☆一輪の白い花   作:モン太

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始まり

翌朝、少しの肌寒さを感じて目が覚めた。昨日まで感じていた彼の温もりが隣には無かった。

 

もう行っちゃったんだね。

 

少し寂しさを感じながら、身支度を整える。

 

シャワーを浴びて、服を着る。髪留めを留めて仮面を被り宿から出た。

 

まだイタチの気配は残ってる。

 

それを追うように歩いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三日程、何をやるでも無く歩いた。

 

死んでしまった者。デイダラにトビ。

 

サスケ君はどうやら生き残ってたようだ。

 

そして、イタチ。多分、もう彼とは会う事も無いだろう。

 

きっとあれが最後だから、話してくれたんだと思う。

 

兄さん、再不斬さん、クロ、サソリ、デイダラ、イタチ………

 

皆の願い、想い、そして死が私を生かしてくれている。

 

ナルト君、サスケ君、サクラさん、カカシさん。

 

彼らは先に逝ってしまった者達の希望だ。

 

私は彼らの尸の上に立っている。ならばこそ、私は戦いに殉じよう。全てを無かった事にしない為に。

 

決意を固めた時、目の前には鬼鮫さんがいた。

 

「ここで何してるの?」

 

「ん?ああ、コンですか。…ここでサスケ君を待っているんですよ。」

 

「サスケ君を?」

 

「ええ、イタチさんの命令で彼以外をここから先に進ませないように足止めをとね。」

 

「そう。……じゃあ、私もここで待ってていいかな?」

 

「おや?…貴女ならてっきり、イタチさんの所へ行きたいと言うかと思いましたよ。」

 

「……そうかもね。でも、いいよ。信じてるから。」

 

でも、別れはもう済ませてるんだ。

 

これ以上会ったら、お互い決心が鈍ると思うから。

 

「………少し変わられたようだ。」

 

「……私が?」

 

「ええ、具体的には説明できませんがね。」

 

そうなのかな。自分でもよくわからないや。

 

そんな話をしていたら、4人小隊とぶつかった。

 

サスケ君も随分と背が伸びたね。

 

久しぶりに見るサスケ君。最後に見たのはもう三年前だ。

 

「アンタらは…!」

 

サスケ君の目が写輪眼になる。

 

こうしてみると本当に兄弟なんだね。

 

「ここからはサスケ君一人で行ってください。イタチさんの命令でしてね。他の方々はここで待って貰いましょうか。」

 

「…わかった。小隊で動いていたのは、元々一対一に邪魔が入らない様にする為だったからな……ちょうどいい。」

 

鬼鮫さんが止める。サスケ君はイタチにしか興味が無いようであっさりと鬼鮫さんの話を呑む。

 

「サスケ!それは駄目だ!こいつらを倒して全員で行くんだ!!」

 

ただ、くノ一の一人だけは異を唱えた。

 

「私は戦う気などありませんがね。無理矢理通ると言うなら容赦はしませんよ…」

 

「香燐…お前たちここで待て。これはオレの復讐だ。」

 

「チィ…」

 

そう言うとサスケ君は私達の後方へ走って行った。

 

きっとこれでサスケ君とイタチの因縁に決着が着く。イタチの死でもって……

 

胸が酷く痛む。だけど、これ以上は彼の覚悟に対する侮辱だ。なら見届けるとしよう。

 

「干柿鬼鮫…そして大刀・鮫肌。」

 

「…………」

 

「忘れたか?鬼灯満月の弟、鬼灯水月だよ。」

 

彼が水月君。再不斬さんと同格と言われてる忍か。

 

「おお…見違えましたよ!大きくなりましたね、水月。」

 

「ここでただサスケの帰りを待つのも何だから…暇つぶしに楽しく遊んで貰えないかな…鬼鮫先輩!」

 

そうして水月君が取り出した刀を見て硬直した。

 

断刀・首切り包丁

 

それは私の師匠の相棒とも言うべき刀。

 

何故、それを?

 

まさか、あの墓場から持ち出したのか?

 

「……水月君、それ…」

 

鬼鮫さんが手を出して私を止めた。

 

「……貴女が思ってる以上に今の貴女は危うい。ここで見ててください。それに向こうは私を指名しましたしね。」

 

そう言うと鬼鮫さんが前に出て、鮫肌を構える。

 

「お兄さんと違い、やんちゃですね。少し削ってあげましょう。」

 

「水月…サスケの言いつけを守らなくていいのか?」

 

そうして、鬼鮫さんと水月君が戦いだした。

 

最初は水月君の水化の術が珍しく感じていたけど、段々と目の前の戦いがどうでも良くなってくる。

 

どうしても意識は後方へ向く。

 

今もきっと二人の死闘は続いている。仲のいい兄弟だった筈なのに。

 

もし私が兄さんと殺し合うなんて事になったら、とても耐えれないなと思う。

 

再び、意識を前に向ける。

 

水月君は私と同じようで、剣捌きは悪くはないけど、腕力が足りて無い感じだね。

 

苛立ちかける気持ちを鎮めるべく、視線を他の二人に移す。

 

くノ一は此方にあまり警戒してはいないようだ。鬼鮫さんを難しい顔で睨みつけてる。

 

チャクラ感知ができる彼女なら、鬼鮫さんのチャクラ量が尾獣並みだって事がわかる筈。

 

だから、フリーになってる私よりも鬼鮫さんが脅威に感じるようだ。

 

まあ、実際に鬼鮫さんが本気で戦えばここにいる全員が巻き込まれて殺されるくらいには術の規模大きいしね。

 

そうして暫く時間が経過した頃。天候も悪くなり、やがてイタチの気配が消えた。

 

サスケ君の気配は健在。

 

………そう。終わったのね、イタチ。

 

「ヒマツブシ ハ モウ オワリ ニ シロ。」

 

ゼツが現れた。

 

「お前は?」

 

「ゼツ。」

 

「チィ、暇つぶしじゃねーよ。」

 

「それでは終わったのですね。」

 

「ああ、決着が着いたよ。」

 

「サスケは?」

 

このくノ一はサスケ君が心配なようね。

 

「無事だ。サスケが勝った。」

 

「で、サスケはどこだ?」

 

「スデニ アンゼンナ バショニヒナンサセタ。」

 

「安全な場所?」

 

「暁ノヒガシノアジトダ。オマエタチモ ソコニムカヘ。モウスグ、コノアタリニ 木ノ葉ノレンチュウ ガ ヤッテクル。」

 

「行こう。サスケの所に。」

 

「オマエハ ドウスル 鬼鮫?」

 

「イタチさんが亡くなったのなら、少し羽根を伸ばさせて貰いますよ。」

 

「コンハドウスル?」

 

「私も行きたい所があるの。」

 

「そう。勝手にすれば。」

 

ゼツは地中に潜った。

 

私も行こう。

 

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波の国。彼らの墓がある場所だ。

 

兄さん、再不斬さん、クロ、サソリの墓がここにある。

 

やっぱり、首切り包丁は無いね。

 

再不斬さんのお墓には、首切り包丁を抜いた後の様な穴が空いていた。

 

ここにデイダラとイタチの墓が増えた。

 

彼らの死が私の今を形作っている。

 

貴方達の意志は消えない。それはこの世界と私の中で生き続けてる。

 

もう行くよ。まだ終わりじゃないからね。

 

彼らに背を向けて私は歩きだした。

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