Angel Beats! ~永遠の日々に終止符を~ 作:ぼっち
今回のお話は、短めですが物語が中盤に差し掛かっていることが分かる話となっております。
Angel Playerをめぐる争奪戦。
そして尾形は遂に――――。
お楽しみください!!
「・・・よし」
自室に戻る。
無駄に鼓動が早い。
俺は・・・まずどう動くべきであろうか。
暗闇の中でAngel Playerを開く。
俺はまだこのソフトを使いこなせてはいない。
まず第一に、このソフトを知らなければ。
「まずはっと」
"設定"のボタンを押す。
そこから画面が移る。
映ったのは、前に開いた画面。
天候を設定するものだ。
これでこの世界の天候、季節などを弄ることができるらしい。
よく出来たものだ。
俺はよくこんなものを開発できたな。
他にはどんな機能がある?
適当に画面を弄ってみる。
「これは・・・名簿か?」
生徒、教師など全ての名前と顔が映し出されている。
無論、NPCも、ゆり達もだ。
風斬の名前もあるのだろうか・・・?
名前の検索欄にカーソルを合わせ、風斬の名を打ち込む。
「な、に・・・。検索に引っ掛からないだと・・・!?」
名前が出てこなかった。
ただそれだけなのに。
ものすごく動揺している自分がいる。
あいつは・・・誰だ・・・?!
Angel Playerでさえもアイツを認識できないのか!?
だが・・・アイツが言っていた・・・
"僕は君だ"
どういう事だ?
ものすごく嫌な予感がする。
俺は・・・どうすればいい?
震える手で自分の名を入力してみる。
「・・・あった・・・。良かった・・・。」
だが写真には×印がついていた。
・・・どういう事だ?
写真がアップロードされていない?
いや、待て。
そんな人物今まで見た中であったか・・・?
滾る汗が気持ち悪い。
「くそ・・・。一旦名簿は置いておくか。他には―――」
元の画面に戻り、"設定"の枠を探してみる。
「アジリティー・・・"能力"か?」
クリックすると、一瞬にして画面が切り替わる。
そこに表示されるのは、人の形をした図と"スキル"と書かれた欄の二つ。
「・・・これは」
上から読み上げていくと、「ハンドソニック」「ディストーション」「ハーモニクス」「ディレイ」。
他にもいくつかあったが、面倒なので後回しだ。
ハンドソニックを押してみる。
なるほどね。
人体図の右と思われる部位から剣のようなものが飛び出す。
これは天使が使っていたものであろう。
この世界はこのソフトでインストールしたものは、そのまま再現されるんだ―――。
なんて恐ろしい世界だ。
なんて残酷な世界だ。
直井が言っていたように、このソフトさえ使えば・・・。
神にだって・・・何にだってなれる・・・。
絶対に誰にも渡すことができない―――!
こんな恐ろしいもの・・・。
俺以外上手く使いこなせるわけがない。
俺の名を打ち込み、とりあえずハンドソニックをインストールしてみる。
数秒後、完了の画面のアイコンが表示された。
「・・・何か変わったのか?」
俺は暗闇の中で立ち上がる。
「ハンドソニック―――」
生まれて初めて聞く音だった。
部屋の中は一瞬瞬き、光子状の剣が右拳の先端から飛び出していた。
「そ、そんな―――――・・・!!!」
このソフト・・・本当にヤバすぎる。
使い方一つ誤れば・・・最悪の事態が訪れる・・・。
「・・・どうするべきだ―――」
とりあえずこのスキル全てダウンロードしよう。
・・・完了っと。
そして次は・・・。
「消去・・・?」
そんなボタンがあった。
何やらゴミ箱のマーク。
これは一体―――。
カーソルを合わせる。
だが、なかなかクリック出来ない。
体の第六感的なものが、拒絶している気がした。
全力で嫌がっているようだった。
俺は・・・かつてもこのソフトを使った事があるからなのだろうか。
分からない。
だが・・・俺は真実を知ると決めたんだ。
どれだけ残酷な現実が待っているとしても。
それを受け入れるって決めたんだ。
"知らぬ方が幸せ"という言葉がある。
だがそれは本当に幸せなのか?
俺はそうは思わない。
例えば、自分の周りで誰かが死ぬとする。
それは関係のない事であっても。
自分がのうのうと暮らしてる今もの瞬間に、血塗れで助けを求めている人が居たら・・・。
それは知らぬ方が幸せなのだろうか?
そんな幸せなんかいらない・・・!!
自分が何も知らないで、馬鹿みたいに偽りの幸せを噛み締めているのなら・・・。
それは幸せなんかじゃない!!
だから俺は知る。
自分が何を犯したなんて、知らない。
自分が何を守っていこうとしたなんて、知らない。
だからこそ、俺は知って償わなければならない。
そっと、優しくクリックする。
恐ろしく、そして容赦なく。
画面はサッと切り替わった―――。
「岩沢―――――。」
暗闇の中で、松明を灯すかのように。
記憶は一気に鮮明によみがえった。
そして溢れだす涙。
俺は・・・ずっと忘れていただろう何か。
それは君のことだったのか・・・。
ひさ子と話した夜を思い出す。
"でもさ、ひさ子。俺らしか・・・岩沢の事を覚えてあげられる奴は、いないんだ―――"
"だからずっと忘れない。何があっても。ずっと。永遠に。"
「岩沢ああぁぁああぁあああぁ!!!!!!!!!ああああああああぁぁあああッ!!!!」
俺は最低だ。
俺は屑だ。
その震える肩を己の手で抱き締め、自分の罪深さを思い知った―――。
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深夜2時。
大食堂。
ある一人の人物が歩いている。
男か女か・・・それは分からない。
「こんなところで何をされているのですか?」
黄色の髪の毛を束ねる、人形のような女性がその人物に声を掛ける。
その人物は足を止め、振り返ることなく、不敵に笑い始める。
声は男だった。
「・・・こんな所まで分かっちまうとは。いやはや、参ったよ」
「質問に答えてください」
「お前も持ってんだな、ソレ」
「はい?」
「Angel Playerだよ、エンジェルプレーヤー」
女性の後さずりする音と、何かが弾ける音が学校内に木霊したのは・・・すぐ後の話だった―――。
次回予告
「みんなに重大な報告があるわ」
「Thousand Enermies・・・」
「お前の人生だって本物だったはずだろ!!??」
「岩沢が最後に残していった曲だよ」
「俺には敵が多すぎる・・・」
「一般生徒よ―――」
「時間外活動の容疑で、ここにいる全員連行する。」
「つまりは・・・行き過ぎた奴もいるってことだな・・・?」
「遊佐が失踪したってどういう事だよ・・・なぁ・・・答えろよ!!」
#17 《Disappearance》