☆一輪の白い花   作:モン太

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侵略

「ゼツ、出てきて。」

 

岩隠れから遠く離れた森までやってきた。

 

ゼツの気配が近くにある。私は声を出して呼ぶ。

 

すると木の幹からゼツが生えてくる。

 

「生きてたんだ。流石に尾獣と土影の連戦で死んじゃったと思ってたよ。」

 

「私も生きた心地はしなかったわね。……人柱力はどうしたの?」

 

「スデニアジトヘハコンダ。」

 

「凄い早足だね。」

 

「ま、そういう能力だしね。」

 

「バショハ、コノヘンデイイナ。イマカラマルイチニチハ、カカル。」

 

「……しんどいわね。」

 

「リーダーも待ってる事だし、さっさと始めよう。」

 

木陰に隠れるように座り、目を閉じて印を結ぶ。

 

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気がつくと、全く違う場所に立っていた。

 

目の前には巨大な像。その像の小指の指先に立っていた。身体もシルエットだけがボンヤリと見えるだけ。周りを見渡せば、他のメンバーも同様だった。

 

隣は鬼鮫さんだった。とりあえず会釈する。

 

「全員揃ったな。」

 

「遅いぞ、待たせやがって。」

 

「悪かったわね。人柱力が強かったのよ。二度と戦いたくないわ。」

 

「まさか最初の任務でいきなり人柱力を狩ってくるとはな。」

 

「よく一人で狩れたもんだな。」

 

「へっ!俺なら一人でも楽勝だぜ!」

 

「一応、ボク達が道案内したんだけど…。それに土影にも追いかけられて、死ぬかと思ったよ。」

 

「何!ジジイとやり合ったのか!?」

 

「……ええ、土影様もお元気だったわ。」

 

「話は後だ。……時間が惜しい。始めるぞ。」

 

幻龍九封尽

 

尾獣をこの外道魔像に封印する術だ。尾獣そのものが大きなチャクラ故、封印には時間がかかる。

 

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封印が終わる。人柱力だったハンは尾獣を抜かれた事で死んでしまった。

 

「皆、ご苦労。解散だ。」

 

リーダーの合図で次々と姿を消していくメンバー。

 

「おい!コン、いつかジジイとやり合った話、聞かせろよ!」

 

「……ええ。」

 

デイダラも消え、リーダーと小南と私だけになった。

 

「ねえ、リーダー。」

 

「何だ?」

 

「尾獣を抜かれた人柱力は皆死んでしまうものなの?」

 

「そうだ。」

 

「……殺さずに封印する方法はないの?」

 

「…………」

 

「……残念だが、それは無理だ。」

 

「…………わかったわ。」

 

私は術を解いた。

 

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「お疲れさん。」

 

「これで私のノルマは終わったのよね?」

 

「ソウダナ。」

 

「これからはどうしたらいいの?」

 

「特に変わらないと思うよ。適当に任務が有れば、それを熟す。あとは自由でいいさ。」

 

「そう。」

 

「ナラ、オレタチはココデカイサンダ。センニュウノニンムガアル。」

 

「了解。気をつけてね。」

 

ゼツが地中に潜っていった。

 

空を見上げる。

 

1日経ったようだけど、変わらぬ青空だ。

 

兵糧丸を口に入れる。

 

私に薬物の類は効力を発揮しないけど、空腹は紛れる。

 

別に初めてって訳じゃない。罪のない人間を殺す事は。戦ってる時も言い聞かせていたけど、今更善人面はしない。それでもストレスはかかる。人柱力のバックボーンを聞かされた事で余計にそう思う。

 

あの人が住んでる気配の無い岩壁地帯。

 

きっとハンさんは好きで彼処に住んでた訳じゃないんだろう。きっと、人柱力で嫌われて追いやられたんだろう。

 

実際、取り返しに来ていた土影も仲間を助ける為ではなく、兵器を盗まれたから取り返しに来てた感じだ。

 

仕切りに人柱力と連呼していたことがその証だろう。仲間と…同じ人間だと思っていたなら、そんな物みたいな呼び方じゃなくて、ちゃんと「ハン」と呼んでいたに違いない。

 

里から嫌われる事は何も他人事ではない。私もこの血継限界によって霧隠れで迫害を受けたのだから……。

 

出会い方が違えば、理解し合えたかもしれない。

 

そう思わずにはいられない。

 

平和な世界を目指すにも、過程での犠牲がどうしても付いてくるのは、何とも皮肉な物だ。

 

本当に現実は残酷だ。

 

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それからは特に大きな出来事は無かった。いつものように賞金首狩り、孤児の援助、薬草詰み、丸薬の生成。

 

それと時折入ってくる暁の任務。

 

大体が戦争の介入か情報収集だ。戦争介入は、雇われた私が武力を提供してお金を手にする。

 

情報収集は主に人柱力や尾獣の情報集めがメインだ。

 

1ヶ月程が経ち、私の元へ二人組がやってきた。

 

「うんうん!オイラとオメェのコラボ芸術!!何度やっても最高だな、うん!」

 

実はこの二人はしょっちゅう私の所にやってくる。

 

どうも気に入られたようだ。

 

微細の氷が煌めく爆炎に髪を揺らすデイダラ。

 

高い位置で纏めた金髪を揺らしながら、まだあどけなさが感じられる笑顔を向けてくる。

 

まあ、あどけないって言っても彼の方が1歳年上なんだけど。

 

「おい、デイダラ…」

 

それを眺めていた相方のサソリが不機嫌そうに声を上げる。

 

背の低い四つん這いの傀儡の中から低い声が響く。

 

「いつまで遊んでやがる。」

 

とってもイラついているのがわかる。

 

「いいじゃねーか、旦那。焦っても人柱力は見つかんないんだしな。」

 

「早くしろ。オレは待たされるのが嫌いなんだ。」

 

これだ……

 

サソリは会えば、早くしろ早くしろとうるさい。

 

「おい、コン。戦闘では速技なのに、それ以外だと鈍臭いな、お前。」

 

とうとう、私にも絡み出してきた。

 

「悪かったわね。……貴方だってそんな狭い所に詰まって身体に悪いわよ。」

 

「……余計なお世話だ、小娘。」

 

「小娘って……私デイダラと一歳しか変わらないのだけど。」

 

「それでも最年少に変わりない。」

 

「おい、コン。次は此奴を凍らせてくれ。」

 

デイダラが蝶々の起爆粘土を渡してくる。とりあえず、リクエスト通り氷でコーティングする。

 

「よし、喝!」

 

爆発と共に氷の結晶が舞い散る。

 

「くぅ〜、最高にクールだぜ、うん!」

 

「……ふん、ただ氷でコーティングしただけじゃねーか。細部の造形にもっと拘れ。芸術家名乗るんなら、そこからだ。」

 

サソリが講釈を垂れ始める。

 

「別に私は芸術家を名乗ってないけど。」

 

「何言ってんだ!こんなクールな術を持ってるんだ。芸術家気取ってないと損だぜ!」

 

そんなこんなで、二人と遊んでいたら、デイダラが思い出したように巻物を渡してきた。

 

「おっと、そうだ。お前に任務が来てたんだ。」

 

「何の任務なの?」

 

「……よくある戦争代行の任務だな。」

 

戦争代行……

 

「………具体的な内容は?」

 

「霜の国と雷の国が領土争いで戦争している。….まあ、雷の国が侵略しに来た訳だな。で、国力差が歴然でこのままじゃ霜の国が滅ぼされかけてる訳だ。そこで霜の国から依頼がきたって話だ。」

 

大国相手に小国が戦争って……

 

もっと政治的に上手くやれないものなのかな?それに霜の国も同盟国を募るとかさぁ。

 

まあ誰も喜んで雲隠れと戦争したいとは思わないか。

 

「つまり、防衛ね。」

 

というか防衛できれば上々。反撃は無理だろう。

 

「そういうことだな、うん!」

 

「ちゃんと伝えたからな。」

 

「わかったわよ。」

 

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