アイエスレイヤー【IS×ニンジャスレイヤー】   作:温玉屋

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ゼロ・トレランス・サンスイ×クラス代表決定戦!?

本編+おまけという構成です


「ゼロ・トレランス・ブルー・ティアーズ」

アイエスレイヤー 第一部「IS学園炎上」より「ゼロ・トレランス・ブルー・ティアーズ」

 

これまでのあらすじ:IS学園に入学し、クラス代表として対抗戦に出場していたセシリア・オルコットと二組の代表ニクミエイション。キルゾーン・アリーナで模擬戦を行っていた二人のうち、ニクミエイションは一刀両断されて絶命した。

 

しかしセシリアはニクミエイションの犠牲と引き換えに、アイエスレイヤーの正体に迫るチャンスを掴んだのだ。ちなみにあらすじにニクミエイションの本名が出ないのは二組所属だからである。ショッギョ・ムッジョ。

 

冷たい雨が降りしきるなか、イングランド代表候補ISニンジャのセシリア・オルコットは悄然とたたずんでいた。

 

脳裏には十年前の、白騎士・インシデントが思い浮かんでいる。彼女の両親は東京湾に浮かぶネオサイタマ上空に突如現れたISニンジャ白騎士に対し、英国ニンジャの一人として強硬偵察に赴き、そして死んだ。ネオサイタマを、そしてIS委員会を牛耳るソウカイ・シンジケートに捨て駒にされたのである。

 

以来、彼女は孤独であった。白騎士・インシデントの後、彼女の元に遺された両親の痕跡は血の跡を残したメンポとテヌグイ・マフラーのみ。その二つを心の支えに、オルコット家の遺産をただ一人守り抜いて彼女は生きてきた。

 

降雨は彼女の身体をしとどに濡らす。この雨は彼女にとっては幸運だった。ニンジャに涙は許されぬ。父母よ。今纏っている蒼のメンポとテヌグイマフラーはそれぞれ父と母の形見である。

 

彼女が生存したのはニクミエイションはもちろん父母にさえ明かしていなかったワンオフ・ジツ(訳注:唯一仕様能力)「シニフリ・ジツ」によるものである。シールドを消失させ、ISニンジャソウルで心臓さえ停めるこのジツを使えば、いかなニンジャ探知力を持っても検知は実際困難だ。

 

事実、アイエスレイヤーも彼女を失探し、移動を始めた。「知らぬがブッダ」ミヤモト・マサシの残したコトワザである。人は危機が迫っていてもそのことを知らなければブッダめいて心穏やかでいられるが、そのまま備えずにいるとフェアリーが窓辺に来てブッダエイメンを告げ、全てが手遅れになる。

 

奴に死の福音を告げるのは私だ……。セシリアは手の中のアンタイニンジャ・カラテレーザーライフルスリケンを握り、アリーナ付近にしめやかに降着した。敵からの距離はタタミ20畳分。彼女の3倍のニンジャ脚力、加えてIS《シズクアオイ》の力を持ってすればアンブッシュも容易と見える。

 

しかしウカツはできぬ。ニクミエイションを一刀のもとに切り捨てたワザマエから、彼女も彼が恐るべき敵であることを十分に理解していた。ニクミエイションのことはぶっちゃけよく知らなかったし話したこともなかったが、代表なんだから優秀だったのだろう、多分。

 

アイエスレイヤーは街路の闇の中、どこからか帽子と学生服を取り出し纏った。メンポの上から帽を、装束の上から学生服を着る。セシリアはヘンシンジツの出来映えに感心した。これでもうニンジャには見えぬ。

 

セシリアはそこで、自身がメンポとマフラーとスーツとISという標準的なISニンジャ装束であることに気づいた。さすがにこれは多少衆目を引かずにおれおれぬ。彼女は近くを歩いていた通行人が来ていた電気ネズミ・キグルミを剥ぎ取った。

 

「アイエエエエエ~!」間延びした悲鳴が響く。ヨイデワ・ナイカめいた回転から飛び出したキグルミの中身は女であり、その胸は豊満であった。「お姉ちゃ~ん!」彼女は泣きながら重金属酸性雨の下を逃げていく。

 

セシリアはISの上からキグルミを着込む。装甲部が布を突き破った。サイズがあわぬようだが、モクトン=ジツめいた都市迷彩効果は期待できよう。平安時代のナンジャ(訳注:ニンジャの一種か)はネコのキグルミを瞬時に纏うネコトン=ジツで多くのダイミョを屠った。彼女はそれに倣ったのだ。

 

ネオサイタマの猫はシャミセンの材料としてパンクロッカーたちに刈り尽くされたが、バイオ電気ネズミは被害が社会問題化するほど多い。この格好ならば注意を引かずにいられる。彼女は三倍のニンジャ脚力による匍匐前進でアイエスレイヤーを追い、路地へと入った。

 

アイエスレイヤーは街路をくぐる。元は「レゾナンス」と呼ばれたメガショッピングモールの跡地だ。ブーンブンブン。ブーンブブ。ブーンブンブン。レゾナンスは「安い、安い、実際安い」のフレーズで御馴染み、コケシマートの傘下企業であった。テーマである単調なベース音が廃墟の中を切れ切れに響く。

 

アイエスレイヤーは壊れかけのエレベーターに乗り込み、上に向かった。セシリアの位置からは何階に向かったかまでは直接は見えぬ。だが、ボタンを押す一瞬の所作をニンジャ洞察力で彼女は検知した。屋上! 彼女は瞬時に飛び起き。匍匐の姿勢を解いて階段へ走った。

 

「私は知能指数が高いのです! 今ならあの者に先行できる!」セシリアはつぶやいた。たしかに、彼女のニンジャ脚力をもて疾走すれば機械での昇降よりよほど早い。彼女は一瞬で状況判断したのだ。

 

2階、3階……8階、10階、11階!(4階と9階は縁起が悪い数字なのでない)彼女はエレベーターを先行し、封止されていた屋上の扉を蹴破ってエレベーター前にエントリーした。エレベーターは今7階! 待ちかまえるのに十分だ。

 

彼女な自分の正しさを確信した。一度は遅れをとったとはいえ、セシリアはIS学園でも主席をとり、英国では古代ローマカラテ100段を修めた優秀なニンジャなのである。そして屋上のエレベーター前、彼女はIS《シズクアオイ》を完全展開、アンタイニンジャライフル《ホシヒカル二回改善》を構える。

 

さらに彼女の周りには、4つの青いフィンめいた浮遊ユニットが浮かんでいた。これぞ彼女の《シズクアオイ》に備わった特殊武器、カラテビーム浮遊砲台《シズクアオイ》である。彼女のISと同名のこの武装は、本体と四機の砲口のコンビネーションで敵を追い詰める恐るべき兵器なのだ。

 

エレベーターのLED光が、敵の到着が近いことを彼女に知らせる……10階……11階……そして合成マイコ音声が「到着ドスエ」と告げ、表示が「屋上な」と切り替わる!

 

「ウテ!」セシリアはLAN直結した量子UNIXに向け一斉射撃命令の論理タイピング! カラテ粒子がビームとして、ライフルからはレーザーを励起して、眼前の昇降機に襲いかかる。なんたる威力か! 鋼鉄の箱はたちまちスイスチーズめいた穴だらけのスクラップに変わる。コワイ!

 

「やりましたわ!」セシリアは勝利を確信する。高笑いを上げたい気分で、ボロ板のように破壊された扉が倒れるところを見る。しかし、彼女の歓喜は数秒と続かなかった。彼女がニンジャ探知力で見たエレベーターの内部は、ウツセミ=ジツめいたもぬけの空!

 

「何!?」彼女は驚愕し、破壊された昇降機の中をのぞく。何度見ても人はもちろん電気ネズミの一匹さえいない。中に入ろうとした途端、エレベーターはワイヤーが切れたのか、シャフト内を転落し――そして彼女は、背後におぞましい気配があることを感じた。

 

「それほどそのエレベーターが憎かったのか、ソウカイヤのニンジャ?」背後から嘲弄に満ちた声が聞こえたのは、そのときだった。セシリアは振り返り、そして見た。

 

赤黒い装束とメンポを纏ったニンジャが、仁王立ちしている。男が睥睨するかのようにセシリアを見つめていた。それが誰であるか分からぬはずもない。彼女の敵は、エレベーターで上がると見せかけ、その実ニンジャ身体能力でエレベーターシャフト内を自力で上昇。逆にセシリアをマチブセしたのである。

 

「命じられるまま昇降を繰り返すだけでどこにも行かず、不毛に動くだけの木偶。まさにソウカイヤで汲々する貴様らそのものよ。オヌシがその機械を惨めたらしく壊したように、私もオヌシを惨たらしく殺す」宣言しカタナを構える。「ニンジャ、殺すべし!」

 

立ち上るカラテにより、セシリアからは彼の向こうのネオサイタマの夜景が歪んで映った。さらにその男の顔を見て、セシリアは息をのむ。男の顔はメンポ(鋼鉄製のフェイスガード)に覆われている。さらに……ゴウランガ! 口元には禍々しい毛筆・フォントで「愛」「殺」の二文字が刻印されているのだ!

 

「ドーモ、セシリア・オルコット=サン。アイエスレイヤーです」眼前のアイエスレイヤーがオジギをする。「ドーモ、アイエスレイヤー=サン。セシリア・オルコットです」セシリアは怒りと屈辱に身を震わせながら両てのひらを合わせオジギを返した。

 

マチブセで裏をかいたにもかかわらず、アイサツ前に一度のみ許されるアンブッシュさえしない。まさにアイエスレイヤーの余裕の表れだ。セシリアは歯がみをしながら、状況判断を続けていた。だがまだつけいる隙はある。

 

アイエスレイヤーには見たところ射撃武器がない。あのカラテのワザマエでスリケンが使えぬということはなかろうが、中距離射撃型ニンジャである自分の方が距離を置いた戦闘では有利である。敵の初撃さえかわして自分の間合いに持ち込めば、チャンスはある。

 

双方がオジギの姿勢を解くまでの時間、わずか0.02秒! アイエスレイヤーの全身はムチのようにしなり、握られた巨大なカタナ・ブレードがセシリアに襲いかかった! 「イヤーッ!」セシリアはこれをブリッジで回避!

 

「勝った!」セシリアは交錯の一瞬、スカート状に広がる《シズクアオイ》のアーマーから二基のフィンを切り離した。「おあいにく様! 《シズクアオイ》は6基あってよ! イヤーッ!」切り離された弾道はアイエスレイヤーを捉える! CABOOOM! 周囲を巻き込み紅蓮の爆発!

 

セシリアは爆煙に紛れ、空中に待避する。四基の《シズクアオイ》を配置し、彼女自身は《ホシヒカル二回改善》を構えて爆発の中心から距離を置く。煙がとけた瞬間、正確な射撃をたたき込むのだ。

 

しかし彼女は忘れていた。先の攻撃がどのような結果を生んでいたのかを。討ったと確信した攻撃が全てかわされ、逃れられていたことを。

 

爆煙の中心で目映い白い光が発され、煙は急速に晴れる。セシリアはトリガーを引くことも論理タイプもできずその煙の中心にいる者の姿を見た。

 

「Wasshoi!!」光の中からは赤黒いニンジャ装束が飛び出す。彼は後方に3回バック転を打つと三角飛びでビルディングを蹴って上昇し、その後5回宙返りして空中ISケンドーの構えを取った。彼の背後には純白の翼とアーマー――ISが展開されている!

 

「男がISを……なぜ!」セシリアは驚愕する。いかなニンジャといえ、男に特殊なパワードスーツであるISは使用できないはず。完全に意表を突かれたセシリアには一瞬の隙ができ、それは彼女の恐るべき敵にとっては十分な時間であった。

 

「ニンジャ殺すべし。IS……滅ぼすべし!」アイエスレイヤーがブレードを構え、一瞬で空中を蹴り急激に加速! これはISの加速技術、イグニッション・シュクチだ。そして最大戦速で接近したアイエスレイヤーは左袈裟懸けに一撃を加えた! 「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

さらに右逆袈裟に一撃! 「イヤーッ!」「グワーッ!」 左逆袈裟! 右袈裟! 「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」カタナ・ブレードは円の動きを描きセシリアを常に捕らえる! ナムサン! これは日本のニンジャに伝わる合戦剣術、シノノノ・スタイルでは!?

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

 

「イイイイイヤーッ!」「グワーッ!」息もつかせぬ連撃の最後にアイエスレイヤーは強烈なケリ・キックを放った。セシリアは受け身もできず、回転しながらビルの屋上に叩きつけられる。セシリアはスクラップとなった《ホシヒカル二回改善》を杖に起き上がろうとした。

 

「実際危険な。シールドはあとちょっとドスエ」戦闘AIの合成マイコ音声が告げる。このままでは爆発四散してしまう! だが眼前のアイエスレイヤーは抗うにあまりに強大な存在だった。両親の遺志を継いだ自分は、ここで死ぬのか!? 彼女の脳裏をソーマト・リコールが走る。

 

「オヌシにインタビューする」その間にアイエスレイヤーは降着し、一歩一歩と近づいてきた。「ソウカイヤの情報について答えよ。答えれば楽に死なせてやる。答えぬなら四肢をケジメし、延々と苦しめて殺す。選ぶのはオヌシだ」アイエスレイヤーはジゴクめいた宣言をセシリアに投げる。

 

「アイエエエエエエ……」セシリアは眼前に迫り来る赤黒い死神を前に、モータルの少女めいて涙ぐむ。爆発四散? ここで自分は死ぬのか? 絶望が彼女を染めそうになったとき、不意に風がそよぎ、テヌグイ・マフラーがセシリアの頬に触れた。テヌグイが涙がこぼれた彼女の頬を優しく撫でる。

 

それは偶然だったかも知れない。だが、彼女にメンポとマフラーの元の持ち主のことを思い出させ、セシリアの心の絶望をわずかに拭うには十分な偶然であった。(……お父様、お母様……私はここで死ぬわけにはいかない!!)

 

「イヤーッ!」アイエスレイヤーの腕が鞭のようにしなり、カタナがセシリアの腕に向けて振り下ろされた! 「イヤーッ!」その瞬間、セシリアはテヌグイ・マフラーをほどき、両端をつかみながらアイエスレイヤーのブレードに巻き付けた!

 

恐るべき一撃! 直撃すれば装甲さえトーフめいて切断するカタナ・ブレードが彼女の眼前に迫る。だが、致命的な斬撃はそこで止まった! 「ヌゥーッ!」アイエスレイヤーの目が一瞬、驚きに見開かれる。巨大なカタナ・ブレードは巻き付けられた布で受け止められていたのだ!

 

「このマフラーには亡き父母の血がしみこんでおります! 貴方などに切り捨てられるものですか!」ゴウランガ! 彼女の発言は実際真実であった。テヌグイには彼女の父母のニンジャ血液が染み付いており、その中には血中カラテ粒子が残留している! 死せる父母のカラテが、娘を守っているのだ!

 

「形勢逆転ですわ! 来なさい、《ムカエウチ》!」彼女は武器の名をコールすると手の中には小型クナイ・ダートが現出する。「イヤーッ!」「グワーッ!」セシリアはスズメバチめいた素早さでアイエスレイヤーの胸を狙う。刃は深々とアイエスレイヤーに突き刺さった!

 

この刃を少し捻れば心臓に達し、アイエスレイヤーは爆発四散だ。「さあ、ハイクを詠みなさい、カイシャクして差し上げます!」宣告を受けたアイエスレイヤーの片目が大きく見開かれ、瞳にセンコめいた紅い光が宿る。セシリアは少しその光を不審に思いつつ、この敵に最後の慈悲を与える瞬間を待った。

 

「父母のカラテか……確かにこのカタナ《カケラスノウ》でも切れぬ強いカラテだ。娘を思う親の気持ちか。それを裁く立場に俺はいない」アイエスレイヤーは慨嘆するようにいい、一瞬ブレードに込めた力を抜く。「そうです。我が一族の、そして家族の……」セシリアは続けようとした。

 

「だがニンジャは殺す」「アイエッ?」アイエスレイヤーが再び宣言する。直後、カタナ・ブレード《カケラスノウ》が目映く発光! 「イヤーッ!」「グワーッ!」セシリアのマフラーは濡れた使用済みティッシュペーパーめいて引き裂かれ、セシリア自身にも縦一文字に一撃が入る!

 

「そんな……」セシリアは驚愕し、傷をかばいながらふらふらと後退する。「それは、そのヒサツ=ワザはカラテ無効化攻撃《オチルビャクヤ》! あの者のジツをなぜ貴男が……!」驚愕が顔に浮かび、震える手で白い光を放つカタナ・ブレードを指さす。

 

「イヤーッ!」アイエスレイヤーは斜めに跳躍した後、きりもみ状に回転しながらカタナを振り、セシリアの胴に一撃! チャドーのタツマキケンのアレンジメントめいた横一文字がセシリアに入り、回転しながら屋上からたたき出されて転落する。「サヨナラ!」セシリアのISは絶えきれず爆発四散!

 

アイエスレイヤーは一人、屋上に残された。胸に突き立ったクナイ・ダートを抜き取る。まがまがしい赤黒い血液が流れ落ちる。「スゥーッ、ハァーッ!」彼はチャドー呼吸を行い、出血を止める。ニンジャ回復力がその間に傷口を塞いだ。だが、彼はすぐには動かず、「家族か……」と一言呟いた。

 

「俺は最高の家族を持った。俺は家族を守りたかった。だがそれは、今はもうない」暗闇の下で彼は独りごつ。それはハイクめいてはいたがハイクではなかった。ポエットもなく定型もなく、異様で醜い。モータルが直接聞いたら発狂は免れ得まい。ただそれは、偽らざる彼の心情の吐露でもあった。

 

アイエスレイヤーは敵ISが爆発四散したのとは逆の方向から、ビルからビルへ飛び移るように移動を始める。やがてビルの合間の自然公園のただ中に入った。赤い満月に照らされた彼の歩みの先には、鎮守の森の中、神社めいたトリイと、ドージョーらしき巨大な木造建築があった。

 

戦闘をくぐり、敵を退けたかに見えるアイエスレイヤー。だがしかし、そんな彼の姿を追跡している者が上空にはいる。ドージョーよりもさらに高みに空中停止した漆黒のインフィニット・ストラトス! そのニンジャは、セシリアとアイエスレイヤーが戦闘を開始して以来彼の位置を追い続けていたのだ。

 

「目標を補足した」オブシディアン色のニンジャ装束を纏った影。バスト八十八センチの豊満な胸を持ったニンジャが、頭部を覆ったメンポ内の通信機に向けて呟く。「いや、増援は良い。このまま私がカタをつける」通信を切ると彼女はそのまましめやかに森林に降着し、アイエスレイヤーを追った。

 

「不肖の弟に、な」自然公園に向けて降り立つ彼女――チフユ・オリムラ、またの名をダークニンジャは、目を細めた。その表情は激闘の予感を感じたものか、はたまたアイエスレイヤーの戦闘ぶりを見たうえでのなにがしかの期待か、彼女以外には及びもつかないものであった。

 

(「ゼロ・トレランス・ブルー・ティアーズ」おわり 「メナス・オブ・ダーク・IS」へつづく)

 

 

 

【CAUTION】本編はここで終わりです。以下はおまけとなります。【青少年の何かに注意な】

 

 

 

【おまけ】ザ・カラー・オブ・セシリアズ・ティアーズ【15禁注意な】

 

~もしもインタビューの方法が「……激しく前後に動く。ほとんど違法行為。激しく上下に動く。あなたは共犯者……」だったら~

 

「オヌシにインタビューする」……アイエスレイヤーは降着し、一歩一歩と近づいてきた。「ソウカイヤの情報について答えよ。答えれば楽に死なせてやる。答えぬなら尻をケジメし、思うさま辱める」アイエスレイヤーは痴漢めいた宣言をセシリアに投げた。

 

「アイエエエ……えっ?」セシリアは虚をつかれて惚けたようにアイエスレイヤーをみる。「尻をケジメする」アイエスレイヤーは繰り返した。

 

「あの……アイエスレイヤー=サン?」「何だ」「あのう、尻をケジメする、とはなんですの? というか、し、尻ナンデ?」「そんなことか」アイエスレイヤーは傲然と言い、一歩前に踏み出した。セシリアは後退しようとしたが、背後は既に壁であった。

 

「オヌシはソウカイヤのけしからんニンジャだ。そしてオヌシを構成する要素のうち、わけてもけしからんのはその尻だ。よって私は貴様の尻をケジメする。何もおかしなところはない」「アイエエエエエ!? ナンデ!? 尻ナンデ!?」セシリアは悲鳴を上げて自らの背後をかばいへたり込む!

 

「慈悲はない、イヤーッ!」「ンアーッ!」アイエスレイヤーはイグニッション・シュクチでセシリアに接近、さらに背中をかばう彼女を一瞬で転がして膝で抱きかかえた! ワザマエ! これはシノノノ・スタイルにも伝わるジュー・ジツの応用である! 

 

そしてアイエスレイヤーの腕が鞭のようにしなり、てのひらがセシリアの尻に打ち下ろされた! 「イヤーッ!」「ンアーッ!」しびれるような痛みがセシリアを襲う! 「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「ンアーッ!」

 

……打擲を続けて実に30分、セシリアの心は折れかかっていた。端正な白い肌には赤みが差し、口元はだらしなく開いている。断続的な痛みに耐えることに注意をとられ、目はうつろで唾液が口の端から細くこぼれて糸になっていた。

 

「もう、もう……許して」セシリアは懇願する。「ダメだ。ニンジャに慈悲はない……。これからオヌシのあらゆる場所をケジメしつくす」「なんでやることがレベルアップしてますのぉ……」なんたる非道! これ以上やられては、何かもう色々なものが爆発四散したりして危ない!

 

恐るべき宣言に、セシリアの目からも涙がこぼれた。「しゃべりまふぅ、しゃべりまふからぁ……」「ダメだ」「どぉしてぇぇ……」「いや、ここまでやったからには徹底的にやっておかないと寝覚めが悪いし」「ナンデそこだけ妙に几帳面ですの!?」

 

どのみち、わめいたところで運命は変わらない。セシリアの心が絶望に染まりかけたところ、彼女の恐るべき敵は――後ろから彼女の耳に顔を近づけ、そっと囁いた。「すまぬな。だが、オヌシに夢中にさせるだけの魅力があったということだ」

 

耳元で囁かれた声音は、セシリアの耳には甘く響く。「夢中にさせる、だけの――」求められた、という喜びにセシリアの奥で何かが打ち震える。自分が、魅力的。ストレートオーに表現された思いが彼女の中で響いた。(私は今体温何度あるのでしょうか――?)と彼女は内心に考える。

 

その時である。「キェーッ!」突如横合いから赤いニンジャ装束の影が宙返りしながら、トビゲリ・キックでエントリー! アイエスレイヤーの側面から襲いかかった! 「グワーッ!」アイエスレイヤーはアンブッシュを受け転倒し、回転しながら壁に叩きつけられる! 現れたのは長い黒髪の美しい女ニンジャであり、その胸は豊満であった。

 

「一夏ああああああっ! お前は! 戦闘にかこつけて! 何をやっている!」女ニンジャは激昂した様子で叫ぶ。アイエスレイヤーはケリのダメージもそこそこに立ち上がり、「お、お前は――ドラゴン・ホウキ!? お前の出番は次の回からのはず!?」

 

「心配いらん。ここはおまけだから本編時系列とは無関係だ! イヤーッ!」ホウキと呼ばれた女はカタナを取り出し、シノノノ・スタイルで絶え間なくラッシュをかける! 「メタ発現はやめ……アババババグワーッ!」アイエスレイヤーは完全にリズムを外され、爆発四散重点な勢いで打擲を受けている。

 

セシリアは尻を押さえつつ、二人をぽかんと見つめていた。「……さあ、言い訳のハイクを読め。内容によってはカイシャクしてやる」「言い訳する前に蹴ったじゃないか」「ザッケンナコラー! お前口答えできる立場かコラー!」凶悪なヤクザスラング罵倒でアイエスレイヤーは正座する。「アッハイ」

 

「そこに尻が/あったから叩いた/月がきれいだった」「ザッケンナコラー!」「グワーッ!」ホウキのボン・パンチが炸裂! 「ハイクになってないではないか! というか篠ノ之流悪用してんじゃねっコラー!」

 

「さあ、帰るぞ馬鹿者!」「あ、いや、まだセシリア倒してないんだけど」アイエスレイヤーは襟首を引きずられながら訴える。「……そんなに尻がさわりたいのか?」「アッイヤそういうことではなく」アイエスレイヤーが否定しかけたところで、ホウキが口を開く。

 

「そ、そんなに触りたいなら……」ホウキは言った。なぜかそのメンポの下の顔は赤らんでいる。「わ、私のものを触ればいい! わざわざ敵に行く必要はない!」「えっ、ホウキ、それって」「いいから! もう帰るぞ、お父様が心配だ!」二人のニンジャはセシリアとは反対から闇夜の中に消えていった。

 

セシリアは、呆然とその闇を見つめていた。「……イチカ、というのですね、あのニンジャ」彼女の手は何かを反芻するように自然と自らの後背部に延びる。触るとそこはうずくようで、彼女は体温が高まるのを感じた。

 

「この屈辱……! 晴らさずにはおれませんわね」彼女は壁をつたって立ち上がる。膝は砕けそうである。負傷は重くない。もっぱら精神的な理由によるものだ。

 

「アイエスレイヤーのイチカ……私を求めたというなら、半端は許しません。今度はこちらから捕まえて差し上げますわ、」セシリアは独白し、自らの目元を拭った。彼女の目元には熱い雫がたまっており、彼女のISの名と同様美しい輝きを放っていた。

 

(「カラー・オブ・セシリアズ・ティアーズ」おわり)

 

 

【おまけ】アイエスレイヤーは青少年のなんかに配慮しており、猥褻は一切ない。【おわり】




ドーモ、ニンジャヘッズの皆さん。Y-12クローン作者のオンタマヤです。

昨今の忍殺のファンの増加ぶり、物理書籍版の好調、さらにISの復刊ということで縁起が良いもの同士をコラボレエイションーさせてみました。

テキストカラテが不足でいまいちだった気もしますがこれを読んでニンジャスレイヤーに興味を持ってくださった方がいたら是非、Googleでニンジャスレイヤーと検索して読んでみてください。Pixivで検索してウキヨエ(ファンアート)を見るのも楽しいですよ(ステマ)



筆者はバイオヤクザのためバイオインゴットが不足気味で、続きを書くかどうかは全く分かりません。具体的には、現在書いているものが詰まると息抜きと忍殺アトモスフィア摂取のためこの作品を書くことが……グワーッ!

また、筆者はノンケのマゾヒストという非常にアンタイ・ブディズムな存在ですので、囲んで警棒(感想)で叩いていただけると大変喜びます。
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