東方存在録   作:大神 龍

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第十話

「いやぁ…晴れたな。晴天だ」

 

「洗濯日和ね…!!」

 

 そう言って、仲良く洗濯物を干す二人。

 

「仕事とか、面倒でやってられんよな」

 

「いや、頑張ろうよ」

 

「物売って行こうぜ…って、仕事してることになるのか。雑貨屋…?何でも屋…かな?なんていうんだろ…まぁいいや。とりあえずニートじゃない」

 

「…店舗にするの?」

 

「生産するだけだって。店開いたらルーミアとくっつく時間が減るっての」

 

「なら良し。ばっちりよ。迅真」

 

「当たり前だ。俺はお前と一緒にいるためなら何でもするぜ」

 

「迅真…!!」

 

 手に持ってる洗濯物を物干し竿に干してから迅真に抱き着く。

 

「おっと。ふふふ。いくらでも頼ってくれて構わないんだぜ。出来る範囲の事ならいくらでも。出来ない事なら限界超えてやってやる」

 

「それは私をダメにするって宣言?」

 

「そう取って貰っても構わないぜ」

 

「わーい!でも私も働くからね?」

 

 ルーミアの言葉に、迅真は硬直する。

 

 そして、震える声で、

 

「え、マジで?」

 

「本気よ」

 

「……じゃあ、家事を頼むかな」

 

「それでも私は迅真の手伝いをするのよ」

 

「えぇ…仕方ない。じゃあ何かやる事考えるよ。とりあえず洗濯を終わらせよう」

 

「は~い」

 

 そうして、二人は手早く洗濯物を干す。

 

 

 * * *

 

 

「で、今日は服を作ろうと思うんだ」

 

「……私はもしかして採寸されるだけ?」

 

「いや、ちゃんとそれ以外の役目も用意してるから安心して。まぁ、今回の服作りはちょっと外に出せない奴だからな。趣味の範囲内だ。ルーミア。こっち来て」

 

「趣味の範囲内って…」

 

 迅真の傍に行くと、バッグから取り出した巻尺で採寸を始める。

 

「ほいほいっと。ん~…やっぱり目測と少し違うな…まぁ、誤差の範囲内だな。んじゃあルーミア。このハサミでこの布のラインに沿って切って」

 

「分かった」

 

 布は空色の布だった。赤いラインが引かれているので、それに沿って切り始めるルーミア。

 

「……今のルーミアに似合うか…?封印を解いたら多分似合うと思うんだけど…いいや。まだ修正出来るからちょっとだけ完成図を改編だな。ただ、この姿で外に出ない様にしないと…」

 

 迅真はぶつぶつ呟いている間にもルーミアの作業は進み、

 

「終わったよ?」

 

「お。終わったか。よしよし。じゃあ、後は俺の仕事だな」

 

「え、私の仕事終わり?」

 

「終わり――――って言いたいけど、同じのをもう一回。封印解いた姿で採寸してまた布切って貰って良い?」

 

「仕事があるなら問題なしね。もう寝てるだけとかつまらないのよ」

 

「おぉぅ、すまんな。次からは何か仕事を考えとくよ」

 

「お願いね」

 

 迅真は部屋から妖力が漏れない様に空間の存在を歪ませ、封印を解く。

 

 闇が一度ルーミアを覆った後、迅真と同年代くらいの少女にまで成長した姿を現す。

 

「いつも思うけど、服変わらないよな。どうなってんだ?」

 

「ん~…封印が解かれた時に一度闇で覆うのは、服が消し飛んじゃうから、生成するまでの時間ね。五秒かかってないと思うけど…どういう風に出来てるのかは分からないわ。なんせ私も見えてないからね」

 

「数百年経って衝撃の事実だよ。驚きだよ」

 

「いやいや、迅真は知ってるんじゃないの?私の記憶のぞいてるでしょ?」

 

「フッ…なぜ愛しい人の記憶を探るのさ。そんなストーカーみたいなクズ行為に走る前にちゃんと聞くぜ」

 

「私的には別に見られて困るモノが無いから良いんだけどね?」

 

「そうなのか?じゃあ後で見る事にしよう。今見たらちょっとダメな気がする。記憶を見るなら寝る直前だな。夢の中で理解できるし」

 

「そう?じゃあそれで良いわ」

 

「おぅ。じゃあ採寸を始めるぜ」

 

「お願いね」

 

 そう言って採寸を始め――――

 

 

 

「ルーミアって、封印を解くと一気に成長するよな。どこがとは言わないけど」

 

「全体的にすごくなってる実感はあるわ」

 

 まさに理想の体型というレベルの体つきだった。

 

「いやぁ…コレは作り甲斐があるな。どうやって彩るか。今から楽しみだぜ」

 

 迅真はそう言うと、いくつかの布を取り出して、一気に線を引いて行く。

 

「取りあえず、これをさっきと同じように切ってくれ。それが終わったら寝てても良いし、暇ならこの傷物の宝石を大玉にしておいてくれ。そうすれば後は売るだけだからな。任せたぜ」

 

「ん。了解」

 

 迅真から渡されたのは、先ほどと同じような空色の布が二枚。濃い青色が一枚。

 

 ルーミアはサクサクとそれを進めていき、迅真は迅真で別の事をする。

 

 そして、

 

「「よし。出来た」」

 

 二人、ほぼ同時に終わる。

 

「おぉ、ルーミアも終わったか。じゃあ、着てみてくれ」

 

「早くない?大丈夫なの?」

 

「安心しな。完璧だ。問題があるとしたら、もう一度封印をかけなおさなくちゃいけない事だな」

 

「最重要じゃない」

 

 言いながら、ルーミアは自分から封印札を結び、小さくなると、迅真から服を受け取って着替えに行く。

 

「さて。着替え終わるまでの時間でもう一着くらいは出来るか」

 

 サクサクと進めつつ、ルーミアが戻ってくるのを待つ迅真。

 

「迅真~…これ、どうなの?」

 

 勢いよく扉を開き、入ってくるルーミア。腕の付け根の下部分から上は二本の紐でしか止まっていない、俗に肩紐ワンピースと呼ばれる部類の服だ。

 

 空色の布を主体として作っており、下の部分に青色の花が刺繍(ししゅう)されていた。

 

「うん。涼しそう。問題ないな」

 

「そう?私的には露出が多い様な気がするんだけど」

 

「安心しろ。外には行かせないから。この時代じゃあったらダメな奴だから。この屋敷の中だけだぞ」

 

「は~い。分かったわ。ていうか、私もこんな服で出たくないわ」

 

「そ、そうか…そこまでハッキリ言われると複雑なんだが、まぁ良い。ルーミアが着てくれただけで満足だ。ありがとな」

 

「うん。迅真が喜んでくれるならそれで十分よ。こっちこそありがとね」

 

 迅真はルーミアの頭を撫でつつ、今日は何もしないことにした。

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