ワンサマーとプレデター   作:噛ませ犬

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 翌日は投稿出来ない為、早く仕上がりました。そして、再び少し閲覧注意。


第43話

 ーー何だ? またアイツか? ーー。室内に勇人の呆れたような言葉が響く。それは室内では小さいーーそれもその筈、扉の外にいる主が扉を叩いているのと、扉の叩く音が外だけでなく室内にも木霊している。

 室内にいるのは一夏と楯無、勇人と止の四人がいて、全員が全員、扉の方を見ている。楯無は兎も角、一夏達は扉の叩いている主を知っている。

 その主は一夏に用があり、一夏と楯無の事を訊こうとしているのだろう。すると、楯無は叩かれている扉を見て、一夏の服の背中を強く掴みながら顔を埋める。

 ーーお、おい? ーー。楯無の行動に一夏は戸惑い楯無を見ると、楯無は何故か震えていた。何故なら、楯無はまた自分のせいで一夏に迷惑を掛けてるのではと思っていた。

 勿論、何も言わなくても当たりであり、楯無のせいでもある。彼女のお陰で一夏は周りから付き合っているのではないのかと噂され、その中の一人が(扉を叩いている主でもあり、他にもいるかもしれないが)その事を快く思っていない。楯無はそう思うと震えが止まらず、無意識に一夏にすがり付いてしまった。

 一夏は一夏で楯無の行動に戸惑うも、勇人は扉を見て溜め息を吐くと、止に言った。

 

「止ーー悪いが開けてやれ」

 

 ーーえっ? ーー。止は目を見開きながら惚けたような声を上げる。そんな止に対し、勇人は親指で扉を指す。行けと言う合図だろうが止は嫌な顔をする。

 止だって開けるのは嫌だった。止は扉の主があの煩い奴だって知っているし、何より何をされるのは知った事ではないが何をされるのは目に見えているし、一夏に迷惑を掛けるからだ。

 そうなれば、一夏や楯無に危害が及ぶし、自分にも危害が及ぶ。止はその事を言おうとしたら勇人は先に口を開く。

 

「安心しろ、俺が居るから何もしないし、何か遭ったら奴は俺を見て何も出来ないからな?」

 

 勇人は腕を組む。そんな勇人に止は納得する。確かに勇人が居るし、あの煩い奴は迂闊に手を出さないだろう。止は一夏を見ると、一夏は「よせ」と言いたそうに表情を険しくしているが、止は「大丈夫だよ」と言い、立ち上がると、扉の方へと歩み寄る。

 後ろから一夏が呼び止めようとしているが止は扉の前に立ち、鍵を解き、ドアノブに手を掛け軽く捻る。

 刹那、止は扉とぶつかり、そのまま扉に押され、横の壁に後頭部に叩き付けられる。前は扉、後ろは壁であり、止はサンドイッチの具のように扉と壁に挟まれた。

 しかし、扉を叩いた主はズガズガと部屋へと足を踏み入れる。その主は長い髪をポニーテールにしているが髪を揺らしている。その主は一夏を見るや否や瞠目し、直ぐに険しい表情を浮かべながら歯を食い縛る。

 その人物は箒だった。箒はさっきまで一夏により気を失われたがさっき気が付き、勇人が一夏に話をしている間に寮へと来ていたが、扉が閉まっている為にさっきまで扉を叩いていたのだ。

 しかし、箒は一夏に怒っている訳ではなかった。勇人を警戒しているよりも眼中にはなかった。箒が見ているのは一夏の後ろにいる楯無に怒りを表していた。

 箒は一夏の心を掴んだ(それは誤解だが)楯無が一夏をタブらかしたのではないのかと思っていた。その為、一夏からある事を問い詰め、楯無から引き剥がそうとしていた。

 それに箒が一夏の事が好きである。それは、周りは知らないが箒自身が哀しい過去を持っているが為に……。話を戻そう、箒は楯無を睨み、一夏は楯無を守る形で背に隠しながら、箒を睨み、楯無は一夏の背中にすがり付きながら震え、勇人は何もしないで箒を睨み、止は未だサンドイッチの具のように挟まったまま気を失っている。

 そして、扉の外には何故か彼等のやり取りを気にしているのか、箒が扉を叩いていたのを気にしているのかは判らないが女子生徒達がいた。

 各々の思惑がある中、室内は重苦しい空気が、外は好奇心と重苦しい空気が混じったかのような空気が流れている。

 刹那、口を開いたのは一夏だった。ーー篠ノ之、何の用だ? ーーと。

 

「何の用ではない! 一夏、さっきは良くも気を失わせてくれたな!? それにその女とはどういう関係なのだ!?」

 

 箒は一夏の楯無を指差そうとしたが一夏を指しているようにも思えた。そんな箒に一夏は眉間に皺を寄せる。

 

「何の関係って……俺と楯無は……」

 

 一夏は楯無の事を訊かれて何も言えなくなりそうになるも、瞑目し少し沈黙した。箒から何かを言われそうになるも、一夏は溜め息を吐き、何かを決意したかのように目を開け、箒を見据える。

 

「俺と更識は……嫌、楯無は付き合っているからだよ」

 

 一夏は箒にそう言った。刹那、楯無と箒は瞠目し、勇人も瞠目し、女子生徒達からは黄色い叫び声が聞こえた。

 それは一夏の彼女宣言にも思えた。が、それは違う、一夏は箒が楯無に危害を及ぼさないようにもする為だった。

 あの噂は最早誤解とは言えない。言えば言えばで楯無や簪にも危険が及ぶ。ならば、自分が箒から何かをされても良いと思っていた。

 

「う、嘘だ!? そんなのは認められん!! 第一、一夏は鈍感で私の気持ちに気付いて居なかったではないか!?」

 

 箒はその事を指摘するも、一夏は溜め息を吐く。

 

「それは誤解だ。俺はお前の気持ちを気付く以前に幼馴染みとは思っていない」

「嘘だ嘘だ!! お前はその女にタブらかされたんだろ!? そう言ってくれ!」

 

 箒は一夏にそう願う。しかし、一夏は首を左右に振ると後ろにいる楯無を見る。ーー楯無、俺から離れてくれーーと囁く。

 楯無は一夏の言葉を聞くと同時に一夏を見る。一夏は表情を険しくしており、楯無は何も言わず一夏から離れる。刹那、一夏は楯無と向き合い楯無を抱き締め、皆に見せるように横向けになりながら、楯無にキスをした。

 

「なっ!?」

「キャーーーーーーッ!!!!」

 

 楯無は突然の事に眼を見開き、箒は驚き声を上げ、女子生徒達は黄色い叫び声を上げる。誰から見ても一夏が楯無と付き合っているのを釘付ける。それは一夏にとっても楯無を守る為、箒を自分達から離れさせる為の行動でもあった。

 そのキスはさっきよりも長く、そして切ない。一夏と楯無から放れるも二人の息は少し熱かった。

 

「これが俺と楯無が付き合っている証拠だよ」

 

 一夏は箒にそう言った。楯無は一夏を見据えたまま頬を紅くしながら何も言わず、一夏を見つめている。

 一方、勇人は一夏を見て瞠目していたが直ぐに微笑み瞑目した。これで最早、誤解は止まらないだろう、と。

 だが、箒は体を震わせながら泣いた。

 

「嘘だ嘘だ嘘だ!! 一夏は鈍感だからそんな事をしたんだ! 認められん! 認めないぃぃっ!!」

 

 箒は楯無に迫ろうとした。刹那、勇人は箒が自分を通り過ぎた直後に腕を捻り足止めした。

 

「何をする貴様!? また邪魔するのか!?」

 

 箒は涙を流しながら、勇人を問い詰めるも、勇人は眉間に皺を寄せながら口を開いた。

 

「いい加減諦めろ! 一夏は更識と付き合っている! 彼奴等の思いを踏みにじるな!」

「煩い煩い! お前に私の何が解ると言うのだ!? 私がどんな辛い思いをしているのかは解って……解ってたまるかあぁぁぁ!!」

 

 箒は泣きながら、勇人から放れる。勇人は箒の力に驚くも、箒は泣きながら部屋を出ていく。

 

「フギャッ!?」

 

 すっかり忘れていたが止は気が付くも、直後に箒が再び扉を退かし走り去って行き、止は再び扉と壁に挟まれる。

 それを見た一夏と勇人は驚くも、止は再び気を失い、今度は横向けに倒れる。

 

「止~~っ」

 

 そんな止に、とある人物が止を心配し駆け寄り、止の近くに屈む。裾は長かったが止の体を揺する。

 勇人や一夏も駆け寄り屈み体を揺するも、、止は眼を覚まさない。

 

「止、止! ちっ、眼を覚まさないか……」

 

 勇人は止が気を失っているのに気付き舌打ちすると、止に肩を貸しながら立ち上がると、一夏を見る。

 

「一夏、俺は止とは同室だから止を連れて部屋を出る。その間にお前は更識さんと一緒に居ろーーあの女がまた来るかも知れないからな?」

 

「あ、ああ……」

 

 勇人の言葉に一夏は納得し頷くと、勇人は微笑み、気を失っている止を連れて部屋を出た。途中、裾が少し長い少女も止を心配し勇人と共に部屋を出ると、勇人は扉を閉めた。

 部屋に残ったのは、一夏と楯無であるがこの部屋の住人である為仕方ない。

 

「はぁ~~」

 

 一夏は溜め息を吐くと、近くのベッドに腰掛ける。最早、噂は悪い方向へと行くだろう。それはそれで仕方ないが、あんな事を言った手前、仕方ない。

 そんな一夏に楯無は気まずそうに俯くと、頬を紅くしながらモジモジしていた。二人の間には重苦しい空気が流れるも、最早、誤解は別の意味での嘘である意味での本当になってしまった。

 明日から学園中の噂となるだろう……。




 次回、一夏達三人は学園に侵入したエンフォーサーに逢いに行きます。
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