~~~ ??? ~~~
「攻撃はまだか?」
「ゲッターへの総攻撃は!」
「一刻も早く、ゲッターの眷属、地球人類に裁きを!」
裁きを!!
「「「裁きをッ!!!」」」
仕官「孔明様。各部族の戦士達が、総攻撃はまだかと今日も詰め掛けてきております」
孔明「…うむ」
仕官「これ以上の攻撃の先延ばしは、兵達の士気にも関わります。どうかここは、勇気あるご決断を」
孔明「…早乙女研究所への攻撃は、一度失敗しておる。時空を超越して現れし忌み子、ゲッターアークの参戦によってな」
孔明「数多の時間と時空を超越し、この黒平安京に集いし同胞達と言えど、ゲッターアークの力の前にはあまりに無力。無駄に兵力を損耗するだけの戦いは、大女王メルドウサ様もお許しになるまい」
武官「犠牲となる身であるのは、とうに覚悟の上!我々はただ、ゲッターを吊し上げ、一族の無念を晴らすことが出来るのであれば、この命など惜しくはありません!」
仕官「我々の中に死を恐れる者など只1人としておりません!孔明様、どうか…!」
孔明「……むぅ」
晴明「おやおや…。今日は一段と賑やかなことで。血気盛んな者共が、ゲッターの血祭りを始める前祝いの宴でも、催しておられるのかな?」
仕官「せ、晴明様…!」
武官「占い師風情が…!ここは崇高な軍議の場であるぞ!控えぃ!!」
晴明「占い師風情とは、これは手厳しい…。独力では安定させることも出来なかった地球との空間を繋ぎ、人間共を駆逐する争いの拠点として、この黒平安京を貸しているのは、はてさて誰であったか」
武官「ぐっ…!」
仕官「我々への多大極まる厚意には、感謝をしております。故に、我らアトランティス帝国での立場も認め、ある程度の振る舞いにも目を瞑ってきたのではありませんか?」
晴明「機は、今ではありませんよ?」
仕官「何と…っ?!」
晴明「星を読み解きました。この黒平安京の天上には、今死兆星が輝いております。無策の攻勢は、ただ己の醜態を晒すことになるでしょう」
武官「では…!総攻撃は何時…!!」
晴明「さぁ…。そこまではまだ……これより先の事象を見抜くには、より長い時間を要します」
武官「ふんっ、肝心な所で宛てにならん!」
マクドナル「ですが、今後の行動の指標にはなるでしょう。皆様方、焦りは禁物で御座います」
武官「地球人共めが、我々に指図などと…!」
孔明「良い。控えよ」
武官「……」
孔明「晴明よ、其方の助言、しかと聞き入れた。此度の大規模な攻勢は、しばらく見送るとしよう」
晴明「…痛み入ります」
孔明「しかし、我々が攻勢の指示を出さぬことによって、兵達の中には不満を唱える者共も現れよう。我々がゲッターに成す術無く、ただ手をこまねいているだけなのではないか、とな」
晴明「……」
孔明「此度の作戦の遅れは、貴様がゲッターアークを招いた事が一端でもあると言うことを、努々忘れぬようにな…」
晴明「……無論で御座います。故に、次は私自らが出陣しましょう」
仕官・武官「「!?」」
孔明「ほぅ…。大陰陽師・安倍晴明自らが、とな?」
晴明「はい。口先だけで、とは不服に思う者もおりましょう。であれば、私自ら戦場に立ち、証を立てるまで。であれば、仕官の方々も文句はありますまい?」
仕官「…我々は、まぁ」
武官「…ふんっ」
晴明「我が出陣に伴い、血気盛んな各部族の英傑様にも、是非その力をお借りしたく存じます。なるべくの選りすぐりで。さすれば、戦士達にとっても、丁度良いガス抜きとなるでしょう」
孔明「少数精鋭による威力偵察と言うわけか。…行ってくれるか?」
晴明「お命じとあらば、今すぐにでも」
孔明「良い覚悟だ。…他、晴明の言に異を唱える者はおるか?」
仕官「……」
武官「……」
孔明「では、軍議は閉廷とする。晴明には兵を集め、練度を高める期間を設ける。1週間でモノにしてみせぃ!!」
晴明「は…。必ずや、期待に応えて見せましょう」
マクドナル「晴明様、お気を付けて」
晴明「マクドナル。我が不在の間、屋敷の方は任せる。それと──」
マクドナル「──」 ボソボソッ…
孔明「………」
──。
~~~ 早乙女研究所 上空 ~~~
號 「行くぜ!チェーンジゲッター號ッ!!」
空中で3機のゲットマシンが合体。ゲッター1号が完成する。
號 「どうでぇい!バシッと決めってやったぜ!!」
剴 「まだだ!2号機との合体タイムがコンマ2秒遅い。渓、まだ動きに無駄が多いぞ」
渓 「りょ、了解…!」
剴 「1号機の形態は今後の戦闘でも多く合体することになる。やると決めたからには、何時までも及び腰でいて貰っては、困るな」
渓 「あ、あたしは……怖がってなんか…!」
號 「おーおー、いつになく気合いが入っちゃってまぁ…」
剴 「號、茶化すつもりか!?」
號 「いえいえ、指示には従いますよ。リーダーさん」
渓 「こちらも!もう一度お願い!出来るようになるまで、何度でも…!」
剴 「……。よし、もう一度分離だ、號」
── 地上。
弁慶「……」
友紀「おぉ~、やってるやってる~!」
弁慶「友紀か…」
友紀「司令官も莉嘉ちゃん達も基地を空けてるって聞いてたけど、號達は気合入りまくってるねぇ」
弁慶「…ふんっ、あんなもん、まだまだ未熟って証明してるようなもんだ。所詮、ケツの青い奴等が集まったチームってことだ」
友紀「そんなこと言って、ホントは結構期待してる癖に~。で?シブヤ司令官は土地勘もない異世界人を連れ立って何処に?」
弁慶「……秘匿事項だ。話すことは出来ん」
友紀「え~?何それぇ。もう…」
友紀達の上空を、ゲットマシンが過ぎ去る。
友紀「へぇ~、結構様になってるじゃん。あのくらいなら、アタシにだって出来そうだね?」
弁慶「……」
友紀「親父?」
弁慶「各砲座の整備状況はいいのか?友紀」
友紀「そっちは美世達に任せたよ。もう少しで終わるって」
弁慶「…チビ共の面倒は?」
友紀「今はお昼寝の時間だよ。心配しなくても、手の掛かる子達じゃないから」
弁慶「ふっ…。昔のお前らとは大違い、ってか」
友紀「うっ……それは…」
弁慶「昔は酷かったもんだ。毎晩毎晩、夜泣きしてよぉ」
友紀「む、昔の話はいいじゃん…!それよりもどう?號達は」
弁慶「……お前にゃ関係ねぇだろ」
友紀「むぅ…。親父、ゲッターの話になると、一気に無口になるよね?」
弁慶「お前に関係ねぇ話をしても仕方ねぇだろうよ。お前は、出来ることだけやりゃぁいい」
友紀「…それじゃあ、アタシがゲッターに乗って戦えたら、もうちょっとまともに話してくれる?」
弁慶「ゲッターにゃ関わるんじゃねぇ!!」
友紀「!!」 ビクッ
弁慶「……と、すまねぇ。だがな、もういいんだ。これ以上は」
友紀「これ以上…?」
弁慶「ゲッターに人生を滅茶苦茶にされる被害者は、な」
~~~ 日本某所 移動中 ~~~
アキハ「ほ~ぅ…」 ジ-ッ
莉嘉「……」
アキハ「ほうほうほう…。こうして間近で見た限りでも、普通の人間とは遜色無いように見える。…が、感じる……感じるぞ…!貴様の体中から、ゲッターに乗る者のゲッター線の匂いを」
莉嘉「ちょっと臭いみたいな言い方しないでよ。ちゃんとお風呂は入ってるんだから」
アキハ「くっくっくっ…!体の中までは一緒なのかな…?先ずは血中に含まれるゲッター線濃度から見てみるとしよう」 シャキ-ンッ
莉嘉「何でお注射持ってるのー!?」
アキハ「それはようやく、お前達の体を検査できる機会を貰ったからだ」
莉嘉「こ、ここ車内だよ…?」
アキハ「私を信じろ。まだまだ若輩の身であることは自覚しているが、解剖も究明も得意分野だ」
莉嘉「どっちも注射の要素はないよ?!」
アキハ「えぇいうるさいっ!黙って私に採血させろ!」 ガバッ
莉嘉「ねぇー!この晶葉何かキャラ違くない!?」
アキハ「動くな!針が上手く刺さらないだろうが。それとも何かもっと拷問とか薬物投与とか、別の角度からの検証がお望みかな?」
莉嘉「い゛…ぃ!」
アキハ「隙ありだ」
プスッ
莉嘉「ギャーーーーーッ!!!」
リン「…ふふっ」
かな子「この世界の晶葉ちゃんも、色々あったんですよね?リン……シブヤ司令みたいに」
リン「まぁね。特にアキハは、間近で知り合いの死を目の当たりにし過ぎた。だからちょっと、気が触れてるかもしれない。下手に近付くのは、推奨しないね」
かな子「どうしてそんな人を同伴で連れてきたんですか…?」
リン「ま、前々から君達の身体検査を打診されてたのは事実だし、いい機会だったからね」
かな子「いい機会、ですか?」
美波「…そろそろ、教えてくれませんか?司令」
リン「……」
美波「どうして、今回私達を研究所から連れ出したんです?しかも、ゲットマシンの輸送車輌まで用意して」
リン「大した用事じゃないよ。ただ、私の仕事を手伝ってほしかっただけ」
美波「なら、號くん達の方が、良かったんじゃないですか?こっちの世界の事情なら、彼らの方が詳しいですし」
リン「號達じゃ、私情が入っちゃうかもしれないから」
美波「私情…?」
リン「手伝ってほしい仕事って言うのは、ある人物の解放、救出だよ」
かな子「ある人物の…」
美波「解放…?」
リン「そう。実は君達がこの世界に現れる前から、予てより交渉はしてたんだけどね。こっちが下手に出てるのをいいことに、向こうからはあまり色好い返事が貰えていないんだ」
アキハ「だから、痺れを切らして強行手段に出ようと言うわけだ。クールな振りをして、コイツも私と、大概変わりない」
かな子「えっと、解放とか救出とかって言うことは、相手は何処にいるんですか?この車輌は、一体何処に…」
リン「A級刑務所」
かな子「……え?刑務所…?」
リン「そう。その中でも特に歴史に残るような重罪を犯した、A級囚人を収監しておくための牢獄…」
かな子「牢獄…。リンさん、そんな所に、知り合いが?」
リン「……」
かな子「リンさん?」
リン「一応聞いておきたいんだけど、3人は人間相手に戦ったことは?」
美波「人間と…?そんな経験、あるわけありません」
リン「…だよね」
美波「人間相手に、ゲッターで戦わせるつもりですか?」
リン「あくまで、念の為の保険だよ。私達だって、平和的に解決出来るに越したことはない」
かな子「保険…。私達を用意してまで、助け出したい人って、一体…」
リン「きっと、3人も知ってる人だとは思うよ。人となりは別にしてね」
美波「え?」
かな子「一体どんな人なんですか?A級囚人になる程の罪を犯す人なんて、私達に心当たりのある人なんて……見当も付きません」
アキハ「犯した罪、か…。10年前、ゲッター災害の引き金を引いた張本人。つまり、現在の世界の有り様を作った元凶さ」
美波「ゲッター災害を引き起こした…?!」
かな子「って事は、その人もゲッターのパイロット」
リン「勿論。本人も望んで引き起こしたわけではないんだろうが、悲劇を起こした責任は、負わなければならない。だから10年間、投獄されていた」
美波「まさか、司令はその人を、再びゲッターに乗せるつもりで…!」
リン「あぁ。君達の実力を疑う訳じゃない。だが、黒平安京を墜とす為には、ゲッターアークと、號達のゲッターだけではまだ力不足なんだ。我々の手にある新たなゲッターロボ。それを御せる乗り手が必要になる」
美波「新たなゲッターロボ…?そんなものも開発していたんですか?」
美波「うん。號達のゲッターは私達がノウハウを培うための試作機。アトランティス流国に勝つには、準備は万全にしないと。私達の戦いに、敗北は許されないわけだからね」 ギュッ…
言いながら、左の拳を強く握る。
美波「司令…。まさか司令自身も、戦うつもりで…」
莉嘉「でもさ、本当にゲッターに乗れるの?その人。10年も刑務所に居て、しかもゲッター災害を引き起こした張本人なんでしょ?アタシなら、流石にゲッターはもう勘弁、ってなっちゃうかも」
リン「乗るよ、必ず。体の方も、恐らく心配は要らない」
美波「ハッキリ言うんですね?」
リン「戦う理由はあるからね。戦うつもりがないなら、あんな所で10年も生きてやいない」
莉嘉「…?どう言うこと?」
かな子「けど本当に誰なんですかね?私達も知ってる人で、ゲッターに乗ってる…。そしてリンさんが一緒に乗る……まさか!」
リン「そう、刑務所に囚われているのは──」
───。
剴 「……ふぅ」
友紀「お疲れ~。はい、差し入れ」
剴 「有り難う御座います。その……友紀、義姉さん…」
友紀「ん。よろしいっ」
剴 「……」 ゴクゴクッ
友紀「しっかし、別にコックピットの中で派手に運動してるでもないのに、そんな汗だくになるんだねぇ?やっぱ大変なんだ、ゲッターの操縦って」
剴 「……。ゲッターの操縦には、体力に集中力、それに精神力と何より気力が必要不可欠になります」
友紀「気力って…こう、最後は気合で動かす……的な?」
剴 「そうではなく…。どのような状況に追いやられようとも、諦めることなく、己を律する。そのための気力です」
友紀「ふぅ~ん?ま、スポーツの世界でも、最後に物を言うのは気合だしね」
剴 「それで、ゲットマシンの調子はどうなんです?號の奴は相変わらず荒っぽい操縦ですが、飛べない訳じゃないんでしょう?」
友紀「そりゃぁそうだけど……まさか、また実機に訓練するつもりなの?!」
剴 「当然です!早く自分達のチームも、一人前にしなくちゃいけませんから」
友紀「だからって、さっきの訓練から戻ってきてまだ5分も経ってないよ?ちょっとはクールダウンしなって」
剴 「しかし…!」
友紀「今この早乙女研究所を防衛出来る最大戦力は剴達のゲッターロボなんだよ?アンドロメダ流国の戦力がまた何時攻めてくるとも分からない状況で、いざって時ゲッターが動けなかったらどうすんのさ?」
剴 「……」
友紀「司令も莉嘉達もいなくて、肩に力が入るのは分かるよ?けど万一の事は考えなくちゃ。何時もは慎重な剴らしくないよ」
剴 「何時もは、ですか…。能天気な義姉さんに言われてしまったら、返す言葉もない…」
友紀「能天気って…」
剴 「けど、急ぐ理由は司令達が不在だからだけじゃない」
友紀「え?」
剴 「司令は言っていた。この前の巨大コロニーの殲滅作戦…。あれは黒平安京攻略のための試金石だと。つまり、近い内に黒平安京に攻め込むつもりなんだ、司令は」
友紀「それは…!」
剴 「今日ここを離れたのもきっとその為だ。司令は、恐らく……あの人を…」
友紀「あの人…?」
剴 「……兎に角!俺は皆の足手まといになりたくないんだ!シブヤ司令官の足手まといには…!」
友紀「そっか…。でも、焦るのは良くないよ?剴はチームなんだし、皆で足並み揃えなくちゃ、ね?」
剴 「チームワーク、か…。だが…」
友紀「?」
號 「お~い、剴?何時まで休んでんだぁ?」
渓 「早く訓練の続きをしよう?さっきの反省点は、號と復習したからさ!」
剴 「案外、余計な心配かもしれませんよ?」
友紀「ホント、いいチームだ」
剴 「ふふっ…」
友紀「しっかし意外だなぁ~。剴が、そこまで司令の事が大好きだったとは」
剴 「な゛っ…?!」
號 「はっ!ンなもん、今更だろ?」
渓 「ホントホント。昔っから剴は、シブヤ司令にゾッコンだもんね?」
剴 「ち、違う…!司令は、俺の命の恩人で……だから!」
號 「へーへー。分かってっから」
渓 「頑張って強くなろう!司令官殿のためにもね!」
剴 「~~~っ…!」
ウゥゥゥゥゥッ ウゥゥゥゥゥッ
友紀「!?」
渓 「これは…!」
剴 「緊急警報…っ!?」
號 「敵が来るぞぉ~!!」
── 出撃。
剴 「號、まだ研究所全体の避難は完了していない。研究所から離れすぎるなよ」
號 「分ーってるって!さて、渓!実戦は二度目だ。緊張しちゃいねぇだろうな?」
渓 「まぁまぁね。メインを任されない限りは、何とか」
號 「へっ、ヨユーありそうじゃねぇか。…んで、敵は……あン?」
メカザウルス・ギガ『……』
メカ牛剣鬼『……』
メタルビ-スト・バトルギガ-『……』
鉄球鬼獣『……』
號 「ンだよ…。あの足が棘付き鉄球みてぇになった鬼獣だかって化けモン以外は、ゲッターにもデータが残ってる雑魚じゃねぇか。アークに倒され過ぎて在庫がなくなったか?」
『くっくっくっ──。見てくれに惑わされ、彼らから発するものを何も感じぬか。愚かなものよ』
號 「誰だ!?」
叫び声の先、遥か先の上空が歪み、ワームホールのような空間が現れ、それは姿を現す。
剴 「お前は、安倍晴明っ!」
號 「へぇ、幹部の1人のご登場って訳かい?面白いねぇ」
剴 「落ち着け。どうせ何時もの幻影だ。実体はない」
晴明『確かに。孔明が見せるものはそうかも知れぬが、この晴明のは一味違うぞ?』
號 「どういう意味だ!?」
晴明『こう言うことだ。──破っ!!』
晴明が2本の指で添えてピンと立てた呪符。気を込めて晴明が宙に放つと、呪符から雷が放たれ、ゲッター1号を打ち付けた。
3人「「「うわぁあああああッ!!」」」
晴明『ふむ…。ゲッターアークの姿が見えぬな…。莉嘉がいないと言うのは、少々見当が外れたが…』
號 「畜生…ッ!やってくれたじゃねぇか!──ナックルボンバーッ!!」
お返しと言わんばかりにナックルボンバーを放つ。が、
晴明『ふっ…』
ナックルボンバーは晴明の体をすり抜け、そのまま戻ってくる。
號 「何…!?」
剴 「無駄だ!やはり奴には、実体がない…!」
號 「向こうだけ一方的に殴れるってのかよ…?反則じゃねぇか、ンなもん!」
渓 「あんなのと、一体どうやって戦えばいいのよ?!」
晴明『まぁ、余興としては丁度よい。紛い物のゲッターロボ、血祭りに上げるとしよう』
剴 「先ずは目の前の敵からだ!倒せる奴から攻撃するんだ!」
號 「おうッ!!」
晴明『倒せるもの、か。ふふふっ…』
渓 「待って!奴らの様子、何か変だよ!」
晴明『──』
剴 「あれは、呪文か?」
號 「何でもいい!先手必勝だぜ!!」
晴明『数多連なる次元の果てより、我が願い聞き届け集うがいい!我らが仇敵、ゲッターより宇宙を救う為に!来たれぃッ!!』
メカザウルス、百鬼メカ、メタルビースト、鬼獣。四体の身に頭上から紫色の雷が落ちる。
號 「うぉおおおおおッ!!」
メカザウルス・ギガ『──!!』
號 「何…っ!?」
魂の抜けた人形のように立ち尽くしていたギガが、向けられたゲッター1号の拳を掴み取る。
號 「こ、こいつぅ…!抜けねぇ!」
ギガ『!!!』 カッ
ギガの目に、生き物のような火が灯る。
號 「ぐわぁあああ~~~っ!!?」
力任せに腕を振り上げ、ゲッター1号を投げ飛ばす。
渓 「きゃっ!?」
剴 「油断するな、號!データとして知っているだけで、はじめて戦う相手であることには変わりない!」
號 「言われなくたって分ーってるよ、ったく!だが、とんでもねぇパワーだぜ、アイツ。……!?」
メカ牛剣鬼『──!?』
號 「このっ…!」
ギガの攻撃に気を取られている内に、背後に回り込んだメカ牛剣鬼の剣戟を紙一重で躱す。
號 「ブーメランソーサー!!」
剣先が表層を撫でた直後、すかさず反撃に移る。が、
メカ牛剣鬼『!!』
バトルギガ-『!!!』
號 「うぉ…?!!」
メカ牛剣鬼は、ゲッター1号の視界から消え失せるような高速移動で姿を消し、目標を失ったブーメランソーサーが森林を薙ぎ倒す中、続けざまに現れたメタルビースト・バトルギガーの両肩の竜頭が伸び、ゲッター1号を押し倒す。
號 「ぐぅ…!なろぉ…!!」
鉄球鬼獣「…!」
號 「なっ…!コイツ!」
背後からゲッター1号に迫った鉄球鬼獣が、ゲッター1号を捕らえ、羽交い締めにする。
號 「こんにゃろう…!離しやがれっ!」
メカ牛剣鬼『……』
メカザウルス・ギガ『……』
バトルギガ-『……』
渓 「や、ヤバイよ……號…!」
捕らわれたゲッター1号に3体のマシンが迫る。
號 「くっ…!ンぐ…っ!離せ、離せってンだよ、この──!」
拘束から逃れるために暴れまわっていたのを中断。両足を大きく振り上げ、勢いよく下ろす事で遠心力によって足を地に着けそのまま、腰を低く落とす。
號 「離し……やがれぇえええッ!!」
そのまま鉄球鬼獣の腰に乗せ、一本背負いのような要領で、迫る敵目掛けて鉄球鬼獣を投げ飛ばした。
『『『!!?!』』』
投げ飛ばされた鉄球鬼獣と衝突し、豪快に倒れ伏していく。
號 「へっ、見たか!ゲッターのパワーを甘く見るんじゃねぇ!!」
剴 「一度退け、號!体勢を立て直すんだ!」
號 「立て直すっつったって…!」
剴 「分離しろ!それで一度は、大きく距離を取れる筈だ」
號 「……了解!オープンゲット!!」
ゲッターを分離。一度高度を取り、空中へと逃れる。
號 「しっかし可笑しいぜ!こんな言い方したかねぇが、連中、何か強すぎねぇか?」
剴 「確かに。残されているデータと比較しても桁が違いすぎる!」
晴明『さもありなん。それは貴様らが、ゲッターの使徒であるが故に!』
號 「何ぃ?訳分かんねぇ言い回ししてねぇで、ハッキリ言いやがれ!テメェがイカサマしてますってな!」
晴明『くっくっくっ…!貴様らには聞こえぬか?奴等のゲッターに対する、怨嗟の叫びが』
號 「怨嗟の、叫びだぁ?」
メカザウルス・ギガ『──ニクイ…!』
メカ牛剣鬼『──ワガイノチヲウバイシゲッタ-ガ、ワガドウホウヲアヤメシ、ゲッタ-ガ!』
バトルギガ-『──ゲッタ-ハウチュウノテキ…』
鉄球鬼獣『──ユエニイカシテハオケヌ。タオス、カナラズ。コノイノチニカエテモ…!』
『『『──潰すッ!!』』』
渓 「ひっ…!な、何なのよ、あれ…!」
號 「怨嗟の叫びだと、御大層に。只の恨み節じゃねぇか」
晴明「然り!怨嗟、怨讐…。それらがあのマシン共を器として集まり、満ちる事で奴等に力を与えているのだ!」
剴 「何だと!?」
晴明「妖刀、と言うものを知っているか?妖しく、しかし艶かしい輝きを放ち人々を虜にし、手にした者を狂気に駆り立て、生きる者の血を吸い魂を喰らう。その妖刀よ」
剴 「あのマシン達は、妖刀と同じだと言うのか!?」
晴明「然り。そしてその器に、ゲッター打倒に燃える勇士の魂魄を込めることにより、死者の怨念と生者の思念…。2つの念が1つの目的を遂げるため、より力を増幅させる…!」
剴 「何だと…!?」
號 「けっ、陰陽師が理屈を語りやがってよぉ…!」
晴明「さぁ、今宵妖刀は血に飢えておるぞ?忌むべき敵、ゲッターの生き血になァ!!」
號 「悪ィが呪いの人形にくれてやる命なんか1つもないぜ?1匹残らず、叩き潰してやるッ!!もう一度合体するぜ、渓、剴!」
剴 「……いや、ここは俺が行く!」
號 「何だと、正気か?ゲッター3じゃ、さっきみたいな切り返しは出来ない!」
剴 「確かに、運動性能による咄嗟の切り返しと柔軟な対応力では1号機の方が優勢だが、今回は研究所の防衛も兼ねている。あまり柔軟に動きすぎては、敵に研究所が人質に取られてしまう可能性も考えられる」
剴 「研究所を背にして戦うなら、前方への攻撃力に優れたゲッター3だ!」
號 「だからってよぉ…」
言い募る言葉を遮るように、敵の攻撃が始まる。
渓 「きゃあッ!!」
號 「ちっ!」
剴 「話している時間はないぞ!合体だ!!」
號 「分かったよ!フォーメーション!」
剴 「行くぞぉッ!!」
剴 「フルパワーチャージ、セットアップ!チェンジゲッター剴ッ!!」
水平に低空飛行を始めた2号機に1号機が垂直に突き刺さり、更に3号機が続く。
黒いボディに赤いトサカが光る、ゲッター3号が大地に立つ。
剴 「よし、俺達が最終ラインだ。敵を一歩も、俺達の後ろへ行かせるんじゃないぞ!」
號 「心配しなくても、連中は俺達を倒すことに躍起になってやがるって!」
剴 「望む所だ!このゲッター3の火力は…!」
両脇に抱えた火砲が開く。
剴 「伊達ではないぞ!!」
バ オ ッ
剴 「インパクトキャノンッ!!」
両脇の砲筒が吼え、放たれた砲弾が火柱を生み、衝撃波が敵を吹き飛ばす。
剴 「この弾幕……そう易々とは近付けさせん!」
渓 「けど……速いのが来るよ!」
剴 「あの剣持ちか…!」
メカ牛剣鬼『──!!』
剴 「ぐぅ…!」
剣が振り下ろされる直前に、柄を握ったメカ牛剣鬼の腕を抑える。
剴 「こうすれば…!」
左右のキャタピラを前後逆に回転。ゲッター3号を回転させ、その勢いに乗せてメカ牛剣鬼の頭を叩き、地に伏せる。
剴 「小回りだって利く!」
メカ牛剣鬼『……!』
メカ牛剣鬼は立ち上がって跳躍。ゲッター3号から距離を取る為に動く。
剴 「貴様だけは、逃がさん!ハープンミサイル!!」
インパクトキャノンと同じ砲口から、弾装を切り替え発射。ワイヤーと共に放たれたミサイルが、メカ牛剣鬼にワイヤーを巻き付け、捕縛した。
剴 「さぁ、こっちへ来い!」
そのままワイヤーを引き戻し、零距離でメカ牛剣鬼を取り押さえる。
剴 「この距離なら、どんな武装でも、そうそう外しはしないな!」
渓 「まさか、あれをやる気!?」
號 「面白ぇ!やっちまえ、剴!」
剴 「俺達のゲッター最大の攻撃だ…!喰らえ!!」
ゲッター3号の胸の赤い部分が強く光りを放つ。
剴 「ブレスト…!ビィィームッ!!」
ズ ワ ォ ッ
ゲッター3号の胸部から放たれた超高熱戦が、メカ牛剣鬼の上体を焼いて一瞬で蒸発させる。それでも尚余力を残しているブレストビームの熱戦は空間を一直線に突き抜け、周囲の木々を薙ぎ払い山の岩肌に当たって盛大な爆発を生んだ。
剴 「見たか、ゲッター3の力を!」
號 「ま~だ1機倒しただけじゃねぇか。奴等、次から次に来るぜ」
剴 「…直に戦隊長も出撃する筈だ。取り敢えずは、これで持ち堪えてみせる!」
~~~ A級刑務所 応接室 ~~~
所長「ですからね?今日わざわざ直接お越しになっても、私共の答えは変わりませんよ」
リン「…やはり、解放してはくれませんか」
所長「えぇ。彼女は正式な裁判により判決が下ったA級囚人。それを簡単に釈放したとなれば、我々の沽券にだって関わってくる」
リン「タダで、と言ってるんじゃないよ?今日は電話越しじゃないからね。納得してもらえるよう、しっかりと現物も持ってきた」
テーブルの上に、アタッシュケースを置き、その中にぎっしりと詰まった金塊を見せつける。
リン「政府がまともに機能しなくなって使えなくなった日本銀行券じゃない。どの国でも、どの都市でも使える一級のモノだよ」
所長「……」
リン「決して、安い額で話してる訳じゃないと思うけど?」
所長「…正直に言えば、ですね?」
リン「……」
所長「彼女をここから追い出したいのは、我々も一緒なんですよ」
リン「何…?」
所長「彼女ほど狂暴な囚人を、私はかつて見たことがない。獰猛で協調性に欠け、いつ爆発するかも分からない。危険な爆発物のようなものだ」
リン「……」
所長「奴1人の為にこの10年間でここに投獄されている囚人が5人、看守が2人殺られているんだ。まるで、猛獣でも飼っているような気分だよ」
リン「…そう」
所長「あんな厄介者、とっとと刑務所から追い出して、何処で野垂れ死のうとも関係ないんですがね。しかし……我々の言いたいことは分かるでしょう?」
リン「…と、言うと?」
所長「彼女がこの刑務所で出した損害は決して少なくはない。その上、囚人共の方はどうでも良いが、彼女は罪のない看守2名の命も奪った。その内の1人は、子供が近く小学校に入るのだとか」
リン「つまり?」
所長「損失と賠償を、支払って頂きたいのですよ。本来なら彼女の血縁者に請求するところですが、残念ながら彼女には身寄りがない。ならば、彼女の身柄を欲する貴女方に請求させて頂くのが、妥当な落とし所だと…」
リン「……」
所長「刑務所の修繕費、看守2名とその家族に対する損害賠償の額を計算させて頂きますと…。こんな端金で解放してしまっては、我々が損害を被っただけになってしまうと、そう言うことです」 ニヤリ…
リン「……成る程」
所長「分かって頂けましたかな?」
リン「あぁ、よく分かったよ……端から私達と話し合う気なんてなかったってね」
所長「は?」
リン「!!」 ゴッ
惚けた面を晒す所長の顔面に、左のストレートが突き刺さる。
所長「ガッ…!」
腰を掛けていたソファーごと後方に倒れ込む。
所長「あ……ガァ…!え、衛兵…!衛兵~~~っ!!」
ガチャッ
リン「ッ!」
間髪入れずに懐から取り出した拳銃を構え、入ってきた2人の衛兵に発砲。放たれた弾丸は的確に衛兵の膝を射抜き、衛兵を屈服させる。
リン「……」
所長「ひ、ひぃ…っ!」 ソロォ~…
リン「…!」 パキュンッ
所長「ぎゃぁあああああ~~~っ!!?」
リン「先ずは耳。次は目か……鼻か!どっちに弾丸をぶちこまれたい!?」
所長「ひぃい~っ!!お助け…!!」
リン「なら教えな。そいつの監房はどこ!?番号は!」
所長「さ、3階ですぅ!番号は、E-3751!」
リン「…分かった」
応接室を後にしつつ、机の上のアタッシュケースを回収するのも忘れない。
リン「端金でも受け取っておけば、少しはいい思いも出来たかもしれないのにね」
タッタッタッ──
── 刑務所内
リン「はっ……はっ……はっ……はっ…!」
リン「Eの……3748、49…50……ここ!」
そして、”彼女”の元に辿り着く。
リン「”ウヅキ”!!」
ウヅキ「……リン、ちゃん…?」
リン「…久しぶりだね」
ウヅキ「本当に……10年ぶり、位ですか?」
リン「うん…それくらいになる」
ウヅキ「目を、覚ましていたんですね」
リン「うん。ウヅキがこうやって、ブタ箱に閉じ込められてる間に、ね」
ウヅキ「…そうですか。それで、ここまで」
リン「扉を開けるよ。ちょっと下がって…」
ウヅキ「行きません」
リン「……」
ウヅキ「リンちゃんが目を覚ましたのが何時か分かりませんけど、この10年間、面会にも来なかったリンちゃんが、今ここに来た理由はなんです?」
リン「……」
ウヅキ「また私を乗せるつもりなんですよね?ゲッターに」
リン「…言い訳をするつもりはないよ」
ウヅキ「10年前、何があったか……忘れた訳じゃありませんよね?私の、たった一度の愚かな行為の為に、何万……いえ、何億と言う人が犠牲になったんです。私のだけじゃない、リンちゃんの家族も」
リン「……」
ウヅキ「あの悲劇を繰り返すわけには行きません。だから、私はずっとここにいた方が…」
リン「そう思うなら、何で今生きてるの?」
ウヅキ「……それは」
リン「生きて罪を償うため?まぁ、ウヅキは真面目だから、そのくらいは思えるかもね。私が知ってる10年前の”綺麗な体の”ウヅキなら」
ウヅキ「……!」
リン「今のウヅキのその体…。もう一度アイドル活動が出来るような、綺麗な体?」
ウヅキ「…所長が言ったんですか?」
リン「いいや。けど分かるよ。あの所長を見て。この刑務所はそれくらい、倫理観も欠如してる、最低の畜生道だって事くらいはね」
ウヅキ「……」
リン「その為に、看守と囚人を合わせて7人も殺ったんだよね?」
ウヅキ「…綺麗な体、ではないかもしれないですけど。だからって安い体でもないですから」
リン「弱味を笠に凌辱されて、人間としての尊厳まで奪われて…。それでも10年間、人間相手に手を汚してまで生き続けた理由は何?」
ウヅキ「それは…」
リン「真ゲッターロボを破壊するため、でしょ?」
ウヅキ「真ゲッターロボ…!」
リン「目に光が戻ったね」
ウヅキ「…!……真ゲッターは、リンちゃん達の所にあるんですよね?」
リン「残念ながら」
ウヅキ「え…?」
リン「真ゲッターは奪われたんだよ。今の私達を脅かしている敵にね」
ウヅキ「奪われた…?」
リン「あの事件以来、真ゲッターに触りたがるものはいなかった。その隙を突かれた。真ゲッターロボの絶大な力……それを欲する者にね」
ウヅキ「真ゲッターを、欲する者…!」
リン「10年前…。確かに私達は子供だったよ。ちょっと力を使えるくらいで調子に乗って、自分に出来ることの領分を弁えてなかった」
リン「だからあの悲劇は起きたし、今の私達があるのも、自業自得だ。…けど」
ウヅキ「……」
リン「真ゲッターがなければ、あんな悲劇は起こらなかった。今ウヅキは、そんな事を考えてる。逆恨みに近い、怨讐を」
ウヅキ「…悪いですか?」
リン「悪くないさ。お陰で、ウヅキは今日まで生きていてくれた。刑務所の中で地獄を見せられても、ね」
ウヅキ「……」
リン「真ゲッターを破壊するんだったら、それは同じゲッターでしか成し得ない。私はその場にいなかったけど、ウヅキならその意味が分かる筈だ」
ウヅキ「…ミオちゃん」
リン「ミオの事は、本当に残念だったよ」
ウヅキ「思いの外、冷たいんですね」
リン「どうにも、私情だけで動けない立場にいるとね」
リン「ともかく、今の私達の敵の手に真ゲッターがあれば、10年前以上の悲劇が起こるかもしれない。真ゲッターを破壊するって言うウヅキの思いと私達の務め……目指す場所は一緒だと思うけど?」
ウヅキ「…いいんですか?」
リン「ん?」
ウヅキ「本当にいいんですかって、聞いたんです」
リン「どういう意味?」
ウヅキ「後悔するかもしれませんよ?少なくとも、人類の未来とか希望とか、そう言うの、今の私に関係ないですから」
ウヅキ「本当に、私は私の目的を果たす。ただその為なら…!」 ギラ…
リン「ふふっ…。いいんじゃない?それでこそ、ここまで来た価値があると言うものだ」
ウヅキ「変わりましたね、リンちゃん」
リン「お互い様。ま、変わらない方が可笑しいか」
ウヅキ「そうかもしれませんね」
リン「下がって。今扉を開ける」
銃弾を監房の鍵の所に撃ち込み、施錠を強引に破壊。ドアを開ける。
リン「さぁ」
ウヅキ「意外に強引、ですね」
所長「あそこだ!撃て、殺せぇ~~~ッ!!」
リン「!」
ウヅキ「所長っ!?」
所長「脱走だ!それに共謀者も!殺せ、殺せ、殺せ~!!」
衛兵’s「はっ!!」
バララララララララッ
リン「立ち直りが意外に早かったな…」
ウヅキ「どうしますか?」
リン「こっち!」
ウヅキ「はい!」
機銃を構えて追い掛けてくる衛兵達に背を向け、走り出す。向かった先は、
ウヅキ「屋上、ですか?」
リン「あぁ。ウヅキの部屋が、屋上の近くで良かった!」
屋上に続く階段を一気に駆け上がり、外へ。
リン「はぁ…はぁ…はぁ……」
ウヅキ「はぁ……はぁ……はぁ……」
飛び出した屋上。刑務所は断崖絶壁の上にそびえ立っており、リン達の視線の先には大海原が広がっている。
所長「くっくっくっ…!追いかけっこは終わりか?ネズミ共が…!」
リン「さぁ?私達は、羽根の生えた天使かもよ?」
所長「ほざけッ!!世界を破壊した悪魔共が!私がここで、天誅を下してやるわ」
衛兵’s「「「……」」」 ジャキッ
所長の左右に展開した衛兵の機銃の銃口が、リン達を狙う。
ウヅキ「っ…!」
リン「天誅、ね…」
所長「撃てッ!!」
リン「アンタらに下される覚えは、ないッ!!」
ズガンッ
所長「な、何だぁ…!?」
リン達に向けて銃弾が放たれようとした、まさにその時、リンと所長との間にあった空間を何かが隔てる。
ウヅキ「これは…!」
それは、赤く巨大な手。いや、
ウヅキ「真ゲッターロボ…!?」
リン「うぅん。よく似てるけど、違う。ゲッターロボアーク。私達の、新しい仲間さ」
ウヅキ「ゲッターロボ……アーク…」
莉嘉「ど~ぉ?タイミング、バッチリだったでしょ?」
ウヅキ「!? この声って…」
リン「間一髪。赤点ギリギリって所。もっと早く来られなかったの?」
莉嘉「厳しいこと言うなぁ」
リン「周辺の護衛部隊の掃討は?」
莉嘉「とっくに終わってる!たかだかビィトだもん!相手にもならないって☆」
リン「ふぅん。ま、そこは上出来かな」
莉嘉「えへへ☆」
美波「話はそのくらいにして、早く乗り込んで下さい!長居は無用の筈です!」
リン「それもそうだ。ウヅキ、行くよ!」
ウヅキ「あ……はい!」
リン「まさか、パイロットスーツがなくちゃ乗れない、何て言わないよね?」
ウヅキ「心配は要りません!」
所長「あ……あ!う、撃て!脱走犯を逃がすな!!」
衛兵「は……はっ!!」
気を取り直した所長が、発砲の指示を出すが、放たれた弾丸は悉くゲッターアークの手によって阻まれ、その間に2人は胸部のハッチから、ゲッターアークのコックピットに滑り込む。
莉嘉「ちょ…!何で2人揃ってこっちのコックピットに!?」
リン「こっちが近かったんだ。いいから上昇!」
莉嘉「う~…。しっかり掴まっててよね!」
ウィングを開き、ゲッターアークは急上昇。瞬く間に刑務所から遠ざかっていく。
ウヅキ「最後まで何か喚いてましたね…」
リン「逃げ切れればこっちのもんだ」
莉嘉「何か小物っぽい感じの人だったね。アイツなら、ビーム一発くらい撃っても良かったかも…」
美波「ダ~メ。事故でも暴発でも、殺人は立派な犯罪だよ?」
莉嘉「じょ、冗談だって…」
ウヅキ「やっぱりリカちゃん…。ミナミちゃんに、カナコちゃんまで…」
美波「……」
かな子(この人が、この世界の卯月ちゃん…)
美波(年齢は司令の事も考えると27歳くらい…。昔の面影は、あんまり感じられないよね)
アキハ『ウヅキの救出には、成功したようだな』
リン「うん。思いの外順調だったよ」
アキハ『そうか。で、新調した義手の調子はどうだった?』
リン「悪くないよ。元の腕とそう変わらない。これなら、私にもやれる…!」
アキハ『それは良かった』
リン「もう少し待ってて。今そっちに合流して…」
アキハ『いや、その必要はない。たった今研究所から連絡があった。研究所が今、アトランティス流国の襲撃を受けているらしい』
莉嘉・美波・かな子「「「!?」」」
ウヅキ「アトランティス、流国…?」
リン「詳しい話は後でするよ。それでアキハ、私達はこのまま研究所に戻ればいいんだね?」
アキハ『あぁ。車で戻るよりも、そっちの方が早いだろう?』
リン「分かった。莉嘉、聞いた通りだ。研究所に急行してくれ」
莉嘉「え?でも2人は降ろしていった方がいいんじゃ…」
リン「構わない。降ろす時間が惜しい、何より都合がいいだろう」
かな子「リンさん、まさか…」
リン「そう言うこと。アキハ、車さんにも私達が来るまでに準備を整えておくように伝えておいて」
アキハ「了解した。無茶をするな、は……必要ないか」
リン「善処はするよ。…と、ウヅキ、早速なんだけど」
ウヅキ「戦うんですよね」
リン「そうだ。人類の平和を妨げる敵が、また現れた。奴等を倒すために、力を貸してほしい」
ウヅキ「いいですよ。助けてもらいましたし。何より、リンちゃん達の仲間の危機なんですよね?」
リン「…うん」
ウヅキ「なら、早く行きましょう。ここで立ち話してる時間も、勿体無いですよ!」
莉嘉「んもう、2人で勝手に決めちゃって!アークの最高速度はパイロットスーツ着ててもヤバいんだから、鼻血で失血死しても知らないんだからね!」
言いながら、ゲッターアークは研究所を目指し、加速していく。
かな子(何だろう…。この世界の卯月ちゃん……言葉遣いとか、物腰とかは私が知ってる卯月ちゃんとそう変わらない筈なのに……違う。決定的な、何かが…)
つづく
予告
晴明が操る過去からの刺客に、窮地に陥るゲッターロボ號と早乙女研究所。
ゲッターアークを飛び出し、戦場へと帰還を果たしたシマムラ・ウヅキ。10年の燻りから再び燃え盛ろうとする彼女は、過去からの刺客に何を思うのか?
そしてウヅキを迎えるものは、未来を指し示す赤いマシン──。
次回、『新たなる竜』