異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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父たちの戦い

 

 

「トーチカの数は!?」

 

「分かりません! 5ヵ所ほど健在なのが残ってるみたいです!」

 

「火力をどこか1ヵ所に集中させろ! 突破してから背後に回り込めッ!!」

 

「了解! 誰か、ロケットランチャーは持ってるか!?」

 

 何名かが返事をし、背負っていたロケットランチャーや無反動砲を取り出し始める。他の奴らがトーチカの機銃を引きつけている間に何とかロケットランチャーで片付けてくれれば、すぐに突破できる筈だ。

 

 RPDのフルオート射撃で重機関銃の掃射に挑んでいる勇敢な射手の隣で、俺もアサルトライフルで銃撃を始めた。エリスとエミリアも、俺の隣まで匍匐前進でやってくると、装備しているAK-47をセミオート射撃に切り替え、トーチカで重機関銃をぶっ放している射手を狙撃し始める。

 

 すると、俺たちの後方で歩兵を下ろしていたスーパーハインドの群れの中から、1機だけ兵士を機体の下に吊るしたスーパーハインドが、編隊から離れて俺たちの頭上を通過していったんだ。もしかするとターレットとロケットランチャーで援護してくれるのかと思ったんだが、そのスーパーハインドは何も攻撃せずに、そのままトーチカの近くを旋回しながら吊るしていた兵士を投下して飛び去って行った。

 

 あの兵士を殺す気かと思ったんだが、その兵士の装備は、俺たちに重機関銃を掃射しているトーチカを黙らせられるほど頼もしい重火器だった。しかも、あの迷彩服に身を包んだ体格の良いハーフエルフの男性には見覚えがある。

 

 そのうち、俺の義理の弟になる男だ。

 

「ハッハッハッハァッ! 旦那ぁ、俺に任せてくれぇッ!!」

 

 トーチカの前に投下されたのは、巨大な弾薬タンクを背負い、2mほどの長い銃身を持つガトリング砲を抱えたギュンターだった。すぐ足元に重機関銃の銃弾が命中しているというのに、あいつはいつものように大笑いしながらそう言うと、左手でGSh‐6‐30と呼ばれる戦闘機やイージス艦に搭載されているようなガトリング機関砲のキャリングハンドルを握りながら、30mm弾を凄まじい速度で連射できる恐ろしいガトリング機関砲の発射スイッチを押した。

 

 巨大な6つの銃身が回転を始め、響き始めたモーターの音をすぐに轟音がかき消す。猛烈なマズルフラッシュが浜辺を橙色に染め上げ、ガトリング砲から排出される巨大な薬莢が、彼の足元を埋め尽くしていく。

 

 俺たちの目の前で、先ほどまで必死に12.7mm弾を掃射し続けていたトーチカの外壁が、ギュンターのガトリング砲によって放たれた無数の30mm弾の群れに食い破られていく。5.56mm弾の集中砲火でも少し剥がれ落ちる程度だったトーチカの外壁に次々に大穴が開いていき、凄まじいマズルフラッシュの向こうで重機関銃の射手の肉片が飛び散ったのが見えた。

 

 ギュンターのガトリング砲の餌食になったのは、トーチカの射手たちだけではなかった。トーチカの周囲でLMGを構え、上陸した俺たちを5.56mm弾のフルオート射撃で牽制していた奴らにも、ギュンターはガトリング砲の砲口を向けたんだ。

 

 浜辺の向こうで鮮血が吹き上がる。次々にマズルフラッシュの輝きが消えていき、オレンジ・ビーチの銃声をギュンターが支配する。

 

「よし、トーチカ沈黙ぅッ!」

 

「よくやったわ、ギュンターくん!」

 

「総員、銃剣を装着しろ! 突撃するぞ!」

 

 銃身の脇に折り畳んでいたスパイク型銃剣を展開しつつ、隊員たちに命令する。エミリアやエリスも銃剣を装着すると、俺の方を見てから頷いた。

 

 他の海兵隊員たちも、俺たちと同じタイプの銃剣を装備するか、胸の鞘の中に納まっていたナイフを銃身の下に装着し、突撃の準備をしている。

 

「LMGを持ってる奴らは残っている敵を牽制しろ! 俺たちが突撃する! ―――――――――お前ら、掛け声は覚えてるな!?」

 

「はい!」

 

 李風たちのギルドでも、全員で突撃する時はこうやって叫べと訓練している筈だ。

 

 突撃する準備をしながら、俺は伏せている兵士たちを見渡した。海兵隊の隊員たちは銃剣を装着した銃を構えながら俺の方を見て、俺と目が合う度ににやりと笑っている。

 

 もう、出撃する前の恐怖はなくなっているようだった。

 

「そろそろ行くぞ。―――――突撃ぃッ!!」

 

「「「「「「「「「「УРааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааааа(ウラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ)!!」」」」」」」」」」

 

 俺が号令を発した直後、260人の海兵隊の咆哮がオレンジビーチを支配した。ギュンターのおかげで薄くなった敵の弾幕の中で一斉に立ち上がった転生者の兵士たちが、銃剣を装着したアサルトライフルを構え、まだLMGで攻撃してくる敵兵へと向かって突撃していく。

 

 突撃する海兵隊の先頭を突っ走るのは、俺とエミリアとエリスの3人だ。俺は走りながらAK-47のセミオート射撃でLMGの射手の頭を撃ち抜き、隣でアサルトライフルを必死に連射していた奴の肩と頭にも7.62mm弾をお見舞いした。

 

「おい、敵が突っ込んで来る!」

 

「先頭の奴、頭に真紅の羽根をつけてるぞ! 転生者ハンターか!?」

 

 慌てふためく敵兵たちの声が聞こえる。どうやら迷彩服を身に纏っていても、この真紅の羽根は有名らしい。

 

 そいつらも7.62mm弾で始末しようと思ったんだが、俺がトリガーを引くよりも先に、左手で背中に背負っていた鞘から大剣を背負ったエミリアがそいつらに急接近し、片手で振り払った大剣で2人の転生者の首を同時に両断した。片手でクレイモアを振るっていたというのに、そのスピードは転生者でも見切れないほどの速さだった。

 

 そして、首を刎ねられて鮮血を吹き出す死体の脇を通り過ぎながら背中のハルバードを取り出したのは、俺のもう1人の妻のエリス。先端部がパイルバンカーになっている”パイル・ハルバード”と呼ばれる特殊な得物を突き出し、杭の先端部で転生者の腹を貫くと、そのまま右手に持っていたAK-47を片手でぶっ放し、ハルバードで貫かれた仲間の仇を取ろうとしていた敵兵の頭を撃ち抜いた。

 

 他の海兵隊員たちも次々に敵兵に接近し、まだ反撃しようとしていた奴らの腹や胸を銃剣で突き刺していく。どうやらあの健在だったトーチカたちは先ほどの爆撃で孤立してしまっていたらしく、敵の救援が来る様子はなかった。

 

 オレンジビーチの潮風は、敵兵の血の臭いで支配されつつあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オレンジ・ビーチに転がっているのは、敵兵の死体ばかりだった。

 

 ギュンターの援護のおかげで犠牲者を出さずに海岸のトーチカを突破する事ができた俺たちは、ファルリュー島の中央へと向かってジャングルの中を進んでいた。

 

 ジャングルと言っても、殆ど木は残っていない。味方の爆撃のせいで焼き払われてしまったため、俺たちの目の前に広がっているのはジャングルの残骸と、真っ黒に焦げた敵兵の死体だけだった。中には彼らがせっかく用意した対空機関砲の砲台もあったんだけど、爆弾の衝撃波のせいで機銃の銃身はひしゃげている。

 

 これならば、このままミサイルサイロまでたどり着けるんじゃないか? 俺はそう思ったんだが、俺たちの目の前から聞こえてきた銃声と叫び声が、容赦なくその考えを木端微塵に粉砕してくれた。

 

「敵襲! 12時方向ッ!!」

 

 さっきの爆撃の生き残りだろうか? それとも、中心部からの増援か? 

 

 とにかく、こいつらを無視して行くことは出来ない。ここで殲滅してからミサイルサイロへと向かう必要がある!

 

「コンタクトッ!」

 

 セレクターレバーをフルオート射撃からグレネードランチャーへと切り替えた俺は、焼け野原と化したジャングルの向こうから現れた敵兵の群れへと40mmグレネード弾をお見舞いし、グレネードランチャーの砲口へと新しい砲弾を叩き込みつつ、セレクターレバーをフルオートへと切り替える。

 

 どうやら敵兵にはさっきの爆撃の生き残りも混じっているらしく、顔中に何かの破片が突き刺さり、火傷の痕もある兵士が何人かいるのが見えた。

 

 それがどうした。

 

 そんなに傷だらけだからって容赦するつもりはない。お前たちはネイリンゲンで何もしていない民間人をあんなに虐殺したんだ。

 

「ネイリンゲンの仇討ちだ! 皆殺しにしろッ!!」

 

 味方の銃撃が始まる。ネイリンゲンで仲間を焼き殺された恨み。あの街に住んでいた恋人を殺された悲しみ。そして今まで奴らに利用されていたという怒りが、俺たちの力を増幅しているようだった。もしかしたら銃弾に貫かれ、死んでしまうかもしれないという恐怖を、次々に噴き出てくる怒りがたちまち喰い尽してしまう。

 

 この戦いは復讐でもある。失ったものを取り戻すことは出来ないが、奴らから同じように奪い取ることは出来る。

 

 だから理不尽に。そして徹底的に。

 

 俺たちも、奴らから奪い尽してやる。

 

 フルオート射撃を敵兵の腹に叩き込み、その後ろにいた奴の顔面にも7.62mm弾のフルオート射撃をお見舞いする。原形を留めないほど頭をぐちゃぐちゃにされて崩れ落ちる敵兵の死体を蹴飛ばし、義足になっている左足のブレードを展開してから足元で呻き声を上げている敵兵の頭を踏みつける。鮮血と敵兵の肉片で迷彩服を真っ赤に染めながら雄叫びを上げ、前へと進んでいく。

 

 海兵隊員たちも容赦がなかった。銃弾を腹に撃ち込まれて倒れていた敵兵にも止めを刺し、武器を捨てて降参しようとしている兵士の頭を躊躇せずに撃ち抜いている。

 

 大切なものを奪われた怒りが、躊躇をかき消していた。

 

「力也!」

 

「!」

 

 大剣で銃剣突撃をしてきた敵兵の胴体を真っ二つにしていたエミリアが、前方を指差しながら叫んだ。また敵の増援かと思ってそちらの方を見てみると、焼け焦げた巨木が倒れている向こうに、2mほどの深さの通路のような溝が掘ってあるのが見えた。爆風で何ヵ所かは埋まっているが、その溝に隠れた敵兵たちが機関銃を構え、こっちに向かって連射を始めている。

 

 塹壕か。おそらく上陸してきた俺たちをあの塹壕で迎え撃つつもりだったんだろう。

 

 後方で敵兵を蹂躙し続けている海兵隊員たちに伏せろと指示を出そうとしたんだが、塹壕から飛び出てきた敵兵たちの攻撃が予想外だったため、俺は指示を発する事ができなくなってしまった。

 

「勇者様、バンザァァァァァァァァァァイッ!!」

 

「バンザァァァァァァァァイッ!!」

 

「は…………!?」

 

 塹壕の中から、銃剣を装着したアサルトライフルを構えながら、無数の敵兵が一斉に突っ込んできたんだ。

 

 まるで日本軍の突撃だ。あまりにも無謀過ぎる。しかも、よく見ると銃を持って突っ込んで来ている兵士たちは転生者たちばかりではないらしい。中には長い耳のあるエルフやハーフエルフも混じっていたし、背の低いドワーフの兵士もいた。

 

 こいつらも勇者に味方をしているのか? それとも、転生者たちに脅されてこんな無謀な突撃をやらされているのか?

 

「バンザイアタックだッ!!」

 

 アサルトライフルに銃剣を装着して突っ込んできたエルフの兵士の頭を撃ち抜きながら、俺は先ほど指示を出そうとした代わりにそう叫んだ。

 

 こいつらは、敵だ。躊躇している場合ではない。

 

 そうだ、容赦をするな。こいつらがネイリンゲンに核を落としたんだ。ここで躊躇すれば子供たちに会えなくなる。

 

 ―――――――殲滅しろ。蹂躙して生き延びろ。

 

「力也、なんだこれは!?」

 

「落ち着け! 撃ちまくるんだ!!」

 

 敵の数がこっちよりも多い。おそらく、この馬鹿げた突撃をやっている敵兵の数は700人前後だろう。260人の海兵隊に向かって、倍以上の兵士たちがバンザイアタックを仕掛けてきているんだ。

 

 くそ、何だこいつらは? 日本軍の亡霊か!?

 

「ぐあっ…………!!」

 

「西田ぁッ!! 軍曹、西田が撃たれた!!」

 

「メディック、急げ!」

 

「!!」

 

 突っ込んで来る敵兵を迎え撃っていると、俺の左側から若い呻き声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ。空になったマガジンを取り外しながらちらりとそちらを見てみると、RPDを装備していた海兵隊員が胸を押さえながら崩れ落ちているところだった。

 

 確か、あの兵士はさっき浜辺でトーチカに向かってLMGを撃ち返していた勇敢な射手だ。バンザイアタックを仕掛けてきた敵兵を迎え撃っている間に、後方の塹壕の敵兵から狙撃されてしまったらしい。

 

 フルオート射撃で銃剣を装着したM4を持って突っ込んできたドワーフを木端微塵にしてやった俺は、その倒れた隊員の元へと全力で突っ走った。AK-47を腰に下げ、彼が持っていたLMGを拝借すると、片手でフルオート射撃をしながら彼を助け起こした。そのまま近くの倒木の陰に隠れさせ、弾切れになるまでフルオート射撃をしてから彼の身体を揺する。

 

「おい、しっかりしろ!」

 

「ど、同志…………すいません、撃たれちゃいました…………」

 

「フィオナはいるか!? 急いで手当てを―――――――――」

 

 フィオナならば、彼の傷を治療できるかもしれない。そう思って彼の傷口を確認したんだが、どうやらこの射手は7.62mm弾で撃たれていたらしく、風穴は5.56mm弾よりも大きかった。胸の肉は抉れていて、迷彩服が真っ赤に染まっている。

 

「おかあ……さん…………に………よろしく…………おねがい………しま…………す………………」

 

「おい………おい、頼む…………死ぬな…………!」

 

 ここは異世界だぜ? お母さんがいるわけないじゃないか…………。

 

 どうやってお前の母親に伝えればいいんだよ……………?

 

「ちくしょう……………!」

 

 徐々に迫ってくる敵兵の雄叫び。敵のバンザイアタックと塹壕からの射撃で、次々に海兵隊の隊員たちが倒れていく。

 

 その時、ネイリンゲンで死んでいったサラとピエールの姿がフラッシュバックした。勇者が爆発させるように指示した核爆弾で倒れていった2人。今度は敵兵の銃弾が、俺よりも年下のこの転生者の命を奪った。

 

「――――――――うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

 雄叫びを上げながら、かぶっていた迷彩模様のフードを取った。もう既に俺の頭に生えている角はダガーのように伸びていて、先端部の方は溶鉱炉に放り込まれた金属のように真っ赤に染まっている。

 

 尻尾にアサルトライフルを持たせ、腰に下げていた仕込み杖を引き抜く。その仕込み杖を2つに分離させ、柄の中に格納されていた漆黒の細身の刀身を展開した俺は、続々と突っ込んで来る敵兵の群れの中へと向かって突っ走り始めた。

 

 角を生やし、尻尾でアサルトライフルを持っている俺の姿を見た敵兵が怯え始める。敵兵の中から聞こえてくる「か、怪物だ……………!」という声を聞きながら、アサルトライフルのフルオート射撃で怯えている敵兵を薙ぎ払い、仕込み杖の刀身を近くにいた敵兵の眼球に突き刺した。

 

「ギャアアアアアアアアッ!!」

 

「う、撃て! 何をしている!? 早くあの怪物を仕留めろ!!」

 

 強引に眼球に突き刺さっていた刀身を引き抜き、情けない声を上げながら片目を押さえる敵兵のうなじにもう一度剣を突き立てた俺は、その兵士の返り血を浴びて真っ赤になりながら敵兵の群れを睨みつけた。

 

 もう、先ほどのようにバンザイと叫びながら突っ込んで来る敵兵はいなかった。銃を俺に向けながら怯えているだけだ。

 

 相手が怯えていても容赦をするつもりはない。血まみれになった刀身を敵兵の死体から引き抜き、姿勢を低くしながら怯える敵兵の隊列の中へと斬り込んだ。

 

 慌てて引き金を引く敵兵。だが銃弾が銃口から飛び出すよりも先に義足からブレードを展開してローキックを放ち、その敵兵の足を太腿の辺りから切断して転倒させてしまう。続けて尻尾のアサルトライフルでそいつに止めを刺しつつ、左右にいた敵兵の側頭部に仕込み杖の刀身を突き立てた。刀身は引き抜かずにそのまま手を離し、叫びながらショットガンで殴りかかってきたエルフの兵士の顔面に、変異したせいで外殻に覆われている左手でストレートを叩き込む。

 

 人の顔面を殴りつけたというよりは、まるで障子に向かって思い切りパンチを叩き込んだような感覚だった。殆ど手応えを感じなかったんだが、俺の左のストレートはしっかりと敵兵の顔面を粉砕していたらしい。

 

 顔面から血を吹き出しながら後ろに倒れる敵兵。塹壕からの射撃を外殻を生成して弾き飛ばしながら敵を睨みつけ、左右に倒れている敵兵の頭からやっと仕込み杖を引き抜き、後方で応戦している仲間たちに向かって叫んだ。

 

「続けぇッ!!」

 

「おおおおおおおおおおおっ!!」

 

 仲間をやられた海兵隊員たちが雄叫びを上げながら立ち上がる。

 

 やっぱり頭に生えているこの角は目立つのか、機関銃の掃射が俺の足元に次々に命中する。何発も7.62mm弾や5.56mm弾が俺の身体を掠め、足元に転がっている倒木や木の破片に風穴を開けていく。

 

 走りながら俺はトリガーを連続で3回引いた。1発目は塹壕の中で機関銃を乱射していた敵兵の胸に命中し、2発目は塹壕の中で手榴弾を取り出していた敵兵の頭に命中。3発目の7.62mm弾は、敵兵の死体の陰に隠れていた兵士が担いでいたRPG-7の弾頭に命中した。

 

 敵兵が担いでいたロケットランチャーが爆発し、塹壕の中で火柱が吹き上がる。真っ黒に焼き払われたジャングルを一瞬だけ真っ赤に染めた火柱はすぐに黒煙に変貌し、蒼空を黒く染めた。

 

「エミリア、暴れるぞ!」

 

「ああ!」

 

 久しぶりに、夫婦で暴れ回ろうじゃないか。

 

 AK-47を腰に下げ、仕込み杖の柄を握る。そのまま柄を捻って杖を2本に分離させ、ボタンを押して漆黒の刀身を出現させた俺は、俺の後ろでクレイモアを引き抜いたエミリアをちらりと見てから――――――――2人で同時に、敵兵の群れへと襲い掛かった。

 

 いきなり突撃してきた俺たちを見て慌てふためく敵兵たち。何人かはアサルトライフルで反撃してきたが、俺とエミリアは容易くその弾丸を剣で弾き飛ばして彼らに接近すると、大剣と仕込み杖の剣で同時に敵兵の胴体へと刀身を叩き付けた。

 

 腹の辺りから真っ二つにされて崩れ落ちる敵兵。その敵兵を仕留めたエミリアは、大剣を構えながら別の敵兵へと襲い掛かっていく。

 

 俺も別の獲物を狙うことにした。ターゲットは、前進していく歩兵部隊を支援するエリスを狙おうとしている敵兵だ。

 

 両手の剣を逆手持ちにし、敵の背後から飛び掛かると、その敵兵の首筋に向かって逆手持ちにしている仕込み杖の剣を突き立てる。右手に持っていた方の剣を強引に引き抜き、敵兵のヘルメットに突き立てた俺は、後ろを振り返ると同時に左手の剣を引き抜き、背後から俺を銃剣で貫こうとしていた敵兵の額へと向かって剣を放り投げていた。

 

「がっ……………!?」

 

 額に剣を突き刺されて絶命する敵兵。俺は右手の剣を敵兵の脳天から引き抜くと、血まみれの剣で敵兵の弾丸を弾きながら左手をトカレフへと伸ばし、またしても早撃ちで敵兵を仕留めた。

 

 早撃ちを終えたソ連製ハンドガンを再びホルスターへと戻し、倒れた敵兵の頭に未だに突き刺さっていた仕込み杖を引き抜く。左手の剣を逆手持ちにしてから敵に向かって斬り込み、エミリアに向かって銃弾をぶっ放していた敵兵の背中を左右の剣で何度も斬りつけた俺は、その死体をエミリアに向かって銃剣を突き刺そうとしていた敵兵に向かって蹴飛ばし、その敵兵に仲間の死体を代わりに貫かせる。

 

 その敵兵は大慌てで銃剣を引き抜こうとするが、銃剣が仲間の死体から離れるよりも先に、エミリアの振り払ったクレイモアの強烈な剣戟が、その死体もろとも敵兵の首を刎ね飛ばしていた。

 

「昔もこうやって戦ったよなぁ!」

 

「2人で逃げてる時か!?」

 

「ああ! ほら、森の中で狼の群れと戦ったじゃないか!!」

 

 ジョシュアの元からエミリアを連れ去り、一緒に逃げていた時のことだ。オルトバルカ王国へと向かうために森の中を逃げている最中に、俺たちは無数の狼の群れと戦った事があった。

 

 あの時も、こうやって2人で無数の狼を相手に奮戦したんだ。

 

「懐かしいな! 7年前か!!」

 

「ああ!!」

 

 エミリアが腰のホルスターからPP-2000を引き抜き、フルオート射撃で俺の背後にいた敵兵たちを薙ぎ倒す。

 

 トーチカの近くにある機関銃をこっちに向けてきた敵兵に向かって両手の剣を投擲すると、腰のホルスターからトカレフを2丁引き抜き、銃剣を構えて突っ込んできた敵兵の頭に銃口を押し付けてからトリガーを引いた。

 

 顔面に風穴を開けられて崩れ落ちる敵兵。その敵兵がかぶっていたヘルメットを蹴飛ばし、背後の敵兵の顔面に叩き込んだ。いきなり血まみれのヘルメットを頭に叩き込まれた敵兵が体勢を崩している間に、今度はエミリアがSMGの銃口をその敵兵に向ける。フルオート射撃を敵兵の胴体に叩き込んで穴だらけにすると、彼女もクレイモアを背中の鞘に戻し、もう片方の手でSMGを引き抜いた。

 

 俺たちの周囲にはまだ無数の敵兵がいる。だが、敵兵たちはたった2人で奮戦している俺たちを恐れているようだった。

 

 だが、俺たちは容赦しない。トカレフの早撃ちで敵兵を次々に撃ち抜き、エミリアは両手のSMGのフルオート射撃で敵兵を薙ぎ倒す。

 

 弾切れになったトカレフのグリップから空になったマガジンを抜き取りながら、俺は尻尾と左足のブレードで応戦。エミリアの持つPP-2000のほうが弾数が多いため、彼女はまだ射撃を継続している。

 

「おい、あの2人を止めろ! 何をしている!?」

 

「だっ、ダメです! あの2人…………つ、強すぎる……………ッ!」

 

 仕込み杖を元に戻し、腰に下げていたAK-47を掴み取る。おそらくマガジンの中には、まだ20発くらいは弾丸が残っているだろう。

 

 傍らでPP-2000の再装填(リロード)を終えたエミリアをちらりと見てから、再び2人で敵の塹壕の中へと突っ込んで行く。

 

 地面に突き立てられた敵兵の装備品と思われるスコップを引き抜き、右手でAK-47を乱射しつつ左手でスコップを振るう。敵の頭に攻撃を叩いこむ度に、ヘルメットもろとも人間の頭を粉砕する感覚を感じているうちに、いつの間にか俺が身につけている迷彩服は返り血や脳味噌の破片ですっかり真っ赤になっていた。

 

 返り血で真っ赤になってしまったせいなのか、塹壕の中でブローニングM2重機関銃を連射する敵兵から、「あの赤鬼を狙え!」という叫び声が聞こえてくる。

 

 赤鬼か…………悪くない。

 

 数名の海兵隊員と共に残った彼をちらりと見た俺は、仲間たちと共に敵の塹壕へと向かって走り出した。

 

 この焼けたジャングルの中も、血の臭いで支配され始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

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