穢土転生が解除された。これで戦争も有利になるだろう。
「………今なら、アンタの言ったイタチの遺言も少しは理解出来るかもしれない。……少しの間の短いやり取りだったが、イタチとアンタがどんな関係だったのかは察しが付く。……アンタが遺言やその他をイタチから受け取ってる事も察しが付く。………イタチは『新しいうちはの形を作り上げて欲しい』そう言ってたな。……ならば、知らないといけない事がある。」
「それは?」
「……オレはーー」
ドカッ!ガラガラ!!
岩壁が崩れ落ちる。
この気配は……あの二人か。
さっきまで目の前の事で一杯一杯だったから、気がつかなかった。
「見ーつけた!」
外から水月君と重吾君が入ってくる。
「あれ?なんで暁がこんな所にいるんだ?……戦争の最前線にいなくていいの?」
「こいつは暁じゃないらしい。」
「どういう事だ?」
「暁はもう抜けました。」
「あれ?その声……もしかして、ボクの事を蹴り飛ばした奴か?」
「……どうやらそうみたいだな。」
「ふーん、お面の下はそんな顔してたんだ。アンタの手足を切り落としたら、その綺麗な顔がどんな風に歪むのか見てみたいね。」
「やめておけ、碌なことにはならない。」
重吾君が水月君を諌める、
「水月君。……首切り包丁は欲しいですか?」
「………どうしてそんな事を聞いてくるんだ?」
「こいつは桃地再不斬の部下だ。」
「……再不斬先輩の部下に雪一族の双子がいた事はちょっと有名だったけど、まさか……」
「その片割れです。」
「…じゃあ、アンタが雪藍か?」
「はい、そうです。」
「ふーん、じゃあ尚の事、アンタと戦ってみたいね。」
「……勝手にやってろ。だが、今は後回しだ。」
「そうですね。水月君、機会があればお相手いたしますよ。貴方が再不斬さんの後に相応しいと判断すれば、首切り包丁を差し上げましょう。」
「……絶対だよ。逃げちゃダメだからね。」
嬉しそうに笑う水月君。
ちょっとデイダラに似てるかも。
「これがカブト…?なんかキモイね。この腹から出てるのなんとまるででっかい…」
「そいつはもう放っておけ。」
重吾君がアンコさんに近付く。
「生きてるな…」
「今更お前らがオレに何の用だ?わざわざオレを探してまで。」
「うん!そうそうそれがその…凄いのアジトで見つけちゃってさ…えっと…」
「さっきイタチとお前らが穢土転生を止めたと言ったな…だが、マダラとかいう穢土転生は止まってないようだぞ。」
「!」
すぐに気配を探る。
確かに大きな神性の気配がする穢土転生が変わらず暴れてる。
せっかく、雪を止めたのにもう一度降らせないといけないな。
………いや、マダラが穢土転生なら、トビはマダラじゃないのか?
どおりであまり強くなかった訳だ。
無論、あの時空間能力は凶悪な性能ではある。だけど、伝説として語り継がれる程かとは疑問に思っていた。
トビは一体誰なんだろう。
うちは一族だとは思うんだけど………
「…そうか……止まってないのか。」
「ボクとサスケが話してんの。水をささないでくれる!と…そんな事よりコレ!見てみてみ!」
水月君が巻物をサスケ君に渡す。
「なっ!すごいでしょ!?これがあればボク達 鷹がこの忍の世界を…」
「これだ…」
「?」
「全てを知る人間…」
サスケ君が立ち上がった。
「…とりあえず会わなければならない奴ができた。…オレは行く。」
「え?…誰?」
「大蛇丸だ。」
「はあ?」
「ん?」
「何言ってんの。大蛇丸は君がぶっ殺したはずじゃ…ボクは君がこれを…」
「あのしぶとい男の事だ。あれくらいで消え去るものか。あの胸糞悪い大蛇丸に会ってでも、やってもらわなければならない事がある。一族…里…全てを知る人間に会いに行く!」
大蛇丸か。
確かにしぶとい上に、おそらく世界中の呪印保持者に潜んでる筈。
だけど、とても危険だ。
私もサスケ君も大蛇丸に狙われるのは間違いないだろう。
サスケ君が何を望んでるのか知らないけど。
「大蛇丸に会うって、どういう事?それに全てを知る人間ってなんなの?」
「…お前らには関係のない事だ。」
「何だよ…訳わかんないね。んな事より…大蛇丸を復活させるなんてダメだ。その巻物の力を使うのに大蛇丸にお願いするつもりなんだろうけど…時間をかければ君にだってできるようになるって。そう思ったからこそ、君を探してわざわざこうして…」
「大蛇丸でなければできない事もある。」
イタチの教訓を早速活かそうとするのはいいけど、よりにもよって大蛇丸か……
話が少し長引きそうだから、先に雪を降らせておくか。
雪雲を剣気で作るように念じる。穢土転生はマダラだけか。
そこだけのカバーなら雪雲作成に時間もかからない。
雪誅月仙花
これでマダラに少しでも嫌がらせになればいい。まあ、スサノオがあるからあまり効果ないだろうけど。
サスケ君達は大蛇丸を復活させる準備ができたようだ。
万が一に備えて、サスケ君は守れるようにしておかないと……
「解邪法印!!」
アンコさんの呪印から蛇が出てくる。更にその蛇の口から大蛇丸が出てきた。
「……まさか…君達の方から私を復活させてくれるとはね。」
「大蛇丸、アンタにやってもらいたい事がある。」
「そんな事をいちいち説明しなくてもいいわ…アンコの中でずっと見ていたから…」
あの呪印に大蛇丸の意識もあるのか……
ますます気持ち悪さが増したね。あの時消しておいて本当によかった。
「なら、戦争のことも知ってるのか?」
「もちろん…ただそれについて一つだけ言っておくわ…水月。」
「?」
「私…この戦争には興味ないから。」
「えぇ!?」
「もう他人が初めてしまった戦争だしね…未だに興味があるとすれば…サスケ君…貴方のその若い体ぐらいよ…!」
戦争に無関心なのは意外だけど、やっぱり写輪眼への執着はあるようね。
「…と言っても、今の私にはそれを奪える程の力はないしね。………それに貴女も黙ってはないでしょう?…少し殺気を抑えてくれるとありがたいのだけど。」
「抑える理由がないわね。」
サスケ君が巻物を差し出す。
「奴らと会ってどうするつもり?」
「オレはあまりに何も知らない。奴らに全てを聞く。」
「…全て…?そんな事知らなくてもいいじゃない君はまだ子供なんだから。」
「そうじゃない。今はもう子供じゃない。…子供ではいられない。…そもそもの始まりはなんだったのか…オレはどうあるべきであり、どう行動すべきなのか…」
「復讐を迷ってるの?」
「違う。復讐自体を迷ってる訳ではない。イタチと再会し、前にも増して木ノ葉への憎しみは強くなった。……ただ…汚名を着せられ死して尚、木ノ葉の忍として里を想い、里を守ろうとしたイタチの気持ちとは……イタチとは?一族とは?里とは?…そして、全てを知り自分で答えを出し、己の意志と眼で成すべき事を見据えたい。」
成程ね。サスケ君なりに考えて行動している訳ね。
「………!?」
気配感知に凄まじい神性を感じる。
何コレ?
マダラ以上じゃない……まさか、十尾?
まだナルト君達が踏ん張ってる。連合軍も到着しつつあるね。まだ、少しは耐えられるか。
大蛇丸がカブトからチャクラを取る。
不審な動きはない。むしろ落ち着いてる。
「今のアナタ…悪くないわね。いいわ、協力してあげる。付いてきなさい。」
「…場所はどこだ?」
「フフ……アナタもよく知ってる場所よ。……アナタもついてくる?…藍?」
「私の名前を気安く呼ばないでくれるかしら。」
「フフ……相変わらず嫌われてるわね。……で、返答は?」
「いいわ。私も行く。サスケ君や木ノ葉に変な真似をしたら殺すから。」
「あら、ならアナタにならいいのかしら?」
「試してみればいいんじゃない?もう一度死にたいのならね。」
「おい、あんまり大蛇丸を煽るなよ!気が変わったらどうするんだよ!!」
「なら、やめておくわ。」
大蛇丸があっさりと引き下がる。
「あれ?……まあ、いいか。」
水月君も意外なようだ。
「まだ、殺されたくないからね。……アナタ、上手く実力を隠してるようだけど、行動の節々に常に余力が見えるもの。その気になれば、トビもマダラも簡単に倒せるんでしょう?」
「流石に買い被りすぎね。…そんな実力があれば、とっくに戦争は終わってるわ。……まあでも、貴方よりは強いからね。大蛇丸。」
「ククク……まあいいでしょう。………さあ行きましょう。」