ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第16話『犬と猿と』

~~~ 早乙女研究所 格納庫 ~~~

 

渓 「いやぁ、悪いね。パイロットは地上じゃ体を休めるのも仕事なのに、資材運びなんて雑用手伝わせちゃってさ」

かな子「いえ、いいんですよ。ゲッターの整備は、私達にとっても他人事じゃありませんし……えっと…」

渓 「南風渓。アタシはパイロットじゃないから、自己紹介はまだだったよね。ここで整備士をやらせてもらってるんだ」

かな子「は、はい…!渓、さん…。私は…」

渓 「知ってる。アンタ達が思ってる以上に、ここじゃもう有名人だよ?」

かな子「そうなんですか?」

渓 「そりゃ、ゲッターに乗って異世界からやってきた、何て触れ込み、注目されないわけ無いって。それにしても…」 ジ-ッ

かな子「…?え~っと…?」

渓 「こうして顔を合わせてみてなんだけど、ちょっと意外」

かな子「意外、ですか?」

渓 「うん。もっと怖い人かと思ってた。だから安心した」

かな子「安心…」

渓 「これから一緒に戦ってくんだもん。コミュニケーションの取りづらそうな人だと、こっちも気を遣っちゃうじゃん?」

かな子「私、気を遣わせない……ですか?」

渓 「うんうん。だって、同じ女同士じゃん」

かな子「成る程。一理ありますね」

渓 「そうそう。改めて、これからよろしくね、かな子」

かな子「はい、渓ちゃん!」

渓 「…っと、それじゃあ、運んでくれた資材はここに置いてくれていいから」

かな子「あぁ、はいっ!」

 

持ってきた小さめのコンテナを床に置く。

 

かな子「ふぅ…。あの、この資材って…」

渓 「あぁ、質はよくないでしょ?何たって、廃墟にあった廃材とか、廃墟になってる建物の鉄筋を再利用してるんだからさ」

かな子「廃材や廃墟、そのものを…?」

渓 「アタシ達には貴重な資源なんだ。武器を作るにせよ、弾丸を作るにせよ、素材には金属がいる。だけど、この国じゃぁ金属が取れる鉱山なんかも、多くはないでしょ?」

かな子「え、えぇ……多分。地理は詳しくないですけど」

渓 「だからこうして、廃墟に残った使えるものを再利用させてもらってるって訳。けど、倉庫にあった資材も少なくなってたな…。また近い内、資材調達か」

かな子「資材調達…。廃墟に出てってことですよね?大変じゃないですか?」

渓 「大変だけど、働かざる者食うべからず、だからね。アタシに出来ることなら、小さな力仕事だって何だってやるよ」

かな子「私にも出来ることがあったら、何でも言ってください。ゲッターに乗ってるお陰か、体も丈夫なので、心配要りませんよ」

渓 「ありがと。かな子は何て言うか、いい子だねぇ。アイツにも少しは見習わせたいわ」

かな子「アイツ…?」

 

「テンメェ!こん畜生ッ!!今日という今日は許しちゃおかねぇ!!」

 

渓 「噂をすれば…」 ハァ…

かな子「この声って…」

 

── 格納庫、一画。

 

號 「オモテに出やがれ!そのなめしくさった態度、改めさせてやるッ!!」

莉嘉「へへ~んだ☆悔しかったら捕まえてみなよ~!」

號 「こんにゃろッ」

 

整備士1「ひぃっ!」

整備士2「や、やめてくださいお2人とも…!ここには精密機器もあるんですから…」

 

號 「うるせぇ!関係ねぇ奴は引っ込んでな!さもねぇと…!!」

渓 「そこまでにしときな、號!」

號 「あ…?渓」

かな子「號さん……それに、莉嘉ちゃんも。…またですか?」

莉嘉「あ、かな子!アタシは悪くないよ!」

號 「んだとぉ!?先に喧嘩売ってきたのはテメェだろうが!」

莉嘉「アタシは本当のこと言っただけだも~ん!それをムキになっちゃってさ!大人げない!」

號 「コイツ…!言わせておけば…!」

渓 「だから、その辺にしとけって。じゃないと…」

リン「もういいよ、渓」

渓 「り、リン……司令…」

リン「もう、手遅れだからさ」

號 「姐さん!こんな奴の手なんざ借りるこたぁねぇ!今すぐ追い出そうぜ!!」

剴 「いい加減にしないか!お前も、何時までも子供じゃないんだぞ!!」

莉嘉「や~い、怒られてやんの~☆」

美波「莉嘉ちゃんも。私達は協力することになったとは言え、ここの人に迷惑を掛けていいってことじゃないんだよ?」

號・莉嘉「「だけど、コイツが…」」

號「真似すんな!」

莉嘉「真似しないで!」

美波・剴「「はぁ…」」

かな子(何だろう…。似た者同士みたいな気もするけど…)

リン「兎も角、2人ともパイロットとしての自覚が足りないようだ。今回の騒動の罰として、2人でトイレ掃除。施設内の全てのトイレを、2人手分けしてやるんだよ」

莉嘉・號「「はぁ?!なんでアタシ(俺)が!!?」」

號 「…っ!」

莉嘉「っ」

號・莉嘉「「だから!!」」

リン「口答えは無用。なんなら、左の腕を行使しなきゃ分からないかな…?」

莉嘉「え、左…?」

號 「っ…!分ーったよ。やりゃぁいいんだろ、やりゃぁ…」

リン「分かったら駆け足!何時敵の襲撃が来ても可笑しくないんだ。行動の遅い奴はここに要らないよ!」

號 「分かったよ…。了解ッ!」

美波「莉嘉ちゃんも、早く!」

莉嘉「え?ホントにアタシも…」

美波「早くッ!!」

莉嘉「は、はいぃッ!!」

 

ダダ-ッ

 

剴 「まったく。號の奴と来たら…」

美波「すいません。莉嘉ちゃんが…」

剴 「美波さんが謝ることじゃありませんよ。それより、號への処罰、あんな軽くて良かったんですか?」

リン「ゲッターは今整備中だ。そんな場所でドンパチ派手にやられるよりは、こうした方が早いよ」

剴 「ですが…」

かな子「何とか一件落着って感じですね?」

渓 「まぁ、これで大人しくなってくれればいいんだけどね」

かな子「そう言えば、その……さっきの話。司令の左腕って…」

渓 「ん?あぁ、義手なんだ。それも特別製で、かなり頑丈な奴。それで殴られたら、號だって1発で伸びちゃう」

かな子「義手…?どうして…」

渓 「さぁ?詳しいことは何も。でも、10年前の災害で、無くしたらしいよ。面白い話でもないし、誰も聞きたがらないけど」

かな子(…この世界のリンちゃん。何があったのかな…)

 

── 研究所内、某トイレ。

 

號 「ったく、何だって俺がこんなことを…!」

莉嘉「ぼやかないでよ。こんなの、学校のトイレ掃除と一緒じゃん」

號 「あのな、テメェの世界の都合なんざ知ったこっちゃねぇが、こっちは8つの時から10年間、ほとんど地下シェルターで暮らしてんだ。学校なんざ、まともに通ったこともねぇ」

莉嘉「…そっか」

號 「……。テメェも、くっちゃべってねぇで手ェ動かせ。元はと言えばテメェのせいだろうが」

莉嘉「はい~!?仕掛けたのはそっちでしょ?!自分の短気を人のせいにしないで!」

號 「あ゛ぁン!?」

莉嘉「唸ったって怖くないもんねぇ~、えいっ!」

號 「ゴ、フ…ッ」

 

手にしたモップのブラシ部分で、號の顔面を突く。

 

莉嘉「へへ~ん、先手必勝~☆」

號 「この…!やりやがったなぁ!!」

莉嘉「どっからでも…」

 

「お~いたいた!號、発見~!」

 

號「あん…」

莉嘉「この声…」

 

殺気だったトイレ内に、間の抜けた声が声が響いた。

 

號 「…んだよ、友紀義姉ちゃんか。どうした急に」

友紀「えっへへ~。剴から聞いたよ?格納庫で問題起こして罰掃除だって?全然反省してないじゃん!」

號 「うっせ。義姉ちゃんには関係ねぇだろうが……ん?」

莉嘉「…姫川友紀?」

友紀「え?そうだけど…。君は確か、この前入った、ゲッターのパイロットだよね?そんな人に名前を覚えられてるなんて、光栄だな~」

莉嘉「え、あ……そう言うことじゃないだけど…」

友紀「違うの?」

號 「案外、こいつの世界にも義姉ちゃんがいるのかもな」

友紀「こいつの世界…?」

號 「俺達とは違う世界から来たんだとよ。細けぇこたぁよく知らねぇけどよ」

友紀「へぇ~。ね、そうなの?」

莉嘉「え~…っと……うん」

號 「へっ、図星かよ」

莉嘉「そ、そうなんだけど…。いいのかなぁ~、こんなこと、別世界の本人に話しちゃって」

友紀「いいっていいって!名前と顔が一緒なだけで、別人なんだし。そっちの世界のあたしのこと、もっと教えてよ!」

號 「どんな感じも何も、姐さんが10年も年喰っちまってるらしいからな。義姉ちゃんなんて、まだ10歳のおチビちゃんもおチビちゃんだろうよ」

莉嘉「それなんだけど、そうでもないんだ」

友紀「え?」

莉嘉「アタシが知ってる、友紀のそのまんまなんだ。だから余計、ビックリしたって言うか」

友紀「へぇ~。不思議なこともあるもんだ」

號 「それでいいのか?」

友紀「で、で?異世界のアタシってどんな感じ?やっぱ女子野球で活躍してるとか、野球選手と結婚してるとか!?」

莉嘉「い、いや…?野球選手でもないし、野球選手と結婚もしてないよ」

友紀「何だ…」

莉嘉「けど、アイドルとして活動してるよ。だから友達だし」

友紀「えぇ!?あ、アイドルゥ~?!」

號 「似合わねぇ~!!」 ゲラゲラッ

 

ムギュッ

 

友紀「あたしも全く同意見だけど、笑う必要はなくない~?」

號 「痛ぇ痛ぇ。分かったから耳つねんなよ!」

友紀「しっかし、アイドルかぁ…。全然想像つかないなぁ。そっちの世界のあたしに、一体何が…」

莉嘉「詳しくは知らないけど、アイドルとしてはノリノリだよ?性格もあんま変わんないみたいだし、友紀にも出来ると思うけどな~」

友紀「え~、そうかな~?」

號 「無理無理。酔って腹踊りやるくらいのがしっくり来るぜ」

友紀「……」 スッ

號 「無言でバット振り上げるのはやめろよ…。それは人殴るものじゃねぇって、車さんも言ってただろ?」

友紀「ま、その話はまたなんかあったら詳しく聞かせてよ」

莉嘉「う、うん…(アタシの知ってる友紀より怖いかも…)」

號 「んで、結局義姉ちゃんは何しに来たんだよ?わざわざ冷やかしに来たんなら、帰れ帰れ」

友紀「ただの冷やかしじゃないよ~!ね、今から野球しようよ!」

號 「はぁ?さっき自分でも言ってたろうが、罰掃除中だって」

友紀「どーせ反省してないんでしょ?だったら、時間は有効に使わなくちゃ」

號 「野球やんのの何処が有効利用なんだよ」

友紀「子供達が喜ぶよ!やっぱみんな、人数少なくした試合より人数をちゃんと合わせた試合がしたいんだよ~!」

號 「お断りだ。第一、あぁ言うスポーツは性に合わねぇんだよ。血が沸かねぇ」

友紀「えぇ~!?いいじゃん、お姉ちゃんの頼みだよ?子供達も待ってるよ!」

號 「知~る~かっ!用が済んだんならとっとと帰れ!」

友紀「もう~…」 ショボン…

莉嘉「へぇ?野球、出来ないんだ」

號 「ん?」

莉嘉「ねぇねぇ、その野球、アタシが入るのはダメ?」

友紀「えぇ?アタシ以外はほとんど男子だし、莉嘉ちゃん腕細いし…」

莉嘉「腕細くてもゲッターのパイロットだよ?体力も身体能力も、ちょっとしたもんなんだから!」

友紀「あ、そう言えばそうだっけ?なら~、いっか!」

莉嘉「よし決まり!」

號 「おい!罰掃除をサボる気か?!」

莉嘉「そんなの、野球の試合が終わってからやればいいじゃん?別に時間は決められてないんだし、何なら夜にやった方が反省って、感じが出ていいじゃん!」

友紀「そう!良いこと言うねぇ!青春は一度きりだよ?」

號 「どういう意味で使ってんだよ、それ…」

莉嘉「まぁ?司令や弁慶さんに怒られるのが怖いなら?號は1人でせっせとトイレ掃除に励んでれば良いんじゃない?」

號 「!?…誰が!」

莉嘉「尤も、スポーツマンシップに乗っとるのがイヤで、ルール無用で相手を殴るのが趣味の號には、野球なんて高尚な遊びに参加も出来ないから仕方ないんだろうけど~」

號 「んだとぅ~…!」

友紀「お?お、おぉ?!」

號 「良いじゃねぇか、やってやる!」

莉嘉「お、野球出来るの?」

號 「はっ!チビに教授されるまでもねぇ。だが後悔すんじゃねぇぞ?ギタギタにしてやるからな…!」 ゴゴゴ…

莉嘉「へぇ?ギタギタに出来るんなら、やってみなよ!!」 ゴゴゴッ

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ

 

友紀「お、おぉ~!これは面白くなる、予感!」

 

~~~ 屋外練習場 ~~~

 

莉嘉「あ、ちゃんとした野球のグラウンドでやるわけじゃないんだ」

友紀「あははっ。ちゃんと整備してたら土地が足りなくなるからね。広いところがあるだけでも充分!…っと、おーい!みんな、連れてきたよ~!!」

莉嘉「あ…」

美世「遅ーい。時間掛けすぎだよ~、何処まで言ったのかと思っちゃった」

友紀「えへへ…。ごめんごめん!號が見つからなくてさぁ」

美世「もう、野球の試合しよって言うのは、アンタが言い出しっぺなんだから。そう言う時は、アクセル全開にして、バァーっと走って来なさいよね」

茄子「まぁまぁ、美世ちゃん。その辺で」

美世「むぅ…」

友紀「あはは……と、ん?」

莉嘉「……」

友紀「あ、もしかして、この2人も”知り合い”?」

莉嘉「うん。原田美世に、鷹富士茄子だよね?」

茄子「え?そうですけど…」

美世「どうして名前を?こんな子、ここの施設にいたっけ?見覚えないけどな~」

友紀「ここの子じゃなくて、ゲッターのパイロットだよ。ほら、この間ここを守ってくれた」

美世「あぁ、アンタが勝手にシェルターから子供達外に出して、後でしこたま怒られた時の」

友紀「だってぇ~。戦ってるゲッターの姿がカッコ良かったから~!」

茄子「それにしてもスゴいですね~。こんなちっちゃいのに、ゲッターに乗って戦ってたんですか?」

莉嘉「へへ~ん、そうでしょうそうでしょう!」

友紀「それでこの子、じゃない莉嘉は、違う世界から来たらしいんだけど、莉嘉のもといた世界にも、同姓同名のアタシ達がいるんだってさ~!」

美世「えぇ~!?」

茄子「まぁ~」

友紀「莉嘉が知ってるってことは、この2人も、アイドルなんだ?」

莉嘉「そう。3人でユニットも組んでるよ!」

美世「え~?アイドル……私がアイドルかぁ~。ちょっと想像出来ないな」

茄子「そうですね~。ちょっと現実と、掛け離れすぎて…」

美世「ねー?私がアイドルなんて、アイドルプロデューサーの車が故障してた、ぐらいのことがないと接点ないよ」

友紀「あたしは……応援してる球団が勝った日なら、気分良くてスカウトでも話くらいは聞いちゃうかな~?」

茄子「2人とも、何だか妙に具体的な言い方しますね~」

號 「おい」

友紀「ん?」

號 「井戸端会議しに来たんじゃねぇんだろ。とっとと始めようぜ」

友紀「あ、そうだったそうだった!それじゃあ皆準備…」

號 「つっても、アンタらは見てるだけで良いぜ」

友紀「え?」

號 「莉嘉、バッターボックスに立ちな」

莉嘉「アタシ?」

號 「俺が投げる。それで勝負を着けようじゃねぇか」

莉嘉「……へぇ、1対1で、やる気?」

美世「あのさ、私の勘違いじゃないんなら良いんだけどさ」

友紀「何~?」

美世「あの2人、何か空気悪くない?」

友紀「うん。何かさっきまで格納庫で喧嘩してたらしいよ」

美世「そんなの連れてきたのか、アンタは!」

友紀「うん。だって、火花バチバチの方が、面白くなりそうじゃん。実際なった!」 タッ

 

友紀が2人の間に割って入る。

 

莉嘉「うん?」

號 「ンだ?邪魔する気か?」

友紀「そうじゃないよ。決闘にせよ勝負にせよ、見届け人は必要でしょ?アタシ達がなったげる!」

號 「ふんっ。好きにしな」

友紀「よ~し決まり~!それじゃあ、キャッチャーは美世!」

美世「え?わ、私ぃ?!友紀がやりなよ。言い出しっぺでしょ」

友紀「そしたら実況出来ないじゃん。あ、茄子は解説で、アタシの隣ね?」

茄子「はい。分かりましたよ~」

美世「ちょっ…!私だけ危なくない!?茄子も何か言ってよ~!」

茄子「怪我だけはしないで下さいね~」

美世「軽っ!」

友紀「はいはい!各々配置に着いた~!ようし、皆ベンチに下がって~!」

子供「え~?野球の試合するんじゃないの~?」

友紀「それよりももっと熱いのが見れるからさ!」

子供「熱いの?」

友紀「そう、本物のゲッターパイロット2人による、血沸き肉躍る最高のビックカード!」

子供「え、號兄ちゃんは知ってたけど、あのちっちゃいのもゲッターのパイロットなの

?!」

友紀「そう言うこと。だから危ないから、皆は下がって~。その代わり、見物料はタダだよ~!」

 

子供達「「「は~いっ!!」」」

 

友紀の先導で、子供達が練習場の脇へと捌け、中央に號が、そこから少し距離を置いて、バッタボックスに見立てた場所に莉嘉が立つ。

 

號 「いいか!ヒットでもホームランでも、俺から1本取れりゃぁお前の勝ち。代わり、3振したらお前の負け。負けた方は勝った方に二度と逆らわねぇ。それでいいな?」

莉嘉「一方的に条件突き付けられるのは気に入らないけど…。シンプルなのはいいよ!返り討ちにしてあげる!」

號 「へっ、その減らず口を黙らせてやるよ!」

友紀「それじゃあピッチャー、投球練習を」

號 「必要ねぇ」

友紀「そっか。それじゃあ、試合開始!!」

美世(キャッチャー装備)「お、お手柔らかにね~…」

號 「……」

莉嘉「ふんっ、ふんっ、ふんっ!」

 

2、3度素振りをしてから、バットを構える。

 

友紀「さぁ、静かに盛り上がって参ります、屋外練習場!ピッチャーは我らが早乙女研究所のエースにしてゲッターロボのパイロット、一文字號!こうして野球の試合に参加してくれるのは初めてなので、投球は未知数」

友紀「対してバッター、こちらは異世界からの挑戦者になります。話題のゲッターロボ、アークのパイロット、城ケ崎莉嘉!こちらも打率は未知数!茄子さん、この試合、どうなると思いますか?」

茄子「ふふっ、友紀ちゃんが一番楽しそうですね~」

號 「…行くぜ?」

莉嘉「いつでもッ、来いッ!!」 ブンッ ブンッ

號 「……」 スッ

友紀「ここでピッチャー、ゆっくりと構え…」

號 「うおりゃッ!!」

友紀「投げたーッ!!」

 

スパ-ンッ

 

莉嘉「…っ!?」

美世「っ…!痛ぅ~…」 シュ~ッ

友紀「ストラァァイクッ!!ど真ん中、直球!しかし驚くべきはその速度!」

茄子「…どのくらい、だったんですか?私じゃ、目で追えなかったんですけど…」

友紀「ちゃんとした機械がないから目測だけど、ざっと160キロ…」

茄子「そんなに…?」

友紀「球速はプロ級…。號選手、大口に違わない実力を持ってます!さぁ、莉嘉選手、あの豪速球を打ち返せるのか…!」

莉嘉「……」

號 「へっ、降参するなら、聞くぜ?」

莉嘉「あっは☆こんなバカ正直なボールで、勝った気にならないでよね!」 ギュッ

號 「…そうかよ。なら、正々堂々終わらせてやるぜッ!!」 ブォンッ

莉嘉「!!」 グッ

號 「!?」

友紀「あ、当たったー!?莉嘉選手、號選手の豪速球にバットを当てました!」

茄子「駄洒落ですか?」

友紀「ですが、打球は大きく逸れ、ファール。これで2ストライク。追い詰められました莉嘉選手。逆転はなるのか?」

號 「ッ!!」 ブオンッ

莉嘉「!!」 カキンッ

 

ブンッ カキンッ ブンッ カキンッ ブン カキンッ ブンカキンッ ブンッ カキンッ…

 

友紀「これは……投げと打ちの応酬だ~っ!!號選手の投球は一切乱れない!しかし、応じる莉嘉選手も全く乱れなく打ち返す!!今のところ、全てファールですが、バッティングがまぐれではないことを証明している!!これは流れが変わったか!!?」

美世「~~~っ…!そ、そろそろ決着を着けてほしいんだけどな~」 ヒリヒリ

號 「……分かった」

美世「え!?」 パァッ

號 「認めてやるぜ。お前は、強い」

美世「そっち?!」 ガ-ン…

莉嘉「今更?アタシは、強いよ!」

號 「故に、本気を出す!!」

 

左手に嵌めたグローブを外し、そして、

 

友紀「一文字號…。本当は左利きか!面白いッ!!」

茄子「面白くなってきましたね~、友紀ちゃんが」

子供「號兄ちゃん頑張れ~!」

子供2「お姉ちゃんも頑張れ~!」

子供達「「どっちも頑張れ~ッ!!」」

友紀「ギャラリーも盛り上がって参りました。さぁ、ボールを左に持ち変えた號選手。その実力は…」

 

號 「行くぜぇッ!!」

莉嘉「──ッ!」

 

ズ ワ ォ ッ

 

美世「ヘブッ!?」

友紀「投球は……ボール!しかし、受けたキャッチャーが吹き飛んだぁ~!!」

茄子「右で投げた時より、ずっと速い…!」

友紀「160キロなんてもんじゃないよ!170……いやもっと出てるかも!」

茄子「そんな投球、人間に出来るんですか!?」

莉嘉「……」

號 「焦んじゃねぇよ、遊び球だ。勝負はまだこれから、だろ?」

莉嘉「……モッチロン☆」

號 「ははっ!今のも打つ気でいンのかよ?大した奴だ」

莉嘉「トーゼンでしょ!負けるつもりで、勝負を挑む人はいないって」

號 「……! けっ、はじめてだぜ。戦闘以外で、俺をここまでコーフンさせた奴はよ!」

莉嘉「やっとエンジンが掛かった?なら、来なよッ!!」

號 「おうッ!」

美世「もうやだぁ~!!私やめる~!!」

友紀「えぇ!!美世、もうちょっとなんだからさ!あと少し踏ん張ってよ!!」

美世「無理無理無理ッ!!あんなのもう1球受けたら死んじゃう!」

友紀「大袈裟な~。野球ボールで死んだ人はいないよ」

美世「だったら私がその第1号になるッ!」

友紀「むぅ~…。仕方ないなぁ。それじゃ、キャッチャー交代!4番、姫川友紀!」

 

美世が投げ出した防具を拾い上げる。

 

美世「最初っからそうしてよ!バカ!もう知らないッ!!」

茄子「お~よしよし。怖かったですね~。もう大丈夫ですからね~」

美世「茄~子~!」

友紀「ふふっ…」

友紀(不思議な感じ…。號のあの投球を見てから、スッゴい心臓がバクバクしてる…!)

友紀(あの球をこの手で掴みたい、あの2人の勝負を、もっと間近で見たい──!)

友紀「さぁ、試合再k──」

 

弁慶「くぉらぁッ!!莉嘉、號!テメェら、こんなところで何してやがる?」

莉嘉「げっ」

號 「車さん…」

弁慶「司令からトイレの罰掃除だと聞いて探してたんだがな。罰をそっちのけで、野球かい?」

號 「ち、違ぇよ!これには深い訳が…」

莉嘉「そうそう!掃除はこれからやるつもりだったんだって…」

弁慶「言い訳無用ッ!!」

莉嘉「ヒッ…!」

弁慶「司令官の慈悲がテメェらには分からねぇみてぇだな?」

號 「……」

弁慶「言っても分からねぇ奴に、体で分からせてやるのが俺の仕事だが…」 キッ

友紀「っ…!は、はい…っ!」

弁慶「誰が唆したかってのはハッキリしてっからな。後でみっちり灸を据えておくとするか」

友紀「えーっ!?」

美世「自業自得でしょ!精々しばかれろ!」

茄子「骨は拾って上げますからね~」

友紀「そんな茄子まで~!ねぇ、あたしは皆のためを思ってぇ!!」

莉嘉「それじゃあ、アタシ達は…!」

弁慶「バカ野郎!テメェらも一緒にしごいてやるから覚悟しとけ!!」

莉嘉「そんなぁ~!!」

弁慶「だが、その前に出撃だ。2人準備を急げ」

莉嘉「へっ、出撃?」

號 「敵襲警報は聞こえないぜ?」

弁慶「そう言う訳じゃねぇからな。詳しくはマシンに乗り込んでから話す。いいからついて来い」

號 「分かったよ…。了解」

莉嘉「了解☆…勝負はお預けだね?」

號 「命拾いしたな?」

莉嘉「ははっ。じゃあ皆待たね~!今度はちゃんと試合しよ!!」

子供達「「またね~っ!!」」

莉嘉「…あの子達のためにも、生きて帰らなきゃね?」

號 「言われるまでもねぇ!!」

 

タッタッ──

 

~~~ 格納庫 各ゲットマシン・コックピット ~~~

 

リン『──全員、揃ったようだね』

莉嘉「……」

美波「……」

かな子「……」

號 「……」

剴 「……」

弁慶「おう。出撃メンバー、全員集合だ。欠員無し」

リン『了解。それじゃ、まずは簡単に作戦の概要を説明するけど、皆の任務は部隊の護衛だよ』

莉嘉「部隊の、護衛?」

リン『そう。今、ここから少し離れた旧都市部の郊外では、先発した部隊が不足した資材を補充する為の資材調達任務を遂行中だ』

かな子「資材調達?渓ちゃんがさっきそう言ってた…」

リン『研究所を出ての資材調達は危険を伴う。近付いた人間の匂いに反応して、地下から巨大昆虫群が襲ってくるんだ』

美波「巨大昆虫群?」

剴 「10年前のゲッター災害以降、地上やその付近で高濃度のゲッター線を浴びたことによって進化した昆虫群の総称です。既にデータは、整備作業に併行して貴女方のゲッターにもインプットしてあります」

莉嘉「うげ…。アリとかクモとか、そんなのがおっきくなってるの…?だとしたら、気持ち悪~!」

號 「流石におチビちゃんは、虫は嫌いか?」

莉嘉「嫌いって程じゃないけど…。あんなのがおっきくなってワシャワシャしてるって考えたら、やっぱキモくない?」

かな子「確かにそうかも…」

美波「サイズが大きいのもそうだけど、外殻も鋼鉄みたいに堅いってありますけど…」

リン『モノの例え。だけど実際はもっと、それ以上だよ』

莉嘉「それ以上!?」

弁慶「あぁ。歩兵の火器じゃ傷1つ付かねぇからな。あれをやれんのは、お前達のゲッターくらいのもんだ」

莉嘉「成る程。じゃあ、アタシ達で資材調達してる人達を守ればいいんだね?」

リン『そう言うこと。調達部隊はもう出発してる。皆も早く出撃して』

莉嘉「了解☆」

剴 「了解しました」

かな子「それにしても、アトランティス流国もいるのに、巨大昆虫なんて…。随分敵が多いんですね?」

弁慶「あぁ。まるで蠱毒だ。この星で一番強力な毒を、生み出すようための、な」

美波「蠱毒…」

號 「そうだぜ、俺達がまとめて出払っちまって、アトランティスの奴等はどうすんだよ?」

弁慶「今日の資材調達は、それほど離れたエリアじゃねぇ。もしアトランティスの奴等が現れたとなりゃ、どっちかが戻りゃぁいいさ」

號 「簡単に言ってくれるぜ」

莉嘉「…気になってたんだけど、弁慶さんのそのマシンは?」

弁慶「コイツか?コイツはレディコマンド号。ゲッターをサポートするために開発された支援機さ。野郎の俺が乗り込むにゃ、ちょいと洒落た名前だがな」

莉嘉「ふぅん、支援機?」

弁慶「専ら、號達のゲッター用さ。アイツ等のはプラズマボムスと言って、ゲッター線とは違うエネルギーで動いてる分、ガス欠が多いからな」

弁慶「それを補う為に、この機に予備のバッテリーが内蔵されてるのさ。いざとなりゃ、ゲッターに直接給電出来る!」

莉嘉「そっか、まともに戦うためには、お守りが必要なんだ?そっちのゲッター」

號 「言ってろよ。ゲッター線なんて危険な力に頼るよりは百倍マシだぜ」

 

話している内に、ゲットマシンは格納庫へと移動していく。

 

弁慶「んじゃ、俺が先に行く。テメェら、遅れんじゃねぇぞ!」

 

先んじてレディコマンドが出撃。

 

剴 「よし、號。俺達も続くぞ!」

號 「あいよ~っ!ゲットマシン、発進準備OKだ」

 

號達のゲットマシンがカタパルトに上がる。

 

號 「莉嘉、精々ハジをかくなよ」

莉嘉「は?」

剴 「號!早く出撃だ」

號 「了解!ゲッターチーム、出るぜ!!」

 

ゲットマシン、出撃。

 

莉嘉「……?何なのアイツ、いきなり…」

リン『ふふっ、號の言った言葉の意味がよく分からないみたいだね』

莉嘉「リン?」

リン『ハジとは、ゲッター戦闘用語で死を意味する。失敗すれば、死』

かな子「えーっと、つまり?」

莉嘉「恥かいて死ぬなってこと?アイツにしては優しいこと言うじゃん」

リン『今回の場合は、恥ずかしい死に方をするな、じゃないかな。例えば、発進時のミスによる事故とか、合体事故とか』

莉嘉「……はぁ?」

リン『つまりは、簡単な挑発だよ』

かな子「確かに、こっちを気遣う言い方では、なかったかも…」

莉嘉「何様のつもり!?こっちの台詞だっての!號なんかに負けてられないっ!!行くよ、美波、かな子!!」

 

シュバッ

 

美波「あ、莉嘉ちゃん…!」

かな子「待って!」

 

先走るように出撃したアーク号を追ってキリク号、カーン号と続いていった。

 

リン『……。ゲッターアーク、チームか』

 

── 上空。

 

號 「んぉ?ようやく来やがったな…!」

莉嘉「待てー!」

號 「よう、遅かったじゃねぇか。本当に、ハジかいてんのかと思ったぜ」

莉嘉「んな訳ないでしょ~!回りくどい言い方して!そう言うトコ、ホント気に入らない!」

號 「姐さんから意味を聞いたか…。んだよ、俺は心配してるんだぜ?おチビちゃんが、高いとこにビビって、チビっちまわねぇかってよ!」

莉嘉「……!余計はお世話!それにアタシはおチビちゃんじゃないって、何度言えば…!」

號 「俺から見たらおチビちゃんだろうが。悔しかったら、俺よりもデカくなってみな」

莉嘉「このっ…!」

弁慶「テメェら、戦闘前だ。いい加減にしねぇか」

剴 「そうだぞ。特に號、女性相手に情けないと思わないのか!?」

號 「思わないね。あんな、キャンキャン五月蝿い子犬風情によ」

美波「莉嘉ちゃんも。何時も突っかかっていくけど、號くんの何がそんなに気に入らないの?」

莉嘉「…別に。ただキーキー喚く山猿みたいで、目障りってだけ」

美波「そんな…」

號 「誰が山猿じゃ!!」

莉嘉「そっちこそ!子犬って、ちょっと可愛いけど……けどやっぱ、アンタに言われんのはバカにされてるみたいでイヤ!!」

剴・美波「「はぁ…」」

かな子「まさに犬猿の仲、なんですかね?」

弁慶「ったく、これから先が思いやられるぜ…」

かな子「せ、戦闘中は、流石に戦闘中はしっかりしますから。…多分」

弁慶「そこは自信持ってフォローしてほしかったぜ、お嬢ちゃん」

リン『そろそろ目的区域だよ。各自、フォーメーションは?』

弁慶「お、おう…!っと、虫けら共、もう出てきてやがるのか」

美波「あれが…」

 

巨大蟻《ギチギチ…》

巨大蟻2《ギチ…》

 

剴 「…まだ、調達部隊とは距離がありますね。これなら迎撃が間に合います」

弁慶「よし、俺が援護する。號達は南に進んで、虫けら共の迎撃に当たれ。ゲッターアークは東だ」

剴・美波「「了解っ!」」

莉嘉「うぇ~…。この距離で見ても、やっぱキモ~」

號 「おい、おチビちゃん」

莉嘉「…だ~か~ら~!」

號 「細けぇこたぁ置いとけ。それよりも、さっきの続き、ここでしねぇか?」

莉嘉「さっきの…?」

號 「勝負の続きだよ。どっちが虫けら共を多く踏み潰せるか」

莉嘉「……いいね、乗った」

號 「よっしゃ!合体したら勝負開始だぜ?行くぜ、剴!!」

剴 「あ、號…!待て…!」

號 「フォーメーションッ!!」

 

無人のゲットマシン2号機を誘導し、1号機が先頭を行く。

 

號 「フルパワーチャージ、セットアップ!!チェンジゲッタァァアー號ッ!!」

 

號 「おらぁッ!!」

 

上空でゲッターに合体。落下しながら地上の巨大蟻1体に狙いを定め、重力落下を加えた踵落としでその頭部を砕く。

 

號 「行くぜぇ!!」

 

着地後、素早く立ち上がり、付近でこちらを威嚇する巨大蟻にパンチを一発。

 

號 「おらよ、逃げんな!」

 

パンチで怯んだ巨大蟻の首を絞め上げ、引き寄せ、持ち上げ、

 

號 「そらッ!!」

 

腰を捻った巴投げで、別の個体の巨大蟻にぶち当てる。

 

號 「ナックルボンバー!!」

 

縺れ合い崩れ落ちた2体の巨大蟻に拳を撃ち出し、胴体を貫いて完全に沈黙させた。

 

巨大蟻《ギギ…ィッ!!》

號 「へへっ、まだまだだぜ?」

 

そう言って、背中のブースターに回ったゲットマシンのローターを手に取る。

 

號 「ブーメラン、ソーサーッ!!」

 

アンダースローで高速回転させて投擲し、巨大蟻を頭部から真っ二つに切り裂いた。

 

莉嘉「っ…!ふ~ん、ズルなんかして、よっぽど自信無いんだ?かな子、美波、私達も行くよ!」

かな子「は、はい…!」

弁慶「莉嘉、撃墜数のカウントは俺がやっといてやる。コイツはそう言うのも得意だしな」

莉嘉「本当!?」

弁慶「あぁ。誰かが正確に数えてなくちゃ、終わった後で言い合いになるだけだからな。心置きなく、暴れてこい」

莉嘉「やった♪」

美波「いいんですか?」

弁慶「そう言う奴等だ。白黒はっきり付けてスッキリすんなら、そうしてやった方が後々のためだ」

美波「…そう言うもの、ですか」

莉嘉「美波、何してるの?早く行くよ!!」

美波「え、えぇ…!」

 

莉嘉「チェンジゲッター!アァァーック!!」

 

ゲッターアークに合体。ウィングを開いて上空で高度を維持しながら、巨大蟻に狙いを定める。

 

莉嘉「相手は選り取り見取り…。ゲッターアークの武器は!」

 

ゲッターアークを視認し、威嚇行動を取る巨大蟻に対し、急降下。両手の鋭い爪を立て、巨大蟻に迫る。

 

シュバッ

 

巨大蟻《!?!》

 

1体の巨大蟻の目の前に滑り込むように着地。同時に、爪を立てた左の貫き手を、その頭部目掛けて放った。

 

莉嘉「これでぇ…!」

 

更に右手を突き入れ、ゲッターアークのパワーで左右に引き裂いていく。

 

ブチブチブチィッ

 

莉嘉「……」

 

左右に絶たれた巨大蟻の肉塊に目を落とし、

 

莉嘉「えいっ!」

 

それを、周囲で様子を窺っている巨大蟻に投げつける。

 

莉嘉「フッ──!」

 

頭部に掛かった仲間の屍を振り払う巨大蟻の隙を突いて、背後に回り込むゲッターアーク。腕のバトルショットカッターでたちまちに切り刻む。

 

莉嘉「そりゃぁ~っ!!」

 

更にバトルショットカッターを振るい、生み出した真空波によって、まとめて4、5体の巨大蟻を紙吹雪のように散らした。

 

莉嘉「よし、次!」

かな子「いい調子だよ、莉嘉ちゃん!」

美波「近くには調達部隊の人達もいるから、ゲッタービームやサンダーボンバーは使っちゃダメだよ。なるべく接近戦で仕留めて」

莉嘉「こんだけ蟻がウジャウジャしてるのに、武器にも縛りがあるって言うの~……面白いじゃん☆」

 

爪を以て迫り来る巨大蟻を切り払いながら、ニヤリと微笑む。

 

莉嘉「アタシにも、これがあ~るッ!!──ゲッタートマホークッ!!」

 

ゲッタートマホークを手に取り、構える。そして、

 

莉嘉「ん?」

かな子「どうかした?」

莉嘉「敵が攻撃して、来ない?」

美波「…確かに。何だかこっちの様子を窺ってるような」

かな子「そうですか?でも、向こうは昆虫、ですよね?そんな知能があるんですか?」

弁慶「連中は虫けらだが、体と共に頭脳も進化している。並の思考が出来る人間と戦ってると思ってもらっていいぜ」

かな子「人間と同じ…」

莉嘉「兎も角、敵の狙いも動けば分かる!任せるよ、美波!」

美波「分かったわ!」

莉嘉「いっくぞ~!!」

 

トマホークを振り上げ、巨大蟻に突進。が、

 

莉嘉「!?」

かな子「トマホークを、躱した!?」

 

巨大蟻が跳躍し、振り下ろしたトマホークを躱す。

 

莉嘉「…これって」

美波「何か、こっちを誘導してるみたいじゃない?」

かな子「誘導…?まさか、私達を調達部隊から引き離すつもりで…!?」

美波「…だとしたら、敵の行動に乗るわけにはいかないよ」

莉嘉「う~むぅ…」

 

悩みながらトマホークを振るうが、やはり巨大蟻は、ゲッターアークを調達部隊から引き離すように動く。

 

莉嘉「近接攻撃でやってる限りは、敵の思う壺だよ!」

美波「ゲッターアークじゃ、確かに状況は不利かも…」

莉嘉「う~~ん…。しゃーない!ここはかな子に任す!!」

かな子「え?」

美波「昆虫軍隊の迎撃と、部隊の護衛を考えれば、ゲッターカーンの方が立ち回り的には有利かも」

かな子「でも、いいんですか?號さんとの勝負は…」

莉嘉「……。この際、勝負なんて言ってられないよ!お願い!!」

かな子「…分かりました!」

莉嘉「オープンゲット!!」

かな子「チェンジゲッター!カーンッ!!」

 

凄まじい土煙を巻き上げ、ゲッターカーンが着地する。

 

巨大蟻《……!?》

美波「昆虫達が動揺してる…?」

かな子「だとしたら、それがチャンスです!」

かな子「ゲッターニードルミサイルッ!!」

 

ゲッターカーンの肩からミサイルが弾け飛び、巨大蟻を貫いていく。

 

莉嘉「流っ石~☆ニードルミサイルなら、ゲッタービームとかとは違って調達部隊を気にせず撃てる!」

かな子「莉嘉ちゃんと美波さんは、レーダーの警戒をお願いします。ゲッターカーンの後ろには、1体だって通すわけには行きませんから!」

美波「分かったわ!かな子ちゃんは戦闘に集中して」

かな子「!」

巨大蟻《ギィッ!!》

かな子「えいっ!」

 

廃墟の影から飛び上がり襲い掛かる巨大蟻に、ゲッターカーンの拳を放って迎撃。腕を持ち上げ、拳に乗せた巨大蟻を、そのまま地面に叩き付け粉砕した。

 

かな子「次は…。……!」

 

巨大蟻の群れは、あくまでゲッターカーンを調達部隊から切り離すつもりなのか、更に距離を置くため、後ろに下がっていく。

 

かな子「やっぱり、私達と調達部隊を分断するつもりで…。ですけど、羂索!」

 

体の中央で手を合わせ、内から鎖を生み出し、羂索を携える。

 

かな子「えいっ!」

 

鎖の先端に付いた独鈷杵を重石に、延縄の要領で飛ばし、逃げる巨大蟻を縛り上げ、捕縛。

 

かな子「やぁッ!!」

 

鎖をしならせて手元に引き戻し、両肩のホイールを回転。

 

かな子「スパイン・ブレイカー!!」

 

思いっきり引き寄せた巨大蟻を、勢いそのまま、回転するホイールに叩き付けて粉々に打ち砕いた。

 

かな子「何処まで逃げようと、捕まえるまでです!」

巨大蟻《……》

 

巨大蟻の群れが動揺するように足を止める。

 

かな子「動きが止まった?なら…」 シュッ

 

手にした羂索を再度投擲。今度は、群れの周囲を鎖で囲うように飛ばし、逃げ場所を封じる。反対方向から戻ってきた独鈷杵を左手で掴み取る。

 

かな子「ニードルミサイルッ!!」

 

ニードルミサイルを真上に放つ。上空で飛翔する速度を無くしたミサイルは、そのまま下に向かって落ちていく。

羂索の鎖によって、包囲された巨大蟻の群れへと。

 

かな子「名付けて、教令輪陣です…!」

 

陣の中に落下するミサイルが、無作為に爆ぜ、爆炎が業火となって燃え上がり、捕らえた巨大蟻の群れをその熱で跡形もなく焼き払った。

 

かな子「……南~無~。──ちょっとカッコ付けすぎですかね…?」 アハハ…

莉嘉「カッコイイよ、かな子☆この調子でどんどん行こうっ!」

 

弁慶「──待て、號!戻ってこい!!」

莉嘉「!?」

 

剴 「っ…!隊長の声が聞こえないか、號!前に出過ぎだ!このまま、調達部隊との距離が…」

號 「敵さんが来ねぇから、こっちから向かってるだけだ!奴等を一匹残らず潰しゃぁ、結果は変わらねぇだろうが!?」

剴 「目の前にいるのだけが勢力とは限らないんだぞ?!後方から増援があったらどうする?調達部隊に、巨大蟻を迎撃出来るだけの戦力はないんだぞ!」

號 「ウダウダ考えて戦闘は出来ねぇ!…おらぁッ!!」

 

水平に跳躍し、こちらに背中を向ける巨大蟻目掛けて蹴りを放つ。

 

號 「──レッグブレェェードッ!!」

 

脚部からせり出した刃で、巨大蟻を切り裂く。

 

號 「どんなもんだ!?逃げたアリんこ共はこれで全部か?」

剴 「まだ任務中だぞ、気を抜くな!敵を倒したのなら、早く迎撃位置まで後退だ」

號 「へいへい…。分かりましたよ、と?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

號 「何だ?」

剴 「地震…?違う、地下から何か…!」

 

《ギィイイイイイッ!!》

 

號 「コイツはァ…!」

剴 「巨大な、クワガタ…!?奴等の仲間なのか!?」

巨大鍬《……》 キチキチキチ…ッ

剴 「…俺達の相手を、コイツにさせるつもりだったらしいな。敵の狙いは」

號 「へっ、上等じゃねぇか。やっと面白くなってきやがったぜ!」

剴 「危険だ!後退し、アークチームに救援を頼もう!」

號 「誰が!あのおチビちゃん共に…!これは命を懸けた戦いだぜ!危険なんざ、承知の上だぁ~ッ!!」

剴 「退がれ、號!くっ…!」

號 「おりゃぁ~~ッ!!」

 

上空に跳躍し、蹴りを放つ。

 

ガンッ

 

號 「…~っ!?」

巨大鍬《……》

號 「コイツ…!堅ぇ…」

巨大鍬《ギィイイイッ!!》

號 「うぉわっ!?」

 

首を振り、ゲッター1号を弾き飛ばす。

 

號 「っつぅ~…。やってくれやがった虫野郎…!!只じゃおかねぇ!」

剴 「追撃が来る。しっかりしろ!」

號 「!?」

 

起き上がろうとしたゲッター1号の背中を前肢で踏みつける。

 

號 「コイツ…!」

巨大鍬《ギャアアアッ!!》

 

巨大鍬の口から垂れた液体が、ゲッター1号の表装を焼き、蒸気を立ち上らせる。

 

剴 「これは……まさか、酸か?號、このままでは、ゲッターが溶かされる!」

號 「分かってんだよ、そんなこと…!クッソ、こんにゃろッ!!」 ゴロンッ

 

強引に横に転げながら、踏みつけから脱出。

 

號 「うりゃ!」

 

体勢を崩した巨大蟻の腹を蹴り飛ばしながら立ち上がり、距離を空ける。

 

號 「お?」

剴 「…甲殻に覆われた背中と違って、腹部は弱いみたいだな」

號 「そうか…。それさえ分かれば!」

 

腹部を見せ、横倒しになった巨大鍬に肉薄する。が、

 

巨大鍬《…!!!》

號 「うぉッ!?」

 

巨大鍬が背中を開き、羽を高震動させ発生させた突風で、ゲッター1号の足を止める。

 

號 「クッソォ…!」

 

巨大鍬は、そのまま飛翔。

 

號 「畜生ッ!降りてきやがれ!卑怯者ッ!!」

 

ゲッター1号のカメラでも視認出来ないほどの彼方へ飛び去ったかにみえた巨大鍬だが、

 

號 「ん…?」

剴 「戻ってくるぞ!」

號 「チッ…!」

 

遠方から高速で迫る巨大鍬の突撃を何とか横に逸れて躱すが、高速飛翔する巨大鍬が作った真空刃が、ゲッター1号の表装に傷を付ける。

 

號 「俺のゲッターに傷を付けやがってェ…!」

剴 「熱くなるな!冷静に動きを見極めて、攻撃を躱せ!!」

號 「くっ…!」

 

その後も、右から左から、前から後ろから巨大鍬の突撃は続き、受け流すゲッター1号が一方的に手傷を受けていく。

 

號 「これじゃあ埒が明かねぇ!」

弁慶「退け、號ッ!!この相手は、お前のゲッターじゃ圧倒的に不利だ!」

 

ゲッター1号に向かっていく巨大鍬にミサイルを撃ち込む。だが、

 

弁慶「っ…!やっぱコイツのじゃぁ、火力が足りねぇ!!」

號 「くっ…!せめてゲッター2に合体出来りゃぁ…!」

剴 「パイロットのいないゲッター2に、この中で合体するのはリスクが高い!」

號 「危険、リスクが高い…!時には賭けに出てみなきゃ、勝てるもんも勝てねぇだろうが!」

剴 「失敗した後を考えろ!ゲッターが合体出来なくなるかもしれないんだぞ!?」

弁慶「バカ野郎共ッ!ケンカなんざしてる場合か!?上だ!!」

號 「──!!」

 

突進攻撃から手段を変え、ゲッター1号の真上から全体重を掛けて、巨大鍬がのし掛かる。

 

號 「チックショウ!!また酸で俺達を溶かす気か!?」

剴 「いや、違う…!號ッ!!」

號 「!!」

 

ゲッター1号の頭部めがけて放たれた、巨大鍬の鋏の大顎をそれぞれ左右の手で辛うじて受け止める。

 

號 「ぐ……ぐぐぐっ…!」

巨大鍬《……》 ギチギチギチ…ッ

 

何とか押さえ込むが、じわじわと、ゲッター1号に巨大鍬の鋏の切っ先が迫る。

 

剴 「號、大丈夫か?」

號 「へっ、そう簡単にやられやしないぜ!」

弁慶「コイツ…!號を離せッ!!」

 

レディコマンドのミサイルをありったけ撃ち込むが、効果はない。

 

剴 「アークチームに救援を要請するぞ!」

號 「待て!!」

剴 「これ以上まだ可笑しな意地を張るつもりか!?」

 

美波「…!かな子ちゃん、ゲッターチームから、救援要請が!」

かな子「え!?號さん達が、ピンチなんですか?」

莉嘉「……」

美波「莉嘉ちゃん、分かってると思うけど、人の命が懸かってるんだよ?」

莉嘉「分かってる…!分かってるよ!でも…」

 

號 「来るんじゃねぇ!!」

 

莉嘉「!!」

號 「テメェ等の助けなんか必要ねぇぜ、こんな奴に…!」

剴 「號…!お前は、まだ…!」

號 「テメェ等がそこを離れたら、誰が調達部隊を守る!?」

莉嘉「…!」

かな子「ですけど…!」

莉嘉「……。號の言う通りだ」

かな子「莉嘉ちゃん…?」

莉嘉「オープンゲット!!」

かな子「きゃっ、莉嘉ちゃん!?」

 

ゲッターカーンの合体を強制解除。

 

莉嘉「チェンジゲッターアークッ!!」

莉嘉「調達部隊には、かな子の友達もいるんでしょ?だったら、絶対に攻撃させない!アタシが、命に代えても守って見せるッ!!」

かな子「けど、それじゃあ…!」

美波「莉嘉ちゃん、分かってるの!?」

莉嘉「分かってるよ!號が、ゲッターがあんなのに負けるわけ無い!只強がってるだけの奴なら、とっくにやられてる!!」

美波「そうじゃなくて…」

莉嘉「アタシは、皆の命を守る!そっちは、勝手に突っ走ったそっちの自業自得だから、勝手にして!何かあったって、死んじゃったって、泣いてなんかやらないから!!」

 

號 「ハッ…!言ってくれるぜ、おチビちゃんよぉ」

巨大鍬《……!!》

 

巨大鍬が、大顎の力を更に強める。

 

號 「ぐぅ…!このっ、虫けら風情がよ…!クワガタなら黙って、カブトムシと相撲取ってろってんだ!!」

 

ゲッター1号の腕に力を込めながら、背中のローターが静かに回転を始める。

 

號 「俺を……俺のゲッターを、ナメるなァッ!!」

 

ローターの回転が臨界に達する。

 

號 「マグフォース・サンダー!!」

巨大鍬《!!?!》

 

ゲッター1号のローターファンから放たれた電磁光線、マグフォース・サンダーが、巨大鍬の巨体を吹き飛ばす。

 

巨大鍬《……っ》

號 「!?…動きが鈍った…?」

剴 「……。そうか、進化した奴等の剴殻は鋼鉄以上。本当に金属のように変質してるとしたら…!」

號 「そうか!車さん、エネルギーチャージだ!」

弁慶「何だと!?」

號 「これまでの戦闘と、さっきのマグフォース・サンダーで、ゲッターのエネルギーを大分使っちまった!エネルギーを補給するなら、奴が怯んでる今しかねぇ!」

弁慶「何をするつもりか知らねぇが、分かった!」

 

ゲッター1号の背後に回ったレディコマンドがその場で滞空し、給電用チューブをゲッター1号の背中にセットする。

 

弁慶「……チャージ、開始!」

 

レディコマンドに積まれた予備バッテリーから、エネルギーがゲッター1号へと急速に給電される。

 

號 「フルパワー・チャージ、完了ッ!!おっしゃァァアッ!!これまでの恨み、倍にして返してやるぜぇ!!」

巨大鍬《……ギィッ!!》

 

体勢を立て直した巨大鍬が、激昂したように荒ぶり、ゲッター1号に迫る。

 

號 「迂闊だぜ!」

 

腰を低く落として、迎撃の体勢を取ったゲッター1号のローターが、再び回転する。

 

號 「マグフォォオーース!サンダァアアアア~~ッ──!!」

 

ズ ォ ワ ァ ァ ッ

 

號 「──フルパワァァアアアアアッ!!」

 

最大出力で放たれたマグフォース・サンダー・フルパワーが巨大鍬を吹き飛ばし、廃墟の山に押し付け、動きを封じる。

 

剴 「今だ、號!」

號 「あン?」

剴 「マグフォース・サンダーの超電磁力によって、今奴は金属の体を固定されて羽を開くことも出来ない。だから、トドメを刺すなら今だ!!」

號 「成~る程、よっしゃ、それなら…!」

 

マグフォース・サンダーを放ちながら、ゲッター1号は突き出した両の拳を組み合わせ1つに。

 

號 「ダブル・ナックルボンバァァアーッ!!」

 

そして完成したダブルナックルボンバーを、がら空きになった巨大鍬の腹部に放ち、貫いた。

 

巨大鍬《──》

 

力無く崩れ落ちる、巨大鍬。

 

號 「へっ、へへへっ…!やったぜ、ザマーミロ!……っと!?」

 

同時に、ゲッター1号も崩れ落ちる。

 

弁慶「信じられねぇ。さっきやったエネルギーを、一度に使いきりやがった…!」

號 「大戦果だぜ。こりゃぁ勝負あったな」

剴 「あぁ、あの敵を1人で倒せたんだ。十分な戦果だ」

號 「……。なぁ、何で最後は手を貸してくれたんだ?」

剴 「お前の覚悟が分かったからな」 ボソッ

號 「何?」

剴 「何でもない。終わるなら手早く済ませたかっただけだ。それに…」

號 「それに?何だよ」

剴 「”時には掛けることも大事”だろ?」

號 「は……ははっ!そうだ、ギャンブルも大勝利だ!!」

剴 「調子に乗るなよ。今回はたまたま、上手く行っただけなんだからな」

號 「へいへい、分ーったよ。車さん!また補給頼むわ!まだ戦いは、終わってねーんだしよ」

弁慶「テメェ…!このエネルギーだってタダじゃねぇんだぞ!!」

 

──。

 

莉嘉「これで…!終わりッ!!」

 

トマホークを振るい、巨大蟻の一匹を斬り断つ。

 

莉嘉「よし、増援は…!?」

弁慶「連中の出現は疎らになってる。調達部隊の撤退も完了した。俺達もとっととずらかるぞ」

莉嘉「…ってことは」

弁慶「作戦、終了だ」

莉嘉「やった…!終わったぁ~!!」

かな子「はぁ~…今回は長期戦でしたね~?莉嘉ちゃん、本当にお疲れ様でした」

莉嘉「かな子も頑張ってたじゃん!美波も、サポートありがと☆」

美波「えぇ…」

號 「さ、それじゃあ結果発表と行こうじゃねぇか。なぁ?」

莉嘉「……!」

弁慶「いいのか、莉嘉ちゃん」

莉嘉「いいよ。元より、勝負自体を放棄したつもりはないし」

弁慶「…分かった。それじゃあ、結果を発表するぞ」

莉嘉「……」

號 「……」

弁慶「今回の戦闘、個人の撃墜数、トップは一文字號、183体。城ヶ崎莉嘉は、102体だ」

號 「よっしゃ!」

莉嘉「うぅ……分かってたけど…」

弁慶「だが」

號 「うン?」

弁慶「三村かな子、157体。チームでの合計撃墜数は、アークチームがトップだ」

號 「何だよそりゃ!?そっちの丸いのの撃墜数も入るのか!?」

かな子「丸いの…」

弁慶「当然だ。お前達はシングルで戦ってる訳じゃねぇ。特に、ゲッターカーンの活躍は目覚ましい。巨大昆虫群の撃墜、調達部隊の護衛……双方とも、十分な数値を示している」

かな子「そんな…。たまたま、今回の作戦と相性が良かっただけですよ」

弁慶「それだ。ゲッターカーンと、作戦の性質との相性…。それを戦いながら把握し、個人的な勝負を捨てて判断を下したのは莉嘉だ。かな子の撃墜数を、莉嘉のものと共同とするに足る十分な理由になる」

號 「だがよ、俺は虫けらの中でもデカブツをやっつけてるんだぜ?!」

剴 「それはお前の、自業自得でもある」

弁慶「剴の言う通りだ。アークチームのお陰で、調達部隊への損害は軽微。戦闘の影響で、輸送車輌が幾つか損傷したが、人的被害は0。それは、アークチームの十分な戦果なんじゃねぇか」

號 「んだよ……それじゃぁ、俺の負けってことか!?」

弁慶「いや、勝負は引き分けだ」

莉嘉・號「「引き分けぇ!!?」」

弁慶「あぁ。この結果じゃ、テメェ等も納得しねぇだろ。これで白黒着けたって何にもならねぇ」

剴 「妥当な結果だな。これでは」

美波「そうね。下手に優劣を着けるモノでもないかも」

號 「チッ!しょうがねぇか…」

莉嘉「…勝ちを譲ってあげてもいいよ?」

號 「ンだとぉ…?」

莉嘉「今回は、負けるつもりだった。負けてもいいって思った。だって、それでたくさんの人が守れたんだもん。だからさ…」

號 「ナメんな!ジャリガキに勝ちを譲られるほど、落ちぶれちゃいねぇ!」

莉嘉「ジャリって、そんな言い方…」

號 「…チームワーク、ってかよ」

剴 「そうだ。俺達は今回、その面で完全に彼女らに負けた」

號 「だが、こっちは2号機にもパイロットがいねぇんだぜ?」

剴 「2号機にパイロットがいたとして、お前に合わせられたか?」

號 「……」

剴 「アークチーム…。女だてらにチームを組んでいるのは、伊達じゃない。彼女達から学ぶことは、まだまだ多そうだな──」

 

つづく

 

 




予告

自分達のゲッターを完全なものとするため、日々、合体訓練に明け暮れる號達ゲッターチーム。
そんな中、司令官のリンは、アンドロメダ流国妥当の試金石として、巨大昆虫群の巣への直接攻撃を指示する。
作戦が迫る中、今だ難航しているゲットマシン2号機のパイロット選抜に、號は──。

次回『渓、出撃す』
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