ロズワールがエミリアに1週間の休暇を与えた。
王になるための勉強をやめ、彼女は自由な時間を楽しむ。

※キャラ大崩壊注意、胸糞注意
これは、4章後、5章開始までのIFルートです。ネタバレ大量です

アニメしか見てない人は、書籍とWEBを、書籍しか読んでない人は、WEB版を見てからじゃないと、えらいネタバレをくらいます。

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※キャラ崩壊、胸糞、ネタバレ注意


EMY(エミリアたんマジ****)

「ねぇスバル、どうして私との約束破ったの? 前にも言ったよね、私約束を守らない人はすごーく嫌いなの」

 

「わ、悪かったってエミリアたん! ちょっとベア子の奴に拘束されてな、行けなかったんだよ!」

 

「私と一緒にラジオ体操するって約束したでしょ? でもスバル、今日は来なかったよね。私、ずっと待ってたんだよ。一時間ずーっとだよ」

 

「ひえっ!? すいませんすいません! 許してエミリアたん!」

 

 スバルが私の前で土下座しながら謝った。でも、許してなんかあげないんだから。今朝、とっても悲しい思いをしたもの。

 

「ふん、スバルのおたんこなす! 今度約束破ったら、ただじゃおかないんだから」

 

「おたんこなすって、きょうびきかねぇな……」

 

「そうやって茶化すのやめてよね」

 

「う、悪かったから、許してくれないかエミリアたん!」

 

 こちらを、真剣な表情で見てくるスバルに私は、なんだか心がぽかぽかしてくるのを感じる。しょうがなく、しょうがなく許してあげよう。

 

「今回だけだからね、今度から一分でも遅れたら、コテンパンにしちゃうんだから」

 

「おう、俺は絶対約束は守る! 明日からエミリアたんとのラジオ体操には絶対遅れねぇ!」

 

 そう言って微笑むスバルを、私は少し懐疑的な目で見る。スバルは、今までも私との約束を破ってきたダメな人だ。

 

「ねぇスバル、それじゃあ私と新しい約束してよ」

 

「なんだい、エミリアたん! このナツキスバル、なんでも約束しちゃうよー!」

 

 

 

 

「私の事、ずっと見ててね」

 

「ひょ!? なんだ、そんな事か! 俺はエミリアたんの事、四六時中見てるよ!」

 

「約束する?」

 

「おうともさ!」

 

 上機嫌で、答えるスバルを睨むように見つめる。今度約束を破ったら本当に許さない。口も聞いてあげないんだから。

 

「それじゃあスバル、この後暇? ちょっと私の勉強に付き合って欲しいんだけど……」

 

「マジで!? でもすまねぇエミリアたん、行きたいけど、オットーとの先約があって無理なんだ!」

 

「そうなんだ。約束、破っちゃダメだもんね……」

 

「おう、約束破ったらオットーが泣いちまうしな。じゃあエミリアたん、またな!」

 

「うん、ばいばいスバル」

 

 スバルが、慌ただしく私の前から消えた。急に静かになった空間に、私は寂しさを覚える。聖域から、帰って来て以来、スバルの事がすごーく気になるのだ。だって、私の……私のなんだろう? とにかく、気になるのだ。

 

「私も、勉強しなきゃ」

 

 そう言って、私も自室にこもる。プリステラに行くまでに、少しでも王になるための勉強をしなくてはならないのだ。それから、私はごはんに呼ばれるまで、勉強し続けた。もしかしたら、私の勉強をスバルが見に来てくれるかもしれない。そんな期待があったのだ。でも、スバルが部屋に訪ねて来る事はなかった。

 

「スバルの嘘つき」

 

私をずっと見てって約束したのに……

 

 

 

 

 翌日、私は約束通り、時間ぴったりに来たスバルとラジオ体操を終え、部屋にこもる。今日も勉強しなきゃいけないのだ。

 そんな時、私の部屋がコンコンとノックされた。もしかして、来てくれたのだろうか。私はついつい嬉しくなってしまった。

 

「スバル?」

 

『いえ、ラムですエミリア様。お伝えしたい事があるのですが……』

 

「そう、入っていいよ……」

 

『ありがとうございます。では失礼しますね』

 

 がちゃりとドアを開けて、見慣れたピンク髪のメイドが入ってくる。期待して、損しちゃった……

 

「エミリア様、ロズワール様からの通達があります」

 

「ロズワールが?」

 

「そうですエミリア様、ロズワール様は、最近勉強詰めのあなたを心配しておられます。来週にもプリステラに行く予定ですし、それまでの間、休暇を取ってみてはとの事です」

 

「休暇……」

 

 私は、今の勉強生活に不満はない。だから、別に休暇なんか必要ないと思う。私が頑張らないと、頑張ってるスバルに申し訳ないし……

 

「エミリア様、たまにはいいじゃないですか。それこそ、一日中、バカのバルスに付き合ってもいいのですよ?」

 

「っ……!? うん、私、その申し出受けます」

 

「ふふっ、そうですか。では、そうロズワール様にお伝えします。休みを楽しんでくださいね、エミリア様」

 

「う、うん!」

 

 ラムはそう言うと、私の部屋から出て行った。残された私は、思わずそわそわしてしまう。しばらく、勉強をしなくていい。それなら、それなら……!

 

「スバル、どこにいるの?」

 

 

私は屋敷の探索をする事にした。スバルに会いたい。

 

 

 でも、スバルは中々見つからない、途中出合ったペトラに居場所を聞いたが、彼女も知らないようだった。そして、屋敷を探索の終えた後、私は気づいた。もしかしたら、外にいるのかもしれないと。

 少し抜けてる自分に腹を立てつつ、私はスバルが最近修行(?)をしているという森へ急いだ。そして、目的地に近づいた時、スバルの声が聞こえてきた。私は、思わず全速力で彼の元へ向かった。

 

「スバル!」

 

「お、なんだエミリアたん? 俺の雄姿を見に来たの?」

 

「うん!」

 

「エミリアたん!?」

 

 何やら驚いた表情を浮かべるスバルの近くに寄る。彼の傍には、大きな石の上に座って本を読むベアトリスと、ちょっと服を泥で汚したオットー君がいた。

 

「ねぇ、スバル達はここで何をやっていたの?」

 

「これはエミリア様、そうですね、ナツキさんは鞭の訓練をやっていたんですよ」

 

「そういう事だエミリアたん! 俺も戦えるように、たゆまぬ努力を……!」

 

「無駄な努力かしら」

 

「現実を突きつけないくれるかベア子!」

 

 私はなんだか、いつも通りのスバル達に思わずクスクスと笑ってしまった。彼の傍はいつも騒がしいくらいに賑やかだ。

 

「スバル、私も見学していい?」

 

「もちろんだエミリアたん! 俺の雄姿を見ていてくれ! じゃあオットー、続きやるぞ!」

 

「まだやるんですか!?」

 

 何やらげんなりした様子のオットー君が、スバルの前に立つ。そして、スバルは彼に向けて鞭を構えた。

 

「ねぇスバル、これはなんの修行なの?」

 

「エミリアたん、これは鞭で対象を絡めとる練習だ。離れた物を取ったり、人を絡めとって救助したり、緊急回避にもつなげたりと、色んな応用ができるんだ」

 

「へーなんだか便利そうだね」

 

「おう、見てろよ……」

 

 そう言って、スバルが鞭をふるった。鞭はオットー君にグルグルと巻き付いた。そして、スバルが鞭を引くと、オットー君が引き寄せられるようにスバルの胸元へと飛び込んだ。

 

「よっしゃ成功! 痛くなかったか、オットー?」

 

「ええ、痛みは、ほぼありませんよ。ナツキさん頑張りましたね」

 

「おう、頑張ったぜ! で、本当に傷はないかオットー?」

 

「ないですって! なんで毎回そう言って僕の体をまさぐるんですか!? ちょっと気持ち悪いですよナツキさん!」

 

 スバルとオットー君が、ギャーギャーと騒ぎながらも、鞭の訓練を続けていく。オットー君が何度も鞭で絡めとられ、スバルの胸へ飛び込む。私はその様子を見て不思議な気持ちが湧いてきた。

 

 

羨ましい……

 

 

「スバル、私が修行相手をやってもいいよ?」

 

「エミリアたん、嬉しい申し出だけど許可はできない!」

 

「なんで……?」

 

 もしかして、スバルは私に意地悪を言っているのだろうか。そんな事が頭によぎった時、オットー君が私に話しかけてきた。

 

「エミリア様、ナツキさんの言う通りですよ。今はまだ怪我をしていませんが、失敗すると、服が破れたり、結構な傷を負ってしまうんですよ」

 

「そうなんだ……」

 

「ごめんな、俺エミリアたんの綺麗は肌に傷を負わせたくないんだ」

 

 申し訳なさそうなスバルを見て、私も引き下がる。しょうがない事だよね。それに、私の肌が綺麗だなんて……嬉しくなっちゃう。

 

「じゃあ、私は大人しく見ています。頑張ってねスバル」

 

「エミリアたんの応援で元気百倍だぜ! んで、オットー傷はないか? 俺はお前の肌にも出来れば傷をつけたくないんだが……!」

 

「大丈夫、大丈夫です! だから、僕の体をまさぐるのは、やめてくれませんかねぇ!?」

 

 またも、騒ぎ出した二人を私はじっと見つめる。そして、同じく、ベアトリスが不機嫌な顔で二人を見ていた。

 

「まったく、仲が良いの程々にして欲しいかしら。なんだか、スバルからいけない感情が漏れ出てるのよ」

 

「なんだ、嫉妬かベア子! そらっ!」

 

「きゃーっかしら!」

 

 ベアトリスがスバルの鞭に絡めとられる。そして、スバルの胸に飛び込んだベアトリスは、彼にがっしりと抱き着いた。

 

「ベア子は可愛いなぁ!」

 

「当たり前の事なのよ!」

 

 いちゃつく二人を見て、私はなんだか、どんどん不機嫌になるのを感じた。スバルの視線は、ベアトリスやオットー君に注がれている。

 

 

「スバルの嘘つき……」

 

 

私はぽつりと呟いた。

 

 

 

 

 そして、次の日私は朝早くから起きていた。窓から見える景色はまだ薄暗い。今日は、私より早起きのスバルを起こしてあげようと、いつもより早く起きたのだ。私は急いで身だしなみを整えると、スバルの部屋へ向け歩き出した。そして、彼の部屋の扉をノックもせずに開け放った。

 

「おはようスバル! 起きてる? 起きてないならお仕置きなんだから!」

 

そう言ってから、私はスバルのベッドに飛び込んだ。そこには驚く彼の顔があって……!

 

「スバル?」

 

 ベッドは空であった。私は、顔が真っ赤になるのを感じた。アホくさい独り芝居をやってしまったのだ。私は、そそくさと部屋を出ると、箒を持ったラムに出くわした。

 

「あら、おはようございます、エミリア様。随分と早起きですね」

 

「おはようラム、ちょっとスバルに用があって……彼はもう働いてるの?」

 

「いえ、この時間でしたら、レムの所へ行ってるはずですわ」

 

「レム……」

 

 私の心が、急速に冷えていくのを感じた。こんなに朝早くから、なんであの子の所へ行くのだろうか。私はレムの眠る部屋へと急いだ。そして、彼女の部屋の前に来たとき、スバルの声が聞こえてきた。私は、部屋に入るのがなんだか、怖くなり、近くで耳を澄ませる。

 

『レム、エミリアたんが俺に頑張ってくれって声援を送ってくれたんだぞ?』

 

『王都で怪我を癒してる時、俺とエミリアたんとの関係はズタボロだったのにな。今じゃ、可愛い笑顔を俺に向けてくれるようになったんだぜ?』

 

『それでなレム――』

 

 スバルが彼女に話しかける声がしばらく続いた。私は、その声に非常にイラだった。スバルの声だ。でも、話しかける相手は私じゃない。私の記憶にはない、女の子にだ。なんで、あの子にいまだ構うのだろうか。治すには暴食を倒すしかない。そんな事をしても無駄、時間の無駄なのだ。

 

『じゃあレム、今度は昼に来るよ』

 

「っ……!」

 

 何故だか、今はスバルに会いたくない。私は逃げるようにその場から離れた。そして、自室へ向けて走りながら、私は叫んでいた。

 

「スバルの嘘つきっ!」

 

私をずっと見てって約束したのに……!

 

 

 

 

 それから三日間、私はスバルの事を観察した。彼がどのように一日を過ごすのかを把握するためだ。そして、結果を手帳に書き込んでいく。スバルは毎日を忙しく過ごしている。鞭や体を動かす練習、使用人としての仕事、騎士としての知識や作法の勉強、ベアトリスとの魔法訓練。本当に、しっちゃかめっちゃかで大変な日々を過ごしている。勉強のために部屋にこもる私とは違う。

 

 

 

 

 

そして、三日目の深夜、私は手帳を見て呟いた。

 

「スバルの嘘つき……」

 

 手帳には、スバルの一日と、屋敷の住人の名前が記されていた。そして、名前の横には時間が記されている。これは、スバルと一緒に過ごした時間を計測し、記録したのだ。

 

 一番多いのはベアトリスだ。彼女は契約精霊だし、一緒にいる時間が多いのは仕方ない事だ。私も、パックがいる時はスバルより、パックと過ごす時間が長かった。精霊使いとしては当然の事だ。だから、ベアトリスは特別に許してあげる。

 

 

でも、この子は許せない

 

 

 屋敷の住人で、スバルと過ごす時間が長いのは、ベアトリスの次は私……ではなくレムだ。彼女の下にスバルは朝昼晩と通い、彼女に話しかける。それ以外にも、彼女の世話をしに、何度も部屋を訪れているのだ。

 対して、スバルが私の元に、自発的に来てくれるのは、ラジオ体操と夜の微精霊との会話の時だけだ。ごはんを一緒に食べる時間を入れても、レムに接する時間が、私より多い。

 

 

「嘘つき……」

 

 

 勿論、ずっと私を見てだなんて約束は、わがままがすぎると理解している。そんな事、現実では不可能だ。でも、スバルは約束してくれたのだ。だから、せめて一緒にいる時間くらいは、私が屋敷で一番じゃないとダメなのだ。

 

 

「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つきっ……!」

 

 

 私は、手帳の『レム』の文字に羽ペンを何度も突き立てる。ずっと寝てるのに、なんでスバルと接する時間が多いの!? おかしいおかしいおかしいっ!

 

そんな時、私はレムの横に記された時間を見て、ある事に気が付いた。

 

 

 

「スバルが嘘つきなのがいけないんだから!」

 

 

 

 私は部屋を飛び出し、深夜の屋敷を歩く。そして、彼女……あの女の部屋へと入った。ベッドには、人形のように眠る少女、レムの姿があった。

 

「ねぇ、レムっていうんだっけ? 起きてる?」

 

 勿論、返答はない、私は彼女の下へ近寄り、彼女の顔を見る。この子が、スバルの大切な時間を奪っている。そう思うと、とても憎らしい。

 

「レム、あなたっている必要あるの? 人生って有限なんだよ。時間ってとても貴重なものなの。それなのに、スバルは大切な時間をあなたのせいで無駄にしてるんだよ?」

 

 返答のないレムの頬を私はペチリと叩く。なんだか気分がスッキリとした。でも、これでは終われない。最後までやらなきゃ。

 

「レム、あなたがいるとスバルが頑張りすぎちゃうの。聖域でも無意味にあなたを連れてって、大変な目にあったの」

 

 

レムのお腹をボコリと叩く。

 

 

「それにね、スバルったら、もしかしたらあなたをプリステラに連れてくかもしれないの。そしたら、足手まといのあなたのために、スバルはすごーく頑張っちゃう。また、体を傷だらけにして、死ぬような目にあうかもしれないの」

 

 

レムの頬をパシリと叩く。白い顔に朱がさした。

 

 

「でも、あなたってスバルの支えになってるみたいなの。それはスバルの様子を見れば分かっちゃう。そういう意味であなたはスバルに必要とされてるのかもね」

 

 

レムの頬を優しく撫でる。

 

 

「でも安心して」

 

 

再び頬をバチリと叩く。少し顔がむくんできた。

 

 

「私がスバルをこれから支えてあげるの。スバルの拠り所に私がなるの。だから、あなたはもういらない。必要ない。スバルの大切な時間を、あなたになんか使わせない」

 

私は魔法を唱えた。右手に氷で作られた短剣を握る。

 

 

 

「ばいばいレム」

 

 

 

 首筋を短剣で切り裂く。真っ赤な血液がどんどん流れ出て、布団とシーツを赤に染めてゆく。何故だろう、とても美しい光景だ。私は自然と見惚れてしまう。そして、流れ出る血が止まった後、私は彼女の心音を確認する。

 

勿論、動いてない。

 

 

「ふふっ、やった!」

 

 

私はそう呟いてから、部屋を出る。

 

 

「やっちゃったやっちゃったやっちゃった♪」

 

 

 そして、上機嫌で自分の部屋へと帰る。明日は朝早く起きなきゃいけない。明日はスバルを慰めなきゃ!

 

 

「レムに使う時間は私が引き継ぐね! そしたら、私が一番なの! ベアトリスよりも長い時間をスバルと一緒にいられるの!」

 

 

私は、ベッドの中で感謝の言葉を述べた。

 

 

 

「ありがとね、レム。おやすみ……」

 

 

 

 翌日、私はレムの部屋の近くに待機していた。そしてスバルがいつものようにレムの部屋へ入る。その瞬間、彼が絶叫を上げた。私は、すぐさま扉を蹴り破った。

 

「スバル大丈夫!?」

 

「れむぅ……れむぅ……! どうして、なんで……誰が……!」

 

「スバル落ち着いて、落ち着いて!」

 

 私は死体に泣き縋るスバルを背中から抱きしめる。温かい、そしてとてもいい匂いがする。

 

「スバル大丈夫だよ……私がいるから……!」

 

「エミリア……」

 

 スバルが、私に抱き着いてきた。彼から求められた事に、私は歓喜の念が沸き起こる。嬉しい嬉しい嬉しい! これからは、スバルの支えは私になるのだ。

 

「スバル、部屋を見れば何が起こったか分かるよ。今は、いっぱい泣いてスッキリしよ?」

 

「……………」

 

「スバル?」

 

 スバルは私をギュッと抱きしめてきた。何故だろう、下腹部が熱くなってきた。そして、固まる私の耳に、スバルが囁いてきた。

 

 

 

「ごめんな、エミリア」

 

「え?」

 

 

 

私の下腹部が、熱くなってきた。そして、ゴポリという水音が鳴る。

 

「がぁっ……!」

 

「スバル?」

 

 私のお腹から下が、血で真っ赤に染まっていた。勿論私の血じゃない。それでは、一体だれの血で……

 

「がふっ……!」

 

「スバル!?」

 

 スバルが口から血を吐き出した。私が慌ててスバルから離れて確認すると、彼は自分の心臓にナイフを突き立てていた。

 

「スバル! 今治療してあげるからね! だから落ち着いて………!」

 

「がああああああああああああああっ!」

 

スバルが、胸に突き立つナイフを自分で押し込み、掻き回した。血だけでなく、何かの肉片があたりに飛び散る。

 

「スバル……! スバル……! 私が……私が……!」

 

私は必死に治癒魔法を発動する。でもダメだ。これは致命傷を超えている。もうダメ……私じゃダメ……!

 

「スバル!?」

 

部屋に、私以外の声が響いた。その小さな影も、スバルにしがみついて治癒魔法を発動する。

 

「何やってるのかしらスバル! ベティーを残していくのなんか許さないのよ!」

 

彼女も必死に声をかけながら治癒魔法を発動する。でも、それも止まる。

 

「もうおしまいかしら……! ベティーは……ベティーはこれからどうすればいいのよ!」

 

 

私はスバルに泣きつく邪魔者を蹴り飛ばした。

 

 

「エ、エミリアどういうことなのよ! スバルは……それにレムも……!」

 

「スバルから離れて」

 

「ひぃ!?」

 

 怯えて泣く邪魔者を無視して、私はスバルを抱き起こす。そして彼を引きずるようにして部屋から出た。背後からうるさい声が聞こえてくるが、知った事ではない。

 

 

 

 

 私は、スバルと歩き続ける。屋敷を出て、私とスバルが良くお話をする花壇の近くへやってきた。そこで、私はスバルを抱きしめた。

 

「スバル、ちょっと冷たい。それになんだか軽い気がするの。うん、血がすごーくいっぱい出ちゃったもんね」

 

反応を示さないスバルに私は顔を近づけた。

 

「ん……ん……」

 

スバルの唇を私は吸った。優しい、彼の味がする。そして、冷たい鉄の味もした。

 

「んぁ……スバル、私もいくからね。安心して、レムなんかに負けない。スバルは私のものなんだから!」

 

 私は魔法で氷の短剣を作り、強く握り込む。そして、撫でるように自分の首筋を切り裂いた。ドクドクと体液が流れ出る。

 

「冷たい、冷たいよ。なんだか寒くなってきちゃった……ねぇスバル、こっちを見て?」

 

 私はスバルの顔を自分の顔に向けさせる。虚ろに開いた目が、私を睨むように見つめてきた。

 

「ふふっ、約束守ってね?」

 

 どんどん体温を失っていき、私の体はもう立てそうにない。でも、必死に立つ。そして朦朧とした意識の中で、全てのマナを使って私は最後の魔法を完成させた。

 

 

 

「スバル、私をずっと見ててね」

 

 

 

永久に溶けない氷像が、屋敷の一画に出来上がった。

 

 

 

 

 

 

 

EMY(エミリアたんマジヤンデレ) END

 

 

 

 




エミリアたんはマジ天使だから、原作ではこんな事しない……しないよな?



れむぅ……すまぬ……すまぬ……

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