東方存在録   作:大神 龍

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第六話

「おぉ…すげぇな…前見た時より良くなってないか?」

 

「そうねぇ…まぁ、前に来たのがすでに数百年前だしねぇ…」

 

「それもそうか」

 

 西暦1155年。迅真は歴史にあまり興味が無く、何があったかなんてほとんど知らない。妖怪関連でたまたま見ただけである。

 

「まぁ、別に大きな何かは無かったはずだし。そう言えば…金持ってないな…どうするか」

 

「また物々交換?」

 

「ん~…まぁ、今ならせこい手もいくつか使えるが…頑張ってみるか」

 

「うん。頑張って」

 

 ルーミアに言われるまま、とりあえずまだ残ってる宝石類を持って質屋を目指す。

 

 

 * * *

 

 

「んで、また手に入っちゃったわけです」

 

「あっさり手に入るのがすごいわよね…」

 

 第二回屋敷購入。小さな屋敷だけのつもりが、勢い余って買ってしまったのだ。仕方ない。

 

「ん~……何するかな…別に長居するつもりないんだけど…まぁ、買ったのならしばらくは住むか。別にしばらく金には困らないだろうし」

 

「動かないでダラダラ過ごすのね…うん。それも良いかも。最近頭使ったりすることが多かったから休憩」

 

 床に倒れ込み、ゴロゴロと転がるルーミア。迅真もそれにならって倒れ込むと同時、転がって来たルーミアに轢かれる。

 

「……さて、もうやる事なんて無いですが、あえて何か作る事にします」

 

 起き上がりつつ、机を出してそこに肘をついて議長的雰囲気を醸しだす。

 

「それで、何をするの?」

 

「……何も考えてない」

 

「ダメじゃない」

 

 ルーミアからまともな突っ込みが入る。

 

「もぅ…あ、そうだ。重要なコレを返してないわ。はい、ダーインスレイヴ」

 

 闇から取り出して渡してくるルーミア。

 

「おぅ?いや、コレはお前にあげなかったか?」

 

「貸したんでしょ。返すわ」

 

「んん?そうだっけ?いや、でも…」

 

「良いから、返すわ。言い換えるなら、あげるわ。貰いなさい」

 

「ふむ…そう言われたなら仕方ない。諦めて貰うことしよう」

 

「うん。返すのはだめだからね?」

 

「ふはは。貰ったものは手放すもんか。返せって言われても返さないぜ。ふはは」

 

 妙に嬉しそうな迅真。そして、ダーインスレイヴを受け取った時、ふと聞く。

 

「そういや、どこまで使ったんだ?この剣」

 

「全部」

 

「……マジすか…構わないが、ルーミアがそこまで使うような相手居たかなぁ…」

 

「貴方が死んだ後に出て来たあの女に一回。この前の月面戦争で一回。そのくらいかな?」

 

「なるほど。やっぱり地上にはそんなにいないのか」

 

「まぁ、今の所敵無しね」

 

「恐ろしい事だ。本当に、なんで俺はこいつに好かれる事が出来たのかね」

 

「幸運でしょ。嬉しくて泣いたとしても許すわ」

 

「うちの嫁が黒くなってきてる件。最高過ぎて涙が出るぜ」

 

「喜んでくれて嬉しいわ」

 

 いつか刺されたとしても何も言えなくなってきたな。と感じる迅真だった。

 

「んで、どうしようか。やる事無いんだよな」

 

「ん~…あ、そうだ。いつもの装備の作り方教えてよ。地味に気になってたの」

 

「え?あれか…?ん~…アレはちょっと時間がかかるが…まぁ良いか。やろう。ただ、庭でやらないと最悪屋敷が燃えるからな。移動だ」

 

「了解!」

 

 そうして、二人は外に出る。

 

 

 * * *

 

 

「ということで、材料紹介だ」

 

「おーっ!」

 

 真昼間から何をしているのだろう。と思わなくもないが、まぁ、大丈夫だろう。

 

「まず、ここに土蜘蛛の糸があります」

 

「ちょっと頑丈なだけしか取り柄の無い糸ね。手を振れば簡単に切れる程度なのにね」

 

「……」

 

 そんな事は無いぞ?と突っ込みかけ、彼女なら出来る気付き黙る迅真。

 

「え、えと、次に、宝石を用意します。特に決まった宝石とかはないですが、付けたい性能を考えて選ぶのが一番でしょう。力を上げたいなら赤系の宝石。防御力を上げたいなら黄色系の宝石。速度を上げたいなら緑系の宝石。霊力等の精神的なモノを上げたいなら青系。大体そんな感じ」

 

「妙に敬語っぽいのがイラッとしますが了解です」

 

「…………」

 

 説明口調はNGらしかった。消されたくは無いのでいつもの口調に戻す。

 

「んでだ。俺のやってるのはまず無理だ。付与系の能力じゃなきゃ出来ない。言いたい事分かるな?」

 

「能力で強引に性能付与してたって事?」

 

「そういう事。ちなみに、コストがクソ高いのを渋々了承しながらやる場合、こういうのもある」

 

 そう言うと、迅真はバッグの中からあるアイテムを取り出す。

 

「それは?」

 

「ルビーを粉々にして砂まで分解したものに、いくつかの素材を粉末状にしたのを混ぜたアイテムだ。んで、次は魔力を使う。たぶんルーミアなら封印を解けば出来ると思う」

 

「恐怖の象徴たる私に出来ない事なんてほとんどないわ」

 

「うん。その元気なところは良いと思うよ。んで、肝心のやり方だが、こうする」

 

 迅真は一枚の紙を地面に敷き、その手前に座ると、紙の真ん中に一つルビーを置く。

 

 良くよく見てみると、何か陣のようなモノが書かれている。

 

「この魔法陣に魔力を流し込みながら、先ほどの粉を振りかけます」

 

 パラパラっと振りかけられた粉は、宝石に触れると同時に小さな炎を発生させながらルビーに染み込んでいく。

 

「そして、この粉が染み込まなくなると……完成だ」

 

 言っている間に、宝石に入らなくなり、周りにこぼれる。

 

「これで完成?」

 

「おぅ。一応、この宝石には治癒促進と力の上昇が付いてる。素材は企業秘密だ。手に入れるためだけに能力を使うのは面倒だからな。後50回もやったら効果は切れるぜ」

 

「素材……気になるわ…」

 

「教えないって。乱獲されたら困る」

 

「そう…じゃあ仕方ないわ。ゴブリンの角くらいしか分かんなかったから自分で考えるしか――――」

 

「え?ちょ、今の一瞬でもう素材を一つ見分けたのか?」

 

「まぁね…でも、それ以上は分からなかったわ…」

 

「うっそぉ…マジか…ばれたのか…ハッ!!ゴブリン逃げて!超逃げて!!」

 

「さすがに私でもそこまで酷い事はしないよ?」

 

「そ、そうか?それならいいんだが…」

 

「まるで私が趣味の為になりふり構わず犠牲を問わず突き進むみたいな言われ方をすると不満なんだけど?」

 

「おぅ…すまん。本気でそう思ってた」

 

「よし処刑」

 

 首を絞められながら、迅真は部屋に引きずり込まれるのだった。

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