受け入れ先は幻想郷   作:無意識倶楽部

86 / 89
先に言おう、今回黒ニーソは出ない(格言)

い、いや、出した所までは書いたんですけど…ちょっとばかり話が長引きましたので今回と次回で二つに分ける処置に…。

その為次回の投稿は少なからず早まりそうです。


それではどうぞ。



第80話 空駆ける宝の船

side一進

 

 

 

「…ねぇ〜お進〜ホントに突入する気でいるの〜?」

「行くったら行く。神社で霊夢の話を聞き齧っただけだけど…ありゃどうやら宝船って感じらしくてさ」

 

 オッスオッス皆さん。今回も前回から引き続き空に浮いてる状態から始まりまっせ。

 

「宝船!?」

「ああ。真相は知らないけども実にロマン溢れる話だと思わないか?」

 

 宝の言葉に反応するところから、どうやらこいしも心躍らせてる様で俺もご満悦だよ。

 

 …因みに、それを語っている時の霊夢の顔が随分とだらしなかったってのは言わないでおこう。

 

 そんな訳で、現在はこんな感じで飛んでいた船に折角だから入り込もうと考えてるのさ。

 

「紫があの変な物体を探してる間暇だしさ、どうせなら行ってみようぜ」

 

 さっきまではちょくちょく持って来ていたんだけど…ぱったり紫も来なくなったから多分玉はもう無くなったと思うしそっちはもう大丈夫だろ。

 

「…う~ん行くのはいいんだけど…追いかけて乗り込むの?紫に頼んだ方が早くない?」

 

 そう言ってこいしは割と速いスピードで空を飛んでいる船を見て若干面倒そうな声を上げる。

 

 ん~確かにアレを追いかけて乗るぐらいなら紫にスキマ開いて貰った方が果てしなくラク出来るんだよな…。

 

「当然スキマの方が早いと思うぞ。だけどいきなり目的地到達ってのも味気無いし、ここは自力でやるのが醍醐味だろう」

「えぇ~!」

 

 そう文句言うなこいし。それに、紫に頼んじまったら最悪の場合異変の邪魔になるからと制止された挙句暫く目をつけられる可能性すらあるからな。

 

「大丈夫大丈夫。わざわざ船を追いかける必要なんて無いぞ」

 

 そう言って俺はこいしにもう一度船を見る様に指を向ける。

 

「必要無いって…じゃあどうやって乗り――あれ?こっちに近づいて来てない?」

「その通り」

 

 だから俺は先んじて手を打っておいたのよ。

 

「……狙った?」

「狙った」

 

 こいしが疑問風に聞いて来るから俺はそのまま言葉を返す。うん…大体だったけど合ってて良かったわ。マジであの船規則的に飛んでるだけだったな。

 

 俺はここ少しの時間ただぼ~っと空に浮かんで紫をパシらせていた訳じゃないぞ。暫く観察して船の航路の予想を立てていたんだ。そんで後は予想した場所に先回りしておけば追わずとも向こうから勝手に近づいてくるって寸法さ。

 

「さてさて、何が眠っているのか楽しみ―「『マスタースパーク!!』」」

 

 迫ってくる船の中身…つーか宝がどんな物か考えてた所…両断するかの様に船と俺達の間に一筋の光が流れる。

 

 そして、どうやらそれが危険と感じ取ったらしく船は180度進路を変えて俺達から遠ざかって行ってしまった…。

 

 ……。

 

 ……。

 

「…ハァ!?」

「……あらら…急速に方向転換しちゃったね…」

 

 突然の事に慌てふためいても既に遅い。みるみるうちに船は遠くへと進んで行ってしまう。

 

 …それなりに近づいていた先ほどの状態ならいざ知らず、今更乗り込むのは厳しいだろう。俺達の間にはそれぐらい距離が開いてしまっていた。

 

「…あの急反転って事は自動操縦じゃなくて手動だったのか?自動だと思ってたけどそれだったら航路変わる訳無ぇし。……ってか何なんだよ今の波動砲…」

「それより船行っちゃったけどいいの?…流石に追いかけても追いつかないんじゃない?」

「あッ!?」

 

 こいしに言われて気付いたけどそうじゃねぇか!これじゃあ折角船の先回りをしたってのに乗れなくなったじゃねぇか!

 

「巫山戯んな!!パァだよ!折角船に乗り込もうとしたのに全部パァになったよ!」

「どうどう…」

 

 船に乗れなくなった事を理解して荒ぶる俺を、こいしが慰めてくれてるけど…ええいそれでも我慢ならん!一体どこのどいつがあんなもんぶっ放しやがったんだ!

 

「……あれか!」

 

 そんな訳で、一旦船は諦めて代わりに波動砲の飛んで来た方に俺は意識を向ける事にする。

 

「くっは〜外しちまったかぁ…」

 

 そこには、いつか見たような特徴的である白と黒の服を着た魔女っ子がこちらの方を見ている。

 

 ……ほう?白と黒…あれは霧雨魔理沙さんではないですか。ああそっか異変解決で来たんだな。ふ~んそうかそうか、つまりさっきの波動砲はお前がやったんだな…?

 

「ん?何だ何だ?次の相手をしてくれるのはお前ら――って一進!?お前こんな所に居たのかよ!」

「霧雨魔理沙!覚悟ォ!」

「は?――アッブネェ!!」

 

 チィ上手く避けたか!多少は巫山戯ていても相当な力での急接近からの右ストレートだからそこそこ速い攻撃なんだがな…当たると思ったがしょうがない。

 

 俺の拳を避け、体を反転させた魔理沙は乗っていた箒からバランスを崩しそうになったものの、すぐさま態勢を立て直して俺から距離をとってはこちらを警戒するように見ていた。

 

「…オイオイオイ何だ何だ?私とやり合う気かよ?…ああ成る程。ここまで手応え無い奴ばかりだったけど、漸く異変も本番だってか…」

「(……ん?)」

 

 そして、帽子を被り直して真剣な表情を見せる魔理沙に俺は内心戸惑わざる得ない。

 

 ……異変も本番?え、何言ってんのこの子?what?

 

 ちょいちょいちょい落ち着け。落ち着くんだ俺。彼女が何を言ってるかなんて落ち着いて考えれば分かるだろう。そう、俺がやったのは当て付け。ただの当て付けなんだ。単純に船を逃がしてくれたのを面白半分で報復しようと思っただけなんだが――。

 

「道中は霊夢達に任せてきたから私は力が有り余ってるんだ。…って事で最初っから全力でいくぜ!」

 

 ……もしかしなくてもその所偽で魔理沙の奴が俺を異変起こした側の人間だって思っていやがるよなぁ。

 

「あ~あやっちまった…」

 

 こっちは真面目に戦う気なんてさらさら持ち合わせて無かったんだけどな。完全に身から出た錆なんだから文句も言えまい。

 

 ああ因みに、さっき殴りかかったのはその場のテンションとノリによるものだから決して気にしてはいけないぞ。

 

 そりゃあまぁ異変だって分かってるのに首突っ込もうとしたんだから多少は苦労するとは思ってたけど、まさか解決者側の奴に吹っ掛けられるとはな。

 

 ま、純粋に魔法使いと戦うのは珍しい経験だからな。思う存分楽しんでみま――。

 

「ストップストップストップ!!何二人して平然とやる気出してるの!?」

 

 なーんて意気込んでた所にこいしの必死な声が入り込んでくる。

 

 つーかそりゃそうだ。異変も本番~とか向こうは言ってるけどただの勘違い何だよな。…俺を倒せば異変解決になるわけでも無いんだし、わざわざ異変解決者の体力を無駄に使わせるのも悪いか。

 

「こいし、至極全うな意見をありがとう」

「そうだよ!戦えもしないのにお進の所為で絶対に変な誤解生まれちゃってるよ!」

 

 ハッハッハすまんすまん。ちょっとだけ面白くなりそうだったからついな。少しばかり俺も身体動かしたくって――ん?戦えもしない?

 

「ちょいこいし?戦えないって――「お進は誤解しか生まないから黙ってて!!」うっす…」

 

 …うん。そうだよな。俺が変な事をしなけりゃこんな面倒事にならなかったんだ。これからはもうちょい自重する事を心掛けよう。

 

 べ、べつにこいしが怖いから引き下がる訳じゃ無いんだぞ!ただ話の展開的に黙ってる方が良いと判断しただけで。

 

「もう~!…え~っとそれで魔理沙?悪いんだけどお進は異変とは何も関係ないんだよ?」

 

 何も…とは一概に言い切れないんだが…やめておこう。今口を開いたらこいしに何て言われるか分かったもんじゃ無いし。

 

 …う~ん、だけどそんなんで許されるか?少なくても俺は誤解されても仕方ないと割り切っているからな~。

 

 開幕に遊び半分でも殴りかかったのは事実だし、普通あんな事やったら敵だって疑われるのも当然だわな。

 

「だから…さ?私達は無視して異変解決に行ってもいいんじゃないかな~って」

 

 相手の敵意を和らげる様な笑顔で、こいしは再三に渡り魔理沙の説得を続けてくれている。

 

 まぁでも、本来これは俺の蒔いた種何だから俺が対処すべきだよな。なぜか知らんけどこいしがやけに俺を庇ってくれてるのは何でかね?

 

「…無視してって言われても、私は襲われた側なんだぜ?」

 

 なんて白けた口調で魔理沙は痛い所を的確に突いてくる。

 

 …ああスマンこいし。これはごもっとも過ぎて何も言い返せないわ。

 

「それはきっとお進のノリだから!!」

「「……えぇ…」」

 

 いやいや何そのフォロー?つーかフォローにすらなってねぇけど言わせてもらうわ。何そのフォロー?即答された事によって尚更俺へのダメージがデカイんだけど…。

 

 …いや、実際にそうだから反論は一切無いんだけど…嬉しいやら悲しいやら、何ともこいしは俺を良く分かってらっしゃる。

 

「…そ、そうか。まぁ私もそこまで器が小さくないからな。さっきので煩く言うつもりは無いぜ」

「ふう。良かったねお進♪」

「ん、ああ」

 

 うん良かった良かった…のか?何か魔理沙が可哀想な眼で俺を見てたけど、あれは恐妻(こいし)に敷かれる俺への同情じゃね?

 

 …けれどもまぁこれで魔理沙が納得してくれて誤解が解けたんなら別に結果オーライか。…俺としてはちょいと魔法使いの戦い方ってのを知りたかったんだけど…諦めも肝心だろう。

 

「それじゃ行こっか♪」

「…ん」

 

 さて、そうだな。こいしの言う通りここにいてもしょうがないし、俺もほどほどにするとは言ってもあの宝船が気になるからな。またふらふら飛んで入り込みのチャレンジでもするか。

 

「…煩く言うつもりも無いんだけどなぁ一進?ちょっとお前には別件があんだぜ」

 

 ……けれど、魔力を滾らせた魔理沙を見てそんな考えはあっさり捨てざる得なかった。…うんうん。生憎こいしの思ったようにそう上手く事が運ばないみたいだな。

 

 これは見る限り奴さんはやる気十分だし…一触即発かな?

 

 それにしても俺に用事ね、見た感じから平和に解決する事は無さそうだけど…いかんせん俺自身思い当たる節が無いからどうしよっか。

 

「取り敢えずこいしは後ろに下がっといてくれ」

 

 そう言って俺は臨戦態勢を整える…。

 

 相手は魔法使い、そして完全な空中戦…か。レミリアの時も似た様な事やったけど、地面に足がつかないから色々と動きが追加されて結構厳しいんだよな。

 

「…はぁ、誤解を解いても結局巻き込まれるんじゃん」

「運命は残酷なんだよ」

「全く…」

 

 開き直り?いや違う、俺は素直に現実と向き合ってるだけだ。実際ここで下手に食い下がっても良い展開にはならんだろうしな。

 

 それで…だ。

 

「で?魔理沙?お前は俺が異変とは関係無い事を理解した上で吹っ掛けてきてるって事でOK?」

「ああ、まぁな。別に異変と関係があろうと無かろうとどっちでもいいんだ。個人的な恨み――になるのか?そんなのがあるだけだからな」

 

 ほほう。ぶっちゃけた話殆んど関わりの少ない俺に対して個人的な恨みですか…。他人事みたいで悪いけど心当りが一寸たりとも無いからどうとも思わないな。

 

「へぇそりゃまた難儀な事で」

「……で、お進は一体何をやったのさ」

「…え?あ、俺が何かやったってのは前提なんだ」

 

 当たり前の様に俺を疑ってきたこいしに撤回を要求する!…なんて後ろから俺を疑うこいしに文句の一つでも言いたかったけど…そんな隙は見せられない。

 

 美鈴の時だったっけ。あん時に不真面目に戦ったらマジで痛い目を見るって身をもって痛感したからな。

 

 それに、こいしと霊夢が組み手をやってるのをたまに見てたから分かるけど、霊夢の体捌きや身体の運び方が明らかに戦闘慣れしてる奴の動きだったんだ。

 

 ならどうせ同業者のこいつも戦闘慣れはしてるだろうってのが俺の考えだな。

 

「絶対にお進が何かやらかしたに決まってるじゃん」

「どうだ魔理沙、これが俺とこいしの信頼関係だ」

「良いのかお前はそれで…いや本人が良いなら良いんだけどよ」

 

 ああ、ここまで信頼されてる何て嬉しいに決まってるじゃないか。だから俺の目から流れてるのは多分ゴミが入っただけなんだよ!決して心にダメージがあるわけじゃ無いんだからな!

 

 …そんな訳で魔理沙!その可哀想な人を見る目はやめてください!!

 

「う~ん…。何か可哀想な気がしなくも無いが…こっちは幽香にゃ脅されるわ、お前に会いに永遠亭に行ったら迎撃されるわで散々だったんだ。いい加減私も頭に来てた所だぜ」

「そうかそうかそんな事情が……うん?」

 

 え?は?永遠亭?…それが何で俺の所為になってんの?

 

 幽香の方は兎も角として、永遠亭が迎撃ってのは多分お前の行いの様な気が…。

 

「…ま、まぁ何かそれが俺の所為にされてるのが非常に納得しづらいけどこの際置いておこう。ここ数日俺も運動不足だから折角の楽しみを逃したくない」

「…ハァ」

 

 ん~ちょっとこいしさん?人の後ろでわざと聞こえる様に溜め息吐くのやめてもらえません?始まってもいないのに既にやる気無くしてきたんだけど…。

 

「…お前も何か苦労してんのな。ま、何だ。異変は霊夢達に任せて私はお前とやりあってみるぜ」

「そうかい。なら誠心誠意相手をしなくちゃな」

 

 地底の頃にチラッと書類を見ただけだけど…さとりもお燐お空も霊夢と魔理沙に破れてるんだ。なら実力はあいつら以上と考えて、油断せずに作戦を組み立てていきましょうか――。

 

「そんじゃ――()()()()()()()5()()()

「……は?」

 

 ……。

 

 ……え?スペルカード?

 

 ………。

 

 ……。

 

 …。

 

 スペルカード!!?

 

「永琳の奴は微塵も教えてくれる気配無えし…だからって自力で探せどもお前は全く見つからねぇし」

 

 ちょちょちょ待て!!あったな!あったな何か弾幕ごっことか言う割とルールの細かいそんな制度!一番始めの頃さとりから聞いた事あるわ!!

 

 いや、忘れてた訳じゃないよ。覚えてたさ!覚えてたけども今このタイミングで必要になります!?

 

「おい待て魔理沙!一旦止まれ!俺はスペルカードなんて―「ああもう思い出しただけでムカついてきたぜ!」」

 

 ダメだ全く聞こえてねぇ!!マジでどうしよ!スペルカードってのが分からん場合ってどうすりゃいいんだ!?

 

「…ハァ」

「こいし!?…あ、そうだ!何か良い案無いか!?」

 

 あっぶねぇ!ナイス僥倖!そうだよ、今いるのは俺一人じゃなくてこいしもいるんだった。だとしたら幻想郷に慣れてるこいしなら突破案を出せるんではないか?

 

「だから戦えもしないって言ったのに」

「そういう事かい!つーかこいしは気付いていたのかよ!」

 

 早い段階でのこいしの台詞を思い出した俺は驚愕を隠せない…。

 

 ってかこいしの戦えもしないってのはそういう事だったのかよ。通りでこいしが積極的に魔理沙を止めてくれようとしてた訳だ。…いや、まぁだったらちゃんと教えてくれって話にでもなるけどな。

 

「…一先ず俺の出せる打開案はわざと負けるって―「それで魔理沙が納得する?」…ないです」

 

 ですよね~。言ってて思うけど流石に吹っ掛けておいての敵前逃亡はゲス過ぎたな。

 

 少し考えて出した答えを瞬間的にして否定された俺は、本気でどうしようも無くなり既にこいしに頼るしか道は残されていなかった。

 

「…すみませんこいし様。何も思い付かない私目にお導きを」

「尊大だね。でもそうだね~、受けちゃったからには逃げるのは憚られるから…じゃあこれは全弾避けてスペルブレイクするしかないかな?普通の弾幕もありだけどお進弾幕って撃てるっけ?」

「実践で試して―「ダメ」…頑張って避けます」

 

 初めてだと実践ではさせてくれないみたいですね分かります。こいしの有無さえ言わせてくれない物言いに一瞬にして方針が定まったよ。

 

 …もうなんだろうね?この数刻で俺の立場がこいしより遥かに低い所に落ちた様な気がするんだけど大丈夫かな?

 

 ってか最近何かさ、会ったばかりの初々しさなんてとうに無くなって…俺ってちょくちょくこいしに手綱握られてる様な気がするんだけど勘違いじゃないよね。

 

「……なんか失礼な事考えてない?」

「滅相もございません」

 

 ダメだ今理解したけど今日はもうダメだ。こいしに完全に心読まれてるから今日は何やっても機嫌損ねる可能性しかない。つーかそれ以前に何でこいしは読めない筈の心をこうも簡単に看破してくるんですかねぇ。

 

「『魔符・ミルキーウェイ』」

「早速かよ…」

 

 魔理沙のいきなりのスペルカード使用で思わず苦言がはみ出そうだったが我慢しよう。今回は全面的に俺が悪いんだしこれぐらいは承知の上だ。

 

 …それじゃあさて、全弾避ける何て所業出来るか分からんけど一先ずはやるしかないだろう。幸いにも攻撃を一切せずに避ける事に全神経注げば何とかなりそうな気が――。

 

「こんなんだったらアリスからのメッセージなんて聞くんじゃ無かったぜ!」

「その話詳しく聞かせろォ!!」

 

 魔理沙が言い終えるや否や妖力とか込めた弾幕を前方に向かってドーン!!………わお。

 

「は!?――ッ!」

「えぇ!?」

 

 なんか何か適当にやってみたら本当に出てビックリしたわ。って言うかもう既に攻撃せずに全弾避ける~何て言ってた事をメチャクチャにしたけど…こうなってしまうのも魔理沙の所為だ。うんうん仕方無い仕方無い。

 

「ちょっ!?何やってくれてるのお進!?」

「だって魔理沙がアリスって言ったから…ついやっちゃったぜ☆」

「『やっちゃったぜ☆』じゃないよ!?」

 

 耳元で叫ぶのは止めてくれこいし。それにそんな事言われてもな~。魔理沙の口から絶賛俺が所在気にしてる奴の名前がでたから反射的に…ね。

 

「大丈夫大丈夫。かなり不意討ち気味に撃ったけど、魔理沙はちゃんと避けていたか――「きゃああ!!」」

 

 …前言撤回。確かに魔理沙は避けたんだけど…遠くから飛んで来てたと思われる子にドンピシャで当たっちまったわ。

 

「何事ですか!敵!?敵ですか!」

「……」

「……」

「…当たっちゃったね」

「…当たっちゃったな」

「何お前ら二人して落ち着いてんだよ!せめて詫び入れるぐらいの気概見せようぜ!?」

 

 魔理沙はあまりの俺の態度を見兼ねたのだろう。スペルカード(攻撃)を止めると、敵対してたのが嘘の様に俺から興味を無くして、すぐさま被弾した子の下へと行ってしまった。

 

「ほらッ!お前も来い!」

「あ~。…うんやっぱそうなるよね」

 

 当てる意思があろうと無かろうと、当たってしまったのは事実に他ならない。だから詫び入れるのも当然分かってる。分かってるんだけど少し待て魔理沙。先にここで一つ俺がお前に出合い頭で何をやったのか思い出して貰いたい…。

 

 ……そう。俺はお前に対して開幕いきなり攻撃を加えてしまったんだ。……で、変な誤解をさせてしまいそこから流れる様にスペルカードが始まってしまったんだ。

 

 ここまで言えば分かると思うが…そこから導き出される答えが…その…つまり…。

 

「おいおい大丈夫かよ」

「平気…ですけどあの攻撃は侮れませんよ。相手は何処ですか?」

 

 たった今俺が放った流れ弾の所為でもう一度その誤解を繰り返す事になるかもしれないって事だ。

 

「……うわぁ…本気で面倒になって来た…」

「それに付き合う身にもなってよ…」

 

 すまんこいし。今度何か奢るからそれで手打ちにしてくれ。

 

 ……ハァ…向こうは知り合いらしいか、魔理沙がちゃんと説明してくれればいいけど…どうなるやら。厄介な誤解されなきゃいいなぁ……。

 

 

 




誰なんだ!最後に出て来た子は一体誰なんだ!(茶番)

…はい、まぁ一年半以上空けての再登場の子っすね。当初から予定が変わりに変わってますが何とかなりましょう。


それではまた次回。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。