異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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傷ついた時計

 

 

 後に第一次転生者戦争と呼ばれることになる転生者同士の戦争は、こうして終わった。

 

 たった260人の海兵隊が、練度の高い10000人の守備隊を打ち破ったのである。この異世界だけでなく、俺たちが生きていた前世の世界でも絶対に考えられない奇跡的な逆転勝利だが、辛うじてファルリュー島の死闘から生還した強襲揚陸艦『アンドレイ』の甲板の上で、勝利したからと歓声を上げる乗組員は1人もいない。

 

 正確に言うならば、歓声を上げられる状態ではない。

 

 激戦で手足を失い、すぐ隣にいた戦友の死体を目の当たりにしてしまった兵士は多い。まさに地獄の戦いだった。銃弾の応酬と断末魔が支配する地獄から生還できたことは嬉しいだろう。けれども、地獄から生還したからと言って歓声を上げる気にはなれない。

 

 俺も彼らと同じだ。妻たちや仲間たちに向かって微笑みかけることはできるけれど、仲間と抱き合って甲板の上で大騒ぎしたり、大声で歌を歌う気には決してなれない。

 

 甲板の上にいるヘリの数もかなり減っている。戦闘開始前には何機ものスーパーハインドが鎮座し、整備士から燃料や弾薬の補給を受けて出撃命令を待っていたというのに、今では装甲に弾丸の命中した痕をこれでもかというほど刻みつけられたボロボロのスーパーハインドが、すっかり空いてしまった甲板の上で寂しそうに補給と応急処置を受けている。

 

 島に上陸した海兵隊は260人。そのうち犠牲になったのは半分以上。

 

「少数精鋭には限界がある…………」

 

 人影の数が減ってしまった強襲揚陸艦の甲板の上で、担架に乗せられた重症の兵士を見つめながら俺は呟いた。

 

 今回は李風たちのギルドが全面協力してくれたからこそ、こうして強襲揚陸艦や空母を戦闘に投入することができた。彼らの錬度はまだ低かったとはいえ、役立たずだったというわけではない。むしろ彼らがこっちの味方をしてくれたからこそこの戦いに勝てたのだ。

 

 モリガンの傭兵たちだけで、あの島を攻略するのは不可能だった。

 

 いくらモリガンの傭兵たちが百戦錬磨の傭兵ばかりで、各国からも1人で騎士団の一個大隊に匹敵する戦力を誇ると評されているとしても、現代兵器で武装した10000人の守備隊を突破し、勇者を撃破して、核ミサイルの発射を阻止するのは不可能である。

 

 今までは、現代兵器を外部に横流しされたり、この異世界の兵器を手に入れようとして仲間割れすることを恐れていたからこそ、必要以上に軍拡をしようとは思わなかった。あくまでも俺たちは少数精鋭の傭兵で、クライアントが俺たちの戦力を欲するならば戦闘のエキスパートを派遣して報酬を受け取る。それで十分だと思っていたのだ。

 

 しかしこの勇者との戦いで―――――――俺は考えを改めた。

 

 これからの戦争に必要なのは、”適度な練度と圧倒的な物量”だと。

 

 物量だけあればいいというわけではない。いくら伝説の英雄を葬るために10000人の男を武装させて派遣させたとしても、銃の撃ち方も知らない上に味方との連携もできないようなバカを送り込んだところで勝ち目はないからだ。

 

 だからこそ、それなりに味方との連携が取れる上に戦いにも慣れている兵士を武装させ、その兵士を大量に派遣できるほどの組織を作り上げる必要がある。

 

「物量…………もう、少数精鋭の時代も終わりだな」

 

 隣で海を眺めていたエミリアが、寂しそうにそう言いながら足元の甲板の小さな破片を拾い上げ、それを眼前のラトーニウス海へと向けて放り投げた。敵の機銃掃射で砕け散ってしまった破片はすぐに強襲揚陸艦『アンドレイ』のすぐ隣の海面に落下すると、そのまま海底へと沈んでいく。

 

 もう二度と、姿を現すことはないだろう。

 

 少数精鋭の時代が、やがて圧倒的な物量の軍勢がぶつかり合う時代に取って代わられるように。

 

 それに、もっと兵力があればネイリンゲンに厳重な防衛ラインを構築し、検問も設置して徹底的にネイリンゲンへと入る人々を調べられたはずだ。最後の最後まで少数精鋭にこだわってしまったからこそ、ネイリンゲンの警備は手薄のままだった。

 

「ダーリン、これからはどうするの? 軍拡でもする?」

 

「そうするべきだろうな…………。ただ、モリガンをそのまま大きくすれば、貴族共も反発するだろう。王室が後ろ盾になってくれるとしても、そう簡単に軍拡はできん」

 

 モリガンを頼るクライアントは世界中にいるが、モリガンを疎む者たちも同じように世界中にいる。俺たちが引き受けた依頼で親しい人を失った復讐者や、自分たちの計画を頓挫させられ、失脚した貴族の親族。俺たちが兵力を拡大させ始めれば、絶対に横槍を入れてくる事だろう。俺たちや王室でも対処しきれないほどの横槍を入れられるような事態は避けなければならない。

 

 ならば―――――――モリガンはそのまま残そう。

 

 新しい組織を作ればいいのだ。モリガンそのものではなく、新設した新しい組織を成長させればいい。

 

 しかし、大きな組織になればなるほど運営のための資金も大きくなる。下手をすれば、モリガンの資金を使い果たしてしまう恐れがある。

 

 だからその組織でも、資金を集められるようにする。同じように傭兵ギルドにするわけにはいかないから、資金を集める方法も別の方法に変える必要がある。

 

 そうなると、最も合理的な手段は―――――――”会社”を設立することだろう。

 

 モリガンとは全く違う”企業”を作り上げ、様々な事業で資金と人材を集めつつ、その企業を圧倒的な軍事力を持つ巨大な怪物へと成長させる。あくまでもモリガンとは別の組織なのだから、モリガンそのものを成長させるよりも横槍は少なくなるはずだ。

 

 それに、この世界には失業者が多い。理不尽としか言いようがない過酷な労働を押し付けられ、考えられないほど安い賃金で働かされる労働者たち。働かなければ家族を養えないし、身体を壊せば収入がなくなる。路頭に迷う彼らを救うためにも、俺たちが何とかしなければならない。

 

「決めたよ。…………圧倒的な軍事力を持つ会社を作る」

 

「会社?」

 

「そうだ。志願者には武器を支給して訓練させ、丁寧に傭兵に育て上げる。―――――――そうすれば、少なくとも今回みたいな惨劇は起らないはずだ」

 

 何の罪もない人々を守るための武力が必要だ。

 

 だからその武力を、俺たちが作る。

 

 人々を脅かすクソ野郎共を焼き払う炎を、俺たちが生み出すのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エイナ・ドルレアンの分厚い防壁が夕日を遮っているせいで、ネイリンゲンの犠牲者たちが埋葬された墓地のある場所だけは真っ暗になっていた。壁の近くに用意された墓地だから、日光もあまり当たらない。昼間でも薄暗い、不気味な墓地だ。

 

 だが、俺たちは犠牲なった人々を絶対に忘れない。もし日の光が当たらないというのならば、俺たちが彼らを照らし出そう。俺には敵を蹂躙するための炎があるのだから。

 

 アンドレイから傷だらけのヘリでラトーニウス王国の上空を通過した俺は、そのままヘリのパイロットにエイナ・ドルレアンに寄ってくれるようにお願いしていた。真っ先に王都の家に帰り、子供たちを抱き締めてあげたいところだが、まず先に勇者の犠牲になった人々に報告するのが先だ。

 

 あなたたちの仇は取った。だから、どうか安心して眠ってくれと。

 

 無数の墓石が鎮座する墓地へと妻たちと共に足を踏み入れた俺は、ランタンで墓地を照らし出しながら、防壁の隅の方にある墓石へと向かって歩き始めた。

 

 確か、あの墓石だ。あの墓石の下に、サラとピエールが眠っている。

 

 その墓石に2人の名前が刻まれているのを確認した俺は、涙を流したくなるのを堪えながらゆっくりと膝をついた。ランタンを傍らに置き、まだ血の臭いのする右手で墓石に刻まれている2人の名前をなぞる。

 

 終わったぞ、2人とも…………。

 

 お前たちの仇は、俺たちが取った。

 

 だから、安心してくれ。もうお前たちを苦しめた奴らはいない。俺たちがお前たちの仇を取った。奴らから全て奪い去ってやった。

 

 未練はあるかもしれないが、どうか成仏してくれ…………。

 

 あんな惨劇を繰り返さないために、俺たちはもっと力を蓄える。クソ野郎共がもう二度と人々を蹂躙できないように、牙を剥く奴をすぐに焼き払えるほどの軍事力を手に入れてみせる。

 

 持参した花束を墓前にそっと置き、立ち上がってからエミリアとエリスとフィオナの3人と一緒に手を合わせる。俺たちは涙を流すのは我慢していたんだが、目を瞑りながら手を合わせていると、傍らから幼い嗚咽が聞こえてきた。

 

 おそらく、フィオナは我慢できなかったんだろう。彼女はサラと仲が良かった。仕事が無い日や休日は彼女と一緒に遊んだり、買い物に行っていたのだから。

 

 静かに目を開けた俺は、まだ目を瞑って手を合わせながら涙を流しているフィオナの小さな頭の上にそっと手を置いた。

 

 彼らはこれで成仏してくれるだろうか? 

 

「―――――――――行こう、力也」

 

「ああ…………」

 

 持参したランタンを拾い上げようと思ったが、俺は手を伸ばしかけたところですぐに引っ込めた。成仏するのならばこんな薄暗い場所から成仏するのではなく、ランタンの明かりで照らされながら成仏した方がいいだろう。

 

 このランタンは、送り火代わりに置いて行こう…………。

 

 涙をハンカチで拭い去ったフィオナが踵を返す。俺は彼女を見守っていたエリスに向かって頷くと、2人の墓石に向かって敬礼をしてから、俺も踵を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王都の門を潜る前に血まみれの迷彩服からいつもの紳士のような格好に着替えた俺は、同じく着替えを済ませた妻たちと共に、国王がこの王都に用意してくれた家の前に立っていた。

 

 もう暗くなってしまった。ガルちゃんはちゃんと子供たちの面倒を見てくれていただろうか? 子供たちはちゃんと俺たちの事を待っていてくれるだろうか?

 

 家の門を潜る前に、俺は懐からラウラが書いてくれた似顔絵を取り出した。端の方が少しだけ血で紅くなっているけど、それ以外はあまり汚れていない。

 

 この似顔絵のおかげで、戦い抜く事ができたのかもしれない。

 

 この絵が、子供たちの所に帰らなければならないという決意を守ってくれた。そして、俺たちの命も守ってくれた。

 

 似顔絵をポケットの中にしまった俺は、シルクハットを取り、咳払いをしてから妻たちの方をちらりと見た。一緒についてきたフィオナが微笑み、エリスも彼女の頭を撫でながら微笑む。

 

 そして、あの時から一緒に戦ってくれているエミリアが俺の手を握ってくれた。俺も彼女の手をぎゅっと握り返し、彼女の顔を見つめながら微笑む。

 

「帰ってきたな」

 

「ああ」

 

「たくさん可愛がってあげないとねっ♪」

 

『なんだか、楽しみですっ』

 

 あの子たちを寂しがらせてしまったからな。

 

 エミリアと手を繋いだまま、家の門を潜って玄関のドアへと向かって歩く。

 

 俺たちは勇者に色んなものを奪われた。そして、奴らからもいろんなものを奪ってやった。

 

 これでもう、子供たちが何かを奪われるようなことはない。もうあの勇者はいないのだ。だから俺たちは、親として子供たちをこの平和な世界へと送り出してあげよう。

 

 次の物語の主人公は、子供たちなのだから。

 

 俺とエミリアは玄関のドアへと手を伸ばし、一緒にドアを開けた。

 

「―――――――――ただいま」

 

 ドアを開けた瞬間に子供たちが走ってくるだろうと思っていたんだが…………廊下の向こうからやって来る筈の子供たちを抱き上げる準備をしていた俺は、ドアの向こうに伸びる廊下に誰もいなかったことを知ると、寂しさと安堵が混じった奇妙な気分を味わう羽目になった。

 

 寂しかったのは、誰も出迎えてくれなかったから。これは単純な理由だが―――――――安堵したのは、少しだけ複雑な理由である。

 

 ―――――――あれだけ人を殺したこの両腕で、子供たちを抱き上げるべきなのだろうか。

 

 島で目にしてきた激闘がフラッシュバックする。ナイフや仕込み杖の刃で貫かれた敵の死体。火炎瓶を投げ込まれたトーチカの中から、火達磨になって飛び出してくる若い敵兵。

 

 いや、あいつらはただのクソ野郎だ。気にするな。

 

「力也?」

 

「…………ごめん、なんでもない」

 

 多分、しばらくはあの戦いの光景がフラッシュバックするだろう。悪夢も見ることになるかもしれない。

 

 けれども、これでいい。子供たちが旅立っていく世界が平和になるのであれば、俺は大喜びで返り血を頭からかぶってやる。どんな汚名を与えられても構わない。

 

「フィオナもせっかくだから、今晩は泊っていったらどうだ?」

 

『そうですね。では、お言葉に甘えさせていただきますっ♪』

 

「ふふふっ。これで今夜はエミリアちゃんとダーリンと幼女を2人も…………うふふふふふっ♪」

 

 エリス、お前何考えてんの…………? あのさ、戦地から帰ってきた晩にもうそういうことする気? せめて今晩くらいはゆっくり寝かせてくれない?

 

 妻に搾り取られ過ぎて死ぬのは嫌だよ…………? 幸せかもしれないけど。

 

 フィオナも連れて家に上がり、2階にある寝室へと向かう。とりあえず寝室に向かって荷物を置いてから、こっそりと子供部屋の様子を覗きに行こう。もしかしたらもう3人とも寝ているだけなのかもしれない。

 

 そう思いながらそっと2階に上がっていくと―――――――寝室の前で、パジャマ姿のラウラが待っていた。

 

「ラウラ…………」

 

「パパ…………」

 

 目が合った瞬間、彼女は一瞬だけ微笑んだ。けれどもすぐに俺との再会を怖がっているかのような表情を浮かべると、俯きながらゆっくりとこっちにやって来る。

 

 何かあったのだろうか。

 

 俺のすぐ近くへとやってきたラウラ。背の小さな彼女と話がしやすくなるように微笑みながらしゃがみ、右手を伸ばして角の生えた小さな頭を優しく撫でる。俺の遺伝と思われる炎のような赤毛が、月明かりに照らされているせいでワインレッドに見える。

 

 すると、ラウラは小さな唇を噛みしめてから手をパジャマのポケットの中へと突っ込み、その中に入っていた物を取り出した。

 

「これ…………」

 

 彼女が取り出したのは―――――――出撃前に、子供たちに預けていったあの懐中時計だ。エミリアと初めてデートに行ったときに、彼女がプレゼントしてくれた大切な時計。毎晩しっかりとメンテナンスをしているから未だにしっかりとした艶があるし、傷もない。そのままショウケースに並べて売れそうなほどである。

 

 もちろんそんなことをするつもりはない。大切な妻からの贈り物なのだから、俺はこれを死ぬまで大切にするつもりだ。もし俺が死んだら、こいつを一緒に棺桶に入れてもらおう。その頃にはもうこの時計は動かなくなっているかもしれないけど。

 

「ありがとう。これを返すために待ってたんだな?」

 

 そう言うと、ラウラは俯きながら首を横に振った。

 

「パパ、ちがうの。…………あのね、そのとけい、まちがっておとしちゃって…………」

 

「え………?」

 

 受け取った時計をゆっくりと裏返す。表には何もなかったが、まだ裏側は見ていない。そっと裏返してから懐中時計の裏側を指でなぞると―――――――確かに、ほぼ真ん中が微かにへこんでいるのが分かる。月明かりを有効活用してよく見てみると、確かにそのへこんでいる部分の塗装が剥がれて、微かに白くなっているのが分かる。

 

 そうか、落としたのか…………。

 

「ご、ごめんなさい…………」

 

 確かにこれは大切な時計だ。まだ結婚する前に、エミリアから貰った人生初の恋人からのプレゼントだったのだから。

 

 欠かさず毎日メンテナンスをしていたし、肌身離さず持っていた大切な時計。それに傷がついたりしたら確かに悲しい。

 

 けれども、ラウラが渡してくれた傷のあるその懐中時計を見ても、俺は別に何とも思わなかった。きっとラウラは俺の大切な時計を傷つけたから怒られると思っているのかもしれないが、そんなことは全くない。

 

 正直に言ってくれたのだから。

 

 むしろ、娘が成長していることを実感できて、逆に嬉しい。

 

 だから俺は微笑みながら、彼女の頭を優しく撫でた。

 

「確かに大切な物だけど…………パパはね、これよりもお前たちの方がずっと大切なんだ」

 

「え…………? お、おこらないの?」

 

「当たり前だよ」

 

 彼女の頭を撫でながら、俺は言った。

 

「大切な時計だけど、あくまでもこれは”物”だ。ラウラとタクヤは”物”じゃない。大切な子供たちだよ」

 

「パパ…………」

 

「よしよし。正直に言ってくれてありがとな」

 

 頭を撫でていたラウラを抱き上げて、そのまま子供部屋へと連れていく。ドアを開けようとすると部屋の向こうから小さな足音が聞こえてきた。

 

 ガルちゃんにしては軽そうな音だな。タクヤか?

 

 きっと、ドアに耳を押し当ててラウラがしかられないか聞いていたんだろう。もし俺が彼女をしかったら、タクヤも飛び出してきてラウラを庇うつもりだったに違いない。いつも姉に振り回されているしっかり者の弟だと思ってたけど、もしかしたら意外とシスコンなのかもしれないな。

 

 気付かないふりをしながらドアを開けると、子供部屋にある小さなベッドの上では毛布をかぶったタクヤが寝ているふりをしていた。随分と寝ている演技が上手いが、今しがたちらりとこっちを見ようとしたらしく目が開いてたからな。間違いなくさっきの足音の正体はこいつだ。

 

 ちなみにガルちゃんは本当に寝ているらしく、ラウラのベッドに我が物顔で横になりながら寝息を立てている。けれどもさすがに3歳児用のベッドと毛布は小さいみたいで、毛布の下の方からはガルちゃんの足が伸びていた。

 

 仕方がない。ラウラはタクヤのベッドに寝かせよう。2人ともまだ身体が小さいし、一緒に寝かせても問題ないだろう。さすがに成長してからそんなことをさせたら大変なことになるけど。

 

 そんなことになりませんようにと祈りつつ、寝息を立てているふりをしているタクヤの隣にそっとラウラを寝かせ、毛布をかぶせてからもう一度彼女の頭を撫でる。

 

「おやすみ、ラウラ」

 

「うんっ。パパ、おやすみなさい」

 

 おやすみなさい。

 

 今夜は姉弟で仲良く寝ろよ。

 

 俺が部屋を出ていくのを確認するつもりだったらしく、再びちらりと目を開けてこっちを確認するタクヤ。さり気なく2人に向かってウインクしてから、子供部屋を後にする。

 

 それにしても随分と賢い弟だ。あいつは大きくなったら、きっと狡猾な男になるに違いない。

 

 愛おしい子供たちが成長した姿を想像しながら、俺は鼻歌を歌いつつ寝室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 おまけ

 

 父からの強烈な一撃?

 

タクヤ(おえっ…………親父のウインク見ちまった…………キモっ)

 

 完

 

 

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