6月28日 午前 11時時00分 グランドシティ
今日は学校も休みで朝から街のパトロールをしている。ウェブスイングで街を飛び回るのはなかなか楽しい。まるで自分が取りになったみたいだ。
「いやっほう!!」
数分間街を見回り今はビルの屋上で一休みしていた。一通り見回ったし、警察無線待ちかな。
『ノースタウンで緑色の矢を発見、付近の』
『サウスタウンで鳥人間が飛行しているとの情報が住民から寄せられています。警ら中のパトカーは至急向かってください』
仕方がない、鳥人間とやらを追うとするか。鳥人間を追うためビルから立ち去ろうとした。とその時、僕の第六感とも呼べるスパイダーセンスが反応した。
「反応はしてるけど一体何が起ころうって」
激しい轟音と共に反対側のビルから煙が。あのビルは確か銀行があったような。轟音に銀行とくれば銀行強盗しかないよな。僕は手に持っていたカメラで犯人の写真を撮り始めた。犯人は緑と黄色のコスチュームを着ておりマスクはつけていない。
「しかし、間抜けな強盗だな。マスクも付けずに」
犯人の顔をバッチリ写真に収め僕は銀行前に降り立った。降りると犯人の男は既に銀行内に入っており金を巻き上げた後だった。
「おーい、強盗君!両手に持っている鞄を地面に置き両手を上げて降参しろ!」
「お前最近巷で噂になってるコスプレ野郎か?それに人に物を頼む時はお願いっていうのが礼儀じゃねぇか?」
「分かった言い直すよ。その鞄を地面に置いて両手を上げろ………お願い!」
「……………嫌だね!!」
だろうね。男が右手を僕にかざした瞬間、スパイダーセンスが反応した。その直後男の右手から電撃が放たれた。間一髪電撃を回避し電灯の上に飛んだ。その電撃は僕の背後にあった車に直撃。その車は黒こげとなりその威力を物語っていた。
「当たったら痺れるくらいじゃ済まないかな。おいお前一体なんなんだ!?」
男は不敵に笑いポケットから黄色いマスクを取り出した。そのマスクは星型のような形をしていた。そしてマスクを被ると僕にこう名乗った。
「俺は……-エレクトロだ!!」
「エレクトロ?ヒトデマンの方がよくない?」
あいつのマスクはどう見てもヒトデだ。エレクトロは尚も電撃を放ってくる。あれに当たれば僕でもタダじゃ済まない。でも、要は当たらなければ問題ないという事だ。僕は奴の電撃を交わしながら近づいていく。そしてクモ糸でマンホールのふたを引っ張りエレクトロにぶつけた。
「ぐおっ!?」
一瞬怯んだエレクトロだが今度は体を宙に浮かせ僕を狙ってきた。さっきの要領でかわしていく。しかし、一閃の電撃を交わしそびれ右腕に当たってしまった。
「痛たたたたた!!」
右腕が痺れて感覚がない。それにコスチュームも破けた。あいつめ、このコスチューム縫うの大変なのに。優勢となったエレクトロは今度は逆に僕の方へ徐々に近づいてくる。
「ここで止めをさすのもいいが今回は助けておいてやる!俺にはやる事があるんでな!」
「どこにも行かせないぞ!」
「行けるさ…………善良な一般市民が危険ならな!」
エレクトロは何と電光掲示板に電撃を放った。超高圧電流を流し込まれた電光掲示板は火花を散らしながらショートした。そしてその衝撃で電光掲示板は市民がいる道路へと落ちていった。
「まずい!!」
右手は今は使えないので左手だけでやるしかない。幸運にも電光掲示板はビルとビルの間に落下していってる。僕は左手からクモ糸を発射し十数メートルのクモの巣を作り出し受け網にした。電光掲示板はクモの巣に引っかかり地面にぶつかることは無かった。
「あんなのどうやって倒せば…………早く修兄に連絡しないと」
午後13時1分 グランドシティ警察署
「修兄!」
「蓮?珍しいなお前がここに来るなんて」
「それよりもこれを見てよ」
僕は先ほど撮ったエレクトロの写真を見せた。勿論、実際の顔とマスクをつけた姿も。
「これは………」
「さっきビルの屋上から撮った写真だ。こいつは体から超高圧電流を使って攻撃してくるんだ。だからこいつと会っても絶対に手を出さないで」
「お前また危険な真似を…………こいつは!?」
「知ってるの?」
「ああ、俺が刑事になって初めて捕まえた奴だ。名前は白石純一、元電気技師の男だ」
「何の罪で捕まったの?」
「ひったくりとすりの常習犯だ。もう出所して真面目にやってると思ってたのに」
元電気技師か。あいつの能力と何か関係があるのか?それよりも今はあいつの倒し方だ。普通に肉弾戦となれば勝てるがあいつに近づけばあの電撃を諸に受けることになる。あれほどの電撃をだせる体だ。それを水でショートさせればいけるかも!
「次に狙うところは一体どこ何だ?」
「そんなの僕が知るわけないじゃん。でも、僕が犯人なら一番大きな銀行を狙うよ」
約三ヶ月前 午後10時38分グランドシティ発電所
雷が鳴り響いき嵐となったこの日、いつものように白石純一は一人残業を押し付けられていた。前科持ちでの白石を同僚はあまりよく思ってなく白石自身も馴れ合う気はてんで無かった。
「くそっ、何で俺がこんな事させられてんだ。あん時ミスらなけりゃ今頃はよ!」
白石は淡々とケーブルを確認していた。彼の仕事はこう言った雑用ばかりだ。そして事は起きてしまった。海に面しているグランドシティ発電所は嵐の影響を最も受ける。白石が作業を終え鉄塔から降りようとした次の瞬間雷が白石の体を直撃したのだ。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぉ!!!」
白石の叫び声は悲しくも雷の轟音によって掻き消され感電した。そしてそのまま海に真っ逆さまに落ちていった。白石はまだ体内に電気を宿している。しかし、この雷による感電が作用し白石のDNAを変異させるきっかけとなった。数分の間意識を手放していた白石の目がさめるとそこは海の底だった。慌てて海上へ浮上し陸地へと戻った。この時点で彼は人間発電機となっていた。
「何なんだよ一体」
その後白石は発電所の仕事を退職。以降、白石の能力は日に日に強くなっていき人を殺せるほどの電撃を出せるまでとなった。白石はこの力を使い自分を馬鹿にした人間を襲っていった。こうして犯罪者エレクトロが誕生したのだ。
現在午後20時8分 グランドシティサウスタウン
ようやく8時を回り暗くなって見つけやすいと思ったのに。この街じゃ昼も夜も変わらないくらい明るい。これじゃあピカピカの犯罪者をどうやって見つけ出せばいいのやら。とりあえず、大きな銀行をマークするか。僕はこの街で一番大きな銀行、スーパーバンクに向かった。
同時刻覆面パトカー内
修二は相棒の中田刑事とともにスーパーバンクに張り込んでいた。昼間の弟の話が本当ならばここに来るはずだ。たった数ヶ月前まで拳銃は最強の武器だと思っていたのに最近じゃ体から電気を出したりクモ糸を出したりする奴も出てきた。本当に物騒な世の中になったよ。
「付き合わせて悪いな中田」
「構わんさ。それにお前の弟は俺達より賢い」
修二は先ほど買ってきたコーヒーを啜った。その時だった。目の前のスーパーバンクが突如爆発した。そして煙から出てきたのは黄色と緑色のコスチュームの男、エレクトロだった。またも両手に大金が入った鞄を持ち満足げに歩いていた。
「行くぞ中田!」
「おう!」
二人はハンドガンを手に持ってパトカーから飛び出しエレクトロの目の前に立ちはだかった。
「グランドシティ警察だ!白石、お前を逮捕する!」
「大人しく投降しろ!」
「はっはっはっはっ!!お前ら馬鹿か?俺にそんな物が通用するとでも!?」
二人は引き金を引き弾丸を発射した。しかしその弾丸はエレクトロが放った電撃で全て無力化された。ニヤリと笑うエレクトロに修二達は内心恐れていた。こんな化け物相手にどう立ち向かえばいいんだ。そうこう考えている内にエレクトロは手を上げ二人に電撃を放った。
「すまん蓮…………許してくれ恵美!」
二人が死を覚悟した瞬間、何者かが真後ろに引っ張った。引っ張られたおかげで二人は電撃を喰らわずに済んだ。後ろを振り返るとそこには赤と青のコスチューム姿の男が立っていた。
「スパイダーマン?」
「無茶しすぎだよ。あいつは僕に任せて!」
僕はクモ糸をボール状にし両腕から発射した。セメントの強度を誇るそのボールはエレクトロわ確実に追い込んでいた。しかし、この攻撃も見切られ電撃で分解された。よし、後は奴を給水塔におびき出せば。
「おい!そこのマスク付けた間抜け!」
「俺のことか!?」
「あんた以外誰がいる?言っとくけど僕は間抜けじゃないからね。あんた強盗より電気会社立ち上げた方が儲かると思うけど?」
僕は奴を挑発し着々と給水塔におびき寄せていった。給水塔はビルの屋上に設置されている。僕はウェブスイングで屋上まで上がった。エレクトロは何と壁を走って追ってきた。ぼ、僕もこれくらいできるし!
「逃げるなよ虫野郎!今日の晩飯が決まったぜ、蜘蛛の丸焼き何てどうだ!?」
電撃を必死に当てようとしてくるもスパイダーセンスのおかげで全部交わしている。
「蜘蛛の丸焼きなんて冗談でしょ?ゲデモノ好きなわけ?」
「そろそろ終わりにしてやる!!」
エレクトロは今日一番と言っていいほどの電撃を放った。その威力はとてつもなく当たれば間違いなく即死だ。でもこれは計算通りだ。僕はジャンプして避けると給水塔を支えている柱に当たった。そして給水塔の裏に回りエレクトロの方に蹴り倒した。給水塔の中には大量の水が。その大量の水をエレクトロは諸に被ってしまった。
「があぁぁぁぁぁ!!」
読み通りエレクトロはショートした。多分死んではいない。気を失っただけだろう。僕はクモ糸で縛り上げ修兄達の元に戻った。
「はいこれ犯罪者お持ちしました!」
僕は二人に軽く敬礼しその場を立ち去ろうとしたが修兄が引き留めた。
「待て!助けてくれたのは感謝するが君は一体誰なんだ!?」
「僕は…………貴方は知っている」
「知っているだと?」
「…………親愛なる友人隣人、スパイダーマンだ!」
きょとんとした二人を残し僕は夜の街に消えていった。
6月30日午前7時47分 山口蓮自宅
あの後、エレクトロはボルトと呼ばれる刑務所に入れらる事となった。何でもボルトにはエレクトロみたいなスーパーヴィランを収容できる設備が整っているんだとか。それと今回の事件の写真を新聞社に持って行って数枚買ってもらった。相変わらず値段は安いけどね。変わったこともある。修兄のスパイダーマンの見方が変わった。少なくとも悪い奴とは思わなくなったらしい。さてと休みも終わって今日からまた学校に行かないと。それじゃあまた次回!
次回、何でもコピーしてしまうオリジナルヴィランが登場!
ヴィランファイル1エレクトロ/白石純一
電気技師の白石純一はある日、落雷によってDNAが変異し電気人間エレクトロになってしまう。元々犯罪歴がある彼はこの力を悪用し自分を馬鹿にした人間を襲っていき今では銀行強盗も行っている。ルミ子という妹がいる。