「はぁ~なんでこんな事に…」
八階層の自分のログハウスで明日の大きな虫(コキュートス)との戦いのことを考えてテンションがダダ下がっていた。
「確かに寝坊したけどさぁ…よりによってコキュートスかよ~」
”コン、コン”
ビクッ
扉のノックする音にすらビビるゼロ。
「は、はーい空いてますよ~」
誰かわからないがナザリック内に敵がいるとは思えないのでドアにもロックなどはかけていない。
「失礼いたします」
入ってきたのはユリ・アルファだった。
(ユリだ!!どうしようお茶とか出したほうがいいのかな)
バタバタと動き出すゼロ。
「ゼロ様!そのような事は私がするのでお座りください!」
「い、いやお客さんだしさ…」
「私はメイドです。ゼロ様の身の回りのことをするのも私の仕事でございます」
「じ、じゃアよろしくお願いします」
「かしこまりました」
そう言われて言い返されることもできないのでおとなしく座っておくゼロ。
”カチャ”
流れるような動作で置かれるお茶。ゼロの前だけに置きゼロの前に立つユリ。不思議に思ったゼロは尋ねた。
「ユリは飲まないの?ていうかす、座りなよ」
「私はメイドですので同じ所でお茶を飲むのは…」
「い、いやでも僕だけ飲むのも落ち着かないしさ。い、一緒に飲まない?」
ゼロは勇気をふり絞って言った。ゼロの中ではこんな事を言うのは超がつくほど難易度が高い事だ。
「よ、よろしいのですか?」
「よ、よろしいです」
変な言葉になるゼロ。
「フフッ、やまいこ様が仰っていた通りですね。では、失礼します」
微笑みながらゼロの向かいの席に座るユリ。
「やまいこさんが何か言ってたの?」
かつての友人が自分の事をなんて言っていたのか少し気になるゼロ。
「ゼロ様は虫と動物と女性が苦手で面倒を見てあげたくなると聞いていたので」
微笑みながら話すユリを見て赤面しながら
「あはは、そうなんだよね…かっこ悪いよね…」
ネガティブモードに入るゼロ
「そんなことはありません!周りのことをよく考えておられる素晴らしい方です!」
「あ、ありがと」
語気を強めたユリに若干引きながら返答するゼロ。
「そ、それでさ何か用があったのかな?わざわざこんなところまで来たってことはさ」
話を変えるために尋ねるゼロ
「はい、お食事を持ってきたのですがいかがいたしましょうか?」
「あぁ、そういえばお腹すいてきたな」
アンデッド化しているわけではないため食事も睡眠も必要としている
「何があるのかな?」
「サンドイッチなのですが…」と言いながらゼロの前にひろげるユリ
「ありがとう!」
思っていたよりもお腹がすいていたのかモグモグと食べていき、すべてたいらげた。
「い、いかがでしたか?」
「すごいおいしかったよ!作った人にお礼言っといて。」
「は、はい。では失礼しました」
赤くなりながらいそいそと出ていくユリ。
「うん、ありがとね」
少し頬をそめながら出ていくユリに気付かないのがゼロクオリティである。
ゼロのログハウスを後にしたユリは少し後悔した。
「はぁ、ボクが作ったことを言えばよかったかな…緊張して滞在時間も短すぎたし…」
ナザリック内でも希少な料理スキルを持っているため、自分で料理をすることができる。しかし普段は料理担当のものがいるのでなかなか作る機会がない。なのでこのチャンスを逃すとゼロに料理を作ってあげることはできないと思い作ったのだった。
「この感情はよくわからないなぁ」
NPCたちは設定をよっぽど凝って書かれていない限り創造したプレイヤーに似る傾向があるためユリがやまいこと同じようにゼロをほっとけないという感情がでるのは当然なのだがユリがそれを知る由はない。
(不敬かもしれないけどかわいかったな~)
ユリは柄にもなくニヤニヤしながら帰って来いると。
「ユリ姉なにしてるの・・・?」
そこにはシズ・デルタがいた
「な、なんにもないわよシズ」
「ユリ姉ニヤニヤしてた・・・」
「お、思い出し笑いよ」
「そう・・・」
ユリの苦し紛れの言い訳に納得してくれる優しいシズである。
(見られたのがシズでよかった…)
一番めんどくさい妹のことを考えながら自分の持ち場に返っていくのであった。