「………その声、マダラとやり合ってた奴か。…………オレに何しに来た?」
ベッドから起き上がって、警戒してくるサスケ君。
当然だね。マダラの敵なら、サスケ君にとっても敵の可能性が高いのだから。
「そう警戒しないでください。別に貴方に危害を加えるつもりはありません。………まずは自己紹介から……といっても以前に名乗ってはいますね。」
見えていないであろうけど、一応仮面を外す。
「私は雪藍。暁ではコンと呼ばれてます。3年ぶり、波の国以来ですね。」
「……あの時の………それにコンは確か大蛇丸が言ってた氷遁遣いか。」
それは一体どんな内容の話を聞かされてたんだろうか。まあ、今はそこは本題じゃない。
「さて、何しに来たか気になりますよね。………少しお話ししようと思いまして。」
「……マダラみたいな事を言う。…………胡散臭いな。……それともお前もナルトみたいに説教でもしにきたか?…何度でも言ってやる。オレは変わらねェ!!オレはイタチとうちはを否定する全てを破壊し尽くすッ!!」
そう。今のサスケ君の性質状態では、頭ごなしに説教しても通じない。ナルト君みたいに軽々しく、他人の気持ちが理解できるなんて、傲慢な事も言えない。
それでもこのままサスケ君を放置しておく事は、イタチの想いを継いだ私にはできない。
きっとイタチはサスケ君に甘いから、どんな道に進もうが、サスケ君がやりたいようにやるのが、一番だと考えてる。だけど、このまま木ノ葉の敵のうちはサスケと英雄うちはサスケなら、後者の方が本心では嬉しい筈。
私は所詮、うちは関係の部外者でしかない。そしてサスケ君は今、拒絶モード。だから、話す内容は予め決めていた。下手に暴れられても困るし、長話もできない。
「………今日はイタチの遺言を伝えに来ました。」
ピクッとサスケ君が反応した。
「……何故、お前がイタチのことを知っている?………イタチの生き様を知って、兄が他人にそれを漏らす事は無いという事をわかってる。他人のお前が知ってる筈が無い!……お前の嘘に付き合うつもりは無い!!」
相当混乱してるね。それを私に向かって言ってしまってる時点で、半ば可能性を考慮してる証拠。…まあ、そんな揚げ足取りしてる暇はない。
「……ええ。ですから、これは私が一方的に貴方に遺言を伝えるだけ。信じる信じないは貴方次第です。」
あえて、声色を低くして、興奮しているサスケ君を宥める。
「………いいだろう。話せ。」
「わかりました。イタチからサスケ君への遺言はシンプルです。『サスケ君には生きてほしい。そしていつか、新しいうちはの形を作り上げてほしい。人々から利用され、恐れられ、切り捨てられるのではない。大切な物を守れる強い存在。必要とされる存在。すべての垣根を越え、平和へと人々を導くそんな存在になってほしい。闇を生きたイタチとは違う、闇を照らす存在となってほしい。』これが、イタチの遺言です。」
「…………」
「今は時間がありませんが、機会があればイタチが貴方の事をどう思っていたのか。暁にいた頃はどう思っていたのか。あの事件の夜のイタチの心情。貴方への期待等。それらを話せる日が来るのを楽しみにしてます。」
「…………」
「サスケ君、覚えていますか?」
「……何だ?」
「貴方にとって兄弟とは何ですか?」
「…………」
「答えが出せたら、聞かせてください。では、マダラもこちらに気が付いたようなので、帰らせていただきます。」
私は時間凍結ですぐさまアジトから去った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アジトから離れて走る。
加速度的に気配が増えていく。
これはカブトの穢土転生か。マダラはカブトと手を組んだらしい。
それと大量の白ゼツかな。同一の気配から見てそうだろう。
穢土転生なら、強力な忍が口寄せされてるだろう。忍連合が苦戦してしまうのは必至。
数を減らす手伝いは必要だろうね。ただ、その前に挨拶しておかないといけない人に会おう。
氷翼を使って空を飛んで急ぐ。
彼方此方で戦闘の気配がわかる。
戦争が始まった。
今までと変わらない。規模は大きなっても、暁の任務で受けてた戦争と同じだ。死傷者を抑える戦い方が大切。
相手が穢土転生と白ゼツだから、普通の人間がいない点はいいのかもしれない。まあ、不謹慎だからやめておこう。
目標についた。
着地する。
戦場の真っ只中。穢土転生達と連合軍が睨み合っている。
氷翼を消す。砕けた氷が太陽の光を浴びて光の粒子となって、空気に溶けていく。
「暁!!」
「こいつは!!」
「敵の増援か!」
私を取り囲むように忍が集まり、武器が構えられる。
だけど、私の視線はその先に向く。
4体の穢土転生が連合軍と鍔迫り合いをしていた。
穢土転生体に見覚えのある人が一人いる。
あれはパクラさん。
「あの子供は!」
ただ今回は目当てではない。
カカシさんがこちら見てくる。
「お前は暁の…」
「…カカシさん。少しそこの二人を私に譲ってくれませんか?」
するとカカシさんと鍔迫り合いをしている穢土転生体が口を開く。
「………藍か。」
「…何!?」
「え!?」
カカシさんとサクラさんが驚きの声をあげる。
「いつまでその胡散臭い面を付けてる。さっさと外せ。」
「…………」
催促されたので、仮面を外す。
この二人を前に顔を隠す訳にはいかない。
「ええ。お久しぶりです、再不斬さん…………兄さん。」