ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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 今回、一夏は女性議員やその部下を……。


第19話

「だ、誰よあんた!?」

 

 女性議員は、破壊された壁近くに佇んでいる一夏に問うも、一夏は無言だった。

 

(い、一夏君に止君なの……?)

 

 一方、楯無は男達に押さえ付けられ泣きながらも一夏と止の名を呟く。助かった、自分は貞操を奪われずに済んだのか、と。

 にも関わらず、楯無は未だ泣いていて、例え一夏と止が助けに来てくれても、彼等が、この誘拐が身内が行った嘘の誘拐である事を知っているのだろうかである事と、自分を押さえ付けている男達に返り討ちにあい殺されないのかを心配していた。

 一方、一夏は何も言わなかった。そうだろう、一夏は女性議員のやり方と、女性議員が男達を使って楯無を犯そうとしている事に怒っている。

 それに、簪の誘拐が、楯無と簪の身内である更識家によって偽装された誘拐に怒っているよりも、女性議員のやり方の方に怒りを感じていた。

 ーーお前達には死の制裁を与えるーー。一夏は心の中でそう思いながら右腕にあるリストブレードを展開する。

 

「っ!? あ、あんた達、あんな変な奴を殺してしまいなさい!」

 

 女性議員は少し驚きつつも一夏を指差しながら、男達に命令し、男達の内、一人は楯無を捕らえ、三人は懐から拳銃を取り出し、一斉に一夏へと向ける。

 刹那、一夏はその場から消えたーー身体を透明にしたのである。

 

「き、消えた!?」

 

 拳銃を持っている男達の内の一人が仲間に言う。それを見た他の男達、簪、金髪の女性、女性議員は驚く。刹那、男の一人の頭が宙に舞う。

 一瞬の出来事であった。それに近くにいた男達や、楯無、金髪の女性や女性議員は突然の出来事に一瞬油断していた。

 それだけではない、男の首のない身体から夥しい真っ赤な血が噴水のように噴き上がり、微かだが近くにいた男達や楯無の顔や身体に飛び散る。

 その光景は楯無や男達が、首のない男の血の雨を浴びているようにも思え、男の首は地面に音も出さすに転がり落ちた。

 

「キャァーー!!」

「嫌アァァーーッ!!」

 

 その直後だったーー簪や金髪の女性の悲痛の叫び声が倉庫内に木霊する。それだけじゃない、声は出さなかったが楯無、女性議員や男達の誰もが恐怖で顔を歪ませている。

 一瞬の出来事とは言え、更識姉妹や女性議員やその部下達を恐怖を刻むには充分な程だった。更識姉妹は兎も角、一夏は女性議員や部下を鏖殺するつもりだった。

 彼が、プレデターと言う超人的な宇宙人からプレデター特有の狩りを学び、プレデターのように狩ろうとしていた。

 それに、一夏は今、とある男達の近くにまでいた。そして、一夏は一人の男の背後へと周り、後ろからリストブレードで下から突き刺したーー同時に男の胸にまで貫通する。

 突き刺さされた男は突然の事で声を上げる事は出来ず、天井を仰ぎ、拳銃を落とす。

 ーーなっ!? ーー。近くにいた拳銃を持っている男、楯無を押さえ付けている男、金髪の女性と女性議員が男を見やり、一斉に声を上げる。

 刹那、一夏はリストブレードを男の背中へと深く突き刺し、右拳を男の体内へと食い込ませ、何かを掴み、引き抜こうとしたーー脊髄だった。

 しかし、一夏の力では頭蓋骨までは抜く事は出来ず、おまけに脊髄は固く、一部しか引き抜けなかった。同時に、リストブレードを引き抜き、脊髄の一部を投げ捨てた。一方、男は口から血を吐き、膝を突き俯せに倒れた。

 

「嫌ーーッ!!」

「ウワァァーーーーッ!!」

「アァっ……ッ……」

 

 再びその直後だった。金髪の女性は叫びながら鞄を放り捨てその場から離れるように逃げ、女性議員は腰を抜かし、簪は気を失い、拳銃を持っている男は恐怖のあまり持ってる拳銃で辺りを乱射する。

 拳銃の銃口から銃弾が何発も放たれるが、一夏には当たらなかった。一夏は男の持ってる拳銃に当たらないように素早く移動していた。

 

「ちょっと止めなさい!?」

 

 女性議員が男を宥めるが今の男は恐怖で支配されていた。

 殺らなければ、此方が殺られる。男はそう思い、拳銃を乱射したのである。

 

「…………」

 

 そんな男に、一夏は呆れて物も言えず身体を透明にしたまま男に近付き、リストブレードで男の拳銃を持ってる手を切り落とす。

 

「ギャァァァ!!」

 

 男は叫び声を上げ、切り落とされた手からは血が少し多めに噴き出る。それでも一夏はお構い無しに、左手で男の頬を素早く掴み、此方へと振り向かせ、リストブレードで男の両目を抉るーーリストブレードは男の後頭部へと貫通した。

 近くから女性議員の叫び声が聞こえたが、一夏は軽く聞き流し、リストブレードを引き抜くと、男の頬を放し、軽く押した。

 男は両目が無くなっていた。眼球はグシャグシャになっていた。本の数分で三人の男は一夏に殺された。自業自得としか言い様がないが一夏から見れば鏖殺の対象であり、彼等は殺されなきゃない者達だった。

 

「次はお前等だ」

 

 一夏はリストブレードに着いている血を、リストブレードを軽く振って落とすと、女性議員と楯無を押さえ付けている男の前で姿を現す。

 一夏は何故か、マスクや防具に返り血を浴びていたーー服は黒い服だから判らないだろうが服にも返り血を浴びている。それは透明にしたままとは言え、返り血は浴びる物だったのだ。

 それだけでも今の一夏は、人を殺す事を躊躇していない。

 

「あ、ああっ……」

「ひ、ひぃぃ……」

 

 女性議員と楯無を押さえ付けている男は一夏を見て、恐怖で顔を歪め、身体を震わせていた。殺される、このままでは彼に殺される、と。それに、金髪の女性は一夏の殺戮に恐れをなして逃げた為に、ここにいない。

 そんな一夏に、楯無を押さえ付けている男は近くに落ちている、死んだ仲間の拳銃を拾おうとして移動した。

 しかし、それよりも早く、一夏が左腕を男に突き出す。刹那、一夏の左腕から何かが飛び出て、その何かは男を巻き込、男は後ろへと吹っ飛び、地面に叩き付けられる。

 

「ウァァァーーッ!!」

 

 男の悲鳴が木霊する。男の身体には網が絡まれていた。そう、一夏は男に対し、左腕に装備していたネットランチャーにある網で、男の自由を奪ったのだ。

 遠くから男の叫び声が耳に響く。しかし、男は網から脱出しょうとするが網は鉄よりも硬く、刃物で切る事は出来ない。

 それだけでなく、網や男が動くせいで、男の肌や身体に網状の傷が出来始める。

 

「次はお前だ」

 

 一夏は、男は後でいいだろうと思い、今度は腰を抜かしている女性議員を見るや否やそう言った。

 それを聞いた女性議員は「ヒッ!?」と身体を震わせる。表情は恐怖で未だ歪んでいたが逃げようとしても身体を言う事を聞かず、更には失禁していた。

 しかし、一夏はそれを気にもせず、女性議員の方へと向き合う。

 

「こ、殺さないで!!」

 

 女性議員は一夏に泣きながら懇願する。だが、一夏は何も言わず、背中に携えている槍を左手で取り出し、上下に伸ばす。

 槍は一瞬で長くなった。しかし、一夏は槍を女性議員へと向け、それを見た女性議員は殺される恐怖のあまり、泡を吐いて気を失う。

 

「駄目えぇぇーーっ!!」

 

 そんな一夏に、後ろから女性の叫び声が聞こえ、何者かが一夏を羽交い締めにしたーー楯無だった。楯無は男が手放した事により解放されたのである。

 それだけでなく、楯無は一夏の行動に恐怖を感じただけでなく、このままでは一夏が女性議員を殺してしまうのかも知れない危険をも感じていた。

 勿論、楯無が行動できたのも、一夏を止める為の物だったのである。

 

「放せ!!」

 

 一夏は楯無に言いながら身体を激しく振る。

 

「お願い! これ以上殺すのを止めて!!」

「何言ってやがる!? この女は最低なお前達姉妹を……」

「それは解ってるわ!! ……でも、これ以上私達の家のせいで、貴方自身が手を汚すような事はもうしないで……!」

 

 楯無は顔を一夏の背中に埋めながらそう言った。が、一夏は鎧を纏っている為、楯無は一夏が纏っている鎧の背中部分に顔を埋めていた。

 

「お願い……お願、い……!」

 

 それでも、楯無は一夏に懇願する。これ以上、何の得にもならない事を止めて欲しいーーこれ以上、自分の人生を棒に振るような事は止めて欲しい、と。

 

「…………」

 

 そんな楯無の思いが届いたのか、一夏は無言で槍を地面に落とす。カラン、と言う音が辺りに微かに響き渡る。

 ーー判った、よーー。一夏の間の置いた言葉が楯無の耳に届き、それを聞いた楯無は瞠目し、直ぐに安堵の表情を浮かべながら「ありがとう……」と呟き、一夏から離れた。

 

 

「……な、訳ねぇだろうが!!」

 

 楯無の思いは届いていなかった。一夏はマスクを着けているが表情は険しいままだった。

 一夏は右腕を、気を失っている女性議員へと突き出すようにと向け、右腕に装備しているリストブレードを、女性議員へと向け発射した。

 刹那、二つのリストブレードは女性議員の胸へと突き刺さり、女性議員の服の胸部分には血が出始め、服に滲む。

 一夏の行動に楯無は「つ!?」と驚くが時既に遅しだった。

 そして、一夏は、逃げた金髪の女性や、網に絡まって未だに逃げようとしている男性以外の二人を残して、女性議員や三人の男達を殺してしまった……。

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