ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第10話『蠢く蜥蜴』

~~~ 交易マシーンランド内 花園 ~~~

 

コモド「──此度は、謁見の機会を頂き、有り難う御座います。ナーガ様」

ナーガ「……」

コモド「ナーガ様にあらせられましては、変わらぬ健勝のようで。本日も見目麗しく…」

ナーガ「…世辞は良いのです。大切な話と、伺いましたが?」

コモド「……はっ。この交易マシーンランドに、反体制派勢力の大部隊が迫っています。故に、我らが本隊の駐留を許して頂きたく、参じた次第で御座います」

ナーガ「……。まだ幼い次期王ゴール3世、その擁立を快く思わない反体制派勢力の征伐…。貴殿方の部隊の一部が、この交易マシーンランドに駐留を続けている理由は、そうでしたね?」

コモド「仰られる通りです。しかし、反体制派勢力も日増しに戦力を肥大化させているのです。この交易マシーンランドが、反体制派によって墜ちると言うことにもなれば、先代の統治者でもありました、ナーガ様の母君も、さぞ悲しまれることでしょう」

ナーガ「母は、このマシーンランドを争い事とは無縁の、平和であらゆるハ虫人達が種族や階級の垣根を越えて、交流を行うことの出来る美しい場所にしようと尽力していました。私は、そんな母上の理想を尊敬し、母上亡き後もその夢の為に、今日までマシーンランドを統治してきたつもりです」

コモド「ナーガ様の心の清らかさは重々、承知しています。ナーガ様自らが手塩に掛けられましたこの花園も、その御心の美しさがあってこそ」

コモド「しかし、世俗には御心の美しさを偽善と吐き捨てる者達がいます。咲き誇る花々を、いとも容易く踏みにじれる輩がいるのです」

ナーガ「……」

コモド「この交易マシーンランドは、決して反体制派の手に墜ちてはならぬもの。ですから、私は…」

ナーガ「反体制派…。本当にそのような輩がいるとすれば、恐竜帝国全体の安寧にとっても、由々しき事」

コモド「そうです…!ですから、ナーガ様…!」

ナーガ「ですが、貴殿方の言う反体制派が、本当の所、穏健派であったなら?」

コモド「……!」

ナーガ「何時までも籠の中の鳥ではありませんよ。母の名を騙り、上手く言い含めるつもりだったのでしょうが」

コモド「言い含めるなど…!我らにやましいことなど、何も!」

ナーガ「では何故、穏健派と呼ばれる勢力が、手に槍を持ち、今正にここに迫ろうとしているのでしょうか?」

コモド「ですから!奴等は今の王制に反旗を翻す、テロリストだからで…」

ナーガ「穏健派の者達がテロリストであるとすれば、貴殿方はどうなのでしょう?王の名の元に、従わぬ者を力で押さえ付けようとする貴殿方は。圧政者ですか、虐殺者ですか?」

コモド「……っ!」

ナーガ「私も、信用出来る者を通じての、話でしか知らぬ事。今ここに向かっている勢力が、貴方の仰るような反体制派か、平和的な解決を模索している筈の穏健派か。それは、私自らが話してみれば分かることです」

コモド「それは…!き、危険ですっ……御身にもしもの事があれば…!」

ナーガ「何故?私の身に何かあった方が、貴殿方にとっては都合が良いのではなくて?」

コモド「……」

ナーガ「反体制派の勢力に討たれるのであれば、それは私の世俗への疎さが招いたこと。貴方はグールに事の顛末を報告し、交易マシーンランド奪回の為に部隊を率いれば、結果的な兵の損耗は変わらないでしょう?」

コモド「ですが…」

ナーガ「まだ、何か?」

コモド「ナーガ様が話された上で、連中が穏健派であるとすれば…?」

ナーガ「…このマシーンランドを、彼らに明け渡したいと考えます」

コモド「は…?今、何と?」

ナーガ「当然の帰結です。今日まで貴殿方の高慢さに気付けなかった、自らの手を汚さず、世間の広さを理解しようともしなかった私には、統治者の資格はありません」

コモド「であれば我々が!グール様がいるではありませんか!?」

ナーガ「言葉巧みに、息を吐くように偽りを並べられる者達を、信用することは出来ません」

コモド「ぐ、ぐぅ…っ」

ナーガ「話しは終わりです。直ぐに駐留している兵を連れて出ていきなさい」

コモド「小娘がァ…!」

ナーガ「!?」

 

ナーガの身を後ろ手に羽交い締めにして拘束し、後頭部に拳銃を突き付ける。

 

コモド「愛でられるだけの飾りであれば、良かったものを…!」

ナーガ「本性を顕しましたね…!」

コモド「何、可笑しな事さえしなければ、手荒なことなどしやしませんよ。潔癖性の世間知らずと言っても、貴女はグール様のお気に入りなんでね…」

ナーガ「くっ…!誰か…!」

 

「ここにはもう、誰も来ませんよ」

 

ナーガ「っ…!ドラゴ!助けっ…」

ドラゴ「……」

ナーガ「ドラゴ?」

ドラゴ「残念です、姉さん。まさか姉さんが、王への反逆を、企てていようとは」

ナーガ「!?ドラゴ、貴方……何を言っているの!?」

コモド「はっはっはっはっはっ!弟の方が、よっぽど聡いぞ?恐竜帝国の栄光を取り戻すためには、誰に仕えるべきか、分かっている」

ナーガ「コモド…!ドラゴに一体何を…!」

ドラゴ「俺は何も、可笑しな事など吹き込まれてはいないよ、姉さん」

ナーガ「それじゃあ、どうして…?」

ドラゴ「俺も考えたんだ。姉さんがグール様の元を離反する者達を乗せた潜水艇に、自らの息が掛かった間者を忍び込ませ、穏健派共の実態を知り、此度行動を起こそうとしたように」

ナーガ「グールのやり方が正しいと?彼のやり方は、ただの恐怖政治よ?!」

ドラゴ「それでも、今帝国を動かしているのは、摂政であるグール様。そのやり方に異を唱える姉さんは、国家反逆者と言われても仕方がない」

ナーガ「争いは何も生まないわ!このままでは、同じハ虫人類同士が、互いに滅ぼし合うまで戦うことになってしまう…!それが分からないの!?ドラゴ!」

ドラゴ「言葉だけで、話し合いで全てを解決しようと言うのは理想論だよ、姉さん。血を流すこと無くもたらされた平和に、価値など生まれはしない」

ナーガ「今を生きる私達が、そうやって諦めてしまったらダメなの!争わず、奪わず、傷付けず!あらゆる命を尊重し合って生きる道を模索しもしないのが、間違っているのよ!」

コモド「ご高説は結構。だが結局、サル共に媚びへつらう未来を、我々は認めるわけには行かないのでね」

ナーガ「きゃあ!」

 

ナーガをドラゴに投げ付ける。

 

コモド「連れていけ」

ドラゴ「はっ!」

ナーガ「コモド…!人間への劣等感に支配されている貴方達では、決して恐竜帝国を支配することなど、出来はしません!破滅は破滅を生むのです……必ず…!」

ドラゴ「…残念だよ、姉さん。本当に」

ナーガ「ドラゴ…!母さん……うぅ…っ──」

 

──。

~~~ メカザウルス・グダ 艦内 ~~~

 

莉嘉「……」

美波「莉嘉ちゃん、どうしたの?小窓なんか覗いて…」

莉嘉「あ、美波!ねーねー、あの外に見えるのって、何か分かる?」

美波「え?…クラゲの一種に見えるけど……見たことないわね」

莉嘉「もしかして、新種!?」

美波「どうだろう?深海は、まだまだ人類の調査が、ほとんど及んでない所だから…」

莉嘉「…そっかぁ。けど、何か不思議だね。戦艦型メカザウルスの中から、深海の景色を眺めてるなんて」

美波「そうね…。メカザウルス・グダなんて、前のランドウとの戦いでも、たくさん撃墜した気がするわ」

莉嘉「それに今乗ってるんだよね?……」

美波「どうかした?」

莉嘉「…これから、戦争しにいくんだ」

美波「莉嘉ちゃん…」

莉嘉「勘違いしないで?アタシ、やるからにはやるよ!ハ虫人類が相手になろうと、鬼が出てこようと、戦いの火種になるんなら、纏めてやっつけるだけだもんね!」

美波「鬼…。そう言えば、前に研究所と通信したこともあったけど、現れていた鬼獣はどうなったのかな…?」

莉嘉「アタシ達に何も言ってこないってことは、ゲッター飛焔だけで何とかなってるんじゃない?」

美波「…だと良いけど」

 

ガンリュ-「…おや、お2人共、こんな所にいましたか」

 

莉嘉「ガンリュー!」

ガンリュ-「もうすぐブリーフィングの時間ですよ。ブリーフィング・ルームに行きましょう?」

莉嘉「うんっ☆」

美波「えぇ」

 

~~~ ブリーフィング・ルーム ~~~

 

ドロス「──全員、揃ったな?」

莉嘉「うんっ。アークチームは、全身揃ってるよ」

バイス「ザウルスチームも、欠員はない」

ニオン「ダイノチームは、言うまでもないな」

ゾル「みんな、元気そうだな。よしドロス、説明を頼むぞ」

ドロス「むぅ…。立場上仕方ないとは言え、こう言うのは慣れんな」

莉嘉「まぁまぁ、ここにいるのはほとんど身内みたいなもんだし、気軽な感じで頼むよ」

ドロス「軽く言ってくれるわぃ…と、オホン」

 

ドロス「それでは、作戦の概要を説明するぞ」

ドロス「今回の作戦の目的は、交易マシーンランドの制圧だ」

莉嘉「交易?」

美波「広義には物品をお金とかで物々交換することだけど、この場合は交通や要所同士を繋ぐ中間ポイントってことじゃないかな?」

ニオン「美波の言う通りだな。このマシーンランドは、他のマシーンランドを結び、それぞれの場所で製造された物品などを交換したり、交流を行う要所として設けられたポイントだ。…かつてはな」

かな子「かつて?」

ゾル「今は急進派の勢力によって制圧され、俺達穏健派のマシーンランドを攻撃する際の補給基地となっている」

鉄甲鬼「交易ポイントとして用意されたと言うことは、複数のマシーンランドと近い位置に接していると言うことだからな。前線基地にするには、最適だと言える」

ドロス「だが、逆に言ってしまえば、我々が急進派を攻略する上でも、ここは要所となりうる」

かな子「その為の制圧作戦なんですね」

ドロス「作戦は簡単だ。現在、無人機のメカザウルスによる攻撃を加えている。敵の前線が崩壊したところで、主力である我々がマシーンランド内部へ侵入し、敵の指揮中枢を制圧する。それで、敵側の命令を受けている無人メカザウルスは無力化出来る」

ゴズロ「そうなれば、敵の陣形も自然に崩れる、と言うわけか」

ゾル「急進派の指揮中枢さえ制圧してしまえば、こちらのものだ。相手側の無人メカザウルスも指揮下に置いて、一気に急進派勢力を追い払ってしまおう」

莉嘉「追い返すだけ?交易マシーンランドにいる戦力を、纏めてやっつけちゃえばよくない?」

鉄甲鬼「殲滅はあまり意味を為さないだろう。前線基地とは言え、展開している戦力も、ほとんどは無人機。倒してしまったところで、痛手とはならなるまい」

ニオン「寧ろ、戦力として使えるモノは、こちらのモノとして再利用した方がいい」

ドロス「総力戦を仕掛けるのは、この戦いを制した後だ。それで大丈夫か?莉嘉ちゃん」

莉嘉「むぅ…。なら、我慢する」

ドロス「いい子だ。はっはっはっ!!」 ワッシ ワッシ

莉嘉「もぉ~、頭撫でないでよ~」

ゾル「作戦自体は簡単に見えるかもしれないが、成し遂げるのは楽じゃないぞ。さっきも言った通り、ここは急進派にとっても、攻撃の要所なんだ」

かな子「当然、相応の防衛戦力は整えている、ってことですよね?」

ゾル「正直な話、この作戦の為に用意されたメカザウルスの数で、敵の防衛戦力を切り崩せるかも怪しい所だ。各々にはほとんど実力で、マシーンランドまで辿り着いてもらうことになる」

かな子「それなら、ゲッターアークは防衛戦力の突破と、突入部隊の支援に回るのはどうでしょうか?マシーンランド内部の構造なら、ニオンさんや、ドロスさんの方が詳しそうですし、指揮中枢の破壊って言っても、私達に出来るかどうか…」

ゾル「どのみちゲッターアークにも突入はしてもらうさ。マシーンランドに侵入して、作戦が完了って訳じゃない」

美波「マシーンランドの中でも、戦闘になるかもしれないってことですよね?」

ドロス「それもあるがの、指揮中枢を破壊する以上、ワシらは機体を降りての白兵戦となる。当然、その間はゲッターにせよゲドにせよ、無防備な状態となる訳だな」

かな子「作戦を完了させるまで、無人になった機体を守る存在も必要ってことですね」

ゾル「マシーンランド内部での制圧作戦は、無人メカザウルスでは決して成し得ない。急進派との前に、皆には死力を尽くしてもらうことになるが……と」

莉嘉「ん?どったの?」

ゾル「…最終的に俺が仕切ってないか?」

莉嘉「別にいいじゃん?様になってるよ?」

バイス「教官としての経験が生きましたな?キャプテン・ゾル?」

ゾル「あのなぁ…。階級上は、ドロスの方が上なんだぞ?」

ドロス「ワシのような猪武者には部隊の統制など向かん。出来ることなら、お主に任せたいがの~?」

ゾル「…ったく」

芳乃「作戦の確認は、この辺りで良いのではなくてー?」

ゾル「あぁ。交易マシーンランドまでは、予定では後1時間あまりで到達する予定だ。敵防衛戦力の迎撃がない限りは、30分後に無人メカザウルスを展開し、作戦を開始する。機乗するのもその頃だ。それまでは、待機室での待機を基本とし、出撃までは各々の判断を優先とする。以上!」

 

「「「了解ッ!!」」」

 

──。

 

~~~ 交易マシーンランド 格納庫 ~~~

 

ドラゴ「……」

コモド「出撃の時が待ち遠しいか?ドラゴ」

ドラゴ「…コモド様」

コモド「先頃、反体制派勢力のメカザウルス部隊と、こちらの防衛部隊が戦闘に入った」

ドラゴ「その割りには、随分悠長だな」

コモド「連中の目的ははっきりしている。ならば、迎撃には戦力を割かず、マシーンランド内部での防衛に専念すればよい」

ドラゴ「……」

コモド「貴様にも働いてもらうぞ?」

ドラゴ「…分かっているさ」

コモド「勘違いするなよ?貴様を受け入れたとは言え、貴様は”王に反旗を翻した”反国主義者の弟だ。信頼を勝ち取るために、精々尽くすがいい」

ドラゴ「…姉さんは?」

コモド「今は牢に入ってもらって、大人しくして頂いている。グール様の元へお届けしようにも、先ずは反体制派を退けなくてはならんからな」

ドラゴ「そうか」

コモド「お前には専用のメカザウルスを与える。使いこなしてみせるんだな」

ドラゴ「見たことの無いタイプだ」

コモド「我々の協力者の技術を得て、新たに開発されたメカザウルスだ。これまでのメカザウルスと比較しても、類の無い能力を持っている」

ドラゴ「協力者?」

コモド「ゲッターを恨む者、だ。一兵卒程度が、深く知ることではない」

 

ハ虫兵「コモド様!敵陣の中に、ゲッターロボを確認!」

 

コモド「遂に動いてきおったな…!ドラゴ、奴等の相手は任せるぞ」

ドラゴ「…コモド様は?」

コモド「私は、ナーガ様を移送する潜水艇の準備を進める。何、このマシーンランドでは、貴様に地の利があるだろう?協力者の部隊も付ける。存分に、奮起するがいい」

ドラゴ「……了解」

 

── 深海。

 

 

メカザウルス・ドバ『グギャァアアッ!!?』

 

眼前で、メカザウルスが弾ける。

 

莉嘉「うぉっ!?やばっ…!」

かな子「スゴい弾幕…。致命傷に当たらないようにだけでも、気を付けなきゃ…!」

ニオン「敵の攻撃に怯むなよ!有人部隊である俺達は、何としてでもマシーンランドに取り付け!!」

ゴズロ「だ、そうだ。バイス、先陣を他に譲るな」

バイス「分かっているさ!…っ!!」

メカザウルス・モバ『ギャアッ!!』

バイス「ダブルシュテルン!!」

モバ『!?!?』

 

目の前に現れたメカザウルス・モバにダブルシュテルンを打ち付け、粉砕。

 

バイス「無人機ごときに、後れるものか!」

ジガ『シャァァァアッ!!』

バイス「ぬぅッ!?」

ゾル「させるかッ!!」

ジガ『!?!?!?』

 

ゲッターザウルスを死角から襲ったメカザウルス・ジガを、間に割って入ったゲッターザウルスによく似たマシンが、ダブルシュテルンで打ち倒す。

 

ガンリュ-「有り難う御座います、キャプテン・ゾル」

ゾル「何、大したことじゃない、って……結局俺が隊長なのか?」

バイス「くっ…」

ドロス「プロトギガスの調子はどうだ、ゾル?」

ゾル「あぁ、今のところ、問題らしいところは何もない」

美波「ゲッターザウルスの量産化が、もう始まってるなんて…」

ゾル「こいつはその量産の為の試作機だけどな。その分、性能も元のザウルスとは遜色無い。足手まといにはならんさ」

莉嘉「けど、ホントにいいの?戦いは嫌になった、んじゃなかったっけ?」

ゾル「まぁな。けど、出陣式での君達のライヴと言うものを見て、思ったのさ。俺だけが辛いことから逃げてちゃ、ダメだってな」

莉嘉「へへっ…!……きゃっ」

 

小さな振動が、コックピットを襲う。

 

ドロス「話し込んどるところ悪いが、今は戦闘中だぞ!」

莉嘉「もう~、かな子~?」

かな子「ご、ごめんなさい、莉嘉ちゃん!」

美波「かな子ちゃんは悪くないよ…。それよりも、マシーンランドまでの距離だけど…」

鉄甲鬼「肉眼ではシルエットをぼんやり確認出来るだけだ。まだ1km以上離れているだろう」

芳乃「それまでに乗り越えなければならない峠はー、まだまだ幾つもありましてー」

莉嘉「こんな所で怯んでなんかいられないよ!どうせ敵の拠点に乗り込むなら、目指すは一番乗りだ!」

かな子「私達が先に乗り込んでも、右も左も分からないんじゃ、意味ないような…」

美波「道を付ける、って言う役割だと思えば、無意味じゃないんじゃない?」

かな子「…カーンで道を切り開けば、ニオンさん達も続きやすくなる、ですか…。分かりました!」 グッ

 

かな子「チェーンジ、カーンローバー!!」

 

掛け声と共に、車輪形態に変形。

 

かな子「行きますよ…!ゲッター大車輪!!」

 

周囲に渦を巻き、高速回転。

 

かな子「スパインクラッシャーッ!!」

 

カーンローバーと化したゲッターカーンの高速回転で海中を掻き進み、側面に突き出したスパイクで、立ちはだかるメカザウルスを問答無用で粉砕していく。

 

ドロス「おぉ…!」

ゴズロ「やるな…。思い切りがいい」

鉄甲鬼「よし、カーンに続くぞ。芳乃」

芳乃「お任せあれー。だいのゲッターすりぃ」

 

芳乃の声に呼応するように、ダイノゲッター3の胸の眼光が激しく光り、その姿を変えていく。

 

芳乃「太古の海を征した雄々しき姿ー。これこそー、だいのゲッターすりぃのもう1つの姿ー。水棲竜の化身ー、ぷれしおもーど、でしてー」

 

プレシオサウルスへと姿を変えたダイノゲッター3が、咆哮を上げる。

 

芳乃「はうんど、すとりーむをー」

 

潮流の咆哮。2叉に延びるプレシオサウルスの頭部、それぞれから激しい潮流の渦が放たれ、前方のメカザウルスの群れを吹き飛ばす。

 

芳乃「みさいる、ぶれすー」

 

次に口腔奥からミサイルを吐き出し、体勢の崩れたメカザウルスを破壊。

 

芳乃「ばいと、はんぐー」

 

尚も肉薄したメカザウルスをプレシオサウルスの牙で噛み付き、

 

芳乃「くらっしゅでしてー」

 

上半身と下半身に引き裂き、破壊。

 

芳乃「さぁ、今の内でしてー。我々ゲッターにー、続くのですー」

ゾル「お、おう…」

ガンリュ-「おっとりした大人しい娘かと思えば、意外な一面もあるものですね…」

ドロス「はっはっはっ!豪快なのは結構!さぁ、このまま勢いに乗ってしまおうではないか!!」

 

カーンローバーとダイノゲッター3を中心に、敵陣を割って強引にマシーンランドまでの進路を突き進む。

 

美波「かな子ちゃん!マシーンランドが大きくなってきたよ!」

かな子「となると、最終防衛ラインはそろそろ……えいっ!」

 

カーンローバーから、ゲッターカーンに変形。

 

かな子「ゲッターミサイル、展開!」

 

両肩のスパイクを収納し、代わりに無数のミサイルを展開。

 

かな子「ミサイルトルネード!!」

 

両肩の車輪を回転させながらミサイルを発射。周囲にミサイルをばら撒き、一掃戦力を展開させた防衛線を内側から崩していく。

 

かな子「今の内です!どこか侵入出来そうなポイントは…」

ゾル「そこだ!直ぐ下の突起から侵入出来る!」

かな子「下…?」

 

ゲッターカーンの真下、100m程の地点に、マシーンランドの突起の1つが覗いている。

 

ゾル「よし…。ザウルスレーザーキャノン!!」

 

プロトギガスが、ゲッターレーザーキャノンのような長銃を構える。

 

かな子「ゾルさん!?」

ゾル「俺とドロスは、ここで敵の追撃を食い止める。任務遂行はお前達に任せるぞ!」

かな子「けど、2機だけじゃあ…」

ニオン「ゆっくり話し合っている時間はない。指揮中枢を落とせば敵の動きも停まる」

バイス「つまり、ここは先輩方に任せるのが得策、と言うことだ」

かな子「…分かりました。任せます、ドロスさん、ゾルさん!」

ゾル「あぁ!」

ドロス「おうよ!!」

かな子「急速沈降!」

 

そのまま、急加速で沈降していき、マシーンランド内部へと侵入した。

 

── 交易マシーンランド、内部。

 

ゲッターカーンらが出入り口のゲートを強引に破壊して侵入。海水の浸水を防ぐための隔壁が閉じ、排水機構も動いてゲッターと共に入った海水を自動的に排出していく。

 

かな子「…何とか侵入成功、ですか?」

ニオン「今の所はな」

美波「敵の迎撃は…」

バイス「ここじゃないだろうな。ここは、マシーンランドの外壁付近だ。派手にドンパチやって、外壁を破壊した時の被害は、ここの連中がよく分かっている」

莉嘉「なら、一旦休憩って感じ?」

ガンリュ-「一先ずは。外にいるゾル様や、ドロス様のことも考えると、そうゆっくりともしていられませんが」

鉄甲鬼「作戦完遂に、小休止など必要ないな。直ぐに移動しよう」

かな子「了解です。えっと、中心部は…」

芳乃「こちらでしてー。交易ましーんらんどの地図はー、だいのゲッターにいんぷっとされております故ー」

ゴズロ「よし。敵中枢を目指して、移動しよう」

莉嘉「待って!ゲッターザウルスはともかく、アタシとニオン達は屋内戦を考えて変形した方が良くない?」

鉄甲鬼「…一理あるな。では、我々は突破口を開く意味でもダイノゲッター2に」

莉嘉「こっちは勿論、ゲッターアークで決まりだよね?」

かな子「分かりました。ふふっ」

美波「莉嘉ちゃんに合わせる。それじゃあ…」

 

かな子「オープンゲット!!」

芳乃「おーぷんげっとー」

 

鉄甲鬼「チェンジダイノゲッター2ッ!!」

莉嘉「チェンジゲッター!アーーック!!」

 

ゲッター1機がようやく通り抜けられるような空間でゲッターの分離・合体を行い、その勢いのままダイノゲッター2が先行し、目前に迫る隔壁に目掛け突進。

 

鉄甲鬼「ドリル、クラッシュ!!」

 

豪快に、隔壁を粉砕して、開けた空間に出る。そこは、

 

莉嘉「うわぁ…!」

 

一面に広がる花園と、緑豊かな森林群だった。

 

美波「…穏健派のマシーンランドとも、また趣が違うのね」

ニオン「ここは数多のマシーンランドとの交易ポイント。互いに穏やかな心で交流が行えるようにと、先代の統治者の頃から、保養所としても整備されてきた」

かな子「空も高く見える…。とてもマシーンランドの中とは思えませんね」

バイス「否が応でもそう思うさ。迎撃部隊が出てきた」

 

ダイノゲッター2達の前に、迎撃のメカザウルス部隊が立ちはだかる。

 

かな子「…こんな所でも戦闘を仕掛けようなんて!」

バイス「どちらの立場か分からん台詞だな。仕掛けてきたのは、俺達の方だ」

かな子「それは、そうかもしれないけど…」

莉嘉「昔の偉い人が作った自然を破壊しないためにも、戦いにさっさとケリを着ける!それに限るよ!!」 グンッ

 

ビュン、とゲッターアークが加速。

 

莉嘉「バトルショットカッター!!」

メカザウルス・ボア『!?』

 

瞬時に肉薄、着地、構えを流れるように繋ぎ、先頭のメカザウルス・ボアを切り裂く。

 

メカザウルス’s『──!!!』

莉嘉「っ…!」

 

ゲッターアークの突貫に怯まず。メカザウルスの部隊が放った銃砲撃による弾幕を、ヒラリと軽い動きで躱していく。

 

バイス「だぁあああッ!!」

 

敵の動きがゲッターアークに引き付けられている所に、ゲッターザウルスが上空からダブルシュテルンを振り下ろす。

 

バイス「大した威勢だ。が、考え無しに付き合わされるのは御免だぞ」

莉嘉「何~!?」

メカザウルス『ギャァァァアッ!!』

鉄甲鬼「ふん…」

 

ゲッターアークとゲッターザウルスの隙を突こうとしたメカザウルスを、背後から忍びよったダイノゲッター2のハンドガンが撃ち抜く。

 

鉄甲鬼「お互い様だな。皆、死角のカバーを忘れぬようにな」

莉嘉「鉄甲鬼!ありがと☆」

バイス「…ちっ」

かな子「それで、敵の指揮中枢は…。ここからマシーンランドの隅から隅まで探すんですか!?」

芳乃「その必要はないでしょー。木を隠すには森と申しますがー、無人のめかざうるすを指揮するにはー、それだけ行き来が易い方が良ろしいかとー」

かな子「えーっと、つまり?」

美波「敵の指揮を執っている人が、寝食を行いながら、同時にメカザウルスに指揮を出せるような場所…」

ニオン「即ち、統治城、と言うことだな」

莉嘉「統治城…?」

ガンリュ-「あそこです」

 

ゲッターザウルスが指差す先、中世ヨーロッパの建築様式に似た大きな城が聳えている。

 

ゴズロ「交易マシーンランドの統治者が住まう城だ。ここの中心地と言っても、差し支えないだろう」

かな子「で、でも、あんな目立つところに…。本当に?」

鉄甲鬼「闇雲に探すより、目的地があった方がいい。一先ず目指してみるのも、悪くないだろう」

莉嘉「ここで考えてるよりはね、って。よし、行こう!」

バイス「おい、待て!陣形をだな…!」

 

勇み足気味のゲッターアークを先頭に、統治城を目指して突き進んでいく。

 

バイス「……」

ニオン「……」

莉嘉「……?」 ザッ

 

木々を掻き分け、森林地帯を進む。

 

ニオン「……妙だな」

莉嘉「ねぇ~、もっと攻撃してくると思った」

鉄甲鬼「これは……何かの罠か?」

莉嘉「アタシ達で先行しよっか?」

鉄甲鬼「……」

芳乃「それは危険でしょー。こちらの戦力を裂くこともー、相手の策かも知れずー」

バイス「しかし、このまままとめて敵の術中に堕ちてしまえば、それまでだ」

芳乃「焦りは禁物でしてー。疑心暗鬼に陥るもー、敵に付け入る隙を与えるのでしてー」

ガンリュ-「しかし、これでは…!」

バイス「──何だ……うぉッ!?」

莉嘉「バイス!?」

ニオン「ゲッターザウルス?どうした!」

 

突如、ゲッターザウルスの機影が、周囲から消える。

 

莉嘉「何処に消えたの!?」

鉄甲鬼「落ち着け。レーダーはゲッターザウルスを捉えている」

美波「……だけど、これは…」

かな子「ゲッターザウルスの反応が、2つ…?」

芳乃「ともかく追いましょー。直ぐ向こうでしてー」

莉嘉「バイスッ!!」

 

鬱蒼と繁る木々を掻き分けて、離れたゲッターザウルスの反応を追う。そこには、

 

莉嘉「!? ゲッターザウルスが、2体…!?」

かな子「どう言うこと、ですか?」

バイス「『気を付けろ!そっちは偽物だ!!』」

バイス「『!?』」

かな子「今のは…」

美波「バイスさんの音声信号が、両方のゲッターザウルスから、同時に出てる…」

莉嘉「これじゃあどっちが本物か分かんないよぉ!」

バイス「『くそっ!俺の真似をするんじゃねぇ!この卑怯者!!』」

バイス「『っ!』」

バイス「『こうなれば、俺がこの手で直接…!』」

 

2機のゲッターザウルスが、戦闘態勢で向かい合う。

 

莉嘉「バイスの声が二重に聞こえてくるよ。何か気持ち悪い…」

ニオン「内部分析で何か分かるか?鉄甲鬼」

鉄甲鬼「…いや、分析結果も両方とも同じだ。ダイノゲッターの視認情報的には、どちらも同じ、ゲッターザウルスだ」

ニオン「…芳乃は?」

芳乃「……」

ニオン「黙りとは珍しい。お前にも、分からないことがあるのか」

芳乃「芳乃も万能ではなくー。正しくこれはー、生物的に完璧な”擬態”なのでしてー」

美波「…擬態?」

莉嘉「これじゃあ、一体どっちを援護したら…」

バイス「……っ!」 ジリ…

 

???「どうした?来るんじゃなかったのか」

 

バイス「!?」

???「ならばこちらから、遠慮無く」 シュバッ

バイス「ぐっ…!」

 

片方のゲッターザウルスが素早く動き、相対したゲッターザウルスの懐に飛び込み、掌底を打ち付ける。

 

???「お前達も!」

莉嘉「きゃっ!?」

鉄甲鬼「ぐぅ…っ!?」

 

ゲッターザウルスがしなるように俊敏に動き、ゲッターアークとダイノゲッター2を打ちのめして距離を取る。

 

かな子「な、何…?あのゲッターザウルス…!」

莉嘉「ゲッターザウルスの動きじゃないよ!それに何だか、素早い!」

???「揃いも揃って簡単に惑わされるとは…。これが恐竜帝国の仇敵、ゲッターロボか!」 ハッ

バイス「くっ…!こちらの姿を真似しやがって…!この猿真似野郎!」

???「残念ながら。これがこのメカザウルス・ピクノドンの最大の能力なのでな。折角手に入れたモノを、そう簡単に手放すわけはないだろう?」

鉄甲鬼「メカザウルス…」

かな子「ピクノドン?」

ガンリュ-「相手に擬態する能力を持ったメカザウルス。しかし、タネが割れてしまえば何てことはない!」

???「ふふっ、果たしてそうかな?貴様らも感じただろう。このピクノドン、対象の内部構造や発信信号まで完璧にトレースする。味方信号を発するものを、貴様らのマシンは攻撃できまい!?」

ニオン「ならば、手動で狙いを付ければ良いだけだろう!鉄甲鬼っ!!」

鉄甲鬼「応!」

莉嘉「アタシも!」

バイス「俺達だって!」

莉嘉・バイス「「ゲッタービーム!!」」

 

ダイノゲッター2のハンドガン、2筋のゲッタービームが、ピクノドンが化けたゲッターザウルスに集中し、爆発が起こる。

 

バイス「やったぞ!」

ゴズロ「油断するな。熱源はまだ消えてない。こちらの攻撃を回避している」

ニオン「猿真似だけじゃなく、すばしっこさも奴の取り柄らしい」

???「ハハハハハッ!戦いは始まったばかりだ。思う存分、楽しもうじゃないか!」

 

爆煙が晴れ、視界が開けた、そこには、

 

莉嘉「ゲッター……アーク…」

???「人間共の新型ゲッター…。なかなか面白い機能を持っているようだな…」

美波「マズい…!みんな、離れて!!」

鉄甲鬼「何だ!?」

???「密集陣形でそっちは使えんだろうが、こっちは気を遣う必要がないぞ」

 

ゲッターアーク(ピクノドン)の背中のウィングが後光のように開く。

 

???「サンダーボンバァアアーーッ!!」

 

バリバリバリバリッ

 

莉嘉「きゃぁぁぁああッ!!」

鉄甲鬼「うぉぉぉぉッ!!」

バイス「ぐぁああああッ!!」

 

放たれたサンダーボンバーが、3機のゲッターを打ち付ける。

 

莉嘉「う……うぅ…」

 

雷撃に怯み、倒れ伏すゲッターアーク。

 

???「くっくっくっ…。これはいい…!穏健派の精鋭のゲッター部隊も、まるで烏合の衆だ!」

バイス「ぐっ…!借りた威で調子に乗ってぇ…!」

???「ものの次いでだ、1つ教えておこう。俺の名はドラゴ。まだキャプテンですらない恐竜帝国の一兵士。そしてこれから忌むべきゲッターを倒し、恐竜帝国の英雄となる男の名だ」

ニオン「ドラゴ…」

ドラゴ「お前達とは長い付き合いになりそうだからな…。以後お見知りおきを、頼むぞ」

莉嘉「あ、あんまり見知っておきたくないかな…」

 

地に手を着いて、強引に立ち上がる。

 

莉嘉「ここで決着を着ける…!絶対!」

ドラゴ「ふっ…──」

 

つづく

 




予告

交易マシーンランドを舞台に、熾烈を極める攻略作戦。
作戦を完遂させる為、ニオン達を統治城へ向かわせる莉嘉だったが、ゲッターアークの能力をコピーしたメカザウルス・ピクノドンが追い詰める。
果たして、この戦いの勝敗の行方は。同じ力を持つ敵に、莉嘉は勝利を掴むことが出来るのか──。

次回、『死線』
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