東方存在録   作:大神 龍

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第十一話

「で、今日の用件は?」

 

「戦いを申し込みに?」

 

 迅真の疑問に答えたのは紫。

 

 ルーミアはそれを緑茶を飲みながら聞いていた。

 

 晴れてる昼の事で、たまたま食事の後だった。

 

「ふむ……まさかそんな事言われると思わなかったけど…まぁいいや。良いぜ。戦ってやろう。それなりにやる気出すけど良いな?」

 

「えぇ。むしろ、そうじゃないと困りますわ。威厳なんてあったもんじゃないですし」

 

「ハハハ!それもそうか!よしよし。じゃあ、どうしようか。武器は…いいや、最初はナイフだな。最近愛用の銀のナイフで相手してやるよ」

 

「じゃあ、あの剣を使わせられればいいんですね…じゃあ、始めましょう?」

 

「そうだな」

 

 昔から使っていた、あの特殊な結界を張る。

 

「前に一度だけ壊れたからな…強度は何十倍にも上げたから世界崩壊レベルまでは耐えられるはずだぜ。遠慮なくかかって来い」

 

「では、行きます」

 

 周囲に撒かれる妖力弾。

 

 迅真はそれを軽々と躱しつつ、ナイフを取り出し、一気に近づく。

 

「燃えろ、焔刃『陽炎』」

 

 火を纏った紅い剣閃。しかし、紫は余裕の表情で、

 

「暖と冷の境界を操作!」

 

 瞬間、紅い剣閃は青くなり、凍てつく。

 

 そして、剣撃自体はスキマで迅真自身へと帰って行く。

 

「んなっ!!」

 

「境界を操れるのですから、片方に傾ける事も出来ますよ…!!」

 

「ハッ…!!言うようになったじゃねぇか!!」

 

 甘んじて自分の一撃をくらい、剣閃によって凍てついた右腕を元に戻して、霊力でナイフを作ると、

 

「『三爪炎痕(さんそうえんこん)』!!!」

 

 振るった三角形を描く斬撃は、しかし、最初の一撃を逸らされ、残り二回の斬撃は避けられる。

 

「へぇ!?受け流しも出来るのか!!良いぜ良いぜ良いなぁおい!!行くぜ!?『狼王剣雷(ろうおうけんらい)』!!」

 

 全身に雷を纏い、全力でナイフを振り下ろす。

 

「集と散の境界!!」

 

 バンッ!!と、纏っていた雷が消え、霊力で作られていたナイフも形を保てなくなる。

 

 攻撃はかわされ、反撃の蹴りは喰らう寸前に躱し、距離を取る。

 

「チッ!!なら、『千影轟剣(せんえいごうけん)』!!」

 

 宣言と共に、数えきれないほどの黒い剣が生まれる。

 

「一斉射出!重なり合い、轟音生み、我が敵を砕く無慈悲な斬撃となれ!!」

 

「真と偽の境界!!」

 

 剣同士がぶつかり合い、轟音を立てて周囲を震わせるが、斬撃は、たったの一撃も当たらない。

 

「貰った!ぶっ飛べ!超電磁砲(レールガン)!!」

 

 いつの間にか迅真の正面にあった鉄塊。それは、迅真の右拳を受け、音を超える衝撃波を放ちながら紫に迫り、

 

「スキマ!」

 

 そのままスキマを通って返って来る。だが、

 

「想定内だゴラァ!!」

 

 衝突のダメージを全て反射し、紫に向かう。

 

「スキマを開く時間が無い!!」

 

 言いながら全力で横に跳び、回避する。

 

 直後、砂を巻き上げながら紫の隣を通り過ぎる鉄塊だった、高熱物質。

 

「ハァ…ハァ…中々強くなったじゃねぇか…良いぜ…使ってやるよ。ダーインスレイヴ」

 

「良いんですか…?まだ、余力を残しておいた方が良いんじゃないですか?」

 

「言ってろ。そもそも攻撃が当たらねぇんだ。武器を替えても変わんないだろうが」

 

「それは…ダーインスレイヴだけはどうなるか分かりませんが、まぁ、大丈夫かしら?」

 

 紫が不安そうな表情になるが、迅真はすぐにナイフを闇の中に落とし、入れ替わる様に黒い剣が出てくる。

 

「さぁ、今までの全力で行くぞ!!」

 

 迅真は突撃し、ダーインスレイヴを振るう。

 

 それは、先ほどと同じようにスキマに入って迅真に向かう。が、

 

「いい加減学習するさ」

 

 迅真自身が開いたスキマの中へと入って行き、紫へと向かっていく。

 

「ッ!!」

 

 咄嗟に回避し、妖力弾を放つ。

 

 迅真はスキマから腕を引き抜き、右手をかざすと妖力弾が散る様に消えていく。

 

「『密と疎を操る程度の能力』!!」

 

「ご名答!!吹き飛べやぁ!!」

 

 振り上げられた足。その一撃は鬼神の如き威力の一撃で、紫を上空に飛ばす。

 

「『怪力乱神を持つ程度の能力』と『振動を操る程度の能力』ですか…!?」

 

「まだまだこんなもんじゃねぇだろ!?かかってこいやぁ!!」

 

「ッ!!…ハイッ!!」

 

 満面の笑みで、紫は飛んでいく勢いそのままスキマの中へと入ると、迅真の真後ろから出て、体当たりをする。

 

「おっと」

 

 呟いた時には、すでに紫の攻撃方向とは真逆の位置にいて、飛んでいく紫の顔を見て笑う。

 

 しかし、迅真は直後、全力で警戒する。

 

 なぜなら、

 

 彼女が笑っていたからだ。

 

「後ろか!?」

 

「上ですよ!!」

 

 声を聞く前に横薙ぎを背後に放ち、聞こえると同時に上空へ影の刃を放ち――――

 

 

 

 

 地面から飛び出た紫の妖力製の剣に両足を斬られる。

 

 

 

 

「ッ!?」

 

 驚きに声も出ず、その場に膝を着く。

 

「迅真さんにやっと一撃…フフフ。まだ終わりませんよ!」

 

「カッ!これで勝った気になるなよ!?」

 

 迅真は両足をゾンビへと変えて強引に立ち上がり、ダーインスレイヴを左手で持つと、右手に黄金に輝く槍を作り出す。

 

「穿て!!『ブリューナク』!!!」

 

「神槍…!?」

 

 紫は、雷となって飛来する槍を見て、紫は咄嗟にスキマを開き、

 

「成否の境界!」

 

 一度強く光り輝き、槍の気配は消える。

 

「嘘だろ…?」

 

「必滅の槍…でしたっけ?でも、当たったという結果が出れば、効果も消えるみたいですね…ふ、ふふふ、あはははははは!!」

 

 紫は笑い出し、迅真を見つめると、

 

「やっと、やっと迅真さんに追いつける!!行きますよ!!」

 

「……良いぜ…解いてやるよ」

 

 迅真はダーインスレイヴを地面に刺し、詠唱を始める。

 

「『――――闇よりいでし魔なる剣よ。戦乱を呼びて我が敵に死を与えよ。その肉を刃へと。その魂を力へと。全てを喰らいて混沌へと還す美しき刃と化せ』ダーインスレイヴ第二封印、王の顎門アギト解放。捕食を許可する」

 

 黒き剣は、まるで鞘から抜かれるように、真紅の光を宿す。

 

「さぁ…行くぜ」

 

 ダーインスレイヴを引き抜くと同時に刺していた地面が抉られたように消え、軽く振るうと、空気が薄れる。

 

「Show timeだ。美しく散れ」

 

 そう言って、迅真は不敵な表情で構えるのだった。

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