”ジュウ~”
(なんか温かいな~、って!)
頭からたき火に突っ込んだまま寝ており自分の肌が焼ける音で目が覚めたが顔や髪を触ってみてもやけどもしていなければ、髪も焼けていないことに驚くゼロ。
(この程度の”ダメージ”じゃ髪すら焼けないのかよ化け物だな~)
寝起きの体を伸ばしながらそんなことを考えながら少し弱くなってしまったたき火に木をくべながら自分が何をしにここに来たのかを思い出した。
「あっ」
急激に体温が下がり体中から汗が出てくる感覚が襲った。
(時間過ぎてるよな~これ。このままバックレるかな~あはは)
軽く現実逃避をしたところで我に返り玉座の間へ転移した
”シュンッ”
急ぎすぎていたため少し遠めのところへ転移をしてしまったゼロ
「ここどこだよ!ってあっちか」
100レベルの探知能力をフルに発揮し強者が集まっているほうをすぐに見抜く。
(急がないと!!)
焦っているゼロは自分の身体能力がどの程度のものなのかも考えずに思いっきり踏み込んだ。
”ドカンッ”
同レベルの中でもトップレベルの加速力をもって走り出す、ほぼ飛んでいる状態で玉座の前についたゼロはそのままの勢いを殺すことなく頭を地面に叩きつけて
「すみませんでした!!!!!!」
謝罪した。
玉座の間はシーンとした静寂に包まれた。
「顔を上げてくださいゼロさん。みんなが驚いてますよ」
ゼロの耳に落ち着いたモモンガの声が聞こえた。顔を上げモモンガの顔を見るといつもと同じ骸骨の顔。しかしその眼には怒りの炎が揺らいでるように見える。いや、揺らいでる。
「見ての通りゼロさんがこのナザリックへと帰還した。この事に何か異を唱える者はいるか?」
ビビっているゼロを無視してモモンガが尋ねる。
「いえ、至高の御方がご帰還されたことを喜びこそすれ、異を唱えるものなどこのナザリックにはございません」
「そうか、だそうですゼロさん。では何か一言お願いします」
(いきなりかよ!!<伝言><伝言>着信拒否されてる!!!!)
本来はモモンガから何を話すかを教えてもらいながらしゃべる予定だったがモモンガの気を損ねたため自分で考える羽目になった。
ゼロはユグドラシル時代からこのアインズ・ウール・ゴウンでは異端児だった。
異形種ギルドであるのに基本的に異業種の見た目が苦手で人と話すのも苦手なのでチームプレイも苦手。しかし孤立していたわけではなく一対一(男性)なら話せるし、女性とも時間をかければなんとか話せる。そんなゼロをみんながからかいに無駄に絡みに行くためゼロは孤立すること等はなかったし話の中心(意図せずして)にいることも少なくはなかった。
今の状況を整理しよう。
目の前には複数の男女にでかい虫と骸骨が立っている。全員の視線がゼロに向かっている。
(無理だ~!!!!)
ゼロはアンデッドではないので感情の沈静化はないためテンパるとテンパりっぱなしである。
モモンガのほうを向いても何の返答もしてくれない。ナザリックの部下たちも静かにゼロがしゃべるのを待っている。
(俺はゼロだ、俺はゼロだ)
自分に言い聞かせながらまずは一年間いなくなってしまったことを謝罪しようと口を開いた。
「俺はゼロだ」
ーミスったー
(あぁぁぁあぁぁあ!!)
謎の自己紹介をしてしまい焦るゼロ。全身の毛穴から汗が吹き出しているのがわかる。ここからどう立て直していいかわからずに思考停止していると。
「ゼロ様この度はご帰還してくださりありがとうございます。このナザリックに使えるもので至高の御方々の名前を忘れるものなどおりません」
この中でゼロが来ることを知っていたユリが声をかける。
(優しい~優しすぎるよ~)
思考停止していたゼロもユリの声を聴きなんとか持ち直す。
「そ、そうか~一年もいなかったしなんか忘れられてんじゃないかなと思ったりしてたんですよね~ははっ」
「この度はご帰還おめでとうございます。先ほどはゼロ様とも知らずに警戒してしまったことを守護者統括として謝罪いたします」
「だ、大丈夫です!」
急に話しかけられて焦りながら返答するゼロを見かねてモモンガも口を開く。
「まぁ、ゼロさんも帰ってきたばかりで疲れているのだろう。今日のところは解散としよう」
「あぁ、すいませんね」
モモンガの助け舟に乗ったゼロ
「ならばコキュートスと模擬試合を明日にするか。」
船は沈んだ。
「ワタクシガゼロ様と試合ヲシテヨロシイノデスカ?」
「あぁ、ゼロさんもなまってしまった体を動かしたいらしいからな。ですよねゼロさん?」
(まだ怒ってた~!!よりによってコキュートスかよ…でかい虫じゃん怖いよ…でも断れないよな…)
「は、はい」
「アリガタキ幸セ!コノコキュートス少シデモゼロ様ノ相手をデキルヨウ頑張ラセテ頂マス」
(がんばるな~!!!)
ゼロの心の叫びはコキュートスには届かなかった。
次回は少しユリ回にできたらいいな…