「はぁ…結局、やる事無かったな」
「無くしたのは迅真じゃない」
屋敷に帰ってから呟いた迅真にすかさず突っ込むルーミア。
「そんな事言われてもなぁ…想像より弱かったし」
「一回死にかけてたくせに言うセリフじゃないわ」
「アハハ…えっと、怒っています?」
「当たり前でしょ。あんなに余裕そうな事言って、実際には一回死にかけてるじゃない。思わず辺り一帯抹消するところだったわよ」
「おぉぅ…すまん…でも、せめて消すとしてもアイツだけにしろよ?」
「さすがに二回目は自制が効かないわ。何も許さないし、みんな殺す。壊すし一片の欠片も残さないわ」
いっそ清々しいくらいの笑みで答えるルーミアの顔を見て、頬を引きつらせる迅真。
「よし。もう寝よう。そうすれば誰も傷つかないぜ」
「そうね。そもそも中途半端に寝たから眠いわ…おやすみ~」
「おぅ。おやすみ」
ルーミアが布団に入ると、その後ろから自然に迅真が入ってくる。
「……なんで入ってくるのよ」
「寂しくない様に?」
「別に、私は同じ部屋にいればいいんだけど?」
「じゃあ、俺が寂しいからな。一緒に寝かせてもらうぞ」
「うぅ…逆に私が寝にくいんだけど…」
「何か言ったか?」
「べ、別に…?」
絶対聞こえてるくせに。とは言わない。首筋に息が当たってくすぐったいが、我慢して静かに寝る事にする。
「……ルーミア…抱きしめても良いか?」
「え?ちょ、うわぁ!」
聞かれたが、答えを返す前に行動され、腕の中に引き寄せられてしまう。
「あうあうあ…ひ、久しぶりすぎて恥ずかしい…!!か、顔が熱いんだけど…!!」
こういう時は逆に迅真の方を向いて抱きしめ返せば落ち着く!
という、昔試した対処法をしようとした瞬間、
「んっ…!?」
振り向いたと同時に唇を奪われる。
「…………」
数秒の放心。
「………!!」
やっと状況を理解し、唇を離すと、
「クッ…もう理解されたか…!後3秒は行けると思った!」
「じ、迅真ぁ!!」
迅真の胸板を軽く叩く。
「アハハハ…ごめんごめん。反省も後悔もしてないから許してくれよ」
「ゆる…ゆ…ゆ……いや、それ許せないよ!?」
「おっと。バレたか」
「せめて反省して断ってからしろ!」
「嫌だね。驚いて顔を真っ赤にするルーミアも好きなんだぜ」
「う、うぅぅ、ウガー!」
ルーミアはそう言うと、勢いよく迅真の首筋に噛みつく。
「うぎゃぁ!!痛い痛い!!死ぬ!死んじゃうから!!」
「
「気持ちは伝わったけど痛くて泣いちゃう!!泣いちゃうから!!」
「
「イヤァァァァ!!痛くないのが良いんだけどぉ!?」
「
「あ、あぁぁ……なんだろ…俺、何したっけな…いや、別にこの状況に不満は……やっぱり、痛くないのが良いんだけど。ねぇルーミア?そこらへんどうにかならない?」
「
「そうですか…まぁ、キスの代償とでも思っておこう。そうすればこの痛みも……大丈夫!ルーミアから受けたのだし!!」
「………ふはっ…もうダメかもしれない。救いようがないわ」
「大丈夫だ。最低限ルーミアがいれば俺は生きていける。いなくなったら死ぬわ。絶対死ぬわ。速攻死ぬわ。ありとあらゆる手を使ってお前を蘇生させて無理だったら死ぬわ」
「迅真…!!」
でも、私には逃げるのを許さなかったくせに逃げるなよ?と言わんがばかりの黒い光も見て取れた。
「まぁ、そもそも俺がいる限りルーミアは殺させないし、お前がいる限りもう二度と死にはしない。俺の名とお前に誓って俺は絶対に死なない。これでいいか?」
「当たり前よ。私も貴方を死なせないし、貴方が死なない限り私も死なないわ。そして私はどれだけ頑張っても死なない。だから永遠に生きてもらうわよ?」
「望むところだ。いくらでも付き合ってやるし、愛し尽してやる。一片の欠片も残さず全てだ。もう良いなんて言わせはしない。永遠に、俺の愛でとけるほどに愛してやるよ」
「それなら私も負けないわ。いくらでも、死にたくなるほどに愛してあげる」
二人の顔は一気に近くなり、また、重なる。
「………ぷはっ…ふふっ、本当に久しぶり。何時ぶりかしら。こんなになったの」
「さぁな……輝夜の時じゃないか?あの時も家を買った後に同じような事をした気がする」
「ん~……そうだっけ?」
「そうだったと思うぜ」
「…まぁいいや…今が幸せで、これからも幸せなら」
「それもそうだな…しばらくはもう動くつもりはないし。何か変なのに巻き込まれない限りこのままだ」
「そう…なら、しばらくは心配しないでのんびりしてられるわね…」
「そうだな…」
二人は、そのまま眠りにつくのだった。
夜闇に紛れて、一回、鳴き声が響いたことを彼らは知る由も無かった。