Angel Beats! ~永遠の日々に終止符を~ 作:ぼっち
今回のお話は、なんとザ・シリアスということでですねっ、大変お楽しみに頂ける回なんじゃないかな~と思います。
Angel Beats!を視聴し、ゲームをプレイし、こういう物語だったのかな~と勝手に予測した私の物語ですので、温かい目で見て頂けると有りがたいです!
そして評価等々ありがとうございます>w<
感想など書いて下さるとやる気が更にUPします(←
皆さまの応援が私の力ですw
どうぞよろしくお願いいたします~!
「逃げ・・・てくだ・・・さい」
そう小さく呟いたのは遊佐だった。
あれから入江と俺は動けず、ただの傍観者として立っていた。
目の前にあることを受け入れきれない。
たった数秒。
たった数秒の間で天使と遊佐は激突し、そして遊佐の腹部を天使の手の甲から飛び出た光子状の剣で突いた。
そこまで、見えた。
遊佐は成す術なく、その場に散った。
目には目を、歯には歯を。
つまり、こういうことだった。
「大丈夫?」
天使・・・いや立華は遊佐に話し掛けた。
遊佐は口を閉ざし、何も答えない。
「貴方は"アレ"を持ってるから手加減を忘れてしまったわ。ごめんなさい」
立華が謝っている―――。
どういう事だ。
しかもアレって・・・。
「貴方もそっち側に行ってしまったのね。」
天使はこちらを振り返ると、冷徹な瞳でこちらを見た。
「SSSの事か?」
「そうよ。」
「俺も神って奴に抗いたくなったんでな―――!それと・・・」
拳を握り締め、睨み付ける。
「天使ってお前の事だったんだな、立華」
「・・・?」
「俺、前にお前に聞いたよな?神って奴を知らないかって・・・」
「えぇ」
「本当に知らないのか?」
「何が言いたいの?」
「よくも、のうのうと生徒会長の座にいられるなッ!あの日お前は神に何をしたッ!?」
吠える。
噛み付く。
「過去にお前が消してしまった・・・違うかッ!?」
震える声を抑え、問う。
ずっと知りたかった事だ。
俺が・・・何十年もかけて知りたかった事・・・!
天使はやがて口を開く。
「残念だけど、私は何も言えないわ。私も何十年も此処で過ごしている。何百人もの"消滅"を目にしてきた。覚えがない、が答えよ」
「じゃあ・・・わざわざ消えていく奴の事なんか覚えていない・・・そういうことか!?」
「顔さえ見れば、思い出せるわ」
「顔だと―――」
そういえば写真は持っていない。
そもそもカメラを持っていない。
でも神の顔は覚えている。
どうにか立華に顔を見せたい・・・。
「そろそろ行くわ。」
天使はゆっくりギルドの入口へと向かっていく。
いつの間にか光子状の剣は消えていた。
あんな武器・・・どうやって作ったんだ・・・。
「貴方達は早く寮に帰って。今泉先生が黙ってないわよ。それと、地下世界かしら?私が今から調査するわ。」
ギルドの所在はバレたのか・・・。
だから立華はここに・・・。
だが止める術がない。
また今泉とご対面するのは御免だが―――。
ゆっくり天使の姿は消えていく。
我に返るように、石化している入江を起こす。
「起きろ!入江!」
「えっ、むっ!?はいっ?!おがっちかぁ・・・私凄い夢を見てた・・・かも」
「夢じゃない。天使を追うぞ!」
「えっ・・・!やめとこうよ!遊佐さんがあんな目に遭ってるし。何されるか分からないよぅ」
「分かってる―――!でも・・・」
言いたいことは理解できる。
遊佐はうつ伏せのまま動かない。
自ら作り出す血の海に突っ伏している。
助けてあげたいが、今はそれどこじゃない。
ゆりも言っていたが、この世界では死なない。
自分で勝手に蘇るだろう。
入江の顔を見つめる。
もう半泣き状態。
顔全体で帰りたいという意思表示をしている。
言葉に詰まる。
でも・・・。
でも、俺の中で・・・言葉に出来ない何かが、直感で叫んでいる。
"こっちに来い"
そう、誰かが呼んでる気がするのだ。
言葉が聞こえてきたわけじゃない。
でも、感じる。
説明できない何かを感じる。
見えない磁石で引っ張られているかのようだ。
「・・・行こう。入江・・・俺を信じてくれ」
入江はしばし黙る。
どれほどの時が流れただろう。
そっと彼女は口を開く。
「・・・う、うん。分かった―――」
*****************************************
梯子を伝って降りていく。
俺が下で、入江が後を追うように続く。
「地下世界って言ってたな。どんなところなんだろうか・・・。」
ふと上を見上げてみる。
何を考えた訳でもない。
そこで俺の心臓が凍り付いた。
(ぱ、パンツがガッツリ見えている―――ッ)
思わず吹き出しそうになるのを堪えながら、冷静さを保つ。
女性として意識した事はあまりなかったが、一気に動揺してしまう。
入江も女の子なんだ。
・・・あんなパンツ履くんだ。入江ちゃん。
もう考えるのはやめよう。
今から天使を追うんだ―――!
思考を強引に戻す。
何やら梯子の終わりが見えて来た。
「・・・ここがギルドか。何か坑道みたいな感じだな」
「もっと此処より下にギルドの本拠基地があるんだよ。ゆりっぺさん達もそこに向かってるの」
「よし、行こう!」
「私道知らないよ?」
「・・・だよな。適当に歩いてみるか」
しばらく二人でぶらつく事にした。
改めて言うが、こうして二人でずっと一緒にいることはあまりなかった。
こうしてると入江の色々な面が見えてくる。
とても愛おしく感じる自分がいた。
優しい一面、怖い一面、力強い一面。
この気持ちはなんだろう。
もっと一緒に居たい。
心の底からそう強く感じ始めていた―――。
「・・・ん?」
「どうしたの?」
「此処・・・・・来た事がある・・・?」
「えっ!?そうなの?」
「いやっ、そんな筈がない!あるわけがない・・・!うん・・・」
言い聞かせるようにつぶやく。
本当にあり得ない話だ。
来た覚えなど、ない。
それでも次は何処に通じているか、なんとなく分かってる自分がいた。
どうして!?
何が起きてる?
何の記憶だ!!
「やっぱりだ。何処か見覚えがある―――!」
「えっ・・・?どうして?勘違いじゃないの?」
「・・・いやそれはない。分かるんだ・・・なんとなくだけど・・・」
「来た事あるんじゃない?忘れてるだけじゃないの~?」
「誰の記憶だ・・・何だこれは・・・!」
忘れている訳がない。
もともと記憶力には自信がある。
しかも何十年とこの世界で過ごしてきたんだ!
毎日規則正しい生活を送ってきた!
こんなところに来るわけがない。
そうだ・・・落ち着け!
どれくらいの時間が経っただろう。
俺ら二人は地下の奥底まで辿り着いていた。
そして目の前にあるのは"第二コンピューター室"と書かれた扉。
おかしすぎる。
俺は・・・この場所を知っているかのように歩いていた。
そして何故こんな地下奥底にコンピューター室なんてあるのか。
しかも"第二"って・・・。
踏み込んではいけない気がした。
でも―――。
「おがっち・・・。もう止めた方が良いと思う・・・。」
撤退を促す入江。
それが正しい判断だ。
そんな事は分かっている。
「私達が知っちゃいけない事だってあると思うな・・・。おがっち戻ろうよ・・・」
入江は何時になく真剣だ。
彼女も感じるのだろう。
この先に待ち構える"ナニカ"を。
だがこれで引き返してどうする?
ゆり達に報告するのか?
また・・・忘れてしまうかもしれないのでは・・・?
また・・・此処に辿り着ける証拠はあるのか・・・?
そんなものはない。
俺がこの目で確かめて、それを皆に報告するしかない。
「入江、君はここで待っててくれ―――。俺が行ってくる」
ドアノブにそっと手を掛ける。
そしてその手に手を重ねる入江。
私も行く、そういわんばかりに俺を見つめる。
そして俺らは扉を開いた―――。
*****************************************
「よく辿り着きましたね」
其処に居たのは一人の青年だった。
服は俺と同じ者を着ている。
つまりSSSの制服。
青年は不敵に微笑みながら椅子に座っていた。
通路の一番奥。
そして通路の脇には大量のコンピューターの数々。
100台近くはあるのだろう。
どうやってこんなに盗み出したのか・・・。
こいつは・・・誰だ・・・。
「誰だ・・・ッ?」
静かに噛み付く。
牙を剥く。
入江が俺の手を強く握る。
まだ俺は拳銃をもらっていない為、いざという時は素手で戦う事になる。
「そんなに恐れる必要はありませんよ、私は貴方の味方ですからね。」
青年は微笑む。
全く面白くない。
・・・味方だと!?
こいつは何を言っているのか・・・。
そしてこんな所で何をしているのか・・・。
「お前は此処で何をしている・・・!?」
「やだなぁ。本当に忘れてしまったのですね。久しい再会だと言うのに」
「再会・・・?会った事があるのか?お前と・・・俺は・・・」
「はい。随分と親しい仲でした。」
「ふざけるな!そんな覚えはない・・・!」
「・・・そうですか。まぁともかく、」
少し肩を落としたように見えた。
こいつはハッタリを言っているのか?
「お久し振りです。約・・・350年振りですね。尾形さん。」
さんびゃく・・・ごじゅう・・・?
彼が何の数字を言っているのか全く理解出来ない。
「何を言って―――。俺はそんなに前からはこの世界に居ないッ!」
「おがっち・・・もうやめとこ!ヤバいってこの人・・・」
全身全霊の訴えだった。
入江は小さく震え、泣いていた。
さすがに可哀想だった。
それに・・・こいつは本当にヤバそうだった。
逃げよう。
そう思った、刹那。
入江は膝からカクンッと地面に崩れ落ちた。
意識を失ったかのようだった。
壊れた人形のように動くことを止めていた。
・・・目は開いている。
嫌な予感がする・・・!!!
「テメェ・・・入江に何をした!返答次第じゃ・・・ぶっ殺すぞッ!!」
青年は微笑むままだった。
山が噴火したかの如く、俺の中で怒りが込みあがる。
「すぐ感情を剥き出しにするのが貴方の悪い癖です、お直しくださいと何度も言ったでしょう」
予想通りですはい、と言わんばかりに冷静だ。
でも・・・入江に何かあったらとても不安だ・・・!
「大丈夫ですよ。彼女には真実を知る資格がない故に、一旦眠っていてもらうだけです」
「なんでそんな事が出来るッ!?」
「さぁ?それは貴方がご存じな筈。」
「いいから早く入江を元に戻せッ!」
「ではお話を聞いて下さい」
「分かった・・・分かったから早くしてくれよな―――」
「この学園に"勿忘草"はありませんでしたか?」
「わすれなぐさ?」
「はい。植物の名前です」
「あぁ、あったな。天使、いや立華が育てていた・・・!」
「それは最初に貴方が育てたものですよ、覚えていませんか?」
俺がだと!?
どういうことだ!
俺は植物なんて育てる趣味はない!
「全ては貴方の愛が故に、お創りになられたものなのです」
「愛・・・」
「永遠とは美しいもの。美しく儚い一瞬の夢。ですが、命有る者、それらには必ず"終わり"が来ます。」
「終わり―――」
何故か青年の言葉に吸い込まれていく。
とても説得力のある言葉だ。
「この理論でいけば・・・"愛"にもいつか終わりが訪れる事になる。」
愛・・・。
確かに・・・。
「"終焉"とは恐ろしいものです。全てを捨て去らなければならない。愛も想いも、皆全て―――」
「私は"終焉を拒む者"」
「―――とだけ言っておきましょう。今はまだ思い出せなくても不思議ではない。」
「愛だの何だの・・・何が一体目的なんだ!?この前の奴もお前の仲間か!?」
「この前の・・・?あぁ、彼の事ですね。」
青年は頬に手をあてながら、
「彼は多少乱暴ですが、粗相は犯さないでしょう。それより気を付けるべき敵は他居ます。そちらの対策を練られた方がいいかと」
「他の敵・・・!?」
敵ってなんだ・・・!
こいつは何を言っているんだ・・・。
何が何だかさっぱり分からない。
こいつは何を企んでるんだ―――。
そして、青年は突如立ち上がり、俺のほうへと歩いてくる。
その距離わずか10メートル。
すぐその間は縮まった。
青年は俺と同じくらいに背であった。
だが・・・こいつからは"人間"を感じる事は一切無かった。
「私の手を取って下さい、少しは記憶が蘇るかもしれません―――」
青年は手を差し出す。
なんとも青白い手であった。
そっと俺は手に人差し指で触れる。
刹那。
電撃が体中に走ったかのように。
俺は遠い夢の彼方へと吹き飛ばされていった―――。
次回予告
「夢であるように、何度も願った―――」
「逝かないでくれ・・・!頼む・・・!」
「だからさ、一緒に残らないか?」
「君が好きだ。付き合って欲しい。」
「そういうことだったのか。」
「Angel Playerを使う。俺は本気だ。」
「嘘だと言ってくれッ・・・!引き裂かれたくない―――」
「分かっているさ。」
「どうです?少しは思い出しましたか?貴方が犯した、償いきれぬ・・・あまりにも重い『罪』を―――」
#12 《Too Heavy Crime》