ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第21話『黒い高楼』

 

早朝。

 

チュンチュンチュンチュンチュン…

 

號 「……」

 

~~~ 早乙女研究所 池袋研究棟 ~~~

 

アキハ「こんな朝早くに来客とは珍しい。尤も、ここを訪れる物好きな人間など、限られていたが…」

號 「相変わらず徹夜ですかぃ?池袋博士」

アキハ「ははは…っ。1つの命の内に究められる事など、たかが知れているからな。寝ている余裕があるんだったら、1つでも思い付いた事を試してみたい。好奇心とはそう言うものだろう?」

號 「そう言うもんかね」

アキハ「そう言うお前こそなんのようだ?確か今日は、アトランティス流国の居城、黒平安京に乗り込むんだったろう?いいのか、作戦開始前に、こんな所で油を売っていて」

號 「まぁな。自慢の博士の好奇心を、ちょっと拝借したくってね」

アキハ「ほぅ?私の研究成果をか?」

號 「博士は研究所きってのマッドサイエンティスト。常に人を殺す方法を考えていることで有名さ。だから日夜、人を殺す兵器の研究をしているんでしょう?」

アキハ「少々語弊はあるが、な。しかし、戦闘はゲッターでやるんだろう?ゲッター用の装備は、格納庫に上げているものだけで、ここに秘蔵しているものなどないぞ」

號 「そうじゃねぇよ。俺はこの手で、晴明の野郎に引導を渡してやりてぇのさ」

アキハ「ふむ。稀代の陰陽師と謳われた、安倍晴明を?」

號 「あぁ。あの野郎のにやけ面、今思い出しただけでも腸が煮えくり返る…!あの人を小馬鹿にして見下した面に、どかんと風穴空けてやるのさ!」

アキハ「それで、私の研究物に目を付けたと言うわけか。良いだろう」

號 「……!」

アキハ「こっちだ。私のアトリエはな…」

號 「……アトリエだぁ?」

 

アキハに促され、地下室の奥へ。

 

號 「ここは…!」

 

── 地下武器庫。

 

アキハ「ここにあるのが、取り敢えずの10年間、私が究め生み出した芸術品の数々だ。好きに見ていってくれ」

號 「殺人兵器が芸術作品ね…」

アキハ「当然だ。君は、死をどう考える?」

號 「死?」

アキハ「そうだ死だ。全ての生命が須くして背負っている宿命。あらゆるモノの終点、それが死だ」

號 「はぁ…」

アキハ「私はこの10年間、その死について研究していた。死とは逃れられるもの。必ず向かえなければならぬものだからこそ!その姿は美しく、鮮烈に彩られなければならないッ!!」

號 「ご高説どーも。しっかし色々あんなァ…」

アキハ「ただ効率だけを追求しても面白くないからな。これなんか自信作だ、80ミリの劣化ウラン弾。どんな分厚い隔壁も貫通出来る」

號 「ほう…」

アキハ「これなどはどうだ?火炎と強酸、2種類の方法であらゆる敵を殲滅するガス式放射器だ。……極めつけは」

號 「!!」

アキハ「どうだ!義手型グレネードランチャーだ。自分の手と握手しながら相手を倒す。実に味わい深い武器だと思わんかね?!」

號 「あ~……俺は、まだ五体満足でいたいんで…」

アキハ「そうか。残念だな…」

號 「もっとこう、小さくて、取り回しやすいものはねぇのか?……ん?」

 

気になって手に取ったのは、1丁のマグナムリボルバー。

 

號 「これなんて丁度良いぜ。案外普通のも作ってんだな」

アキハ「あぁ、それは比較的初期段階の試作品だ。私にとっては失敗作なんだが…」

號 「失敗作?」

アキハ「うむ。見た目の面白味がないだろう?」

號 「兵器としちゃマトモなんじゃねぇかな」

アキハ「本当に、面白味のないモノだ。ただのマイクロニトログレネードを100分の倍数で濃縮しただけの、小型爆縮弾を撃ち出すための道具だよ」

號 「小型爆縮弾、だぁ?」

アキハ「これだ」

號 「…ふぅん?変わった形してんだな」

アキハ「弾頭の先端末広がりに螺旋状の溝が掘られているのは、貫通力を上げるためにドリルを参考にした構造だ。弾頭そのものを回転させて撃ち出すことで、どんな強固な表皮をも確実に貫き、その内部で火薬を炸裂させ、対象を内側から破壊する。そういった弾だ」

號 「そいつをこいつはァ……6発も込めれんのかよ。まるで拳銃サイズのグレネードランチャーだ」

アキハ「だがその分、反動は元々のマグナムの比ではない。まともな人間には、先ず使いこなせん」

號 「ハッ!俺を並みの人間扱いする気かよ」

アキハ「…確かに、貴様の腕っぷしなら、或いは使いこなせるかもしれんな」

號 「決めたぜ。こいつにする」

アキハ「そうか。しかし、陰陽術にのみならず、仙術や妖術にも精通していたと言われる相手だ。そう簡単に撃ち抜けるとは思えんがな」

號 「昔の人から見れば、現代の発達した科学も魔法だと言うぜ。大丈夫、自分の作品を信じな」

アキハ「勿論、科学が古臭い術式に負けるとは思っていないさ。戻ったら是非、使い心地の感想と、晴明がどう芸術的に吹き飛んだかの、レポートを頼む」

號 「へっ。科学が魔法なら、アンタは立派な悪魔だぜ。池袋博士」

 

── 研究所内、通路。

 

號 「……」 スタスタスタ…

 

おもむろに腰のホルスターに納めた拳銃を取り出し、握り込み、正眼に構える。

 

號 「……。へっ、俺の手にもピッタリ収まって……思ったよりしっくり来やがる…。気に入ったぜ。へへっ」

 

「──…nがいします。もう1回」

 

號 「あン?ここは…」

 

シミュレータ室。

 

號 「こんな早い時間に、使ってる奴がいるのか。……ん?」

 

莉嘉「ねぇ~、もう日が昇っちゃったよ?一旦休もうよ~」

ウヅキ「ごめんなさい。けど、今の動きが出来るようになるまでは」

 

號 (あれはウヅキ……に、莉嘉もいんのか…)

 

必要性はないが、思わず壁にもたれ掛かり、身を潜める。

 

莉嘉「あんまり根を詰めても仕方ないって~。戦闘になればアタシ達だってフォローするし、號達だって…」

ウヅキ「それじゃあ、駄目なんです」

莉嘉「でもぉ~」

ウヅキ「みんなにおんぶに抱っこになってちゃ、ダメなんです。この手で真ゲッターを破壊する…!その目的を果たすためにも、自分の力で困難をはね除けられるようにならなきゃ、ダメなんです…!」

莉嘉「もう充分スゴいと思うけどなぁ、ウヅキは」

ウヅキ「私が納得するまで、付き合ってくれるって言いましたよね?」

莉嘉「うへぇ…。もう迂闊なことは言わないようにする」

ウヅキ「いい勉強になりましたね。それじゃあ引き続き…」

莉嘉 「もうっ!せめて朝食の時間くらいは取らせてよね~!!」

 

號 「……」

 

ツカツカツカツカ──。

 

そして、作戦開始の刻限を向かえる。

 

~~~ ??? ~~~

 

孔明「我が同胞達よ、時は満ちた!!」

マクドナル「……」

孔明「永きに渡り敗北と言う屈辱に耐え、嘗胆に尽くし今、ゲッターと雌雄を決する時である!!」

武官「……」

孔明「この広大な宇宙を制すのはゲッターか?否!」

仕官「……」

孔明「無味蒙昧たる地球人類を庇護するゲッターに、その資格やなし!崇高な目的、意志を持つ我々こそが宇宙を統べるに相応しい存在なのである!!」

晴明「……ふっ」

孔明「今日ここで、この黒平安京をゲッターの墓地とし、我々の新たな門出とするために!奮起せよ諸君、今宵が、雪辱を果たす時であるッ!!」

 

ワァアアアアアッ──

 

孔明「晴明!」

晴明「……はっ」

孔明「首尾はどうなっておる?」

晴明「全て良好。あと半日も待たぬ内、この大鬼門は開き、隔絶されていた世界と世界の隔たりはなくなるでしょう。そして、何万何億と言う遥か時を超えた軍勢が地球に流れ出し、僅かばかりのゲッターなど正しく蟻の子を蹴散らすが如く。立ち処に決着は着くでしょう」

孔明「うむ。その後は一気呵成に地球を制圧。人類を駆逐するだけか。…容易い。勝てるな?この戦」

晴明「然り。ですが、既にゲッターはこちらに向かっております。このままでは大鬼門が開ききる前に、奴等が黒平安京に辿り着くのは必至」

孔明「ふむ。ならば歓迎してやるとするか。マクドナル!」

マクドナル「ここに」

孔明「兵を率いてゲッターを迎い撃て。最悪黒平安京に辿り着こうとも、大鬼門さえ破壊されなければよい」

マクドナル「御意に…。では晴明様も、私はここで」

晴明「…健闘を」

マクドナル「はっ…」

 

孔明「さぁ、何時でも良い。何処からでも良い。来るがいい、ゲッターロボ──!」

 

──。

 

莉嘉「トマホォォーク、ハリケェェーーンッ!!」

 

トマホークに蓄えたエネルギーを一直線に放ち、前方に布陣した鬼獣の群れを吹き飛ばす。

 

かな子「少しずつですけど、敵の攻撃が強くなって来てますね」

美波「それだけ本拠地に近付きつつあるってことだと思う。だから莉嘉ちゃん、あんまり飛ばしすぎないで。まだリハーサルみたいなものだから、本番までの体力がなくなっちゃうよ」

莉嘉「了解~☆じゃ、美波代わって?」

美波「そうね……分かった」

莉嘉「よし、オープンゲット!」

美波「チェンジゲッター、キリク!」

 

ゲッターアークから、キリクに変わる。

 

リン「…ウヅキ、こっちもスタミナの配分には気を遣おう。何時でも代わって」

ウヅキ「はい。今のところ、その必要は感じませんけど」

友紀「流っ石~!けど、痩せ我慢は禁止だからね?こっちも、ベンチ温めるためにいるんじゃないんだからさ!」

リン「まともな訓練期間を用意出来なかったから、友紀は友紀で心配なんだよ?」

友紀「はは~っ!口より行動で示して見せますって!いざとなったら、頼りにしてよ!」

リン「…言われなくても、必要なら手段を選ぶ気もないけど」

ウヅキ「フッ!!」

 

空中に布陣するインセクターに、新ゲッター1がトマホークを振り下ろす。

 

號 「……っ」

渓 「まったくもう、ウヅキさん達は心強くって、頼りになるねぇ」

號 「くっそ~…!俺にもやらせろ!!」

剴 「駄目だ。黒平安京がある琵琶湖までは、まだ距離がある。エネルギーを温存するためにも、俺達はゲットマシンで航行した方がいい」

號 「けどよ…!」

剴 「いくらレディコマンドが同行してるとは言っても、プラズマには限りがあるんだ。黒平安京に着いたら思いっきり暴れさせてやる。今は堪えろ」

號 「頼むぜ。ったくよぉ…」

渓 「でさ、そのレディコマンドのパイロットなんだけど…」

茄子「何ですか~?」

渓 「…本当に大丈夫なの?」

茄子「訓練はしました!ゲットマシンのように合体する訳じゃないですし、何とかなるんじゃないですか?」

渓 「何とかって……相変わらず気楽な…」

剴 「車隊長が後方に控えたとは言っても、戦力を温存しておくような余裕はないんだ。義姉さんには頑張ってもらいましょう」

號 「しかし、さっきから不思議と、茄子義姉ちゃんの方には攻撃がいかねぇんだよな…」

渓 「そうね。いっても、直撃になるようなコースじゃないし…。偶然にしては出来すぎてるよね…」

茄子「ふふっ。10年前から大怪我と大病だけはしたことがなくて」

友紀「運がいいんだよね、茄子は。ある意味、パイロットとして適任だよ」

茄子「邪魔にならない程度には頑張りますからね~」

號 「へっ、暴れられねぇ鬱憤だ。ありったけのミサイルをぶちこんでやるッ!!」

剴 「義姉さんの奥ゆかしさの万分の一でも、見習ってみろ…」

 

こちらを黒平安京へ進ませんと、迎撃に現れる鬼獣やインセクターを返り討ちにしながら進んでいき、滋賀県へと入る。

 

美波「そろそろ、琵琶湖が見えてくる筈だけど…」

友紀「見えた!あれが…」

ウヅキ「黒平安京…!」

 

黒の楼閣がそびえ立つ、禍々しい都がゲッターを迎える。

 

號 「遂にここまで来たぜ…!」

『ようこそ。ゲッターの御子達よ』

莉嘉「その声は晴明!」

晴明『私もこの時を、待ち侘びておりましたよ…』

號 「首を洗って待ってたってか!今日こそ始末着けてやる、覚悟しやがれッ!!」

剴 「…妙ですね。ここに来て、敵の攻撃が止んだ」

かな子「ここが本拠地なら、もっと厚い防衛網を敷いていても可笑しくない筈ですけど…」

晴明『その必要がないのですよ』

美波「必要がない…!?」

晴明『こちらをご覧下さい』

 

晴明の背後に現れたものは、

 

號 「何だ……ありゃぁ…!」

美波「あれって、これまでとは比べ物にならないくらい大きな、ワームホール!」

莉嘉「ワームホール…!?ってことは、何処かの空間と繋がってるの…?」

かな子「向こう側の空間が見えてる…。あれは、全部アトランティス流国の戦力、ですか?」

晴明『ご明察。この大鬼門は、直に繋がり、我らがアトランティス流国の本隊をこの地球に召喚する』

友紀「アトランティス流国の本隊…!?」

茄子「い、一体どれだけの戦力が…」

リン「鬼門の表面に見えてるのだけでも100や1000じゃない…。規模は想像も出来ないね…!」

ウヅキ「……」

號 「脅しやがって!直にってことはまだ繋がってねぇってことだろうが。なら、テメェをぶちのめしゃぁ門は閉じる。そういう仕組みなんだろ?」

晴明『またまたご明察。この大鬼門、維持するのにも相応の力量が必要でね。私を欠いては、アトランティス流国で再び結ぶことは不可能』

號 「だったら話は早ぇ。いくぜ、渓、剴!!」

渓 「あ、號!」

剴 「待て!」

號 「フルパワーチャージ、セットアップ!チェーンジゲッタァアー、號ッ!!」

 

ゲッター1号に合体し、荒廃したようにも見える、黒平安京の町へ舞い降りる。

 

晴明『その意気や見事。この晴明の首級を獲り、高々と掲げて見せなさい──』

號 「うぉおおおッ!!ナックルボンバー!!」

晴明『──出来るものならね』

 

ズズズズズズズズズズ…ッ

 

友紀「な、何…!?」

 

突然の振動と共に、黒平安京の地面が割れる。激しく砂塵が舞い上がり、晴明の幻影目掛けて放たれたナックルボンバーを容易く弾いた。

 

號 「ちっ!何だってんだ…!」

 

砂塵の中で2つ。鋭い眼光が光り輝き、その中から姿を現したものは、

 

美波「そんな……まさか!」

かな子「ウザーラ!!」

 

ウザーラ《キシャォォォオンッ!!》

 

剴 「ウザーラ?」

かな子「はい…。ずっと前に戦った……ゲッターGを倒したこともある相手です」

剴 「ゲッターロボGを!?」

 

「その通り。しかし……やはりこのウザーラも知っていようとはな」

 

莉嘉「マクドナル…!ウザーラに乗っているの?」

マクドナル「そうとも。宇宙の巨悪ゲッターロボ、この地で葬ってくれる!」

美波「宇宙の巨悪…!?ゲッターが…」

號 「へっ、抜かせ!直ぐに吠え面かかせてやるぜ!!」

剴 「あ、待て!號…!」

 

勢いに任せ、ゲッター1号がウザーラに飛び込んでいく。

 

號 「うぉらァッ!!」

マクドナル「ふん……雑魚が!!」

號 「ゴッ…!」

 

飛び掛かったゲッター1号に、ウザーラは巨大な尻尾を強かに打ち、地面に叩き付ける。

 

號 「痛ててて…」

剴 「迂闊だぞ!あれだけの大きさの敵に、考えなしに飛び込むなど…」

渓 「説教は後!次の攻撃が来るよッ!!」

マクドナル「先ずは1つ!!」

號 「っ!!」

 

ウザーラの竜の頭部から、雷撃のような攻撃が放たれる。

 

剴 「っ……!」

渓 「……!」

號 「……っ!…んぁ」

マクドナル「…仕留め損なったか」

 

尻餅を着いたゲッター1号。その前にゲッターキリクが立ち、右腕のドリルアームが煙上げている。

 

剴 「ゲッターキリク…!」

號 「助かったぜぇ…」

かな子「お礼は良いですから、早く体勢を整えて下さい!」

號 「!?」

かな子「ウザーラが吐き出すのは引力光線です。喰らえば、どんなゲッターだってバラバラです!」

渓 「ほ、ホントに!?」

剴 「何時までも倒れているわけにはいかない。號、一度退くんだ」

號 「ちっ、しゃぁねぇ…!」

 

ゲッターを立ち上げ、一度後方に退く。

 

美波「な、何とか間に合った…!」 ハァハァ…

かな子「美波さん、後退を…」

マクドナル「ただではおかんぞ!」

美波「くっ…!」

 

ゲッターキリク目掛け放たれた、ウザーラの引力光線に再びドリルをぶつけ、その旋風で弾き飛ばす。

 

美波「っ…!」

マクドナル「ほぅ……流石に一筋縄ではいかんか」

美波「一度下がるよ」

莉嘉「えっ、何で…!」

かな子「体勢を立て直さなくちゃ、ウザーラ相手は無理ですよ!」

莉嘉「う~…」

晴明『そうはさせぬ!』

リン「何…?」

晴明『これを見るがいい!』

 

黒平安京のほぼ中心部に当たる塔を中心に、黒平安京全体を覆うようにエネルギー状の結界が展開される。

 

渓 「これって…!」

剴 「結界…!俺達を閉じ込めたつもりか!」

晴明『これでまさしく袋のネズミ。大人しくウザーラの餌食になるがよい』

號 「こんなこけおどし、内から破壊すりゃぁそれで終いだろうが」

リン「そんな一筋縄にもいかないみたい」

號 「あン?どう言うことだ」

リン「今展開されてる結界のエネルギー源を調べてみたんだ。あれは晴明の術による単純な結界じゃない。あれは、ゲッターエネルギーのバリアだ」

莉嘉「ゲッター線…?ってことは…」

リン「エネルギーの源はあの塔の地下深く、そして、この炉心の反応は間違いない……真ゲッターロボだ」

ウヅキ「っ…!真ゲッターロボ…!」

美波「それじゃあ、こっちから脱出するために破壊するのは…」

リン「エネルギーの消費を考えても、現実的じゃないね」

マクドナル「フンッ!!」

ウヅキ「!!」

 

ゲッターの一団に向け振り下ろされたウザーラの尾を、散開して回避。

 

號「ウダウダ話し合っても仕方ねぇ!ここを突破するにゃぁ、コイツを倒すしかねぇんだろうが!!」

美波「この戦力だけで、ウザーラを…?!」

リン「その口振り、さっきも気になってたけど、前にもウザーラと戦ったことが…?」

かな子「はい、2回くらい……どっちもギリギリでしたけど」

號 「そっちの世界でも大物ってことか」

莉嘉「前に戦った時は、これ以上の戦力に、真ゲッターもいた!だけど!!」

友紀「こっちだってアウェーゲームは覚悟の上で来たんだ!バッターボックスにも立たないで下がったんじゃ、ここまで来た意味がない!」

ウヅキ「真ゲッターロボを捉えるところまで来たんです。誰が相手だって、私は、やります!」

 

新ゲッター1がウザーラの頭部を蹴飛ばす。

 

マクドナル「ほほぅ…」

かな子「やるしか、ないみたいですね…!」 グッ

マクドナル「侮るなよ。このウザーラは、我ら百鬼帝国の技術で手を加えたもの。ランドウ如きの俄仕込みと一緒にされては困る」

友紀「百鬼帝国…!?大昔に親父が倒したって言う…?」

渓 「大昔って言うと、隊長悲しむよ…?」

かな子「まさか貴方は、百鬼帝国の生き残りなんですか?」

號 「ンな奴が何の用だ!?大将の仇討ちか!?」

マクドナル「ふっ……そんなもの、最早些細な事に過ぎん」

美波「……私達が、ランドウの手に落ちたウザーラと戦っていることを知っていた。貴方は一体…」

マクドナル「我は、真実を知る者」

ウヅキ「真実…?」

マクドナル「そう。全ては宇宙を守るため。我々の未来のために、ゲッターを消し去る!」

號 「またかよ。未来だ宇宙だと……そんな大それた言葉で、俺達がビビるとでも思ってンのかよ?」

莉嘉「そうだ!アタシ達は今を生きてるんだ!アンタを倒して、アタシは前に進む!!」

ウヅキ「邪魔立てするなら、返り討ちにするだけです」

晴明『そう焦るでない。宴はこれからよ──』 スッ

 

指をピンと二本立て、口元に寄せる。

 

晴明『全ての時空に蠢く鬼どもよ、我が声に応えよ。…この京へ集うがいい! 我と共にこの地、この時にて討ち果たすべし! すべての災いの源……ゲッターロボを!!』

 

叫び、口元に寄せていた手を高々と天に掲げる。すると、晴明の声に、実際に応えるように黒平安京の四方に濃い紫色の五芒の陣が現れ、中心部より現れるのは、

 

剴 「何だ……コイツら…鬼獣、なのか?」

美波「けど、こんなタイプは見たことない…」

友紀「何て言うか……気持ち悪い」

晴明『窮奇、檮杌、饕餮、渾沌……天下に仇なす四凶の鬼獣。禍いの源、ゲッターを討つために集いし、究極の鬼獣よ!』

號 「はっ!その面じゃ、どっちが敵か分かんねぇな」

窮鬼獣《──!!》

渓 「は、速いっ!?」

剴 「號、後ろだ!!」

號 「ぐぅ~~~っ!?」

 

翼の生えた虎を模した、窮奇の鬼獣、窮鬼獣が素早い動きでゲッター1号に組み付く。

 

窮鬼獣《ガァッ!!》

 

窮鬼獣の牙がゲッター1号の首筋に噛み付き、表装を貫く。

 

美波「號くん…!」

かな子「美波さん!」

美波「!?」

渾沌鬼獣《グァア!!》

 

ゲッター1号の動静に気を取られたゲッターキリクの真上から、大きな犬の様相をした渾沌鬼獣が襲い掛かる。

 

美波「くっ…!」

 

咄嗟のレバー操作で機体を後ろに引かせ、辛うじて渾沌鬼獣の攻撃を躱す。野太い3つの爪がゲッターキリク表面を撫でた。

 

莉嘉「向こうの方が数が多いよ。他を気にしてる暇はなさそうだよ!」

美波「先ずはあの鬼獣を何とかしなきゃ……っ!?」

 

体勢を立て直そうとしたゲッターキリクの側面から、羊のような、悪魔のような醜悪な姿をした饕餮鬼獣が迫り殴り掛かる。

 

美波「きゃ……っ!」

莉嘉「痛~いっ!!何でこっちは2体がかりなの!?」

マクドナル「貴様だけは生かしてはおかん。必ずや、ここで雌雄を決する!」

かな子「向こうも私達を狙ってきてくれるみたいですね…!」

莉嘉「なら正々堂々と、1対1で勝負してほしいよ…」

友紀「ごめん…!こっちも手一杯で、そっちには手を貸せそうにもない!頑張って!!」

ウヅキ「はぁッ!!」

 

猪のような牙を持ち、荒々しく立ち回る檮杌鬼獣に、新ゲッター1はトマホークで応じている。

 

かな子「…一度に複数を相手するには、キリクじゃ不利です。ここはアークにチェンジを!」

美波「その隙があれば……はっ!」

 

ゲッターキリクを跳躍させ、ウザーラの光線や饕餮・渾沌鬼獣の猛攻を退ける。

 

莉嘉「隙がないなら、作るしかないよ!」

美波「えぇ…!ドリルタイフーンッ!!」

 

ドリルの旋風で黒平安京の廃屋を巻き上げて、襲い来る鬼獣達の攻勢を削ぐ。

 

マクドナル「この程度…!」

美波「ゲッターイリュージョン!」

マクドナル「むぅ!」

 

ゲッターキリクの高速機動で、ウザーラの視界から逃れる。

 

マクドナル「後ろか!?」

 

背後に振り替えるも、そこに姿はなく。

 

美波「オープンゲット!!」

 

声が響いたのは、上。

 

莉嘉「チェーンジゲッター!アーーーック!!」

マクドナル「ぬぅ~…っ!」

莉嘉「ゲッタートマホォ~~~ク!!」

 

上空でトマホークを抜き打ちながら、急降下と共に振り下ろし、ウザーラを打つ。

 

マクドナル「ぐぉぉ…!」

莉嘉「!!」

 

ガギンッ

 

饕餮鬼獣《──!!》

渾沌鬼獣《!!!》

 

トマホークを構えた両腕をそれぞれ左右に開き、側面から強襲してきた鬼獣を受け止める。

 

マクドナル《むんっ!》

莉嘉「ゲッタービーム!!」

 

正面からのウザーラの引力光線をゲッタービームで打ち消す。

 

莉嘉「やぁあああああ~~~ッ!!」

 

全身を捻って、トマホークを振るう動きで、ゲッターアークを中心に巨大な竜巻を生み、肉薄した鬼獣も吹き飛ばす。

 

莉嘉「……ふっ」 チャキッ

マクドナル「…合体を許してしまうとは」

莉嘉「キリクなら勝てると思った?キリクでも、美波は負けないよ?」

美波「莉嘉ちゃん、流石にそれは…」

莉嘉「アタシが相手をするのは、アンタが1人じゃアタシにも勝てない、ヒキョー者だからってだけ。覚悟してよね…!」

マクドナル「その大口を、地獄で後悔するがいい…!」

饕餮鬼獣《ぐぅぅ…!》

渾沌鬼獣《うぅぅぅ…!》

莉嘉「っ……来い…!!」

 

2体の鬼獣と1体の巨竜に、ゲッターアークが対峙する。

 

ウヅキ「トマホーク、ブーメランッ!!」

檮杌鬼獣《!!?》

 

新ゲッター1が投じたトマホークが檮杌鬼獣を打ち、廃屋の中へと叩き落とす。

 

檮杌鬼獣《──!!》

ウヅキ「チッ…!」

 

黒煙の中から立ち上がった檮杌鬼獣が、口から吐き出した濃い紫色の溶解液を、ゲッターウィングを翻して躱し、

 

ウヅキ「やぁああああッ!!」

 

トマホークを振り上げ、突貫。

 

ガギィンッ

 

ウヅキ「ぐっ…!」

檮杌鬼獣《……!!》

 

加速と共に振り下ろされたトマホーク。しかし、檮杌鬼獣はその腕で受け止める。

 

友紀「鎧も鱗もないのに、どうなってンの!?」

リン「今更奴等の体組織に興味なんてないよ。ただ、あの腕がゲッターのパワーを受け止めるくらい、強靭なだけだ」

檮杌鬼獣《!!!》

 

ブォンッ

 

ウヅキ「っ…!!」

 

トマホークの刃を受け止めた腕を振り回し、そのまま力任せに新ゲッター1を投げ飛ばす。

 

友紀「きゃあああッ!!」

 

投げ飛ばされ、廃屋を薙ぎ倒しながら地を滑る。

 

リン「大丈夫?こっちは何時でも代われるよ」

ウヅキ「…大丈夫です。まだ」

友紀「来るよ!!」

檮杌鬼獣《ゴァアアアアアッ!!》

 

雄叫びを上げながら、檮杌鬼獣が迫る。

 

ウヅキ「っ…!!」

 

ズガン、と新ゲッター1の全身、コックピットに衝撃が伝いながらも、新ゲッター1の両腕は、しっかりと檮杌鬼獣の牙を受け止めている。

 

ウヅキ「~~~…っ」

友紀「押し負けてるよ!力比べじゃ不利だ!!」

ウヅキ「力比べじゃなきゃ…!」

 

腕に込める力を一瞬弛め、跳躍。

 

ウヅキ「ふっ…!」

 

檮杌鬼獣の鳩尾に目掛け、蹴りを放つ。

 

檮杌鬼獣《……!?》

 

檮杌鬼獣を蹴り飛ばし、距離を取る。

 

リン「…パワーと、直線的なスピードは向こうが上。ゲッター2なら、ある程度撹乱出来るけど…」

友紀「もう、こんな時に茄子は何やってるの?」

茄子「ここで~す」

友紀「ここって、結界の外!?」

茄子「はい~。私だけ突入する前に結界が張っちゃって…」

友紀「もぅ、ラッキーなのかどうなのか…」

リン「ある意味、ラッキーだよ。茄子、茄子は一旦研究所に帰還して、状況を報告してきて」

茄子「了解です」

リン(もしかしたら、弁慶さんに任せた”アレ”の調整も、終わってるかもしれないしね…)

ウヅキ「結界…」

リン「あれは厄介だね。結界のお陰で、空中戦がメインの1号機も十分に戦えない」

ウヅキ「……。さっきの話に乗りましょう」

リン「さっきの?」

ウヅキ「ゲッター2なら、あいつとの相性が良いって話です」

友紀「え?でも、合体する隙がないんじゃ…」

ウヅキ「隙がないなら作るだけです。直線的な加速に優れているだけなら…!」

檮杌鬼獣《!!!》

 

檮杌鬼獣の大きな腕の振り下ろしを、檮杌鬼獣の側を飛び退くようにして避ける。

 

ウヅキ(この攻撃じゃない…)

友紀「直線的な加速…?」

リン「成る程ね」

ウヅキ(一度大きく距離を取る。あの鬼獣には遠距離攻撃の方法がないみたいだから、そうすれば…)

檮杌鬼獣《ウガァアアアアアッ!!》

ウヅキ「勢いに任せて、こっちに突っ込んでくる!」

友紀「まさか…!」

 

檮杌鬼獣がまっすぐに突っ込んでくる。その巨体が徐々に近付き、やがてぶつかるか否かと言った、刹那のタイミングで、

 

ウヅキ「オープンゲット!!」

 

ゲッターを分離。檮杌鬼獣をやり過ごす。

 

友紀「くぁ~……無茶するんだぁ~」

リン「けど、あいつはこっちに対応出来ないみたいだよ」

友紀「ホント。本物の猪みたく、突っ込んだら簡単には止まれないんだ!」

リン「今の内に合体だ」

ウヅキ「後は任せます。リンちゃん」

リン「え?」

 

おもむろに新イーグル号のハッチを開け、マシンから飛び降りる。

 

リン「ウヅキ!?」

ウヅキ「真ゲッターロボを破壊します!そうすれば、あのバリアを無力化出来るんでしょう?」

リン「そうかもしれないけど、1人でやる気!?」

ウヅキ「元々そのつもりで、ここまで来たんです。真ゲッターロボ……この手で引導を渡してきます!」

リン「ウヅキ!──…ぅあ!」

友紀「ウヅキが心配なのは分かるけど、もう向こうは行っちゃったんだ!こっちは私達でやるしかないよ!」

リン「(友紀がドッキングしてくれたのか…)…そうだね。パイロットが欠けると、ゲッターのパワーも落ちる。気は抜けないよ!」

友紀「こっちも元々、気を抜いてる余裕なんてないよ」

リン「ふっ……よし…!」

 

リン「チェーンジゲッタァァーー2ッ!!」

 

新ゲッター2に合体。檮杌鬼獣に対峙する。

 

號 「あんにゃろ…!抜け駆けかよ!ぐっ…!?」

 

ゲッター1号のガードが崩され、横転。

 

號 「チックショ…!」

剴 「余所見している暇はないぞ。少なくとも、コイツは俺達が1人欠けては倒せる相手じゃない!」

號 「仕方ねぇ…!」

 

窮鬼獣の飛び掛かりに対応してゲッター1号を跳躍させ、攻撃を躱し、意図して黒平安京内を駆けるウヅキの近くに着地。

 

號 「ウヅキィ~!!」

ウヅキ「…!?」

號 「受け取れ!」 ビュッ

ウヅキ「!」 パシッ

號 「池袋博士の秘密兵器だ!丸腰でカチコミもねぇだろ?」

ウヅキ「……ありがとうございます!」

號 「へっ…!おっと!」

 

背後から飛び掛かってきた窮鬼獣を軽く往なす。

 

號 「テメェを忘れた訳じゃねぇぜ?掛かってきな!!」

窮鬼獣《グルゥゥゥ…!》

號 「うぉらァ!!」

 

孔明「……」

 

孔明(2、3誤算はあったが、計画は順調…。ウザーラ達が敗北を喫することになろうとも、半刻も経たぬ内に大鬼門は開かれ、遥か未来の大宇宙から呼び寄せたアトランティスの軍勢によって、ゲッターを殲滅させることが出来るであろう…)

孔明「問題は晴明よ…。抜かるでないぞ…──」

 

つづく

 




予告

死の闘技場と化した黒平安京。
撤退も許されず、多勢に無勢であるにも関わらず、決して諦める事なく戦い続ける莉嘉、號、ウヅキ。
圧倒的不利な状況、打開する力はあるか?辿り着いた黒平安京の地下深く、真ゲッターロボを目の前にしたウヅキの前に、懐かしい姿が現れる──。

次回、『明の星々』

※捕捉※

今回出てくる四凶の鬼獣ほ、当然の如く本作オリジナルですが、だからと言って何か特殊能力があるような、特別な敵ではありません。名有りの雑魚位に思ってください。
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