異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

422 / 560
シャール2Cが大暴れするとこうなる 中編

 

「命中!」

 

 自動装填装置が次のAPFSDSを砲身に装填していく音を聞きながら、照準器を覗き込む。照準器の向こうでは車体後部の装甲と砲塔後部の装甲をAPFSDSに貫かれ、そのまま動かなくなってしまったマウスの後姿が見えた。いくら120mm滑腔砲の砲弾を防いでしまうほど分厚い複合装甲に覆われているとはいえ、従来の戦車のように後部の装甲は薄くなっているらしい。

 

 従来の戦車では、その後部にAPFSDSか対戦車ミサイルを叩き込まない限り、あの怪物を撃破するのは難しいだろう。あれは従来の主力戦車(MBT)を蹂躙するために生み出された怪物なのだから。

 

 それに対して、こっちはその怪物(マウス)を蹂躙するために生み出された怪物なのだ。

 

 正面以外の装甲は薄いものの、正面に搭載された分厚い複合装甲は、160mm滑腔砲から放たれるAPFSDSを防いでしまうほどの防御力を誇る。更に、搭載されている主砲は152mm連装滑腔砲。マウスの主砲よりもやや口径は小さいものの、立て続けに放たれる砲弾の破壊力は圧倒的としか言いようがない。しかも、その連装滑腔砲から更に対戦車ミサイルまで発射する事が可能なのだから、火力はあらゆる戦車の中でも間違いなくトップクラスだろう。

 

 照準器の向こうで、いきなり後方から撃破した筈の超重戦車が現れたことを知った敵の戦車部隊が慌てふためく。鈍重なマウスが巨大な砲塔を旋回させ、小回りの利くレオパルトたちがこちらへと進路を変えてくるのを見つめながら、マウスを置き去りにしてシャール2Cへと殺到してくるレオパルトの群れへと合わせる。

 

 鈍重なのはこっちも同じだ。圧倒的な攻撃力と防御力を誇る超重戦車を生み出すために、このシャール2Cの機動性はかなり低下している。最高速度はたった20km/hしかないのだ。

 

 しかも装甲が分厚いのは正面装甲のみ。それ以外の部位の装甲は従来の戦車の側面を覆う装甲よりも厚くなっているものの、複合装甲ではないため、側面へ回り込まれれば120mm滑腔砲でも貫通されてしまう。

 

 機関部が破損する事だけは何としても避けなければならない。

 

 そのため、今の状態では圧倒的な火力を持つマウスよりも、数が多い上に小回りが利くレオパルトの方が脅威となる。先にそちらを排除しなければならない。

 

「タクヤ、12時方向よりレオパルト4両。2時方向より3両接近」

 

「くそ、2時方向の奴らから潰す!」

 

 正面の奴らは後回しだ。

 

 狙っていたレオパルトから、2時方向にいる3両のレオパルトへと標的を変更。152mm連装滑腔砲を搭載したでっかい砲塔がゆっくりと旋回し、照準器の向こうに3両のレオパルトが姿を現す。

 

 装填したのはAPFSDS。しかも120mm滑腔砲ではなく、152mm連装滑腔砲から発射するために大型化したタイプだ。もちろん、貫通力も従来の砲弾と比べると格が違う。ヴリシアでこっちの戦車を蹂躙してくれたマウスを撃破する事を想定しているのだから、通常の戦車で太刀打ちできるわけがない。

 

「速度上げろ! このまま敵部隊に突っ込んで突破する!」

 

「了解(ダー)。イリナ、速度を上げます」

 

『はいはい、こっちも出力上げるよ!』

 

 速度を上げると言っても、こっちの速度はかなり遅いのだ。けれども速度が遅いという事は、弱点である側面や後部の装甲を狙うためには、敵から接近してこなければならないという事だ。逆に俺たちは、その接近してくる敵を順番に砲撃で血祭りにあげていけばいいわけだから、この機動力の遅さはむしろありがたいと言える。

 

 分厚いキャタピラの動きが速くなっていき、エンジンの音も段々と変わり始める。レティクルの向こうに見える戦車部隊が徐々に近づいてきたかと思うと、こっちが主砲をぶっ放すよりも先に、接近してくるレオパルトの120mm滑腔砲が火を噴いた。

 

 炎を纏っていた外殻を置き去りにし、鋭利な砲弾が3発も飛来する。そのうちの1発は機関室の近くを掠めて通過していったが、残りの2発は復活したばかりのシャール2Cに牙を剥いた。片方は主砲の砲塔の正面に命中し、もう片方のAPFSDSは正面装甲を直撃する。モニターに投影されているカメラの映像の向こうで火花が飛び散り、鉄が溶けるような臭いが車内に流れ込んでくる。着弾した衝撃で微かに車内が揺れたが――――――――超重戦車を”蹂躙”するために生まれ変わったシャール2Cは、びくともしない。

 

 飛び散った火花を蹴散らし、全く速度を落とさずに進撃を続けるシャール2C。砲撃を終えた敵の戦車の中で、装填手が大慌てで次の砲弾を装填しようとしているに違いない。

 

 残念でした。こいつを倒すんだったら側面を狙いな、クソッタレ。

 

「発射(アゴーニ)!」

 

 手元にある発射スイッチを押した瞬間、轟音が産声を上げ、無人操縦用の制御装置や自動装填装置のせいでかなり狭くなっている砲塔の中で荒れ狂う。そしてその轟音を狭い砲塔の中へと押し付けて飛び出していった1発のAPFSDSは、巨大な外殻を脱ぎ捨てると、装填を終えて砲撃する寸前のレオパルト2に突き刺さった。

 

 正確に言うと、レオパルト2を”抉り取った”。

 

 現代の戦車はかなり堅牢だ。複合装甲という極めて高い防御力を誇る装甲だけでなく、アクティブ防御システムで守られているのだから。しかも場合によっては随伴歩兵に護衛されているため、いくらロケットランチャーや対戦車ミサイルを持っていると言っても、少なくとも歩兵では撃破することが難しい。

 

 戦車を撃破するのであれば、こちらも戦車を投入して砲撃戦を繰り広げるか、ロケットランチャーを装備して待ち伏せし、戦車部隊を奇襲することが望ましい。制空権が確保できていれば、対戦車ミサイルを搭載したヘリに攻撃してもらっても問題はない。そう言った戦術で撃破された戦車は、砲弾で風穴を開けられて沈黙したり、原形を留めた状態でハッチなどから炎を吹き上げていることが多いのだ。

 

 だから、装甲どころか砲塔を抉り取られ、まるで手榴弾の爆発でバラバラになった兵士の死体のような状態で沈黙することは殆どない。

 

 しかし、今しがたAPFSDSを叩き込まれる羽目になったレオパルトは、まるでグレネードランチャーが直撃する羽目になった歩兵のような状態だった。

 

 正面の装甲に突き刺さった巨大なAPFSDSは、堅牢な複合装甲を一瞬で貫通すると、そのまま操縦士たちを巻き込みながら後部へと突き進み、最終的に後部のエンジンを滅茶苦茶にしてしまう。巨大な砲弾が直撃した衝撃と、圧倒的な運動エネルギーを叩き込まれたせいなのか、レティクルの向こうでそいつを叩き込まれたレオパルトの車体は、まるで膨らんだかのように見えた。

 

 そのまま砲塔が膨らんだ車体に押し上げられて吹っ飛んで行き、キャタピラが千切れ飛ぶ。

 

 車体の大半と砲塔を捥ぎ取られて沈黙するレオパルト2。その後続のレオパルトたちは必死に砲撃を続けるが、その砲撃がこっちに着弾しても、自動装填装置はお構いなしにAPFSDSを空になった方の砲身に装填していく。

 

 連装滑腔砲の利点は、自動装填装置を搭載している戦車を上回る速さで連射したり、2発の砲弾を敵にほぼ同時に叩き込むことができる点だ。

 

 今しがたレオパルトを木っ端微塵にした直後に自動装填装置を作動させれば、もう片方の砲身から砲弾が発射されるよりも先に、もう片方の滑腔砲の再装填が完了する。

 

 つまり、片方の砲身で砲撃している間にもう片方の砲身に自動装填装置で装填していけば、ちょっとした速射砲になるのだ。とはいえ、連装滑腔砲にすると重量が劇的に増える上に構造が複雑になり、砲塔も大型化する羽目になるので、このような連装滑腔砲を搭載した戦車は殆どない。

 

 下の砲身から飛び出したAPFSDSが、今度は後続のレオパルトの砲塔を直撃した。砲塔の正面を覆っている装甲を貫通し、被弾した衝撃でレオパルトの主砲が転がり落ちる。そのまま砲手と装填手の肉体を木っ端微塵にしたAPFSDSは、座席に座っていた車長の下半身を捥ぎ取って砲塔を貫通する。

 

 砲塔の上部が裂け、滅茶苦茶にされた内部と乗組員たちの無残な死体を晒すレオパルト。最後尾のレオパルトは一矢報いるために側面に回り込もうとしていたようだが、もう既に次のAPFSDSの装填は終わっていたし、照準も合わせてあった。

 

「Пока(あばよ)」

 

 発射スイッチを押した直後、必死に側面に回り込もうとしながら砲撃してきたレオパルトの砲身が消し飛んだ。

 

 ”上半身”をあっさりともぎ取られたレオパルトの車体から、すぐに黒煙と火花が吹き上がる。ヴリシアでテンプル騎士団のエイブラムスたちがマウスに蹂躙されていったお返しだ。今度は、お前たちが蹂躙される番なのだ。

 

 瞬く間に3両のレオパルトを撃破し、自動装填装置の音を聞きながら砲塔を正面へと戻す。要塞の中へと退避していった戦車や装甲車たちも応戦するつもりなのか、崩壊した門の向こうからぞろぞろとM2ブラッドレーやレオパルト2の群れが姿を現し、砲塔をこっちに向けて攻撃してくる。

 

 おそらく、マウスも含めると20両くらいはいるだろう。

 

「あれが敵の全兵力なのでしょうか?」

 

「いや、氷山の一角だろうな。とにかくここを突破して、ナタリアたちと合流するぞ」

 

「了解(ダー)」

 

 もうすぐ夜が明ける。吸血鬼たちの中には日光を浴びただけで燃え上がったり、そのまま消滅してしまう者もいるという。全員日光に耐えられるわけではないらしい。

 

 それゆえに、昼間に進軍するのは流石に無理だろう。ただでさえ戦力が少ないのだから、耐性の低い兵士たちを置き去りにして耐性の高い兵士たちでタンプル搭に攻め込むわけがない。

 

「そういえば、無線機はどうです? ナタリアにはつながりますか?」

 

「ちょっと待て。…………ドレットノート、応答せよ。こちら”ピカルディー”」

 

 撃破された筈の戦車のコールサインだ。もしこれをナタリアが聞いていたら、撃破された筈の戦車が敵を突破して戻ってきたことに驚くかもしれない。

 

『―――――こちら…………ノート。タク………え…………!?』

 

 くそ、まだノイズが聞こえる…………!

 

 でもナタリアの声は何とか聞こえる。彼女たちは無事らしい。ブレスト要塞の生存者たちは、無事に要塞から脱出できたのだろうか。

 

 大口径のアンチマテリアルライフルを装備して敵部隊を足止めするラウラの事を考えた瞬間、油断するなと言わんばかりに、砲塔の中に電子音が鳴り響く。ぎょっとしながらモニターを睨みつけると、こっちへと進軍してくるマウスの傍らにいるM2ブラッドレーが、一斉に砲塔に搭載されている対戦車ミサイル(TOW)をぶっ放しやがった!

 

「TOWです」

 

「迎撃する!」

 

 モニターの近くにあるキーボードをタッチする。

 

 このシャール2Cは分厚い正面装甲を持っているが、対戦車ミサイルの防御までその複合装甲に頼るわけにはいかない。装甲が分厚いとはいえ、何度も被弾していれば破損していくからだ。

 

 そこで、更に防御力を底上げするため、シャール2Cの正面にある砲塔と後部にある砲塔には、ロシア製のアクティブ防御システムである『アリーナ』を搭載しているのだ。装甲で砲弾を防ぎ、対戦車ミサイルをこのアクティブ防御システムで迎撃することができれば、撃破される確率は一気に下がるだろう。

 

 とはいえさすがに航空機による空爆には弱いので、こいつを投入するのであれば敵の航空機やヘリをあらかじめ排除してから出撃させることが望ましい。

 

 飛来するTOWの数は3発。命中すれば新型の戦車にも致命傷を与えてしまう、獰猛な対戦車ミサイルだ。

 

 ワイヤーと白煙を置き去りにしながら飛来する3発のミサイルに向けて、砲塔に搭載されたアリーナからロケット弾が発射されていく。ロケット弾の発射を告げる電子音を聞きながら、俺は目の前のモニターを見つめた。

 

 一番最初に放たれたロケット弾が爆発し、TOWがその爆炎の中へと飛び込んでくる。その瞬間、爆風が内側で生じたもう1つの爆発によって膨れ上がったかと思うと、ちょっとした火柱を形成してしまう。

 

 そこに後続のロケット弾が、暖炉に投げ込まれる薪のように放り込まれ、火柱を更に成長させる。こっちを狙っていたTOWがまたしてもその中へと突っ込んだ瞬間、荒れ狂う破片と爆風で強引に誘爆させられ、火柱の糧と化した。

 

 3発目のTOWは少しばかり違う角度から飛来したが、そいつも先に火柱と化した2発のTOWと同じ運命を辿ることになった。ロケット弾が爆発することによって産声を上げた炎と破片の嵐の中に突っ込み、瞬く間に爆発してしまう。

 

「発射(アゴーニ)」

 

 お返しにAPFSDSを発射。まず最初にマウスの近くにいるM2ブラッドレーを狙う。マウスを狙いたいところだが、マウスの装甲も非常に分厚い。できるならば1発だけ叩き込むのではなく、斉射をお見舞いするか、APFSDSではなく対戦車ミサイルをお見舞いするのが望ましいんだが、あのマウスにもアクティブ防御システムがあるようだ。

 

 ブラッドレーの正面装甲を突き破ったAPFSDSが、装甲やエンジンどころかブラッドレーの車体そのものを貫通し、反対側にある地面に着弾して砂の柱を吹き上げる。着弾した際の衝撃があまりにも凄まじかったらしく、砲弾を叩き込まれたブラッドレーの車体が一瞬だけ宙に浮いた。

 

「すげえ」

 

 いくら戦車よりも装甲が薄いとはいえ、ブラッドレーの車体を貫通したのは予想外だった。

 

 そのままほんの少しだけ砲塔を旋回させ、逃げようとしているブラッドレーにもAPFSDSを発射。こちらから見て右側にある要塞の門へと全力疾走していたブラッドレーの車体の後部が、APFSDSの着弾と同時に唐突に消え去る。

 

 被弾した衝撃で、後部を捥ぎ取られたブラッドレーの車体がぐるりと横に回転した。

 

「よし、対戦車ミサイルを使う」

 

 次の標的はマウスだ…………!

 

 自動装填装置が、今度はAPFSDSではなくロシア製の対戦車ミサイルを巨大な主砲へと装填していく。

 

 たった今俺の傍らで動いている自動装填装置が砲身へと装填しているのは、”9M119レフレークス”と呼ばれる、ソ連製の対戦車ミサイルである。旧式のミサイルだが、命中すれば最新型の戦車に甚大なダメージを与えることが可能なほどの破壊力を持っている。とはいえ、相手がアクティブ防御システムを搭載していれば迎撃されてしまう可能性があるため、相手のアクティブ防御システムを無力化してからぶっ放すのが望ましい。

 

 簡単に言えば、ロシア製の戦車の切り札みたいなものだ。

 

 しかもこのシャール2Cの主砲は152mm連装滑腔砲。大口径の主砲であるため、これから発射する予定のミサイルも152mm滑腔砲専用に大型化されているのだ。それゆえに、破壊力もさらに向上している。

 

 こいつを叩き込まれれば、いくら超重戦車でも木っ端微塵だろう。

 

 とはいえ、マウスにはアクティブ防御システムがあるから発射しても迎撃されるのが関の山だ。だからと言って味方にアクティブ防御システムを破壊してもらうことも不可能である。ぶち込むためには、ちょっとばかり工夫しなければならないようだ。

 

「…………発射(アゴーニ)」

 

 装填を終えてからすぐに照準を合わせ、大型化した”レフレークス改”を発射。2発目の方は、1発目よりも少しばかりタイミングをずらしておいた。2発のミサイルがシャール2Cの砲身を飛び出していき、こちらへと砲撃してくるマウスへと向けて飛翔していく。

 

 その時、ゴギンッ、という音が正面装甲から聞こえてきたかと思うと、モニターに映っている映像が一瞬だけ火花で満たされてしまう。先ほど120mm滑腔砲が正面装甲を直撃したが、それよりも大きな揺れだった。

 

 おそらくマウスの砲撃が命中したんだろう。

 

「被弾しました!」

 

「損害は!?」

 

「なし! このまま走行可能です!」

 

「機関室、どうだ!?」

 

 無線機で彼女に問いかけると、エンジンたちの轟音と一緒にイリナの声が聞こえてきた。

 

『こっちも損害無し! でも、被弾し過ぎると衝撃でまたエンジンが故障するかも!』

 

 それは怖いな。戦闘中に走行不能になったらおしまいだ。

 

 損害がない事を確認し、再び照準器を覗き込む。それにしても、本当にこの戦車は頑丈だな。一番装甲が厚い部位に被弾したとはいえ、160mm滑腔砲から放たれるAPFSDSが直撃しても損害無しで済むなんて。

 

 機関室の方から響いてくるエンジンの音を聞きながら、レフレークス改を直撃させるために、照準をマウスの車体に合わせ続ける。2発のミサイルはそのまま直進していくが、猛烈な攻撃が接近してきていることを察知したのか、マウスの砲塔の上に鎮座しているアクティブ防御システムのターレットが動き出し始めたかと思うと、ターレットからいきなり飛び出した散弾の群れが、最初に発射されたミサイルを呑み込んだ。

 

 瞬く間に穴だらけになり、戦車に命中するよりも先に爆発してしまう。ただでさえ戦車に大ダメージを与えられるほどの破壊力を持つ対戦車ミサイルを大型化したレフレークス改の爆発は、ちょっとした火柱のようだ。これが直撃すれば普通の戦車ならば一撃で大破してしまうだろう。

 

 きっと敵は、戦車の中でミサイルを迎撃できたことを知って胸を撫で下ろしているに違いない。

 

「残念だったな」

 

 照準器を爆炎の向こうにいるマウスに合わせたまま――――――――俺は笑った。

 

「シャールの主砲はな…………”連装砲”なんだよ」

 

 照準青わせながらそう呟いた直後、マウスへと接近していた対戦車ミサイルの残滓である火柱に風穴が開いた。

 

 その風穴を開けたのは――――――――1発の対戦車ミサイル(レフレークス改)

 

 さっき俺は、敵のマウスに向かって2発のミサイルを発射した。もちろん、アクティブ防御システムによってミサイルが迎撃されることは想定済みである。

 

 アクティブ防御システムは接近する対戦車ミサイルを片っ端から迎撃できる最高の防御用装備と言えるが、ロシアではそれを突破するためのロケットランチャーが開発されているのだ。

 

 そのために開発されたのが、”RPG-30”と呼ばれるロケットランチャーである。ランチャー本体の脇に少しばかり細い小型のランチャーを搭載したような外見をしており、そちらの方には”囮”のロケット弾を装填している。

 

 敵のアクティブ防御システムが小型のロケット弾を迎撃している隙に、ロケット弾で敵の戦車を攻撃するという兵器だ。

 

 今の対戦車ミサイルによる攻撃は、そのRPG-30と同じだ。切り札とも言えるレフレークス改のうちの1発を囮に使うのはもったいないような気がするけれど、2発とも迎撃されたり、もう片方が誘爆するよりはマシだろう。

 

 最初に飛んで行ったミサイルが迎撃されている隙に、もう片方のミサイルを直撃させるという作戦だ。だからミサイルを斉射するのではなく、タイミングをずらして発射したのである。

 

 後部の砲塔にもアリーナが搭載されているシャール2Cとは違って、マウスには1基しかアクティブ防御システムがないみたいだからな。

 

「頭を使わなきゃ死ぬぜ、クソ野郎共」

 

 砲手の座席の上で呟いた直後、圧倒的な破壊力を持つレフレークス改がマウスの車体へと突っ込んで行き、巨体の装甲を抉った。

 

 

 

 

 

 




すいません、長引きました(汗)
次回で大暴れは終了です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。