さて、私の家はお兄ちゃんと同じマンションらしいのですが、荷物が来るのを待っている時にエレベーターからお兄ちゃんが下りてきました。
「おはようございます。先輩」
「あー、えーっと…暁って呼ぶのはなんか変だから綾花って呼んでもいいか?」
「いいですよ」
「そうか、おはよう。綾花、姫柊」
「はい。おはようございます」
「おはようございます」
「で、綾花と姫柊はどうしてここに?」
「「引越しの荷物を待っていました」」
「引っ越し?」
「私は面倒だったから送ってもらった感じ」
「はい急な任務だったので準備が間に合わなくて。昨日まではホテルを借りてたんですけど、やはり不便でしたから」
彼女のその言葉が終わらぬうちに、一台の小型トラックが、歩道を乗り越えてマンションの敷地に入ってきた。そして綾花たちがいる玄関前に停車する。
トラックから降りてきたのは運転席と助手席に二人そしてトラックの荷台の中に二人が乗っていた。
お荷物を届けに上がりました、と威勢良く叫ぶ若い配達員に、
「どちらの荷物が載ってますか?」
「暁綾花様のと姫柊雪菜様のお荷物です」
「じゃあ、私は六○六号室なのでそちらに」
「私は七○五号室です」
「ちょっと待てェ!」
「どうしましたか?先輩。少しうるさいです」
「いや、七〇五って思い切りうちの隣じゃねぇか!薄々予想はしてたが、本当にそこまでするかオイ⁉︎そういや、むぐっ!」
「先輩。エレベーターの中で騒がないでください。あ、ここで降ります」
「ちょっ!」
「じゃあ、そこに置いて貰えますか?」
「はい。ありがとうございました。ここに判子をお願いします」
「ありがとうございました」
「…荷物どうしよう」
「ゆっくりでもいいから中に入れよう」
「…よし。じゃあ、お兄ちゃんに付けてる式神は今どこに居るのかな?」
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「…誰もいない」
「よし、買い物に行こう」
綾花は少し準備をして外に出かけて行った。
「ホームセンター…必要なもの結構あるしここで買おう」
そして綾花が買い物を終えて外に行こうとすると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「…だったのか、姫柊?結構買い込んだみたいだけど」
「はい。必要経費を前払いしてもらった支度金がありますから」
「ああ、そういうことか」
「支度金っていくら出るんだ?」
「えーと、一千万くらいです」
「いっせ……?」
綾花は、その会話を聞いていたのだが、後ろから人が来たため、そこから離れて帰って行った。
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「…ん?」
式神でお兄ちゃんを監視していたら外に出ようとしていた。
「お兄ちゃんについて行ってみようかな?」
「よし!行こう」
「_______こんな時間にどこに行くつもりですか、先輩」
「ひ、姫柊?」
「はい。何ですか?」
「もしかして、ついてくるつもりなのか?その格好で?」
「監視役ですから」
「いいから髪とか乾かしてこいよ。姫柊の準備が済むまで待ってるから」
「本当ですか?」
「そんな格好の女子中学生を、こんな夜中に連れ回せるか。俺が逮捕されちまうわ」
「そ、そうですか。では、中に入って待っていてください」
「いや、いい。ここで待ってる。別に逃げたりしないから」
「それでどこに行くんですか?先輩」
「それは、コンビニだと思うよ」
「うわっ!」「えっ?」
「どうしました?」
「いきなり後ろに立たないでくれよ、綾花」
「すみません。気づいて貰えなさそうだったので声を掛けてしまいました」
「そ、そうか」
「で、どこに行くんですか?」
「綾花の言う通りコンビニだよ」
「あ…」
「姫柊?」
「どうしました?」
「あ、すみません。何でもないんです」
「このクレーンゲームがどうかしたのか?」
「クレーンゲーム……というんですか。ネコマたんが入っているのは……」
「ネコマたん?このマスコット人形のことか?」
「はい。あの……前の学校で人気があって」
「これくらいなら、獲れそうだな」
「獲るってどういうことですか?まさか……」
「違うよ〜クレーンゲームってそういう機械なんだよ」
「____そこの三人。彩海学園の生徒だな。こんな時間に何をしている?」
後ろにいたのはこの常夏の島でフリルまみれのドレスを着ている女性がいた。
「そこの男。どっかで見たような後ろ姿だが、フードを脱いでこっちを向いてもらおうか」
「どうしたんだ?意地でも振り向かないというのなら、私にも考えがあるぞ____」
彼女が喋った直後にズン、と鈍い振動が、人工島全体を揺るがした。一瞬遅れて、爆発音が響く。
「なんだ____⁉︎」
私は彼女が動揺している間に隣にあるコンビニの中に入った。
「あ、待て、お前ら」
「覚えていろ、暁古城!」
と言った後彼女は消えた。
その後私はコンビニから出てさっき起きた爆発音の方に向かった。
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「…眷獣?」
私はその眷獣が人工生命体の物だと気づくのにそう時間は掛からなかった。
「魔力を…食ってる⁉︎」
「吸血鬼…じゃない⁉︎そんな…どうして、人工生命体が眷獣を⁉︎」
「ふむ。目撃者ですか。想定外でしたね」
「戦闘をやめてください」
「若いですね。この国の攻魔師ですか…見たところ魔族の仲間ではないようですか」
「行動不能の魔族に対する虐殺行為は、攻魔特別法違反です」
「魔族におもねる背教者たちが定めた法に、この私が従う通りがあるとでも?」
男が無造作に言い捨てて、巨大な戦斧を振り上げる。
「くっ、雪霞狼____!」
彼女は槍を構えて疾走った。吸血鬼に目がけて振り下ろされた戦斧を、ぎりぎりで受け止めた。
「ほう…!」
戦斧を弾き飛ばされた男が、愉快そうに呟いた。巨体からは想像できないほどの敏捷さで後方にとびのいたが。
「ん?なんですか?この鳥は?」
(ちっ!ばれたか)
「少々邪魔です。ふん!」
「っぐ!」
「その槍は七式突撃降魔機槍ですか⁉︎"神格振動波駆動術式"を刻印した、獅子王機関の秘奥兵器!よもやこのような場で目にする機会があろうとは!」
「いいでしょう、獅子王機関の剣巫ならば相手に不足なし。娘よ、ロタリンギア殲教師、ルードルフ・オイスタッハが手合わせを願います。この魔族の命、見事救って見せなさい!」
「ロタリンギアの殲教師⁉︎なぜ西欧協会の祓魔師が、吸血鬼狩りを____⁉︎」
「我に答える義務はなし!」
(早い!今の私には見えない!)
「ぬうぅん!」
男の左腕の装甲がいつの間にか砕け散り、彼女はいつの間にか少し下がっていた。
「我が聖別装甲の防護結界を一撃で打ち破りますか!さすがは七式突撃降魔機槍____実に興味深い術式です。素晴らしい!」
「____獅子の巫女たる高神の剣巫が願い奉る。破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を打たせ給え!」
(ん?その祝詞は何?)
「む…これは…」
(…見えない。さっき式神を潰されたせいかな。未来視がうまく使えないし戦闘が見えない。ん?なんかさっきの眷獣を出してた女の子が出てきた?あっやば)
「危ない!」
私はつい叫びながら飛び出し彼女と槍を引き離した。
だが、代わりに眷獣の腕が
「綾花ァ___________!」