ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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第2話

 三年後。ここは太陽系惑星から遠く離れた惑星。その惑星は小麦色かつ地球と同じ大きさである以外、変わりなかった。

 

 その惑星のとある場所、そこはジャングルだった。ジャングルと言っても木や、草や、住んでる生き物達は皆、地球とは全く違っていた。違うと言えばジャングルだけではない、空がオレンジ色だったーー夕日ではなく、まだ昼間であった。

 

 そんなジャングルの中を、槍を片手に、表情を険しくしている一人の青年が歩いていた。

 青年はガッシリとした顔立ちに、少し伸ばしている黒髪に、周りを見据える澄んだ黒い瞳が特徴的な青年である。

 服は、上は黒の長いシャツに下は黒いズボンや黒いスニーカーが特徴的であり、シャツやズボンはつぎはぎだらけであるのと、スニーカーもボロボロだった。

 更に、服の上には皹や傷跡が幾つもある、腹や前腕、脹ら脛等が露出している甲冑に近い鎧を身に纏い、腰には水に良く似た液体が入っているボトルをぶら下げていた。

 そして、青年の手に持ってる槍は地球上の槍とは全く違っていた。その槍は両側に鋭い刃が特徴的な穂先と、柄の部分は最先端技術を用いた物だった。

 

「…………」

 

 青年はジャングルの中を歩いていた。さすがジャングルと言うだけであって、風通しも余り良くなく、気温は高い方で暑い。

 青年の額には汗が流れていて、身体を纏っている服が汗でくっ着くのと、その上に着ている鎧が青年の体力を奪っていた。

 ジャングルの中は青年にとって地獄その物だった。それでも、青年には、ある目的があるのと、心に秘めている憎しみが青年を励ましていた。

 

「暑い……っ」

 

 勿論、青年はジャングルの中を歩いていただけでも、この暑さには本音を吐くーー表情はそのままだっだが青年は額にある汗を手で拭う。

 

「これだけ暑いと、流石に……休憩するか」

 

 青年はそう言うと、近くの木の前で凭れ掛かるように座り、槍を大事そうに抱き締めながら腰にぶら下げているボトルを手に取り、蓋を手で捻るように開け、中に入っている液体を少し飲む。

 液体は水ではなかったーー水に近い物だった。しかし、幸いな事に、それは人間に害はない物だった。

 

「不味っ」

 

 反面、それは不味い物だった。それは硬水よりも更に硬水みたいな味だった。一夏はボトルの蓋を閉める。

 

「……!?」

 

 一夏は近くに何かの気配を感じ立ち上がり、木から離れ、槍を構える。辺りには誰もいない。

 それでも一夏は辺りを見渡しながら警戒した。刹那、一夏は後ろから気配を感じ振り向いた直後、一夏は後ろへと吹っ飛ばされる。

 

「うわっ!!」

 

 一夏は吹っ飛ばされた反動で槍を手放し、槍は地面に転がり落ちるが一夏も少し離れた木と激突した。

 

「っうう……」

 

 一夏は身体中に走る激痛に表情を歪め歯を食い縛り、よろよろと立ち上が、自分がいた場所を見る。

 

 そこには誰もいなかったーー嫌、いた。それは一夏の前に姿を現す。

 青年よりも一回り大きな体格。黄色い肌が特徴的かつ厚い胸板。青年同様、肌が一部露出している甲冑に近い鎧を纏い、顔には口元が複雑なのが特徴的なヘルメットを着けている宇宙人がいた。

 

「け、ケルティック……」

 

 青年はその宇宙人をケルティックと呼んだ。そうーーその宇宙人の名はケルティックプレデター。

 三年前、誘拐犯達に殺されそうになった少年・織斑一夏を助けた三人のプレデター達の一人であり、そのリーダー格である。

 そして、その助けられた一夏は今、目の前にいる青年だった。そう、一夏は青年へと成長した。

 三年間という長くも短い時間をこの惑星で過ごしていた。単に只、過ごしていた訳ではない。

 一夏はケルティックの弟子として、この惑星に住む凶暴な生物と戦っていた。時にはケルティックと共に戦い、時には一人で戦っていた。

 

「ケ、ケルティック……何故、アンタが此処に?」

 

 一夏はよろけながら立ち上がると、目の前にいるケルティックに訊ねる。

 ケルティックは何も言わず、左腕にある複雑なコンピューターガントレッドを操作し始める。

 操作の音だけが聴こえ、直後にケルティックは操作を止めた。すると、ガントレッドから映像が流れ、一人のプレデターが映る。

 そのプレデターはケルティックと同族だがヘルメットを着けていない。肩まで掛かる黒く鋭い長い髪、額が広がっている。口元は左右斜め上下にある四本の牙が特徴的かつ、奥には歯が並んでいる。眼は黄緑だが何処か貫禄さえも伺える。

 

「え、エルダー!?」

 

 一夏はそのプレデターを見て慌てて膝を突く。エルダープレデター。彼はプレデター族の長にして、一番強いプレデターであった。

 一夏にとって、そのエルダーは一夏の恩人の一人に入り、この惑星に送ってくれた張本人でもある。

 そのエルダーが何の用なのだろうか? 一夏はそう思い、怯える。

 

『落チ着ケ、少年ヨ、オ前ニ良イ知ラセヲ持ッテキタ』

「えっ?」

 

 エルダーの言葉に一夏は惚ける。因みにエルダーが発している言葉は、地球のジャングルやロサンゼルスにいると言う若者のプレデター達からの連絡でマスターしたものである。

 

『少年ヨ、オ前ハコレカラ我々ノ星へ戻ッテ来イ』

「えっ!?」

 

 エルダーの言葉に一夏は再び驚く。しかし、エルダーは一夏を見て笑いに近い声を上げる。

 

『ハハハ、ソンナニ嬉シイノカ?』

「嬉しい! ……あっ、いや、嬉しいです」

 

 一夏は弁える。それでも、エルダーは言葉を続ける。

 

『モウスグ、我々ノ仲間ガ乗ッタ飛行船ガソチラニ付ク。ケルティック』

 

 エルダーはケルティックを向き合い、ケルティックは頷く。

 

『スカーヤチョッパー、ソレニ他ノ二人ノ少年ニ連絡セヨ』

「仰セノママニ」

『ソレト、飛行船ニ乗ッテイルノハ、ウルフダ』

「ソウデ……ウルフ? ウルフナノカ?」

『ソウダガ?』

 

 エルダーの言葉にケルティックは何も言わず俯く。一夏やエルダーが訊ねるがケルティックは聞く耳を持たない。

 そして、ケルティックは顔を上げ、咆哮を上げる。

 

「ウォォォーーーーッ!!」

『!?』

「ひっ!?」

 

 ケルティックの咆哮にエルダーと一夏はたじろぐ。それは辺りに響き、木に止まっていた飛んでいる生き物達が驚きのあまり、一斉に飛び始める。

 何故なら、ケルティックはウルフに憧れていた。ウルフのようになりたいと思っていた。

 ウルフプレデター。又の名をクリーナー。彼はゼノモーフと言う黒い宇宙人を狩猟するのが生業の宇宙人であった。

 彼の名を聞いた大半のプレデターは彼に憧れており、彼のようになりたい者が後を絶たない。

 その為、大半が彼の後を追うように必死に特訓している。

 

「エルダー、彼ガ、ウルフガ迎エニ来テクレルノカ!?」

 

 ケルティックは興奮を抑えきれず、エルダーに訊ねる。

 

『落チ着クノダ、ケルティック、ソレヨリモ早ク、他ノ者達ニモ連絡シ、特定ノ場所ニ集合セヨト伝エロ』

「オウヨ!」

 

 ケルティックは元気良く答える。それを見たエルダーは呆れながらも、ケルティックに集合場所の映像を送る。

 

『デハ、後ハ惑星デ待ッテル……一夏』

 

 エルダーは一夏と向き合う。一夏は一回頭を下げ、再び顔を上げる。

 

『後デナ』

「はい!」

 

 一夏の言葉にエルダーは笑うと、エルダーは映像を切った。

 

「良シ、行クゾ一夏」

 

 ケルティックは一夏に命令した後、ケルティックは再びガントレッドを操作する。その間に、一夏は槍を拾うと、空を見上げる。

 微かだがオレンジ色の空が見える。だが、一夏の心は晴れなかった。

 

「あの、クソ女ガ……」

 

 一夏は自分の姉を思い出す。それは一夏が唯一、憎悪の対象として見ている人物であった。

 姉の名を聞くだけでも、見るだけでも怒りが込み上げて来る。最早、一夏は姉を身内として見てはいない。

 

「一夏、行クゾ」

 

 すると、ケルティックが一夏に言う。一夏は姉の事を思い出している間、ケルティックはスカーやチョッパーに連絡を終え、後は集合場所に集まるだけであった。

 一夏はケルティックを見て頷くと、ケルティックは一夏に背を向け、歩き始める。一夏もケルティックの後を従いていくように歩く。

 辺りは未だジャングルだった。それに周りから何かの生物の鳴き声が聞こえるが、それでも一夏はケルティックの後を従いていく。

 そして、二人はスカーやチョッパー、他の二人の少年と言う人物と合流する為にジャングルの中を歩き続けた。

 




 次回、ロストクラウンのメンバー数人だけ登場。一夏、二人の少年と共に地球へと帰還。
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