Angel Beats! ~永遠の日々に終止符を~   作:ぼっち

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お久しぶりです
お時間がなくてですね、まったく更新出来ませんでした・・・。
本当にごめんなさい><

今回は、岩沢さんが消えてしまったあとのお話です。
今後、ガルデモがどうなっていくのか・・・
そして尾形の正体とは・・・
今後の伏線がちょいちょいある回です!どうぞお見逃しなく~

そしてですね!
なんとここで第一章完結でございます!
次回から第二章に突入しますので・・・よろしくお願いします!


#9 Last Night

ここはどこだ―――。

 

 

俺は椅子に座っていた。

目の前には一台のパソコンが置かれている。

夢を見ているのだろうか。

 

「尾形さん」

 

ふと名を呼ばれる。

そちらへと振り向く。

目の前には死んだ世界戦線の制服を着た好青年がいる。

非常に穏やかそうな人物であった。

 

「やっと貴方とコンタクトが取れました。どうです?何か思い出しましたか?」

「誰だアンタ・・・?」

「嫌だなぁ。本当に忘れてしまうなんて。」

青年は微笑む。

俺はこの人と親しかったのだろうか・・・。

「もうすぐですよ」

「何が?」

青年が言う一言一言に主語や目的語が抜けている。

いちいち聞き返すのがメンドクサイ。

 

「貴方の理想とする楽園の創立です。」

 

楽園・・・?

どういうことだ?

俺は・・・何を・・・

 

「この永遠の日々に終止符を打てるのです、ようやく―――」

 

終止符・・・だと?

俺はこの日々に終わりなど来てほしくない・・・!

 

「それではまたお会いしましょう。近いうちに。」

 

 

*****************************************

 

あれからどのくらいの時間が経っただろうか。

体育館全ての楽器は没収され、あの場にいた生徒は全員罰則を食らうことになった。

もちろん、ガルデモメンバーも。

ゆり達実行犯はどうにかバレなかったみたいだが。

 

体育館は今や誰もいなくなり、シーンとしていた。

 

俺、ガルデモメンバーは明日の朝一番に集結することとなった。

明日全てを使って反省室に閉じ込められることになる。

これからどうなるのだろうか。

俺の大好きなガルデモは・・・終わりを告げてしまうのだろうか。

 

 

そして。

 

岩沢は何処へ行ってしまったのだろうか。

 

先ほど俺の前に現れた奴もいきなり姿を消した。

それと同じ仕組みなのか?

でもなんで岩沢がいきなり姿を消してしまったのだろうか。

 

 

吐き気が襲ってくる。

嗚呼・・・。

 

またこの感覚か・・・。

 

神を失った時と同じ。

喪失感。

もう二度と味わいたくなくないものだった。

 

ずっと幸せが続くと思っていたのに。

幸せは気が緩んだ瞬間、崩れ去っていく。

 

*****************************************

 

ガルデモの練習場所であった空き教室へと向かう。

入江、関根、ひさ子にどうしても会いたくなった。

この喪失感を誰かと共有したい。

共有することで、少しでも傷が癒えたらどれだけいいだろう。

神の時は一人で抱え込むしかなかった。

そんなのはもう耐えられない。

今は・・・仲間がいる。

それだけが頼みの綱だった。

 

空き教室には入江と関根がいた。

入江は涙を流し、蹲っていた。

関根はその肩に手を添え、彼女もまた泣いていた。

 

当たり前だ。

 

それほど岩沢の存在は、彼女らにとって大きいものなのだから。

 

「おがっち・・・」

関根の嗚咽を混じえながらの声。

その一言で全てを理解した気がする。

 

ひさ子だ。

 

あいつが一番岩沢の存在を身近に感じていたはずだ。

今までの全ての記憶が蘇る。

あいつと話す時は、いつも岩沢の名がでていたほどだ。

また、岩沢もひさ子を信頼している関係性だった。

俺はひさ子のもとへ駆けつけなければ・・・。

 

「ひさ子は何処にいる・・・?!」

「大階段だよ・・・」

入江がか細い声で告げる。

何を返す訳でもなく、入江の頭を撫で、俺は空き教室を後にした。

 

階段を駆け下り、学習棟から飛び出す。

完全に夜は更け、満点の星空が俺らを見下ろしていた。

急いで大階段へと向かう。

ひさ子と岩沢の始まりの地へ。

そして、俺とガルデモの始まりの地へ。

 

 

 

 

大階段の一番上、ど真ん中にひさ子は座っていた。

ひさ子のポニーテールが上を向いている。

泣いているのだろうか・・・?

何をするわけでもなく、俺はひさ子の隣へと座る。

「アンタか」

「あぁ、邪魔するな」

「悪いけど、今は一人にしてくれないか?」

突き放される。

いや、今は本当に一人になりたい気分なのだろう。

でも一人になったところで何も解決しない。

俺がそうだった。

ただ失ってしまった喪失感を、馬鹿みたいに一人でしょいこんで。

それの何が正しいってんだ。

それがどれだけ辛い道か、痛いほど知っている。

 

だから俺が傍にいてやる。

立ち直れるまで。

 

 

「無理だ。ここにいさせてくれ。」

「どうして?あたしがそんな弱い人間に見えるか?」

「・・・見えるよ」

「乗り越えてみせるさ」

ふと顔を上げるひさ子。

その頬には一筋の涙が伝っていた。

 

「その・・・岩沢は消えてしまったのか・・・?」

 

「それ以外ないだろ。もともと誰がいつ消えてもおかしくない世界だ。覚悟は出来てたよ。」

「いつ誰が消えてもおかしくない世界・・・」

この世界は平凡そうに見えて、実は残酷なんだ。

「前にも言ったと思うけど、ここは岩沢と初めてライブした場所なんだ。」

「あぁ」

「あたしにとってここは特別な場所だ。」

「あぁ」

「岩沢はさ・・・とにかくスゲーんだ。"伝えよう"って心がさ。あいつが絵を描いていたとしても、やっぱスゲーもんを描いていたと思う」

「・・・・・・」

無言で聞き続ける。

返す言葉が見当たらなかった。

ひさ子が溢れ出る涙を拭うこともせず、話し続けているのだから。

「そうしたら陽動は絵画展になっていたかもな。そうしたらあたしはBGM代わりにギターでも弾いてやってさ・・・」

「あたしがギターを弾いていられて、岩沢が傍にいてくれたら・・・」

 

 

「そんくらいさ・・・なんでも良かったんだ」

 

 

「そんくらいさ・・・岩沢のことが大好きだったんだ・・・」

 

 

「何でだよ・・・何で・・・岩沢・・・」

 

 

そっとひさ子を抱き締める。

熱い涙が制服を通して感じることができる。

そんなものは気にしない。

とにかく強く強く、抱き締めた。

どれだけの時間が経っただろうか。

ひさ子をそっと離す。

もう彼女は泣いてなどいなかった。

 

「どうしてだろうな。」

ふと言葉を漏らす。

「誰がこんな世界なんて創ったんだ。こんな残酷な世界・・・」

「神じゃないのかい?」

ひさ子は苦笑しながら告げる。

神。

存在するか否か。

それは誰にも分らない。

「どうして死後の世界でも尚、俺達は引き裂かれなきゃいけないんだ・・・。どうして―――」

「楽しく過ごせていればそれでいいのにな。」

「でも・・・それじゃ生前の悔いは一生晴れないだろうけどな」

「矛盾してるね」

会話が途切れる。

「尾形。」

ひさ子は俯きながら話しかけてくる。

その声はやけに凛をしていた。

 

 

「尾形。アンタ、あたしを"正常"だと思うなよ―――?」

 

 

ひさ子の瞳の奥に宿る闇。

尾形がかつ垣間見た闇。

それに直面している。

正常・・・それはどういう意味だろう。

 

「言ったろ?あたしは生前、精神を病んでいたんだ。それも重度に。一人で病室から自由に出れない程に―――」

それは初耳だ。

そこまで酷いものだなんて思わなかった。

正常じゃないというのはそういうことなのだろうか・・・?

 

「岩沢がいなければ、あたしはこの世界でもおかしくなっていたと思う―――」

 

「それを繋ぎ止めてくれたのは、岩沢だ―――」

 

 

その岩沢が消えてしまった今・・・ひさ子はどうなってしまうのだろう。

俺には予想もつかない。

「あたしは明日から平然と毅然と暮らしていくよ。」

強気な表情で、彼女は告げる。

俺は何を返していいのか、まったく分らなかった。

「誰もあたしがおかしくなっただなんて、気付かないだろうな。」

「そんな・・・」

「でも精神はイカれちまってる。何をしでかすか・・・自分でも分らない。」

「俺を頼れ、いつでも力になる!!」

「そう簡単にはいかないさ。岩沢と尾形じゃ過ごしてきた時間が違う」

「そんな―――」

 

「しばらくはバンドの練習も辞める事にするよ。」

 

「そんな・・・ひさ子、それは逃げじゃないのか!?」

「逃げ・・・だろうな。なんとでも言ってくれ。あたしはもう限界だ。それに・・・やっと解放されたしな」

「解放された?」

 

「岩沢と初めて会ってから、ずっと―――。岩沢の背後には・・・斬崎の亡霊が立ってんだよ・・・。"ここで歌うのは俺だ"って言わんばかりにな―――。」

 

斬崎。

その名は知っている。

生前、ひさ子を重度の精神疾患までに陥れた張本人だ。

そいつはこの世界にはいないはずだ。

でも、ひさ子には見えるという。

 

しかも、岩沢の後ろに・・・。

ずっと苛まているといっていたのは・・・この事だったんだ。

しかし岩沢が消えた事により、それから解放されたと・・・?

本当の意味で、ひさ子が解放されたと言えるのか・・・?

分からない。

ひさ子がそう言うのだから、そうなのだろう。

でも―――。

 

 

「でもさ、ひさ子。俺らしか・・・岩沢の事を覚えてあげられる奴は、いないんだ―――。」

 

 

その言葉にやけに反応する。

その通りだ。

岩沢がこの世界に来てもう何十年という月日が経っているだろう。

現実世界はもう何年経っているかなど、到底分からない。

だから、この死後の世界において、岩沢の事を思ってやれるのは・・・俺らしかいない。

 

「だからずっと忘れない。何があっても。ずっと。永遠に。」

「・・・だな」

 

ひさ子はそれだけ告げると、立ち上がり、どこかへと向かってしまった。

かつて岩沢と出会い、繋ぎ止められた場所を離れ、彼女は何処へ行くというのだろう―――。

どこへ・・・。

 

*****************************************

 

 

 

「岩沢雅美、消去」

 

 

 

 

「尾形さん。お疲れ様でした。」

 

 

 

 

 

俺が岩沢の事を覚えているのは。

 

 

 

今日で最後になる、という事など。

 

 

 

 

 

誰も知る由もなかった―――。

 




次回予告

「どうしてだろうな。」
「ひさこ先輩・・・どこに行ったんだろう」
「天使・・・立華の事だったのかよ―――!!」
「そんなに暗い顔して・・・何かあったのか?」
「関根!!!!」
「ギルド降下作戦に俺も行きたい」
「俺・・・なんか悪い事でも言った?」
「アンタ・・・本気で言ってんのか・・・?」


「・・・?"イワサワ"って誰だ?」

#10 《Guild》
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