暗く狭い部屋。そこに座らされて縄で拘束される。目の前にはガタイの大きい男性がいた。
「オレは暗部の拷問・尋問部隊隊長 特別上忍の森乃イビキだ。名前は?」
「私は雪藍。」
「今から尋問を行う。嘘や黙秘はお互いに不幸な結果にしかならない為、お勧めはしない。…いいな?」
「わかりました。」
私はカカシさんと話し合って決めた内容を話す。霧隠れへの潜入などの複雑な事情を省き、再不斬さんの元で働いていた事だけを話した。
「……なるほど。カカシから聞いた内容と差異はない。」
「……なら、尋問など意味は無いんじゃ無いですか?」
「お前が嘘を吐く人物かどうかを判断する為だ。写輪眼を使って吐かせたようだからな。内容以上にお前の人間性の確認が重要だ。」
カカシさんがどうやら便宜を図ってくれたようだ。
「では、お前の身柄は火影様直属の暗部に引き渡される。そこで火影様直々に処遇が言い渡される。」
「わかりました。」
尋問は呆気なく終わり次の場所へと移動となった。
木ノ葉が巨大組織ってのもあるんだろうけど、随分と色んな所へたらい回しされている気がする。
段々と自分がどんな場所に向かっているのかわからなくなり、不安になってくる。
そうして、暗部の忍に案内された先は地下室のこれまた暗い部屋。
さっきとは違い拷問器具などは見当たらない。蝋燭が揺らめいているだけだ。部屋の中心には黒い着物を纏い、体の一部を包帯で隠し、杖を突いた老人がいた。その老人は此方を見るや否や目を細める。
「よくぞやってきた。……期待させて悪いが、ワシは火影では無い。……木ノ葉には大きく二つの暗部がある。一つは火影が管理する部隊。そして、木ノ葉の里を裏から守る『根』と言う暗部だ。ワシはダンゾウ。『根』のリーダーをやっているしがない老人だ。お前が連れてこられた意味が理解できたか?」
つまり、木ノ葉での所属はこの『根』の忍って事か。
「わかりました。」
火影様の所で処遇を言い渡すとは何だったのか?
「………不思議そうだな。現場から話が来た時点でお前の所属は決まっていた。ただ、火影が一度顔を見たいと言っていたのだが、今は中忍試験という他国を巻き込んだ催しがあるため、来れなくなっただけだ。」
「………そうですか。」
何か腑に落ちない。だけど、それを確認する事ができないなら仕方ない。
「何故、『根』かと言うとお前は木ノ葉の人間では無いからだ。正式な表の木ノ葉の忍にはできない。つまり、必然的に裏になっただけだ。」
「私以外にも、『根』には外部の人間がいるんですか?」
「殆どは木ノ葉の者で構成されているが、お前のような例もある。………ではこれからお前は『根』の者だと言いたいが、その前に試験のような物がある。」
「試験…ですか?」
「……そうだ。2人1組で野営と修行を行う。…まあ、合宿のようなものだ。これを通して、『根』に配属された時の連携や木ノ葉のルールや文化を学んでもらう。……因みに相方となる者はこちらから選定する。お前と同じ『根』の配属予備生だ。」
結構しっかりとした話で驚く。今までのたらい回しが何だったのかというレベルである。
「それから、暗部になるに当たって本命を名乗る事は許されない。今からお前は『シロ』と名乗れ。」
「……了解しました。」
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いい掘り出し物を見つけたものだ。
数年前に雪一族の生き残りを大蛇丸が見つけたという情報はあった。
大蛇丸がずっとマークしていた。その血継限界は波の国に潜伏しており、霧の忍刀七人衆の1人が側にいる事から手を出せないでいた。
だが、状況は一変する。その国の貧乏な老人が木ノ葉にやってきたのだ。そこに巣食う子悪党を倒してほしいという依頼をぶら下げて。チャンスだと考えたワシはその老人が木ノ葉に来るまでの道中を「根」の部下に護衛させた。結果的に上忍最強クラスのカカシが向かい、見事忍刀七人衆の1人を打ち倒してくれた。巻き添えの形で1人の血継限界が死んでしまった事は残念だが、まだもう1人残っている。あの小娘にとってタズナという老人はまさに死神だった訳だ。
そこからは簡単だった。情報を火影に渡さず、「根」の者を火影直属の暗部に見せ、何回か情報を下に流す事で、森乃イビキやカカシを騙して、雪藍を手に入れる事に成功した。
また、最近は大蛇丸が木ノ葉崩しの準備に奔走している為、雪藍にかまっている暇など無く、軽い取引だけで譲ってくれた事も大きい。大蛇丸にとって氷遁は魅力的ではあるが、それ以上に木ノ葉崩しの方が大事であり、更には写輪眼に執着していた訳だ。此方からヒルゼンを殺しやすいように侵入の手助けをする事で譲ってくれた。
まだ氷遁には目覚めていないようだが、これから目覚めればいい。所詮他国の者だ。薬でも何でも使えばいいし、大蛇丸の手を借りてもいい。それが駄目でも母胎として木ノ葉に尽くして貰えればいい。容姿は綺麗なものだから、相手に困る事もないだろう。血継限界の血族を増やす事で木ノ葉に貢献できる事もある。抵抗すれば手足を捥いで、飢えた男達にでも与えればいい。直ぐに次世代の血継限界が生まれるだろう。
まずは心を殺し、木ノ葉に忠誠を誓ってもらわねばならない。
それとヒルゼンには引退してもらわなければな。
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暗部の人に案内された場所は広い草原。周りは森で囲まれている。
確かにこれなら、この広場での訓練や森の中での訓練などができる。いい立地ではないか。
すると後ろから誰かが近づいてくるのを感じ、振り返る。
視線の先には、黒髪に白い肌が特徴的な可愛らしい女の子がいた。
「初めまして、シロと言います。」
「……初めてまして、クロです。」
「貴女が『根』の入隊予定の方ですか?」
「…はい。シロさんもですか?」
年齢はナルト君達よりも下だろうか、見たところ10歳程度だ。
「そうです。なら私達がペアという事ですね。よろしくお願いします。」
「こちらこそお願いします。」
私達はお互いに握手した。