ワンサマーとプレデター 作:噛ませ犬
第31話
(ちっ……周りはそんなに男性操縦者が珍しいのか?)
一夏は今、教室の一番前の席にいた。両側には勇人と止も席に着いていたが三人共、服は違っていた。ここはIS学園であると同時に高校に近い学校でもある為、制服を着ている。
制服は此処がIS学園である為なのか、白いのが特徴的な制服だった。それに一夏達を含めた此処にいる全員が全員同じ制服である物の、デザインが微妙に違う。
しかし、問題はそこではない。一夏、勇人、止の三人以外のこの教室にいる生徒達は全員、女子である。何故なら。ISは女性にしか扱えない。
その為、IS学園は女子校であると同時に男子達から見れば女の園。ハーレムを築きたい男達にとっては喉から手が出る程入りたい所であるだろうが一夏達はそんな事を考えてはいない。
一夏達はISを動かしたと同時に男性達の希望。彼等がISを動かしたとなれば男女平等社会を築く事が出来るのと、一夏達自身が男性達の期待を背負っている。
だが、一夏達はそんな事をも考えてはいないーー彼等は束から身の安全を守る為にIS学園へと来たのだ。ここなら他所の国から妨害や拉致される危険もない。
それだけではなく、一夏達が学園にいる限り、外の者達は手も足も出ないのだ。たとえ出したとしても、一夏達に返り討ちに遭うか、この学園へと侵入したエンフォーサーに殺されるのがオチ。
言わば、IS学園事体が要塞であると同時に、外からの干渉を受け付けない。話を戻そう。一夏は辺りを窺うも、ある人物と目が合い、その人物は頬を紅潮しながら、一夏から目を逸らす。
その女子は美しい黒い長髪をリボンでポニーテールにして纏め、黒い瞳や美しい顔立ちであるが何処か凛としている。スリムな体格であり胸もある。
だが、一夏はその女子を見て舌打ちした。ーー何故、あいつがこの学園に? ーー。一夏は内心そう思っていた。
一夏はあの女子が嫌いだったーー嫌いと言うよりも、彼女自身に良い思い出等なかった。彼女のせいで自分は辛い思いをしていた。
それなのに何故、彼女は、この学園に居るのだろうか? ーー恐らく彼女は束の御内だからだろう。一夏はそう考えると胸糞悪くなり、自身でも判るように機嫌が悪くなる。
一夏だけではない、一夏の挟むように両側の席にいる止や勇人も各々の時間を過ごしていた。止は呑気に寝ており、勇人は女子達からの視線を気にする事もなく本を読んでいる。
刹那、この教室を出入り出来る扉が自動で開き、止を除いた全ての生徒が一斉に扉の方を見やると、一人の女性が教室へと入ってくる。
その女性は二十代前半で幼さが残る顔立ちだが黄緑色のショートカットに、翡翠の瞳に眼鏡を掛けている。
服は黄色を基準としたドレスに近い服を来ていて、茶色いブーッを履いている。服装は兎も角、見た目が問題だった。
誰から見ても中学生にしか見えない、と。勿論、本人にはその気はないがその女性はこのクラスにいる生徒を任された教師だからだ。
女性は黒板前にある教卓の前に立つと、踵を返し、黒板の近くにあるチョークを手に取り、何かを書き始めた。
それは直ぐに終わったが黒板には白い文字でこう書かれていたーー『山田 真耶』と。恐らくその女性の名前だろうが女性は再び踵を返し、クラス中の生徒達を見て微笑む。
「今日からこのクラスで貴女達に勉学を執る事になった
その女教師・真耶はクラス中の生徒達に自己紹介した。しかし、一夏達は愚か、クラスの女子達の大半は無反応だった。
彼女達は真耶よりも一夏達を見ている。一方、少数は真耶の自己紹介に軽く拍手しているだけであった。これには真耶も泣きそうになるが気を取り直し、言葉を続ける。
「そ、それよりもクラスの皆さんも自己紹介して下さい! 勿論、この教卓の前に立って、それとあいうえお順でお願いします!」
真耶の言葉に一夏はクラスの女子は頷く。すると、一人の女子が立ち上がり、教卓の前に立つと、自分の胸に手を当てながら自分の名を言う。その女子は赤髪掛かった紫色のショートカットに琥珀色の瞳が特徴的な少女だった。
「
女子の一人が自己紹介していると、一夏は何かに気が付いたのか、隣にいる止の肩を揺らす。
「止、止」
一夏は止を起こす。ーーうぁん? ーー。刹那、止は惚けたような声を上げながら起きる。止は未だ目がトロンとしていたが止は一夏を見る。
「何っ、一夏?」
「何じゃないだろ……今は」
「織斑君、織斑君?」
止の問いに呆れたのか、一夏は今の状況を言おうとした時、真耶が一夏に訊ねる。
「何ですか?」
「次は織斑君の番ですよ?」
「俺の番?」
一夏の言葉に真耶は頷き、一夏は周りを見渡す。止と勇人以外のクラスの女子は一夏を見ていた。それは一夏の番である事を意味し、自己紹介は早く終わるものである事を意味していた。
「……解りました」
一夏はそう思いながらも内心溜め息を吐く。一夏は目立つのは嫌いだった。しかし、自己紹介となればそれをやるしかないし、クラスの女子達に名前を覚えてもらわなきゃならないのだ。
勿論、一夏自身はクラスに馴染むつもりない。だが、自己紹介だけはちゃんとやっておこう、と。
一夏は席から立ち上がり、教卓の前に立つ。勇人を除いた、真耶や止、クラスの女子達の視線が自分へと向けられていた。
「ったく……一夏、織斑一夏です……趣味は家事全般、料理に特訓……好きな事は無い。嫌いなのは権力を振りかざし威張る女……将来の夢は……嫌、ない」
一夏は一通りの説明を終えた。刹那、一夏は近くから気配を感じたと同時に何かが頭上目掛けて振り下ろされるのに気付き、素早く手刀で弾き返し、その何かは宙を舞い、床に落ちた。
そして、その何かは黒い出席簿だった。それに、周りは一瞬の出来事に何が遭ったのかは理解出来ないでいた。嫌、勇人は本を読み続けている為、一連の出来事を気にしてはいない。
「……貴様……クソ女が……!」
一方、一夏は目の前にいる女性を睨む。その女性は二十代前半で整った顔立ち黒い瞳、美しく長い髪を一つに纏めるように束ねていた。
華麗な体に女性用スーツを身に纏っている。だが、その女性は一夏を見て驚いていた。
その表情は死んだと思っていた御内が生きていた事に驚きを隠せない事だった。
何故なら、一夏達の存在は今日まで明かされなかったのだ。それは束の計らいによる物だった。
それに、束は彼等の入学手続き等を色々済ませ、その反面彼等がウェイランド・ユタニ社の専属パイロットである事を赤してはいない。
話を戻そう。その女性は目の前にいる生徒・一夏を寂しそうに見詰めるも、一夏は憤怒の形相で睨むと、舌打ちして席へと戻ろとした。
「一……!」
女性は一夏の肩を掴もうとした。刹那、一夏は女性の手を弾く。
「っ……!?」
一夏の行動に女性は驚愕した。その女性だけではない、止や真耶、クラス中の女生徒達も驚いていた。何故なら彼が、一夏が教師に暴力を振ったも同然の行為に愕然としていたのだ。
勿論、一夏は周りの視線に怯む事もなく、勇人は呑気に本を読んでいた為、気にしてもいない。
それだけではない、一夏は席に戻り、その女性を睨む。
一夏の瞳には憎悪が宿っていた。それは一夏の一生消える事もない物だった。しかし、そんな一夏に勇人は視線を一夏に向けた後、「フン」と軽く言った後、再び本を読み始める。
一方、そんな女性に真耶が声を掛ける。
「どうしましたか織斑先生?」
女性は、一夏と同じ名字を持つ女性は真耶に訊ねられ、女性は我に返り、真耶を見て首を左右に振った。
「嫌、大丈夫だ……それよりも会議で遅れてしまってな、済まない」
「い、いえ……私は教師としての仕事を全うしただけですから」
真耶がそう言うと、女性は教卓の前に立ち、表情を険しくすると口を開く。
「今日からこのクラスに勉学を執る事になった織斑
千冬はクラス中の生徒達に自己紹介した。一方、クラス中の生徒達は何故かソワソワしていた。
そうだろうーーさっきの事を見たら何も言えなくなるし、嫌な予感しかしないからだ。しかし、一夏達男子は違った。
止は軽く拍手し、勇人は未だ本を読んでいる。そして、一夏は千冬を睨み続けた。
そして、残りの自己紹介は何事もなく終わったがこの学園で色んな事件が起きるのを、誰も知らず、知る由もない。
次回、一夏はとある女子と再会します。