王になるための勉強をやめ、彼女は自由な時間を楽しむ。
※キャラ大崩壊注意、胸糞注意
これは、4章後、5章開始までのIFルートです。ネタバレ大量です
アニメしか見てない人は、書籍とWEBを、書籍しか読んでない人は、WEB版を見てからじゃないと、えらいネタバレをくらいます。
「ねぇスバル、どうして私との約束破ったの? 前にも言ったよね、私約束を守らない人はすごーく嫌いなの」
「わ、悪かったってエミリアたん! ちょっとベア子の奴に拘束されてな、行けなかったんだよ!」
「私と一緒にラジオ体操するって約束したでしょ? でもスバル、今日は来なかったよね。私、ずっと待ってたんだよ。一時間ずーっとだよ」
「ひえっ!? すいませんすいません! 許してエミリアたん!」
スバルが私の前で土下座しながら謝った。でも、許してなんかあげないんだから。今朝、とっても悲しい思いをしたもの。
「ふん、スバルのおたんこなす! 今度約束破ったら、ただじゃおかないんだから」
「おたんこなすって、きょうびきかねぇな……」
「そうやって茶化すのやめてよね」
「う、悪かったから、許してくれないかエミリアたん!」
こちらを、真剣な表情で見てくるスバルに私は、なんだか心がぽかぽかしてくるのを感じる。しょうがなく、しょうがなく許してあげよう。
「今回だけだからね、今度から一分でも遅れたら、コテンパンにしちゃうんだから」
「おう、俺は絶対約束は守る! 明日からエミリアたんとのラジオ体操には絶対遅れねぇ!」
そう言って微笑むスバルを、私は少し懐疑的な目で見る。スバルは、今までも私との約束を破ってきたダメな人だ。
「ねぇスバル、それじゃあ私と新しい約束してよ」
「なんだい、エミリアたん! このナツキスバル、なんでも約束しちゃうよー!」
「私の事、ずっと見ててね」
「ひょ!? なんだ、そんな事か! 俺はエミリアたんの事、四六時中見てるよ!」
「約束する?」
「おうともさ!」
上機嫌で、答えるスバルを睨むように見つめる。今度約束を破ったら本当に許さない。口も聞いてあげないんだから。
「それじゃあスバル、この後暇? ちょっと私の勉強に付き合って欲しいんだけど……」
「マジで!? でもすまねぇエミリアたん、行きたいけど、オットーとの先約があって無理なんだ!」
「そうなんだ。約束、破っちゃダメだもんね……」
「おう、約束破ったらオットーが泣いちまうしな。じゃあエミリアたん、またな!」
「うん、ばいばいスバル」
スバルが、慌ただしく私の前から消えた。急に静かになった空間に、私は寂しさを覚える。聖域から、帰って来て以来、スバルの事がすごーく気になるのだ。だって、私の……私のなんだろう? とにかく、気になるのだ。
「私も、勉強しなきゃ」
そう言って、私も自室にこもる。プリステラに行くまでに、少しでも王になるための勉強をしなくてはならないのだ。それから、私はごはんに呼ばれるまで、勉強し続けた。もしかしたら、私の勉強をスバルが見に来てくれるかもしれない。そんな期待があったのだ。でも、スバルが部屋に訪ねて来る事はなかった。
「スバルの嘘つき」
私をずっと見てって約束したのに……
翌日、私は約束通り、時間ぴったりに来たスバルとラジオ体操を終え、部屋にこもる。今日も勉強しなきゃいけないのだ。
そんな時、私の部屋がコンコンとノックされた。もしかして、来てくれたのだろうか。私はついつい嬉しくなってしまった。
「スバル?」
『いえ、ラムですエミリア様。お伝えしたい事があるのですが……』
「そう、入っていいよ……」
『ありがとうございます。では失礼しますね』
がちゃりとドアを開けて、見慣れたピンク髪のメイドが入ってくる。期待して、損しちゃった……
「エミリア様、ロズワール様からの通達があります」
「ロズワールが?」
「そうですエミリア様、ロズワール様は、最近勉強詰めのあなたを心配しておられます。来週にもプリステラに行く予定ですし、それまでの間、休暇を取ってみてはとの事です」
「休暇……」
私は、今の勉強生活に不満はない。だから、別に休暇なんか必要ないと思う。私が頑張らないと、頑張ってるスバルに申し訳ないし……
「エミリア様、たまにはいいじゃないですか。それこそ、一日中、バカのバルスに付き合ってもいいのですよ?」
「っ……!? うん、私、その申し出受けます」
「ふふっ、そうですか。では、そうロズワール様にお伝えします。休みを楽しんでくださいね、エミリア様」
「う、うん!」
ラムはそう言うと、私の部屋から出て行った。残された私は、思わずそわそわしてしまう。しばらく、勉強をしなくていい。それなら、それなら……!
「スバル、どこにいるの?」
私は屋敷の探索をする事にした。スバルに会いたい。
でも、スバルは中々見つからない、途中出合ったペトラに居場所を聞いたが、彼女も知らないようだった。そして、屋敷を探索の終えた後、私は気づいた。もしかしたら、外にいるのかもしれないと。
少し抜けてる自分に腹を立てつつ、私はスバルが最近修行(?)をしているという森へ急いだ。そして、目的地に近づいた時、スバルの声が聞こえてきた。私は、思わず全速力で彼の元へ向かった。
「スバル!」
「お、なんだエミリアたん? 俺の雄姿を見に来たの?」
「うん!」
「エミリアたん!?」
何やら驚いた表情を浮かべるスバルの近くに寄る。彼の傍には、大きな石の上に座って本を読むベアトリスと、ちょっと服を泥で汚したオットー君がいた。
「ねぇ、スバル達はここで何をやっていたの?」
「これはエミリア様、そうですね、ナツキさんは鞭の訓練をやっていたんですよ」
「そういう事だエミリアたん! 俺も戦えるように、たゆまぬ努力を……!」
「無駄な努力かしら」
「現実を突きつけないくれるかベア子!」
私はなんだか、いつも通りのスバル達に思わずクスクスと笑ってしまった。彼の傍はいつも騒がしいくらいに賑やかだ。
「スバル、私も見学していい?」
「もちろんだエミリアたん! 俺の雄姿を見ていてくれ! じゃあオットー、続きやるぞ!」
「まだやるんですか!?」
何やらげんなりした様子のオットー君が、スバルの前に立つ。そして、スバルは彼に向けて鞭を構えた。
「ねぇスバル、これはなんの修行なの?」
「エミリアたん、これは鞭で対象を絡めとる練習だ。離れた物を取ったり、人を絡めとって救助したり、緊急回避にもつなげたりと、色んな応用ができるんだ」
「へーなんだか便利そうだね」
「おう、見てろよ……」
そう言って、スバルが鞭をふるった。鞭はオットー君にグルグルと巻き付いた。そして、スバルが鞭を引くと、オットー君が引き寄せられるようにスバルの胸元へと飛び込んだ。
「よっしゃ成功! 痛くなかったか、オットー?」
「ええ、痛みは、ほぼありませんよ。ナツキさん頑張りましたね」
「おう、頑張ったぜ! で、本当に傷はないかオットー?」
「ないですって! なんで毎回そう言って僕の体をまさぐるんですか!? ちょっと気持ち悪いですよナツキさん!」
スバルとオットー君が、ギャーギャーと騒ぎながらも、鞭の訓練を続けていく。オットー君が何度も鞭で絡めとられ、スバルの胸へ飛び込む。私はその様子を見て不思議な気持ちが湧いてきた。
羨ましい……
「スバル、私が修行相手をやってもいいよ?」
「エミリアたん、嬉しい申し出だけど許可はできない!」
「なんで……?」
もしかして、スバルは私に意地悪を言っているのだろうか。そんな事が頭によぎった時、オットー君が私に話しかけてきた。
「エミリア様、ナツキさんの言う通りですよ。今はまだ怪我をしていませんが、失敗すると、服が破れたり、結構な傷を負ってしまうんですよ」
「そうなんだ……」
「ごめんな、俺エミリアたんの綺麗は肌に傷を負わせたくないんだ」
申し訳なさそうなスバルを見て、私も引き下がる。しょうがない事だよね。それに、私の肌が綺麗だなんて……嬉しくなっちゃう。
「じゃあ、私は大人しく見ています。頑張ってねスバル」
「エミリアたんの応援で元気百倍だぜ! んで、オットー傷はないか? 俺はお前の肌にも出来れば傷をつけたくないんだが……!」
「大丈夫、大丈夫です! だから、僕の体をまさぐるのは、やめてくれませんかねぇ!?」
またも、騒ぎ出した二人を私はじっと見つめる。そして、同じく、ベアトリスが不機嫌な顔で二人を見ていた。
「まったく、仲が良いの程々にして欲しいかしら。なんだか、スバルからいけない感情が漏れ出てるのよ」
「なんだ、嫉妬かベア子! そらっ!」
「きゃーっかしら!」
ベアトリスがスバルの鞭に絡めとられる。そして、スバルの胸に飛び込んだベアトリスは、彼にがっしりと抱き着いた。
「ベア子は可愛いなぁ!」
「当たり前の事なのよ!」
いちゃつく二人を見て、私はなんだか、どんどん不機嫌になるのを感じた。スバルの視線は、ベアトリスやオットー君に注がれている。
「スバルの嘘つき……」
私はぽつりと呟いた。
そして、次の日私は朝早くから起きていた。窓から見える景色はまだ薄暗い。今日は、私より早起きのスバルを起こしてあげようと、いつもより早く起きたのだ。私は急いで身だしなみを整えると、スバルの部屋へ向け歩き出した。そして、彼の部屋の扉をノックもせずに開け放った。
「おはようスバル! 起きてる? 起きてないならお仕置きなんだから!」
そう言ってから、私はスバルのベッドに飛び込んだ。そこには驚く彼の顔があって……!
「スバル?」
ベッドは空であった。私は、顔が真っ赤になるのを感じた。アホくさい独り芝居をやってしまったのだ。私は、そそくさと部屋を出ると、箒を持ったラムに出くわした。
「あら、おはようございます、エミリア様。随分と早起きですね」
「おはようラム、ちょっとスバルに用があって……彼はもう働いてるの?」
「いえ、この時間でしたら、レムの所へ行ってるはずですわ」
「レム……」
私の心が、急速に冷えていくのを感じた。こんなに朝早くから、なんであの子の所へ行くのだろうか。私はレムの眠る部屋へと急いだ。そして、彼女の部屋の前に来たとき、スバルの声が聞こえてきた。私は、部屋に入るのがなんだか、怖くなり、近くで耳を澄ませる。
『レム、エミリアたんが俺に頑張ってくれって声援を送ってくれたんだぞ?』
『王都で怪我を癒してる時、俺とエミリアたんとの関係はズタボロだったのにな。今じゃ、可愛い笑顔を俺に向けてくれるようになったんだぜ?』
『それでなレム――』
スバルが彼女に話しかける声がしばらく続いた。私は、その声に非常にイラだった。スバルの声だ。でも、話しかける相手は私じゃない。私の記憶にはない、女の子にだ。なんで、あの子にいまだ構うのだろうか。治すには暴食を倒すしかない。そんな事をしても無駄、時間の無駄なのだ。
『じゃあレム、今度は昼に来るよ』
「っ……!」
何故だか、今はスバルに会いたくない。私は逃げるようにその場から離れた。そして、自室へ向けて走りながら、私は叫んでいた。
「スバルの嘘つきっ!」
私をずっと見てって約束したのに……!
それから三日間、私はスバルの事を観察した。彼がどのように一日を過ごすのかを把握するためだ。そして、結果を手帳に書き込んでいく。スバルは毎日を忙しく過ごしている。鞭や体を動かす練習、使用人としての仕事、騎士としての知識や作法の勉強、ベアトリスとの魔法訓練。本当に、しっちゃかめっちゃかで大変な日々を過ごしている。勉強のために部屋にこもる私とは違う。
そして、三日目の深夜、私は手帳を見て呟いた。
「スバルの嘘つき……」
手帳には、スバルの一日と、屋敷の住人の名前が記されていた。そして、名前の横には時間が記されている。これは、スバルと一緒に過ごした時間を計測し、記録したのだ。
一番多いのはベアトリスだ。彼女は契約精霊だし、一緒にいる時間が多いのは仕方ない事だ。私も、パックがいる時はスバルより、パックと過ごす時間が長かった。精霊使いとしては当然の事だ。だから、ベアトリスは特別に許してあげる。
でも、この子は許せない
屋敷の住人で、スバルと過ごす時間が長いのは、ベアトリスの次は私……ではなくレムだ。彼女の下にスバルは朝昼晩と通い、彼女に話しかける。それ以外にも、彼女の世話をしに、何度も部屋を訪れているのだ。
対して、スバルが私の元に、自発的に来てくれるのは、ラジオ体操と夜の微精霊との会話の時だけだ。ごはんを一緒に食べる時間を入れても、レムに接する時間が、私より多い。
「嘘つき……」
勿論、ずっと私を見てだなんて約束は、わがままがすぎると理解している。そんな事、現実では不可能だ。でも、スバルは約束してくれたのだ。だから、せめて一緒にいる時間くらいは、私が屋敷で一番じゃないとダメなのだ。
「嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つきっ……!」
私は、手帳の『レム』の文字に羽ペンを何度も突き立てる。ずっと寝てるのに、なんでスバルと接する時間が多いの!? おかしいおかしいおかしいっ!
そんな時、私はレムの横に記された時間を見て、ある事に気が付いた。
「スバルが嘘つきなのがいけないんだから!」
私は部屋を飛び出し、深夜の屋敷を歩く。そして、彼女……あの女の部屋へと入った。ベッドには、人形のように眠る少女、レムの姿があった。
「ねぇ、レムっていうんだっけ? 起きてる?」
勿論、返答はない、私は彼女の下へ近寄り、彼女の顔を見る。この子が、スバルの大切な時間を奪っている。そう思うと、とても憎らしい。
「レム、あなたっている必要あるの? 人生って有限なんだよ。時間ってとても貴重なものなの。それなのに、スバルは大切な時間をあなたのせいで無駄にしてるんだよ?」
返答のないレムの頬を私はペチリと叩く。なんだか気分がスッキリとした。でも、これでは終われない。最後までやらなきゃ。
「レム、あなたがいるとスバルが頑張りすぎちゃうの。聖域でも無意味にあなたを連れてって、大変な目にあったの」
レムのお腹をボコリと叩く。
「それにね、スバルったら、もしかしたらあなたをプリステラに連れてくかもしれないの。そしたら、足手まといのあなたのために、スバルはすごーく頑張っちゃう。また、体を傷だらけにして、死ぬような目にあうかもしれないの」
レムの頬をパシリと叩く。白い顔に朱がさした。
「でも、あなたってスバルの支えになってるみたいなの。それはスバルの様子を見れば分かっちゃう。そういう意味であなたはスバルに必要とされてるのかもね」
レムの頬を優しく撫でる。
「でも安心して」
再び頬をバチリと叩く。少し顔がむくんできた。
「私がスバルをこれから支えてあげるの。スバルの拠り所に私がなるの。だから、あなたはもういらない。必要ない。スバルの大切な時間を、あなたになんか使わせない」
私は魔法を唱えた。右手に氷で作られた短剣を握る。
「ばいばいレム」
首筋を短剣で切り裂く。真っ赤な血液がどんどん流れ出て、布団とシーツを赤に染めてゆく。何故だろう、とても美しい光景だ。私は自然と見惚れてしまう。そして、流れ出る血が止まった後、私は彼女の心音を確認する。
勿論、動いてない。
「ふふっ、やった!」
私はそう呟いてから、部屋を出る。
「やっちゃったやっちゃったやっちゃった♪」
そして、上機嫌で自分の部屋へと帰る。明日は朝早く起きなきゃいけない。明日はスバルを慰めなきゃ!
「レムに使う時間は私が引き継ぐね! そしたら、私が一番なの! ベアトリスよりも長い時間をスバルと一緒にいられるの!」
私は、ベッドの中で感謝の言葉を述べた。
「ありがとね、レム。おやすみ……」
翌日、私はレムの部屋の近くに待機していた。そしてスバルがいつものようにレムの部屋へ入る。その瞬間、彼が絶叫を上げた。私は、すぐさま扉を蹴り破った。
「スバル大丈夫!?」
「れむぅ……れむぅ……! どうして、なんで……誰が……!」
「スバル落ち着いて、落ち着いて!」
私は死体に泣き縋るスバルを背中から抱きしめる。温かい、そしてとてもいい匂いがする。
「スバル大丈夫だよ……私がいるから……!」
「エミリア……」
スバルが、私に抱き着いてきた。彼から求められた事に、私は歓喜の念が沸き起こる。嬉しい嬉しい嬉しい! これからは、スバルの支えは私になるのだ。
「スバル、部屋を見れば何が起こったか分かるよ。今は、いっぱい泣いてスッキリしよ?」
「……………」
「スバル?」
スバルは私をギュッと抱きしめてきた。何故だろう、下腹部が熱くなってきた。そして、固まる私の耳に、スバルが囁いてきた。
「ごめんな、エミリア」
「え?」
私の下腹部が、熱くなってきた。そして、ゴポリという水音が鳴る。
「がぁっ……!」
「スバル?」
私のお腹から下が、血で真っ赤に染まっていた。勿論私の血じゃない。それでは、一体だれの血で……
「がふっ……!」
「スバル!?」
スバルが口から血を吐き出した。私が慌ててスバルから離れて確認すると、彼は自分の心臓にナイフを突き立てていた。
「スバル! 今治療してあげるからね! だから落ち着いて………!」
「がああああああああああああああっ!」
スバルが、胸に突き立つナイフを自分で押し込み、掻き回した。血だけでなく、何かの肉片があたりに飛び散る。
「スバル……! スバル……! 私が……私が……!」
私は必死に治癒魔法を発動する。でもダメだ。これは致命傷を超えている。もうダメ……私じゃダメ……!
「スバル!?」
部屋に、私以外の声が響いた。その小さな影も、スバルにしがみついて治癒魔法を発動する。
「何やってるのかしらスバル! ベティーを残していくのなんか許さないのよ!」
彼女も必死に声をかけながら治癒魔法を発動する。でも、それも止まる。
「もうおしまいかしら……! ベティーは……ベティーはこれからどうすればいいのよ!」
私はスバルに泣きつく邪魔者を蹴り飛ばした。
「エ、エミリアどういうことなのよ! スバルは……それにレムも……!」
「スバルから離れて」
「ひぃ!?」
怯えて泣く邪魔者を無視して、私はスバルを抱き起こす。そして彼を引きずるようにして部屋から出た。背後からうるさい声が聞こえてくるが、知った事ではない。
私は、スバルと歩き続ける。屋敷を出て、私とスバルが良くお話をする花壇の近くへやってきた。そこで、私はスバルを抱きしめた。
「スバル、ちょっと冷たい。それになんだか軽い気がするの。うん、血がすごーくいっぱい出ちゃったもんね」
反応を示さないスバルに私は顔を近づけた。
「ん……ん……」
スバルの唇を私は吸った。優しい、彼の味がする。そして、冷たい鉄の味もした。
「んぁ……スバル、私もいくからね。安心して、レムなんかに負けない。スバルは私のものなんだから!」
私は魔法で氷の短剣を作り、強く握り込む。そして、撫でるように自分の首筋を切り裂いた。ドクドクと体液が流れ出る。
「冷たい、冷たいよ。なんだか寒くなってきちゃった……ねぇスバル、こっちを見て?」
私はスバルの顔を自分の顔に向けさせる。虚ろに開いた目が、私を睨むように見つめてきた。
「ふふっ、約束守ってね?」
どんどん体温を失っていき、私の体はもう立てそうにない。でも、必死に立つ。そして朦朧とした意識の中で、全てのマナを使って私は最後の魔法を完成させた。
「スバル、私をずっと見ててね」
永久に溶けない氷像が、屋敷の一画に出来上がった。
EMY(エミリアたんマジヤンデレ) END
エミリアたんはマジ天使だから、原作ではこんな事しない……しないよな?
れむぅ……すまぬ……すまぬ……