☆一輪の白い花   作:モン太

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姉妹

「クロー!そっち行ったよ!」

 

木ノ葉に来て1ヶ月が経っていた。クロと訓練場で過ごしながら、連携の練習をしていた。

 

「はい、姉さん!!」

 

クロがクナイを投げる。

 

だけど、獲物は野生の勘を働かせて巧みにクナイを避ける。そこに私が千本を投げる。

 

殺傷力は低いけど、的確に足のツボを貫く事で機動力を削ぐ。

 

「クロ!今よ!!」

 

「はい!!はあああっ!!!」

 

今度はクナイが全て命中した。痛みに悶え動きを止めた獲物をクロが忍刀で首を刎ねた。

 

「見事だったよ、クロ!」

 

「ありがとう、シロ姉さん。」

 

「今日は鹿肉か。とても2人で食べ切れる量じゃないよね。」

 

「それよりも、血抜きとかの処理が大変だよ、姉さん。」

 

私達は姉妹のように仲が深まっていた。

 

というのもこれまでの人生で接した人間なんて、兄さんと再不斬さんぐらいしか居なかった。年齢が近い女の子と一緒に居た事がなかったから、とても楽しく感じていた。

 

本当なら一緒に本を読んだり、普段何をしてるのか聞いたり、話したりして遊びたいのだけどここは暗部。やっている事は血生臭いことばかり、そこは残念だけど、それでも楽しかった。

 

クロは最初出会った時は本当にただの女子で、戦闘能力とかはなかった。

 

だから、私が忍術や体術を教えた。殆どが再不斬さんと兄さんの受け売りだけど。それでもクロの才能は凄くて、あっという間に成長していく。いつ、私が抜かされるかヒヤヒヤしながらも彼女の成長を応援している。

 

忍術の才能が無い私にはあまり手本を見せれないのだけど、印を教えただけで簡単に再現してみせた時は戦慄したものだ。忍術のレパートリーは完全に負けている。流石に体術と手裏剣術はまだ私に分があるけど。これすらも抜かされたら、私の立場がない。

 

適当に捌いて、焼いて食べた。火を起こすのは簡単だ。クロが火遁を使えるから重宝させてもらっている。初めて使った時は火力の高さにかなり驚いたものだ。今は自由にコントロールできている。

 

「じゃあ、また忍組手のお相手お願いします。」

 

「うん、わかった。」

 

食事を終えた後、2人で向かい合う。

 

「行きます!土遁・列土転掌!!」

 

私の足元で地割れが起こる。一瞬足を取られるけど、すぐに跳んで走る。

 

「土遁・土流壁!!」

 

クロは下がりながら、土の壁を作って私の進路を塞ぎに来る。

 

すぐに駆け上がる。下を見れば、更には後退していたクロが術を放ってくる。

 

「火遁・炎弾!!」

 

炎が迫ってくるが、すぐに壁を飛び降りて瞬身の術で迫る。

 

「うっ!」

 

クロがクナイを投げてくるが、千本を投げて迎撃する。

 

瞬身の術の速度と私が体術が得意なのはクロもよく知っている。だからこそ、徹底的に距離を離そうとしてくる。

 

それでも私の足を止める事は叶わず、懐に潜り込む。

 

「影分身の術!!」

 

成程、体術と速度勝負になれば勝てないから、2対1で対処する訳か。

 

「でも、私も全く忍術が使えない訳じゃないよ。水分身の術。」

 

作り出した水分身が影分身を襲う。

 

私はクロの本体を狙う。

 

繰り出してくる手掌を屈むと同時に足払い。

 

「キャッ!」

 

空中に投げ出されたクロの腹に左足を突き刺す。

 

「グゥ!」

 

体捌きと速度、千本の取り扱いは得意だけど、力が非常に弱い私は、直接打撃を狙う時は足技を使う。拳では殆どダメージが通らないからだ。

 

飛ばされるクロは空中で体勢を立て直し、クナイを投げてくる。その全てを千本で撃ち落とす。

 

そのまま忍刀を抜いて斬り掛かってくるが、千本で受け流す。

 

「そんな細い針でよく刀を受け流せますね。」

 

「チャクラコントロールで、針に風のチャクラを流してるのよ。」

 

「成程、また後で教えてください…よっ!」

 

横凪の一閃。少し首を逸らして回避、そのまま今度は千本で斬りかかる。

 

「くぅ!」

 

ギリギリでクロも私の攻撃を捌く。

 

小さく跳んで、踵落としを放つ。

 

クロは両腕でガードしてくると逆に空中の私に回し蹴りを放ってきた。

 

だけど、それも空中で体を捻って回避。

 

「ウソォッ!」

 

捻った時の回転を利用して蹴り飛ばす。

 

「本当に体術では敵いそうもありませんね。でも、軽いですよ。」

 

「それでも攻撃が当たらなきゃ意味ないよね?」

 

「そうですね。だからこそ……」

 

瞬間、背後に気配を感じる。どうやら影分身が水分身を倒したらしい。影分身の方がオリジナルに対しての弱体化がマシだとしても、もう水分身なら倒されてしまう程度には成長したのか。

 

でも水分身が倒されれば、水が撒かれる。それを利用させてもらう。

 

「秘術・千殺水翔」

 

地面に撒かれた水が無数の針となって影分身を貫く。

 

不意打ちを仕掛けたつもりだろうけど、私は気配を察知する能力に長けている。感知タイプと言っても過言ではないくらいに。

 

逆に不意打ちを食らった影分身は消滅し、煙を出す。

 

その煙に気を取られている隙に瞬身で回り込む。回り込んだ先にクナイがあった。屈んで避ける。

 

どうやら目で追えない瞬身だが、クロは直感で真後ろにクナイを振り抜いていたらしい。

 

「惜しい。風遁・烈風掌」

 

掌に風を纏いそのまま、手掌を放つ。

 

「キャ!」

 

吹き飛ばされたクロを瞬身で追いかける。そのまま地面に倒れた彼女に千本を突きつける。

 

「……参りました。」

 

「膂力が弱くても、こうして風遁を補助に拳を強化する事も可能よ。」

 

「…………それは姉さんくらいのチャクラコントロールがないとできないんじゃ……。」

 

私はクロの手を取って立ち上がらせる。

 

「とりあえず、シャワーを浴びようか。」

 

「そうね、姉さん。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ねえ、シロ姉さんは何でそんなに強いの?」

 

シャワーを浴び終わって、紅茶を飲んでいたらクロに聞かれた。

 

「別に強くはないよ。クロよりも先に忍術を教えてもらっていただけよ。」

 

「そうですか。……シロ姉さんは何で『根』に入ろうと思ったの?」

 

「……入りたくてここにきた訳じゃないんだ。私には忍術の師匠がいたんだ。その人が亡くなってしまってね。行き場を無くした私を木ノ葉が拾ってくれただけなんだよ。」

 

「そうだったんですね。」

 

「私には同い年の兄さんが居たんだ。所謂双子って事だね。私よりも可愛らしい顔をしていて、女の子に見える事が密かなコンプレックスなそんな兄さんが居たわ。私の師匠や兄さんは私よりも遥かに強い忍者だった。………兄さんは本当に強かった。それは忍術だけじゃなくて、心も。いつも私を守る為に必死に戦ってくれた。……2人とも殉職しちゃったんだけどね。だから、私が兄さんの意志を継ごうって決めてるの。」

 

「………誰に殺されたんですか?」

 

…………っ

 

「……別に誰に殺されたかなんて気にしても仕方ないわ。」

 

「………でも、憎くないんですか?悲しくないんですか?……誰かに気持ちをぶつけたくなるものじゃないんですか?」

 

「……そう…ね。」

 

あの時を思い出す。2人が死んだと聞かされた時。2人の墓の前に立った時。その時の事を思い出すと今でも涙が出てくる。

 

「………悲しいわ。……でも、私が誰かを………傷つける所を……兄さんは見たくないと……思うの。…兄さんは平和を………願っていたもの。」

 

「でも、それは姉さんの気持ちじゃ………。」

 

私はクロに手で制止をかける。

 

「お願い。………これ以上は言わないで。」

 

「………わかりました。出過ぎた真似をして申し訳ありません。」

 

「……いいよ、心配してくれる気持ちは伝わったから。……クロはどうして『根』に来たの?」

 

「……私は生まれた時から親がいなく、物心ついた時には木ノ葉隠れの里の孤児院にいました。孤児院での生活は貧しくとも、色んな子供とマザーが見ててくれた事もあって、とても楽しい生活でした。だけど、孤児院の経営は苦しくて、年々食べ物が貧相になっていく事がわかりました。私は孤児院での生活が10年という事もあって、孤児院内で私よりも年上の人は殆ど居なくなり、気がつけばお姉さんになっていました。……そんな時にダンゾウ様から『根』へ入れば、孤児院に援助金を出してくれると相談を受けたんです。」

 

「…………成程。」

 

「10年も育ててくれた感謝と私の弟や妹達に笑って過ごしてほしくて、私は忍者になろうと決めたんです。」

 

そっか。この子は私みたいな流れ着いた者ではなく、ちゃんと誰かを助ける心が既にある。まるで兄さんを見ているようだ。

 

私にはクロがとても眩しく見えた。

 

「そうなんだ。だったら、もっと強くなれるように私も協力するよ。」

 

「はい!お願いします、シロ姉さん!」

 

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