異世界でミリオタが現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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転生者が精霊と戦うとこうなる

 

「ふにゃあっ!? 何あれぇっ!?」

 

 魔力の反応で、その怪物が魔物ではないという事はすぐに分かった。

 

 まるでレイピアのように鋭く尖った外殻で全身を覆われている大蛇のような怪物は、まるであのお馬鹿さんの盾になるかのようにいきなり出現した。闘技場の外からいきなり飛び込んで来たわけではないから、おそらくあの怪物はお馬鹿さんに召喚されたんだと思う。

 

 きっとあれは………精霊かも。

 

「あれって、精霊………?」

 

「珍しいですね。精霊を召喚できるなんて」

 

「精霊を召喚できるなら、確かに調子に乗ってしまいますわね」

 

 前に、タクヤが教えてくれた。

 

 精霊というのは、大昔にこの世界に舞い降りた大天使が世界中に残していったと言われる力の欠片の総称で、それと契約すればその精霊を自由に召喚できると言われてるんだって。あのレリエル・クロフォードとの戦いに勝利した大天使の力の欠片だから、大型の魔物さえも容易く蹴散らしてしまうほどの戦闘力を持つ存在らしいんだけど、契約するには非常に手間がかかるし、適性を持つ者しか契約する事が出来ないっていう最大の難点があるの。

 

 適性は生まれつき決まっているみたいだから、努力しても適性を高めることは出来ないんだって。しかも契約するための儀式も非常に手間がかかるらしくて、強力な精霊と契約するためには供物をたくさん用意した上に何日間も儀式を続けなければならない精霊もいるみたい。

 

 だから、精霊を召喚できる人は非常に強力な戦力だけど、契約するための条件が厳し過ぎるから騎士団では切り札のように扱われてるんだって。オルトバルカ王国騎士団では『ガーディアン』って呼ばれてるらしいよ。

 

 信じられないよ。あのお馬鹿さんが精霊と契約できる人だったなんて………。

 

「おそらくあの精霊は………『ケツァル・コアトル』と思われます」

 

「ふにゅ? ケツァル・コアトル?」

 

 タクヤなら知ってるかも。あの子、昔から魔物とか魔術の図鑑をよく読んでたし。

 

 私は精霊とか魔物の事はあまり詳しくないからなぁ………。ふにゅう……もっと勉強しないと。

 

 あ、そうだ。今度タクヤに教えてもらおう! タクヤは詳しいし、そうすればタクヤと一緒にいられるし! えへへっ、タクヤ先生と2人っきりだね!

 

「ステラちゃん、そのケツァル・コアトルってどんな精霊なの?」

 

「はい。ケツァル・コアトルは、水属性の精霊です。ほぼすべての水属性の魔術を詠唱せずに使用できる上に、水を自由自在に操る事も可能です。契約者の魔力を大量に消費する羽目になりますが、このドナーバレグを数十分で水没させることも可能かと思われます」

 

「す、水没!?」

 

 水属性の精霊かぁ………。ふにゅ? 水属性って事は、タクヤと相性が悪いんじゃない?

 

 タクヤは炎を操る能力を生まれつき持ってるけど、エミリアさんからの遺伝で電撃も操る事が出来るから、むしろ水属性の精霊を召喚したのは失策だったんじゃないかな?

 

「あら、水属性でしたらお兄様の圧勝ですわね」

 

「そうね。圧勝じゃない?」

 

「では、今夜の祝勝会をどこでやるか決めておきましょうか」

 

 タクヤの勝ちだね。

 

 あの子ならもう魔力の反応で気付いているだろうし、タクヤの電撃ならすぐに倒せるよ。

 

 頑張れ、タクヤっ!

 

 

 

 

 

 

「はっはっはっはっはっはっ!! どうだ、これが僕の精霊だッ!」

 

 おいおい、精霊と契約する条件は滅茶苦茶厳しかったはずだぜ? この馬鹿は精霊と契約するための適性を持ってたっていうのか?

 

 エリックが召喚した巨大な蛇のような怪物を見上げながら、俺は息を呑んだ。灰色の外殻に覆われた大蛇は巨大な口から細長い舌を伸ばしながら、黄金の瞳で俺を見下ろしている。

 

 おそらくこいつは、ケツァル・コアトルだ。水属性の精霊で、水を自由自在に操る能力を持つらしい。図鑑でしか見たことがないんだが、水を操るという事は俺との相性はいい筈である。

 

 危機感を感じたが、電撃を操る能力の事を思い出したらすぐに下らない危機感は消え去った。

 

 エリックは、俺が電撃を操る能力を母親から受け継いで生まれてきたことを知らないのだ。試合が始まってからは服の下を硬化させた時しかキメラの能力を使ってはいないから、こいつは俺が電撃を操ると知らないで勝ち誇っているんだろう。

 

 とりあえず、ライフルの弾薬をゴム弾から実弾に変えておこう。いくら人間の骨を折るほどの衝撃を持つゴム弾でも、装甲車並みの外殻を持つ精霊に通用するわけがない。

 

「行け、ケツァル・コアトル! あの馬鹿をぶっ潰せ!」

 

『ゴォォォォォォォォッ!!』

 

 ゴム弾から実弾のマガジンに変更し、コッキングレバーを引く。ガチン、とレバーが元の位置に戻る音を聞いて安心した俺は、でかい口を開けながら突進してきたケツァル・コアトルに銃口を向け――――――トリガーを引いた。

 

 頭を狙ったフルオート射撃だが、どうやらあの外殻の防御力はドラゴン以上らしい。弾丸は命中しているが、外殻を貫通することは出来ないらしく、跳弾する音を奏でながら火花を発して灰色の外殻を照らし出すだけである。

 

 しかも、ケツァル・コアトルは全くダメージを受けていない。これでは決定打にはならないなと思いつつ右へとジャンプし、ドラゴンのような大蛇の精霊に押し潰されないように回避する。

 

『ご覧ください、エリック選手のケツァル・コアトルです! 先週の試合では最後の戦いで披露されたエリック選手の精霊が最初の試合で召喚されるとは思っていませんでしたッ! さあ、タクヤ選手はこの精霊をどうやって倒すのか!?』

 

 うるせえアナウンスだなぁ………。

 

 これは俺とエリックの戦いだぜ? 精霊は強力だが、エリックに召喚されているに過ぎない。

 

 だから――――――エリックを狙えば問題ねえだろッ!

 

「ひぃっ! おい、ケツァル・コアトル! 僕を守れッ!」

 

『ギィィィィィィィッ!!』

 

 精霊ではなく契約者を狙っていると理解したエリックが、目を見開きながら必死に精霊に命令する。精霊は大天使の力の欠片と言われているが、自我はないらしい。だからこんな命令をされても文句を言わないというわけだ。俺がこいつの精霊だったら、契約を無視して反乱を起こしてるぜ。

 

 スパイク型銃剣を展開した状態で、ケツァル・コアトルを無視してエリックへと猛進する。背後から先ほど突進を躱された精霊が雄叫びを上げながら急迫してくるが、果たして俺がエリックをぶちのめすよりも先に止められるのか?

 

 ―――――いや、賭けは止めよう。こいつに負けるわけにはいかん。

 

 前傾姿勢で突っ走っていた俺は、踏み出した足に力を込めて急停止すると、その急停止に使った足を一気に延ばしつつ体重を左へと集め、左にジャンプして精霊の突進を回避した。いくらキメラでも猛スピードで突っ走っていた最中に立ち止まれば負荷がかかるものである。負荷がかかった脹脛の激痛を無視しつつ、尖った外殻で空気を掻き乱しながら掠めていったケツァル・コアトルへと発砲する。やはり外殻に弾かれてしまう事に舌打ちをしつつ、そろそろグレネードランチャーでもぶっ放すかと考えていると、突進でエリックを踏み潰さないように急上昇したケツァル・コアトルが空中へと飛び上がり、口を開けてこちらへと向けてきた。

 

 方向でもするつもりかと思いながらブースターをドットサイトの後ろへと移動させ、中距離射撃の準備をしていると、舞い上がったケツァル・コアトルの口に巨大な水の球体が生成され始める。

 

 それと同時に、周囲の空気が急激に乾燥し始めたような気がした。先ほどまでは普通の空気だったんだが、今の闘技場の空気はまるで砂漠の真っ只中にいるかのように乾燥している。

 

 なるほどな。あの水の球体は、空気中の水分で形成しているというわけか。それに圧力をかけて俺に向かってぶっ放すつもりか。

 

 やめてくれ。俺はサラマンダーだから水には弱いんだよ………。

 

 回避するべきかと思ったが、まだ水を吐き出す準備は出来ていないようだ。

 

「ほら、避けろよ!? 手加減はしてやるけど、あの水は飛竜だって両断できるんだからな!?」

 

 高笑いしながら言うエリックを一瞥し、俺も奴を嘲笑う。

 

「何言ってんだ。お前こそ自慢の精霊に避けろって命令しろよ?」

 

「あぁ!?」

 

「さもないと―――――――」

 

 グレネードランチャー用の照準器を展開し、そちらを覗き込む。左手でグレネードランチャーのグリップを握り、トリガーを引く準備をしながら照準を合わせる。

 

 こいつに装着されているロシア製のGP-25は、40mmグレネード弾を射出する事が出来る。アサルトライフルのように連射は出来ないけど、破壊力は普通の銃弾とは訳が違うんだ。

 

「―――――――口を火傷するぜぇッ!」

 

 ケツァル・コアトルは水を吐き出すために停止している。もう少しで水をぶっ放す準備が整うところだったみたいだが、今から強力な攻撃が飛来するかもしれないという恐怖心を克服できれば、照準を合わせるのは容易い。

 

 AK-12の下部に装着されているグレネードランチャーから、1発のグレネード弾が放たれる。放たれた直後の砲弾は、まるでケツァル・コアトルの上を飛び越えようとしているかのように上へと舞い上がったけど、徐々に落下を始め―――――水を吐き出そうとしていた精霊の口の中へと飛び込んだ。

 

「なっ――――――――」

 

 水の球体を突き破り、細い下に突き刺さるグレネード弾。ケツァル・コアトルが口の中に放り込まれた異物に驚いて呻き声を上げた直後、精霊の口の中で砕け散った砲弾の爆発が、水の球体を背後から押し出した。

 

 肉片と鮮血の混じった薄い赤色の液体が本来の攻撃の代わりに吐き出され、薄い黒煙を口から噴き上げながら大蛇が必死に頭を振る。

 

「ば、馬鹿なッ!? 何だ、今の攻撃は!? その武器は―――――――」

 

「やかましい」

 

 空になった薬莢を砲口から排出し、次のグレネード弾を装填。そして再び銃口をエリックへと向けようとしたが、実弾が装填されていることを思い出した俺はゴム弾へとマガジンを変えようとする。

 

 だが、交換している場合ではない。マガジンをゴム弾へと変更し、コッキングレバーを引いている間に、ダメージを折った精霊が怒り狂って俺に攻撃してくる可能性があるのだ。

 

 マガジンを交換するのを断念し、銃床で殴りつけることにした俺は、ライフルを構えて今度こそエリックへと向かって突っ走る。

 

 だが、やはり頭上の精霊は怒り狂っているようだった。エリックが命令していないというのに方向を上げたかと思うと、まるで爆弾を投下するために急迫する急降下爆撃機のような凄まじい速度で急降下し、周辺に生み出した無数の水の矢を俺に向けて放ってきたのだ。

 

「くっ!」

 

 絨毯爆撃か………!

 

 実弾で急降下してくる精霊を迎え撃つが、やはりあの外殻に弾かれてしまうためダメージは与えられない。

 

 くそったれ。あいつを倒さないと、エリックを攻撃している最中に不意打ちされちまう!

 

 あの外殻を貫通するためには、12.7mm弾が必要かもしれない。アサルトライフルを腰の後ろへと戻した俺は、いつものようにメニュー画面を開くと、素早く画面を何度もタッチして武器の装備のメニューを開き、親父も使っていたという相棒を装備する。

 

 ロシア製アンチマテリアルライフルのOSV-96だ。射程距離は2kmで、使用する弾薬は強力な12.7mm弾。セミオートマチック式だからボルトアクション式のライフルよりも連射が速い。

 

 ラウラはセミオートマチック式のライフルを使いたがらないんだが、俺はこっちの方がお気に入りだ。

 

 長い銃身の下に搭載されているのは、同じくロシア製ロケットランチャーのRPG-7V2。普通なら考えられないカスタマイズだが、こいつのおかげで火力はかなり上がっている。12.7mm弾でも貫通できなかった場合は、こいつの対戦車榴弾で吹き飛ばしてしまえばいい。

 

「なっ!? おい、何だそのでかい武器―――――――」

 

 エリックを無視しつつ、スコープを覗き込む。相手は急降下爆撃機のように飛び回る巨大な精霊だ。今からそいつをこのライフルで狙撃し、叩き落とさなければならない。

 

 スコープはもう調整しているから調整する必要はないだろう。レンジファインダーが距離を表示してくれるが、相手はこちらに向かって飛んで来るから距離を表示されても意味はない。

 

 落ち着け。狙撃はラウラの得意分野だが、動体視力と反射速度なら俺の方がラウラより上だ。

 

 カーソルを少しだけ上にずらし―――――――トリガーを引いた。

 

「わぁっ!?」

 

 OSV-96の銃声に驚いたエリックが、残響に包まれながら耳を塞ぐ。嘲笑してやりたかったが、俺はスコープを再び覗き込み、もう1発ぶっ放す準備をした。今の一撃が外れていたらまたぶっ放さなければならない。

 

 スコープの向こうで、ケツァル・コアトルの頭が揺れた。一瞬だけ火花が散り、側頭部から外殻の破片と鮮血が舞い散る。

 

 側頭部に命中したらしい。カーソルの向こうには、頭に12.7mm弾を叩き込まれて落下してくる巨大な精霊が見える。

 

 だが、ケツァル・コアトルはまだ力尽きていない。ズタズタになった口を大きく開けて方向を発すると、鮮血をまき散らしながら再び高度を上げ、闘技場の天井に空いた穴から外へと飛び出していく。

 

 逃亡した………? いや、あの精霊には自我がないから、契約者から逃亡するようなことはありえない筈だ。おそらく再び空から急降下してくるつもりなんだろう。

 

 12.7mm弾で仕留められないならば―――――――こいつの出番だ。

 

 銃床を肩に当てながら、スコープではなくロケットランチャーの本体から伸びる照準器を覗き込む。先端部に装着されているのは、主力戦車(MBT)を破壊する事が出来る虎の子の対戦車榴弾だ。

 

 いくら精霊でも、この対戦車榴弾には耐えられないだろう。

 

『ギィィィィィィィッ!!』

 

 ケツァル・コアトルが、天井の穴から突っ込んできた!

 

 周囲に無数の水の矢を展開し、口に再び水の球体を生み出しながら急降下してくる。灰色の外殻に包まれた水の精霊の猛攻を迎え撃つのは、最強の転生者の息子として転生した俺と、戦車を破壊できる獰猛な対戦車榴弾である。

 

 精霊と現代兵器はどっちが強いんだろうな? 試してみるか!?

 

「やれ、ケツァル・コアトルぅっ!!」

 

「УРааааааа(ウラァァァァァァァ)!!」

 

 照準器のカーソルをケツァル・コアトルに重ね―――――――ロケットランチャーのトリガーを引いた。

 

 本来ならバックブラストを噴射できる構造だったものを噴射しない構造に改造して搭載しているため、射程距離は改造前よりも短くなっている。反動もかなり強烈になっているが、装着された対戦車榴弾の破壊力は変わらない。

 

 天空から襲来する精霊へと、白煙を引き連れながら獰猛な対戦車榴弾が駆け上がっていく。まるで急降下してくる怪物へと、純白の槍が突き出されたかのような光景だった。だがその槍は普通の槍などではない。この世界には存在しない、戦車を破壊するための強烈な一撃である。

 

 決して邂逅する筈のないこの2つが、ドナーバレグの闘技場でぶつかり合った。灰色の外殻に激突した対戦車榴弾が起爆し、ケツァル・コアトルの頭を飲み込む。

 

 爆炎が外殻を焼き払い、メタルジェットが精霊の外殻に風穴を開ける。爆音の中から精霊の絶叫が聞こえてきたかと思った直後、黒煙に変貌した爆炎の中からまだ水の矢を展開したまま精霊が落下してきた。

 

 まだ攻撃するつもりか!?

 

 これが大天使の力の欠片なのかよ………!

 

 だが、今の一撃で頭の右半分は吹き飛ばされていた。灰色の外殻は吹き飛ばされ、メタルジェットで貫かれたと思われる右側の側頭部は抉り取られている。もし命中した場所が真ん中だったならば、今の一撃で仕留める事が出来ていた事だろう。

 

 ならば、止めを刺すまでだ。

 

 アンチマテリアルライフルを折り畳み、両手の拳を握りしめる。そして落下してくるケツァル・コアトルを見上げながら屈み――――――思い切り両足を伸ばして、ジャンプした。

 

『グォォォォォォォォォォッ!!』

 

 ケツァル・コアトルの周囲に浮遊していた水の矢が、ミサイルのように一斉に放たれる。だが頭を抉られたせいなのか、高圧の水の矢は俺の周囲を掠め、次々に闘技場の地面に突き刺さっては地面を濡らしていくだけだった。

 

 右手に力を込め、雷属性の魔力を集中させる。蒼白い電撃が俺の右腕を覆い始め、闘技場の中を蒼白い光が照らし出す。

 

 母さんから受け継いだ能力だ。これで止めを刺す。

 

「抉ってやるぅッ!!」

 

『キィィィィィィィィィィィィィ!!』

 

 最後の水の矢を左へと躱し、ケツァル・コアトルの抉られた側頭部を睨みつける。いくらキメラの腕力でも、パンチであの外殻を貫通することは不可能だ。親父だったらできるかもしれないが、俺には不可能である。

 

 それに俺は汚い手を使う男だからなぁ。悪いが、傷口を狙わせてもらうぜッ!

 

 右腕を振り上げ、拳を思い切り抉られた頭の傷口へと突き入れた。焦げた肉の臭いと血の臭いが混ざり合う中で、膨れ上がった蒼白い電撃がケツァル・コアトルの体内をズタズタに破壊し始める。

 

 荒れ狂う高圧電流は、水属性の魔力と反応するとさらに荒れ狂う。そのため、水属性の魔物は雷属性の魔物を嫌うと言われている。

 

 水を操るケツァル・コアトルも、やはり電撃が嫌いなようだった。電流によって体内を焦がされ、焼き尽くされているこの精霊は雄叫びを上げたが、もう俺を振り落す事は出来なくなっていた。

 

 焦げた肉の中から右腕を引き抜き、落下していく精霊から離脱する。せっかく精霊を仕留めたのに、墜落に巻き込まれたら大怪我しちまうからな。

 

 まるで大型の爆撃機が墜落したかのように、闘技場の地面に巨大な蛇のような姿の精霊が墜落する。爆炎のように肥大化する土埃の中でにやりと笑った俺は、腰のホルスターからレ・マット・リボルバーを引き抜くと、その墜落した精霊を見つめながらぶるぶると震えているエリックへと銃口を向けた。

 

 利き腕を潰され、切り札の精霊まで返り討ちにされたエリックのプライドと戦意は、もう喰らい尽されているようである。精霊が召喚された際に俺を嘲笑っていたエリックは、無名の冒険者に敗北したショックでぶるぶると震えながら、俺を見つめている。

 

「もう切り札は終わり?」

 

「こ、降伏………します………」

 

『―――――――勝者、タクヤ選手!!』

 

 審判のアナウンスの直後、観客席からの歓声が轟音の残響を飲み込んだ。中には「ありえない! エリックが負けちまった!」と叫ぶ観客もいたようである。

 

 こいつが勝つと思っていた観客にはまさに番狂わせだったことだろう。

 

 リボルバーをホルスターに戻した俺は、ニヤニヤ笑いながら踵を返し、仲間たちへと向かって手を振った。

 

 

 

 おまけ

 

 モリガンの皆さんが闘技場の戦いを見るとこうなる パート5

 

エミリア「………」

 

リキヤ「………」

 

エリス「あらあら、タクヤったら。精霊をやっつけちゃったのね」

 

ギュンター(若い頃の旦那より強いんじゃねえか?)

 

カレン(精霊を倒すなんて………)

 

エリス「凄いわ! ねえ、ダーリン? 私たちの子供が隣国で大活躍してるのよ? うふふふっ………帰ってきたら、2人ともたくさん褒めてあげないとね♪」

 

リキヤ(俺もそろそろレベル上げしてくるか………)

 

 完

 

 

 

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