Angel Beats! ~永遠の日々に終止符を~ 作:ぼっち
順調に更新が進みまして・・・もう第五話と迎える事になりました。
皆様のおかげです、ありがとうございます。。
今回のお話は題名の通り、岩沢の過去に迫ってみる事になります。
尾形は岩沢の過去と触れあい、何を感じ、伝えるのか。。
これを感じて頂けたらな~と思っております。
またCrow Songなど歌の面も触れていくのでファンの方はおお!ってなるかもです。
Crow Song、、名曲ですよね!
皆様は好きな曲とかありますか??ぜひ感想欄等で教えて下さい^^
自分はAlchemyが一番好きです~
前にも言ったんですが、次回予告の台詞はよく変わる事がございますのでご了承ください^^;
おっと、長くなってしまった!
それでは第五話、どうぞお楽しみくださいませ~~!
我思う。
故に我あり。
こんな言葉がある。
だが、俺は思う。
時々、自分じゃない気がする。
誰かに乗っ取られてるような感覚に陥る。
いや、実際はそんなことはないんだけども。
何か大事なことを、忘れてる気がする。
どうして・・・?
そんなこと分かるはずもない。
なんだろう。
こんな感じは。
とても大事な事を、忘れてる感じがするんだ―――。
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お昼休みの時間。
俺は特に意味もなく、ひさ子達のバンドが練習している準備教室へと向かった。
脳裏に蘇る、昨晩の出来事。
今も鮮明にそれは残っている。
まだ興奮は冷めない。
教室の前へと辿り着く。
窓から教室の中を覗いてみる。
そこには恐らく作曲をしているであろう岩沢の姿があった。
何かメロディーを口ずさんでは何か独り言を呟き、楽譜に何を書きこんでいる。
昨日の歌を聴いていても思ったが、やはりセンスがあるんだなぁ。
俺は教室のドアを開き、岩沢の目の前へと移動した。
「よう」
返事は返って来ない。
しばらくの沈黙。
ひょっとして無視されてるのかな。
何か悪いことでもしたかな・・・。
「岩沢・・・?」
またまた返事はない。
フンフン~と鼻歌を口ずさんでは楽譜を書いている。
それだけの作業なのだから耳は聞こえているはずだ。
・・・ひょっとして物凄い集中力だったり・・・?
こうなったら何か別に意識を逸らせるような事を言えばいいか?
俺は何を考えるわけでもなく。
「そこは関根に任せた方がいい。」
それだけ告げた。
別に大声も出してない。
本当にそれだけ。
だが、岩沢は目を輝かせながら、俺の方へ顔を上げる。
「だよな!?やっぱあたしもそうだと思ったんだよ~!よーし、じゃあここは関根に任せてっと・・・!」
「いや、冗談なんだけど」
「えっ!?お前はそう思ったんじゃないのか?」
「あぁ。俺にはよく分からない」
「なんだよーーー。邪魔するなよな。」
こいつ・・・どんだけ音楽キチなんだよ・・・。
また作業に戻ろうとしてんじゃねーか。
てかなんで目の前に俺がいるのを疑問視しねーんだ。
本当に音楽しか興味ないんだな―――。
「岩沢、他の連中は?」
「んー、ひさ子なら昼飯を買ってると思うぜ。」
「あの二人は?」
「知らねーよ。午後練には顔を出すだろ。」
「・・・。なるほどな。」
再び沈黙に。
岩沢と会話するのは本当に骨が折れる。
それほどひさ子、入江、関根は信頼されてるってことだな。
「昨日のライブ、良かったぜ」
一言発してみる。
岩沢と話がしたかったわけじゃない。
だが、この事だけはバンドメンバーの誰かに伝えたかった。
感謝の意もある。
自分の今までのこの学園の生活を思い返してみれば。
それは簡単なことだった。
「本当か。ガルデモ、好きになったか?」
「ガルデモ?」
「なんだよー、ウチのバンド名すら知らねーのか?」
「あぁ・・・」
「ガールズ・デッド・モンスター。略してガルデモだ。」
「へぇ~。じゃあ俺もガルデモの音楽は好きになれたよ。ありがとうな」
「少しでも支えになれれば本望だよ」
支え?
歌が?
・・・そうか。
岩沢はただ単純に歌を作っている訳じゃないんだ。
適当な歌詞なんかじゃないんだ。
昨日聞いた歌も、俺はメロディーより歌詞を重視して聞いていた。
ただのミーハーなファンはメロディーや曲のノリを重視する。
・・・違う。
岩沢が伝えたいのは―――。
「昨日の"Crow Song"だっけか?あれ、主人公はお前か?」
「・・・どうしてそう思う?」
どことなく岩沢の顔は真剣だ。
何か変なことでも言ってしまったか?
まぁいい。
とにかく思う事を言ってみよう。
「主人公はカラス。いつもカーカー泣いて歌うんだ。お腹を空かせながらな。」
「・・・。」
「誰かを思って歌う。誰かが幸せになれればと。誰かに希望を与えればと。」
「ほう」
「でも、それは自己犠牲だ。自分が堕ちても、誰かの幸せになれればいいって思ってる。」
「それで?」
「そのカラスが岩沢、お前ってわけだ。違うか?」
岩沢は少し目を見開く。
一応不正解ではなさそうだ。
昨日一度聞いただけだから、そう深くまでは解釈していないが。
「ほぼ正解だよ。そこまで意味を汲み取ってくれたのは、ひさ子以外でお前が初めてだ。」
「ひさ子しかいなかったのか・・・」
「まぁ所詮歌なんて受け手1人1人によって違うものだ。だから聞く人全て、何通りものCrow Songがある。」
「まぁな」
「でも私が歌うCrow Songはそういう意味があるってことはあまり知られていない―――」
「そういうものなのか・・・」
「まぁ別にいいんだけどな、私は!」
満面の笑みを俺に見せる。
とても無邪気で透き通るような笑顔だった。
こんな笑顔を作り出せる子がカラスなんて。
世の中は残酷なもんだな―――。
「お前も何かを抱えているのか?」
気付けば口にしていた。
しまった、と感じたものの、それは岩沢の耳に届いてしまっている。
岩沢はどこを見る訳でもなく、鼻で笑った。
「そうだよ」
この目だ。
ひさ子も昨日、こんな目をしていた。
透き通る瞳の奥に濁った闇が蠢いている。
ライブしたり、練習したり、毎日楽しそうに生活しているのに。
そう見えるのに。
岩沢もひさ子も何かを抱えて生きてるんだ。
俺には理解出来ないものなのだろうか?
分からない・・・。
俺には・・・記憶がないんだから―――。
"あたしをずっと苦しめてきた存在が、この世界でも尚・・・あたしを苛み続けるってことだよ。"
ひさ子の、この一言が頭から離れない。
岩沢を苦しめるものが・・・あったりするのか・・・?
だからCrow Songが生まれたのか・・・?
「大好きだった歌が歌えなかった―――。ただそれだけ」
ふと岩沢が言葉を発した。
俺はそれ以上踏み込んでいいものなのか、躊躇う。
俺にこれを聞く資格があるのか・・・?
いいや、違う。
神を助けられなかった分、俺に新しい光をくれたガルデモを助けてあげなきゃいけないんじゃないのか?
否。
助けさせてほしい。
ようやく、素直になれた気がした。
「そうなのか―――」
やっと振り絞って出る一言。
この一言にどれだけ重い意味を持つのかは、アホな俺でも分かる。
言葉を選べ。
彼女は触れただけで壊れてしまいそうだ。
「両親が喧嘩ばっかりで自分の居場所なんてなかった―――。それを音楽が救ってくれた。」
「あたしは音楽に恩返しがしたいんだ。音楽で生きていこうって決めたんだ。」
「路上ライブの毎日―――。通り過ぎる人々を止めるためには練習するしかなかった。」
「バイト明けの練習は辛かった・・・。次の日がテストだろうとお構いなしだった―――」
「"誰よりも音楽を愛している。"そんな尺度で測るもんじゃない。だから死ぬ気で頑張った―――」
「だんだん止まってくれる人が増えてきた。」
「オーディションも受け始めた。後少し・・・後少しだったんだ・・・。」
「あたしは両親の喧嘩のとばっちりを受け、頭部を強く打ち、脳梗塞による失語症を患った。」
「歌が歌えなくなったんだ―――」
「そこであたしは終了。この世界で歌えるようにはなったけど、この忌々しい過去は消え去りはしない。」
「ってもNPCのお前じゃ理解出来ないとは思うが・・・」
「・・・そうだったのか。」
やはりこの学園にいる奴は何か抱えてんだ―――。
俺が感じた"生気"ってのは、このことだったんだ。
周りの奴らとは違う。
何かを呪う邪念。
これを俺は・・・感じてたんだ―――。
ひさ子も・・・同じく辛い過去を抱えてんだ―――。
もしかしたら俺にもあるのか・・・?
神にも・・・。
俺には記憶がない。
だから分からない。
何かを呪う苦しみが・・・分からない・・・。
そもそも岩沢は失語症を患ったのに、どうしてこの学園に来て歌えるようになったのだろう。
これは絶対に聞いちゃNGな気がする。
やめておこう。
「これがお前のやりたかったこと全てなのか?」
「いいや、まだまだだよ。」
岩沢の瞳の闇は嘲笑うように。
「あたしの歌なんてまだ大気少し動かすくらいの小さなもんさ。まだまだ目指すものは遠い―――。」
「俺はそうは感じないぜ。これだけファンがいて、尚且つ、音楽無知の俺でさえ惚れさせたんだ。」
「ほーう?」
挑発的な目で岩沢は見つめてくる。
俺はそれを包み込むように見つめ返す。
「お前は自分が知らないうちに希望を与えてる。お前が光になってるんだ。」
「―――――。」
「欲張る必要なんてない。普段通りやっていれば、答えは見つけ出せるはずだ。」
「答え―――?」
「自分が本当に成し遂げたかった事、だよ」
「・・・なるほどな」
岩沢は顎に手をあて、何かを考え始める。
記憶ナシ男の俺が何を偉そうに語っているのか―――。
結局は偽善を並べて言っているだけかもしれない。
でも、伝えたかった。
「まぁ、難しいよな」
「あん?」
僅かだが、闇が小さくなった気がする。
良かった。
彼女の闇が少しでも小さくなったのなら、本望だ。
「人生って壮大過ぎて分からない―――。今、自分がどこに立っているのかも、どっちを見てるかも。」
「だな―――。」
口で言うだけなのは、どれだけ簡単なことなのだろうか。
自分で自分を嘲笑う。
改めて思う。
岩沢はカリスマだ。
考える事、感性が人と違う。
だからこそ、あんな凄い歌を生みだせるんだ―――。
「ところで、どうして"どのみち混むでしょ"なんだ?」
「歌詞の話か?」
「そう」
「あぁ、あれは人は最初居なくても、あたしが頑張ればどのみち人は止まってくれて、どのみち混むだろって事!」
「うーむ・・・一回聴いただけじゃ汲みきれないぜ・・・!深いな。」
「ははッ!そんなとこを疑問視する奴なんて初めて見たぜ!面白いな尾形!」
また無邪気に笑う。
こう見ると思ったりもする。
なんだ、普通の女の子じゃないか―――。
「でもね~♪」
岩沢はふと口ずさむ。
優しくハミングで。
「やるよ~♪」
このフレーズは昨日聞いたな。
なんか一番グッときたフレーズだったのを思い出す。
「今夜も・・・」
「「ビッグなストーリー」」
まさかのハモった。
岩沢は驚いた表情で俺の手を握ってくる。
とても嬉しそうだった。
少し恥ずかしい。
あんな人に無関心だった俺が・・・ここまで変わった。
岩沢、ありがとう。
お前のおかげでさ、俺は何か変われた気がするよ。
人らしさを取り戻せた気がするよ。
ありがとう。
「―――、お前ら何やってんの?」
ふとひさ子の声。
いつの間にか、ひさ子が買い出しから帰って来たみたいだ。
傍からみれば手を握り合ってる二人。
いやー、これはまずい。
疾風の如く、俺はこの部屋を立ち去った。
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(SIDE:??)
「阿部、結局どうだったんだ?」
「あの男ですね。」
「あぁ」
「名を尾形相馬。"SSS"には所属はしていないみたいです。ガルデモメンバーとは接触していますが。」
「尾形相馬、か。」
「気になりますか?」
「いや、かつてどこかの書類で見たことがあったんだ。それも顔付きで。その男に瓜二つだった。」
「は、はぁ・・・。」
「生徒会長とは?」
「接触しています。会話の内容までは聞き取ることが出来ませんでしたが―――」
「なんだと・・・」
「申し訳ございません・・・!」
「貴様の代わりなんぞ、いくらでも居る事を忘れるな。貴様を処分することくらい容易いことだ。」
「肝に銘じます」
「様子は?どんな感じだった?」
「いたって普通でした。ですが最後は少し取り乱していました。」
「どっちが?」
「尾形の方です。」
「興味深いな―――。尾形相馬。」
「副会長、私から見れば尾形は普通の生徒に見えますが・・・?」
「何れ気付く。奴が持っていた"アレ"の存在に。」
「奴というのはあの方のことで?」
「あぁ。長い時を経て"アレ"は目覚める。もう一度起動したとき、僕の理想の世界が始まる―――。」
「尾形・・・僕の理想の世界を創り上げる為の駒となってもらおう―――」
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(SIDE:音無)
「何してるの?授業の時間よ?」
戦慄の時間が始まった。
目の前に天使が現われやがった。
刹那、鳴り響く授業開始のチャイム。
「あ、あれだ・・・!俺教室どこか分からないんだ!」
「じゃあ案内するわ」
うーわ。まじかよ・・・。
逃げるか・・・?
「逃げても無駄よ」
「デスヨネー」
絶対に追い付かれて連れ戻されるのが目に見えてる。
天使に手を引かれ、教室へと連れて行かれる。
こいつ、華奢なくせに馬鹿力で全く腕を振りほどけない。
「あのさ、一つ聞いてもいいか?」
「なに?」
「アンタ、生徒会長だろ?授業サボってもいいのか?」
「私は生徒会長という役目から授業に10分遅れても許される事になってるの。」
「えぇ!?何その新事実・・・」
「貴方達のように授業をサボる人達がいるからよ」
「監督係ってことか」
「そうね。でも―――」
「でも・・・?なんだ?」
天使はチラリと俺を見ながら告げる。
「貴方のように、クラス・スリー・エスの人で素直な人はいなかったわ」
「どういう意味だよ・・・」
「みんな戦うか逃げるかしてたもの」
「俺は丸腰だからな・・・どちらも選択出来なかっただけさ・・・」
「そうかしら。貴方はそういう風には見えなかった」
「・・・・・」
実は俺が団結していない事を悟られてはいねーか?
・・・そんな訳ないよな。
ようやく立ち止まる。
クラスは1-A。
「貴方、頭がいいのね」
「俺記憶ないし、わからねーよ・・・」
「文房具とかノートは机の中に入ってるわ。空いてる席が貴方の席よ。」
「ほんとよく出来た世界だな・・・」
「じゃあ、行きましょう。」
お前も同じクラスなのかよ。
天使と同じクラスってどんな仕打ちだよ・・・。
ゆりにバレたら大変なことになるな。
授業受けただけじゃ・・・消えないよな・・・?
大丈夫だよな・・・?
とりあえず空いてる席を探す。
窓側の後ろから二番目の席だ。
そこまで歩き、座る。
先生は何も気にしない素振りで授業を進める。
「音無、遅いぞ。早く席につけ。」
「あ、すんません・・・」
当然ながら、見たこともない先生だ。
本当に都合よく出来てる世界だな。
ふと、隣から視線を感じた。
チラリと見てみる。
なにやら、一般生徒がこちらを見つめてくる。
何か用かな・・・?
それとも因縁ふっかけられてる・・・?
「アンタ、音無か?」
頭が真っ白になる。
それはあまりにも唐突な言葉だった―――。
次回予告
「音無だ。俺もこの世界に来たばっかなんだよ。だから仲良く出来ればと思ってる。」
「岩沢がいればあたしは何でもいいのさ」
「ドラムって音が大きいから間違えたら大変!」
「そろそろ球技大会の季節か―――」
「岩沢、何してんだ?こんなところで」
「決して忘れた訳じゃない。でも、大事なんだ・・・。」
「みゆきちーーーー、男は獣だぞおぉおおぉお」
「ひさ子―――」
「アイツらは・・・この場所の"意味"を知らない―――。」
#5 《Meaning Of This Place》