ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第19話『新たなる竜』

剴 「ぐぅおッ…!?」

 

衝撃が伝わり、コックピットが小刻みに揺れる。

 

號 「やられっぱなしじゃねぇか、剴!」

剴 「ゲッター3の機動力は、地上では大きく落ちる。回避には期待するな!」

號 「ご自慢のタフさで勝負しようってのか。大した度胸だ!」

渓 「呑気抜かしてるのはいいけどさぁ、このまま攻撃を受け続けたら、流石にヤバいよ!」

剴 「もう1機落とせれば、戦況は大分有利に成る筈だ!」

 

意気を入れてインパクトキャノンを放つが、射線を読んだ相手は素早く移動し、砲撃を回避。

 

剴 「くっ…!」

號 「大砲はダメだ。先ずは動きを止めねぇと!」

剴 「ならば……ぐぅっ!?」

 

遠距離から鉄球鬼獣の棘ミサイルがゲッター3号の周囲に落ち、新たな衝撃を生む。

 

晴明『くくくっ…』

號 「畜っ生…!あんにゃろ、高みの見物でほくそ笑みやがって…!」

剴 「さっきみたいに術を使われないだけマシだ。今は襲ってくる相手に集中しろ!」

メカザウルス・ギガ『!!』

剴 「ぐっ…!」

 

肉薄し、ギガが大上段から振り下ろしたトマホークを、両腕を交差させて受け止める。

 

剴 「うぐぐぐ…っ!」

渓 「剴、左!」

剴 「何…!?」

バトルギガ-『!!』

 

ギガの攻撃を受け止め、ゲッター3号が足を止める中、その真横からバトルギガーが迫る。

 

剴 「しまった…!」

 

バ ォ ッ

 

渓 「………?」

 

迫っていたバトルギガーが、砲撃を受けて吹き飛んでいる。

 

渓 「今のは…」

剴 「研究所からの支援攻撃だ!」

號 「今頃かよ。遅すぎるぜ!」

弁慶『すまねぇ。援護が遅くなっちまった!』

剴 「戦隊長!レディコマンドは!?」

弁慶『ちょっと所要があってな。レディコマンドで支援には行けねぇ!エネルギーが危なくなったら心配しねぇで後退しろ!』

剴 「しかし…!それでは基地の防衛が…!」

弁慶『今遠出してる司令達に連絡を入れたところだ。直にゲッターアークも帰ってくる!ここで無茶して、下手に被害を増やすんじゃねぇ!』

剴 「……了解!出来る限り時間は稼ぎます!──渓!」

渓 「は……な、何?」

剴 「バルカンだ!2号機のバルカンを撃て!」

渓 「バルカン…。了解!」

 

ゲットマシン2号機の機首バルカンが放たれ、正面に立ったギガに痛撃を与える。

 

ギガ『グゥゥ…!』

剴 「今だ!」

 

バルカンでギガが怯んだ隙を突いてガードを解き、左右のパンチを放ってギガを殴り飛ばした。

 

──。

 

弁慶「…よし。その調子だ、剴。もうちょっとだけ、持ち堪えてくれよ」

友紀「親父ぃ!!」

弁慶「友紀…?テメェ、持ち場を離れて何してやがる!?」

友紀「親父の方こそ!このままだと、號達やられちゃうよ?!」

弁慶「心配しなくても、そう簡単にくたばるようなタマじゃねぇよ。あいつ等は」

友紀「けど…!」

弁慶「それに、今からアレを動かす。友紀は余計な心配何ざしねぇで、とっとと持ち場に戻れ」

友紀「アレ、って……!でもアレは確か、まだパイロットがいないって…!」

弁慶「そのパイロットを出迎えに、司令は朝から出掛けていったんだ。何時でも出撃出来る様、これから準備に入る」

友紀「準備って、まさか親父が乗るつもりじゃないよね?…ゲッターに!」

弁慶「ったりめぇだろうが。3人乗らなきゃ、ゲッターは力を発揮出来ねぇ。これから司令が連れてくる奴と、司令と。それ以外にここでゲッターに乗れるのは、俺だけだからな」

友紀「止めてよ!レディコマンドとは訳が違うんだよ?親父の体は…!」

弁慶「余計な心配はすんなと、言った筈だぜ?」

友紀「……!」

弁慶「我が子も同然の若造に心配されるほど、落ちぶれたつもりはねぇや。この体の事なら尚更…」

友紀「……nる」

弁慶「あ?」

友紀「アタシが乗るって、言ったんだ!」 ダッ

弁慶「何…!?こら……友紀!待ちやがれッ!!」

 

言うが早いか、管制室を飛び出していく。

 

美世「はぁ…はぁ…はぁ…!もう~、友~紀~…!」

茄子「友紀ちゃ~ん、待って下さ~い…!」

 

弁慶「はぁ…はぁ…っ!んにゃろう…!足だけは現役の頃の俺より速くなりやがってぇ…!」

 

美世「隊長…!?友紀、隊長のところに言った筈じゃあ…」

弁慶「おぉ、美世、茄子。丁度良い、急いで格納庫まで行って友紀を捕まえてきてくれるか?」

茄子「格納庫?何かあったんですか?」

弁慶「友紀の奴、ゲッターに乗るなんぞ言い出しやがった…!」

美世「はぁ!?」

弁慶「あのバカにマシンを好き勝手させるわけにゃぁいかねぇ!だから早く、奴を取っ捕まえねぇと…!」

茄子「分かりました!行きましょう、美世ちゃん」

美世「わ、分かったけど、格納庫まで結構距離あるよぅな…」

茄子「とにかく急ぎましょう?大変なことになる前に!」

美世「んもぅ!こんなことなら、室内を走れる車でも作っておくんだったぁ~!!」

 

ダァッ──

 

── 格納庫。

 

友紀「はぁ…はぁ…はぁ……。これが、新ゲットマシン!」

 

発進準備を済ませ、カタパルトに乗せられた3機のマシンが目に移る。

 

友紀「本当に開発してたんだ。ゲッター線で動く、正真正銘のゲッターロボ!」

 

茄子「友紀ちゃ~ん──!」

 

友紀「げっ!茄子~?親父の差し金だな……ったく!」

 

パイロットスーツも纏わず。急いだ調子で手前の赤い1号機のコックピットに滑り込む。

 

茄子「友紀ちゃん!」

美世「ぜぇ…!はぁ……ぜぇ……はぁ……っ!」

茄子「可笑しな考えは止めてください!友紀ちゃん!!」

美世「ぜぇ……ゲッターに…乗る……とか、はぁ……車と、違うんだから…っ!止めときなって……ぜぇ…!」 ゼ-ハ-

友紀「何を言っても遅い遅い!乗っちゃえばこっちのもんだもんねぇ!!」

 

起動スイッチをオン。新イーグル号のエンジンに火を入れる。

 

友紀「ずっとシミュレーションはしてきたんだ…!(みんなに黙ってだけど…)ゲットマシンくらい!」

弁慶「友紀ィっ!!」

友紀「発進!!」

 

ゴ ォ ッ

 

友紀「──!!」

 

エンジンの回転が上がり、カタパルトの上を走り出す。

 

弁慶「くそ…っ!発進口を閉じろ!!」

友紀「新型をいきなり壊す気!?冗談でしょ!」

 

目の前で降りてきた発進口の隔壁を、ミサイルで破壊。

 

友紀「うぅ…!」

 

速度は高まり、新イーグル号は空へ。

 

友紀「ヒャッホーーーッ!!」

 

茄子「あ~…」

美世「行っちゃった…」

 

友紀「くぅ~…!やっぱシミュレータとは違うや!体が押し潰されるかと思った!さてと…」

 

空中で旋回して速度を慣らしつつ、目標を探す。

 

鉄球鬼獣『──!!』

剴 「ぬぅ…!!」

 

大鎌を振るう鉄球鬼獣と、ゲッター3の拮抗。しかし、飛来したミサイルが鉄球鬼獣に直撃し、その巨体が大きく仰け反る。

 

剴 「…!?何だ!」

友紀「今の内!早く攻撃して!」

號 「その声…!友紀義姉ちゃん!?」

剴 「うぉおおおッ!!」

晴明『……ほぅ』

 

ゲッター3号の下部先端に取り付いたドリルが唸り、怯んだ鉄球鬼獣を弾き飛ばす。その上空を、新イーグル号が飛んでいく。

 

渓 「あれは……開発中だったゲットマシン!?」

號 「何だと!?」

剴 「開発していると言う噂は聞いていたが……本当だったとはな」

友紀「へへっ、じゃーん!颯爽登場~!ど~ぅ?ちょっとは助かったでしょ?」

號 「しっかし、まさか友紀義姉ちゃんが乗ってるとはな……二重で驚かされたぜ」

友紀「このくらいなら余裕、ヨユー♪」

號 「足を引っ張りに来たんじゃねぇだろうな?」

友紀「なっ…!アタシの腕を疑ってるな~!それなら!」

 

機首を反転。ギガに照準を合わせる。

 

友紀「よ~く狙って……そこだ!」

 

機首からビーム砲を発射。確かな爆炎を生む。

 

ギガ『!!!』

 

ギガの反撃のミサイルを、新イーグル号をロールさせて躱す。

 

號 「おぉ!」

友紀「へっへ~ん♪どう?アタシの超ファインプレー!」

渓 「アタシよりも操縦上手いんじゃないの?」

剴 「だがあぁして調子に乗っていると、すぐに落とされるんだぞ」

友紀「あっはははっ!そんな都合良くならないならな……とぉっ!?」

 

新イーグル号の背後から、鉄球鬼獣の無数の棘ミサイルが迫る。

 

友紀「そ、それは……流石に卑怯なんじゃない?」

號 「奴らに卑怯もらっきょうもうあるかよ?」

友紀「ちょっとはアタシの肩を持ってよ~?!」

 

新イーグル号に、ミサイルが命中する。

 

友紀「きゃあ~っ!!」

晴明『ふん…。若すぎたのだ。己の未熟さを悔いて、死ね!!』

友紀「くぅ…!」

 

木々を薙ぎ倒して墜落した、新イーグル号に鉄球鬼獣が迫る。

 

號 「やべぇ!助けねぇと…!」

剴 「ダメだ、ゲッター3の機動力では…!」

鉄球鬼獣『──!!』

 

ズォンッ

 

鉄球鬼獣『?!?!』

渓 「あれは…!」

 

新イーグル号に振り下ろされようとした、鉄球鬼獣の大鎌を弾いたものは、

 

剴 「ゲッターアークの、トマホーク!!」

莉嘉「呼ばれて飛び出て、いざ参上!!」

渓 「ゲッターアーク!莉嘉…!!」

莉嘉「お待たせ☆へへ~ん、ちょっとは待ちかねてたでしょ~?」

號 「今回ばかりは、な。おチビちゃん」

リン「新イーグル号は、もう出撃してるみたいだね」

かな子「出撃と言うか…。墜落してるみたいですけど?」

ウヅキ「使えなくなった訳じゃないんですよね?それなら…」

リン「行くの?」

ウヅキ「…はい」

美波「ちょっと待って!まだゲッターは宙空ですよ?まさか、飛び移るつもりじゃ…」

ウヅキ「それが、今一番最適なやり方です」

リン「寧ろ、出撃していてくれて、手間が省けたって感じだ」

美波「この人達、本気で言ってるの…?!」

莉嘉「ちょっとでも高度を落とすよ。接触するのは一瞬だ。その隙に飛び降りて」

リン「有り難う。助かる」

莉嘉「……!」

 

ゲッターアークを地表スレスレまで降下。滑空し、墜落した新イーグル号に迫る。

 

ウヅキ「……今!」

 

タイミングを見計らって、降下。新イーグル号のコックピット付近にしがみつく。

 

ウヅキ「っ…!」

 

キャノピーの凹みに手を掛け、維持し、開閉装置の位置まで移動。

 

ウヅキ「これが、新ゲットマシン……新しいゲッターロボ…!」

 

ロックを解除し、ハッチを解放。

 

友紀「……」

ウヅキ「…生きてますか?……生きてますね。降ろしますよ」

友紀「っ…ん。ん……!アンタは…!」

ウヅキ「マシンは貰います。研究所までは、1人で帰れますね?」

友紀「アンタ……アンタはァ…!」

ウヅキ「恨み言は、戦いが終わってから聞きます!」

 

ドンッ

 

友紀「あ…!」

 

友紀を蹴落とし、ハッチを閉じる。

 

ウヅキ「新ゲットマシンのコックピット…。私が知ってるのと、ちょっと違うけど……いける…!」

 

墜落した場所から、新イーグル号が飛び立つ。

 

友紀「わぁっ!」

 

ビュンッ

 

友紀「くっ…!司令も親父もはじめから…!アイツを乗せるつもりで…!あのマシンを…!!」

莉嘉「赤いのが出たよ!1号機じゃない?」

リン「そうだ。イーグルは無事…。ジャガー号と、ベアー号は?」

弁慶「今出撃した!」

 

上空に2筋の飛行機雲を生んで、2機のマシンが来る。

 

リン「新ジャガー号…!」

弁慶「2号機は今、俺が無線で誘導してる…!乗り込むんなら、任せるぜ!」

莉嘉「まさかとは思うけど、あれにも飛び乗るつもりじゃ…」

リン「当然!」

莉嘉「あぁもう!どうにでもなれ!!」

 

グンッ

 

ゲッターアークが上昇して、新ジャガー号に高度と位置を合わせる。

 

メカザウルス・ギガ『!!』

バトルギガ-『!!』

剴 「ハープーンミサイル!!」

 

ゲッターアークを追うギガとバトルギガーを、ゲッター3号のワイヤー付きミサイルが捕縛。

 

剴 「俺達を忘れて貰っては困るな!」

鉄球鬼獣『!!』

ウヅキ「させません!」

 

上空から迫る鉄球鬼獣には、新イーグル号が応ずる。

 

リン「よし…!」

莉嘉「今だよ、行っちゃえ!!」

 

その隙にアークのコックピットから飛び出して、アークの掌に移ったリンが、新ジャガー号目掛けて宙に飛び出す。

 

リン「~~~っ!……よし!」

 

多少風と衝撃に煽られながらも、コックピットの縁をしっかりと掴んで体を持ち上げ、内部へと滑り込んでいく。。

 

リン「自動操縦解除…。こっちは行けるよ」

弁慶「行けるのかい、司令?」

リン「義手の調子は良いよ。合わせられる。ウヅキ!」

ウヅキ「はい!」

 

新イーグル号が天高く舞い上がり、それに新ジャガー、新ベアーが追随する。

 

弁慶「──行くぜ!」

 

新ベアー号が新ジャガーとドッキング。

 

リン「ウヅキ、行くよ!!」

ウヅキ「…はい!」

 

新ジャガー号が新イーグル号とドッキングし、そして、

 

ウヅキ「チェーーンジゲッタァァー!!1ッ!!」

 

新ベアー号から足が延び、新ジャガー号から腕が。新イーグル号の機首が頭部へと変形してその目が光り、完成する──。

 

弁慶「…っうぐ……」

リン「成ったね、新ゲッターロボ…!」

ウヅキ「シン・ゲッターロボ!?」

リン「そ。ちょっとは洒落た、ネーミングでしょ?」

ウヅキ「……洒落の効いた、皮肉だと思いますよ」

晴明『これは……新たなる竜、ゲッターロボか!』

 

ウヅキ「…!あれは…!」

晴明『お初に御目にかかります、シマムラ・ウヅキ?貴女の事も、お待ちしておりましたよ?』

ウヅキ「……嫌みに感じるくらいの姿勢の低さ、気に入りませんね」

晴明『これはこれは…。礼儀礼節は、心得ているつもりでしたが…』

ウヅキ「貴方が誰であろうと関係ありません。そこの雑魚共を従えてるってことは、結局は私達の敵なんでしょう?なら、ただぶっ潰すだけです」

晴明『地獄に生きて強かになられたようで。では、私のささやかな歓迎、受けていただきましょう!』

ギガ『──!!!』

 

晴明の檄に合わせて、ギガが動く。

 

ギガ『!!!』

ウヅキ「……」

ギガ「!?!!」

 

ギガの大振りな上段からのトマホークの連打を、流れに身を任せる様な自然な動きで左右に翻して躱していく。

 

リン「弁慶さん!まさか気を失ってないよね?」

弁慶「っ…バカ野郎…!ちょっと古傷が疼いただけだ!俺に心配は要らねぇから、思いきりやりな!!」

リン「だってよ、ウヅキ!」

ウヅキ「元よりそのつもりです!リンちゃんこそ、振り回されて気絶しないで下さいね!」

リン「言ってくれるじゃん!」

ウヅキ「ゲッタァァートマホーーークッ!!」

 

新ゲッター1の肩から鉄球が射出。その鉄球を先端に置いて長大な柄が伸び、片側に刃が付いたトマホークを手に取る。

 

ウヅキ「やぁああッ!!」

 

横一閃。ギガが両手に携えたトマホークを払い飛ばす。

 

ギガ『!!』

ウヅキ「おっと!」

 

ギガが口から放った火炎を大きく飛び退いて躱し、空中で体勢を立て直す。

 

ウヅキ「──っ…りゃぁッ!!」

 

そして豪快に、ギガに飛び蹴りを浴びせる。

 

バトルギガ-『!!』

ウヅキ「──!」

莉嘉「バトルショットカッター!!」

 

着地した新ゲッター1を狙って、横撃を仕掛けたバトルギガー。その両肩から伸びる竜頭を、間に入ったゲッターアークがバトルショットカッターの刃をその首筋に突き立て、動きを制している。

 

莉嘉「リカ達の事も忘れて貰っちゃ困るよ!」

ウヅキ「アテにはします。借りにはしませんけど」

莉嘉「な~んかアタシが知ってるウヅキと全然違う。でもまぁ…!」

 

バトルショットカッターを肥大化させ、そのまま竜頭を切断。

 

莉嘉「そっちの方が、接しやすいけど☆」

 

バトルギガーのすぐ脇を駆け抜けると同時に、全身を切断。バトルギガーを細切れにして、地に還した。

 

ウヅキ「…なかなかやるみたいですね」

リン「頼りにはなるよ。こっちも、ブランクだなんて言ってられない」

ウヅキ「みたいですね。なら…!」

 

ギガのミサイル攻撃を、新ゲッター1を上昇させて回避。そのまま一度天高く舞い上がり、

 

ウヅキ「やぁあああああ~~~ッ!!」

 

ギガの頭上に急降下。その勢いの乗せたまま、トマホークで大上段に切り裂いた。

 

ギガ『……』

 

脳天から真っ二つに割れ、爆散するギガ。

 

鉄球鬼獣『──!』

ウヅキ「トマホォォーゥク!ブーーメランッ!!」

 

次に鉄球鬼獣に狙いを定め、トマホークを放る。

 

ガギンッ

 

ウヅキ「……?」

 

新ゲッター1のトマホークと、何かが鉄球鬼獣を介して交差し、新ゲッター1の手元に帰ってきたのは、本来のモノとは違う双頭の斧。

 

ウヅキ「これは…」

莉嘉「へへっ☆」

 

ゲッターアークが、新ゲッター1のトマホークを構えている。

 

ウヅキ「あっちの、ですか」

莉嘉「一緒にやろうよ!」

ウヅキ「…面白い!」

 

地上から新ゲッター1が飛び出し、空中からゲッターアークが飛び出す。タイミングはほぼ同じ。

 

ウヅキ「ダブルトマホォォーークッ!!」

莉嘉「インパクトッ☆」

 

鉄球鬼獣を中心にその前後で躱し合う。すれ違いざまに、互いに担ったトマホークを振るい、鉄球鬼獣を十字に斬り伏せた。

 

ウヅキ「……。こんなもの、ですか?」

莉嘉「えっへへっ☆上手く決まったね?──…さてと」

 

晴明『……』

 

莉嘉「後はアンタだけだけど、どうする?」

晴明『…お見事。この晴明、完敗で御座います』

莉嘉「へぇ?以外に素直なんだ?」

晴明『無論。賞賛させて頂きますよ。我が心血を注いだ精鋭達を、手間を取らずに退けた。その技にして妙技、その力にして至高』

晴明『そして恐ろしき、ゲッターの力をね…!!』

莉嘉「褒めてくれてありがと☆…で、ゲッターの恐ろしさが分かったなら、とっとと尻尾を巻いて、地球から出ていってよ」

晴明「そうはいかぬ。正義は我らにあるのだ。作戦に少々の修正は必要だろうが、ゲッターよ。必ずや貴様等に天誅を下してやるぞ…!」

ウヅキ「天誅、ですが…。その言葉、さっきも聞きましたけど、弱い犬ほどその言葉を振りかざしたがるんですね?」

晴明『ふん…。精々足掻くが良い。貴様らの命運は変わらぬ』

渓 「あれは…!?」

 

晴明の頭上に、ワームホールが現れる。

 

莉嘉「逃げる気!?そうはさせない…!」

かな子「莉嘉ちゃん、待って…!」

莉嘉「ゲッタービィィームッ!!」

晴明『印──!!』

 

ワームホールの中に消えゆく晴明に向かい放ったゲッタービーム。晴明は中指と人差し指を立てた右手で印を結び、五芒星の結界を張ってビームを防ぐ。が、

 

晴明『……ほぅ』

 

ゲッターアークのビームは結界を突き破り、晴明の幻影を突き抜けていく。

 

莉嘉「えぇ!?」

かな子「だから止めたんです。攻撃するだけ無駄ですよ」

莉嘉「でもぉ…」

晴明『ふむ…。やはり距離があってはこんなもの……しかし、着実にそのゲッターを乗りこなしつつあるようだな?』

莉嘉「次はこうはいかないから!必ず、そのにやけ面に一発かましてやる!!」

晴明『くっくっくっ…!では、黒平安京でまっておる。相見えるのを楽しみにしておるぞ──!!』

 

そう言い残して、晴明の幻影は消えた。

 

莉嘉「くっ…!」

美波「チャンスだったかもしれないけど、落ち着いて。まだ全てのチャンスがなくなった訳じゃないんだから」

莉嘉「…うん」

 

ウヅキ「黒平安京…。リンちゃん」

リン「何?」

ウヅキ「真ゲッターは、そこにあるんですね?」

リン「それを知って、今から向かうつもり?」

ウヅキ「……」

リン「今回はゲッターアークもいて、上手く出来たけど、私から言わせればまだまだ、流さん達にも程遠いよ。もっと訓練して、莉嘉達みたいに、ゲッターを手足みたいに動かせるようにならなきゃ。それに…」

ウヅキ「それに?」

リン「他のパイロットが、限界みたいだ」

弁慶「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

號 「ちっ、晴明の野郎、俺達は眼中になしかよ」 ケッ

剴 「今の俺達のゲッターでは、アークと新ゲッターの2機が一蹴した奴等を、1体倒すのがやっとだった。仕方ないさ」

號 「なら、もっと力を付けろってのかよ?ゲッターは生き物じゃないんだぜ?どうやって…」

剴 「そのためには、先ずはもっと腕を磨け」

號 「腕……実力か」

剴 「そうだ。今の俺達が、今以上の力を望んでも、その力に振り回されるのがオチだ。だから、どんな力でも制御出来るように、俺達自身が力を付けなければ…!」

號 「んだよ、自分を鍛えろって言いてぇなら、最初っからそう言えって。相っ変わらず回りくどい野郎だ」

剴 「渓もだぞ?今以上に、訓練を厳しくしていくからな」

渓 「え…?あ、うんっ」

剴 「どうした?」

渓 「いや……ただ、司令がつれてきたあのパイロット…。もしかして…」

剴 「何だ、その事か。後々、司令から正式な紹介がある筈だ」

號 「の割りにゃぁ、お前は端っから知ってたような口振りじゃねぇか」

剴 「知ってた訳じゃない。そう推測出来ただけだ」

剴 「現状で、司令や車戦隊長などと同等にゲッターを操れるとしたら、彼女以外いないだろいからな──」

 

── 戦闘終了後、司令室。

 

リン「皆、今日は本当にお疲れ様。それぞれの奮戦のお陰で、研究所は守れた」

號 「姐さんよ。労いの言葉なんざ要らねぇんだぜ?特に今日のところはよ」

リン「……」

號 「それよりも早く、後ろの奴を紹介してくねぇか?」

リン「…彼女は」

ウヅキ「私は、シマムラ・ウヅキです。…足手まといには、ならないつもりです」

號 「へぇ~、だがよ。俺達は忘れちゃいねぇぜ?10年前の悲劇が、誰のせいで起こったのかをなぁ…!」

莉嘉「待ってよ!今は身内で争ってる場合じゃなくない!?」

號 「関係ねぇ奴は黙ってろ!俺だけじゃねぇ、ここにる奴等全員、コイツに復讐する権利があるんだ!」

莉嘉「で、でも…」

かな子「莉嘉ちゃんの言う通りですよ。先ずは落ち着いて下さい」

號 「だから!」

かな子「部外者なら尚の事、私達にも知る権利がある筈です」

莉嘉「え…」

號 「あン?」

かな子「莉嘉ちゃんも気になりませんか?」

美波「私達が司令から聞いたことは、10年前、ゲッター線が暴走する”災害”が起こったってことだけ」

かな子「実際その時に何が起こったのか。それが分からなくちゃ、誰の味方も出来ないですよ」

リン「……」

號 「へっ、災害ね…。相変わらず姐さん、口が上手ぇや」

美波「…どう言うこと?」

號 「災害ってのは間違いじゃねぇさ。人災と言う名のな」

かな子「人災…?!……それを、ウヅキちゃんが!?」

ウヅキ「……はい。10年前のあの日、私達は真ゲッターに乗ってたんです」

莉嘉「真ゲッターロボ…!?」

弁慶「予めに言っとくが、ウヅキ達が進んで、じゃねぇ。あン時ゃそうするしかなかったんだ」

かな子「どうして…?この世界には、アイドル以外のゲッターチームがいた筈じゃ…」

弁慶「先ずは、その辺りの説明からか」

リン「ゲッターチームが恐竜帝国と戦っていたのは、今からなら50年近くも前、1970年代頃の話だ」

美波「それじゃあ…」

弁慶「恐竜帝国に百鬼帝国……日本国内に於ける二度の戦いに、世界を巻き込んだランドウとの大戦…。三度の戦いを乗り越えた人類は、更なる発展の新天地を求め、宇宙へと旅立った…」

莉嘉「宇宙…。そんな所まで…」

美波「けど、1970年…。そんな時代に、ゲッターロボの技術が…?」

弁慶「あぁ…。今考えりゃ、そこだけ歪に、進化してたのかもしれねぇな」

リン「兎も角、流竜馬率いるゲッターチームは、宇宙へと旅立った進宙艦隊の旗印として、超ド級宇宙戦艦へと進化したゲッターと共に旅立った。地球には有事の際の防衛用として真ゲッターロボだけが残されたんだ」

ウヅキ「そしてあの日…。あれは突然、虚空の彼方から現れたんです」

美波「虚空の、彼方から?」

弁慶「恐らくは、宇宙の彼方で竜馬達と戦った連中の生き残りだろうな。連中は報復の手段として、竜馬達の生まれた母星である、地球への攻撃を開始した」

リン「ゲッターロボが、ただ腕の立つパイロットを有り合わせただけじゃ機能しないのは、莉嘉達も知ってるよね?」

弁慶「ゲッターの操縦にゃ、技術と、チームワークが必要だ」

かな子「そこで選抜されたのが、ウヅキちゃん達…」

ウヅキ「皆も守ろうと、私達は戦いました。アイドルであることも忘れて、毎日毎日必死に!けど、侵略者の攻撃は止まず…」

リン「戦いを終わらせるため、私達は決めたんだ。ストナーサンシャインを使おうって」

ウヅキ「けど、それが間違いだったんです。あの時の私達に、あの力は過ぎたものだったんです」

弁慶「ストナーサンシャインに蓄積されたゲッターエネルギーは留まるところを知らず、制御不能に陥り、暴走状態のまま放たれた…」

かな子「暴走状態の、ストナーサンシャインが…」

リン「暴発したストナーサンシャインは一瞬にして東京の街を消滅させ、数十万人と言う人間を蒸発させた」

莉嘉「……!」

ウヅキ「それだけじゃありません…。ストナーサンシャインの衝撃は地軸を乱し地球環境を一変させ、地球一帯を覆った高濃度のゲッター線は、人類すらもその生活の場を地下へと追いやりました」

リン「この辺りは、前に説明した通りだよ」

美波「……」

弁慶「ストナーサンシャインの衝撃に耐えられず、リンはそれから半年以上、昏睡状態になった」

美波「昏睡状態って、それじゃあ…!」

リン「目を覚ました時には、もうウヅキは塀の向こうだった。私は、ウヅキ1人に罪を背負わせた、卑怯者だ」

かな子「あの…」

リン「何?」

かな子「ゲッターのチーム、ってことは3人ですよね?チームワークを優先にした…。それじゃあ、リン司令達の3人目のパイロットは……未央ちゃんは…!」

ウヅキ「ミオちゃんは…」

リン「……死んだよ」

かな子「そんな…!死…?!」 ヨロ…

美波「かな子ちゃん、大丈夫!?」

かな子「…すいません。けどやっぱり……ちょっと…」

莉嘉「宇宙から来たって敵は…!?」

弁慶「10年前のあの日以来、地球に現れてはいない。竜馬達が何か手を打ったか、ストナーサンシャインに恐れをなしたか。それとも、自分達で手を下さなくとも、滅びると判断されたか、だろうな」

莉嘉「そんな…」

ウヅキ「全て私のせいです。私が、ストナーサンシャインさえ使わなければ…!」

號 「懺悔ご苦労さん。引導は渡してやるぜ」 チャキ…

 

拳銃を突き付ける。

 

莉嘉「號…!」

號 「言った筈だぜ。俺にはコイツを討つ権利がある。それとも何か?今の話を聞いても、奴さんの肩を持つってのか?アンタは…!」

莉嘉「それは…」

リン「ウヅキを撃つなら、私も撃ちな」

號 「なっ…!姐さん!?」

リン「10年前の復讐を果たすって言うんなら、私だって同罪だ。私にも、撃たれる権利はある」

號 「だ、だが……姐さんは…!」

リン「罪を償ったと言ってくれる?それなら、ウヅキだって罪は償った筈だ。10年間檻の中で、凌辱までされて…!」

美波「り、凌辱…!?」

莉嘉「…って?」

美波「莉嘉ちゃんはまだ知らなくて良いです!」

莉嘉「……?」

號 「だがよ……実際にストナーサンシャインを撃ったのは、ソイツで…」

リン「止められなかったのは、アタシだ」

號 「それでも!」

ウヅキ「私が、憎いですか?」

號 「……っ」

リン「ウヅキ…」

ウヅキ「大丈夫です。下がってて下さい」

リン「分かった」

號 「…覚悟を決めたってかよ?」

ウヅキ「覚悟…。そうですね。命を捨てる覚悟なら、とっくに出来てたんです」

號 「なら…!」

ウヅキ「けど、まだ死ねません」

號 「どう言うことだ!?」

ウヅキ「この手で、真ゲッターを破壊するまでは…!」

號 「……はっ、責任転嫁ってか?」

ウヅキ「何と言われても、思われても構いません。だけど私は、この手で真ゲッターを破壊する…!それを果たすまでは…!」

號 「…それだけが生きる望み、ってか?」

ウヅキ「はい。だからこの命、貴方に預けます」

號 「預ける、だぁ?」

ウヅキ「全てが終わったら。好きにして貰って構いません。…貴方が望むなら使用済みのこの体だって」

號 「笑えねぇ冗談は聞きたくねぇ」

ウヅキ「そうですか」

號 「……だが、アトランティス流国をぶっ飛ばすために、アンタが必要だって、姐さんがそう判断したなら、今はそれに従う」

莉嘉「っ……それじゃあ…!」

ウヅキ「ありがとう、ございます…」

號 「けっ、感謝されることなんかねぇや」

渓 「よく言った!號、偉い!!」 ガバッ

號 「ガッ…!何だよ…」

剴 「一時はどうなるかと思ったぞ」

號 「剴……テメェまで…。んだよ、お前らだって…!」

渓 「號の言う通りだよ。だから、私達は止めなかった」

號 「……」

剴 「お前の言う通り。ここで誰かが動かなければ、誰も納得しなかっただろう。だがお前が動いてくれた。だから今、この結果を受け入れることが出来る」

號 「…いい噛ませ犬だぜ。ったくよ」

弁慶「何とか、丸く収まったか…」

リン「ホント、何とかね…。──…車さん?」

弁慶「ウ、グッ…」

 

バタッ…

 

リン「車さん!!」

號 「どうした!?」

剴 「戦隊長!?どうしたんです、車戦隊長…!」

 

バァンッ

 

友紀「親父!いるッ!?」

美世「はぁ…はぁ…はぁ……」

茄子「はぁ…はぁ…はぁ……」

莉嘉「友紀……2人も…」

友紀「!? 親父…!だから言わんこっちゃない!」

ウヅキ「何が…。一体どうしたんです…?」

茄子「お養父さんを……早く医務室に…」

友紀「絶対に…!ゲッターに乗せちゃいけない体だって、分かってたのに…!親父ぃ…!!」

 

つづく

 




予告

10年前、ある男が1人の少女を救った。彼女の親代わりとなり、彼女が幸せになるまで、命を懸けて守り抜くと。
10年後。成長した少女は、男の力になりたかった。何時までも守られるだけでなく、男の隣に、前に立ちたかった。
黒平安京攻撃へと、機運が高まる中、過去の古傷を圧して尚パイロットとして戦場に立とうと奮起する弁慶。友紀達を守るため、意地でも譲ろうとしない弁慶に、友紀は──。

次回、『友紀、猛る』

「親の心、子知らず」子供心も、また然り。
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