ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第12話『暴竜の城』

~~~ 統治城 応接間 ~~~

 

ナーガ「久し振りね…。暫く見ない内に、随分と立派になって」

カムイ「……」

ナーガ「最後にこうして顔を会わせたのは、何時だったかしら」

カムイ「もう何年も、昔の話になります。各マシーンランドの代表が集まった、園遊会の時の…」

ナーガ「…思い出したわ。あの時、私は人生で初めての社交界に緊張していて、貴方はまだ幼い子供だった」

カムイ「えぇ。純血ではなく、雰囲気に馴染めずにいた私にも、貴女は優しくしてくれましたね。実の姉だと思って、慕ってくれて良いとも」

ナーガ「…そんな小さかった貴方が、今は穏健派の代表……王だなんて。まだ信じられないわ」

カムイ「私自身、分不相応なのは、理解していますよ」

ナーガ「…! ごめんなさい、そう言うつもりじゃ…」

カムイ「謝る必要はありませんよ。今だって、本当のところは必死なんです、政に関わるのは。正直に言って、武器を手に、前線に立つ方が性に合っている」

ナーガ「可笑しな事を言わないで。貴方までが戦いの道を選ぶようになってしまったら…!」

カムイ「ふっ……分かっていますよ。人間とは、平和的に会談するつもりです。しかしその前に先ず、彼らの信頼を得なければならない」

ナーガ「それが、急進派勢力を倒す大義名分、と言う事なの?」

カムイ「グールは人類を見下し、自分が正当な地上の支配者だと、己の才量を過信している。そんな人間では、まともな話し合いも出来なければ、最早人類など関係なく、地球そのものが破壊されてしまうだけだ」

ナーガ「…確かに、グールのやり方は先代ゴール帝王と同じ。それではまた同じ轍を踏むか、より最悪の結果を生むと言うのだけには、同意します」

カムイ「”だけ”…?」

ナーガ「けれど、今の貴方のやり方も、性急過ぎるわ」

カムイ「……」

ナーガ「今日も人間側のゲッターロボをはじめ、穏健派勢力は出撃しているそうね」

カムイ「急進派勢力の拡大を防ぐ為には、一刻も早く彼らの拠点となっているマシーンランドを解放しなくてはなりません」

ナーガ「その為に、兵に休息も与えず出撃を強要するの?それではグールと同じよ、貴方も」

カムイ「……。強要は、していないつもりです。人間側の協力者、莉嘉達もこの戦いの重要性を理解してくれています」

ナーガ「貴方には、大義名分の他に、急進派との戦いを急ぐ理由があるのではなくて?」

カムイ「それは…」

ナーガ「分かっている……いいえ、理解るわよ。だって、貴方のお母様は…」

カムイ「だとしたら、貴女は俺を笑いますか。ナーガ」

ナーガ「……」

カムイ「貴女の言う通りですよ。俺には、母さんにはもう時間がない。母さんの故郷である地上、地上に降り注ぐ太陽を、せめて一目でも見せてやりたい…!その為には、マシーンランドを海上にでも浮上させる許可を、人類に取り付けるしかないんだ!」

ナーガ「その為に、明確な結果がいるのね…」

カムイ「そうだ。俺は、俺の為に戦っている。穏健派の敵を、ハ虫人類の大義名分を王の名の元に利用して…!」

ナーガ「貴方…!」

カムイ「笑うなら、笑って下さって結構です。蔑みも、非難も受け止めましょう。しかし、我々はもう動き出したのだ。この勢いを、止めるわけには行かないっ!」

ナーガ「……」

カムイ「俺は、ハ虫人と人間のハーフ。だが、母さんは純粋な人間だ…!人間の為に、力を貸してもらうぞ、ゲッターロボ──!」

 

~~~ 交易マシーンランド 格納庫 ~~~

 

ハ虫整備兵「ゲッターアーク、帰還します!」

 

プシュゥゥ…

 

莉嘉「ふぅ……やぁっと帰ってこれた…。本日の業務終~了~☆」

かな子「お疲れ様、莉嘉ちゃん」

莉嘉「お互い様じゃない?」

かな子「うぅん。今日の戦闘は、本当に良く頑張ってくれたよ。もう毎日みたいに出撃してて、まともに寝てる時間もないのに…。体、しんどくない?」

莉嘉「へへっ☆全~然!逆に目が冴えてて、眠れないって感じ。戦えって言われたら、まだまだ戦えそうな感じだよ☆」

美波「……」

かな子「へ、へ~…。私は疲れてもうダメかなぁ…。流石にちょっと眠いかも…」

莉嘉「ははっ!ゆっくり休んで!次の出撃までは、まだ時間がある筈だよ」

かな子「え~っと、莉嘉ちゃんは…」

莉嘉「アタシは……ほら、来た!」

かな子「え…?あっ」

 

ハ虫子供「莉嘉お姉ちゃ~ん!!」

 

かな子「あの子達は…」

莉嘉「莉嘉の友達☆穏健派のマシーンランドから一緒に来たんだ!」

かな子「そっか…。ここは自然域が広いから、ちょっとした自然公園みたいだもんね」

莉嘉「そーそー!マシーンランドって人工の居住施設だけど、ここには虫もいて昆虫採集も出来るし、そう!この前カブトムシも見つけたんだよ!」

かな子「カブトムシ、ですか?」

莉嘉「アタシの知ってるのとは大分見た目違うけど、ここで独自に進化したものなんだって~。スゴくない?帰ったらお姉ちゃんに自慢しちゃお~っと」

かな子「あははっ。戦闘終わりなのに、元気ですね」

莉嘉「当ったり前じゃん!じゃ、おやつはヨロシク☆」

かな子「おやつ…?あ、莉嘉ちゃん!」

 

元気良くコックピットから飛び出して、子供達の元へ向かっていく。

 

莉嘉「お~い、今行くよ~!!あはははっ☆」

 

 

ハ虫子供「お~いっ!!あはははっ!」

 

かな子「あぁ…。行っちゃった…」

美波「それじゃあ、私も」

かな子「美波さん。また、ハン博士の所?」

美波「えぇ、そんな所」

かな子「ハン博士もここに研究室を移して大分経ちますけど、最近よく通ってますね?」

美波「うん…」

かな子「目的は、晶葉ちゃんとの通信ですか?何か気になることでも…」

美波「大したことじゃないわ、まだ…」

かな子「まだ?」

美波「何でもない。…私なりに、調べたいことがあるの。それじゃあ!」

かな子「あっ、美波さん!」

 

強引に会話を打ち切り、ゲッターアークの元を離れていく美波。

 

かな子「行っちゃった…。美波さんも莉嘉ちゃんも、最近みんな、違うことをしてるなぁ…」

 

かな子「……。何か、変わっていってる気がするな。みんな──」

 

──。

 

バイス「……」

ガンリュ-「彼女達もここへ来て、もうすぐ一月ですか」

ゴズロ「連中も、すっかりここに馴染んだようだな」

ガンリュ-「関係者以外は立ち入り禁止の筈なんですけどねぇ」 チラッ

ハ虫兵「はっ、莉嘉さまのご友人は、立派な関係者ですので!」

ガンリュ-「…まったく」

バイス「……」

ゴズロ「まだ警戒しているのか?」

バイス「そう言う訳じゃない、が…」

ガンリュ-「が…?」

バイス「……」

 

カムイ「気になることがあるのならば、直接聞いてみれば良い」

 

ゴズロ「!?」

ガンリュ-「で、殿下…?何故ここに…?」

カムイ「兵を労うのも、王の務めだからな」

ガンリュ-「ですが…」

カムイ「……」

バイス「殿下も、莉嘉の事が気になるので?」

カムイ「…まぁ、そんな所だ」

 

子供「莉嘉ねーちゃん。今日は何するの?」

莉嘉「そうだね~。鬼ごっこは昨日もしたし~……っと、うん?」

カムイ「……」

子供「あっ!王様!」

子供2「王様、こんにちは!」

カムイ「あぁ。……」

莉嘉「何~?」

カムイ「君も、これだけの者の信頼を得るようになったか」

莉嘉「信頼?かどうかかは良く分からないけど、一緒に遊んで、楽しんでるだけだよ」

カムイ「そんな中、出撃させて悪かったな」

莉嘉「何で?戦うために、アタシは来てるんだよ?そこは気にしないでよ」

カムイ「…辛くはないか」

莉嘉「全~然っ☆この子達のためにも、アタシは戦ってるんだって。実感できるから、まだまだ戦えるよ!」

カムイ「そうか…」

莉嘉「だから、ありがとね☆カムイ!」

カムイ「ありがとう…?」

莉嘉「アタシとみんなを出会わせてくれて!カムイが晶葉に頼んでくれなかったら、こうはならなかったよ」

カムイ「私も、君達に協力を要請して良かった」

莉嘉「お互い様って訳だね?」

カムイ「これからも、私達のために戦ってくれるだろうか?」

莉嘉「当たり前じゃん☆カムイとなら、きっと上手くやれる。人間とハ虫人、共生だって出来ると思うから!」

カムイ「そう思ってくれることは、ありがたく思う」

莉嘉「アタシはやるよ!何でもかんでも、気に入らない奴を力で捩じ伏せようって相手を、1つ残らず叩き潰すんだ」

カムイ「……」

莉嘉「アタシに難しい話は分からないよ?難しいことは、出来る人がやってくれるから。だからアタシは、目の前に来る悪い奴をやっつける!それで開けてくることも、必ずあるでしょ?」

カムイ「…あぁ、そうだな」

莉嘉「うん!だからカムイは、後ろでデーンとしてて!どんなことがあっても、必ず勝って見せるから!──それじゃ、行こ?」

子供「うんっ!」

 

タッタッタッ──。

 

カムイ「……」

バイス「殿下?」

カムイ「人間だろうとハ虫人だろうと、関係ない、か。彼女ならば、或いは」

バイス「え?…えぇ、そうですね」

 

~~~ ハン博士の研究室 ~~~

 

晶葉『そろそろ、来る頃だと思っていたよ』

美波「……」

晶葉『毎日、決まった時間に出撃。急進派のマシーンランドを襲撃し、作戦後帰還。帰還後は真っ直ぐ、ハン博士の研究室だ。いよいよルーチンも身に付いてくる』

美波「……」

晶葉『少しは、博士に対して申し訳なさそうにしてみればどうだ?毎日毎日、小1時間も研究室を占拠されては、溜まったものではないだろう?』

ハン「いやぁ、その…。ワシは……のぅ…」

晶葉『…やれやれ。それで、今日は何が知りたい?何の資料が欲しい?と、言っても、早乙女博士から引き継いだ資料も、私と凛で調べた資料も、もう粗方渡した筈なんだがな』

美波「……」

晶葉『美波、科学者として、ゲッター線に興味を持ってくれるのは嬉しいがな、そちらも状況は逼迫しているのだろう?今は目の前の事に集中すべきだと思うが』

美波「…卯月ちゃん」

晶葉『……何?』

美波「それに、李衣菜ちゃん」

晶葉『……』

美波「2人とも戦いの中で、ゲッターのエネルギーを増大させたことがある。どちらも土壇場と呼ばれるような状況や、正念場で」

晶葉『ふむ…。確かにそうかもしれんな。それが?』

美波「卯月ちゃんと李衣菜ちゃんのケースは、状況に左右されているようにも見える。戦いの中で、仲間を失ったり、追い詰められた状況を覆すために、ゲッターが2人の意思に応えたと言っても過言じゃないわ」

晶葉『それに対して、莉嘉は違うと?』

美波「これは、交易マシーンランド解放戦に参加した時のゲッターアークのデータ。うぅん、アーク号のデータだよ」

晶葉『これは…』

美波「ある一定の時間から、アーク号のエネルギー”だけ”急上昇してる」

晶葉『……』

美波「この時間は丁度、ゲッターアークが統治城まで追い込まれた所、私達の前にナーガさんが現れて、ドラゴとナーガさん、2人が姉弟だと知った瞬間。莉嘉ちゃんがドラゴに対して、明確に怒りを抱いた瞬間よ」

晶葉『成る程。莉嘉の怒りにゲッターが応えたか』

美波「だとしても、この増大の仕方は歪じゃない?卯月ちゃんと李衣菜ちゃんの時は、ゲッターが、ゲッターロボそのものが、パイロットの意思に応えているみたいだった。けどこの場合は、そうじゃない」

美波「ゲッターがパイロットの意思に呼応してるんじゃない。莉嘉ちゃんが、ゲッター線を引き出している。そう言う風に、私には見えるんだけど」

晶葉『……』

美波「ゲッターには、私達には分からない秘密がある。どうなの?晶葉ちゃん!」

晶葉『…確かに、莉嘉はこれまでの誰にもない、ゲッター線に対する高い親和性を持っているようだ』

晶葉『だが、それがどうかしたのか?』

美波「!? 分からないって言うつもり!?このまま戦い続けてもいいの!?莉嘉ちゃんはどうなるの?!」

晶葉『ゲッターに対して、随分と熱心になったじゃないか。美波も、ゲッターに取り憑かれたのか?』

美波「……!」

晶葉『なぁ、美波。先の戦いで、莉嘉やお前達に不都合があったか?』

美波「それは……ないけど」

晶葉『ならば、それが真実だ』

美波「真実…?」

晶葉『今回も、そしてこれまでも、ゲッターは我々人間の側に付き、その力を貸してくれた。莉嘉の場合にしてもだ。美波が心配するほど、悪い方に転んだりはしないさ』

美波「どうして、そんな…」

晶葉『ゲッターの力を信じろ、美波』

美波「……」

晶葉『急進派が自身の勢力として、鬼獣を使用してきたと言う報告は、かな子から受けている。同時に、鬼獣の裏に誰か糸を引く者がいる可能性もな』

晶葉『連中の目的が何なのかは見当が付かん。だが、我々に敵対し、ゲッターに反旗を翻している時点で、我々の未来を阻む障害であるのは間違いない』

晶葉『鬼獣の黒幕の正体……その真意と、美波達が手にする未来。それら全ての答えに辿り着くためには、今を生き残るしかないんだ。そして、今生き残るためには…』

美波「ゲッターに乗って、戦うしかない…」

晶葉『そう言うことだ。急進派との戦いも、決戦が近いだろう?吉報を待っている』

 

プツン── 

 

美波「……」

ハン「向こうから勝手に切るとは、珍しいのう。美波ちゃん?」

 

美波「……」

 

──。

 

~~~ 急進派マシーンランド 玉座 ~~~

 

ハ虫兵「第3マシーンランド、陥落ッ!!」

ハ虫兵2「第5、第7マシーンランドからも、派兵していた部隊が次々に敗走して来ています!」

ハ虫兵「反体制派の勢力が、日増しに拡大していっています!各マシーンランドでの敗走だけならまだしも、兵や民にも、次々に反体制派へと離反する者達も増え……このままでは…!」

 

シュルンッ

 

ハ虫兵「ぎゃっ!!」

ハ虫兵2「ひィっ!!?」

 

グール「負けました、負けましたと……口を開けば詰まらぬことばかり…。言われずとも分かっておるわ!」

ハ虫兵2「あっ…あぁっ…!」

グール「貴様!」

ハ虫兵2「はいぃッ!!自分は、グール様に忠誠を、永遠に誓う所存でありまぁす!!」

グール「ほほぅ…。先程の奴とは違って骨のある奴、ではなく。先の戦闘で、ゲッターは確認されたか?」

ハ虫兵2「は…?はっ!先の第3マシーンランド、第7、第14マシーンランドでの戦いでも、穏健派のゲッターロボ部隊を確認しております」

グール「ほぅ…。ゲッターはまとめて動かしておるのか…。…そうとも、貴様らにとってゲッターロボは我々への最大の戦力。割けんよなぁ」

ハ虫兵2「ぐ、グール様…。次の作戦は、どのように?」

グール「……もう良い。今各地で敗走が続いておるのは、戦線を拡大しすぎたが故の綻びが原因。空気を入れすぎた風船を割れぬようにと守っても無駄なのだ。必ず、針の一刺しで破られてしまう」

ハ虫兵2「はぁ…」

グール「マシーンランド制圧に出した部隊を引き上げさせい。さすれば、連中も、決戦と意気込んでここに攻め入ってこよう。そこを、我々の最大の戦力で一気に壊滅させる」

ハ虫兵2「成る程…!了解致しました!では、至急派遣中の部隊に撤退命令を出します」

グール「頼むぞ」

ハ虫兵2「はっ!」

 

タッタッタッ──。

 

グール「……ふぅ」

???「随分と勇ましいですな」

グール「何用だ。貴様の謁見を許した覚えはないぞ。ドクター・マクドナル」

マクドナル「水臭いことを。我らの間に、遠慮は無用でしょう?」

グール「遠慮は無用だが、不躾では些か、今後の信頼に欠ける」

マクドナル「これはこれは。失礼を」

グール「して、何用だ」

マクドナル「例の兵器の最終調整が終わりましたので、そのご報告までに」

グール「貴様らの虎の子とやらか。随分と掛かったものだな」

マクドナル「何分生体機械でありますが故、調整は繊細でしてね。グール様の覇道の采配のように」

グール「ふんっ、笑えん冗談だ。その虎の子が、交易マシーンランドでの戦いに間に合っておれば、みすみす奪われずに済んだやも知れぬものを…」

マクドナル「ご指摘は尤も。必ずや、次の戦いで成果を挙げてご覧に入れましょう」

グール「精々恥を掻かぬようにな。ゲッターの相手、負けるわけにはいかん」

マクドナル「……。グール様は、本当にゲッターに勝てるとお思いで?」

グール「何だと?」

マクドナル「気分を害されましたらご容赦を。ただ、来るべき決戦に備え、後の帝王の覚悟を、確認しておきたく思いましてね」

グール「無論、負けるつもりなど毛頭ない。ゲッターなどと言う存在にはな…!」

マクドナル「……ほぉ」

グール「ゲッターは恐竜帝国の、いや、ハ虫人類全体の仇敵!ゲッターへの勝利なくして、この恐竜帝国の真の統治者など成り得ぬ。まして、ゲッターの庇護を受ける憎きサル共と手を結ぼうなどと…。生温い和平政策など、愚の骨頂!!」

マクドナル「流石。それでこそ、我が主が認めた同志と認めた御方」

 

コンコン

 

『ドラゴ、参上しました。お呼びでしょうか、グール様』

 

マクドナル「おや、来客のようですな」

グール「良い。貴様もそこで控えておれ」

マクドナル「はっ…」

グール「……。入れ」

 

ドラゴ「失礼します。……?」

 

マクドナル「……」

グール「心配無用だ。これこそ、我々の覇業に尽力してくれている、我が同志」

ドラゴ「同志…。貴方が…」

マクドナル「……」 一礼

グール「早速だが、ドラゴ。貴様、キャプテン・コモドの最期を看取ったそうだな」

ドラゴ「……。はっ。ゲッターを相手に、勇ましい最期でありました」

グール「うむ、そうか…。貴様のような有望株を遺したのも、コモドの手腕によるものなのだな」

ドラゴ「……」

グール「貴様にキャプテンの称号を授ける。これからは貴様が兵を率い、我々恐竜帝国の未来の為に戦うのだ」

ドラゴ「はっ!真の恐竜帝国の未来は、グール様の元に!」

グール「よろしい。キャプテン昇格に伴い、貴様に専用の兵器を与える。メカザウルスではない、我々の新兵器をな」

ドラゴ「メカザウルスではない、新兵器…?」

マクドナル「グール様、まさか…」

グール「貴様の虎の子は信頼しておるよ。だからこそ、我ら恐竜帝国の精鋭が駆らねば。恐竜帝国の新たな歴史と栄光が、今ここから始まるのだ」

???「……御意のままに」

グール「では、キャプテン・ドラゴ。我が同志を伴い、格納庫に。決戦の行方を左右するのだ。期待しておるぞ?」

ドラゴ「はっ!必ずや、グール様に勝利を!!」

 

──。

 

~~~ 数日後 ~~~

 

莉嘉「……」 ボ-ッ

かな子「…かちゃん?……莉嘉ちゃん!」

莉嘉「うわっ!?いきなりどうしたの?かな子」

かな子「さっきから何度も呼び掛けてましたよ?」

莉嘉「え?あ~……そうだった?」

かな子「もうっ。…やっぱり、ちょっと疲れてます?」

莉嘉「大丈夫大丈夫。体の力を抜いて、緊張を解してたんだよ。ほら、戦闘前のリラックスタイムって奴」

かな子「なら、いいんですけど」

莉嘉「それよりもさぁ~、何で今日はゲッターキリクで出撃なの?」

美波「何時もは、莉嘉ちゃん達に頑張って貰ってるから。偶には、私も頑張らないと」

莉嘉「ふぅん?」

かな子「ですけど、幾ら深海用に調整して貰ったって言っても、水中じゃキリクのスピードは生かせないですよ?」

美波「そのくらいのハンデ、実力で何とかしてみせなきゃ」

莉嘉「何でもいいけど、苦しくなったら直ぐにアタシかかな子に代わってよ?今日の戦いは、恐竜帝国にとっても大事な戦いだもん。みんなの足を引っ張る訳には、いかないよ!」

美波「……」

ニオン「貴様も、大局の流れは見えるようになったんだな」

莉嘉「そりゃあ、アタシは子供だけど、急進派最大のマシーンランドを叩くって言われたら、決戦が近いことくらい察するよ」

ニオン「…そうか」

鉄甲鬼「最後の戦い、と言うわけではないがな」

莉嘉「けど、グールとか言う偽帝王を倒すんでしょ?アタシ達が勝てば、急進派の勢いは小さくなる…!」

ドロス「だが、倒すことばかりが、今回の作戦ではないことを、忘れるなよ?」

莉嘉「ドロス!」

ドロス「確かに、急進派マシーンランドの制圧は、今回の作戦の達成すべき目標の1つ。だが、もう1つの大本命が…」

バイス「皇子・ゴール3世の救出!」

莉嘉「それは、さっきのブリーフィングで聞いたけどさ。けど今の穏健派には、カムイ殿下だって、ナーガさんだっているんでしょ?皇子の存在って、そんなに大切なの?」

ゾル「生まれの血が持つ力と言うものでな。古い人間ほど、そう言った血筋や順列を気にする」

ガンリュ-「その点、ゴール3世皇子は前帝王ゴール様の直系筋…。カムイ殿下の事を混血だからと、快く思わない人間を、納得させる材料にはなるのですよ」

美波「王族の正当な後継者が、穏健派のやり方に賛同してくれた方が、今後穏健派にとっても動きやすいって事ですか?」

 

「それだけではない」

 

ドロス「この声……殿下!?」

莉嘉「後ろからおっきい反応…。これって!」

かな子「私達が知ってるのと形が少し違いますけど……無敵戦艦ダイ!?」

ゾル「深海用に改造されたダイだ。まさか、殿下が御自らとは…」

バイス「…あれは」

 

ダイの口が開き、中から艦載機が放出される。それは、

 

美波「メカザウルス・ギガス…。もう実戦に?」

莉嘉「何か1機、派手なのがいるよ!」

 

そう言って莉嘉が指したのは、ギガス部隊の先頭に立つ、金をあしらった装飾の豪奢なギガス。

 

ドロス「あれは、王族用に開発されたギガス!」

鉄甲鬼「と、言うことは、あれに乗っているのは…」

 

カムイ「同道させてもらう」

 

ゴズロ「やはり、殿下…!」

ドロス「何故自らメカザウルスに…?」

カムイ「ふっ。王が先頭に立たねば、民達は付いてきてはくれまい?」

ドロス「しかし…!御身にもしもの事があれば…!」

カムイ「良いのだ。私の事など最早…」

ドロス「…今、何と?」

カムイ「先程の話を続きだ。ゴール皇子を救い出しても、その威光を利用するだけならば、結局はグールと同じ」

カムイ「皇子はまだ幼い。だがゆくゆくは、地上の人間達とも手を結べる、新たな恐竜帝国を背負って立つ存在になって欲しいと考えている」

ゾル「王位を、皇子に譲ると言うのですか…!?」

カムイ「ゴール皇子は王位継承権第一位。当然の話だと思うが?」

バイス「それでも、今我々を率いているのは貴方です!」

カムイ「使命を全うする。真の王に想いを託す。偽りの王としての、最期の使命を!」

ハ虫人一同「「「殿下ッ!!」」」

莉嘉「想いを託すなら、ちゃんと生きて帰ってこなくちゃ、ダメだよね?」

カムイ「……」

莉嘉「命懸け~とか、死力~とか、カッコつけたことばっか勝手にやって、後のことは生き残った人達にお任せ~って言うのは、流石に無責任だよ」

かな子「私もそう思います。その、皇子に穏健派の想いや考えを継いで貰いたいって言うのが殿下のお考え、だったら、それも殿下の使命として、全うするべきだと思います」

美波「穏健派の事だけじゃありません。人間の事、地上の事……これからの恐竜帝国の未来の事…。ちゃんと皇子と正面から向き合って、ちゃんと教えられる人じゃないと…」

莉嘉「カムイなら適任だよ☆だからちゃんと生きて帰って。モチロン、アタシ達だってカムイを死なせないように頑張るから!」

カムイ「……」

鉄甲鬼「頑張るのは、莉嘉だけじゃない」

芳乃「然りー。王の身を案じるのであればー、己の身を槍とし盾としー、王を守ることにも、全力を尽くすのでしてー」

ドロス「おぉ、そうだな!王の覚悟を無駄にするなど、家臣が尤もしてはならぬこと」

バイス「言われるまでもない!これまでのように、俺達が勝てばいいだけの話だろう!」

ゾル「やりましょう!殿下がいてくれれば、百人力、鬼に金棒です!」

カムイ「…皆、感謝する」

莉嘉「へへっ☆…カッコいいマシンだね?」

カムイ「私は、普通のでいいと言ったのだがな。王の活躍は、後の喧伝にもなると」

莉嘉「左の腕、ドリルになってるんだ?」

カムイ「あぁ。何故だが、この方が無性にしっくりと来てな。急場凌ぎだが、付けさせた」

芳乃「牙城が見えて参りましてー」

莉嘉「!? 牙城……急進派のマシーンランド、って……デカっ!」

かな子「海底奥深くまで、ずっと広がってる…。これまでのマシーンランド3つ分、いや、それ以上じゃないですか!?」

ニオン「元々は恐竜帝国の種を存続させる、メインマシーンランドの1つだったからな。人工が増える度に増設を行い、この規模になった」

ドロス「故に、敵の戦力もこれまでの比ではないぞ。改めて覚悟は出来ておるか?莉嘉ちゃん!」

莉嘉「当ったり前じゃん!興奮しすぎて武者震いがしてくる…!必ず攻略してみせるよ、この暴竜の城──!」

 

つづく




予告

熾烈を極める急進派マシーンランド攻略作戦。それぞれが想いを欠け、未来を繋ぐ戦い。
そんな中、遂に莉嘉達の前に姿を現すドクター・マクドナルとは何者か?
マクドナルを操り、裏で糸を引く本当の黒幕の正体とは?恐竜帝国での戦いが区切りを迎えようする中、莉嘉は全ての黒幕の糸を掴む為、新たな戦いへと向かっていく…。

次回『彼方へ…』

~~~ オリジナル機体解説 ~~~

○メカザウルス・ギガス(王族所有機)・カムイギガス
王族専用機として開発されたギガス。機体表面に金などをあしらった煌びやかで荘厳な装飾が施されている以外、機体性能は通常のギガスと同じである。
しかし、中でも「カムイギガス」と呼ばれる機体は、穏健派代表であるカムイの操縦特性に合わせた調整が施されており、左腕がドリルアームに換装されていると言う、外見上でも大きな特徴がある。更に、関節部付近の装甲を薄くすることで、運動性能の向上と、機体の軽量化を謀っており、結果、カムイギガスの機動性能は、その他のギガスを圧倒する。
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