high school spiderman   作:バケツ頭

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Web2 誕生

数年前 7月29日 午後8時17分 姫島朱乃宅

 

蓮の兄はアルバイトに行っているのでよく隣の姫島家にお邪魔することが多かった。その晩もいつもと変わらない夜となる筈だった。いつものように蓮は姫島朱璃とその娘朱乃と共に夕食を食べていた。

 

「ねぇ母様、父様はいつ帰ってくるの?」

 

「もうすぐ帰ってくるわよ。蓮君、おかわりもあるから沢山食べてね」

 

「ありがとうおばさん!」

 

この頃の蓮は今のようなオタク気質ではなくどちらかと言えば結構やんちゃしている方だった。食欲旺盛な蓮は茶碗の中のご飯を頬張った。しばらくしていると部屋の明かりが消えた。恐らくヒューズが飛んだのだろうと朱璃は確認に向かうが急に顔色を変え蓮達の方に戻ってきた。

 

「2人とも早く隠れてっ!!」

 

朱璃は2人を部屋の隅っこに追いやる。そして玄関の扉からガラガラという音がした。誰かこの家に入ってきたのだ。入ってきた者は白装飾と仮面を見に纏い刀を手に持っていた。

 

「朱璃よ、其方は邪悪なる天使に心を汚されてしまった。いたしかたあるまい。親子仲良く逝くがいい。それとそこにいる少年もな」

 

「子供達には関係ありません!!殺すなら私を!!」

 

男が刀を振りかざし朱璃に斬りかかった。朱璃は2人を押しのけ男の前に立ちはだかった。しかし、その刀が朱璃に触れることはなかった。振りかざした瞬間、部屋の中に突如渦のような物が現れたのだ。それは明らかに部屋にいる者たちには理解しがたい出来事だった。そして次の瞬間黒い物体が渦から現れ白装束の男を一瞬で殺害した。

 

「なんだあれ……………」

 

蓮達はただ驚く事しか出来なかった。その姿を確認しようと試みるが渦によりイマイチ姿が見えず確認できなかった。黒い物体は今度は蓮達に狙いを定めた。一歩、また一歩と近づいてくるのがわかる。そして、蓮に手をふりかざしたその瞬間今度は赤色の物体が渦から飛び出し黒い物体に襲いかかった。赤色の物体は蓮達を守っているように見えた。

 

『グオォォォォ!!!』

 

空想の怪物が吼えているような叫び声が部屋に響き渡る。それがこの部屋で聞いた最後の音だった。次の瞬間、蓮と朱乃は家と数キロ離れた公園にいた。何が起こったのか蓮達には理解できなかった。

 

「ここは……それにこのバッジは」

 

蓮と朱乃の胸にはさっきまでなかった筈のバッジが付いてあった。こんな不思議な事を子供が理解するには時間が掛かるだろう。しかし、今はそんな事どうでもよかった。

 

「………母様!!蓮早く戻ろ!!」

 

「う、うん!」

 

朱乃は蓮の手を取りそのまま家に戻った。家に到着した時、そこには既に亡くなっていた朱璃の姿が。部屋の窓ガラスなどはすべて壊されおり壁には血が飛び散りその惨劇を物語っている。

 

「いや………いやぁぁぁ!!母様!!」

 

 

 

 

 

現在 5月31日 午前6時00分

 

過去の悪夢を見ていたようだね。おはようみんな、山口蓮だ。今日の目覚めは最高とは言い難いね。あの後、朱乃とは音信不通になった。あの事件以来、朱乃と父親であるバラキエルさんの関係は良いものではないらしい。けど、問題はそこじゃない。一体誰が朱璃さんを殺したかだ。僕はあれ以来、体を動かすよりも勉強に励み知識をつけた。あの事件は明らかにありえないものだった。それとバッジだ。僕と朱乃の服に付いてあったバッジ。このバッジの中には回路が仕込まれていたのだが既に壊れた後で今ではゴミ同然だ。

 

「蓮起きてるかー」

 

不意に扉を開ける修兄。僕はまだコスチュームを着ていた。僕はすぐに布団を首元までかぶった。マスクはベッドの下だが明らかにバレない位置にある。それにしても本当にデリカシーのない兄だよ。でも今度から着替えて寝るようにしよう。

 

「ちょっと!!僕まだ服着てないんだけど!?」

 

「良いじゃねぇか兄弟なんだからよ!」

 

「親しき中にも礼儀ありって言葉知らないわけ?」

 

「とにかく早く起きないと遅刻するぞ」

 

「わかったよ!」

 

やっと出で行ってくれた。修兄にはスパイダーマンの事は話していない。話せば絶対に心配するし危険だ。制服に着替え終え僕はリビングに向かった。僕は今マンションに住んでいる。行きは大変だが帰りはとても楽だ。

 

「さてと、昨日は何があったのかなっと」

 

修兄はコーヒーを啜りながら新聞を読んでいる。僕もトーストをかじりながら修兄が読んでいる方とは逆の記事を眺めている。……………昨日もまた銀行が襲われたのか。なになに、犯人は黄色いマスクに緑の服装とな。また変な奴が出たなぁ。

 

「そうそう、最近帰りが遅いみたいだがどっか寄り道でもしてるのか?」

 

「それは……新聞社に売り込む写真を撮りにいってるんだよ」

 

僕はよく嘘をつくがこれは本当だ。新聞社に今グランドシティで起こっている怪事件や自警団の写真を持っていくとフリーでも買ってくれると言っている。修兄にら今付き合っている女性がいてそろそろプロポーズしたいと言っていた。そうなれば僕はこのマンションから引っ越し1人で住もうと思っている。その方が………ね。修兄も色々とあるじゃない。

 

「へぇ、じゃあ最近噂になってる自警団気取りの変な野郎の写真も撮れたのか?」

 

「ま、まぁね。見る?」

 

ちょっと傷つくなぁ。僕は修兄に今まで僕が撮った写真を見せた。その大半がスパイダーマンの物だが。高校になって驚いた事は自撮りで稼ぎるってことだ。

 

「スパイダーマンか」

 

「苦い顔してどうしたの?」

 

「いや、ただこんな派手な衣装着てる奴が果たしてまともなのかなぁって。こいつの家族の顔を見てみたいよ」

 

笑いながら僕に言われても貴方なんですがね。おっと、もうこんな時間か。そろそろ行かないと。

 

「じゃあ僕は行くね」

 

「おう、行ってらっしゃい!」

 

午前8時56分 駒王学園

 

あー退屈だ。1時間目は国語の授業なんだけど僕は国語系は苦手なんだ。君達も退屈だろ?そこで!僕がどうやってスパイダーマンになったのか、その経緯を教えよう。

 

あれは今から1年ほど前の話、僕がまだ中学3年の頃だ。

 

5月 8日 グランドシティ グランド大学

 

この日サウス中学校3年生は毎年恒例の大学見学の日だった。僕みたいにこの日を楽しみにしている人は少ないな。いや、はっきり言って僕しないない。

 

「いやー楽しみだなぁ」

 

「あ〜つまんねぇ」

 

「つまらなくなんか無いさ!この大学にある顕微鏡の性能は世界でも一二を争うんだよ!細胞の奥の奥まで見えるんだよ!」

 

「ははっ、話についていけねぇな。」

 

僕らもとい僕は楽しんでいた。何にしろここまで設備が整った場所を未だ見たことが無かったからだ。僕はすかさず鞄からカメラを取り出しレンズに収めていく。

 

「邪魔だ!」

 

後ろから肩をぶつけてくる輩達。僕のクラスにいるいじめっ子だ。おかげでピントがずれたじゃ無いか。

 

「何すんだよ!?」

 

「ぼさっとしてる方が悪いのさ!」

 

ケラケラと笑いながら悪びれる様子も無かった。まあ、こんな奴らは無視に限る。僕は奴等から離れ生物のブースに向かった。生物のブースではカブトムシやサソリや蜂、そして蜘蛛などが飼育されていた。

 

「遺伝子操作した虫達か。でも蜘蛛って蜘蛛目の生き物なんじゃ」

 

僕は気お取り直して飼育ケースに入れられている虫達を撮影していった。そして蜘蛛のケースに行くとある異変に気がついた。ケースの中にいるはずの蜘蛛がいないのだ。ケースの中を捜索するも見つからなかった。

 

「何処へ行ったんだ?………ま、いっか」

 

僕はカメラを机の上に起き鞄から新しいフィルムを取り出した。それと同時にケースの中にいた蜘蛛が蓮のカメラに飛び乗っていた。そんなことを知らずに蓮はカメラを手に取った。その時、飛び乗っていた蜘蛛が蓮の手の甲に飛び移り蓮を噛んだ。

 

「痛っ!?」

 

いきなりの痛さに蓮はおもわずカメラを落としてしまう。その瞬間、蜘蛛は蓮の側を離れ何処かへと去っていった。蓮が手を見ると噛まれた部分が赤く腫れていた。

 

「何なんだ一体」

 

 

午後4時58分 山口家自宅

 

「ただいま」

 

「おかえりー」

 

修兄は珍しく非番で今日は家でゆっくりしていたが僕の青ざめた顔を見て驚いていた。

 

「おい大丈夫か?」

 

「うん大丈夫。それよりも今日はもう寝るよ」

 

「もうまだ5時になってないのに寝るのか?ご飯は一口も食べないの?」

 

「いや一口食べられた」

 

僕はそのまま自分の部屋に行きベッドに倒れるように眠りについた。その晩僕の遺伝子が変異している事も知らずに。

 

5月9日 午前7時00分

 

今日は昨日よりだいぶマシだ。昨日あった頭痛や吐き気なんかも治っている。僕は制服に着替えるため服を脱いだ。しかし服を脱いだ瞬間自分の体を見て驚愕した。何と、ひ弱だった自分の体が筋肉質になっていたのだ。暫く自分の強化された肉体に見惚れていたが時間の事もあり僕は制服を着た。そして眼鏡をかけるとまたもおかしな事が起こった。

 

「なんでだ?」

 

眼鏡をかけると辺りがぼやけて見える。眼鏡をかけなでいる方がよく見えた。

 

「昨日の蜘蛛のせいか」

 

 

午前8時20分 グランドシティ イースト中学校

 

「やばいよ!遅刻だ遅刻!!」

 

朝から奇妙なことばかり起きていてすっかり学校を忘れていた。僕が青信号となった横断歩道を渡ろうとしたその時、僕の頭の中でチクチクとした感覚があった。見るとトラックが猛スピードで此方に向かってきていた。運転手は如何やら意識が無いみたいだ。

 

「やばっ!!」

 

僕は軽くジャンプするとトラックを軽々と飛び越してしまった。そしてトラックの車上へと飛びおちた。

 

「嘘だろ!なんでこんな力が………」

 

そしてまたも頭の中でチクチクした感覚が。前方を見ると壁に激突しそうになっていた。このまま行くと運転手も助からない。僕はトラックの窓ガラスを叩き割り車内に入った。

 

「ちょっと起きてくださいよ!!」

 

僕は運転手の人を揺らすも起きる気配が無かった。ブレーキを踏み込むが間に合わない。壁に激突する瞬間、ドアを開け運転手と共に飛び降りた。大きな轟音と共に壁にめり込んでいくトラック。

 

「な、なんだ事故か!?」

 

「おい!誰か警察か救急車に連絡しろ!」

 

この騒ぎを聞きつけ野次馬たちが集まり始めていた。この場にいてはマズイ。運転手の人の心臓は動いているので心配は要らないはずだ。僕は猛ダッシュでその場を後にした。

 

午前9時12分 グランドシティ イーストタウン

 

さっき学校に連絡し今日は休ませてもらう事にした。そして私服に着替え今は街を歩いている。とりあえず整理してみよう。昨日蜘蛛に噛まれ朝起きてみると筋肉が付いていた。更に、一種の危険察知能力やとてつもないジャンプ力まで備わっている。窓ガラスを簡単に破る力。もしかしたらこれだけじゃないのかも。

 

「蜘蛛か…………」

 

僕の中の蜘蛛のイメージは暗がりにいて糸を吐き壁を這い回るっていう…………這い回る?まさかね。でも試してみようかな。僕は表通りだと目立ちすぎるので路地裏に向かった。

 

「よし」

 

僕は壁に左手と右足をつけた。そして今度は逆の方の手と足。それを数回繰り返した。普通なら登れないはずだが僕はなんと登れていた。調子づいたのか僕は素早く壁をよじ登りあっという間に屋上へと到達した。

 

「スゲェ………凄すぎる!!」

 

これが夢じゃ無かったら現実で普通の人間が驚異の蜘蛛パワーを宿した事になる。アニメや漫画の世界だけかと思っていたのに。実際にあるとは。でも蜘蛛の糸は如何なってんだ。ここまで蜘蛛の力が使えたんだ。蜘蛛糸くらい出せるはずだけど。無造作に体を弄り指を折り曲げる。中指と薬指を折り曲げた瞬間、手首から蜘蛛糸が発射された。

 

「なるほど………中指と薬指か」

 

どうやら長く曲げていると長い糸が出る仕組みのようだ。分かりやすくていいな。僕は向かいのビルの看板に蜘蛛糸を引っ付けた。そして思い切ってビルから飛び降り向こう側に渡ろうとした。

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

渡れたのはいいが歯止めが効かずそのまま看板に激突してしまった。

 

「あうっ………」

 

この力があればおばさんを殺した犯人とも渡り合えるかもしれない。

 

「火事だぁぁ!!」

 

「!?」

 

声の方を見るとビルの一角が既に火の海となっていた。一回の扉から次々と出て行く人々。僕はただ唖然とその光景を目にしていた。

 

「お願いします!!あの中にまだ娘が!!」

 

「わ、私に言われても」

 

「お願いです!!誰か、誰かあの娘を!!」

 

必死に叫ぶ母親と目を合わさないようにする市民たち。その時、僕は考えるより先に体が動いていた。僕はフードを被りビルに蜘蛛糸を発射して飛び降りた。そして壁にぶつかる直前に逆のの手首から蜘蛛糸を別のビルに向け発射した。それを交互に繰り返し火事現場のビルに辿り着いた。僕は4階の窓ガラスを足で蹴って割り中へと入った。

 

「どこにいるんだ!?」

 

「ママ………助けて」

 

研ぎ澄まされた聴覚により女の子の居場所を特定した。どうやら5階にいるようだ。僕は崩れ落ちる破片を避けながら5階へ向かった。5階の部屋から女の子の声が聞こえた。僕は扉を蹴破った。するとリビングには毛布に蹲っている女の子の姿が。

 

「もう大丈夫だよ」

 

僕は安心するために抱き寄せ背中をポンポンと優しく叩いた。後ろを振り返り戻ろうとすると既に後ろの足場が無くなっていた。

 

「くそっ!!」

 

幸運に窓が開いており僕は迷わずその窓から飛び降りた。僕らが飛び出した直後部屋は爆発した。正に間一髪だった。そして蜘蛛糸を伝いゆっくりと地面に降り立った。

 

「ゴホゴホ……この子に怪我はありません」

 

「ああ神様…………ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

必死にお礼をする母と母親の元に帰り笑顔になる母親を見て僕は微笑みその場を立ち去った。

 

 

午後12時39分 山口蓮自宅

 

今日、火事にあった親子やトラックの運転手を助けて分かった。この力は人々守る為にある事を。しかし一歩間違えば恐ろしい結果を招く事になる。強大な力には責任が伴うということだ。僕はこの街の人々を守ることを誓った。

 

「そうなればコスチュームがいるな」

 

さっき着ていて焼き焦げたフード付きの服を見て呟いた。できたら、体にしっかりフィットして動きやすいものにしよう。それとマスクも。色は赤と青がいいな。後etc

 

 

現在5月31日 午後4時 47分 グランドシティ

 

どうだった?これがスパイダーマンの誕生秘話さ。作者も学校の授業のシーンを書くよりマシだってさ。さてと、僕はこれからパトロールに行くから今日はこの辺で失礼するよ!

 

 

 

 

 




♢山口 蓮/スパイダーマン
駒王学園の一年生。中学三年の時に遺伝子操された蜘蛛に噛まれ驚異的な力を得る。以来、その力を正しく使おうと誓いスパイダーマンとして活動し始めた。幼い頃、姫島 朱乃の家の隣に住んでいてよく2人で遊んでいた。ある日、朱乃の母である朱璃が正体不明の何かに殺害される。それ以来蓮はその正体を突き止めるため独自に捜査している。因みに姫島朱乃に特別な感情を抱いている。堕天使に関しての知識もそれなりにある。

♢山口 修二
グランドシティ警察署の刑事で蓮の兄。幼い弟の学費と生活費を稼ぐため青春を返上してバイトに明け暮れていた。その事から蓮は一刻も早く一人暮らしをしたいと思っている。晴山コーポレーションで働いている彼女がいてプロポーズしようと考えている。スパイダーマンの事をあまりよく思ってはいない様子。


原作開始は当分先になりそうです。それにあまりハイスクールD×D要素は少ないかも……それでもいいという方は次回も見てください!

次回、電撃がスパイダーマンに襲いかかる!?

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