ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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 今回は急展開が多めです


第30話

 束が全世界に宣言してから一時間後。一夏、勇人、止の三人は束に呼ばれ、束が半日か一日以上居るかもしれない研究室にいた。

 周りには幾つもの液晶モニターが置かれており、唯一操作出来るキーボードは三つだけ設けられている。キーボードは兎も角、液晶モニターにはIS関連の物しか映っていない。

 恐らく、束は此処で日々、研究しているのだろう。普通の者なら一日も経たずに弱音を吐くだろう。嫌、束は天才であり天災であるのと、此処を造ったのは束であるのも事実だろう。

 

「兎に角、いっ君達にはIS学園に入学するまでの間、このラボで生活してもらうよ?」

 

 話を戻そう。束は三人に、これからの事を話した。三人にはISの事を勉強させ、ここでISの技術を叩き込み、ISに慣れるまでの訓練を施させようと考えていた。

 勿論、三人には暫くの間、外を出る事は許されない。それは束が彼等の身を安全を考慮しての事だった。束自身、男がISを動かせるのは想定外だし、そんなのは束には関係なかっただろう。

 しかし、一夏が関わっているとなれば話は別であり、一夏の知り合いだったら束は間違いなく、彼等を保護していたに違いない。

 

「取り敢えず、いっ君達の意見はどうかな? もししてくれるのなら束さんは何かをしてあげるけど……」

 

 束は一通りの事を言った後、一夏達に訪ねる。束も束なりで一夏達の事も考える。別に一夏達に強要している訳ではないが一夏達の意見も尊重しなければならない。一方、一夏達は各々物思いに更けていた。

 一夏はIS学園に入学する事に躊躇しているのか少し戸惑っていて、勇人は何も言わず瞑目している。

 止に至っては「別に良いけど?」と言わんばかりの表情を浮かべ、両手を頭の後ろに当てながら何回も頷いていた。

 すると、勇人は何かを思い出したのか、束にある事を訊ね、一夏や止は勇人を見やる。

 

「束……さん?」

「何かな、はやちゃん?」

 

 束の言葉に勇人は苦虫を噛み締めるかのような表情を浮かべるも、直ぐに問う。

 

「束さん、俺の願いを聞いてくれませんか?」

「何かな? 外を出る事以外なら良いよ?」

 

束は首を傾げるも、勇人は首を左右に振る。

 

「いえ、そう言う訳じゃねぇ……ただ、秋葉原に設置されている全ての防犯カメラの映像をハッキング出来ないか?」

 

 勇人の言葉に、束は「どうしてなの?」と聞き返すが、勇人は訳を話した。

 

「ちょっと理由があって言えない……勿論、タダとは言わないーーあんたの言う通り、IS学園に行く事を決める」

「そう? だったらそれは御安い御用だけど……何でなの?」

 

 束は勇人に訊ねるが勇人は束から眼を逸らし「いえ、ちょっとな……」と呟く。一夏と止が勇人の様子に疑問を抱くも勇人は三人を交互に見て微笑む。

 

「嫌、ちょっと訳があって言えませんがよろしくお願いします」

 

 勇人は束に頭を下げる。勇人の行動に束は首を傾げ、一夏と止は互いを見やる。

 一方で勇人は頭を下げている為、彼がどんな表情をしているのかは判らない。勿論、勇人が眉間に皺を寄せている事に。

 ーーうまくいけば、彼を見付ける事が出来るーー。勇人は内心そう呟く。彼は、とある人物を捜していた。

 勇人はその人物に怨みを抱いていた。そして、勇人はその人物が秋葉原に良く行く事を知っており、勇人が秋葉原に行きたいと言ったのも、一人で行動したいと思ったのも、その人物を殺す為だった。

 しかし、その人物は秋葉原には居なかった。今日は偶々行かなかったのか、訳あって行けなかったのかは判らないが勇人はその人物に殺意を抱いていた。

 勿論、その事を一夏や止には言ってない。それは勇人自身の過去である事を……。

 

「取り敢えずありがとうございます。一夏」

 

 勇人は顔を上げ、一夏を見る。

 

「俺と止はIS学園に行く事は決まったぜ? お前はどうするんだ?」

 

 勇人は一夏に訊ねる。一夏は突然訊かれた事に戸惑う。だが、止は何も言わず首を傾げている。止は止で既にIS学園に行くのは止自身も決めており、後は一夏だけがIS学園に行くか行かないかは決めていない。

 それに束が男性操縦者をIS学園に行かせると言ってしまったのと、更に自分達の存在は全世界に知られている為、断る事は出来ない。

 一夏は仕方なく、束に言った。ーー行きますーーと。これには束も頷くと、両手を叩く。

 

「取り敢えず、いっ君達が学園に行く事は決まったけど、いっ君達には暫くの間此処に居てね? 勿論、いっ君達の身の安全は保証するから……ね?」

 

 束の言葉に三人は頷くと、束はある事に気付く。

 

「それよりも三人にお願いがあるんだけど……いっ君達が右腕に着けている……」

 

 刹那、三人は「それは駄目だ」と断る。何故なら、束は一夏達の右腕に着けているコンピューターガントレットに興味を持っていた。

 そのコンピューターガントレットはプレデター達が造った物である。その為、束はそれが何かは知らなかったが興味を持ち、調べようとした。

 無論、一夏達はそれを頑なに拒んだものの、束は未だ諦めきれないでいた。

 その為、束は未だ一夏達にコンピューターガントレットを差し出すように懇願するも一夏達は断り続ける。それはクロエが来るまで十分も続いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、束さんには感謝すると言うよりも呆れるな……」

 

 一夏の一言で止はウンウンと頷き、勇人に至ってはクロエから借りたであろう本を読んでいた為、一夏の言ってる事に耳を傾けてはいない。

 因みに彼等がいる所は、IS学園に行くまでの間だけ、三人で暮らす事になった部屋にいた。その部屋は少し広く、簡易ベッドはないものの、座布団が三つあり、テレビは一応置いてあった。

 部屋時代は汚くはないが空気の取り換え等も必要である為、窓がない代わりに換気扇が設けられていた。

 それにいきなりの事でもあり、部屋自体は用意出来るものの、色々な物は後日用意するしかなかった。

 それに、彼等は束に色々な事を教えてもらう代わりに、クロエに料理や家事や裁縫を教えたりする物だった。

 勿論、コンピューターガントレットの事は……無理である為、束が不貞腐れたのは言うまでもない。

 

「まっ、それは一夏の言い分は正しいし。何よりクロエちゃんも束さんの事を思ってるみたいだし、それで良いんじゃない?」

 

 一夏の言い分に止は笑い、それを聞いた一夏は苦笑いし、勇人は本を読むのに集中している為、やはり耳を傾けてはいない。

 因みに一夏は部屋で胡座を掻いており、止は寝転がり、勇人は壁に凭れかかりながら座って本を読んでいる。

 三人が三人、各々の時間を過ごす中、止が唐突にこんな事を口にする。ーー束さんが俺達の為にISを造ってくるって言ったけど、名前はどうするの? ーーと。

 刹那、一夏と勇人は止を見やる。一夏は瞠目し、勇人はジト目で止を見据える。何故なら、一夏達は数分前、この部屋へと案内される前に、束が彼等に専用機を造ってあげると言い出す。

 これには彼等も驚くも、束は一夏へのせめての罪滅ぼしと、勇人と止は一夏の友人である為と言う理由だった。

 その為、束は三人にはどんな専用機が良いのかを訊かれたものの、彼等は接近戦や遠距離戦の両方を得意とする物が良いと答えたが、肝心の専用機の名前は自分達が付けると言った為、束はそれを了承した。

 勿論、束が一夏達からコンピューターガントレットの事を差し出して貰おうとしたが結局は無理だったのは別の話である。

 

「一夏や勇人は名前は決めたの?」

 

 止の言葉に二人は頷く。勿論、止自身も既に名前を決めている。彼等はその事を仲間には言わなかった。

 何故なら、彼等自身も互いの親友達が専用機に何の名前つけるのかは知っている為に。話を戻そう、止の言葉に勇人は口を開く。

 

「それよりも、もう寝ようぜ? 明日から束さん自ら指導する訓練があるからな?」

 

 勇人はそう言いいながら本を閉じる。勇人の言葉に一夏は頷いた。

 

「確かにそうだな……それに束さんが専用機を造ってくれるだけじゃなく企業をも起こしたからな……」

「そうだよね~~それにしても、何であんな長い名前の企業にしたんだろう?」

 

 止は束の言葉に疑問を抱く。それは束が起こした企業であり、その名前がウェイランド・ユタニ社と言う企業だった。

 

「そんなのは俺は知らない……でも、勇人の言う通り、もう寝ようーー寝不足だと訓練には従いていけないからな……」

 

 一夏はそう言うと、座布団を二つ折りにして、それを枕代わりにして寝転がった。勇人は一夏の言葉に頷き、本を置くと、一夏と同じように座布団を枕代わりにした。

 止は最初から寝転がっていた為が文句言っていた。勿論、止は渋々納得し寝始める。

 

 

 

 

 

 彼等はその日の一日を終えた。しかし、明日から束自ら指導する訓練があった。

 

 

 

 そして、その訓練は地獄であったが彼等三人はプレデター達に鍛えられた為に何とか従いていけた。

 そして、時間は早いものなのか、彼等は束の課した訓練を全て終え、IS学園へと入学した。




 次回、IS学園編(後編)に突入します(大抵はクラス代表決定戦までを予定しています)
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