もある。反対したくとも一兵士や一個人の発言力では、止めることなど出来んよ」
かな子「…そう、そうですよね…」
ニオン「それに、人体実験の全てが悪い結果をもたらした訳ではない。今このマシーンランドに、貴様らがこうしていられるのも、人体の解明があったからこそだ」
美波「…そっか。本来なら、ハ虫人の暮らす大気の酸素濃度は、白亜紀以前のものと同じ…」
ニオン「人間を解明することで、人間とハ虫人両方が暮らせる酸素濃度が分かったんだ」
ア-ツギハ-ケンキュウカイハツクマエ- ケンキュウカイハツクマエ- オリグチハ-ヒダリガワ-
鉄甲鬼「目的の駅に着いたな。降りるぞ」
──。
~~~ 研究開発区 ~~~
莉嘉「……ふわぁ~…!眠…」
かな子「ここ、研究開発区って書いてますけど…?」
ニオン「このマシーンランド内で使用される科学技術の解明・研究を一手に引き受ける区画だ。ゲッター開発区は、ここから更に歩いた、区画の最奥にある」
莉嘉「えぇ~まだ歩くの~?」
鉄甲鬼「文句を言うな。まだ疲れてないんじゃなかったのか?」
莉嘉「ちょっと眠ったら、何か体がダルくて…。ふわぁ…」
かな子「疲れが一気に出ちゃったんですね。もう少しの辛抱だから」
莉嘉「う~~~ん……ドロスはぁ~?」
かな子「ドロスさんなら、防護服に着替えるって…」
ドロス(防護服)「おぉ、皆の衆!何とか間に合ったわぃ」
莉嘉「ド~ロ~スゥ~…!」
ダキッ
ドロス「おぉ…!どうしたんだ莉嘉ちゃん。様子が可笑しいようだが…」
かな子「ちょっと寝惚けてるんです」
ドロス「成る程…。そう言うことか」
莉嘉「ドロスゥ~、何そのカッコ。ダッサ~い」
ドロス「莉嘉ちゃん。これはな、ダサいとかではなく、ワシの体をゲッター線から守るための…」
美波「今の莉嘉ちゃんに、真面目に話すだけ無駄だと思います」
ドロス「むぅ、仕方がない。それっ」
莉嘉を持ち上げ、自らの肩に座らせるように担ぐ。
莉嘉「うわぁ~高い、いい、座り心地ぃ…」
ドロス「まったく……手間を掛けたな。改めて、向かうとしよう」
── ゲッター開発区、入り口。
ドロス「見えてきおったぞ」
かな子「随分頑丈そうな扉…」
鉄甲鬼「厳重管理区域だからな。安全面の管理は徹底している」
ニオン「マシーンランドは密閉空間だからな。この区画からゲッター線が漏れ出せば、一部のハ虫人は一溜まりもない」
かな子「成る程…」
美波「この向こう側で、ゲッターの研究が…」
ドロス「さて、中に入るぞ」
ドロスが二重にロックが掛けられた電子制御を解除。ロックが解除され、重厚な扉が開く。中からは、
「だーかーらー!何度言ったら分かるんだ!?お前は!そのマシンはお前の玩具なんかじゃないんだぞ!!」
莉嘉「んむ…?」
かな子「ひっ!」
ドロス「おぅおぅ、やっておるな。ゾル?」
ゾル「ドロス!もうお前が代わってくれ!俺じゃぁアイツらの面倒は見切れん!」
ドロス「はっはっはっ!しかし、我々の中でゲッターと戦かった経験があるのはお主だけだ」
ゾル「戦ったって経験だけで、奴等に操縦訓練の手解きが出来るものかよ!」
かな子「あの~、この人は…」
ゾル「ん?お前の後ろ……それに、肩に乗っているのは、人間!?」
ドロス「おう。前に話したろ。人間側からの協力者で、しばらくここに身を置くことになる。後ろのはかな子と美波、こっちは莉嘉」
莉嘉「うぅ~~ん、むぅ~…!」
ドロス「美波ちゃん、こっちはキャプテン・ゾル。ワシと同じキャプテンクラスだが、今はザウルスチームの操縦訓練の教官をしている」
美波「よろしくお願いします」
かな子「よ、よろしくお願いします…!」
ゾル「ここに来るのはゲッターのパイロットだって聞いたぞ?まさか、この娘達が!?」
ドロス「その通り!何、実力はこの手で確認済み。ワシが、保証するわぃ」
ゾル「そ、そうなのか…!でもこれで助かった!頼む、奴等の教官を代わってくれ!」
美波「そんなに手の掛かる人達なんですか?」
ゾル「手の掛かる、何てもんじゃねぇよ…ったく!まだ若ぇ、実戦を知らない世代ってのはどうしてこう…!」
ドロス「はっはっはっ!それこそ、昔の我らのようではないか!」
ゾル「ぐぅ…!」
ドロス「若い時程、目上の人間の言葉を素直には聞けぬもんよ。自分が昔したことが返ってきてると思って、真面目にやるんだな」
ゾル「…はぁ~。俺はもう少し優等生だったよ」
莉嘉「むぅ~…?ドロス?ゲッターザウルスは~…?」
ドロス「おう、そうだったな。ゾル、先ずは我らのゲッターのお披露目をな。この、地上から来た申し子達に」
ゾル「そうだな…」
ドロス「連中は、外で訓練飛行中か?」
ゾル「うん。……おい、ザウルスチーム、聞こえるか?今のお前達の姿を、地上のゲッターチームが見ているぞ」
『!?』
ゾル「俺の言うことを聞きたくねぇのは分かる。だが、人間相手にくらい、立派な姿を見せてみろ」
『チッ…!仕方ねぇ!行くぞ、ガンリュー、ゴズロ』
『了解』
『了解…』
莉嘉「ふにゃ…?ゲットマシン?」
『チェーンジゲッタァアー!!ザウルスッ!!』
莉嘉「っ!?」
目の前の大型モニターに映像が映し出され、ゲッターザウルスが姿を見せる。
かな子「これが恐竜帝国の造った、ゲッターロボ…」
莉嘉「ゲッターザウルス!!」
ニオン「…随分と悠長な合体だな」
ゾル「厳しいお言葉をどーも。合体タイムは、7.62秒か…。まだまだだな」
美波「何だか、ゲッターG……ゲッタードラゴンによく似ていますね?」
ゾル「我々の中でも、ゲッタードラゴンの活躍は飛び抜けて有名ですから。真ゲッターなんかをモチーフにするよりも、親近感があるだろう?」
かな子「それは、どうなんでしょう?雰囲気はドラゴンですけど、シルエットは恐竜っぽいですし、違うゲッターですよ」
ドロス「そう言ってもらえれば、ゲッターザウルスの開発者冥利に尽きると言うもの」
『さぁ、次の指示はなんだ?教官殿』
ゾル「……訓練は終わりだ。至急、マシーンランドに帰還せよ」
『はぁ!?合体したばっかだぜ?』
ゾル「そのゲッターの炉心はまだ不完全だと説明したばかりだろう。合体したのも今日が初めてだ。炉心の状態を詳しく解析し、データを集める必要がある」
『何だよ。期待させやがって』 プツンッ──
美波「合体テスト、上手く行って良かったですね…?」
ゾル「あぁ。ゲッターへの合体までが今日の予定だったから、君達が気にする必要はないよ。さて、このまま開発ドックへ行こう」
かな子「開発ドック?」
ゾル「ゲッターザウルスの整備を行っているところさ。ゲッターザウルスの開発主任もそこにいる。きっと君達にも会いたがっている筈さ」
かな子「成る程…。それに、ゲッターザウルスも間近で見れるんですね?」
莉嘉「……」
美波「…?莉嘉ちゃん、さっきからずっと押し黙ってるけど、また寝ちゃった?」
莉嘉「もう、目が覚めたよ。ドロス、下ろして」
ドロス「ん?おぉ」
ひょいと、ドロスの肩から飛び降りる。
ゾル「いいかな?主任の他にも、君達にとっては懐かしい顔もいるかもしれない」
莉嘉「懐かしい顔?ハ虫人の知り合いは、そんなにいないけど?」
ゾル「ハ虫人じゃない、人間だ」
莉嘉「人間?アタシ達以外の…」
── 開発ドック。
かな子「…はぇ~、これがゲッターザウルス…」
美波「見た目はドラゴンだけど、カラーリングは黒っぽいのね」
ゾル「深海迷彩だ。ゲッターザウルスは、全領域での戦闘を可能としているが、今は深海での戦闘を想定し、調整している」
かな子「その為に、深海でも優位に戦える塗装って事ですね」
ゾル「…お、いたぞ。ほら」
美波「あれは…」
莉嘉「芳乃…!」
芳乃「ほー?おやー、皆様方ー。お待ちしておりましてー」
莉嘉「どうして芳乃がマシーンランドに?」
芳乃「これはまた異な事をー。芳乃はだいのゲッターのぱいろっとー。であればー、その身はゲッターと共にありましてー」
莉嘉「その割に、前の出撃の時には乗ってなかったみたいだけど?」
芳乃「それは戦の為ではなかった故ー。こちらで時の行く末をー、眺めさせて頂いた次第でー」
美波「芳乃ちゃんは、ここで何を?」
芳乃「今はこのー、ハン博士に付き添いー、ゲッターについて、それなりの教授をー」
莉嘉「ハン博士?」
ハン「やっ」 ヌッ
莉嘉「きゃあっ!?」
ハン「はっはっはっ!驚かせてしまったかな?何、旧交を温めているようだったので、邪魔しては悪い、とな」
莉嘉(すんごい髭…)
かな子「えっと、あの……貴方が…」
ハン「うむうむ。待っておったぞ。地上人のゲッターパイロット!」
ドロス「ハン博士だ。このマシーンランド、随一の科学者にして、恐竜帝国に於けるゲッター線研究の全てを一手に引き受けている」
美波「結構偉い人、なんですね?」
ハン「はっはっはっ~。ま、そんな事もあるかの~?」
莉嘉「…何か、全然そんな感じしないね」
ハン「んぉっ?!」 ガックシ
芳乃「しかしー、このゲッターザウルスを手掛けたのも、ハン博士なのですよー」
ハン「そうじゃそうじゃ」
ニオン「それで、そのゲッターザウルスの調子は?」
ハン「ふむぅ…。完成度としては4割弱……と言ったところかのぅ」
莉嘉「何だ。完成にはまだまだ遠いんだ?」
ハン「ぬぅ……最近の子供は、遠慮を知らんのぉ…」
ゾル「呑気にしているがハン博士、ゲッターザウルスの出陣式はもう10日後に迫ってるんですよ?」
ハン「分かっておる。何とかこの、第1形態の状態でも戦闘出来るように調整しておる。出陣式には必ず間に合わせてみせるわい」
かな子「出陣式?」
ドロス「ゲッターザウルスの完成と、急進派との開戦をここの民達に公に発表するための式典だ。兵の士気を高め、戦争状態になる事を民達に拡く伝える目的がある」
美波「そんな式が…」
ドロス「うむ。この穏健派のマシーンランドには、戦いを嫌ってやってきた者達もおる。そう言った者達にも理解してもらわねばならんからな。これからの戦いは、平和を勝ち取るための戦いであると、な」
莉嘉「ふぅん…」
ニオン「何を他人事みたいにしている?その出陣式には、お前達も出るんだぞ」
かな子「へぇ~…って、えぇ!?」
鉄甲鬼「当然だ。これから共に戦う戦友として、王直々に紹介されるのだ」
莉嘉「あぁ~……成る程…」
ドロス「それまでは、お主達にもある程度行動に制限がつく事になる」
美波「下手に私達が一般の人達の目に触れて、混乱が生じるのを防ぐため、ですか?」
ドロス「そう言うことじゃな。すまんの、しばらく窮屈を強いる」
莉嘉「…まぁ、そう言うことなら、仕方ないんじゃない?」
ゾル「そっちもそうだが、頼むよ、博士」
ハン「皆まで言わすな。ワシはこのマシーンランド随一の天才科学者じゃぞ?」
莉嘉「自分でそう言っちゃう人って、逆に信頼出来ないよね」
ハン「うっ…!」
かな子「莉嘉ちゃん、さっきからハン博士に厳しくない?」
「それでよ、俺達は何時まで、ここで待ち惚け食らってなきゃ行けないんだ?」
美波「…? 貴方達は…」
「そろそろ紹介してくれてもいいんじゃないですかね?ゾル教官殿」
ゾル「お前達…。いや、すまない。忘れてた訳じゃないんだが」
かな子「3人のハ虫人…ってことは、この人達が…?」
ゾル「そうだ。ゲッターザウルスのパイロット、ザウルスチームのバイス、ガンリュー、ゴズロの3人だ」
ガンリュー「よろしく」
ゴズロ「よろしく…」
バイス「……フンッ」
ゾル「バイス、ガンリュー、ゴズロ。この人達が昨日話した…」
ガンリュ-「人間のゲッターパイロットの方々、でしょう?」
莉嘉「城ヶ崎莉嘉だよっ☆」
美波「新田美波。よろしくお願いします」
かな子「三村かな子って言います。私のことはかな子で構いませんから。よ、よろしくお願いしますっ!」
ゴズロ「…個性的な面子だな」
かな子「個性的だなんて…」
バイス「しっかし驚いたぜ。どいつもこいつも細っこくて。見るからに温室育ちですって顔してやがる」
莉嘉「……!」
ゾル「バイス!」
バイス「こんな女子供でも操縦出来るんだ。確かに、人間のマシンってのは進歩してるみてぇだな」
莉嘉「そう言うそっちは、ゲッターを真似したマシンを動かすのもやっとって感じみたいだよね?」
バイス「何っ!?」
美波「莉嘉ちゃん!」
莉嘉「事実でしょ?恐竜帝国最新鋭とか言って、新型機のパイロットに選抜されたので天狗になってる感じだし?その癖合体のタイムはアタシ達よりずっと下とかww」
バイス「んだとォ…!テメェ、もう一辺言ってみやがれ!」
ガンリュ-「落ち着け、バイス。相手は人間の大使だ。何かあれば、お前だってただじゃ済まないんだぞ」
ゴズロ「先にけしかけたのはお前だ。お前が悪い」
バイス「……チッ」
莉嘉「へっへ~ん!悔しかったら合体くらい一人前にしてみせてよ!」
美波「莉嘉ちゃん。流石に言い過ぎだよ」
バイス「…けっ、力じゃ勝てねぇと、口だけは達者に進化するみてぇだな」
莉嘉「悔しかったら勝負してみる?アタシのゲッターと、アンタのゲッターで」
バイス「!?」
莉嘉「それなら力は対等でしょ?ゲッターが傷付くだけなら、修理すれば済む」
バイス「……」
ハン「おいおい!勝手に話を進めるでない!ゲッターザウルスは開発中だと…」
バイス「だが、第1形態は使えるんですよね?」
ハン「そ、それはそのぅ……むぅ…」
バイス「1形態だけ使えれば十分だ。口先だけの小娘など、叩き潰してやる…!」
ハン「ほ、本気でやる気なのか…!?」
鉄甲鬼「自分も賛成です。ハン博士」
ハン「鉄甲鬼?」
鉄甲鬼「先も話した通り、出陣式までの期間も僅か……であれば、幾つか行程を繰り上げても、稼働データを得ておく良い機会です」
ハン「そうは言うがのぉ…」
鉄甲鬼「それに、これから肩を並べて共に戦うもの同士。遺恨があっては取れる連携も取れなくなるでしょう。悪影響を及ぼすガスは、ここで吐き出させておくべきです」
ハン「……仕方ないの」
かな子「まさか、本当にやるんですか?莉嘉ちゃん」
莉嘉「鉄甲鬼の許可も出たんだもん。遠慮なく、ぶっ飛ばして良いってことでしょ?」
鉄甲鬼「あぁ。だが、ここでやる以上私闘と言うわけにはいかん。お前達がこれから行うのは、決闘だ」
莉嘉・バイス「「決闘(だと)?」」
~~~ マシーンランド内 訓練場 ~~~
莉嘉(アーク搭乗)「マシーンランドの中に、ゲッターがそのまま戦闘出来るくらいの空間があるなんて…」
バイス(ザウルス搭乗)「今でこそメカザウルスの訓練や、兵器の試験で使われている場所だが、元は闘技場だったのさ、ここは。反逆者や敗走してきた軟弱者を見せしめに処刑するためのな」
莉嘉「…ゲッターザウルス!」
バイス「そっちは3人まとめて、掛かってきても良かったんだぜ?」
莉嘉「いいよ。そっちと条件が一緒じゃないと、後で愚痴愚痴言われるのもメンドいし」
莉嘉「はっ!あくまで勝つつもりってか?」
鉄甲鬼(ダイノゲッタ-2搭乗)「両者そこまで。此度の決闘、発案者は俺だ。故に立会人を務める。いいな?」
莉嘉「もちろん☆」
バイス「…あぁ」
鉄甲鬼「では、ルールの確認を行う。双方、パイロットは1人、使用するゲッターの形態は1形態のみ。今合体している形態以外のゲッターへの変形は禁止だ」
莉嘉「……」
バイス「……」
鉄甲鬼「使用武器は、ハン博士より提供して頂いた訓練用の刃や破壊要素を潰した武装を使用する。ゲッターアーク、ダブルトマホーク。ゲッターザウルス、ダブルシュテルン」
莉嘉「うんっ!」 ブォンッ
バイス「応っ!」 ジャキッ
鉄甲鬼「よし。それ以外の武装の使用は一切禁止とする。破った者はその時点で敗北。それ以外、相手に致命傷と判断される箇所に一撃を入れるか、先に相手に降参させた方の勝利だ。両者、異存は?」
バイス「ないっ!」
莉嘉「こっちも!」
鉄甲鬼「……では」 スッ
莉嘉「……」 グッ
バイス「……」 グッ
──訓練場脇、管制室。
かな子「な、何だか大変なことになっちゃってませんか?」
美波「そう?私は、実戦中に問題が起きなくて良かったって、逆に安心してるけど」
かな子「けど…」
ガンリュ-「俺達としても、最近のバイスの増長にはうんざりしていた」
かな子「…そうなんですか?」
ゴズロ「あぁ。キツいお灸を、据えてもらおう」
ドロス「ほっほっほっ。良く見ておけよ、ゾル。ゲッター同士の戦闘など、そう見れるものではないからな」
ゾル「そんなこと言ってる場合か?決闘だ何だって理由付けても、実機の戦闘だぞ?機体は兎も角、パイロットに何かあったら…!」
ドロス「心配しすぎだ。実戦から離れて、かなり神経質になったのぅ、お主」
芳乃「ハン博士もー。恐れるようなことにはならないのでしてー」
ハン「そうは言うがの芳乃ちゃん。ゲッターザウルスは今日やっと合体試験を行ったばかりじゃぞ?もし万に一つがあれば…!」
芳乃「座して時を待ちましょー。これもー、ゲッターの導きなればー」 バリバリ…
美波「そう言えば、さっきから芳乃ちゃんは何を食べてるの?」
芳乃「深海いか煎餅、でしてー」
美波・かな子「「深海いか煎餅っ!?」」
鉄甲鬼『──始めっ!』
ニオン「始まったか──!」
──。
莉嘉「やぁあああああッ!!」
バイス「ぐっ…!」
鉄甲鬼の掛け声が終わらぬ内に、ゲッターアークは突貫。
ガギンッ
打ち下ろされた左のトマホークを、ダブルシュテルンの柄で受け止める。
莉嘉「まだトマホークはもう一本…!」
バイス「ぬぅぅぅ~…!!?」
真横から水平に打ち出された右のトマホーク。咄嗟に受ける左腕をダブルシュテルンから離し、トマホークを受け止める。
莉嘉「くっ…!」
バイス「これで、緒戦を制したつもりかァ!!」
莉嘉「ぐっ…!?」
ゲッターザウルスの蹴りが、ゲッターアークに突き刺さる。
莉嘉「うぅっ…!」
バイス「形勢逆転だな!」
莉嘉「っ…!」
上段から振り下ろされたダブルシュテルンの鉄球を躱す。
莉嘉「そう簡単に…!」
ゲッターザウルスから距離を取り、訓練場の外壁上をナメるようにゲッターアークを飛ばし、
ギュンッ
バイス「消えた!?ガッ──!」
急制動。ゲッターザウルスの視界から外れ、背後に回って蹴りを放つ。
莉嘉「逆転なんてさせないっ…!」
バイス「はっ!確かに、口先だけじゃないみたいだな!」
莉嘉「はぁあああああ~~~っ!!」
バイス「だが!」
ガギィンッ
莉嘉「!?」
ゲッターアークの追撃の一撃を、ダブルシュテルンで打ち返す。
バイス「所詮は、我々の劣等種!人間の、子供に過ぎんッ!!」
莉嘉「あぅっ…!」
打ち上げたダブルシュテルンが、ゲッターアークを跳ね上げる。
バイス「戦い方を知らん!まるで暴れる子供だな!」
莉嘉「言ったなぁ~…!」
反転。ゲッターザウルスに向き直り、突き付けられた攻撃を躱す。
莉嘉「そっちこそ、アタシ達が地上で戦ってる時も、海底に潜んでるだけだった臆病者の癖に!」
バイス「好きで潜んでいた訳じゃない!」
鍔迫り合う狭間から、激しい火花を散らす。
バイス「混迷している時期に、我らが出ていっても、余計な混乱を生むだけ…!大局を理解することも出来ん子供に、王の決断が理解出来るものかァ!!」 ガンッ
莉嘉「王様、教官!従ってばっかり!自分の意思ってないんだ?」 グッ
バイス「何だと!?」
莉嘉「アタシ達は、リーナは、自分の意思で戦いに行ったよ。みんな悩んだし、後悔もした!けど、それでも!ランドウをやっつけた!地上の平和を一歩近付けたんだ!」 ズガンッ
バイス「ぐっ…!?このっ!」
莉嘉「きゃっ!」
バイス「結果論だ!全て貴様らの都合の良いように行くわけではない!一度上手く行ったことを、得意気にそう言うから、子供だと言うんだ!」 ズァッ
莉嘉「っ…!アタシが子供なら、そっちは何!?」 ギィィィンッ
バイス「何…!?」
莉嘉「言われなきゃ何にもやらない癖に、命令されるのはイヤだから反抗して!アタシなんかより、よっぽどガキじゃん!」
バイス「なっ…!?ガキ、だと…?俺がガキだと!?」
莉嘉「子供に図星突かれたくらいでムキになっちゃってさ!このガキッ!ガキガキガキガキッ!!」
バイス「っ…!! ぶっ殺すッ!!」 ズンッ
莉嘉「きゃあああああッ!??」
鉄甲鬼「バイス…!」
莉嘉「止めないで、鉄甲鬼!」
鉄甲鬼「…!?」
莉嘉「今の攻撃は致命傷じゃない…!でしょ!?やっと面白くなってきた…!」
そう言って、垂れた鼻血を拭う。
バイス「へっ…!後悔しても遅いぞ?」
莉嘉「そっちこそ、後で泣いて謝ったって知らないから!」
──。
バイス『喰らえ、小娘ぇ!!』
莉嘉『へへ~ん☆誰が!鬼さんこちら~』
バイス『ちっ…!一々腹の立つ…!』
莉嘉『ははっ!気に入らないなら最初から、そう言えばいいんだ!へんにスカしちゃってさ、カッコ悪い!』
バイス『俺の性分は、カッコ良いとか悪いとか、そう言うものじゃない!』
莉嘉『そう言うものじゃないなら……あ、痛いんだ?』
バイス『貴様ァッ!!』
ガンリュ-「……」
ゴズロ「……」
かな子「あ、あのー……何と言うか、その…」
ニオン「みっともないな」
ゾル「あぁ。とてもマシーンランドを背負って立つ、戦士とは思えん」
ゴズロ「まるで子供の喧嘩だな」
かな子「意外と似た者同士……なのかな?」
芳乃「しかしー、お2方共ー、本心をぶつけて、言葉と刃を交わしておりましてー」
ドロス「…芳乃ちゃんの言う通りかもしれんな。バイスもまだ若い。あぁして気遣いせず、全力でぶつかれる手合いが、必要だったのだな」
ゾル「…確かに、ゲッターザウルスの完成に焦るばかりで、パイロット一人一人のケアを怠っていたのかもな…」
芳乃「ハン博士は如何でしてー?良きデータは取れておりますかー?」
ハン「機動がハチャメチャすぎて何の参考にもならんわい!」
芳乃「それはー、それはー…」
ハン「2人共ゲッターを目茶苦茶にしおって…!この後の整備を考えるだけで頭が痛い!」
美波「……」
かな子「美波さんは、さっきから押し黙って、どうしたんです?」
美波「…あっ、いや…。何でもない」
かな子「……?」
美波(ゲッターアークのエネルギー傾向…。私達が乗ってない分、2人分欠けてる筈なのに、パワーが落ちてない…。寧ろ、増えてる…?)
かな子「これ、ゲッターアークのエネルギー線量ですか?…この波形」
美波「何か分かる?かな子ちゃん」
かな子「分かるって程じゃないですけど、何となく、卯月ちゃんの時に似てるなって」
美波「卯月ちゃんに…?」
ニオン「……」 チラッ
芳乃「…ほー?何かー?」
ニオン「この決闘も、ゲッターの導きだと言ったな」
芳乃「そうでしたかー?まー、深い意味はないのでしてー」
ニオン「…そうか」
──。
莉嘉「──このっ、このっこのっこのっ!」
ダブルシュテルンの柄で防御するゲッターザウルスに向かって、左右のトマホークを乱れ打つ。
バイス「ぐぅぅぅ~~~っ!!?」
バイス(何だ…!?こいつ、段々とパワーが上がっている…!)
莉嘉「そぉぉりゃぁぁあッ!!」
バイス「うっ!」
ゲッターアークの直蹴りが、ゲッターザウルスの鳩尾に入る。
莉嘉「これでぇ!!」
バイス「何のぉ~~~ッ!!」 バチンッ
莉嘉「!?」
トマホークを大上段に振り上げたゲッターアークの目の前で、ゲッターザウルスが分離。
莉嘉「──!!」 ピキ-ンッ
バイス「チェンジザウr……!?」
莉嘉「だぁッ!!」
ゲッターアークの背後に回り、合体を行ったゲッターザウルスに、ゲッターアークは高速で振り返り、勢いの突いたトマホークをゲッターザウルスに打ち付ける。
バイス「ガ…ァ……ッ!?」
吹き飛ばされるゲッターザウルス。
バイス「どんな反射神経だ!?分離したゲッターの動きを見切るとは……っ!?」
前方にいた筈のゲッターアークがいない。
バイス「何処に…!?」
──ギンッ
バイス「……?!」
背後に、感じたことのない、殺気。
バイス「うがぁあああああッ!?!」
背中に直撃を受け、倒れ込むゲッターザウルス。
バイス(な、何だこれは…!?本当にさっきの、小娘が出している気配か…!これでは…!)
莉嘉「や゛ぁああああああッ!!」
バイス「化け物…!」
恐怖が先行し、ゲッターアークから大きく距離を取る。
ズシャァ……ンッ
目標を失ったトマホークが地に打ち下ろされ、土煙が柱になって立ち上る。
バイス「はぁ……はぁ……はぁ……」
バイス(訓練用の武器だぞ…?あれを直撃で受けていれば、俺は……いや!)
バイス「恐れるな…!俺は恐竜帝国の戦士。戦うために生まれ、そのために育てられた!あいつとは、恵まれた環境で生まれ育った、奴とは違う!!」 キッ
莉嘉「……」 ズズズ…
バイス「俺は負けない…!俺がぁ…!負けるものかァッ!!」
莉嘉「……」 フッ…
バイス「!?」
まるで糸の切れた人形のように、ゲッターアークが目の前で崩れ落ちる。
バイス「……何、だ…?」
鉄甲鬼「おい、どうした?莉嘉、返事をしろ」
莉嘉「……」
鉄甲鬼「これは……気を失っている?いや、眠っているのか?」
莉嘉「……Zzz」スピ-ッ
鉄甲鬼「疲れているとは言ったが、戦闘中に意識を失うとはな。肝が座っていると言うのか…」
バイス「……」
鉄甲鬼「決闘は中止だ。お前も、この結果では満足せんだろう?アークを格納庫まで運ぶ。手伝ってくれ」
バイス「あ、あぁ…」
バイス(さっきの一瞬。ゲッターアークが動いていたら、俺は反撃出来ていただろうか…?勝てていただろうか、俺は…)
──。
ハン「ふぅ~~~っ…!」
芳乃「何とか人心地ですかー?ハン博士ー?」
ハン「寿命が300年は減ったわい」
ハン「しかし、まぁやはり人間側で開発されたゲッターはスゴいのぅ。ワシのゲッターザウルスはまだまだじゃと痛感させられたわ」
美波「……」
かな子「……」
ハン「うむ?どうかしたのか」
かな子「いえ、まぁ……その…。何と言うか…」
ハン「ふむ…?」
芳乃「莉嘉さんも疲れが残っていたのでしてー。美波さん達も休みましょー?ここでの戦いはまだ始まってもおりませぬ故ー」
かな子「そうですね。ここで色々考えても、仕方ない気がします。今は莉嘉ちゃんのところに行きましょう?美波さん」
美波「えぇ、そうね…──」
芳乃「……」
ツカツカツカ──
美波(今回の戦い、ゲッターアークの動きは、3人で乗ってる時よりも、ずっと研ぎ澄まされてるように見えた…。だとしたら、私達の意味は…?──)
つづく
予告
間近に迫る出陣式に向け、打ち合わせやリハーサルに参加するアークチーム。
しかし、その厳かな内容に不満げな莉嘉は、サプライズとして自分達のライブを企画し、奔走する。
果たして、莉嘉のサプライズは上手く行くのか?種族の異なるハ虫人の胸中に、渦巻くものとは──。
次回、『響く歌声』