Angel Beats! ~永遠の日々に終止符を~   作:ぼっち

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どうも御無沙汰しております。

今回のお話はシリアス低めにコメディー多めでご提供させて頂きます~
今まではほぼシリアス展開でしたのでね^^;

つ、ついにガルデモメンバーと尾形くんが接触・・・!?
って感じのお話です!

尾形君もね、なかなか色々な想いを抱えながら過ごしていますから・・・そこからどう動いていくのか注目です(^u^)

感想やご評価、本当にありがとうございます~
お気に入りもなかなかに増えてきて嬉しい限りです!

ではでは第四話、お楽しみくださいませ~~


#4 Girls Dead Monster

――――――。

 

 

 

―――やめて母さん。

 

ごめんね。

ごめんね。

ごめんね。

 

 

*********************************************

 

「うわっ」

 

こんな一言で目覚める。

全身汗びっしょりで気持ち悪い。

季節は夏なのだから仕方のないことかもしれない。

 

・・・だが。

「今の夢は・・・気持ち悪かったな・・・」

自分が拘束されたかのように動かず、何の感触もなかった。

目の前に立つ女性。

無限に繰り返されるソレ。

その手に握られるものは―――――。

 

「ううぅ・・・。考えるな!思い出すな―――」

言い聞かせるように自分を落ち着かせる。

俺には関係のないことだ。

 

 

ふと時計を見るとまだ時計の針は四時を回ったばかりだった。

どうせ寝れないし、散歩でもしようか。

ベッドから降り、今一度上の段のベッドを見つめる。

もちろん、誰もいない。

「神―――。」

俺が見つけてやるからな。

必ず。

 

一応、五時以降でないと時間外活動に該当してしまうので忍び足で寮を飛び出る。

 

校舎に繋がる階段を駆け下り、大階段に1人座る。

はやりここが落ち着くな。

まだ夜は明けてない。

満点の星空が俺を見下ろす。

今泉のことがトラウマでしばらくは行けなかったが、やはり落ち着くものだ。

 

大きく深呼吸をする。

新たな一歩を踏み出そう―――。

 

 

 

 

「ここで何をしてるんだ?」

 

 

 

 

背後からの声。

考えるよりも早く全身を捻り、警戒態勢をとった。

少し階段から足を踏み外し掛け、危なかった。

 

目の前にいたのは"死んだ世界戦線"と思われる制服を着る女子。

目はつりあがっている印象でポニーテールが特徴的だった。

 

「そんな驚かなくてもいいだろ・・・」

「誰だお前・・・」

「こっちのセリフだっちゅーの。こんな早朝に1人でさ。」

「そんなの俺の勝手だろ―――」

「それもそうなんだけどさ~悪いけど此処、君だけの場所じゃないんだよ」

「なら・・・座れよ」

「そうさせてもらうぜ」

 

彼女は俺が座ってる場所より少し下の段に腰を下ろした。

太ももに肘を立て、手に顎をのせていた。

特に話すこともない。

 

が、あまりにも気まずい。

 

 

「アンタ、校則守らなくていいのか?」

 

 

案外、沈黙を破ってきたのは彼女の方からだった。

こちらを一切見ずに、聞いてくる。

「あぁ。まぁ俺はお前らとは違うけどな」

「ウチらが風紀を乱しまくってるって?」

「実際そうだろ。特にあのライブ、どうにかならないのか?」

「ああん?」

いきなりこちらを振り向き、鋭いナイフのような目つきで俺を睨む。

「な、なんだよ・・・」

「それはうちらの音楽が気に入らないと、そう言いたいのかい?」

「実際ライブには行ったことはない。だか外から聞いてると騒音に聞こえるな」

「なるほどね。うちらもまだまだってことか」

一瞬だが殺気を感じた。

恐るべしこの女。

一瞬だが彼女の本当の姿を見た気がする。

 

「今日、またライブやんだよ」

 

「えっ?」

ふと彼女から発される一言。

またアレをやると?

てか、こいつはライブやってるバンドメンバーだったのか。

「見に来いよ。ウチらのライブ。ぜってぇ惚れさせてやるからさ!」

先ほどとは全く違う表情。

目が輝いている。

 

こいつ、入江と同じ"人間"だ―――。

やはり入江、関根と同じように死んだ世界戦線の服を着ている連中は"人間"なのか・・・?

周りのやつのような"人の形をしたナニカ"じゃない。

 

「分かったよ、暇だったら行ってやる。何時だ?」

適当に返す。

「今夜八時から大食堂だ!またゲリラライブだからさ!見に来いよな!」

「分かった」

「あたしら、あそこで演奏するからさ!」

満足そうな表情を浮かべ、彼女は前を向く。

 

「あのさ、」

一言声を掛ける。

ふと疑問に思ったことだからだ。

 

 

「ずっと長い間さ、音楽ばっかやって楽しいもんなのか?」

 

 

このゲリラライブが始まったのは10年くらい前からだろうか。

つまり、彼女らもそんくらいからこの学園にいるってことだ。

その間ずっと同じことを繰り返して飽きないのか―――。

 

「楽しいね」

 

一言だけ彼女は答えた。

その一言で全てが伝わるかのようだった。

「アンタには分からないだろうけど、コイツとならずっと音楽やっていける!って奴がいるんだ」

彼女はこっちを見ない。

だが背で物語っている。

思いの大きさ、懸ける思いが違うと。

 

 

「なんかさ・・・あたしが見たくねーもんがさ・・・いつもソイツの後ろに立ってんだ・・・」

 

 

「どういうことだ?」

何か雰囲気がおかしいのは分かる。

それくらいなら、分かる。

 

「あたしをずっと苦しめてきた存在が、この世界でも尚・・・あたしを苛み続けるってことだよ。」

 

「・・・どういうことかは分からんが、お前はずっと違う世界に居たのか?」

ビクッと彼女は背を震わせた。

聞いちゃまずかったか・・・?

しばらくの沈黙の後、彼女は勢いよく立ちあがり俺に向き直った。

「まずい、天使が来るぜ!」

「は?天使ってなんだよ・・・」

「いいからいいから!」

彼女は俺の手を引っ張り、強引に校舎へと引っ張って行った。

 

******************************************************

 

とある教室の一室へと入る。

そこでじっと彼女と身を隠す。

周りを見渡すと、そこら中に楽器の数々があった。

ギター、ベース、ドラム、マイクスタンド、アンプ・・・。

察するに、こいつらのバンドの準備室ってとこか?

 

「おい」

「なんだよ」

「なんで俺をこんなとこに連れてきた?」

「・・・。アンタ、なんか普通の奴を違うって思ってさ」

「はぁ?」

「それにうちのバンドに惚れこんで欲しいし」

「うるせーよ」

とりあえず周りを見渡す。

薄暗くてよく見えない。

身を潜めて一時間は経つので足が痺れてきた。

というわけで立ち上がってみる。

ビリリ、という効果音が最適なのだろうか。

訳も分からず足を踏み外す。

 

「お、おいっ!」

 

彼女が手を伸ばすが既に遅し。

激痛と共に目の前が真っ暗になる。

 

ギターの弦の音が鳴り響く。

足が当たったのだろうか。

 

・・・。

何かいい臭いがするが。

 

 

 

「おい、テメェ」

 

 

 

見事、俺は彼女に覆い被さり、手はしっかり胸に置いてあった。

なんていうか、本当にしっかりと置いてあった。

とりあえず弁解の言葉を探す。

・・・がこの一言しかないと思った。

 

「わりぃ」

 

 

俺が粉々になって骨になったのは、まもなくの話だ。

 

************************************************

 

「おはよー」

 

赤い髪の女性が教室に入ってくる。

フンフン、と何かを口ずさみながらすぐさまギターを弾き始める。

「岩沢、おはよ~」

「ひさ子!お前、朝早いなぁ~」

「とある事情があってな・・・あいつらはまだ来ないのか?」

「さっき廊下ですれ違ったぜ。飲み物買ってから来るとさ。」

 

胸を揉んでしまった彼女をひさ子。

赤い髪の毛を岩沢というのか。

またしても岩沢からは"人間"を感じる。

―――。

てか俺に気付かないのかこいつは・・・。

 

「岩沢、紹介したい奴がいるんだ!」

「ん、誰だ?」

「こいつだ!名は・・・」

「うわっ、人居たのかよ~ひさ子ちゃんと言えよな~」

いや、気付けよな。

 

「尾形だ。尾形相馬。よろしく」

 

「・・・NPCじゃないのか?」

「そうだが、うちのバンドにケチつけた奴だ。あたしはどうしてもこの男を惚れさせたいんだ!」

「ふーん。なるほどねぇ。」

「悪い、そのNPCってのはなんだ?」

「あー、それは気にしないでくれ!うちらの造語みたいなもん!」

ひさ子は取り繕う。

まぁいいか。

「よう、尾形。あたしは岩沢。このバンドのボーカル兼ギター。よろしくな。」

「ひさ子もギターじゃなかったか?」

「あたし名前教えたっけ?まぁいいか。あたしはリードギターだよ」

「・・・なるほどな」

音楽なんて分からんし興味もない。

これ以上踏み込む必要はなさそうだ。

 

 

 

「こんちはーーーッス!!!」

 

 

 

絶対にひさ子が嫌いそうなタイプの声がした。

でも、何故か聞き覚えのある声だ。

「おいおい、遅刻だぞ~」

「関根ッッ!!テメェという奴は!!!」

「ひぃぃ!モンスターが怒ったあぁぁ」

「誰がモンスターだ!!ああん!!!」

なにやら騒がしいことになってるが、俺はこの名を知っていた。

そして顔も、知っていた。

 

「遅れました・・・ごめんなさいぃぃ」

 

後からのこのこ入ってくる紫色の髪の女子。

まさしく―――。

 

「入江!?」

「尾形君!?」

 

同時に被るセリフ。

これに全員の時が止まる。

「おやおや、シンクロ!」

「関根、お前も知ってる」

「なんで尾形君ここにいるの!?」

「いや、ひさ子に連れていかれて・・・」

「「えええぇぇ!!」」

そんな驚く事ですか。

「いや、こいつにウチらのバンドの魅力を教えようと思ってだな・・・」

「ひさ子先輩もついに春が来ましたネ☆」

「てんめぇ!関根!殺す!!」

また賑やかなことになってる。

 

「めでたい連中だな―――」

「あっ、お久しぶりです」

入江が挨拶してくる。

俺は入江に接触したかったし、手間が省けて良かった。

「おう、久しぶり。入江バンドやってたんだな・・・ベース?」

「いやいや、私はドラムだよ~~」

「えっ」

この外見からドラム・・・?

見えないな。

あの爆音を鳴り響かしてるバンドのドラムなのだから相当上手いのだろう。

・・・見てみたい。

「全然上手くないけどね・・・」

「いや上手くなきゃバンド入れないだろ・・・」

そこで岩沢が俺らの話に入ってくる。

 

「入江は上手いぜ!なんていうか、リズムをあまり乱さないんだ。エイトビートだってそう。ドンッツッタッツって感じでさぁ!」

「あ、うん」

「他にも想像出来ないような力強さがあるんだ!まぁたまにリズムが走ってしまうのがアレだけどウチらのバンドには走ることも偶には必要でさ!」

「あ、うん」

「特にAlchemyなんかの曲だとドラムの力強さが絶大に必要になってくるんだよ!!!」

「あ、うん」

 

「尾形君ごめんね!分からないよね!ごめんごめん!」

なんで入江が謝ってるんだ。

目に涙浮かべるのはやめてくれ・・・。

「いや、興味深いよ」

「絶対嘘だろこの男・・・」

いつの間にかひさ子と関根と大乱闘は終わっていたようだ。

ここで関根が小声に耳打ちしてくる。

「尾形氏。ここは小動物的女子の入江たんをお勧めしますぞ!」

「何の話だ?」

「まぁまぁそんな惚けなさんな~」

「あん?」

「ひさ子先輩より入江ちゃんの方が付き合った後、色々楽しいよってこと☆」

「お前はアホか」

 

「関根、何かロクでもないこと言ったろ?」

 

「そ、そそそそそんなことありましぇん・・・」

「しおりん~もうやめなよ~」

「お前は"しおりん~もうやめなよ~"って言うだけのロボットか!」

「一回しか言ってないよ・・・」

「家族の命が惜しければあたしの言う通りにしなッ!」

「この世界に家族はいません・・・。」

困った顔で告げる入江。

おどおどした感じが可愛らしいと感じた。

一方で関根は全力でキャラを出しているなと感じる。

 

「まぁ、尾形!今日はライブ見に来いってことだ!あたしは作曲をやるから部外者は出て行ってくれ」

 

「おう、分かった」

少し冷たい言い方だと感じたが、岩沢からは他人にはないカリスマ性を感じた。

俺は教室を後にした。

 

 

ライブは見に行ってやってもいいかな。

 

ひさ子のあの横顔を思い出し、そう考え始めた―――。

 

***************************************************

 

時間に合わせるよう、俺は大食堂へと足を運ぶ。

今は8時58分。

あと2分であいつらが出てくるってことか。

あの階段の上。

あそこで―――。

少し胸が高鳴ってる自分が癪だった。

 

 

ふと大食堂の上に通ずる階段に1人の女性がいるのが目に入った。

制服が皆と違うので一瞬で分かる。

 

死んだ世界戦線のリーダーだ・・・!!

彼女はインカム?のような無線機を持っており、何か言葉を発した。

 

 

 

刹那。

 

大食堂全ての照明が落ちる。

「ッ・・・!?」

悲鳴と歓声が混じり合ったよく分からないものが響き渡る。

始まるのか―――――?

 

ドラムのリズムを刻む音が聴こえる。

その瞬間、大食堂は歓声に包まれた。

ドラムの連打音から一気にギター、ベースが音を奏で始める。

照明が付き、彼女達が映し出された。

様々な色の照明の中で彼女達は一心不乱に楽器を奏でる。

その姿はまるで楽器と対話しているようだった。

あっという間に俺は、彼女達が奏でる音楽に取り込まれていった。

 

そこで岩沢の歌声が姿を現す。

 

「これは―――ッ」

 

これは爆音なんかじゃない。

全然うるさくなんかない。

むしろ逆だ。

音楽と共に湧きあがる歌詞の全ての意味。

表も裏もない、ストレートに伝わってくるもの。

全身に響き渡る鼓動。

 

あの大人しい入江が汗を撒き散らしながらドラムを叩く。

その表情はとても美しかった。

チャランポランそうな関根は、先を読むことが出来ない独特のリズムを創り出している。

ベースの低音に心臓が飛び上がりそうだ。

そしてひさ子の殺人的なテクニックの数々。

刃物のように鋭く、母親のように温かい音楽。

なんて表現すればいいのだろう。

 

 

俺はその場から一歩も動けなくなっていた。

 

彼女達が創り出すものに心を奪われていたのだ。

 

たったそれだけのことだった。

 

 

刹那、もの凄い豪風が食堂を突き抜ける。

と同時にライブに夢中の生徒の手から食券が飛んでいく。

食券が宙を舞う。

そうか。

あの時の―――。

 

食券が舞うことさえ、どうでもよくなるような。

 

そんなライブだった。

 

***********************************************

 

ライブが終わると生徒らはぞろぞろと帰りの支度を始めた。

・・・俺も帰るか。

あいつらには後日声を掛けよう。

 

俺は生徒らの流れにのり、寮へと足を踏み出した。

 

 

 

大浴場で頭を洗い、体を洗う。

未だに興奮は冷める事がなかった。

 

「ひさ子、俺の負けだよ―――。」

 

自室へと戻る。

パジャマへと着替え、ベッドへと潜り込む。

 

・・・。

今日は神のベッドで寝るかな。

特に意味もなくそう思った。

久しぶりに良い気分で寝れそうだからだ。

死んだ世界戦線に入隊するのも悪くないかもしれない。

あいつらの音楽を間近で聴くことが出来るなら。

 

梯子をのぼり、神のベッドに足を踏み入れる。

改めて、神がいなくなったあの日からベッドを覗き込むものの、入ったことはなかった。

意外にも初めてのことだった。

「よし・・・」

布団をめくり中に入る。

 

「ん・・・?」

 

ふと違和感を感じる。

寝っ転がった時の違和感。

背に違和感。

敷布団の下に何かがある・・・?

特に何かを考える訳でもなく、俺は敷布団を捲り上げる。

 

 

するとそこには一冊の厚い本が置いてあった。

 

「・・・、なんだこれ」

 

エロ本か何かだったら笑えるものだ。

あの神でも読むのか。

何十年後越しに分かる真実とはなんぞや。

俺はその本を手に取ってみる。

題名はこう。

 

 

 

 

 

「Angel――Player―――?」

 

 

 

 

・・・?

なんだこれ。

何かの教科書か・・・何かのマニュアルか?

本を捲ってみる。

「うわっ、この厚さで全部英語かよ―――」

神も勉強熱心ってことだな・・・。

英語は苦手ではないが、さすがにスラスラ読めるほどではない。

この本が何の本なのか読むには難しいだろう。

しばらく本を捲っていると、何かの図が描かれていた。

 

「天気のマーク・・・とSpring・・・春か?」

 

目で追っていくと、その隣にはSummerなど俺でも分かる単語が並んでいる。

他にも色々な単語が羅列されている。

 

「あいつはこんなの読んでどうしようってんだ?」

 

興味を失った俺は本を閉じると、布団に潜り込んだ。

それにしても今日のライブはすごかったな。

ここ数十年間で一番の衝撃だった。

もっと早く気付けばよかった―――。

なんであんな無駄な時間を過ごしてたんだ俺は―――。

 

 

 

 

暗闇の中で、ひさ子の顔が今一度蘇る。

 

 

 

 

"なんかさ・・・あたしが見たくねーもんがさ・・・いつもソイツの後ろに立ってんだ・・・"

 

 

 

"あたしをずっと苦しめてきた存在が、この世界でも尚・・・あたしを苛み続けるってことだよ。"

 

 

 

 

 

 

あれは運命を呪うような。

 

己を嘲笑うような。

 

罪滅ぼしをするような。

 

 

 

そんな気がしてならなかった。

 

 




次回予告

「大好きだった歌が歌えなかった―――。ただそれだけ」
「入るしかない―――」
「何してるの?授業の時間よ?」
「尾形相馬、か。」
「また聴きたい、そう思えた。俺の負けだ。」
「定例会議のお時間です。」
「お前、すげぇよ」
「ソレはどこにある―――?」


「ようこそ、"死んだ世界戦線"へ―――!」

#5 《The Past Of Iwasawa》
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