~~~ 廃墟群 ~~~
晴明ロボ《オォォォオォォ……!》
美波「安倍晴明…!?どうしてここに……それに、あの姿は…!」
晴明『くっくっくっ…!ゲッターを離れ、この様な所に居ようとはな。新田美波!!』
美波「私を、追ってきたと言うの…?!私を狙って!?」
晴明『くくっ…!』
晴明ロボ中央下部。御者のような鬼が手綱をしならせ、晴明ロボが吠える。その雄叫びに呼応するように動いた触手の1つが、手近な廃墟のビルを破壊する。
破壊されたビルの破片が落下する先は、
子供達「「「……え?」」」
尼僧「っ!!」
美波「危ないッ!!」
咄嗟に飛び込んで子供達を抱え上げ間一髪、下敷きになるのは免れる。
女の子「きゃあっ!!」
美波「っ……!大丈夫?」
女の子「…うん」
美波(今の攻撃、明らかにこの子達を狙ってた…。私じゃなく…!)
美波「どうしてこんな事を!?」
晴明『分からぬか?それこそが貴様の贖いよ!!』
美波「贖い!?」
晴明『そうよ!ゲッターに関わった事を恨み、失意に打ち拉がれて、死ねッ!!』
無数の触手が波のように押し寄せてくる。
美波「……ッ!!みんな走って…!逃げてっ!!」
少年「う、うわぁあああああッ!!」
ダ-----ッ
美波達の背後に迫る触手の群れ。しかしその触手が実際に触れることは、今の所のない。
晴明『アーヒャッヒャッヒャッヒャ!!良いぞ良いぞ!精々逃げよ、惑え!一時でも余を愉しませてみせよ』
美波(こっちが逃げ惑うのを見て楽しんでるなんて…!)
少女「ねぇ、どう言うこと、なんですか?さっきまでの話…。あの人……鬼と知り合いなの?」
美波「……」
美波(私のせい…。私のせいなの?私がここにいたから…)
少女「ねぇ!!」
尼僧「それ以上、この方を責めてはいけません」
少女「先生……でも」
尼僧「人を憎んでも、過去は変わりません。また、命によって償われる罪もありません。今の私達に出来ることは、皆で生き残ることです。違いますか?」
少女「……」
尼僧「…良い子です。ですから、貴女も、自分を責めてはいけませんよ」
美波「……」
尼僧「貴女がここにいたから、貴女にこの子達を任せられるのです」
美波「えっ?」
尼僧「この先を少し行ったところに天然の洞窟があります。シェルターの代わりくらいにはなる筈ですから。子供達を、頼みます!」
美波「先生!!」
美波に子供達を託し、列から外れていく。
美波「先生、一体何処へ」
男の子「うわっ!」
美波「っ!」
躓き、転びかけた子を、辛うじて手を掴み、引っ張り上げる。
美波「しっかり!」
男の子「う、うん…!」
尼僧に言われた洞窟を目指し、足を止めることなく走り続ける。が、
晴明『どうした?足が重くなっているようだぞ?追いかけっこも限界かなぁ?』 クックッ…
美波「っ…!」
少年「はぁ……はぁ……はぁ…!も、もう駄目だ…。こうなったら、俺が囮に…」
美波「だ、ダメ…!そんなことしても意味は…!」
少年「けどよ、このままじゃみんな…」
美波「諦めないで!みんなの先生を信じるの!!」
男の子「そうだよ、兄ちゃん!」
少年「うぅ…!」
晴明『ふんっ、詰まらぬ。では先ず──』
ガンッ
美波「今度は何…!?」
晴明の言葉が遮られる。と同時、背後に迫っていた触手の群れが退いた。晴明ロボが怯んだせいだと気付いたのは、数刻遅れた後。
晴明『ふぅん?面白い。余興があったかぁ!!』
そう言って晴明が視線を向ける、その視線の先には、
美波「あれは、…ゲッター紫電!?」
突き出したドリルからは蒸気を上げ、所々が正規品ではないパーツで修復されてこそいるが、晴明ロボに相対するその姿は、間違いなくゲッター紫電。そして乗り込むのは、
尼僧「……」
美波「まさか、先生が乗っているの?それじゃあ先生は、本当に…!」
晴明「ふふふっ…!紛い物でさえなく、そのような間に合わせで、この晴明を相手にすると言うか!」
尼僧「…いきますッ!!」
シュバッ
晴明「身の程を知れッ!!」
それぞれが鋭い槍のように、先端を鋭く尖らせた触手が、ゲッター紫電に向かっていく。
シュンッ
晴明「何…?」
真正面から飛び込んだように見えたゲッター紫電。しかし触手の穂先が届く直前、その姿は消え、
尼僧「……!」
現れたのは背後。
尼僧「千極針ッ!!」
晴明の背後めがけ、ゲッター紫電のドリル、千極針の切っ先を叩き付けるが、
尼僧「ぐっ…!」
千極針が、怪物と化した晴明の背中を貫くことはなく、
晴明『……は』
尼僧「あぅ!」
纏わり付いた蝿を落とすように、叩き落とされるゲッター紫電。
女の子「先生!!」
美波(やっぱりゲッター紫電じゃ…。先生、それを覚悟で…)
──『目の前にある、手を差し伸べられる命を、無下にはしない』
美波「……」 ギュッ…
美波「みんな、足が止まってるよ。急いで」
少年「え……でも」
美波「私達の為に、時間を稼いでくれているの。急いで!!」
少年「う、うん…!」
ダッ──。
尼僧「くっ…!」
晴明「ふん…」
鞭のように振るわれた触手を、再度ゲッター紫電を高速機動させて回避。
晴明『ほぅ……まだ足掻くか。だが…』
ヒュンッ
尼僧「…!?」
晴明『動きが止まっているようだぞ?』
尼僧「っ……!!」
ゲッター紫電の足元に向けられた攻撃を、跳ね上がることで辛うじて躱す。
尼僧(…確かに、今のままでは……ですが!)
尼僧「お願いです、保って、下さいっ!」
晴明『む…?』
ゲッター紫電の速度が上昇していく。
尼僧「ゲッター影分身!!」
そして無数の分身を作り出し、晴明ロボを包囲した。
晴明『……愚策を、弄すな!!』
周囲に無数の触手を放ち、分身は掻き消されていく。が、
尼僧「私は、ここです…!」
ゲッター紫電の本体は、太陽を背負い、空中。
尼僧「やぁあああああッ!!」
ゲッター紫電の渾身の力を込め、千極針を突き立て、晴明ロボめがけ加速する。
晴明『……ハッ!』 ギンッ
尼僧「!?」
晴明の赤く染まった眼が怪しく光り、結界のような障壁がゲッター紫電の攻撃を食い止める。
尼僧「くっ…!」
晴明『惜しかったなぁ?しかし…』
バリバリバリバリィッ
尼僧「きゃあぁぁッ!!」
結界から千極針を伝いゲッター紫電に電流が奔る。
晴明『この程度ではなァ!!』
更に紫炎が噴き上がってゲッター紫電を天高く吹き飛ばし、無造作に地に落とす。
ズゥゥゥ……ン…
尼僧「ぐぅ……」
晴明『なかなか愉しませてもらったぞ。安心して眠るが良い』
晴明ロボ、晴明が従える魔獣の口が開く。その奥には、淡い紫を湛える怪しげな光が、その輝きを強めている。
尼僧「私は、まだ…!」
晴明『死ねェ!!』
晴明ロボから放たれた破壊光線が、ゲッター紫電に迫る。
ヒュンッ
尼僧「!! これは…!」
光線がゲッター紫電に直撃しようかと言う寸前、ゲッター紫電の目の前に何かが突き立ち、光線を弾いてゲッター紫電を守る。それは、
尼僧「真ゲッターロボの、トマホーク…!」
ウヅキ「無事、みたいですね」
尼僧「ウヅキ…!?それと……黒い、真ゲッターロボ…」
ウヅキ「お互いに、大分様変わりしましたね」
尼僧「そうみたいですね。ですが、今は…!」
ウヅキ「はい。死に損ないを、今度こそ…!」
晴明『死に損ないとは随分…。しかし、待ち焦がれていたぞぉウヅキ!貴様を地獄への道連れにするのを!!』
ウヅキ「勝手にこっちの未来を決めないで。地獄に落ちるなら、1人で落ちろ」
晴明『連れないことを言うな。さぁ、黄泉路へ共に旅立とうぞ…!』
ウヅキ「人間を捨てて、執念深くなったみたいですね」
莉嘉「ちょ~っと待ったぁ~~~!!」
尼僧「え?」
ウヅキと晴明、両者の緊張が高まったその合間を、ゲットマシンが駆け抜けていく。
莉嘉「私達も忘れてもらっちゃ困るよ☆」
かな子「莉嘉ちゃん!キリク号が自動操縦だから、あんまり先行しすぎないで…」
尼僧「そんな……嘘…」
ウヅキ「やっぱりそうなりますよね…」
尼僧「どう言うこと、なんですか…?」
ウヅキ「詳しくは長くなるので…。ただ、私達が知っている人達とは、良く似ている別の人と、そう思ってもらえれば」
尼僧「良く似ている、別の…?……なら!」
かな子「…あのゲッター紫電に似てるゲッター、乗ってるのは……もしかして…」
莉嘉「だとしても、今の晴明の方を何とかしなきゃ!」
かな子「…10年前の災害で、本当に色んな人が人生を狂わせたんだ」
晴明『それもこれも、貴様らが蒔いた種よ』
莉嘉「何!?」
晴明『ゲッター!貴様らの存在は、宇宙には不要なのだ!』
莉嘉「そうやって何でもかんでもゲッターのせいにして!そもそもアンタ達が攻撃してこなきゃ、アタシ達も戦ってないっての!」
晴明『果たして、本当にそうかなぁ?』
かな子「え…?」
晴明『地球に降り注いだゲッター線が、ハ虫人類を生んだのだぞ?ゲッターの存在は、戦いと共にある!貴様らがゲッターと共に生き続ける限り、こう言った破壊は避けられないのだ!!』
言いつつ、廃墟を無造作に破壊する。
尼僧「ゲッターの存在…」
ウヅキ「確かに、貴方の言う通りかもしれません…」
晴明『フンッ!』
莉嘉「だからって、そんな逆恨みみたいな屁理屈、聞き入れられる訳ないじゃん!」
かな子「そうです。貴方はただ、体の良い理屈に便乗して、自分の思うがままに暴れたいだけ…。そんなの、ただの我が儘です!!」
晴明「ほぅ…我を罵るか。この晴明を!」
莉嘉「散々人をバカにしておいて今更何を!行くよ、かな子!」
かな子「はいっ!キリク号、合体モード!」
莉嘉「チェーンジゲッター!アーーック!!」
ゲッターアークに合体し、晴明ロボに対する。
晴明『良かろう。手始めに2号機の乗り手からやるつもりだったが、どちらが先でも結果は変わらぬ!』
かな子「2号機の乗り手…。まさか美波さん!?」
莉嘉「だからこの近辺に現れたって言うの?やることが汚い!」
晴明『ほざきたければ、好きなだけほざくが良い!!』
ウヅキ「!?」
晴明ロボから放たれた無数の針による攻撃を、各ゲッターはそれぞれバラバラに動いて躱していく。
かな子「っ…!本当なら、美波さんと連絡を取って合流したいところですけど…」
莉嘉「この攻撃の中じゃ、ユーチョーに乗せてる暇もないよ!それなら…!」
両手にトマホークを構える。
莉嘉「先ずはコイツをブッ飛ばす!!」 グンッ
晴明ロボめがけ、突貫。
莉嘉「えいっ!」
晴明『ハァッ!!』
ズ シ ャ ァ ッ
晴明『!?』
莉嘉「てぇぇぇいッ!!」
晴明『くっ…!』
ゲッターアークの初撃に対して、結界で応じた晴明。しかし、振り下ろしたトマホークはその結界も容易く断ち斬り、すかさず放たれた2撃目のトマホークを飛び退いて躱す。
莉嘉「逃がすか…!」
晴明『この…っ!』
莉嘉「!!」
後退する晴明ロボを逃すまいと、真正面から飛び込むゲッターアークに対し、晴明ロボは紫炎を放つ。が、ゲッターアークは瞬間移動とも取れる目にも止まらぬ速さで上空に逃れ、攻撃を躱している。
晴明『これは…』
かな子「うぅ…!莉嘉ちゃん、今のは強引すぎじゃ…」
莉嘉「何言ってんの!相手は今までみたいなんじゃないんだよ?これくらい動けなきゃ!」
かな子「そ、それは、そうかもしれないけど…」
晴明(これは、思ったよりも面白いことになるやも知れぬぞ…) クククッ…
晴明『……?』
晴明が身を捩った。その鼻先をヒュンッ、と剣線が抜ける。
ウヅキ「貴方の相手は、アークだけじゃありませんよ」
晴明『無論、忘れてなどおらぬぞぉ…。シマムラ・ウヅキィイッ!!』
ウヅキ「ゲッターサイト!」
ヒュオン、と風切り音を立て、ゲッターサイトを振るう。
ガギンッ
目にも止まらぬ速さで右方向から横撃を仕掛けた真ゲッタータラクの一撃を、晴明ロボの巨木のような腕で受け止める。
ウヅキ「っ……!」 ギリギリ…ッ
晴明『流石の殺気よなぁ?貴様が何処から来るのか、動きが手に取るように分かるぞ!!』
ブォンッ、と腕を振るい、真ゲッターを吹き飛ばす。
ウヅキ「っ…!」
晴明『クックックッ!』
ウヅキ「!?」
体勢を立て直す真ゲッタータラクに追撃を仕掛けるように、晴明ロボが放つ無数の光弾による攻撃を掻い潜って躱す。
晴明『ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ!!良いぞ良いぞ~……んん?』
莉嘉「!!」
晴明『ふんッ!!』
莉嘉「ぐぅ…!?」
真ゲッタータラクを追う晴明の背後を取ったゲッターアークを、晴明ロボの尻尾が打ち据える。
莉嘉「うぅ…!!」
晴明『どうしたぁ?少々熱くなっておるか?城ケ崎莉嘉』
莉嘉「まだまだぁ!!」
かな子「り、莉嘉ちゃん…!今のは避けれない攻撃じゃ…」
莉嘉「うわぁアッ!!」
かな子「り、莉嘉ちゃ……きゃあっ!!」
落ち着く間もなく、ゲッターアークは飛び立つ。
莉嘉「やぁあああああッ~~~!!」
バトルショットカッターを展開し、晴明ロボに突っ込む。
晴明『フフフッ…!』
莉嘉「ぅああああああッ!!」
かな子「莉嘉ちゃん、避けて!!」
飛び込むゲッターアークを、晴明が陣を張って待ち構える。
晴明『破ァッ!!』
莉嘉「ぐぁっ…!?」
紫の光波が、ゲッターアークの焼き、地面に叩き付ける。
かな子「きゃあっ!?」
晴明『くっくっくっ…!飛び掛かる野生の獣を狩るのは、容易いものよのぉ?』
莉嘉「うぅ…」
晴明『フッ!!』
ウヅキ「っ!」
不意を突こうと様子を伺っていた真ゲッタータラクを、紫の雷で迎撃。
晴明『そう焦るでない。順番に始末してくれる』
ウヅキ「……」
かな子「……」
かな子(ゲッターアーク…。1号機のエネルギー出力が異常なくらいに上がってる…?莉嘉ちゃんが私の声を聞いてくれないのもこれの…。美波さんが乗っていないせい?)
莉嘉「ぐっ…!舐めるなぁ…!!」
かな子(美波さんと合流しようにも、今の状態じゃ話を聞いてくれない…。第一、晴明もきっとそれに気付いてる…。こっちの思う通りにはさせてくれないよね…)
莉嘉「はぁ……あッ!!」
シュバッ
かな子「ぁう…!?」
晴明『!?』
ゲッターアークが高速に動く。
晴明『ぐっ…!?』
瞬間移動のような動き晴明の背後に現れたゲッターアークの蹴りに、晴明の表情が歪む。
莉嘉「!!」 シュンッ
晴明『少し素早くなったようだな…!しかし!』
再度反対側の死角に現れたゲッターアークを、蹴り飛ばす。
莉嘉「ぐっ…!」
晴明『思考が単調ではなァ!!』
かな子(このままじゃ…!)
体勢を崩す、ゲッターアークに晴明ロボの魔獣が口を開く。
晴明『滅せよ、ゲッター!!』
莉嘉「……!」
かな子「オープンゲット!」
バシュンッ
莉嘉「きゃっ!」
晴明『むっ?』
強制分離。放たれた魔獣の破壊光線を躱す。
莉嘉「う……ん…?あれ、かな子?」
かな子「(分離させたので正気に戻った?)…作戦変更です。ここは、カーンのパワーでいきます!」
莉嘉「わ、分かった…!」
かな子「チェンジゲッター!カーンッ!!」
ゲッターカーンに変形し、晴明ロボと相対する。
晴明『ふぅん…』
かな子「甘く見ないで下さいね…!」
晴明『小娘…。存外に聡いようだな』
かな子「……何のことでしょう?」
晴明『クククゥ…ッ!相対したことを後悔しても遅いぞ?』
かな子「!?」
晴明ロボから放たれた無数の針を、眼前にゲッターバリアを展開して防ぐ。
晴明『……』
かな子「針には針を!お返しです!!──ニードルミサイル!!」
ニードルミサイルを、晴明ロボ目掛け斉射。ほぼ全弾が命中し、爆ぜるも、
晴明『こんなものか?不動明王の名が泣くぞ?』
かな子「……(ミサイルの威力が…。だけど、出力はこっちで抑えなきゃ)」
ウヅキ「やぁあああああッ!!」
晴明『!?』
ひょい、と軽い身のこなしで、背後から迫った真ゲッタータラクの攻撃を往なす。
晴明『五月蝿いハエだ!!』
ウヅキ「くっ…!」
かな子「ウヅキさん、カーンの後ろに!」
ウヅキ「……っ」
無数に浴びせられる光弾の雨を躱し、ゲッターサイトで弾いて凌ぐ真ゲッタータラクを後退させ、自身が展開するゲッターバリアの範囲に入れ守る。
晴明『む…』
かな子「大丈夫ですか?」
ウヅキ「…大した損傷はありません」
かな子「でしたら、ゲッターカーンが援護します。ウヅキさんは隙を突いて、接近して下さい!」
ウヅキ「…了解」
かな子「お願いします。後そちらの……えーっと、ゲッター紫電は動きますか?」
尼僧「えぇ…。損傷はありますが、行動に問題はありません。まだ戦えます!」
かな子「分かりました。それなら無理はせず、カーンの所に。ゲッター紫電なら、後方支援でも戦える筈です!」
尼僧「承りました。ただ一点だけ」
かな子「何ですか?」
尼僧「彼方の山には、攻撃の手を近付けさせたくないのです」
莉嘉「何で?」
尼僧「私の連れの者がそちらに避難しています」
かな子「(と言うことは美波さんもその辺りに…?)…分かりました、戦線を反対方向に移しましょう。ただし晴明には気取られないように、慎重に!」
尼僧「えぇ!」
かな子「行きますよ…!ミサイルスパイラル!!」
尼僧「蛇旋光!!」
ミサイルの一斉射と蛇旋光を同時に、晴明ロボに放つ。
晴明『ぐっ…!?』
ウヅキ「はっ──!!」
晴明『ぬぅ…!』
ウヅキ「ダブル・トマホォォークッ!!」
ガギンッ
ゲッターサイトに代わり、新たに取り出した2本のトマホークを大きく振りかぶって晴明ロボに振り下ろす。
晴明『粋がるなよ、小娘共ォ…!!』
致命傷にはならないものの、晴明が憎々しげに叫ぶ。
ウヅキ「トマホーク、ブーメランッ!!」
晴明『ちぃッ!!』
投射されたトマホークを、触手で払い落とすも、その直ぐ後に、真ゲッタータラクが肉薄している。
晴明『……!?』
ウヅキ「ゲッターレザー…!」
莉嘉「やった…!」
尼僧「……いえ」
晴明『…フゥ』
ウヅキ「……!?」
真ゲッタータラクの、レザーの刃が晴明の頭部を真っ二つに切り裂こうとした寸前。シュルリ、とタラクの足に巻き付いた触手が、タラクを地面へと引き摺り下ろす。
ウヅキ「……っく!」
晴明『ふん…』
ウヅキ「ガッ…!」
晴明ロボの脚が、真ゲッタータラクをじりじりと踏みつける。
晴明『容易いものよなァ?たった一時の好転で、勝てると思い込んだのかァ?んん~?!』
踏みつける力を強める。真ゲッタータラクの装甲が、軋みを上げた。
ウヅキ「あ゛ぁ…ッ!」
晴明『くぁっはっはははッ!!このままにじり潰してやるのも面白いが…』
言いつつ脚を離し、即座に蹴り飛ばす。
ウヅキ「っ…!」
廃墟のビルに衝突し、そのまま崩れ落ちる真ゲッタータラク。微動だにしないタラクに、触手の先端を槍のように尖らせた晴明ロボが迫る。
かな子「ウヅキさん!」
莉嘉「かな子ッ!」
かな子(今のゲッターカーンの攻撃じゃ、晴明を止められない…!と言って、最高速度でも守りに入りきれない…。カーンローバー……変形は間に合うの…?)
晴明『さぁ、黄泉への旅立ちぞ!!』
ウヅキ「ぐぐ…っ、まだ…!」
触手が真っ直ぐに、真ゲッタータラクへと伸び、
ガギィン──ッ
美波「──…ここが、先生の言っていた…」
少女「避難場所の、洞窟…」
少年「この辺、結構岩盤が厚いみたいなんだ、先生曰く。だから、もしなんかあった時は、ここを使おうって」
美波「そう…」
美波(ゲッターを降りても、戦闘が近くで起こってしまった…。特に今回は私がいたから…)
美波(それ以前にも、ゲッターから離れた莉嘉ちゃんに、卯月ちゃんの時も。美穂ちゃんだって、初めはゲッターに乗ることを拒んでいた筈なのに、最終的には乗り込む道を選んだ…)
美波(戦いから逃れようって言うの、もう虫が良い話なのかもしれない。私達はもう…)
女の子「お姉ちゃん?」
美波「えっ」
男の子「お姉ちゃんも、行くんだよね?」
美波「それは…」
少女「私達を助けに来てくれたゲッター、お姉ちゃんの仲間なんだよね?」
少年「だったら、行った方がいいって。俺達だけなら、きっと何とかなるしさ!」
女の子「それで、その……先生を助けて!私達の先生を!」
美波「…分かった!みんな、ありがとう!」
1つ、例を残し、洞窟を後にし、走る。遠くからは爆音が聞こえる。
美波(戦闘が、大分遠くに…。みんな…!)
廃寺の手前に停めた軍用車に乗り込み、走らせる。
美波(そうよね…。ここまで来たのなら、何れ意味が分かる時が来るかもしれない…。その為にも、今は莉嘉ちゃん達と生きて、ゲッターの意味を突き止める…!)
全長40メートルを超える巨大兵器と怪物の激突。そう時間も掛からない間に、視界に捉えることは出来た。その戦況は、
美波「──!?」
ゲッター紫電が、串刺しにされていた。
尼僧「……グフッ」
ウヅキ「…どうして」
尼僧「どうして?仲間を助けるのに、理由が必要でしょうか?」
ウヅキ「でも、貴女だって、私を恨んでいる筈です。私は貴女の大切な人を…」
尼僧「……昔の話です。この10年、貴女はその罪を命で償おうとはせず、今ここにいます。ならば、貴女はその命を、償いの為に使っているのではないですか?」
ウヅキ「仏の道に進むと、そういうのも分かるようになるんですか?」
尼僧「さぁ。私も修行中の身ですので。ただ、そうであれば良しと……うっ!」
ウヅキ「…!」
ゲッター紫電の体が、突き刺さった触手によってゆっくりと持ち上げられる。
晴明『邪魔ぞ。雑草が』
1本の触手がゲッター紫電の腹部を貫いている。その部分に、更に幾本もの触手を突き立て、四方に広げ、ズタズタに切り裂いた。
美波「あ……あぁ…!」
ウヅキ「……」
美波「先生ッ!!」
残骸と化したゲッター紫電が落下していく中、美波は軍用車を急がせ、速度を加速させた。
晴明『はっ!余計な手間を掛けさせおって…。次は貴様の…』
かな子「うわぁあああああッ!!」
ゲッターカーンの拳が、晴明ロボを吹き飛ばす。
晴明『ふん…。温いぞ』
ゲッターカーンの両腕へと触手を伸ばし、拘束。
かな子「……っ!」
こちらの体勢を崩そうとする触手に抗い、
かな子「チェンジ…!カーンローバー!!」
カーンローバーに変形。触手を引きちぎり、回転を加速させていく。
かな子「スパインクラッシャー!!」
最高速のスパインクラッシャーで、晴明ロボに迫る。も、
晴明『……ふっ』
晴明はそれを、結界で容易く受け止める。
かな子「くっ…?!」
晴明『そんなものかァ?貴様の攻撃が一番、生っちょろいぞォオッ!!』
紫炎の業火が放たれ、ゲッターカーンが包み込む。
かな子「きゃあっ!!」
その身を灼かれたゲッターカーンが、地面に倒れ伏す。
美波「はっ…!はっ…!はっ…!」
気が付けば車から飛び降り、小高な丘と化した山を、一目散に駆け抜ける。
美波(先生…!先生…!先生…!)
高くから廃墟の町を一望し、落下したゲッター紫電の残骸から、目当てのモノを見つけ出し、息が切れるのも関わらず走り抜ける。
美波「先生ッ!!」
辿り着いたのは、ゲッター紫電のコックピットブロック。電子制御が絶たれ、開かなくなったハッチを強引にこじ開け、中に入り込む。
美波「先生!?しっかりして下さい!先生!!」
尼僧「──ぅ……あ…」
美波「先生!大丈夫で…」
尼僧「あぁ……迎えに来てくれたのですか…?ミナミ…」
美波「!?」
美波(先生…。私を、こっちの世界の”私”と間違えて…)
優しく、美波の頬に手が添えられる。その感触は温かいものではなく、冷たく、頬にはべっとりと血糊が付いて垂れた。
尼僧「けれど……ごめんなさい…。私には、まだ…。生きるべき、理由が…──」
頬に添えられた手が、力なく落ちた。ゆっくりと慣性に従って、ぷらぷらと揺れている。
美波「ぇ……あ、先生…」
尼僧「──」
美波「アーニャちゃん…」
目の前の光景と、かつて悪夢で見た、仲間の無惨な姿が重なる。
美波「……っ!!」 ギリィッ
目の前の命を救えなかった無念と悲しみ、そして激しい怒りが巻き起こるのは、同時。
美波「何よ……何なのよ…!これ!!」
再び、廃墟の町を走り出す。
美波(ゲッターが勝っても負けても、どっちも地獄じゃない…!)
美波「だったら…!」
己への激しい怒りと、確かな決意を瞳に宿らせ、その行く先は自分のいるべき場所。
晴明『ふはははははっ!どうしたどうしたぁ?!その鈍重な姿では、舞いも踊れぬかぁ?少しはこの晴明を愉しませてみせよ…!』
かな子「くぅ…!」
無数の触手を鞭のようにしならせ、ゲッターカーンを打ち付けている。
莉嘉「全然やられっぱなしじゃん!やる気ないなら、アタシに代わって!」
かな子(…1号機のエネルギーを抑えので精一杯…。私1人じゃ、莉嘉ちゃんを抑えきれない…!?)
かな子「何とか、しなくちゃ…!」
ゲッターカーンの懐から羂索を取り出し、水平に打ち払って触手を退ける。
晴明『ほぅ…。まだまだ楽しめるか?』
かな子「はぁ…はぁ…はぁ……」
美波「かな子ちゃーんッ!!」
かな子「美波さん!?」
晴明『ククッ…!自ら死地に飛び込むとは……面白いッ!!』
シュッ
美波「きゃあっ!!」
晴明が放った1本の触手が、美波の足元の大地を掬い上げ、その身を宙に打ち上げる。
晴明『2人の目の前で八つ裂きにしてやろうッ!!』
莉嘉「やめてぇええ!!」
ウヅキ「ゲッタービームッ!!」
晴明『!?』
美波に注意が逸れた晴明の横っ腹を、真ゲッタータラクのゲッタービームが狙い撃つ。
ウヅキ「まだ……終わった訳じゃないですよ…!」
晴明『貴様…っ!』
かな子「はぁ…っ」
莉嘉「一安心じゃないよ!早く美波を助けなきゃ!」
かな子「は、はいっ!オープンゲット!!」
ゲッターを分離させ、2号機は宙を舞う、美波の元に向かう。
かな子「掴まって下さい!美波さん!!」
美波「!!」
飛んできたキリク号のキャノピーの縁にしがみつき、風圧に耐えながらハッチの開閉スイッチを目指す。
美波「くっ……ぐぅぅ~…んっ!」
美波(こんな、所で…!こんな所で!)
美波「死んでたまるか…っ!」
スイッチに指を引っ掻け、ハッチを開ける。そして半ば身を投げ出すように、コックピットに飛び込んだ。
美波「はぁ…はぁ…はぁ……!」
莉嘉「おっかえりー☆美波?1人旅は楽しかった?」
美波「…最悪だよ」
莉嘉「え…」
かな子「美波さん…」
美波「かな子ちゃん、私は大丈夫だよ。大丈夫、だから…」
かな子「本当、ですか?」
美波「うん、本当に」
美波「どっちに進んでも地獄なら、自分の意思を通せる方に進むだけだから…」 ボソッ
かな子「えっ?」
美波「何でもない!」
莉嘉「それよりも、3人揃えばこっちのもんだ!ゲッターアークで一気に決めちゃおうよ!」
美波「待って!最初は、私にやらせてくれない?」
莉嘉「へぇ?何か、いきなりやる気じゃん!」
美波「えぇ…。あの晴明のにやけ面を、正面から殴ってやらないと気が済まないの!!」
莉嘉「そう言うことなら全然オッケー☆いくよ、かな子!」
かな子「はいっ!」
キリク号を先頭に加速。次々に押し寄せる晴明ロボの触手攻撃を掻い潜り、隙を窺う。
晴明『…チッ』
莉嘉「ゲットマシンだからって、簡単に落とせると思わないでよね!」
かな子「そこです!」
正面に現れた触手を機首のレーザーで焼き払い、空間に一瞬の隙を作る。その間を駆け抜けながらカーン号とアーク号が合体し、
かな子「美波さん!」
美波「えぇ!!」
キリク号とドッキング。同時に網のようになった触手に包み込まれるが、
美波「チェーンジゲッターキリク!!」
次の瞬間には合体したゲッターキリクが、包んだ触手を切り刻んで、宙に躍り出る。
晴明『しかし、ただ動きが速いだけでは、……!?』
晴明ロボを中心に、円を描く形で加速していたゲッターキリクの姿が、晴明の視界から消える。
晴明『消えた…?』
意識を周囲に飛ばし、気配を探る。
晴明『上か!?』
見上げる頭上。しかし天上には落ちかけた太陽以外姿がなく、
美波「──うぉおおおおおおッ!!」
ゲッターキリクが飛び込んできたのは、正面。
晴明『ぬぅ…!?』
美波「ドリル…!パァンチッ!!」
本当にストレート・パンチを打ち出すような動作で、右のドリルアームを晴明の眼前めがけ撃ち飛ばす。
晴明『っ…!?くぅぅぅ~…!』
咄嗟に、晴明ロボの腕を翳し直撃は避けるもの、防いだ手の平に深々と突き刺さったドリルの先端が、晴明の鼻先に触れる。
晴明『おのれぇ…!』
美波「まだ!」
晴明が目の前のドリルに気を取られている間にも、ゲッターキリクは接近しており、
美波「シザーアーム!」
巨大なハサミのように変形した左の腕、シザーアームで晴明ロボの腕を鋏み込み、
美波「スラーッシュ!!」
その巨腕を切断。赤黒い血飛沫が、辺り一帯に噴き出す。
莉嘉「やり~☆」
かな子(…莉嘉ちゃん程じゃないけど、2号機の出力も上がってる…。美波さんが迷いを断ち切ったって言うのも、間違いじゃないみたい)
かな子「だったら、私も…!」
グンッ
美波「!!」
晴明『調子に乗るなよ…!小娘如きがァ!!』
至近距離のゲッターキリクに、無数の針を飛ばすも、その針が貫いたキリクさえ、霞の如く消え去る残像で。
晴明『くそっ…!何処へ消えたと言うのだ!?』
ウヅキ「翻弄されてますね」
晴明『黙れッ!!おのれ…!この晴明を謀ろうとは…!!』
美波(何…?急にゲッターの動きが良くなった…。まるで本当の私の手足みたいに、思うように動く!)
かな子「美波さん」
美波「かな子ちゃん?」
かな子「思う通りに戦って下さい!ゲッターは、必ず力になってくれます!」
美波「……うん!」
莉嘉「何だか良く分からないけど、やっちゃえ~☆」
美波「安倍晴明ッ!!」
晴明『!?』
美波「己の思うままに生き、思うように血肉を啜り!己の快楽を満たす為だけに争いを生み他者を虐げる愚か者!!」
晴明『貴様…!この晴明を愚弄するか!!』
美波「命を軽んじ、命を命と厭わない、その所業!その横暴!貴方は最早晴明ではなく、晴明を語る悪鬼羅刹!!」
晴明『はっ!弱者の命がどうしたと言うのだ?寧ろ混迷原罪の理から解放してやったのだぞ?この晴明の業こそが、正しき救済だと言えよう?』
美波「死による救済…。それは確かにあるかもしれない……けど!貴方がやっているのは救済なんかじゃない!!貴方がこれまでした事は、これからしようとした事は、決して許しはしません!!」
晴明『だからどうした?この晴明、貴様らに裁かれる謂われなどないわ!』
美波「だから、あの世で裁きを受けるんです…!」
晴明(今度こそ上か…!)
美波「あの世の閻魔の元で…!現世から旅立って!」
晴明『ほざいたな!消えるのは貴様らだ、ゲッターロボ!!』
晴明ロボの魔獣の口から破壊光線が放たれ、ゲッターキリクを撃つ。
晴明『ふひゃひゃひゃひゃひゃひゃッ!!ゲッターと共に、黄泉路へと消え去るが良いッ!!』
高らかに勝鬨を上げるように吠える晴明。しかし、ゲッターキリクへ直撃したかのように見えた攻撃は、キリクのドリルによって受け止められていた。
美波(こんなもので…!)
晴明ロボの破壊光線を受けても尚、欠けず、砕けず。ゲッターキリクのドリルは、回り続ける。
晴明『むっ…!?』
破壊光線を穿ち、払い、ゲッターキリクは光線の中を真っ直ぐに加速していく。
美波「ドリル──!」
やがてその回転は、破壊光線をも巻き込み、巨大な光の槍となって、魔獣の頭部を貫く。
美波「ストリィィィイーームッ!!」
晴明ロボを貫いたドリルが、その回転に吸収したエネルギーとゲッターエネルギーを伴い、その名の通りの潮流を生んで、貫いたものを砕き、吹き飛ばした。
晴明『うぎゃぁぁぁああああ~~~ッ!!』
ゲッター線の光の潮流の中に全てが掻き消え、魔獣が構成していた下半身の大部分を失った晴明ロボは、大きく後退し地に伏せる。
莉嘉「やった~☆」
美波「やった、じゃないよ。これからトドメ、お願いね?」
莉嘉「よぉ~し、まっかせなさ~い!」
美波「オープンゲット!」
莉嘉「チェーンジゲッターアーック!!」
ゲッターキリクからゲッターアークへと変形し、真ゲッタータラクの隣で並び立つ。
莉嘉「どう?良かったら最後、一緒に」
ウヅキ「…そうですね。私も、晴明には恨みがあります」
莉嘉「じゃあ決まり☆」
ウヅキ「今度は彷徨わずに逝って下さいね。迷惑ですから」
莉嘉「ダブルッ!」
ウヅキ「ゲッター!」
莉嘉・ウヅキ「「ビイィィーームッ!!」」
ゲッターアークと真ゲッタータラク。ゲッター2機によるダブルゲッタービームが晴明ロボを包み、蒸発させていく。
晴明「くぉ…!お、おのれぇ……この晴明も、ゲッターの前にはここまでと言うことかァア…?」
ウヅキ「……」
晴明「ふっ…!くくくっ…ぅ!真に、残念ぞ?シマムラ・ウヅキ、城ヶ崎莉嘉ぁ…!」
莉嘉「な、何アイツ…。いきなり…!」
晴明「貴様らはこの晴明の最後の慈悲を蹴ったのだ…。最早黄泉路になど逝けはせぬ…!」
かな子「どう言うこと…?」
晴明「ゲッターと共に…!戦い続ける地獄の中、因果地平まで生き足掻くが良い…!あっははははは…!ヒャーッハッハッハッハッハッハッ──!!」
爆発。温習の塊となって復活した晴明は、今度こそ消滅した。
──。
~~~ ??? ~~~
孔明「ぐぼぁ……ぁあ……っ」 ボタボタッ
血反吐を吐き散らし、力なくその場に崩れ落ちる。
孔明「おのれ……ゲッターめぇ…!我が渾身の呪力を込めて蘇らせた晴明をも打ち破るとは…」
孔明「最早一刻の猶予はなし!!何としてもこれ以上のゲッターの進化は阻止しなくてはならん!」
孔明が両手を握り、印を結ぶ。すると足元が赤く光り、孔明を中心とした陣が姿を現す。
孔明「我々に残された道は、1つ!」
叫び、右手に構えるのは、逆手に握った小太刀。
孔明「フグッ!!」
その小太刀を、有らん限りの力を込めて、自らの心臓部へと突き立てた。
突き刺された切り口から小太刀の刃、柄を伝い、血が雫となって陣に落ちると共に、陣の輝きが一層強さを増していく。
孔明「この孔明の命を以て、救いを求め、仕りまする…!」
孔明「神風よ……ぉ!!」
力尽き、倒れ込んだ孔明。陣の赤黒い光りが、孔明の遺体を包み込むようにその輝きを強めそして──。
──。
~~~ 廃寺 石碑前 ~~~
少年・少女’s「「……」」
美波「みんな、その……ごめんなさい」
少年「どうして姉ちゃんが謝るんだよ?」
美波「それは……だって…」
少年「戦いに行ったのは先生なんだぜ?」
男の子「うん…!僕達を守るために、一生懸命……戦ってくれたんだ…グスッ」
少年「バカ…!泣いてんじゃねぇ!泣いちまったら、先生が心配して、成仏出来ねぇだろうが…!」
美波「……」
かな子「えっと、貴方達は、これから…」
少女「ここを離れようと思います」
美波「え…?」
少女「鬼も巨大昆虫も少ない、安全な場所だけど、先生との思い出も一杯ある場所だから…。それに…」
かな子「それに?」
女の子「先生が中断していたこと、私達でやり遂げようって思ったんです」
美波「中断していた…。ゲッター災害の被害者の供養…」
男の子「それが僕達に出来る、先生への手向けになると思うから」
美波「そっか、そうだね」
莉嘉「う~ん…。でも、子供達で歩き回るのは危なくない?」
かな子「そうですね…。せめてあのゲッターが直せれば…」
莉嘉「さっきの戦闘で壊れちゃった、ゲッター紫電?」
美波「それなら、研究所でなら直せるんじゃない?」
莉嘉「確かに!」
少年「本当か?良いのか?」
美波「えぇ。当然だよ」
少年「そっかぁ…。やった!」
少女「先生の形見だもんね。私達にとっては」
莉嘉「そうと決まれば善は急げだ!研究所に帰ろ!」
かな子「あ、ウヅキさん」
ウヅキ「……」
かな子「真ゲッター…タラクの調子はどうですか?」
ウヅキ「起動に問題はありません。…真ゲッターには、簡易ながら自己修復機能があるので」
かな子「そう言えばそうでしたね…」
ウヅキ「…それよりも」
かな子「はい?」
ウヅキ「研究所と連絡が取れなくなりました」
莉嘉「えー!?」
美波「本当、なの?」
ウヅキ「はい。こちらの通信機に問題はありません。向こうの方でトラブルなのか、それとも…」
莉嘉「それってヤバくない?!」
かな子「ヤバいはヤバいですね…!」
美波「まさか、これが孔明の策…?」
莉嘉「アタシ達を誘き出す為に!?」
ウヅキ「分かりません。…だけど、先ずは私達で、様子を見に行くべきでしょう」
美波「…あ」
少年「へへっ、俺達の事なら心配しないでくれ。ここらの土地勘はあるし、鬼や昆虫ぐらいなら、俺達だけでも逃げられる」
美波「うん…!それじゃあ、ちょっとだけ待ってもらえるかな?必ず戻ってくるから」
男の子「うん!いってらっしゃい!」
女の子「いってらっしゃい」
少女「気を付けて…」
美波「うんっ。莉嘉ちゃん、かな子ちゃん!」
かな子「はいっ!」
莉嘉「鬼が出るか蛇が出るか、早乙女研究所に帰還だぁ~っ☆」
つづく
予告
突如、音信不通となった早乙女研究所に、不穏な空気を感じ、研究所へと急ぐ莉嘉達。
一方、ストーカ01の脅威が消え去り、一応の平穏を取り戻したかに見えた元の世界には、地球滅亡の危機が迫りつつあった。
インベーダーと化した木星の衛星・ガニメデが地球に迫る。真ゲッターを中心に人類の総力を上げた決戦が繰り広げる中、遂に真竜がその長き眠りを破り姿を現す──。
次回、『真竜がいく』