ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

99 / 101
第28話『遥かなる旅路』

 

リン「……」

所員「……よし、よし、分かった。司令、最後の非戦闘員の戦闘区域外への脱出が、たった今完了しました。後は我々だけです」

リン「…分かった。みんなも脱出を急いで」

所員「は…。司令は…?」

リン「私は、もうしばらく見届けていくよ。この戦いと、人類の行く末を──」

 

地下格納庫の制御室。そこのモニターには地上で微かに生きている監視カメラからの映像を繋いでいた。そこには、

 

広目天「きぇぇぇいっ!!」

弁慶「ぐぅぅぅ…ッ!!」

 

尚も激しくぶつかり合う、ゲッターと神々の戦いが映し出されていた。

 

増長天「はぁぁぁあッ!!」

號 「何のぉ~~~!!」

 

増長天の素早い戟の連続突きを、ソードトマホークで弾いて往なす。

 

増長天「しぶとい蟻んこ共め!」

號 「何~!?テメェ言うに事欠いて、この俺を虫けら共と同じと言ったなァ~~!!?」

増長天「取るに変わらぬ!貴様らと、一寸の虫とでは!」

號 「ならよぉ!」

増長天「むっ!?」

 

ソードトマホークで強く増長天の戟を打ち払い、

 

號 「コイツで……どうだ!」

 

つづいて、ソードトマホークを地面に突き立て、その柄にしがみついたまま、スーパーゲッター號を跳躍。ソードトマホークを支柱に、遠心力を込めた蹴りを浴びせる。

 

増長天「うぉっ!?」

號 「どんなもんだ!?舐めんじゃねぇ!!」

持国天「増長天!」

ウヅキ「貴方の相手は、私の筈です」

持国天「……っ!」

 

増長天へと視線が泳いだ持国天にトマホークを振り下ろし、彼を逃がさない。

 

持国天「ちぃ…っ」

ウヅキ「……はっ!」

 

トマホークを振るって身を弾き、持国天と一度距離を取り、

 

ウヅキ「…莉嘉の真似をする訳じゃないですけど」

 

真ゲッタータラクのトマホーク。その刃がゲッターエネルギーを帯びる。

 

ウヅキ「っ!!」

 

さながら瞬間移動のような動きで、持国天に肉薄。

 

持国天「くっ…!」

ウヅキ「トマホーク・ストームッ!!」

 

刹那、持国天に連撃を叩き込む。

 

持国天「ぐぉ…」

広目天「大丈夫か、持国天」

持国天「あぁ、傷は浅い」

號 「ちっ…!」

弁慶「號、ウヅキ!一旦下がれ!!」

號・ウヅキ「「!?」」

弁慶「ゲッターサイクロン!!」

増長天「うぉおおおおッ!?」

 

ゲッターサイクロンが増長天を吹き飛ばし、持国天と広目天に叩き付ける。

 

増長天「人間共め…!無駄な足掻きを、まだ続けるか」

號 「ンだァ?無駄かどうか、決めるのはテメェらじゃねぇ!」

広目天「所詮は滅びるが運命!潔く受け入れるが良い!」

ウヅキ「丁重にお断りします。少なくとも、貴方達みたいなのに屈するために、今日まで生きてきた訳じゃありません」

持国天「己が持った力の意味にも気付かず、あくまで宇宙を滅ぼす為に生き足掻くか。…なれば!」

 

持国天の頭上に暗雲が渦巻き、彼が手にする剣に、落雷がエネルギーとして収束していく。

 

弁慶「…流石にやべぇか…!」

広目天「逃がさぬ!」

剴 「これは…!?」

 

広目天の絵巻が3機のゲッターの周囲を走り、結界を展開して包囲する。

 

持国天「受けよ、裁きの雷だ!!」

 

凄まじい電光が、3機のゲッターを打つ。

 

號 「うわぁあああああッ!!」

弁慶「ぐぅおぉぉぉ!?」

ウヅキ「うぅっ…!」

 

増長天「ふぇっふぇっふぇっふぇっ…!悪しきを払う神の雷の前に、塵芥も残さず消え去るが良い!!」

 

渓 「げ、ゲッターが動かない…!」

剴 「ぐぉぉ…!この状況が続けば、ゲッターも、俺達もマズいぞ!!」

號 「分かってる!分かってるがよ…!」

 

持国天「ふふふふふっ…!」

増長天「ふぇっふぇっふぇっ!」

広目天「くっくっくっくっ…!」

 

「みんなは、やらせないよ!!」

 

持国天「何だ!?」

 

ギャルルルルルルルッ

 

弁慶「こ、この音は…」

 

響き渡るドリルの音。

 

渓 「これは……ゲッター2のドリルだよ!」

 

ズワッ

 

持国天「ぐぉっ!?」

 

破砕音を響かせ、大地を裂き、足元から持国天を襲う、それは、

 

「「「新ゲッター2!!」」」

 

美世「も~ぅ!戦闘には参加しなくて良いって言ってたのに!」

友紀「まぁまぁ。発進口が壊れてる以上、ゲッター2で地面を掘り進んでいくしかなかったんだからさ!」

美世「こっから分離して合体しろっての…?」

茄子「大丈夫です…!やるって決めたんですから、自分を信じて下さいっ!」

美世「……うっ」

弁慶「友紀…。それに、美世と茄子が乗ってんのか!?」

茄子「はいっ!」

美世「成り行きでねぇ~…」

弁慶「無茶苦茶だ…!素人が出て勝てる相手じゃねぇ!とっとと退がれ!!」

友紀「分かってる!だから今は、私が1号機に乗ってる!」

弁慶「関係あるか!」

増長天「お喋りはそこまでだ!」

美世「ひぃっ!?」

 

勢いよく振りかざされた増長天の戟を、慌てた動作で躱す。

 

増長天「何者かと思えば、未熟者めが!己が愚行を呪いながら冥府へと逝くがよい!」

美世「ね、粘着してこないでよォ~!!?」

友紀「落ち着いて、分離のレバーを引いて!」

美世「分離のレバーって、これ!?」

 

増長天の攻撃を辛うじてのところで躱しながら、分離・合体用のレバーに手を掛ける。

 

美世「えっと……ここから…」

友紀「オープンゲット!」

美世「お、オープンゲット!!」

 

バシュンッ

 

増長天「むぅっ!」

 

新ゲッター2を分離させ、攻撃から逃れる。

 

美世「た、助かった~…」

友紀「油断しない!直ぐにフォーメーションを組むよ!あたしに続いて!」

広目天「ふんっ、カトンボ共が!一気に叩き潰してくれる……うぉ!?」

 

新ゲットマシンに狙いを定めた広目天を、地上からのミサイルが狙い撃つ。

 

広目天「何を…!」

號 「ソイツはちょっとやり口が狡いんじゃねぇか?神サマよ」

弁慶「友紀達はやらせるかよ!」

広目天「くっ…!」

ウヅキ「今の内です。友紀!」

友紀「分かってらァ!!美世、茄子!」

美世「う、うん…!」

茄子「はいっ!」

 

天高く、1列に連なったマシンは1つに。

 

友紀「チェーンジゲッタァァアーー!!1ッ!!」

 

新ゲッター1が神々の前に立つ。

 

広目天「くぅ…!」

持国天「さりとて、有象無象が1匹増えた程度では…!」

友紀「それはどうかなっと…!」

 

グンッ

 

友紀「うぉッ!?」

持国天「何だと!?」

 

勢いよく操縦桿を倒した、新ゲッター1が目にも止まらぬ早さで持国天の背後に現れる。

 

友紀「こンの…!えいっ!」

 

状況が掴めず、取り敢えず持国天に蹴りをお見舞いする。

 

持国天「グフッ…!?」

増長天「持国天!おのれぇ…!」

友紀「うわぁ!?」

 

新ゲッター1に対して、薙ぎ払うように戟を打つが、その刃は空を切る。

 

友紀「はっ……はっ……はっ…!」

 

新ゲッター1の姿は、空の色もその濃さを増す遥か上空に。

 

渓 「な、何が……どうなってるの…?」

剴 「新ゲッターの性能、あんなものだったか…!?」

 

増長天「奴め、何時の間に!?」

広目天「なれば私が…!破ァッ!!」

友紀「……っ!?」

 

広目天の絵巻から放たれた、旋風を伴った業火が新ゲッター1に襲いかかるが、

 

友紀「……あり?」

 

業火は新ゲッター1に届かず、目の前で見えざる力によって弾かれたように消滅した。

 

友紀「ど、どーなってんの?マジ…」

増長天「広目天、ふざけている場合か!?」

広目天「ふざけてなど……我が術が届かぬ筈が…!」

友紀「何だかよく分かんないけど、これなら!」 グッ

 

気を取り直して、操縦桿に力を込める。

 

増長天「!?」

友紀「ふっふ~っ!これで、どうだ!」

 

渾身のゲッターパンチで、増長天を吹き飛ばす。

 

広目天「此奴…!」

友紀「はっ!」

持国天「おぉぉぉッ!!」

友紀「おっと!……っと?」

持国天「ぬぅ…!」

友紀「これは、お返し!」

持国天「くっ…!」

広目天「ぐぅ…!」

 

神の体と新ゲッター1の表装が接するような至近距離で、しかし広目天と持国天をも手玉に取り、新ゲッターは大立ち回る。

 

増長天「思い通りになど……させぬわッ!!」

広目天「一度に掛かれば…!」

持国天「……はぁああッ!!」

 

三天王、それぞれの雷やら炎を模した攻撃が波状的に新ゲッター1を襲う。

 

友紀「わっわっ!流石にヤバいか…?」

 

幾つかの攻撃が新ゲッター1の表装を掠めていくが、直撃となるようなものはない。寧ろ攻撃自体が新ゲッター1を避けていくかのように逸れていく。

 

ウヅキ「あれは…」

ミオ『新ゲッターなら大丈夫だよ』

ウヅキ「…ミオ」

ミオ『あれも人類に託された、希望の1つだ』

ウヅキ「希望…?」

ミオ『まぁ、見てなよ』

 

友紀「へっへ~ん!神様名乗ってる割りには、ピッチングのコントロールもまともに出来てないんじゃない?」

増長天「おのれ…!これならば!」

友紀「へっ?」

 

増長天の神速で、一気に新ゲッター1に肉薄。振り上げた戟を振り下ろす。

 

増長天「きぇぇぇいッ!!」

友紀「い゛ぃぃぃっ!?」

 

バキンッ

 

増長天「なっ…!?」

友紀「っ…!?」

 

振り下ろされた戟の刃が、新ゲッター1の鼻先で粉々に砕け散った。

 

増長天「ば、バカな…!?」

友紀「……っしゃぁ!隙アリ!!」

 

増長天の鳩尾を思いきり蹴飛ばす。

 

友紀「どうだ!」

増長天「このぉ…!」

持国天「一度退がれ!増長天!!」

増長天「くっ…!」

広目天「一体どうなっているのだ…!?あの力は、まるで…」

持国天「見てみよ、ゲッターの周囲を!」

広目天「何!?」

 

天高く立つ新ゲッター1。その新ゲッター1を中心に、うっすらと周囲の空間が歪んでいるようにも見え、ある種の領域が新ゲッター1を包み込んでいるようにも見える。

 

増長天「あれは…」

持国天「…宇宙だ」

広目天「宇宙、だと…!?」

持国天「奴等3人全員、と言うわけではないだろう。奴等の中に、己の宇宙を確立させている者……その兆しを見せる者がおる」

増長天「宇宙の、確立…!」

広目天「まさか…!我らが存在する、この空間を支配すると言うか!?」

持国天「まだその片鱗に過ぎん。力も未熟で、支配できる空間もごく僅かであろう。しかし、侮るわけにはいかん!」

増長天「ごく僅かだろうと、人間風情に……許せんっ!」

広目天「ぬぅんっ!心眼…!」

 

正面で印を組み目を瞑る。心の目を用い、新ゲッター1の中を見通す。

 

広目天「むぅぅ……!」

茄子「──!!」

広目天「!!……いた!奴等の一番下、3番目の乗り手だ!!」

 

茄子(お願い…!友紀と美世の命だけでも守って…!)

増長天「彼奴か!ならば!」

友紀「ぅわっ!?」

 

再び飛び上がった増長天がその手で新ゲッター1を押さえ付け、そのまま急降下。新ゲッター1を地面に叩き落とす。

 

友紀「ぐぅわっ!!」

茄子「友紀ちゃん!」

増長天「ここまでだ!人間共」

美世「ヤバっ…!」

増長天「貴様の力は、人間が持つにはまだ早い!貴様は、生きていてはいけないのだ!!」

茄子「…っ!?私は…」

友紀「っ…!…んで…!」 ギリィッ

増長天「何…?!おぉ…!」

 

マウントポジションでのし掛かる増長天の、その頭を押さえ返し、上体を起こす新ゲッター1。

 

友紀「何でそんなこと…!お前に決められなくちゃならないんだァ~~ッ!!」

 

勢いよく腕を振るい、今度は増長天を地面に叩き付けた。

 

増長天「ぐぼぁッ!!?」

友紀「生きてちゃいけない?!死ななきゃいけない!?それを決められるのは自分自身!相手の命を簡単に否定出来るような奴は…!」

増長天「っ…!」

 

放たれた新ゲッター1の直蹴りを躱し、上空へ。

 

増長天「くっ…!?」

 

それを上回る速度で、新ゲッター1は更に上へ。その手にはトマホークが握り込まれ、刃は強くゲッター線の輝きを帯びている。

 

友紀「そっちの方が、いなくなっちゃえ~~~ッ!!」

増長天「ぐぅ…っ!?」

 

急降下と共に、増長天の胴体に刃を立てる。

 

友紀「どぉぉおりゃぁあああああッ!!!」

 

そのまま、増長天の体を真っ二つに切り裂いた。

 

持国天・広目天「「増長天ッ!!」」

増長天「ば、バカな…──!?」

 

呻き声を残し、力なく大地に落ちた増長天の肉体は霞のように消え失せた。

 

広目天「な、何と言うことだ…!」

持国天「…成る程な」

広目天「……?」

持国天「奴等の力だ」

広目天「奴等…?しかし、特異点は1人の筈」

持国天「うむ。しかしその力は先程も言ったとおり未熟。恐らく本人自身、意識的に制御出来てはおらぬだろう」

広目天「何…!?だが、こちらの攻撃に対しては確かにゲッターを護り、増長天を仕留めたあの力は、正しく…!」

持国天「そう。だから、指標となる存在がその力を引き出していたのだ」

広目天「指標…?そうか、1番の乗り手…」

持国天「然り。ゲッター……想像以上に厄介な存在よ」

 

號 「お喋りはもう、お終いかい?」

 

持国天・広目天「「!?」」

 

飛び上がり、振り下ろされたスーパーゲッター號のソードトマホークを、持国天が腕を翳して受け止める。

 

號 「俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ!何も俺達は、新ゲッターの腰巾着じゃねぇ!」

持国天「……。貴様らには、資格はない!!」

 

腕を振るってスーパーゲッター號を引き剥がす。弾かれたスーパーゲッター號は宙返りを打って体勢を整え、着地。正眼の構えで持国天に睨みを利かせる。

 

持国天「侮り難しは新ゲッター…。然れど、貴様らは所詮…」

ウヅキ「だったら何ですか?」

持国天「……!」

 

トマホークを構えた真ゲッタータラクが、上空から奇襲。

 

ウヅキ「例えそこに、天と地ほどの力の差があったところで、私達は生きることを諦めません」

持国天「それがゆくゆく、己の宇宙を滅ぼすと知ってもか!?」

號 「関係ねぇよ!」

 

スーパーゲッター號のダブル・ナックルボンバーが、持国天の背中を突く。

 

持国天「ぐっ…!」

號 「宇宙が滅びようがどうなろうが、知ったこっちゃねぇ!今の俺達に取っちゃ、俺達の未来を脅かしてるアンタこそが乗り越えなくちゃならねぇ敵なのよ!!」

渓 「身も蓋もないね…」

剴 「だが、自分達人類も、決して愚かじゃない。宇宙が滅びる時が来ると言うならば、それを乗り越えるために更に足掻くさ」

持国天「たかだか人間の知恵で、乗り越えられると思うか!?」

剴 「それを信じられないお前達に、説法をしてもらう謂れはない!」

ウヅキ「ゲッタービーム!!」

持国天「おぉ…!?」

 

地面に向かって、降り注ぐように放たれたゲッタービームが、持国天を地に落とす。

 

ウヅキ「今です。號!」

號 「おうよ!」

 

天を仰いで倒れ伏す持国天が立ち上がらぬ内に、スーパーゲッター號は逆手に持ったソードトマホークを突き立てる。

 

持国天「ガッ…!」

號 「喰らいやがれ…ッ!」

 

今度こそ持国天の胴体を貫いたソードトマホークの刀身が、青白いプラズマの光を宿す。

 

號 「トマホーク…!サンダァァアアアアアッ!!」

 

バリバリバリバリバリバリバリィッ

 

持国天「ぐぅおぁあぁぁぁあぁぁぁッ!!?」

広目天「持国天!」

弁慶「ゲッターサイクロン!!」

 

持国天に加勢しようとした広目天の動きを、ゲッターポセイドンのゲッターサイクロンが制する。

 

弁慶「號達の所へは行かせねぇぜ?」

広目天「くぅ…!このようなこけおどしで!」

茄子「だったら、コレでどうです!?」

広目天「!?」

 

ゲッターサイクロンの上空から落ちてきた新ゲッター3が、広目天にのし掛かり、そのまま地面に叩き付ける。

 

弁慶「茄子!?」

茄子「友紀ちゃんだって、美世ちゃんだって頑張ったんです!私だって!!」

広目天「……!この程度ッ!!」

茄子「きゃっ!」

 

のし掛かる新ゲッター3を押し退けて、広目天が立ち上がる。

 

茄子「っ…!ゲッターミサイル!!」

弁慶「ストロングミサイルッ!!」

 

新ゲッター3のミサイルにストロングミサイルを合わせ、広目天を挟み撃ち。

 

広目天「ぬぅ…!?」

弁慶「おりゃあっ!」

 

怯んだ広目天を、そのまま羽交い締めにする。

 

弁慶「娘達に手出しさせるかよ!」

広目天「き、貴様ァ…!」

弁慶「大・雪・山おろしぃぃぃッ!!」

広目天「ぐわぁ~~~っ!」

 

そのまま、大雪山おろしで広目天を持ち上げる。

 

弁慶「いくぞ、茄子!!」

茄子「はいっ!!」

弁慶「おぉぉ…!りゃぁあああああッ!!」

茄子「ミサイル、ストームッ!!」

 

大雪山おろしで天高く投げ飛ばした広目天に、新ゲッター3の全弾頭をぶつけ、2機の連携を以て二段返しと成る。

 

広目天「ぐぉ…っ!」

友紀「サンキュー茄子!後は任せて!」

茄子「お願いします。オープンゲット!」

友紀「チェンジゲッター1!!ウヅキッ!」

ウヅキ「…はいっ!」

友紀「ダブル!」

ウヅキ「ゲッターァ…!」

友紀・ウヅキ「「ビィィーームッ!!」」

 

新ゲッター1と真ゲッタータラクから放たれたダブルゲッタービームが、広目天を灼く。

 

広目天「くっ……うぅ…!」

友紀「ぐぅぅ…!美世、茄子ぉ…!力を貸して!」

美世「ど、どうすれば良いのか分からないけど、とにかく!」 グッ

茄子「私達の、力の限りに!!」 グッ

 

操縦桿を握る手に力を込める。

 

友紀「いけぇぇえぇぇぇッ!!」

広目天「うおぉぉぉおぉぉぉぉぉ…──!!?」

 

エネルギーが増幅されたゲッタービームのエネルギーの中で、広目天は蒸発した。

 

持国天「くっ…!広目天までも…!」

號 「ちっ…!しぶてぇ野郎だ」

持国天「……っ!?」

 

ズォオオオオオッ

 

弁慶「何だ!?」

 

彼方の空、地から噴き出し天を貫く、巨大な光の柱が上がる。

 

美世「今度は何!?」

渓 「キレイ…」

剴 「…間違いない。あれは、ゲッター線の光だ!」

號 「ゲッター線だと!?一体何が…」

弁慶「それだけじゃねぇ見ろ!」

號 「!?」

 

號達の上空を、打ち寄せる波のように、柱と同じ色を宿した光が柱へと向かっている。

 

ウヅキ「これは…」

リン『地球上を覆っていた高濃度ゲッター線が収束している。あのゲッター線の柱、ゲッターアークの元に!』

剴 「ゲッターアーク!?」

號 「アイツら、地球を覆っていたゲッター線まで力に変える気かよ…!」

持国天「多聞天……くっ!」

號 「あ、おいっ!待ちやがれ!……!?」

 

飛び立つ持国天を追い掛けようとしたスーパーゲッター號が力なく崩れ落ちる。

 

剴 「エネルギー切れだ。俺達に出来ることは、ここまでと言うことだな」

號 「くっ…!後は莉嘉達に任せるしかねぇのか」

弁慶「何、アイツらなら心配しなくても良いだろうよ。友紀達も、無茶して追撃とか、考えんじゃねぇぞ」

美世「あ、当たり前だよ…!ここまで出来れば、もう十分だよね?友紀?」

友紀「…うん」

茄子「私も、何だかスゴく、疲れちゃって…」

弁慶「とんでもねぇ初陣になっちまったからなぁ。ま、よく頑張った」

 

ウヅキ「……」

 

リン『ウヅキもありがとう。タラクも整備しなくちゃ。一度帰投して』

ウヅキ「……」

リン『ウヅキ?』

ウヅキ「リン。ここから少し言ったところに、小さな町の廃墟があります。そこに、子供だけで頑張っている子達がいるので、助けてあげて下さい」

リン『……?分かったけど……どうしたの?急に』

ウヅキ「……それじゃあ」

 

シュバッ

 

リン「ウヅキ!?何処に行くつもりなの?応答して。ウヅキ!!」

ミオ『大丈夫。心配要らないよ、リン。時が来たんだ。旅立ちの時だ』

リン「み、ミオ…?どうして……何を言ってるの?そうやって、今度はウヅキまで連れていくつもり?!」

ミオ『違うよ、そうじゃない。人間は誰でも、使命を持って宇宙に生まれてくる。それを果たす時が来たんだ』

リン「意味が分からない!ウヅキの使命と、旅立ちと!一体何の関係があるって言うの!?私達の中でたった1人だけここに残される事が、私の使命だって言うの!?」

ミオ『船頭は必要だよ。後は、任せたから』

リン「待って!私を一人にしないで…!応答して──!」

 

リン「ウヅキィイイイイイッ!!」

 

──。

 

多聞天「……」

持国天「多聞天!!」

多聞天「…持国天か」

持国天「何があったのだ?」

多聞天「見てみるがいい」

持国天「……?」

 

多聞天に促される視線の先、今だ尚火山噴火のように地の底から膨大なゲッターエネルギーを放出させている地獄の釜の中央。

天に地に、一点に集束するゲッターエネルギーの渦の中央には、エネルギーを受けてその輝きを身に宿し、悠然と佇むゲッターアークの姿が。

 

持国天「まさか…!我が身、理の崩壊を気にも止めず、性懲りもなく力を求め続けるか…!ゲッター!!」

 

多聞天の返事も待たず、ゲッターアークに向けて加速する。

 

持国天「はぁあッ!!」

 

剣を握る手に力を込め、持国天を認識しているのか、微動だにしないゲッターアークに振り下ろす。

 

持国天「とぁあああッ!!」

 

持国天の剣は空を切り、白閃を描く。

 

持国天「何処へ言った?」

 

ゲッターアークが現れたのは、持国天の背後。

 

持国天「!?」

莉嘉「!!」

 

ゲッターパンチが、持国天の右頬を弾く。

 

持国天「ぐぉっ!?」

莉嘉「うぁあああああッ!!」

 

頬を打たれ、体勢を崩した持国天の鳩尾に、蹴りが突き刺さる。

 

持国天「ぐぅ…!おのれ…!!」

莉嘉「はぁ…はぁ…はぁ…っ!…スゴい」

 

思わず、己の手元に視線を落とす。

 

莉嘉「体の奥から力が沸き上がってくる…!指先から、頭のてっぺんまで熱く滾ってくる…!」

美波「コレが、地獄の釜に封じられた、ゲッターの力…!」

かな子「ゲッターアークのエネルギーが、もう計測出来ない…。コレだけのエネルギーを受けても、暴走しないなんて…。…ううん」

 

ゲッターの力をその身で感じ取る、3人の体の表面を緑色をしたゲッターエネルギーの線が明滅して脈打つ。

 

持国天「今でもまだ遅くはない!引き返せ!!」

莉嘉「っ!」

 

剣から雷撃を放つ。持国天の攻撃を瞬間移動で躱し、再び背後を取ったゲッターアークのバトルショットカッターを、しかし今度は即応し、持国天はその剣で受け止める。

 

莉嘉「っ…!」

持国天「己が手にした力を悟るのだ!その力は、人間が手にしていいものではない!」

莉嘉「だったら?黙って大人しく、アンタ達に成敗されてろって?そんな一方的なお願い…!」

持国天「!?」

莉嘉「聞いてあげるかァ!!」

 

持国天の顎を蹴り上げ、宙に吹き飛ばす。

 

持国天「カッ…!?」

莉嘉「ゲッタートマホーク!!」

 

ゲッタートマホークを抜き打ち、ツインランサー状に。跳ね上がった持国天より先に上空に回り込み、待ち構えた。

 

莉嘉「とぁあああああ~ッ!!」

 

トマホークを振るいながら、持国天の体を真下に突き抜け、即座に左、直後右斜め上と、縦横無尽に持国天を覆い、その体を切り刻んだ。

 

持国天「げ、ゲッター…!」

 

5体をバラバラに切り刻まれ、盛大に爆ぜ散る持国天。

 

美波「四天王の1人を倒した!」

かな子「コレで残るは…」

莉嘉「後、1人…!」

多聞天「……」

 

腕を組み、仁王立ちでゲッターアークを見下ろしていた多聞天が、その腕を解く。

 

莉嘉「っ…!?」

かな子「何…?さっきまでと、気配が…」

美波「いよいよ本気ってこと…?莉嘉ちゃん、気圧されちゃダメだよ」

莉嘉「っ……分かってる!」 …グッ

多聞天「ゲッター…」

莉嘉「っ!」

多聞天「……行くぞぉ!!」

 

ヒュンッ

 

莉嘉「!?」

 

まるでいきなり結果を叩き付けられたように、先程まで構えも取らず、棒立ちだった多聞天。にも関わらず、咄嗟に眼前に翳したトマホークにはその拳が打ち付けられている。

 

莉嘉「ぅぁ…!」

 

攻撃を防いだ程度で、その衝撃は殺せず。勢いよく吹き飛んだゲッターアークは、岩壁に激突。

 

多聞天「うぅるぁあああああッ!!」

 

寸分も間を置かず、多聞天が蹴りの姿勢で飛び込んでくる。

 

莉嘉「!!」

 

ゲッターアークを急上昇。攻撃を躱すが、多聞天の蹴りを受けた地表はその衝撃でごっそりと抉られた。

 

かな子「な、何て攻撃…!?」

莉嘉「ビビってばっかじゃカッコつかない!今度はこっちの番だ…!」

 

トマホークを構え直し、多聞天に臆せず特攻。

 

莉嘉「っ!」

 

多聞天の懐に飛び込み、トマホークを振るう。

 

多聞天「ふんっ」

莉嘉「っ…!」

多聞天「とぁッ!!」

莉嘉「ぁあッ!!」

 

トマホークを止められ、突き出された貫き手を辛うじて躱し、再び多聞天の胸部目掛けダブルトマホークとした2刀の刃を振り下ろす。それでも、多聞天の表皮は摩擦で僅な蒸気を上げるだけで、

 

莉嘉「くぅぅ~…!」

多聞天「破ァッ!!」

 

奥歯を噛み締めた莉嘉の前に、掌から放たれた神の轟火を、後ろに跳ねて躱す。

 

莉嘉「こンのぉ…!」

美波「落ち着いて!熱くなりすぎても、勝てる相手じゃない!」

莉嘉「分かってるよ!けど、ここまで攻撃が効いてないんじゃ…!」

かな子「莉嘉ちゃんの全身全霊で戦ってください!私達のことは気にせず!」

莉嘉「……かな子、後悔してもしらないから!」

かな子「え…?…ひゃあッ!!」

 

グンッ、とゲッターアークを急加速。

 

莉嘉「トマホーク、ハリケェェーーンッ!!」

 

トマホークの刃にゲッターエネルギーを宿し、加速をつけて一気に振り下ろす。

 

多聞天「……」

莉嘉「これを…!連打ァアアアッ!!」

 

瞬く合間に左右のトマホークからトマホークハリケーンを込めた一撃を無数に打ち続けた。

 

多聞天「っ…!」

莉嘉「今、ちょっと痛いって思ったでしょ?」

多聞天「……っ」

莉嘉「更にぃ…!」

 

ゲッターアークのウィングが開き、エネルギーが腕部に収束していく。

 

莉嘉「サンダァァー…!ボンバァアアアアッ!!」

 

零距離から、サンダーボンバーが炸裂する。

 

多聞天「ぬぅぅぅッ!!」

莉嘉「っ!?」

 

サンダーボンバーを受けて尚、多聞天は迫る。

 

莉嘉「ゲッタァァービィイーームッ!!」

 

そこで、続いてゲッタービームを浴びせる。

 

莉嘉「くっ…!うぅ…っ!」

 

限界を超えた出力で放たれるゲッタービームに、コックピット内の計器は割れ、小さな爆発が辺りで起こる。

 

莉嘉「み、美波……かな子…!」

美波「う、うぅ…!」

かな子「んんんんッ!!」

莉嘉「こンのぉ~~~ッ!!」

 

3人の力を以て、肥大化したゲッタービームが、多聞天を包み込む。

 

美波「不味い…!莉嘉ちゃん、離れて!」

莉嘉「!!」

 

急いで多聞天から距離を取ると同時、盛大な爆発が周囲に拡がる。

 

かな子「はぁ…はぁ…はぁ…!」

美波「はぁ…はぁ…はぁ…!」

莉嘉「はぁ…はぁ…はぁ……や、やった…?」

かな子「どう、でしょう…?」

美波「やれるだけのことは、やったけど…」

莉嘉「これでダメなら、いよいよ…。……!?」

 

祈る思いで見つめた爆煙の向こう。ゲッタービームにより、あちこちが砕け、ダメージを受けた印象を残すものの、多聞天は、そこにいた。

 

かな子「っ……そんな…!」

美波「化け物……いえ、これが神の力だと言うの…?」

莉嘉「……」

多聞天「恐ろしい」

莉嘉「何?」

多聞天「あの短時間の間に、コレだけの力を身に付ける。やはり恐ろしきはゲッター。そしてその力の源…」

 

ふっと、視線を地獄の釜の底に向ける。

 

多聞天(異様な気配を感じてはいたが…。あの先、肥大化したゲッター線によって空間が歪み、1種の門となっておるようだ…。そこから流れ込んでくるものは…)

多聞天「…やはり、か」

莉嘉「はぁ!?こっちをバカにしてんの!?」

多聞天「ついて来るが良い。面白いものを見せてやろう」

 

そう言うと多聞天はゲッターアークに背を向け、地獄の釜の奥底へと向かっていく。

 

かな子「どう言うこと…?」

美波「この地獄の釜の底に、何があるの言うの?」

莉嘉「さぁ?けど、こんなところで尻込みしてても始まらない!」

 

操縦桿を倒し、ゲッターアークに指示を伝える。

 

莉嘉「突っ込めぇえええ~~~ッ!!」

 

多聞天の後を追い、地獄の釜の底へと突入した──。

 

──。

 

────。

 

───────。

 

莉嘉「──…!?ここは…!」

かな子「宇宙…!?だけど、どうして…」

美波「これが、多聞天の見せたかったモノなの…?」

多聞天「然り」

莉嘉「…!」

多聞天「……」

莉嘉「また高い所から見下ろして…!この宇宙は何なの!?こんな所に、一体何のために!!」

多聞天「何故、か…」

莉嘉「どうせまたアンタの差し金なんでしょ?こんな大掛かりな手品まで用意して…!」

多聞天「否ッ!!」

莉嘉「!!」

多聞天「そして、自らで感じるのだ。この宇宙の異質さを」

莉嘉「宇宙の、異質さ…?」

 

言われ、改めて全天に拡がる広大な宇宙を見渡す。

 

莉嘉「……」

かな子「感じろって、この宇宙が、何か…」

美波「でも、確かに……何だろう、静かすぎると言うか…」

莉嘉「……っ」

かな子「莉嘉ちゃん?」

 

実際に宇宙に立つゲッターアークを通して、その装甲板を通して、張り巡らされた電送管、ゲッターのフレームを通して、その手が握る操縦桿を通して、この宇宙が莉嘉の脳に訴え掛ける。

 

莉嘉「…怖い」

美波「怖いって…」

莉嘉「この宇宙、怖いよ…!生命をドコにも感じないっ!」

美波「い、生命…?」

多聞天「より純粋なる者。ゲッターを通して、感じ取ったようだな」

かな子「どう言うことなんです?!」

多聞天「この宇宙は、破滅した宇宙なのだ。貴様らがその力を求めて止まない、ゲッターの力によって!」

美波「またそんな事…!」

多聞天「信じられぬか。ならば…」

 

ゲッターアークの直ぐ傍まで接近。

 

多聞天「その目で見るが良いッ!」

 

そのまま、ゲッターアークの首筋に手刀を落とし、近くに見えていた惑星に、その身を叩き落とした。

 

莉嘉「ぅ…あ…」

美波「莉嘉ちゃん、大丈夫…?」

莉嘉「う、うん……何とか。……!?」

 

メインモニターに映る、ゲッターアークの視線の先、上体を起こすアークが、その手を置いていたのは、

 

かな子「これって、ゲッターロボの残骸!?」

美波「それも、1つじゃないみたい。見て」

莉嘉「……!?」

 

ゲッターアークが落ちた惑星の地表には、その大地をびっしりと覆い尽くす程の無数のゲッターロボの残骸が広がっていた。

 

莉嘉「こ、これって…!」

美波「ゲッターが戦った、後…?一体何と…」

かな子「何かって言うより…」

莉嘉「……っ」

かな子「ゲッター同士が、戦い合った…?」

美波「ゲッター同士……味方同士で…?」

多聞天「そうだ」

莉嘉「っ…!」

多聞天「これが、貴様達の未来の姿だ」

美波「私達の、未来…?」

多聞天「ただただ力を追い求め、敵を喰い潰し、生命を喰い潰し、星を喰い潰し…。やがては他者の宿す宇宙をも自らの手にしようと潰し合い、自滅」

莉嘉「ぁ…ぁ……っ」

多聞天「これが貴様達の言う進化の果て。生命なき宇宙はもはや虚無なる闇と同じ。ゲッターがもたらす宇宙の終焉よ」

かな子「そ、そんなこと…!信じられると思ってるんですか!?」

多聞天「まだ、虚勢を張るか。しかし、ゲッターの申し子よ」

かな子「っ……莉嘉ちゃん?!」

莉嘉「……」

美波「莉嘉ちゃんが、ゲッターの申し子…?」

多聞天「貴様には等に分かっておる筈だ。今目の前に広がっている光景が、まやかしか現実か」

莉嘉「あ、アタシは…」

美波「莉嘉ちゃん!気をしっかり持って!!」

莉嘉「!! それでも、アタシは…!」

 

多聞天に向き直る。

 

莉嘉「ゲッタービーム!!」

多聞天「……」

 

多聞天に向かって真っ直ぐに伸びたゲッタービーム。しかしそのビームは、突如として多聞天の前に現れた仮面によって防がれた。

 

莉嘉「何!?」

美波「あの仮面……ううん、あれは…!」

 

増長天「ふぇっふぇっふぇっふぇっ…!」

広目天「くくくくくくっ…!」

持国天「ふふふふふっ…!」

 

かな子「そんな…!あの人達は、倒した筈じゃ…」

増長天「ふっ、倒した、か」

持国天「然り。我らはゲッターの力の前に、倒されはした」

広目天「しかし、先刻も名乗った筈よ。我ら、生命を超越せし者」

多聞天「我らに生死と言う理は通用せん。ただそこにあるのは、存在と言う概念のみ」

莉嘉「何さ、それ…」

美波「倒しても倒しても、幾ら戦っても無駄ってこと…!?そんな相手、どうやって…」

かな子「莉嘉ちゃんも美波さんも、しっかりして下さい!倒すことが出来なかったとしても、相手が諦めるまで戦い続ければいいんです!」

持国天「ふむ。小娘ながら、真理を突く」

多聞天「我らが敵わぬと、そう悟ってしまえば、最早存在する意味などありはしない。だが…」

広目天「それまでに、人の心が保つかな?」

莉嘉「!? 今度は、何を…」

 

四天王が、ゲッターアークの四方に座する。

 

増長天「はァアッ!!」

広目天「はっ!!」

持国天「はぁッ!!」

多聞天「ふんっ!!」

 

4柱それぞれが中指と人差し指を立てた印を結ぶような形の手を翳し、ゲッターアークに向けて思念を送る。

 

莉嘉「っ…!何、これ……う…ぁ、ああ…!」

美波「うぅ……気持ち……悪い…っ。あ…や、ぁああ…!」

かな子「頭が……割れそ、う…っ!」

増長天「ふははははっ!!正真正銘の神通力よ。人間には耐えられまい!」

広目天「そのまま、ゲッターごと潰えてしまえ!」

莉嘉「くっ……ぅぅ…っ、こんな、所で、ぇ…!」

 

苦悶を浮かべる、莉嘉の視線に、ゲッターの残骸が映る。

 

持国天「これで1つ、我々の役目も終わる」

多聞天「また1つ、宇宙に安寧が訪れよう」

莉嘉「っ…! アタシも、こんな…っ!」

かな子「それで、いいんですか…?莉嘉ちゃん…!」

莉嘉「かな子…」

美波「確かに、多聞天の言うことは、本当の事……かもしれない…!ゲッターが、宇宙を滅ぼしたっ、事も…!莉嘉ちゃんが、私達が…っ力を追い求めていたことも…!」

莉嘉「……」

美波「けど…っ!私達が生きていたいっ、て願いも、真実の筈でしょう…!?」

莉嘉「それは、だけど…!」

かな子「思い出して下さい…っ、莉嘉ちゃんは、莉嘉ちゃん1人のために、戦ってる訳じゃ、ない筈です…っ!莉嘉ちゃんが、生きたいって言う願いは…!っ…莉嘉ちゃん1人のものかも…しれません、けど…!それを望んでいてくれる、人だって……私達の帰りを、待ってくれている人達だって……いる筈です…!」

莉嘉(お姉ちゃん…!)

美波「未来だって、宇宙だって、大切なことだけど…!それでも、ただ、愛する者のためだけに、今は戦おうよ…?」

かな子「私達は、こんな所で終わる筈じゃ、ないです……よね…?私はまだ……立ち上がれます…!」

美波「私も、まだ戦える…!だから!」

かな子「一緒に立ち上がって下さい!」

美波「一緒に戦って!」

美波・かな子「「莉嘉ちゃんッ!!」」

 

莉嘉「──うわぁあああああ──!!!!!」

 

ド オ ォ ッ

 

広目天「な、何だ…!?」

増長天「この輝きはゲッター線…!だが、奴等にこれ程の力は!」

持国天「これは…!?」

 

ゲッターアークを中心に、爆発的に膨れ上がるゲッターエネルギー。それに呼応するかのように、惑星全体を覆っていたゲッターの残骸に、微かに残されたゲッターエネルギーが、破滅の宇宙を覆っていたゲッターエネルギーが、ゲッターアークに吸い寄せられていく。

 

多聞天「ゲッターめ…!まだ滅んでいなかったのか…!?」

莉嘉「──!!」

 

吸い寄せたエネルギーをも自身の力に変え、ゲッターアークが放つ輝きは、コックピットな内部までも包み込んだ。

 

莉嘉「そうだ…!ゲッターの力は、宇宙を滅ぼす力なんかじゃないッ!」

美波「これは…?ゲッターの力なの?私の中に、莉嘉ちゃんを、かな子ちゃんを感じる…」

かな子「自分を強く持って下さい、美波さん。やっぱり、そうだったんだ…」

美波「かな子ちゃん?」

かな子「ゲッターだけじゃ、これだけの力を制御出来ません。神に匹敵し、それを上回る力を手にするためには、私達、ううん、莉嘉ちゃんが必要だったんです」

美波「莉嘉ちゃん?さっきの、莉嘉ちゃんがゲッターの申し子って言うのは…!」

かな子「…美波さん、ここからは私にも分からない領域です。今まで以上のエネルギーが、私達にも流れ込んでくると思います。それでも、決して自分を見失わないで下さい!」

美波「自分を…」

かな子「この世界に生きているんだと言う、確固たる自分を!」

美波「…分かった!」

莉嘉「美波、かな子!アリガト☆アタシ、もう迷わないッ!」

 

ググンッ

 

美波・かな子「「!!!」」 ビクンッ

 

電流を受けたように、2人の体が一瞬跳ね上がる。

 

美波「ぅあ…」

かな子「これが、ゲッターの、莉嘉ちゃんの力…!」

莉嘉「!!」

増長天「ぬっ!?」

 

神も知覚できない動き。超神速を以て増長天を蹴り飛ばす。

 

広目天「おのれ!我らが術を破るとは…!」

莉嘉「相手が神様だろうと悪魔だろうと!未来は、誰かに教えられるものじゃない!」

広目天「ぐっ!?」

 

神通力を突破してきたゲッターアークにたじろいだ広目天のその目の前に瞬間的に現れ、殴り飛ばす。

 

持国天「くっ…!?」

莉嘉「未来は、この手で掴み取るもんだァッ!!」

持国天「このぉ…!」

 

瞬間移動で持国天の正面に立ち、掌底を以てその体を吹き飛ばした。

 

多聞天「絶望を突き付けられても、まだ力を追い求めるつもりか!」

莉嘉「アンタ達の言う絶望は、アタシ達の絶望じゃない!アタシにとって絶望的なのは、アタシの未来が紡がれないことだァッ!!」

 

鋭い爪を突き出した、ゲッターアークの手刀。多聞天の表皮を抉り、赤黒い血を滴らせる。

 

多聞天「ぐ…ぬぅ…!」

莉嘉「やっと歪んだね。その顔が見たかった…!」

多聞天「悪魔め…!」

 

三天王「「「多聞天ッ!!」」」

 

莉嘉「!!」

 

ゲッター目掛けて放たれた攻撃。しかし、既にアークは分離している。

 

広目天「くそっ…!どこへ言った!?」

増長天「合体前だと言うのに、動きが早すぎる…!?」

持国天「……!増長天、上だ!!」

増長天「!!」

 

持国天の声に、天を仰いだ増長天を、巨大な竜巻が包み込む。

 

増長天「こ、これは…!?」

美波「貴方達の相手は、アークだけじゃありませんよ?」

増長天「!!」

美波「ドリルアームッ!!」

 

上下左右に留まらず、四方八方と竜巻の中から姿を現すゲッターキリクのドリルが、増長天の体を削っていく。

 

増長天「くぁ…」

美波「これで!」

増長天「くっ…!調子づきおって!」

 

戟を強く握りしめ、上空に狙いを定める。

 

増長天「今度は騙されん!!」

 

上空から迫るゲッターキリクに、反撃の姿勢を見せる増長天。

 

増長天「ぜぇぇぇいッ!!」

美波「ドリル…!ストリィィィームッ!!」

 

激突するドリルと戟。しかしその勝負は、呆気なく着いた。

 

増長天「ぅ…?」

 

その穂先からバキバキと砕かれ、粉々に散っていく戟。ドリルは止まらず、そのまま増長天をも貫いた。

 

増長天「おぉ…──」

 

口からドリルをぶちこまれ、体を貫かれて見る影もなくなった増長天はそのまま四散。

 

広目天「ぞ、増長天…!」

 

それから差程も間を置かず、広目天を捉えて地中から伸びたのは、ゲッターカーンの長い両腕。

 

広目天「ぐぅ…!?こ、これは…!」

 

地を裂き大地を砕き、姿を見せるゲッターカーン。

 

かな子「必殺…!」

 

広目天の頭を抑え、蛇腹のような腕で全身を雁字絡めにし、引き寄せる。

 

かな子「大雪山…!おろしぃぃいいいいいッ!!」

広目天「ぬぉおおおおおっ!!」

 

大雪山おろしで、天高く広目天を放り投げる。

 

広目天「何の…これしき!」

かな子「チェンジ・カーンローバーッ!!」

 

宙で体勢を立て直す広目天に、カーンローバーが迫る。

 

かな子「スパイン…!クラッシャァァァアアアアアッ!!」

 

カーンローバーのスパインクラッシャーが、広目天に突き刺さる。

 

広目天「ぐ…っ!ぬっ、ぬっ、ぬっぬぅぅぅううおぉあああああッ──!!?」

 

断続的な回転で押し寄せるスパイクに、広目天は挽き肉のように挽き潰され霧散。

 

多聞天「同化が始まったか…!?」

持国天「しかし奴等…!ゲッターの力に呑み込まれておらぬ!寧ろ…!」

かな子「呑み込まれる、ですか?」

莉嘉「そんなの、力に怯えてる弱虫が言うことだよ!」

美波「例えどんな強大な力でも、生き残るためになら利用して、自分の力に変える。それが、人間と言う生き物です!」

 

その瞳に強い意思と決意、覚悟を宿す、3人の体を這い回るゲッター線の脈が、明滅を止め強く光輝いている。

 

持国天「奴等め、ゲッターと同調している…?3人全員……否、3人だからか!」

多聞天「ゲッターが3人の乗り手を必要とする訳、か」

持国天「1人では、宇宙は只の虚空!漆黒の闇に過ぎん。己を他人と自覚する他者の存在…。それがあって宇宙に意味が生まれ、そして3人で…!」

かな子「ミサイルスパイラルッ!!」

持国天「!?」

 

無数に飛び交うゲッターカーンのニードルミサイルが、持国天を襲う。

 

持国天「こんなものでっ!」

美波「チェンジゲッター!キリクッ!!」

持国天「っ!」

美波「シザーアーム!!」

 

ゲッターキリクのシザーアームが、持国天の腰をガッチリと挟み、拘束。

 

持国天(分離、そして合体のタイミングが、完全に掴めん…!)

美波「たぁあああああッ!!」

 

そのまま、持国天を地面に叩き付け、大地を擦りながら引き摺っていく。

 

持国天「こ、このぉ…!」

美波「オープンゲット!!」

 

持国天は口から火炎を放ち、ゲッターキリクを狙うが、キリクは等に分離し、

 

莉嘉「チェーンジゲッタァァー!!アーック!!」

 

ゲッターアークが合体している。

 

莉嘉「ゲッタービーム!!」

持国天「くっ…!ただ純粋な力のみで、神の存在を脅かすと言うか…!ゲッターァァ…ぁああああ──!!」

 

ゲッタービームにその身を灼かれ、持国天は爆散。

 

多聞天「ぬぅ……ゲッターロボめ…!」

莉嘉「!!」

多聞天「ぐぅ…っ!」

 

背後に回り込んだゲッターアークのトマホークを、寸前で躱す。

 

莉嘉「へぇ?避けるなんて、随分余裕ないじゃん?」

多聞天「調子に乗るなよ…!人間!!」

 

一度ゲッターアークから退いた、多聞天の体が大きく、巨大化していく。

 

かな子「大きい…!これが、多聞天の本当の姿、なんですか!?」

美波「可笑しい…!あの大きさ、本来なら重力崩壊を起こしても可笑しくないのに!」

莉嘉「ふんだ!今さら大きくなったところで、アタシ達がビビるとでも思った?」

多聞天「これが本来の力の差なのだ!貴様達が、我々に抗うなどと…!」

 

多聞天が巨大な光の剣を振り上げる。

 

かな子「な、何て巨大な…!」

莉嘉「その分避けやすいよ!あんなの…!」

 

剣が振り下ろされる直前、ゲッターアークは瞬間移動で、惑星の重力圏を抜けた遥か彼方、宇宙空間へと飛び出している。

 

美波「見て!」

かな子「星が…」

 

それでも、多聞天の光の剣は、先程までいた惑星を容易く両断した。

 

多聞天「分かったか!?これが神々と、ちっぽけな生命体の力の差だ!」

莉嘉「フフンッ♪けど、そうやって力を誇示したがる奴って、大体弱虫なんだよねっ☆」

多聞天「何!?」

莉嘉「アンタがどれだけデカかろーが、強かろーが!もうそんなの関係ないってこと!」

 

多聞天の眼前に飛び込んだゲッターアークの拳が、多聞天の鼻っ柱を打ち、その巨体を簡単に仰け反らせる。

 

多聞天「ぬぅお…!?」

莉嘉「もうお互いに言葉は要らないんだ。アタシ達を納得させたいなら、倒れるまで向かってきな!!」

多聞天「……ならば!」

莉嘉「やぁあッ!!」

 

多聞天とゲッターアークの拳がぶつかり合う。その間から生まれた衝撃波は、近くの星々をも軽く吹き飛ばした。

 

多聞天「ふんッ!!」

莉嘉「はぁッ!!」

 

多聞天は金箍棒、ゲッターアークはトマホーク。それぞれの得物を手に、轟撃を交わす。その一轟一轟が生む衝撃もまた、数多の惑星を粉々の小惑星群に変え、戦闘の影響でぶつかり合う小惑星が、幾つものブラックホールを生んだ。

 

莉嘉「だぁあああああッ!!」

多聞天「とぁあああああッ!!」

 

天地をひっくり返し、宇宙に渦を巻き起こし、破滅と新生の直中で激しくぶつかり合う。

正に神戦。正に神話の光景。

 

多聞天「ぬぅぅおぉぉぉぉぉッ!!」

莉嘉「ぐっ…!?」

 

その壮絶な戦いの中、やはり神の称号を持つ多聞天が、優勢かに見えた。

 

美波「やぁあああッ!!」

多聞天「!?」

かな子「はぁあああああッ!!」

多聞天「ぐぅっ!!」

 

しかし時に、ゲッターはその姿をキリクと、カーンと変え、己の全身全霊を以て、神に抗っていた。

 

かな子「はぁ…はぁ…っ。私達、3人の力を合わせても、やっと互角ですか」

美波「やっぱり、今までで戦った中で一番強い」

莉嘉「あはっ☆だからこそ、倒しがいがあるってもんじゃん!」

かな子「そう言うもんですかねぇ…」

多聞天「あくまで戦いを楽しむつもりか、ゲッター!」

莉嘉「へへっ、そっちこそ辛くない?宇宙だ数多の生命だーって、重たいの背負って戦ってさ」

多聞天「貴様達とは覚悟が違うのだ!我らの戦いは、より多くの宇宙を守るための…!」

莉嘉「だったら、受けてみなよ」

多聞天「何?」

莉嘉「アタシ1人の覚悟が、ちっぽけかどうか…!」

 

ズォッ

 

莉嘉「うぉおおおおおッ!!」

 

ゲッターアークがエネルギーそのものと化したかのような、凄まじい輝きがゲッターアークを包む。

 

多聞天「これは…!?この宇宙のゲッター線をも、力に変えると言うか!!」

莉嘉「これが私の、全力だぁああ~~~ッ!!」

 

ゲッターアークの体から真っ直ぐに上へと伸びて、姿を顕したのは天をも貫く長大なトマホーク、ファイナルトマホーク。

 

多聞天「何と…!これが、人間の…っ!!」

莉嘉「くぅらぁえぇえええええッ!!」

 

渾身の力を込めてファイナルトマホークを振り下ろす。

 

多聞天「ぐぅううううううッ!!」

 

振り下ろされた強大なゲッター線の刃を、多聞天はその腕で受け止める。

 

多聞天「だが…!だとしてもだ!引き下がるわけにはいかぬ!!我らは、敗けられぬッ!!!」

莉嘉「うぉおおおおおおおッ!!」

 

ゲッターアークはトマホークを振り切った。気合いの吠声が消え行くように、ファイナルトマホークも霧散して消える。

 

多聞天「……」

莉嘉「へへっ……どう…?」

 

見上げる先、巨大な多聞天の両腕は斬り断たれていた。が、

 

多聞天「この程度…!」

 

その損傷が嘘だったかのように、一瞬で両腕を再生させる多聞天。

 

多聞天「!!」

かな子「莉嘉ちゃん!!」

莉嘉「!?」

 

多聞天の腹部から放たれた一筋の閃光。咄嗟に身を翻すが躱しきれず、ゲッターアークの左半身が吹き飛ぶ。

 

莉嘉「くっ…!」

 

左腕は一瞬で塵芥と消え、閃光が突き抜けた余波で頭部をはじめとする幾つかの表装も剥がれ落ち、ゲッターアークの内部構造が剥き出しになる。

 

莉嘉「ちょっと油断したなぁ…」

美波「心はまだ、折れてないよね?」

莉嘉「……トーゼン!」

多聞天「最早雌雄は着いた。その損傷では他のゲッターに変わることも出来まい。潔く、滅びを受け入れるのだ!」

莉嘉「潔く?ゴメンだよ!!アタシは、最後の最後まで戦う!」

美波「莉嘉ちゃんだけじゃない。私達の気持ちも一緒だよ!」

かな子「ここまで来たんですから。戦いますよ、それがゲッターに乗る者の宿命、なのかもしれませんし」

 

『その通りです!!』

 

美波「この声は…」

かな子「私達の知ってる、卯月ちゃん!?」

莉嘉「これ……ゲッターエネルギーが集束して…」

美波「うぅん。全く違う次元から、桁違いのゲッターエネルギーが来る…!」

 

ゲッターアークに後光が差し、認識。宇宙の外側からここに溢れ返ってくる、巨大なゲッターエネルギー。その正体は、

 

多聞天「来たか、真ゲッタードラゴン!!」

莉嘉「真ゲッター、ドラゴン…!」

卯月『莉嘉ちゃん、美波さん、かな子ちゃん!お待たせしました!』

かな子「卯月ちゃん…!ホントに卯月ちゃんなんですか!?」

未央『私もいるよん♪みむっち!』

かな子「未央ちゃんまで!?」

美波「一体どうやって、ここまで…?」

卯月『ゲッターが導いてくれたんです。3人を迎えに来ましたよ!』

莉嘉「迎えに…?」

凛 『…と言っても、私達がそっちに着くまでは、もうちょっと掛かるんだけど』

未央『何かいい感じにピンチっぽかったからさ。真ドラゴンのエネルギーだけ先に送っといたよ!』

美波「送っといたって…。そんなピザのデリバリーみたいな…」

卯月『真ドラゴンの力、アークに託します!』

莉嘉「真ドラゴンの力…。それって…」

未央『おっと!』

莉嘉「!?」

 

真ドラゴンの方に注意が向いた、ゲッターアークに放たれた多聞天の攻撃を、強力なゲッターバリアが弾く。

 

多聞天「真ドラゴンめぇ…!」

美波「不意打ちなんて、そっちも余裕がない証拠ですね」

多聞天「その真ドラゴンの姿を見ても何も気付かぬか?その悍ましき姿こそ、ゲッターの行き着く果て!」

莉嘉「悍ましい?全然!むしろアンタなんかよりよっぽど、神々しくてカッコいいよ☆」

卯月『そうですか?えへへ…。ありがとうございます!』

未央『何でしまむーが喜んでんの…』

凛 『……多聞天は、莉嘉達の力で倒すんだ』

莉嘉「えっ!?一緒に戦ってくれないの?」

凛 『一緒には、戦えない。もし莉嘉達が私達の力に縋るようなら、真ドラゴンがそっちに辿り着く前に、アークは倒されるだろうね』

莉嘉「……っ」

未央『その代わりにエネルギーを託すんだ。使って、真ドラゴンのエネルギーを!』

 

真ドラゴンの姿を象っていたエネルギーが、ゲッターアークの中へと吸い込まれていく。

 

莉嘉「──!! これが、真ドラゴンの力…!」

美波「ゲッターの力だけじゃない…。卯月ちゃんの、凛ちゃんの意思…」

かな子「それにもっと多くの、人達の意思が…!」

卯月『そうです。たくさんの人の意思を繋いでいくことが、ゲッターの使命なんです!』

凛 『力だけじゃ、ゲッター線だけだったなら、それは宇宙を漂う、他の宇宙線と変わらない』

未央『人間がゲッター線に意味を見出だし、ゲッター線にゲッターロボと言う人形の器を用意した。だから、ゲッターの進化は始まったんだ』

美波「ゲッターの力に、人の意思…」

多聞天「それこそが滅びの始まり!良いか、器に魂を入れてはならぬのだ!!」

かな子「そんなの、貴方に決めつけられる謂れはありません!やりましょう、莉嘉ちゃん!」

莉嘉「……」

美波「莉嘉ちゃん?」

莉嘉「…大将」

かな子「大将…?……あ」

 

大将『──正念場だぜ。絶対敗けんじゃねぇぞ』

 

莉嘉「…うん、うんっ。負けないよ、絶対。ここにあるアタシの未来は、大将が繋いでくれた未来だもん!」 グッ

 

操縦桿を握る手に力を込め、多聞天を見据える。

 

凛 『いい?多聞天だけを射貫こうとしちゃダメだ。多聞天のもっと向こう、宇宙そのものを貫くイメージで』

美波「宇宙そのものを?!」

未央『4000万光年先まで届かせる気持ちで、思いっきり撃ってやれ~!!』

かな子「4000万光年…。むちゃくちゃな数字ですけど、今のアークなら!」

卯月『信じてください。莉嘉ちゃんはゲッターと1つになってますけど、ゲッターもまた莉嘉ちゃんですから!』

莉嘉「分かった!美波、かな子やるよ!これが正真正銘、最後の一撃だ!」

美波「えぇ!」

かな子「はいっ!!」

多聞天「来るか!ならば、正面から打ち砕いてやるまで!」

莉嘉「ゲッ……タァァアー──!!」

 

3人「「「ビィィィイイーーームッ!!」」」

多聞天「破ァアッ!!」

 

多聞天が撃ち出す閃光と、ゲッターアークのゲッタービームがぶつかり合う。

 

多聞天「ぬぅううううう~~~ッ!!」

 

多聞天の閃光を弾き散らして、ゲッタービームが少しずつ多聞天に迫る。

 

多聞天「ぐぅ…っ!何故だ!?何故悟らぬ!?異界の地球を覆した力を得、この宇宙のゲッター線を得、真ドラゴンの力を得ても尚、留まることを知らぬ、その恐ろしさを!!」

莉嘉「怖くなんかないッ!アタシ達は、ゲッターを恐れない!ゲッターを恐れてるのは、結局アンタ達の方なんだ!」

多聞天「!?」

莉嘉「偉そうに自分の事神だなんて持ち上げちゃってさ!ゲッターに取り込まれるのが怖くて、滅ぼされるのが怖くてビクビクしてるだけのオクビョー者じゃん!」

 

莉嘉「アタシ達は、ゲッターの力なんか恐れない!人間がゲッターの奴隷なんかじゃない、ゲッターが人間の力なんだァア~~~ッ!!」

多聞天「!? うぉおおお!!」

 

ド ワ ォ オ ッ

 

かな子・未央『「うぅぅぅぅぅッ!!」』

美波・凛『「いぃぃぃぃぃッ!!」』

莉嘉・卯月『「けぇぇぇぇぇッ!!」』

 

『「えええええええええ──ッ!!」』

 

多聞天「うぅぅぅ…おわぁああああああ──ッ!!」

 

多聞天の姿が、ゲッタービームの中に消えた。爆煙が辺りを包む。

 

莉嘉「……」

美波「……」

かな子「……」

 

多聞天「……」

 

爆煙が晴れ、その向こうから多聞天が姿を見せる。しかしその姿、肉体の殆どが既に失われ、再生する気配はない。

 

多聞天「我らの敗北、か…。今は敗けを認めよう…」

莉嘉「……」

多聞天「しかし忘れるなよ。純粋な願いも、潔白の祈りも、強大な力はその姿を醜く、悍ましく変えてゆく。貴様達がいるのは、その途上だと言うことを…」

莉嘉「好きに言えばいいよ。アタシはアタシの夢を叶える。その為に、ゲッターの力を出来る限り、利用してやるまでだって」

多聞天「ゲッターを利用、か。大きく出たものだ」 フッ…

莉嘉「あはっ☆今笑った?」

多聞天「ならば後は、見守るとしよう。貴様達人類の趨勢を…──」

 

そう言い残し、多聞天は灰となり、宇宙に散っていった。

 

かな子「……やった…?」

美波「勝った、の…?私達、本当に…?神様に…」

莉嘉「ふぃ~…。や~っと終わったぁ~」

 

大きく息を吐き、シートに深くもたれ掛かる。

 

卯月「お疲れ様です!莉嘉ちゃん、皆さん!」

莉嘉「卯月!!」

 

戦いが終わった後の宇宙に、真ドラゴンがその姿を現す。

 

美波「これが、真ゲッタードラゴン…。単独で時空を越えてくるなんて」

未央「大変だったねぇ、ミナミン。さ、早く帰ろ~!」

かな子「もう何でもありって事ですかね?けど、迎えに来てもらえて、何か安心です」

莉嘉「そだね。こんな何処だかよく分かんない宇宙で、美波とかな子と3人だけって言うのも、大変だったし」

凛 「帰る方法も分かんないのに、よく迷わずワームホールに飛び込むもんだよ」

莉嘉「えへへ~☆」

美波「多分、褒めてないと思うよ?」

卯月「けど、早くこの宇宙から離れることには賛成です。早くしないと…」

かな子「…!?何ですか、あれ…!」

 

真ドラゴンとゲッターアークが見据える遥か先から、こちらに向かってきているのは、

 

未央「さっきの奴等の仲間、みたいなもんかな?」

凛 「厄介だね。ゲッターに惹かれて向かってきてるみたいだ」

かな子「あんなのが、まだいるんですか!?」

未央「ま、宇宙は広いから」

かな子「答えになってませんよ~!」

莉嘉「もしかして、あいつらも倒さなきゃならない感じ…!?」

 

「それには及びません」

 

莉嘉「!?」

ウヅキ「奴等の相手は、私がします」

美波「真ゲッター、タラク…!」

卯月「貴女は…!」

ウヅキ「……」

未央「わぉ!これはややこしいツーショット!」

凛 「茶化さないの。今真剣なとこ何だから」

ウヅキ「…貴女達は、ずっと一緒なんですね」

卯月「はい。私達は、ずっと一緒です!」

ウヅキ「…そうですか。けど、忘れないで下さい」

卯月「……?」

ウヅキ「私もまた、貴女が進む先の、1つの可能性だと言うことを」

卯月「……はいっ」

ウヅキ「なら、早くこの宇宙から出ていって下さい」

かな子「本気で戦うつもりですか!?」

ウヅキ「はい。私もタラクも、その為に今日まで……貴女達の未来を守る為にここにいるんです」

莉嘉「けど、真ゲッタータラクだけじゃ…!」

ウヅキ「いいえ」

莉嘉「?」

ウヅキ「タラク”だけ”じゃないですよ」

 

「うぉおおおおおおお~~~ッ!!?」

 

何かが、莉嘉達の方に吹き飛んでくる。

 

莉嘉「うわっ…!何…?」

美波「あれは、ゲッター?」

かな子「けど、あんなゲッターロボ…」

 

男 「チッ…!やってくれるじゃねぇか!」

 

戦闘の衝撃で飛ばされてきたらしい、そのゲッターロボは、様々なゲッターのパーツを継ぎ接ぎして作られたような、歪な形をしていた。

 

男 「テメェは…!…いや、違うな。誰だ?テメェら」

美波「えっと…」

男 「ま、誰でもいいけどよ。早くここから離れねぇと、どうなっても知らねぇぞ」

卯月「はい。私達は行きましょう、莉嘉ちゃん」

莉嘉「けど…」

凛 「私達の宇宙の戦いも、まだ終わってない。ここはタラクに任せるんだ」

莉嘉「…分かった」

 

渋々頷き、真ゲッタータラクに背を向ける。

 

卯月「…頑張って下さい」

ウヅキ「言われなくても。頑張ることだけは、得意分野でしょう?」

卯月「……はいっ」

ウヅキ「さよならです。もう巡り逢う事もないように」

 

その言葉で見送り、真ドラゴンとゲッターアークは、真ドラゴンが作ったワームホールの中に消えていく。

 

男 「…さぁて、次はどいつを…。……?」

 

悪態を吐く男の寄せ集めゲッターの隣に、真ゲッタータラクが並び立つ。

 

男 「テメェ、何のつもりだ?」

ウヅキ「何も。ただ、力の限りこのゲッターを暴れさせたくなっただけです」

男 「…けっ、成る程。そう言うことかよ」

ウヅキ「……?」

男 「テメェも、俺と同じ穴の狢ってことだ。気に入らねぇなら、全部ぶっ壊しちまえってな!」

ウヅキ「ふふっ…。そうかもしれませんね」

 

ほぼ同じタイミングで、それぞれの得物のトマホークを構える。

 

男 「骨は拾ってやらねぇからぞ」

ウヅキ「心配無用です。勝手に暴れて、勝手に戦うだけですから」

男 「へっ、それじゃあ…!」

 

男 「いくぜぇぇえええええッ!!」

ウヅキ「うぉおおおおお──ッ!!」

 

迫り来る神々の軍勢に、力強く立ち向かって──。

 

第4部完 つづく




次回

番外編『折り重なるセカイ』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。