── 真ゲッターロボ、コックピット内。
ウヅキ「…ここは、あの頃のままですね」
コックピットハッチを開き、眼前に広がった光景を見て、独りごちる。
万感の想いもなくシートに腰を掛け、左右に大きく広がるメインモニターの中央下、小さなサブモニターの脇にあるスイッチに手を掛け、起動する。
ウヅキ(よし、動く…。この何年かは、まともな整備もされてない筈だけど)
タッチ式の液晶パネルを何度か叩いて操作し、画面を切り替えていく。
ウヅキ(ゲッター炉心……出力調整…。安全装置の解除…)
かつて、一度だけ指導を受けた手順を踏んでいく。それはもしもの事があった時、ゲッター炉心のエネルギーを全解放し、故意的に炉心暴走を引き起こす、ゲッターロボにとっての最終手段。
ウヅキ(やってしまえば、パイロットも只では済まないですけど…。私の命なんてもう、どうでも良いですから)
1つ2つと、幾重にも重なっている安全装置を解除していき、いよいよ最終安全装置の解除。その可否をパイロットに問う画面が、ウヅキの目に写る。
ウヅキ(貴方の手に掛からなくてごめんなさい。けど、許してくれますよね?號──)
思い、タッチパネルを操作する指先を、『OK』の方へ。
『──死に急ぐには早いんじゃない、シマムー?』
ウヅキ「……」
『あれ?10年ぶりの再会だって言うのに、無視?悲しいなぁ』
ウヅキ「……るさい」
『ん?』
ウヅキ「ミオちゃんの姿を使って、私を惑わす気ですか?ゲッター!」
ミオ『惑わすなんて心外だなぁ。今シマムーの目の前にいるのは、正真正銘、ホンダ・ミオちゃんですよ?』
ウヅキ「出鱈目を…!だってミオちゃんは、10年前に…」
ミオ『ウヅキの放ったストナーサンシャインの弊害で精神に異常を来した?』
ウヅキ「…っ!」
ミオ『それで、気が狂ったまま真ゲッターを破壊しようとして、そして…』
ウヅキ「やめて…!やめてください…っ!」
ミオ『…良いんだよ、シマムー。私があぁなったのは、シマムーのせいじゃない。私は、あそこであぁなる運命だったんだ』
ウヅキ「運命…?」
ミオ『そう。あの頃の私は、バカだったから。ゲッターと1つになって、寧ろスッキリしてる』
ウヅキ「そんなこと…!ミオちゃんはそんな風に言いませんっ!私の知っているミオちゃんは…!」
ミオ『どうしても信じてくれない?』
ウヅキ「当たり前です!ゲッターは私も、リンちゃんも!みんなの人生を滅茶苦茶にしたんです!!今更信じろなんて…!」
ミオ『だったら、ゲッターの操縦桿を握ってみれば良いよ』
ウヅキ「……?」
ミオ『真ゲッターを自爆させる。ウヅキのその意思が変わらないのはよく分かったよ。けど、それなら最後に1つ私の言うことを聞いてくれても良いんじゃない?』
ウヅキ「…何をさせる気ですか?」
ミオ『何にも。操縦桿を握って、何にも感じなかったのなら、真ゲッターを自爆でも何でも、好きにすれば良いさ。私は停めないよ』
ウヅキ「……」
ミオの言葉を疑いながら、恐る恐ると両腕は、ゲッターの操縦桿に触れる。
ウヅキ「──!!」
その瞬間、操縦桿に触れた指から、腕を伝わり、脳に直接、電流が走るような感覚が来た。
ウヅキ「これは…!」
そしてウヅキの目に映ったのは、先程までの無機質なコックピット、ではなく、広大に拡がる宇宙。その中の地球。太古の時代から脈々と受け継がれる進化の系譜──。
ミオ『分かるでしょ?時間と、空間と、ウヅキ自身の関係が。どうして、宇宙に無数に存在する星々の中から地球が選ばれ、地球に生命が溢れたのか…。ウヅキなら、分かる筈だ』
ウヅキ「……出鱈目です。こんなの…」
ミオ『真実だって、ウヅキには分かってる筈だよ?』
ウヅキ「……」
ミオ『どうして人類がゲッターに選ばれたのか…。そもそも人類と言う存在は何故誕生したのか…』
ウヅキ「し、ん、か…」
ミオ『そう、進化。地球の海と言う小さな環境でしか生きていけなかったちっぽけな微生物が、何故陸に上がろうと思い至ったのか?陸に上がり、一度は恐竜と言う最強の進化を遂げながら、結局は毛皮も爪も、牙も持たない脆弱な進化をするに至ったのか…』
ウヅキ「そんなの…っ」
ミオ『分かってる筈だよ。今のウヅキには、何の為に私達が存在していて、ゲッターに選ばれたのかも』
ウヅキ「……」
ミオ『新しい環境への最適化、天敵から身を守る為の強化……進化とは、全ての生命に平等に与えられた権利だ』
ミオ『しかし今、その進化を阻もうとする者達がいる』
ウヅキ「……」
ミオ『彼らの行いは虚無に対する閉塞だ。進化を内へ内へと封じ込め、自分達の宇宙に閉じ籠ることで、来るべき虚無による滅びから逃れようとしている』
ウヅキ「それの、何が悪いって言うんです…?」
ミオ『結局は、それは緩慢な滅びだって、理解している筈だよ?私達が虚無を乗り越えその先の無限に至るには、上へ上へ、進化しなくてはならない』
ウヅキ「その為に、奴らを倒せって言うんですか。たくさんのモノを犠牲にして…!」
ミオ『犠牲なんかじゃない。少なくともあの時の私は、ウヅキをゲッターから守る為に、犠牲になろうとしたんじゃない』
ウヅキ「ミオちゃん…」
ミオ『ウヅキ…。全ての存在はみんな同じエネルギーから発生しているんだ。生と死ももちろん、物質も生物も全て同じところから発生して、同じところに還って往く。そして進化は繰り返され、宇宙は存在していくんだ』
ウヅキ「私達が存在している限り、宇宙は消えない…」
ミオ『そして、その宇宙を守る為に、ゲッターは存在している』
ウヅキ「それが、それが真実だとしたら、私は…!」
ミオ『何も恐れることはないよ。行こう、シマムー!』
ウヅキ「……はいっ!」
ミオ『ははっ!良い顔。その目を待ってた。行こう!!』
ウヅキ「神を名乗る無法者が、宇宙を滅ぼす前に!」
ウヅキ「発進──!!」
ギンッ
──。
黒平安京。その頭上に重くのし掛かった暗雲と、暗雲を照らす光によって、赤黒く禍々しい空の下、悠然と、しかしその場にいる者全ての注目を浴び、宙に佇む異質な存在。
美波「黒い…」
かな子「真ゲッターロボ…?」
美波(何だろう…。何処と無くだけど、雰囲気もブラックゲッターに似てるような…)
號 「…んだよ…!どう言うことだよ!?真ゲッターを破壊するって話じゃなかったのか!?どうして動いてやがるッ!?」
ウヅキ「……些細な事を、気にしてる場合ですか?」
號 「あン?」
窮鬼獣《グゥアッ!!》
號 「うぉッ!?」
こちらの死角を突き、背後から強襲を仕掛けてくる窮鬼獣。咄嗟に身を翻し、ブーメランソーサーで反撃するが、それも軽快に躱されてしまう。
號 「…クソッ!」
剴 「確かに、真ゲッターに気を取られている場合じゃなさそうだな」
號 「剴!」
渓 「言いたいことは分かるよ?だけどここは一旦落ち着いて!」
剴 「真ゲッターを破壊しようがしまいが、ここを乗り切らなくては、未来はないんだぞ」
號 「畜生ッ!何だってンだ!ドイツもコイツも!!」
マクドナル「真ゲッターロボ…!あれほど我らを拒絶しながら……やはり人類を選ぶのか…!……うぉっ!!?」
莉嘉「えっへへっ☆隙あり~」
マクドナル「小癪な…!」
莉嘉「きゃっ!」
ゲッターアークの目と鼻の先に突き付けられた龍頭から放たれた重力光線を、辛うじて躱す。
莉嘉「ゲッタービーム!!」
マクドナル「ぐっ…!」
莉嘉「こっちだって何時までもやられっぱなしじゃないんだ!隙を見せたんなら潔く、倒させてもらうよ…!」
マクドナル「くぅぅ…!行け、饕餮鬼獣!」
饕餮鬼獣《!!!》
黒い真ゲッター目掛け、饕餮鬼獣が飛び掛かった。
ウヅキ「──」
ミオ『敵が来るよ、ウヅキ』
ウヅキ「!!」
爪を立て、襲い掛かる饕餮鬼獣を、黒い真ゲッターが殴り飛ばす。
饕餮鬼獣《!!?》
マクドナル「ぬぅ…!」
友紀「あれが、真ゲッターの力…」
ウヅキ「…──!!」
ウヅキ「そうか、これが真ゲッターロボ…!そして、私の使命は──!」
饕餮鬼獣《!!!》
ウヅキ「っ…!」
饕餮鬼獣が大きく口を開く。その口へと大気を吸い込むと共に、黒い真ゲッターからもエネルギーを吸い上げ始めた。
ウヅキ「これは…?」
マクドナル「フハハハ…!饕餮鬼獣の誇る無尽蔵の食欲だ。真ゲッター程度のエネルギーなど瞬く間に…」
ウヅキ「瞬く間に、何?」
マクドナル「!!?」
真ゲッターからエネルギーを吸収する、饕餮鬼獣の体が、風船のように膨れていく。
ウヅキ「どう?ゲッター線の味は?さぞ美味しいんでしょう」
饕餮鬼獣《……!!》
ウヅキ「そんなに欲しいのなら…!」
黒い真ゲッターの右腕に、エネルギーを集束させる。
ウヅキ「好きなだけ、喰らえッ!!」
バォッ
腕を突き出す動作と共に、ゲッタービームのような光線が放たれ、そのまま饕餮鬼獣を貫き、粉砕した。
饕餮鬼獣《──》
マクドナル「バカなぁ…!?饕餮鬼獣…!」
莉嘉「これで、頭数もこっちと一緒だ!」
マクドナル「ぬぅぅ…!」
「気圧されるでない、マクドナルッ!!」
リン「この声は…」
マクドナル「晴明様!」
ウヅキ「……!」
上空に黒く濃い紫の暗雲が立ち込め、その暗雲から幾重もの紫電の雷が降り注ぎ、黒い真ゲッターを打ち付ける。
ウヅキ「ぐっ…!」
晴明「このままゲッターの隙にさせて良い道理など、ある筈がない。有数の星々の命運の為に。我々こそが正義だと、違えるな!!」
剴 「安倍晴明…!やはり生きていたか!」
友紀「何…?雲の中から何か出てくる…?スゴく、巨大な…!」
かな子「鬼獣!?」
ゲッターをも遥かに凌ぐ巨体で、黒平安京にゆっくりと舞い降りたのは、灰色の体を持つ、これまでの鬼獣とは比べ物にならない程の、圧倒的存在。
晴明「必ずや、この宇宙から消し去ってくれる、この鬼獣王で!!」
ウヅキ「さっきまでの余裕はどうしました?それだけ、ゲッターが怖い?」
晴明「黙れ!貴様に受けた屈辱…!その身の芯まで刻み込み、この晴明に傷を付けた事を、無間地獄の彼方まで後悔させてくれるッ!!」
ウヅキ「どうやらそっちが本来の”顔”みたいだな。丁度良い」
そう言いながら、黒い真ゲッターが肩から抜き放ったのは、自身と同等程の長大な柄に、鈍く光る黒い刃が対象の首を狩り取るように反り描く、大鎌だった。
ウヅキ「ゲッターサイト…!」
晴明「さながら告死の死神と言うわけか!面白い!!この晴明を黄泉へと誘えると思うなよ!!」
黒い真ゲッターが見上げるほどの体躯を誇る鬼獣王。ゲッターサイトを構え、対峙する。
友紀「真ゲッターにウヅキが乗って……晴明まで出てきて…!あぁもう訳分かんない!どうなってんの!?」
リン「友紀が焦ったところで何にもならないよ。ウヅキが真ゲッターを動かしたんだ。こっちはこっちで…」
檮杌鬼獣《!!!》
リン「何とかしなくちゃね…!」
檮杌鬼獣の突撃を往なして、着地。
檮杌鬼獣《!!》
リン「!?」
新ゲッター2の動きに反応して、身を翻した檮杌鬼獣が、宙返りするように身を捻らせ、新ゲッター2の前に着地。
リン「器用な立ち回りも出来るんだね」
友紀「言ってる場合……ゴフッ」
檮杌鬼獣の拳が新ゲッター2の鳩尾に突き刺さり、吹き飛ぶ。
リン「ガッ…!」
檮杌鬼獣《!!》
廃墟の家屋を薙ぎ倒して、倒れ伏した新ゲッター2に、檮杌鬼獣が迫る。
檮杌鬼獣《ブォオオオオッ!!》
リン「ぐっ…!」
マウントポジションを取り、新ゲッター2に対して優位を取る檮杌鬼獣。新ゲッター2は左右の腕を交互に突き出し、懸命に抗う。
リン「くっ…!」
友紀「上手く払い除けられないの!?」
リン「パワーが上がらない!」
友紀「くっそ~…!こっちからじゃ手助けなんて出来ないし、一体どうしたら…」
バォッ
檮杌鬼獣《!?》
リン「何!?」
檮杌鬼獣が仰け反る。その怯んだ隙を逃さず、アームで殴り拘束から逃れる新ゲッター2。
友紀「た、助かった~…」
リン「けど今の攻撃……まさか!」
新ゲッター2が視線を向けた、遥か先、そこには、
美世「ほ、ホントに当たった~…」
茄子『ナイスショットですよ、美世ちゃん』
美世「ナビゲートありがとう!何だか茄子がすぐ傍にいるみたいに感じるよ!」
茄子『心は何時も、美世ちゃんの傍にいますよ~』
美世「あはは…!茄子が言うと冗談に聞こえないなぁ……っとぉ!?」
低空飛行で家屋に激突しそうになる寸前。強引に機首を上げた急上昇で衝突を躱し、上空に上がるその影は、
リン「あれは、Gアームライザー!!」
友紀「完成してたの!?やりぃ!」
美世「アンタ的にはランニングホームランギリギリセーフ、ってトコかな?」
友紀「美世が操縦してるの?大丈夫?!」
美世「それは私が一番心配してるけどさ…」
茄子『黒平安京まではこれました!あとは何とでもなる筈です!』
リン「心強いよ、まったく…!」
瓦礫を押し退けて立ち上がる、檮杌鬼獣に対峙する。
リン「若いのが頑張ってるのに、私がやられっぱなしじゃ、カッコつかないよね!」
一歩を強く踏み込み、檮杌鬼獣目掛けて突撃。
リン「──ゲッタービジョン!」
と、見せ掛けた高速機動。
檮杌鬼獣《???》
敵を見失い、辺りを見渡す檮杌鬼獣。
リン「──!!」
檮杌鬼獣《!!?》
しかし、新ゲッター2が現れたのは真後ろ。
リン「ドリルアームッ!!」
その脳天からドリルアームを突き入れ、檮杌鬼獣を粉砕する。
リン「ふぅ…」
友紀「美世達のお陰で、何とかなった!アリガト!」
美世「あははは…。どういたしまして…?」
リン「直ぐに號達の救援に向かって。號達には、Gアームライザーの力が必要だよ」
美世「う、うん…!……で、號達はどっち?」
友紀「レーダー見れば分かるでしょ?」
美世「レーダーって、簡単に言うけどさぁ…」
茄子『そっちはセンサーですよ~』
美世「何が違うのさ~~~!!」
リン「黒平安京の中央で、デカく陣取ってる奴がいるでしょ?ウザーラと、今は晴明が操ってる、鬼獣王とか言う奴。アイツらを挟んだ、反対側だ」
美世「へぇ~。あー……え~っと、もしかしてグルッと回っていかなきゃ行けない感じ?」
友紀「真ん中を突っ切って行けば直ぐだよ!」
美世「む、無理無理!ムリでしょ!?あんな大怪獣総進撃みたいなど真ん中突き抜けていくなんて!絶対標的にされる!」
茄子『正に、飛んで火に入る何とやら、ですからね』
美世「そんなんなったらあんな奴の攻撃なんて避けようないよ。自信持って言える」
友紀「ちょっとは自分の操縦技術に自信持とうよ」
美世「Gアームライザーが車だったら…!」
リン「何でもいいけど、時間に余裕はないよ。戦闘時間も大分長引いてる。號達のゲッターのエネルギーも残り少ない筈だ」
鬼獣王《!!!》
美世「ひぃッ!けど、そうだよね!號達を助けるために来たんだもんね!」
友紀「おっ、覚悟決めた?」
美世「真ん中を突っ切るようなバカはしないけど!」
黒平安京中央、ゲッターアークや黒い真ゲッターが相対する百鬼ウザーラや鬼獣王の様子を伺いながら、中央のやや外側、比較的距離の短いルートを選び、回り込んでいく。
窮鬼獣《!!!》
號 「なろぉ!コイツ…!ちょこまかとぉ…!」
剴 「號、エネルギーの残量が、20パーセントを切った!もうマグフォース・サンダーは使えない!」
號 「チッ…!ブーメランソーサーに、レッグブレードを合わせても、10分でケリを着けなきゃならねぇってか!」
渓 「そんな、今まで1発も攻撃が当たってないのに…。一体どうすれば…」
號 「弱音は吐きたくねぇが、せめて奴の足を止められりゃぁ…!」
窮鬼獣《!!!》
渓 「號、後ろ!」
號 「チィッ…!」
美世「うぉりゃぁああああ~~っ!!」
窮鬼獣《!!?》
ゴシャアッ
ゲッター1号の背後から忍び寄った窮鬼獣に、その真横からGアームライザーが全速力で迫り、激突。
號 「何だ?ありゃぁ…」
窮鬼獣と接触したまま、彼方へと連れ去るGアームライザー。
剴 「Gアームライザー、完成したのか!?」
茄子『はい。號さん達が待ち望んでるものも、ちゃんと持ってきましたよ』
號 「マジかよ!?こりゃぁどん底からの逆転サヨナラだぜ!!」
渓 「待ってよ!いきなり実戦で、ぶっつけ本番でやる気!?」
號 「上等だろうが。ここで一発、形勢逆転だぜ!」
そう言って、一歩。ゲッター1号の踏み込みを強く、
號 「っ……らぁッ!!」
宙空へと躍り出る。
茄子『美世ちゃん、私達も』
美世「う、うん…!」
Gアームライザーを制動。鼻先に乗せていた窮鬼獣を地面へと落とし、機首を上空へと持っていく。
美世「プロテクターの制御は任せちゃってもいい?」
茄子『はい。遠隔操作でも出来るよう、予め調整してくれたんですよね?』
美世「予めって言うか、元は自律制御だった時の予備、だったんだけどね…」
上空で旋回。機体の軸を、ゲッター1号に合わせる。
茄子『號さん、準備いいですか?』
號 「おう、何時でもやってやろうじゃねぇか!」
茄子『では、エネルギープロテクター、射出します!』
號 「プラズマエネルギー、放出!」
Gアームライザーから、ゲッター1号へ向けて放たれた装甲片。それが、放出され、電磁石のような働きをするプラズマエネルギーに引き寄せられ、導かれるようにゲッター1号の腰に、脛に、胸に吸い付いていく。
剴 「エネルギープロテクター、ドッキングを確認」
渓 「システム・リンク……完了!號、プロテクターからの増幅エネルギーだよ、受け取って!」
號 「来たぜ来たぜ来たぜぇ~~~!!正にフルパワーチャージ・セットアップ!」
装着された装甲片、エネルギープロテクターから、増幅されたエネルギーを受け取り、ゲッター1号の尽きかけていたエネルギーが、再び甦る。
號 「これが俺達のゲッターの真の姿、強化型ゲッターロボ1号いや…」
號 「スーパーゲッター號だァ~~ッ!!」
ゲッター1号改め、スーパーゲッター號が、瓦礫を押し退け立ち上がった窮鬼獣と対峙する。
窮鬼獣《……!!》
號 「へっ、これで形勢逆転だぜ、トラ助」
窮鬼獣《!!!》
爪を、牙を立てて飛び掛かる。が、
號 「スーパーゲッター號だと…!」
窮鬼獣《!?》
號 「言ってんだァ!!」
豪腕を振るい、窮鬼獣の横っ面を強打。自慢の牙をへし折り、再び瓦礫の山へと吹き飛ばす。
號 「へへへっ、流石のパワーだ。負ける気がしねぇ!」
剴 「雑魚相手に時間を取られるな。次で仕留めに行け!」
號 「あいよ。相変わらず厳しいぜ…」
渓 「ソードトマホークでやっちゃえ!」
號 「おう、行くぜ!」
スーパーゲッター號がその両拳を打ち合わせる。
號 「磁鋼剣・ソードトマホォォォークッ!!」
それは、鍔にトマホークが付いた両刃の剣。
號 「おりゃ!」
瓦礫で上手く身動きが取れない窮鬼獣に、突貫。
號 「だぁぁりゃァッ!!」
大上段からソードトマホークを、先ず一閃。
號 「!!」
続けざまに刃を返し、横一閃。窮鬼獣を十字に斬り伏せた。
號 「へっ、どんなもんだよ?」
渓 「ヒュー、カッコイイ!」
剴 「勝った気でいるな。まだ大物は残ってるぞ」
號 「分ーってるよ。こっちはまだまだ戦いたくてウズウズしてんだ…!」
立ち上がり、宙を仰ぐ。
號 「晴明…!テメェから出てきたってンなら、都合がいい。その首叩っ斬ってやるぜぇ!!」
その狙いを、晴明が駆る鬼獣王へと向け、跳躍した。
ウヅキ「……!」
バックステップで身を翻した、黒い真ゲッターの眼前で砂塵が舞う。大木よりも一層太い鬼獣王の腕が、地面から生えてきているようにも見えた。
ウヅキ「トマホーク、ブーメランッ!」
左手を肩口に掛け、横へ一気に振り払う動作で、一度に複数のトマホークをブーメランとして投擲する。が、
晴明『侮るなよ。最早真ゲッターなどと、取るに足る相手ではないわッ!!』
ウヅキ「……」
鬼獣王の強靭な皮膚は、トマホークの刃すら、容易くは通さない。
ウヅキ「…ゲッターサイト!」
再度ゲッターサイトを構え直し、鬼獣王の放つ光線を右へ左へと素早く移動して躱しながら肉薄。
ウヅキ「やぁッ!!」
勢いよく振り下ろすも、カツンともカキンともつかない軽い音が響くだけ。
ウヅキ「……」
晴明『蚊でも、刺したのかァ!!』
ウヅキ「?!」
振り下ろされた最早鉄球そのものと言った鬼獣王の右腕を、ゲッターサイトの柄で辛うじて受け止めるが、黒い真ゲッターはその衝撃で吹き飛ぶ。
ウヅキ「ゲッタービーム…!」
受け流した衝撃でやや距離を取りつつ、ゲッタービームを放つ。
晴明『ふはははっ!温い、温いわッ!!そんなものォ!』
晴明は鬼獣を全体を覆い尽くすほどの結界を展開。ゲッタービームを防ぎきる。
ウヅキ「…やれやれ」
ミオ『ウヅキ1人じゃ、流石にキツい?』
ウヅキ「キツいと言う訳じゃ、ないですけど」
ミオ『お、強がり?珍しいねぇ。けど、大丈夫』
ウヅキ「?」
ミオ『もうすぐ…』
號 「晴明、覚悟ッ!!」
晴明『何!?』
鬼獣王の後頭部に、空中から飛来したスーパーゲッター號の飛び蹴りが刺さる。不意の攻撃に、鬼獣王の巨体が、わずかに揺らいだ。
晴明『貴様は、一文字號…!』
號 「へっ、覚えてもらえて光栄だぜ。その礼に、地獄へ送ってやる!」
晴明『ほざけ!貴様如き蟻風情に、何が出来よう?!』
號 「男児三日会わざればカツも喰ってみせよってよ!」
剴 「刮目して見よ、だ。大事なところを間違えるな」
號 「そうだったかァ?兎も角、今のコイツはただのマシンじゃねぇ。俺達人間の持てる力の全てを注いで完成した、スーパーゲッターロボだ!」
晴明『はン!人間程度の持てる力など…。叩き潰してくれるわァ!!』
號 「やってみろ!!」
振り下ろされた腕を跳躍で躱す。思い切り地面を打ち、土煙を上げるその腕に着地、ソードトマホークをその表面に突きつけ、
號 「うおりゃぁあああああッ!!」
腕を斬り付けながら、鬼獣王の頭部を目指し駆け上がる。
晴明『甘いわ!!』
號 「うぉ!?」
鬼獣王の口から放たれた紫炎の業火。迫っていたスーパーゲッター號を炙るが、
號 「っぶねぇ~。もう少しで丸焼きになるトコだったぜ…」
空かさず飛び退いたことで、直撃は避ける。
ウヅキ「あれが逆転の鍵、ですか?」
ミオ『そう。2つのゲッターの力を合わせて、奴を倒すんだ』
ウヅキ「2つの力を…」
そう言いながら、視線はスーパーゲッター號が握るソードトマホークへ注がれる。
ウヅキ「剣…。そうだ」
そう言って次に視線を向けるのは、操縦席の脇に立て掛けられた、抜き身の童子切丸。
ウヅキ「これなら…」
ミオ『それを使うつもり?』
ウヅキ「最初から、分かっていたんでしょ?」
ミオ『さぁ。けど、運命は無数にあるからね。ウヅキはその中から、1つを選んだ。それだけの事だよ』
號 「マグフォース・サンダーッ!!」
スーパーゲッター號が、合体したことで強化されたマグフォース・サンダーを放つ。
晴明「そんなものがァ!!」
號 「へっ、正真正銘の化け物かよ!」
晴明「所詮はその程度!人間の技術など、恐るるに足らず!!」
友紀「だったらこれは、どう!?」
晴明「!?」
鬼獣王の背後から放たれ、シュルシュルとその全身に巻き付くのは、
號 「友紀義姉!!」
新ゲッター3のパワーアーム。
友紀「へへっ、新ゲッター3参上!!加勢するよ!號、ウヅキ!!」
晴明「おのれ…!乗り手の足らぬゲッターなど…!」
鬼獣王が身を捩り、新ゲッター3の拘束を解かんと暴れまわる。
友紀「パイロットが足りない分は~~~…!気合いで補う!!」
晴明「気の持ちようで何とでもなるなどと…!真に思っておるのかァ!!」
友紀「あっ!」
新ゲッター3の延びきったアームを逆手に、軽く持ち上げ、反対側へと叩き付けた。
渓 「友紀義姉ちゃん!」
友紀「ダイジョーブダイジョーブ!生きてる生きてる!!しっかしホント参ったな~。ウヅキ1人欠けるだけで、こんなにパワーが上がんないとは…」
リン「ゲッターのパイロットの意味、身に染みて分かってくれた?」
友紀「うん!でもまぁ、今はやれるだけの事を全力で、やるだけだぁ!!」
体勢を立て直し、新ゲッター3のミサイルサイロを開く。
友紀「ミサイルストーム、発射ぁ!!」
ミサイル一斉射による雨あられを、鬼獣王に見舞った。
晴明「うぐっ…!」
號 「まだあるぜ!」
晴明「!?」
號 「ダブル・ナックルボンバー!!」
ミサイルストームで怯んだ鬼獣王の鳩尾に、ダブル・ナックルボンバーをお見舞いし、ついに鬼獣王を、黒平安京の大地に伏せた。
ウヅキ「……」
ミオ『なかなかやるじゃん。新しい世代も』
ウヅキ「…しばらくゲッターを任せます」
ミオ『あいよ』
晴明「ぐ……!調子に乗るなよ…!愚かなサル共がァアアッ!!」
友紀「うっ…!何…?」
號 「奴さん、いよいよマジになりやがったか!」
友紀「…へぇ。それじゃあ、追い詰めてはいるってことだ!」
剴 「強がっている場合じゃないですよ。新ゲッターのミサイルに、自分達のダブル・ナックルボンバーでも、ほとんどダメージになってないと見るに…」
リン「ネガティブになったら、今度はこっちが押し切られる。どんな状況でも、気持ちは強く持つんだ。剴!」
剴 「……了解!」
號 「へっ!言われなくても、ソードトマホークが折れたって諦めてやらねぇよ!」
友紀「人間の底意地の悪さ、晴明の骨身に嫌って程分からせて上げないとね!」
渓 「うん?真ゲッターロボが……ウヅキさん?」
黒い真ゲッターが、やや鬼獣王よりも上を位置取るように上昇し、フェイスガードのように真ゲッターの頭部下半分を覆うハッチを開いている。
剴 「一体何をするつもりだ?」
號 「いよいよ気でも狂ったってかよ?」
ウヅキ「……」
童子切丸をグッ、と握り締め、
ウヅキ「……はっ!」
宙へと身を投げた。
リン「……!」
號 「!?」
渓 「嘘ぉ!?」
友紀「ゲッターから飛び降りた!?」
剴 「何を考えているんだぁ?!」
晴明「死にに来たかァ!!」
逆手に刃を構え、鬼獣王目掛けて落ちるウヅキに、鬼獣王の腕が迫る。
晴明「握りつぶしてくれるッ!!」
號 「させるかよ!!」
晴明「!?」
ウヅキに向かって伸ばされる腕に、スーパーゲッター號が組み付き、全身の力を持って、腕の動きを制する。
晴明「此奴め…!」
號 「いけぇええええ!!シマムラ・ウヅキィイイイッ!!」
ウヅキ「!!」
空いているもう片方の腕が動く前に、ウヅキの小さな体はスッと鬼獣王の懐へと落下。
その胸の中央部分に、深々と童子切丸を突き立てた。
ウヅキ「……!」
童子切丸から手を離し、再び身を宙へ。落下し行くウヅキの体を、真下に回り込んだ黒い真ゲッターが回収する。
號 「すげぇ…。あの刀、奴の体を貫きやがったぜ」
晴明「こんななまくらなど…!蚊に刺されたほどでもない」
ウヅキ「刀の部分を攻撃してください」
號 「何だって?」
剴 「成る程、あれは蟻の一穴か!」
號 「アリの……いっけつ?」
剴 「そう、千里の堤も蟻の一穴から。どんな堅牢な砦であろうと、些細な綻びから崩れ落ちる!」
號 「成る程、そう言うことかよ!」
リン「友紀、こっちはゲッター1に合体する。急いで!」
友紀「? 1号機たって、パイロットがいないよ?」
リン「操縦は私がするから。早く分離を!!」
友紀「そんなに急かして……一体何なんだか。──オープンゲット!」
リン「チェーンジゲッター、1ッ!!」
號 「行くぜぇえええッ!!」
組み付いていた腕を蹴り付け、跳躍。上空で新ゲッターが1号に合体する先で、ソードトマホークを構え直したスーパーゲッター號が突貫。
晴明「思い通りになど…!」
ウヅキ「今度は、私が相手です」
スーパーゲッター號へと狙いを定めた鬼獣王に、黒い真ゲッターが立ちはだかる。
晴明「小癪な…!」
號 「おりゃぁああああッ!!」
そしてスーパーゲッター號が、鬼獣王の胸部、童子切丸をその上から、押し潰すようにしてソードトマホークを突き刺した。
ウヅキ(有り難う御座います。童子切丸…)
號 「さぁ、やっとここまで来たぜ……晴明!」
晴明「ぐぅ…」
號 「渓、プラズマエネルギー、フルパワーだ!」
渓 「オッケー!」
號 「これが、堤を砕いて押し流す!俺達の激流だ!!」
ソードトマホークの剣先から、青白いプラズマの光が迸る。
號 「トマホーク…!サンダァアアアーーッ!!」
晴明「お……おぉおおおおお…?!」
鬼獣王の内側に放たれるスーパーゲッター號のプラズマエネルギー。装着されたGアームライザーのエネルギー増幅プロテクターによって、本来の規定量を遥かに凌いでいるそれは、凄まじい光熱となって鬼獣王を内から焼き尽くした。
號 「どうだ!これが、人間の力だァア!!」
晴明「こ、こんな事が……この晴明が、人間如きに…!」
ウヅキ「離れて下さい」
號 「おう!」
ソードトマホークを手放し、離脱するスーパーゲッター號。その後ろには、黒い真ゲッター、新ゲッター1が並ぶ。
ウヅキ「準備はいいですか?リンちゃん」
リン「当たり前でしょ。ふふっ、こうして並ぶとちょっと不思議な感じがする」
友紀「人間の力に、ダメ押しだぁ~!!」
ウヅキ「ゲッター…!ビィィームッ!!」
ダブルゲッターから放たれる、2筋のゲッタービーム。最大限の力を込めて放たれたビームは、真っ直ぐにソードトマホークの柄尻に直撃。そこから先程のプラズマと同様に刀身を通して鬼獣王の内側で弾け、炸裂していく。
晴明「うぉぉぉ…!忘れぬ……決して忘れぬぞ…!この屈辱…!この敗北…!我は、必ず──!」
プラズマとゲッター線の光に包まれ、消えていく晴明の体。
晴明「おのぉぉぉおれぇぇぇえ──!!」
おぞましくも聞こえる断末魔の叫びを残し、鬼獣王は跡形もなく消滅した。
號 「へっ、呆気ねぇもんだぜ」
ウヅキ「これで、残るは…」
莉嘉「きゃああああああッ!!」
地面に強かに叩き付けられたゲッターアークが、瓦礫を押し退けてゆっくりと身を起こす。
マクドナル「おのれ…!人間共め!よくも晴明様を…ッ!!」
莉嘉「ツイントマホーク!ランサァアーーッ!!」
地面を踏み込み跳躍。柄尻を付き合わせたトマホークランサーに、渾身の力を込めて振るう。
マクドナル「そんな惰弱な力で!」
莉嘉「くっ!
マクドナル「滅せよ!!」
ウザーラの龍頭の口から直接放たれた、先程までの落雷型の重力光線とは異なる大口径の破壊光線。ゲッターアークの装甲を焼き、衝撃で再度地面へと叩き伏せる。
莉嘉「ぐぅ…」
友紀「莉嘉ちゃん!?みんな!!」
剴 「流石に分が悪そうだ」
號 「おう。早く助けに…」
ウヅキ「待って下さい」
號 「はぁ!?」
ウヅキ「今は、まだ」
友紀「今はまだって…」
渓 「このままじゃ莉嘉達が死んじゃうよ」
リン「ウヅキ」
ウヅキ「……」
莉嘉「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…ッ!!」
だらりと力なく腕は下がり、立ち上がるのもようやくの状態。コックピットのパイロット達も、ヘルメットを失い、スーツは所々が裂け、焼けて。出血が片手では抑え切れない程あちらこちらから流れ出している。
正に満身創痍。正に絶体絶命。
しかし、その状態になって尚、瞳は光を失わず、力強く足を踏みしめ、ゲッターアークは立っていた。
マクドナル「まだ立ち上がるか」
莉嘉「へ……へへへっ…☆諦めが悪いのが、人間の良い所みたいだからさ」
マクドナル「世迷い言を。既に万策は尽きた。ゲッターも死に体、貴様は兎も角、共に戦う仲間達の心も折れ掛かっている」
かな子「っ…!」
美波「……」
マクドナル「死を前にしてはいかなる生命体も無力なものよ。最早貴様1人の強がりなど、何の意味もない!」
莉嘉「強がりなんかじゃないやい!アタシは、絶対絶対ぜ~ったい、アンタに勝つ!!そのためにここにいて、ここで戦ってる!」
マクドナル「ほう、ではどうする!?」
莉嘉「…さぁね!」
マクドナル「やはり、策などないではないか!」
莉嘉「そんなの最初からないよ!万策なんて言うほど、頭良くないし!ほんのちょっとの発想と直感!それが1万の作戦の中にない逆転の一手を生むかもよ?」
マクドナル「ほざけぇッ!!」
莉嘉「うわ…っ!!」
再び、雨のような重力光線の雷が、ゲッターアークを襲う。
マクドナル「貴様らの滅びは最早変えられぬ!!せめて潔く、散るが良いッ!!」
莉嘉「ぐぅ…!」
辛うじてゲッターアークを飛翔させ、重力光線を掻い潜る。
莉嘉「変えられないことなんてあるもんか…!越えられないものなんてあるもんか!絶対諦めてなんて、やるもんかァアッ!!」
ミオ『今──』
ウヅキ「……うん」
マクドナル「トドメだぁッ!!」
莉嘉「!?」
ウヅキ「──っ!!」
マクドナル「ぬぅ!?」
百鬼ウザーラとゲッターアークの間に、黒い真ゲッターが割って入り、百鬼ウザーラが放った破壊光線を、トマホークで弾き、彼方へ吹き飛ばす。
マクドナル「貴様…!順番に片付けてやろうと言うに、わざわざ死にに来たか!」
ウヅキ「…莉嘉。いや、アークチーム」
莉嘉「……?」
ウヅキ「受け取って!」
そう言って、ゲッターアーク目掛けてゲッタービームを放つ。
莉嘉「!!──」
マクドナル「ふははははっ!何をしている?まさか仲間割れか?」
ウヅキ「……」
號 「アイツの言う通りだ!味方を攻撃するのに、何の意味があるってんだ?!」
友紀「止めなくて良いの?司令!」
リン「…うん」
友紀「え?」
剴 「攻撃、にしては様子が違うようだぞ」
渓 「…一体何が起こってるの?」
ウヅキ「ゲッター線は、進化を促すエネルギー」
マクドナル「だから、何だと言うのだ?」
ウヅキ「怖し、貶し、奪う。貴方達とは違う」
莉嘉「──!!!」
莉嘉(何だろう。スゴく、全身が温かい…。この感じ、スッゴく怒られた後、お姉ちゃんに抱き締められた時に似てる…)
莉嘉(温かくて、懐かしくて、優しい…。ずっとここにいたいって思っちゃう。目の前まで真っ白で、何にもなくて、自分が何なのかも分かんなくなって…)
莉嘉(でも、ダメなんだ。それは甘えなんだって。そう言うんでしょ?大将)
主任『……』
莉嘉「分かってるよ。莉嘉はまだ生きてるもん。だから全力で生き続けて、やれるとこまでやってやる!だから、見てて!」
主任『──』 コクリ
莉嘉「アタシは──!!」
ドワァァアッ
マクドナル「むぅ!?」
まるで、朝日が上るような光景だった。ゲッターアークを包み込んでいた、黒い真ゲッターロボのゲッタービームの光を呑み込んでいくように広がり、それは1つの光の柱となって天を貫く。
莉嘉「アタシはアタシだ!城ヶ崎莉嘉だ!!」
深く傷付いたゲッターアークに、光が戻る。
マクドナル「所詮こけおどしよ!」
莉嘉「本当にそう見える?」
マクドナル「……!」
莉嘉「正義とか、大義とか、そんなこと分かんない!だけど、アタシはアタシで、アタシには生きていてほしい人が一杯いて、みんなと作りたい未来があるんだ!」
ビシィッと威勢よく百鬼ウザーラを指差す。
莉嘉「それを邪魔しようってアンタが言うから、許せないんだ!!」
マクドナル「遠い未来よりも目先の願望か!」
莉嘉「当たり前じゃん!今を楽しく、幸せに出来ない奴が、100年先の未来を良く出来るもんかァ~!!」
ゲッターアークを包み込む。光がゲッターアークの中へと収束し、その身に眩い光のオーラを纏う。
莉嘉「ゲッタァァァアアアアアッ!!シャァァァインッ!!」
ゲッターアークのエネルギーを高めていく。
號 「うぉッ!?何だ、この輝きは…!!」
剴 「凄まじいゲッターエネルギーだ…!ゲッターのコンピューターでも、計測出来ない…っ!」
渓 「まるで、太陽…」
友紀「あ、あんなの撃って、ホントに大丈夫なの!?10年前みたいになるんじゃ…!」
リン「それは…」
ウヅキ「心配は要らない」
友紀「え?」
ミオ『大丈夫だよ、だってあの娘達は──』
ウヅキ「……」
マクドナル「所詮は破れかぶれ!喰らぇえぃッ!!」
エネルギーを高めるゲッターアークにトドメを刺さんと、百鬼ウザーラは破壊光線を放つ。
マクドナル「!!」
莉嘉「──!!」
しかし、ゲッターアークをバリアのように覆う高濃度のゲッターエネルギーが、その破壊光線を受け止め、吸収していく。
マクドナル「おのれ…!我が力をも己の力とするつもりか!?ゲッターめ!!」
莉嘉「うぅぅぅぅぅッ!!」
かな子「スゴい…。今のエネルギー量だけでも、真ゲッターの数倍以上…!それなのに、炉心が安定してる!これなら…!」
莉嘉「まだ!!」
かな子「えっ?」
莉嘉「エネルギーがうまく上がらないっ!」
かな子「エネルギーが…?あ……キリク号!」
美波「……っ」
莉嘉「美波、お願い!力を貸して!!」
美波「私…」
莉嘉「やっとここまで来たんだ!ここまで来れたんだ!!アタシは、こんなところで終わりにしたくないっ!」
美波「……」
莉嘉「今ならよく分かる…。美波が感じてる、不安も、恐怖も!だけど、怖がってるだけじゃ進めないの!塞ぎ込んじゃったら、全部ダメになっちゃう!アタシは、アタシの未来が欲しいの!!」
美波「私は…!」
かな子「…私の知ってる卯月ちゃんが、よく知ってました。ゲッターの力を信じる、って。ゲッターの存在とか、私が今ここでこうしてる理由とか、確かに分からなくて不安に思うことはたくさんあるかもしれません」
美波「……」
かな子「だけど、何時だってゲッターは、私達が未来を繋ぐ為に力を貸してくれました!だから、あんな一方的で、暴力を押し付けてくる人なんかより、私はゲッターを信じます!」
美波「…っ!」
かな子「私達を信じて下さい、美波さん!」
莉嘉「お願い、美波。戦ってぇ!!」
美波「…っう!」
美波「うわぁああああああ──!!」 グンッ
ズォオオオオオッ
かな子「キリク号のエネルギー、来ました!」
莉嘉「これでぇ…!アタシ達の全力──!」
ゲッターアークの輝きが最高潮に達する。
莉嘉「うわぁぁぁぁぁぁぁ──!!」
かな子「ぁぁぁあああああ──!!」
美波「ああああああああッ──!!」
ゲッターアーク、天高く飛翔。正に太陽となって、天頂に輝く。
莉嘉「喰らえ…ッ!!」
思い、連なり、重なり。想い、1つに──。
かな子「アァァァクッ!!」
美波「シャインッ!!」
莉嘉「ボンバァァァアアア~~~ッ!!」
ズ ワ オ ォ ッ
光の柱が、太陽の輝きが、真っ直ぐに百鬼ウザーラに落ちる。堅牢な装甲をいとも容易く貫き、その内でエネルギーが炸裂し、百鬼ウザーラは太陽の中に呑み込まれる。
マクドナル「バカな…!こんな力が…!ゲッタァアアアアア──ッ!!」
百鬼ウザーラを打ち破り、地に咲いた光の華は、世界を照らした。
號 「これが、ゲッターロボの力、なのかぁ…?」
友紀「キレイ…」
百鬼ウザーラを倒して尚、溢れ返るゲッターのエネルギーは光の柱となり真っ直ぐに天へ延び、地球を汚染するなどと言うことはない。
ミオ『…成ったね』
ウヅキ「…はい」
ミオ『これで、私達の役目ももうすぐ終わりだ』
ウヅキ「でも、油断は出来ませんよ」
ミオ『誰に言ってるの?』
ウヅキ「それもそうですね」
戦いが終わり、息を吐きながら天高く上る光の柱を、モニター越しに掴むかのように手を伸ばす。
ウヅキ「天……それよりも高いところに、まだ──」
つづく
予告
安倍晴明を退け、世界に平和を取り戻したゲッター軍団。
しかし、ゲッターへの不信感を拭いきれない美波は、1人研究所を後にする。
知る人など誰もいない、心の拠り所も何処にもない異界の地にて、美波を待ち受けるモノとは?
また、ゲッターを狙う黒々とした怨念が静かに迫りつつあった──。
次回、『女神の黄昏』